ビットコインは116K台を維持、ETHは強気相場入りで市場が活気
8月10日(日)午前の暗号資産市場は、前日9日(土)の値動きを引き継いで静かな立ち上がりとなりました。ビットコイン(BTC)は前日終値ベースで116,568ドルとほぼ横ばいで推移し、堅調な地合いを維持しています。
一方、イーサリアム(ETH)は前日比6.6%高の4,281ドルと大幅に上昇しました。主要銘柄の中では最も強い値動きを示しており、市場全体のセンチメント改善に寄与しています。
暗号資産全体の時価総額は約3.96兆ドルとなり、BTCの市場占有率(ドミナンス)は59.2%となっています。ここ数か月は60%前後で高位安定していましたが、今回はわずかに60%を割り込んだ格好です。それでも依然として高水準を維持しており、ビットコインが市場の中心的存在である構図に変化はありません。
株式市場の動きと関連性
米国株式市場では、8月8日(金)現地時間に主要3指数がそろって上昇しました。
- ダウ平均:前日比 +0.47%
- S&P500:前日比 +0.78%
- ナスダック:前日比 +0.98%
VIX指数(米国の恐怖指数)は15.15に低下し、市場の不安心理が後退しています。日本市場でも同日、日経平均が前日比+1.85%と大幅に上昇しました。これらの動きは、リスク資産全体への投資意欲が回復している兆しといえます。
週末の取引環境
本日は日曜日のため、米株式市場は休場となっています。そのため、暗号資産市場は株式市場からの外部要因が限定される状態です。
しかし、イーサリアムの急伸が市場全体の活気を押し上げており、アルトコインの多くが節目水準に接近しています。また、機関投資家の参入や規制関連の進展といったファンダメンタル要因も意識され、投資家心理を下支えしています。
ETH急伸とアルト勢の節目接近、機関マネーと規制ニュースが交錯
前述の市場概況でも触れたように、イーサリアム(ETH)の上昇が市場の注目を集めています。ETHは長期的な三角持ち合いを上抜け、4,800ドル再試しの可能性が高まりました。この動きに伴い、105百万ドル規模のショートポジションが清算され、強い買い圧力が確認されています。
XRP・SOLの節目接近
XRPは3.65ドルの主要レジスタンス手前で推移しています。市場では利確売りへの警戒感が広がっており、出来高動向が注視されています。一方、Solana(SOL)は188ドルを突破し、次の節目である223ドルへの到達が視野に入りました。これらの水準は短期的な投資家心理を左右する重要ポイントとなります。
機関投資家動向と国家戦略
エルサルバドル政府はビットコイン投資銀行制度を開始しました。この制度は国外の機関投資家を誘致し、国内の金融エコシステムを強化する狙いがあります。また、トランプ系企業であるWorld Liberty Financialは、独自トークン「WLFI」の保有を目的とした15億ドル規模の上場会社設立を検討しています。
DeFi分野の成長
分散型金融(DeFi)では、Pendleが新たに発表したプラットフォーム「Boros」の影響でTVL(預かり資産残高)が過去最高の83億ドルに達しました。これは利回り取引市場の拡大を示し、DeFiエコシステム全体への資金流入が続いている証拠といえます。
テクニカルとオンチェーン分析で見る投資家心理の変化
前述の市場概況でも触れたように、ビットコイン(BTC)は116,400ドル付近のサポート(価格下支え)を維持しながら、下降チャネル(下落基調の価格レンジ)内で調整を続けています。一方、イーサリアム(ETH)は4,000ドルを明確に上抜け、強気トレンドを再点火しました。この局面ではBinanceにおけるロング/ショート比(買い建玉と売り建玉の比率)が1.26とロング優勢であり、特にETH急騰時にはショートポジション(売り建玉)の清算が目立ちました。
オンチェーン指標から見える現状
BTCの短期保有者SOPR(Spent Output Profit Ratio=保有者が売却時に利益を得ているかを示す指標)は1.014となり、利益確定の動きが優勢です。MVRV-Zスコア(市場価格と平均取得価格の乖離度を示し、加熱度を測る指標)は2.58で、過熱感は中程度にとどまっています。また、短期保有者の実現価格(その保有層が取得した平均価格)は106,490ドルとなっており、これが下値の支えとして機能している状況です。
投資家心理のバランス
