ビットコイン11.6万ドル台、FOMC直前で強含み──SECのETF上場基準“10月”適用観測・XRP“現物型”ETF予告・仮想通貨ファンドに33億ドル流入、ETHは退出渋滞【9月17日】

ビットコイン・イーサリアム・XRPのコイン擬人化が、ETFやFOMC、ステーキング退出、XRPR予告など本日の主要トピックをユーモラスに表現した横長イラスト デイリークリプトニュース
ビットコインはETF資金流入で堅調、SECの汎用上場基準“10月”観測とXRP『現物型』ETF予告、ETHはステーキング退出渋滞――今夜のFOMC前に相場の焦点を整理。詳細は記事で。
記事内にプロモーションが含まれています。
  1. 市場概況:FOMC前にややリスク選好、米小売の強さとドル高が交錯
    1. 暗号資産の今の価格
    2. 株・為替・商品(全体の空気)
    3. 米小売売上高とFOMC(なぜ今注目か)
    4. ポイント
    5. 用語解説
  2. 規制・ETF:SEC“汎用”上場基準は10月適用観測、XRP『現物型』ETF予告で裾野拡大
    1. SECの「汎用」上場基準がもたらす変化
    2. XRPの『現物型』ETF「XRPR」予告(REX-Osprey)
    3. 制度とプロダクトの両輪で進む拡大
    4. 用語解説
  3. 資金フロー:デジタル資産ファンドに33億ドル流入、BTC・ETHが回復主導
    1. 全体の流れ
    2. 銘柄別の動き
    3. 地域別の特徴
    4. 背景と見方
    5. 用語解説
  4. イーサリアム:ステーキング退出キューが最長水準、再ステーク波及の見方も
    1. 現状と数字
    2. 背景にある出来事
    3. ネットワーク設計が与える影響
    4. 再ステークの波及シナリオ
    5. 短期の注目点
    6. 用語解説
  5. 政策・規制:市場構造法案の行方、CBDC禁止条項の抱き合わせ、SEC“事前通知”報道と米英協調
    1. 米国:市場構造法案とCBDC禁止条項
    2. SECの執行方針:事前通知への転換報道
    3. 国際協調:英米の監督連携
    4. 制裁・AML:OFACの対イラン制裁強化
    5. 全体像:価格とフローの“背景”としての政策
    6. 用語解説
  6. 企業・採用・トークン化:AI×決済、USDC拡張、欧州リテール参入、RWA商品が前進
    1. AI×決済:Googleが「エージェント同士の支払い」を標準化
    2. USDC拡張:Hyperliquidにネイティブ対応、CCTP v2でチェーン間移動を簡素化
    3. 欧州リテール参入:Santander系Openbankが独で暗号資産取引を開始
    4. RWAトークン化:GalaxyのMMF、Apolloのクレジット商品がオンチェーンへ
    5. 全体像:実需とインフラが同時に前進
    6. 用語解説
  7. セキュリティ・コンプライアンス:npm供給網攻撃、Binance監視見直し観測、Gemini和解へ前進
    1. npmで供給網攻撃:秘密情報の窃取と自己拡散の疑い
    2. Binance:司法省モニターの取り扱いに「見直し」観測
    3. Gemini:Earn訴訟は予備合意、年内の最終化を目指す
    4. 全体像:セキュリティと統治の質が資金の滞留度を左右
    5. 用語解説
  8. DeFi・DEX動向:週次出来高の拡大と上位プロトコル集約、CEX比率の推移
    1. 週次出来高は増加、上位はUniswap・PancakeSwapが主導
    2. DEX/CEX比率は17.56%、6月の高水準は未回復
    3. TVLは偏在:レンディングとステーキングに資本が集中
    4. 用語解説
  9. 今後の注目:イベント密集、金利・規制・需給の“三層”で見極め
    1. FOMCとパウエル会見が最初の山場
    2. 欧州と日本の中銀・物価も続く
    3. 規制と制度:米法案、SEC基準、国際協調
    4. 需給の焦点:ETHのキューとETFフロー
    5. 短期と中期の見方
    6. 主な日程(日本時間)
    7. 用語解説
  10. 結論・要点整理
    1. 本日の要点

