市場概況:ETH4,000ドル突破とBTC116K台維持、機関資金の流入が支え
日本時間8月9日午前9時40分時点、暗号資産市場は前日終値水準を維持しています。 ビットコイン(BTC)は116,641ドルで、直近24時間では-0.56%。 イーサリアム(ETH)は4,021ドルで+2.86%と心理的節目を上回っています。
なお、日足データでは8月8日のBTC終値は116,676ドル(前日比-0.68%)で取引を終えました。 本日の数値は速報値であり、確定値ではありません。
市場全体の動き
暗号資産全体の時価総額は約3.83兆ドルに拡大しました。 BTCの市場占有率(ドミナンス)は60.4%と高水準を維持しています。 24時間取引高は約1,050億ドルで、依然として活発な取引環境が続いています。
株式市場との連動
米国株式市場は8月8日(金)の取引を終えています。 S&P500は前日比+0.3%の5,450ポイント、ナスダック総合指数は+0.5%の17,680ポイントで取引を終了しました。 VIX指数は16.2と低位安定を示し、リスクオン姿勢が継続しています。 日本時間の本日午前は米市場が休場中のため、これらが最新の終値となります。
ETH上昇の背景
ETH価格の上昇には複数の要因が影響しています。
- ステーキング需要の増加(ロック総額が前週比+4%)
- DeFi市場の活性化による資金流入
- 機関投資家によるETF関連投資の報道
これらの要因が重なり、ETHは市場全体の強気ムードをけん引しています。
継続する制度面の追い風
先日発表された米401(k)退職金制度への暗号資産投資解禁や、Ripple訴訟の終結も引き続き市場を支える材料です。 こうした制度変更は中期的な資金流入期待を高め、相場の下支え要因となっています。
機関参入が市場に波及──ハーバード大学のBTC現物ETF投資と銀行の暗号資産戦略
ハーバード大学基金がBTC現物ETFに投資
ハーバード大学の基金が、米国上場のビットコイン(BTC)現物ETFに1億1,600万ドルを投資したことが判明しました。 教育機関による暗号資産関連への大規模投資はまれであり、市場では機関参入加速の象徴とみなされています。
大学基金は長期運用を前提としているため、こうした動きは価格の安定性や資産としての信頼性向上につながるとの見方が広がっています。
米主要銀行も暗号資産事業を拡大
米国の主要銀行が、暗号資産分野への関与を強化しています。 具体的には、暗号資産取引サービスの提供範囲拡大や、機関投資家向けカストディ(保管)サービスの拡充が進められています。
この動きにより、既存の金融インフラと暗号資産市場の接続が強化され、機関投資家が参入しやすい環境が整いつつあります。
401(k)解禁とRipple訴訟終結の続報
米401(k)確定拠出年金制度への暗号資産投資解禁と、Ripple訴訟終結は昨日の記事で取り上げました。本日はその続報として、これらが銀行の暗号資産戦略やETF市場拡大に与える影響を具体的に整理します。
まず、401(k)制度改正により、米国の労働者は年金資産の一部を暗号資産で運用できるようになりました。これにより、銀行や証券会社は年金資産を通じた暗号資産関連商品の提供を検討しやすくなり、大規模な資金流入が見込まれます。
一方、Ripple訴訟の終結は、XRPを含む一部暗号資産の法的立場を明確化しました。法的リスクが低減したことで、銀行やETF運用会社が新たな商品設計や取扱拡大に踏み切る動きが予想されます。
これら二つの要因が重なり、市場の流動性は高まり、取引商品の多様化が進む可能性があります。結果として、暗号資産は従来の金融市場における位置づけを一段と強化し、機関投資家の参入を後押しする環境が整いつつあります。
オンチェーン指標は楽観傾向継続、短期保有者の利益確定圧力は限定的
短期保有者の売買動向を示す STH SOPR(Spent Output Profit Ratio) は1.014で推移しています。 この指標が1.0を上回ると、売却時に平均して利益が出ていることを意味します。 しかし、数値が大きく乖離していないため、短期保有者による大規模な利益確定は発生していません。
MVRV-Zスコア は2.55で、過去の極端な過熱水準(例:7以上)には達していません。 この指標は、現在の時価総額と実現時価総額の乖離度を測るもので、過熱感や割安度を判断する際に用いられます。 現在は適正範囲内に収まっており、市場の過熱は限定的です。
短期保有者の実現価格(STH Realized Price) は106,355ドルで、ビットコイン現行価格を大きく下回っています。 この水準は短期保有者の平均取得コストを示し、サポートラインとして機能する可能性があります。
NUPL(Net Unrealized Profit/Loss) は56.71%で「楽観」領域を維持しています。 これは市場全体の含み益割合を表し、50%を超えると投資家心理が比較的安定していると解釈されます。
先物市場ではロング(買い)優勢の状況が続いています。 主要取引所のデータは以下の通りです。
