ビットコイン11.7万ドル突破、ETH・SOLも続伸──マクロ環境と需給が支援
7月10日、ビットコイン(BTC)は一時117,000ドルを突破し、再び史上最高値を更新しました。
これは前日の急騰に続く上昇であり、2日連続の高値更新となります。
イーサリアム(ETH)も強含みで推移し、3,000ドルに迫る勢いです。
Solana(SOL)やその他のアルトコインにも資金が広がり、市場全体がリスクオンの地合いを強めています。
上昇の背景にある3つの支援材料
今回の上昇は、以下の要因が重なったことで実現しました。
- 米国ETFへの資金流入が継続
- 米ドル安の進行
- インフレ鈍化観測による金利据え置き期待
これらの要素が揃い、ビットコインをはじめとする暗号資産への資金流入が再加速しています。
株式市場も堅調、リスク選好ムードが支援
株式市場も堅調に推移し、リスク資産全体に追い風となっています。
- NYダウ:44,650.70(+0.43%)
- S&P500:6,280.39(+0.27%)
- ナスダック総合:20,630.67(+0.09%)
- VIX指数:15.78(前日比 -1.00%)
米株全体が上昇基調にある中、VIX指数も低下傾向を示しています。
これは市場のリスク警戒感が後退していることを示し、暗号資産にとっても好材料です。
国内市場はやや慎重姿勢
一方、日本市場では日経平均株価がわずかに反落しました。
- 日経平均:39,618.50(-0.07%)
- TOPIX:2,812.34(前日比変わらず)
米国の動向や為替市場を見極める動きが続いており、国内投資家のリスク許容度には慎重さも見られます。
アルト市場への波及も顕著
ビットコインとイーサリアムの上昇により、アルトコインにも資金が波及しています。
中でもSolana(SOL)は分散型インフラ領域での事例拡大が評価され、継続的な買いを集めています。
このように、マクロ環境・制度的資金・市場センチメントの三点が揃い、暗号資産市場は全体として上昇圧力の強い局面を迎えています。
ETF資金流入と需給のタイト化──ビットコイン上昇の多重構造
ETF需要の継続とドル安進行がビットコインを押し上げ
7月10日現在、ビットコイン現物ETFへの資金流入が継続しています。特にBlackRockのIBITを中心に、全体の運用資産残高(AUM)は合計で1,370億ドルに達しました。これは機関投資家による継続的な買いの存在を示すものであり、市場の上昇圧力を支えています。
また、米ドルはFOMC議事要旨を受けて下落基調にあり、ドルインデックスは再び下値を模索する展開となっています。インフレ指標が鈍化傾向を示したこともあり、金利据え置き観測が強まりました。この結果、インフレヘッジ資産としてのビットコインが再評価され、価格上昇の追い風となっています。
ロング優勢とショート清算──建玉の構造的変化
デリバティブ市場では、ロングポジションの優勢が明確です。24時間あたりのロング建玉は57.5億ドルと、ショート建玉(52.9億ドル)を上回っています。BinanceとOKXにおけるトップトレーダーのロング/ショート比も上昇傾向にあり、Binanceでは1.63、OKXでも1.27を記録しました(いずれもポジションベース)。
また、Bitfinexではロング建玉が45,760 BTCと、ショート(180 BTC)を大きく上回っています。こうしたデータは、短期的な投機ではなく、中長期のロング蓄積フェーズへの移行を示唆しています。CME先物市場でも機関投資家のポジション維持が続いており、相場の下値を支える構造的要因と見られています。
RobinhoodがETH/SOLステーキングを解禁
米取引アプリRobinhoodは、7月10日にイーサリアム(ETH)およびソラナ(SOL)のステーキング機能を開始しました。1ドルからステーキング可能とする設計で、初心者層にもアクセスしやすい仕様となっています。
この対応は、先日SECがPoS(プルーフ・オブ・ステーク)型ステーキングの合法性についてガイダンスを発表したことを受けたものであり、規制環境が明確化されつつある中でのサービス展開です。これにより、ETH・SOLの実需が今後拡大する可能性が指摘されています。
CircleとAnt Groupの連携報道──USDCのアジア展開
ステーブルコインUSDCの発行元であるCircleは、中国のAnt Group(アントグループ)との提携交渉を進めていることが報じられました。Alipayを通じたUSDCの統合が検討されており、米国の「GENIUS法案」に準拠する形でのグローバル展開が進められています。
この動きは、現在シェア優位にあるUSDTに対するUSDC側の巻き返し戦略とも位置付けられます。中国を含むアジア市場での実需拡大が実現すれば、ステーブルコイン市場の競争環境に変化が生じる可能性があります。
企業のBTC保有が急増──集中とリスクの両面
暗号資産マーケットメイク企業Keyrockによるレポートによれば、上場企業によるビットコイン保有量は72.5万BTCに到達しました。これは前年同期比で約3倍の増加です。