市場概況:FOMC前にややリスク選好、米小売の強さとドル高が交錯

暗号資産の今の価格

暗号資産の時価総額は4.01兆ドルです。ビットコイン(BTC)は$116,726(24時間 +1.43%)で、11.6万ドル台を保ちました。イーサリアム(ETH)は$4,516(+0.05%)、XRPは$3.0407(+1.83%)です。BTCの存在感を示すドミナンスは57.4%でした。

株・為替・商品(全体の空気)

米株は小幅安です。ダウは-0.27%、S&P500は-0.13%でした。市場の不安度を示すVIXは16.36(+4.27%)です。

為替はドル高に動きました。ドル/円は146.26近辺です。原油WTIは$64.56で小幅高でした。

米小売売上高とFOMC(なぜ今注目か)

米国の8月小売売上高は+0.6%でした。自動車やガソリンなどを除くコアは+0.7%です。消費が底堅いことを示します。

このデータで金利とドルが上がりやすい状況になりました。一方で、市場ではFOMCの0.25%利下げ観測が優勢です。強い経済指標と利下げ期待が交錯する中、BTCは11.6万ドル台を維持しています。

ポイント

  • BTCは小幅高で安定、ETHとXRPもプラス圏。
  • 米株は小反落、VIXはやや上昇。
  • 小売売上高の強さで金利・ドルが上向き。
  • 利下げ観測は継続し、FOMC前で様子見ムード。

用語解説

  • FOMC:米国の金利を決める会合。
  • 小売売上高:お店の売上をまとめた指標。景気の強さを見やすい。
  • コア小売売上高:自動車・ガソリン・建材・外食を除いた指標。基調を測る。
  • BTCドミナンス:暗号資産全体に占めるBTCの割合。
  • VIX:S&P500の予想変動率。数値が高いほど不安が強いとされる。

規制・ETF:SEC“汎用”上場基準は10月適用観測、XRP『現物型』ETF予告で裾野拡大

SECの「汎用」上場基準がもたらす変化

Bitwiseのマット・ホーガンCIOは、SECが準備する仮想通貨ETPの汎用上場基準について言及しました。適用は「早ければ10月」の見込みとされます。現在は銘柄ごとに審査しますが、新基準では最短75日で判断となる可能性があります。

要件として、同じ銘柄の規制下の先物市場の存在が重視されます。対象はCMEやCboeなどです。条件が整えば、SOLやXRPなどの現物ETFの道も広がります。審査の透明性が上がり、手続きも簡素化される見通しです。

XRPの『現物型』ETF「XRPR」予告(REX-Osprey)

REX-Ospreyは、米国初のXRP『現物型』ETF「XRPR」の展開を予告しました。枠組みは1940年投資会社法(’40 Act)を使う構造です。基金は現物のXRPを直接保有します。さらに、海外のスポットXRP ETFへの投資や、必要に応じたデリバティブ(先物やスワップ)も使う設計です。

アナリストは、この商品を純粋な現物のみではなく、ハイブリッド構造と整理しています。米国の規制環境に合わせつつ、XRPへの規制下のアクセスを提供する狙いがあります。現物保有の比重が軸で、補助的に派生商品を活用する点が特徴です。

制度とプロダクトの両輪で進む拡大

SECの汎用基準が進めば、審査の待ち時間は短縮されます。発行体にとっては上場準備の計画が立てやすくなります。投資家にとっては、選択肢の拡大と情報の比較がしやすくなります。

同時に、XRPRの予告はプロダクト面の前進です。XRPへのアクセス手段が増えれば、ビットコインやイーサリアム以外への関心が広がる可能性があります。制度整備と新商品の登場が、市場の裾野拡大に働く構図です。