- Binance BTC/USDT ロング/ショート比率(アカウントベース):1.08(+11.20%)
- Binance BTC/USDT トップトレーダー比率(アカウントベース):1.27(+19.77%)
- Binance BTC/USDT トップトレーダー比率(ポジションベース):1.94(+7.71%)
- OKX BTC/USDT ロング/ショート比率(アカウントベース):1.11(+12.12%)
- OKX BTC トップトレーダー比率(アカウントベース):0.75(-18.00%)
- OKX BTC トップトレーダー比率(ポジションベース):0.78(-0.21%)
Bitfinexでは、マージンロングが47,700BTC、マージンショートが116.6BTCとなっており、ロングの優勢が鮮明です。
これらのデータから、市場は依然として強気基調を維持していることがわかります。 一方で、一部取引所でショートポジション比率が上昇しており、価格急伸時にはショートカバー(売り方の買い戻し)による一時的なボラティリティ拡大に注意が必要です。
米CPI発表と金融政策が短期トレンドの焦点、規制動向にも警戒
以下はすべて日本時間です。8月9日(土)・10日(日)は主要指標の掲載はありません。来週は物価・成長・消費の重要データが相次ぎ、短期トレンドの分岐点になります。
今後1週間の主要イベント(日本時間)
- 8月12日(火)13:30:オーストラリア・政策金利(前回 3.85%/予想 3.60%)
- 8月12日(火)21:30:米・7月CPI ─ 前月比(前回 0.3%/予想 0.2%) / 前年同月比(前回 2.7%/予想 2.8%) / コア前月比(前回 0.2%/予想 0.3%) / コア前年比(前回 2.9%/予想 3.0%)
- 8月13日(水)25:00:ロシア・4–6月期GDP速報(前年比:前回 1.4%/予想 1.8%)
- 8月14日(木)15:00:英国・4–6月期GDP速報(前期比:前回 0.7%/予想 0.1%、前年比:前回 1.3%/予想 1.0%)、6月月次GDP(前回 -0.1%/予想 0.2%)
- 8月14日(木)18:00:ユーロ圏・4–6月期GDP改定(前期比 0.1%/前年比 1.4%:予想=前回)
- 8月15日(金)08:50:日本・4–6月期実質GDP速報(前期比:前回 0.0%/予想 0.1%、年率:前回 -0.2%/予想 0.3%)
- 8月15日(金)21:30:米・7月小売売上高(前月比:前回 0.6%/予想 0.5%、除自動車:前回 0.5%/予想 0.3%)
想定シナリオとリスク
インフレ鈍化シナリオ:8月12日の米CPIが予想どおり鈍化すれば、利下げ観測が強まり、リスク資産への資金流入が進みやすくなります。暗号資産では、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)に上昇圧力がかかる可能性があります。
インフレ粘着シナリオ:CPIが上振れした場合は利下げ観測の後退を織り込み、短期調整に警戒が必要です。イベント前後は先物のポジション解消やショートカバーでボラティリティが高まりやすい点にも留意します。
規制・政策面の不確実性:各国の法案審議や税制見直しは中長期の市場拡大要因となる一方、監督強化の方向に振れた場合は流動性の低下や商品組成の遅延につながるリスクがあります。直近は米指標を起点とした金利再評価が主要ドライバーです。
機関資金流入とETHの存在感拡大が本日の主軸、短期的にはイベント前の調整警戒
8月9日(土)の市場では、イーサリアム(ETH)が一時4,000ドルを突破し、主要アルトコインとしての存在感を強めました。背景には、米国ハーバード大学がビットコイン(BTC)現物ETFに投資したとの報道があり、これが機関投資家による参入拡大の象徴的事例と受け止められています。
前日から続く材料としては、米国の確定拠出年金制度(401(k))における暗号資産投資解禁と、Ripple社に対する訴訟終結が挙げられます。本日はこれらの出来事が、銀行や大学基金など大口機関の資金流入を促し、市場基盤の強化につながるとの見方が広がりました。
ただし、短期的には8月12日(火)発表予定の米7月消費者物価指数(CPI)を控え、イベント前のポジション調整が警戒されています。インフレ指標の結果次第で金利見通しが変化し、暗号資産市場にも急な変動が及ぶ可能性があります。
中長期視点では、大学基金や年金基金のような安定的な資金源の参入は、市場の流動性改善とボラティリティ低下に寄与する可能性があります。そのため、一部の投資家は下落局面を押し目買いの好機と位置づける動きを強めています。
なお、本記事にはAIによる収集・分析を含むデータや事例が一部使用されています。情報の正確性には細心の注意を払っていますが、実際の市場状況や数値とは異なる場合があります。また、本記事は投資判断を目的とするものではなく、市場動向の理解を深めるための情報提供にとどまります。
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