ただし、保有が一部の企業に集中している点については、市場のボラティリティ拡大リスクとして指摘されています。とくに、財務上の戦略変更や利確売りが出た場合、市場全体に与える影響が無視できない局面となっています。
DeFi・Web3詐欺に警鐘──中国当局が注意喚起
中国の業界団体であるBIFAは、「Web3投資詐欺」に関する注意喚起を発表しました。高利回りをうたうプロジェクトの多くが、実質的にはポンジスキームであると指摘されており、消費者保護の観点から警戒感が強まっています。
特に、DeFiやWeb3といった専門用語を使って信用性を高める手法が多用されており、これに対するリテラシーの向上が求められています。こうした啓発活動の強化は、健全な市場形成にとっても重要な課題です。
投資家心理は強気継続──MVRV指標が示す余地
オンチェーン分析指標の一つである「MVRV Zスコア」は、7月11日時点で2.48を記録しています(出典:NewHedge)。これは過去の強気相場で見られる過熱圏(一般的に7以上)にはまだ達しておらず、買い余地があるとの見方を支えています。
SNSでは強気発言が依然として多く見られますが、一部では上昇スピードの速さに対する警戒感も強まりつつあります。市場全体としては強気継続の雰囲気が強いものの、投資家心理には微妙な温度差が生じ始めています。
CPIと中国GDPが鍵──過熱相場に調整の兆しはあるか
目先の仮想通貨市場は強気基調を維持していますが、マクロ経済の変化が相場の転換点となる可能性もあります。とくに、今後数日に控える重要指標の発表が注目されています。
7月15日の米CPIと中国GDP
7月15日には、米国の消費者物価指数(CPI)と中国の国内総生産(GDP)が公表されます。これらはいずれも、市場のリスク許容度に大きく影響を与える要素です。
仮にCPIが市場予想を上回る場合、インフレ再燃への警戒から、利下げ観測が後退する可能性があります。中国GDPについても、想定以上の成長加速が確認されれば、各国の金融政策や為替動向に波及しうる状況です。
いずれも、現在のリスクオンムードに冷や水を浴びせる材料となり得るため、短期トレンドの反転リスクとして市場参加者の関心が集まっています。
中期的な不確実性:前述の個別材料にも注意
このほか、すでに前述した Robinhoodのステーキング事業拡大 や CircleのUSDC対中戦略 にも中期的な注意が必要です。
Robinhoodは10月にステーキング報酬への手数料導入を予定しており、これがユーザーの行動やPoS資産への資金流入に変化をもたらす可能性があります。一方、USDCを中国の決済網へ統合しようとするCircleの動きは、規制面での摩擦や地政学的な不確実性を伴います。
短期の上昇余地と流動性転換リスク
現時点では、ETF資金流入やドル安が支えとなり、短期的な上昇余地はなお存在しています。しかし、これらはあくまで流動性主導の上昇であるため、マクロ環境や金融政策の転換が引き金となり、急速に調整が始まるリスクも否定できません。
とくに夏場は流動性が薄くなりやすいため、突発的な材料による価格変動が大きくなる傾向があります。センチメントが過熱しきる前の戦略見直しも検討の余地がある局面です。
本日の高値更新は需給と制度の交差点──冷静な押し目戦略が有効
ビットコインは7月10日、117,000ドルを突破し、2日連続で過去最高値を更新しました。 この急伸は、一過性の材料ではなく、複数の構造的要因が重なった結果とみられます。
具体的には、以下のような要素が並行して市場を押し上げました。
- ETFへの資金流入:IBITを中心にAUMが1370億ドルに拡大
- マクロ環境の支援:ドル安・インフレ鈍化を背景に金利据え置き期待が上昇
- 個人のポジション巻き戻し:ロングが優勢、ショート清算は短時間で5億ドル規模に
- PoS銘柄の評価上昇:RobinhoodのETH/SOLステーキング解禁が需要を刺激
- USDCの対中進出:CircleとAnt Groupの連携がドルステーブルコインの存在感を強化
これらの要因はいずれも、今後の市場環境や政策対応によって強弱が変動する可能性があります。
戦略的には「押し目買い」が現実的
週明けには米国のCPIおよび中国のGDPが控えており、相場に一時的な調整圧力がかかる可能性があります。 そのため、現時点での急追よりも、BTCであれば107,000ドル前後のサポートラインを意識した冷静な押し目戦略が有効といえるでしょう。
また、ETHが3,000ドルの節目を突破するか否か、USDCやCircle関連の続報にも注視が必要です。 制度的な動向と需給の変化が絡む局面では、シナリオ別の対応力が問われます。
投資判断に関する注意事項
本記事には、AIによるデータ収集および分析に基づいた情報が一部含まれています。 情報の正確性には最大限配慮していますが、最終的な投資判断はご自身の責任にてお願いいたします。
また、本記事は特定の資産や手法への投資を推奨するものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。 ご自身の投資目的・リスク許容度を踏まえたうえでご活用ください。
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