用語解説

  • ETP:上場取引型の金融商品。ETF(投資信託型)などを含む総称。
  • ETF:取引所で売買できる投資信託。指数や現物価格に連動を目指す。
  • ’33 Act/’40 Act:1933年証券法と1940年投資会社法。ETFの法的枠組みの違いを示す。
  • 規制先物市場:CMEやCboeなど監督当局の規制下にある先物取引所。
  • 現物型(スポット):対象資産を直接保有する方式。価格連動のぶれが小さい。
  • ハイブリッド構造:現物保有に加え、海外ETFやデリバティブも併用する設計。
  • 汎用上場基準:銘柄横断の共通ルール。個別審査より迅速な判断を可能にする。

資金フロー:デジタル資産ファンドに33億ドル流入、BTC・ETHが回復主導

全体の流れ

先週はデジタル資産の投資商品に合計33億ドルの資金が流入しました。前週の流出から持ち直しました。米8月小売売上高の強さで金利とドルは上がりやすい環境でしたが、一方でFOMCの0.25%利下げ観測が続き、週末の価格上昇とあわせて資金流入に弾みがつきました。年初来では増減を繰り返していますが、ETF経路への資金回帰が見られます。

銘柄別の動き

  • ビットコイン(BTC)24億ドルの流入。
  • イーサリアム(ETH)6.46億ドルの流入。8営業日ぶりに流入へ転換。
  • ソラナ(SOL):単日で1.45億ドルの過去最大流入。
  • XRP3,249万ドルの流入。
  • SUI/ADA/LINK:それぞれ1,396万ドル104万ドル154万ドルの流入。

地域別の特徴

米国が32億ドルの流入で主導しました。対象は主に現物型のBTCとETHのETFです。欧州はまちまちで、ドイツは1.6億ドルの流入、スイスは9,200万ドルの流出でした。

背景と見方

マクロ要因は強弱が交錯しています。小売は強く、金利とドルの上昇圧力につながりました。他方で、利下げ観測が根強く、リスク資産への選好を維持しました。結果として、ETFを通じた受け皿が機能し、主要銘柄への資金流入が先行しました。政策発表の内容次第で短期の値動きは振れやすい状況です。

用語解説

  • 資金流入(フロー):投資商品に新しく入った資金の量。
  • ETF:取引所で売買できる投資信託。指数や価格に連動を目指す商品。
  • 現物ETF/先物ETF:現物は資産を直接保有、先物は先物契約で価格に連動。
  • 地域別フロー:国・地域ごとに集計した資金の出入り。

イーサリアム:ステーキング退出キューが最長水準、再ステーク波及の見方も

現状と数字

イーサリアムのバリデータ退出待機が拡大しています。待機量は約250万ETHです。退出までの待ち時間は最長46日に達しました(9月16日時点)。前日から続くテーマで、当面は価格の短期的な変動要因になり得ます。

背景にある出来事

発端のひとつは9月9日のKilnによる全バリデータ退出です。ソフト更新の供給網インシデントなどの影響に対応した動きです。あわせて、年初来の上昇を受けた利益確定資産配分の見直しも退出増の要因です。これらが重なり、キューが急に膨らみました。

ネットワーク設計が与える影響

イーサリアムには出入りの速度を制限する仕組みがあります。多くが一度に退出しても、処理できる数には上限があります。安全性を保つための設計です。そのため、退出が増えると待ち時間が延びることがあります。

再ステークの波及シナリオ

主要ステーキング事業者の分析では、資金の一部が再ステークに戻る可能性があります。その場合、今度は参加側(活性化キュー)に渋滞が移る見方です。退出の解消と引き換えに、参加までの待ち時間が延びる可能性があります。ネットワーク自体は設計どおりに機能しています。

短期の注目点

退出と参加のキューの長さが、短期の手数料や価格の振れに影響しやすい状況です。状況はイベントの有無で変化します。直近は退出待機の規模が最大級である点に注意が必要です。

用語解説

  • バリデータ:取引を確認し、ブロックを作る役割の参加者。
  • ステーキング:ETHを預け、ネットワーク運用に参加して報酬を得ること。
  • 退出キュー:バリデータがやめるときに並ぶ待機列。
  • 活性化キュー:新しく参加するときに並ぶ待機列。
  • 再ステーク:いったん解除したETHを再び預けること。
  • 供給網インシデント:外部ツールや配布経路の不正改ざんなどによる障害。