NUPL(Net Unrealized Profit/Loss=市場全体の含み益・損の割合)は55.68%を示し、市場は楽観優勢です。ただし、この水準は2018年および2021年のピーク時に近く、分配圧力(売却による利益確定の動き)の高まりにも注意が必要です。これらの指標は、短期的には反落リスクがある一方、中期的には上昇余地が残されていることを示唆しています。
その他の注目ニュース
前述の市場概況や主要銘柄動向に加え、業界やマクロ要因に関する複数の重要ニュースが報告されています。これらは暗号資産市場の構造変化や資金フロー、規制環境の変動を示すものであり、短期的な価格動向にとどまらず、中長期の市場形成に影響を及ぼす可能性があります。
政策・規制関連
米ホワイトハウス暗号資産評議会のBo Hines氏が辞任し、後任にはPatrick Witt氏が就任する見込みです。政権内の暗号資産政策調整役交代は、今後の規制アプローチや国際協調方針に影響を与える可能性があります。
企業・資金調達動向
Ripple関連では、VivoPowerがRipple株式1億ドル相当の取得計画を発表しました。また、DWP ManagementはXRPのみで2億ドルを調達しており、暗号資産単独での大型ファンドレイズが現実化しています。著名投資家のArthur Hayes氏はETHを売却後、短期間で買い戻しに転じ、市場心理に一定の影響を与えました。
個別銘柄・市場インパクト
暗号資産取引所Binanceに上場しているGMXは、TWAP取引(一定時間に均等配分して執行する取引手法)の影響で一時的に100%急騰しました。流動性や注文構造の変化が短時間で大幅な価格変動を引き起こす事例として注目されています。
マクロ商品市場との連動
金先物が過去最高値を更新する中、コモディティ担保型暗号資産(現物資産を裏付けにしたトークン)の発行量が5年ぶりの高水準に達しました。実物資産との連動型商品は、インフレ局面や安全資産志向の高まりに応じて需要が拡大しています。
業界構造の変化
資金調達手段として、従来のベンチャーキャピタル(VC)に代わり、影響力のあるCryptoインフルエンサーが中心となるケースが増加しています。SNSやコミュニティを活用した直接的な資金呼び込みは、プロジェクトの初期成長速度を加速させる一方で、情報の偏りや透明性の確保が課題となります。
今後の展望とリスク
前述の市場動向を踏まえると、週明け以降は重要な経済指標と規制発表が相場に影響を与える可能性が高まっています。特に8月12日発表予定の米国消費者物価指数(CPI)は、米金融政策の方向性を見極めるうえで重要です。さらに、8月14日には英国およびユーロ圏の国内総生産(GDP)速報値が公表され、為替や資金フローの変動を通じて暗号資産市場にも波及する可能性があります。
主要銘柄の注目ポイント
イーサリアム(ETH)は4,400ドル、ビットコイン(BTC)は12万ドルのレジスタンス試しが視野に入っています。ただし、これらの水準を突破できるかどうかは、マクロ経済指標の結果や規制当局の発表内容に大きく左右されます。XRPは利確圧力を超えて上昇基調を維持できるかが焦点です。
想定されるリスク要因
短期的なリスクとしては、以下の要素が挙げられます。
- 米国の関税政策や地政学的緊張の高まり
- 主要国における暗号資産規制の強化
- 大手取引所の信用不安による市場流動性低下
これらの要因は市場心理を冷やし、短期的な売り圧力を増幅させる可能性があります。
アルトコイン市場の加熱感
一部のアルトコイン市場では過熱感が顕著になりつつあります。特に高値圏での取引量増加や急騰後の急落リスクが指摘されており、調整入りの兆候には注意が必要です。投資家にとっては、短期的な利益機会と同時に下落リスクが並存する局面といえます。
総括と今後の注目ポイント
前述のように、ETHの強気ブレイクは市場全体のセンチメントを押し上げた一方で、XRPやSOLなど主要アルトコインは依然として重要なレジスタンス水準を前に攻防が続いています。BTCは下降チャネル内での推移を維持しながらも、中期的な上昇基調を崩していません。オンチェーンデータでは楽観的な投資家心理が優勢ですが、短期的には利益確定圧力が存在する局面です。
実務的には、過熱感が顕著なアルトコインの追随買いはリスクが高く、主要サポート水準での押し目形成を見極める姿勢が求められます。週明け以降は米CPIや英・ユーロ圏GDPなどの重要マクロ指標発表が予定されており、これらが短期トレンドの転換点となる可能性があります。
なお、本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意しておりますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。
コメント