市場概況
8月13日の暗号資産市場は、前日の米CPI発表を受けた上昇基調を維持しつつ、序盤は比較的落ち着いた値動きとなりました。米7月消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前年同月比2.7%と市場予想(2.8%)を下回った一方、コア指数は3.1%で市場予想(3.0%)をやや上回りました。この結果、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測が強まり、米長期金利は低下しました。債券市場からの資金流出が進む一方、株式市場や暗号資産市場への資金流入が確認されました。
主要銘柄と市場規模
暗号資産全体の時価総額は3.94兆ドル、24時間出来高は1,879億ドルとなり、前日からやや増加しました。BTCの市場占有率は59.8%と高水準を維持しつつ、ETHや一部アルトコインにも資金が流入しています。
ビットコイン(BTC)は前日に12万ドル台を回復し、13日序盤も119,914ドル(前日比+0.80%)付近で推移しています。イーサリアム(ETH)は4,621ドル(前日比+8.15%)と大幅に上昇し、過去7日間で28%超の上昇率を記録しています。
アルトコイン市場の動き
主要アルトでは、バイナンスコイン(BNB)が837ドル(+2.88%)、ソラナ(SOL)が194.51ドル(+10.72%)、ドージコイン(DOGE)が0.237ドル(+5.57%)と上昇しました。特にSOLは出来高の増加を伴う上昇が続いています。
株式市場と投資心理
米株式市場では、S&P500が+1.14%、ナスダックが+1.39%、ダウ平均が+1.10%と主要3指数が揃って上昇しました。VIX指数は14.73(-9.35%)まで低下し、投資家のリスク選好姿勢が鮮明になっています。この動きが暗号資産市場にもポジティブなムードをもたらしています。
序盤の総括
市場は前日の上昇傾向を引き継ぎ、大きな調整は見られません。マクロ経済の追い風と投資家心理の改善が重なり、主要通貨およびアルトコイン双方で安定した買いが続いています。
利下げ観測とCPI後の資金流入、規制・企業動向が市場を刺激
米CPIと資金フロー
前述のとおり、8月12日の米7月CPIは、総合が前年比2.7%で予想の2.8%を下回りました。一方で、コアは3.1%で予想の3.0%を上回りました。これを受けて、9月FOMCでの利下げ観測が強まりました。米長期金利は低下し、資金は株式と暗号資産へ向かいました。主要通貨では、BTCとETHの出来高が前日比で増加しています。
規制・事件の進展(Terraform)
テラ(Terra)崩壊を巡る裁判では、Terraform Labs共同創業者のDo Kwon被告が有罪答弁を行いました。手続きは新たな局面に入りました。短期の需給への直接影響は限定的です。ただし、規制当局の姿勢を意識させる材料となり、市場のリスク認識に影響を及ぼします。
企業動向:USDC関連
USDCに関しては、CoinbaseがDeFi向けのUSDCブートストラップ基金を再開しました。流動性供給とオンチェーン利用の拡大を狙う取り組みです。あわせて、Circle Internet Groupは新株1,000万株の発行計画をSEC提出で示しました。資本政策の選択肢を広げる動きであり、ステーブルコイン事業の拡張余地を示します。
短期インパクトの整理
以上の動きは、短期の買い意欲を支えています。一方で、Terraform関連の最終判断や金融政策の不確実性は残ります。規制強化の議論が再燃する可能性もあり、上昇局面でもリスク管理が必要です。
オンチェーンデータが示す投資家心理の改善と過熱の兆候
前述のように、マクロ環境は緩和方向へ傾いています。オンチェーン指標も、それに呼応する形で改善が見られます。一方で、過度な楽観に近づく兆しも一部で確認できます。以下は提出データに基づく要点です。
短期保有者SOPR:1.036(利益確定は小幅)
短期保有者SOPRは1.036です。SOPRは、売却時点で利益か損失かを示す指標です。1を上回ると利益確定の売りが優勢になります。今回は上振れが小さく、利益確定は広がり過ぎていません。上昇基調の継続に中立的です。
MVRV-Zスコア:2.7(加熱手前の楽観水準)
MVRV-Zは2.7です。これは、時価総額が実現時価総額をどれだけ上回るかを示します。足元は楽観寄りですが、極端な過熱域には達していません。上値追いの余地を残しつつ、利益確定の誘因も徐々に強まる局面です。