政策・規制:市場構造法案の行方、CBDC禁止条項の抱き合わせ、SEC“事前通知”報道と米英協調

米国:市場構造法案とCBDC禁止条項

米下院は、7月に可決した市場構造法案を基礎に作業を進めています。下院は「CBDC(中銀デジタル通貨)を禁止する条項」を同法案に組み込む案を検討中です。目的は、連邦準備制度によるCBDC発行を事前に封じることです。

ただし、最終形は上院側の案が主導する見方が有力です。上院は超党派の調整が必要で、可決までの手順が多いからです。成立しても、実務ルールの策定には時間を要します。

SECの執行方針:事前通知への転換報道

報道によると、SEC新体制は執行前に「技術的な違反」を通知する方針です。いきなり提訴する手法からの転換が示唆されます。企業は是正の機会を得やすくなります。

この変更は、規制の予見可能性を高める可能性があります。一方で、重大事案では厳格な対応が続く公算です。市場は「対話の余地」と「抑止力」の両面を織り込みます。

国際協調:英米の監督連携

英国政府は、米国当局との協調強化を検討しています。対象は市場行為、マネロン対策、ステーブルコイン規制です。両国の枠組みをそろえる狙いがあります。

監督のすき間を狙う「規制アービトラージ」を減らす効果が見込まれます。グローバル企業にとっては、基準の共通化が進むことになります。

制裁・AML:OFACの対イラン制裁強化

米財務省のOFACは、暗号資産を用いた資金洗浄ネットワークを追加指定しました。対象はイラン関連の石油収益の移転に関与した個人・企業です。指定アドレスの取引は制限されます。

今回の措置は、コンプライアンス負担の増加を再確認させる内容です。取引所や事業者は、制裁スクリーニングとトラベルルールの順守が求められます。

全体像:価格とフローの“背景”としての政策

下院のCBDC条項と上院協議、SECの運用変更、英米協調、OFACの制裁。これらは同時進行です。短期の価格を直接は動かさない局面でも、資金フローの「地合い」を形作ります。

ETFやステーブルコインの制度整備が進むほど、機関投資の受け皿は広がります。他方、制裁とAMLの強化は、流動性のルートを選別します。政策は追い風と向かい風を同時に生みます。

用語解説

  • 市場構造法案:暗号資産の現物市場や仲介業者の規制枠組みを定める米議会の法案。
  • CBDC:中央銀行が発行するデジタル通貨。現金のデジタル版に相当。
  • 事前通知:当局が執行前に企業へ是正の機会を与える運用。突然の提訴を避ける狙い。
  • AML:アンチ・マネー・ロンダリング(資金洗浄対策)。本人確認や取引監視を含む。
  • OFAC制裁:米財務省が指定した個人・団体・アドレスとの取引を禁じる措置。

企業・採用・トークン化:AI×決済、USDC拡張、欧州リテール参入、RWA商品が前進

AI×決済:Googleが「エージェント同士の支払い」を標準化

Googleは、AIエージェント同士で少額決済を自動実行するためのプロトコルを公開しました。少額の支払いを人手なしで処理する狙いです。安定通貨(価格がぶれにくい暗号資産)への対応はCoinbaseと連携します。これにより、アプリ同士の自動課金や、機械によるデータ購入が現実的になります。支払いの裏側でブロックチェーンを使い、低コストと高速処理をねらいます。

この動きは「日常の少額決済に暗号資産を使う」流れを後押しします。開発者にとっては、既存の決済網より手軽な選択肢が増えます。ユーザーにとっては、アプリの中でシームレスに支払いが終わる体験が広がります。

USDC拡張:Hyperliquidにネイティブ対応、CCTP v2でチェーン間移動を簡素化

Circleは、取引プラットフォームHyperliquidでUSDCの「ネイティブ発行」を進めます。ブリッジ版ではなく、発行元が直接出すUSDCが使える形です。あわせて、USDCをチェーン間で安全に移す仕組み「CCTP v2」の統合も進みます。資金の行き来が簡単になり、取引や送金の待ち時間を減らせます。

さらに、HyperliquidのエコシステムトークンHYPEに初回投資を実施しました。発行と流通の両面でUSDCの使い勝手を高め、デリバティブなどの高頻度取引にも対応しやすくします。ステーブルコインの使い道が、取引所内からアプリ全体へ広がる形です。

欧州リテール参入:Santander系Openbankが独で暗号資産取引を開始

スペイン大手銀行グループのデジタル銀行Openbankは、ドイツで暗号資産の売買を始めました。取り扱いはBTC、ETH、LTC、MATIC、ADAなどです。既存の投資商品と同じアプリ内で取引でき、外部のプラットフォームを使う必要がありません。規制はEUのMiCA(暗号資産規則)に沿う形です。

同社はスペインでの展開も予定しています。大手銀行が個人向けに暗号資産を提供する動きは、口座連携や本人確認の点で参入障壁を下げます。これにより、欧州でのリテール層のアクセスが一段と広がります。

RWAトークン化:GalaxyのMMF、Apolloのクレジット商品がオンチェーンへ

Galaxy Digitalは、マネー・マーケット・ファンド(MMF)をトークン化して提供する計画です。まずは一部チェーンで開始し、将来的にETH、SOL、XLMへ広げる想定です。資産の保管はAnchorageが担います。投資家はオンチェーンでMMFにアクセスでき、即時性や透明性が高まります。

一方、アポロ系の分散型クレジット商品では、Groveが5,000万ドルの資金をコミットしました。CentrifugeとPlumeの基盤を使い、トークン化したクレジットをチェーン上で配布します。これにより、私募債や貸付債権といった伝統資産へのアクセスが、ブロックチェーン上で可能になります。大手運用のノウハウと、オンチェーンの決済・証券化が結びつく形です。

全体像:実需とインフラが同時に前進

AIの少額決済、USDCの拡張、欧州のリテール参入、そしてRWAの商品化。いずれも「日々の利用」と「機関の導入」の両面を進めます。小口支払いから機関投資まで、暗号資産の使い道が階層的に広がります。結果として、入出金の通り道が増え、流動性の質も変わります。市場の厚みを支える基盤整備が、静かに進んでいます。

用語解説

  • AIエージェント:自動で指示を実行するAIプログラム。人の操作なしで動く。
  • 安定通貨(ステーブルコイン):法定通貨などに連動し、価格が安定する暗号資産。
  • USDC:米ドルに連動するステーブルコイン。Circleが発行。
  • ネイティブ発行:ブリッジを使わず、発行体が直接そのチェーン上で発行する方式。
  • CCTP v2:USDCを公式にチェーン間で移すための仕組み。偽造や二重計上を避ける。
  • MiCA:EUの暗号資産規則。発行・保管・取引のルールを整備。
  • RWA(実世界資産のトークン化):債券や不動産などの資産を、ブロックチェーン上のトークンにすること。
  • MMF(マネー・マーケット・ファンド):短期の安全資産で運用する投資信託。現金同等の性質。
  • カストディアン:資産の保管と管理を担う専門業者。

セキュリティ・コンプライアンス:npm供給網攻撃、Binance監視見直し観測、Gemini和解へ前進

npmで供給網攻撃:秘密情報の窃取と自己拡散の疑い

JavaScriptの配布基盤「npm」で、@ctrl/tinycolorなどに悪性の改変が見つかりました。インストール時にスクリプトが動き、開発者の端末やリポジトリを走査して、トークンや鍵を集めて送信する仕組みです。継続的インテグレーション(CI)の設定を書き換え、感染を広げる指摘も出ています。影響は複数パッケージに及び、開発現場では鍵の再発行や監査の動きが広がっています。

Binance:司法省モニターの取り扱いに「見直し」観測

大手取引所Binanceについて、米司法省(DOJ)による3年のコンプライアンス・モニター契約の扱いを巡り、見直しを協議しているとの報道が出ました。一方で、米FinCENの監督は続く見通しです。最終判断は示されておらず、ガバナンス要件や内部管理の重さが引き続き焦点となります。動向は流動性や提携先のリスク判断にも波及します。