短期保有者の実現価格:6,851.74(下値の目安)
短期保有者の実現価格は$106,851.74です。現物価格(前段の市場概況で示した約$119,914)との差はおよそ12%です。この乖離は、短期参加者の含み益が残っていることを示します。価格がこの実現価格を上回る間は、下値の支えとして機能しやすい状態です。
NUPL:55.89%(「楽観」ゾーン)
NUPLは55.89%です。未実現利益の比率が高く、投資家の多くが含み益の状態にあります。心理面は改善していますが、利益確定のきっかけにはなり得ます。上昇継続と調整入りのリスクが併存する水準です。
総じて、オンチェーンは「楽観優位だが過熱は限定的」という姿勢を示しています。上値を追う局面でも、短期の振れには警戒が必要です。具体的な各指標の変化は、次の経済イベントと価格推移で再確認する必要があります。
その他のニュース:ETF動向・主要アルトコイン市場・マクロ関連
ETF動向:カザフスタンのBTC ETFとGrayscaleの新動き
前述のように、市場は利下げ観測を織り込みつつあります。その一方で、ETF関連のニュースが相次ぎました。まず、カザフスタンで中央アジア初となるビットコインETFが発表されました。地域初の動きであり、制度面の整備が広がる兆しを示します。
また、GrayscaleはCardanoに連動するトラストの登録手続きをデラウェアで進めました。これは手続き面の進展であり、米国での上場承認を意味するものではありません。加えて、Suiエコシステムのプロトコルに連動する単一資産トラストを新たに立ち上げました。対象はDeepBookとWalrusであり、エコシステム向けの投資ビークルを拡充しています。
主要アルト市場:ETHデリバティブとUSDC流動性供給
イーサリアムの先物オープン・インタレストは過去最高を更新しました。価格が4,500ドルを超える局面で、デリバティブ市場の建玉が積み上がっています。デリバティブ市場では先物建玉の積み上がりが確認され、短期的な価格変動には注意が必要です。
企業動向では、CoinbaseがStablecoin Bootstrap Fundの再開を公表しました。初回の流動性供給先は、AaveとMorpho(いずれもイーサリアム系)です。Solana系ではKaminoとJupiterにUSDC流動性を供給します。オンチェーンでの実需を広げる狙いがあります。
価格面では、ビットコインは12万ドル前後を維持しました。テクニカル面では12万ドル超でモメンタムが強まるとの見方があります。ETH、BNB、LINK、UNIなどの主要アルトも上昇を継続しています。
マクロ関連:米株高と財政指標のニュース
前述のように、米国株式市場は利下げ観測の強まりを受けて上昇しました。リスク資産全般に資金が向かい、暗号資産の地合いを支えています。あわせて、米国の連邦債務は37兆ドルを上回りました。長期のマクロ要因として、市場の不確実性に影響を与える可能性があります。
今後の展望:利下げ観測と規制リスク、ETHの強気継続性
米CPIの結果を受けて利下げ観測は継続しており、短期的にはBTCやETHを中心とした上昇余地が残されています。特に今後数日は、米小売売上高やFOMCメンバーの発言が金融政策期待を左右する重要材料となります。利下げシナリオが維持されれば、リスク資産への資金流入がさらに拡大する可能性があります。
一方で、Terraform Labs関連では有罪答弁の影響や今後の司法手続きの行方が不確実性として残り、市場心理を冷やす要因となり得ます。とくに米規制当局によるステーブルコインの発行・運用ルール策定が進展すれば、USDCをはじめとする関連資産の取引や流動性に影響する可能性があります。
イーサリアム(ETH)は4,600ドル台が直近のレジスタンスとして意識されており、これを明確に突破すれば史上最高値更新が視野に入ります。現状では現物主導の上昇が続いており、デリバティブ市場での過度なレバレッジは確認されていません。短期的には強気継続シナリオが優勢ですが、過熱感や経済指標次第で急な調整も想定されます。
※本記事には、市場データや事例の一部としてAIによる収集・分析結果が含まれており、実際の数値や状況と異なる可能性があります。また、本記事は投資助言を目的としたものではなく、情報提供のみを目的としています。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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