Gemini:Earn訴訟は予備合意、年内の最終化を目指す

暗号資産プラットフォームのGeminiは、Earnプログラムを巡るSECとの民事訴訟で予備的な合意に達しました。両者は裁判所に対し、最終文書の取りまとめに向けた期限として12月15日までの猶予を求めています。Earnは、利用者資産を外部へ貸し出し利回りを得る仕組みで、未登録証券の疑いが争点でした。法的な不確実性が和らげば、事業面の信頼回復につながる可能性があります。

全体像:セキュリティと統治の質が資金の滞留度を左右

開発サプライチェーンの脆弱性は、プロジェクトの進行や上場計画に遅れを生みます。取引所のコンプライアンスは、機関投資家の受け入れ態勢を左右します。訴訟の和解前進は不確実性の低下につながります。個別の出来事に見えても、市場の信頼や流動性の厚みに累積的な影響を与えます。

用語解説

  • 供給網(サプライチェーン)攻撃:開発や配布の経路を狙い、信頼された更新に悪性コードを混入させる手口。
  • npm:JavaScriptのパッケージ配布基盤。多くのWebサービスで利用される。
  • CI(継続的インテグレーション):コードのテストや配布を自動化する仕組み。設定改変は被害拡大につながる。
  • トークン/鍵の流出:API鍵や認証トークンが盗まれること。アカウント乗っ取りの原因となる。
  • コンプライアンス・モニター:当局が任命する第三者監視。社内管理や再発防止策を検証する。
  • FinCEN:米財務省の金融犯罪取締機関。資金移動業者の監督を担う。
  • 予備的合意:最終合意前の基本合意。詳細条件は文書化を経て確定する。
  • Earnプログラム:顧客資産を外部に貸し出し、利回りを分配するサービス一般の呼称。

DeFi・DEX動向:週次出来高の拡大と上位プロトコル集約、CEX比率の推移

週次出来高は増加、上位はUniswap・PancakeSwapが主導

分散型取引所(DEX)の週間出来高は増えました。上位はUniswap 234.6億ドルPancakeSwap 154.8億ドルMeteora 75.0億ドルHyperliquid 68.2億ドルAerodrome 48.5億ドルです。銘柄テーマの盛り上がり(例:YZY)や、新機能の投入が追い風になりました。出来高は一部の人気プロトコルに集まりやすい状態です。

DEX/CEX比率は17.56%、6月の高水準は未回復

現物市場のDEX/CEX比率は17.56%でした。6月に付けた過去最高の27.92%を下回ります。中央集権型取引所(CEX)は、法定通貨の出入りや上場銘柄の多さで依然優位です。一方で、規制や手数料の意識から、オンチェーン取引への関心は継続しています。

TVLは偏在:レンディングとステーキングに資本が集中

分散型金融(DeFi)の預かり資産総額(TVL)は大きい水準を保っています。ただし、資本はレンディングやリキッドステーキングなどの大手に偏っています。安定通貨の存在が流動性を支え、パーペチュアル取引の需要も根強い状況です。結果として、少数のプロトコルが市場の大部分を占めています。

用語解説

  • DEX(分散型取引所):ブロックチェーン上で動く取引所。仲介業者がいない。
  • CEX(中央集権型取引所):企業が運営する取引所。法定通貨の出入金に対応。
  • 出来高:一定期間の売買金額。多いほど取引が活発。
  • TVL:DeFiに預けられた資産の合計額。規模の目安。
  • リキッドステーキング:預けた暗号資産の引換証を受け取り、別の運用に使える仕組み。
  • パーペチュアル:期限のない先物に似たデリバティブ。資金調達率で価格を調整。
  • DEX/CEX比率:全体の現物取引のうち、DEXの占める割合。

今後の注目:イベント密集、金利・規制・需給の“三層”で見極め

FOMCとパウエル会見が最初の山場

最初の焦点は米FOMCです。9月18日未明(日本時間)に結果が出ます。

市場は0.25%の利下げを主に見ています。重要なのは今後の道筋です。

声明と会見の「ガイダンス」が金利の先行きを示します。暗号資産のボラに直結します。

欧州と日本の中銀・物価も続く

今週はEUのHICP改定値が入ります。物価の減速度合いを確認します。

英中銀は政策金利を審議します。声明の文言に注目が集まります。

日銀会合もあります。政策の連続性と国債買入れの運用が焦点です。

規制と制度:米法案、SEC基準、国際協調

前述の通り、米下院は市場構造法案を進めています。CBDC禁止条項の抱き合わせ案もあります。

最終形は上院主導の見方が強いです。成立時期はなお流動的です。

SECのETP上場基準の実装時期も注目です。プロダクト審査の迅速化に影響します。

米英の協調報道もあります。AMLやステーブル規制の整合が進む可能性があります。

需給の焦点:ETHのキューとETFフロー

これも前述の通り、イーサリアムは退出キューが膨らんでいます。活性化側への波及も見られます。

再ステークの動きが強まると、活性化待ちが延びる可能性があります。

ETFフローの方向も重要です。資金の出入りは価格の土台になります。

短期と中期の見方

短期はイベント起点のボラが想定されます。指標や会見に反応しやすい局面です。

中期は金利低下の持続性が鍵です。制度整備の進捗も評価の軸になります。

主な日程(日本時間)

9/17(水)

  • 18:00 欧州:8月HICP改定(前年比)/コア改定
  • 22:45 カナダ:政策金利
  • 27:00 米国:FOMC 声明・政策金利発表
  • 27:30 米国:パウエル議長 記者会見
  • 30:30 ブラジル:政策金利

9/18(木)

  • 07:45 ニュージーランド:4–6月期GDP(前期比/前年比)
  • 20:00 英国:BOE 金利発表/MPC議事要旨
  • 22:00 南アフリカ:政策金利

9/19(金)

  • (時刻未定)日本:日銀 金利発表
  • 08:30 日本:8月CPI(総合/コア/コアコア)
  • 15:30 日本:植田総裁 記者会見

9/24(水)

  • 23:00 米国:8月新築住宅販売件数(年率/前月比)

9/25(木)

  • 16:30 スイス:SNB 政策金利
  • 21:30 米国:4–6月期 実質GDP(確定値)

9/26(金)

  • 21:30 カナダ:7月月次GDP(前月比/前年比)
  • 21:30 米国:8月PCEデフレーター(総合/コア:前月比・前年比)

用語解説

  • FOMC:米連邦公開市場委員会。金利や量的政策を決める会合。
  • ガイダンス:今後の金利運営などに関する当局の見通し。
  • HICP:EUの消費者物価指数。域内の物価動向を示す指標。
  • PCE:米個人消費支出デフレーター。FRBが重視する物価指標。
  • ETP上場基準:取引所が上場可否を判断する共通ルール。
  • 退出キュー:バリデータがネットワーク離脱を待つ行列。
  • 活性化キュー:新たな参加が有効化されるまでの待ち行列。
  • ETFフロー:ETFへの資金流入と流出。需給の重要な手掛かり。

結論・要点整理

米小売は強く、金利とドルは上がりやすい地合いです。FOMC前で不確実性は残ります。

一方で、ETFの制度整備の前進観測と資金流入が下支えになりました。BTCは重要水準を維持しました。

ETHは退出渋滞が続きます。再ステークの動きが、需給を複雑にしています。

規制やセキュリティのヘッドラインは、リスク認識に影響します。短期は政策イベントで振れやすい局面です。中期はETFフローと国際的な規制整合が鍵です。

本日の要点

  • 強い米小売とFOMC前の不確実性が同時進行。
  • ETF制度の前進観測と33億ドルの資金流入が相場を下支え。
  • ETHは退出渋滞が最長水準。再ステーク観測で需給は複雑。
  • 規制・セキュリティのニュースはリスクプレミアムに影響。
  • 短期はイベント主導。中期はETFフローと規制整合の進捗が焦点。

本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。

また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。

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