ビットコイン11.2万ドルで小動き──ETHはデリバティブ強含み・現物ETF3億ドル流出、FRBが決済イノベ会議を発表/Arbitrumの4,000万ドルDeFi施策・RWAトークン化進展【9月4日】

ビットコイン・イーサリアム・アービトラム・ソラナを擬人化し、ハッシュレート上昇、ETH現物ETF流出、DRIPインセンティブ、Pay with Crypto、RWAトークン化など当日のテーマを風刺的に配置した横長アイキャッチ画像。 デイリークリプトニュース
BTCはレンジ、ETHは「フロー逆風×デリバ強さ」。ArbitrumのDRIPやPay with Crypto、株式・金のトークン化まで本日の要点を一望。続きと背景は記事で確認してください。
記事内にプロモーションが含まれています。
  1. 米株高・VIX低下の中、BTCは11.2万ドルで小動き・ETHは反発基調
    1. きょうのポイント
    2. 主要価格とシェア(9月4日 9:27 日本時間)
    3. 株式・ボラティリティの概況
    4. BTCは狭いレンジでの推移が続く
    5. ETHは相対的に強含み
  2. ETH:デリバティブは強含み、現物ETFは日次で約3億ドル流出
    1. ETFフローの動き(資金流出)
    2. デリバティブの手掛かり(先物・オプション)
    3. 価格の位置と短期の注目点
  3. FRBが10/21に「決済イノベーション会議」開催へ:ステーブル・DeFi・トークン化が議題
    1. 会議の概要
    2. 主要議題と用語の補足
    3. 背景となる政策環境
    4. 市場への影響と見どころ
  4. L2競争が加速:Arbitrumが4,000万ドル相当のインセンティブを開始
    1. Arbitrumとは
    2. DRIPの設計と配分
    3. 狙いと投資家への含意
    4. L2エコシステムの文脈
    5. 用語の補足
  5. RWA・オンチェーン資本市場:株式・金・24/7取引の進展
    1. Ondo:米株・ETFのトークン化と24/7取引
    2. Galaxy Digital:Solanaでの発行体関与型トークン化
    3. World Gold Council:ロンドン金市場のデジタル化構想
    4. 投資家への示唆:メリットとリスク
    5. 用語の補足
  6. ビットコインのファンダ:ハッシュレートは最高水準、クジラ保有は低下
    1. ハッシュレート上昇:セキュリティとマイナー収益の二面性
    2. クジラ保有の低下:利益確定と分散の進行
    3. 需給の読み方:売り圧と買い需要の綱引き
  7. 実需・決済の広がり:PayPalの「Pay with Crypto」と銀行連携
    1. PayPalの「Pay with Crypto」:外部ウォレットで即時決済
    2. 手数料・精算と中小事業者の導入ハードル
    3. 利用上の留意点:規制・保護・地域制限
    4. Alchemy Pay × Fiat24:Swiss IBANで法定通貨レールを拡張
    5. 小売・中小企業にとっての実務的な意味
  8. 伝統金融の受け皿:米銀US BancorpがBTCカストディを再開
    1. サービス再開の概要
    2. 背景:規制明確化と会計ルールの転換
    3. ETFエコシステムへの波及
    4. 投資家・発行体の実務インパクト
    5. 留意点:集中リスクと運用ガバナンス
  9. ネットワーク運用リスク:Starknetの障害復旧と機関向けSTRKステーキング
    1. 障害の概要と復旧状況
    2. 技術的背景:Grintaアップグレードの影響
    3. 用語の整理
    4. 機関向けSTRKステーキングの開始
    5. 利回り機会と運用リスク
  10. 交差テーマ:クロスチェーン流動性の強化(Uniswap×Wormhole×Unichain)
    1. 取り組みの概要
    2. 資産移送とLPインセンティブ
    3. 期待される効果:可搬性と価格発見
    4. RWA・決済への波及
  11. 今後の展望とリスク:米雇用・サービス業指標、ECB会合、仮想通貨税制の国際動向
    1. 今週の米マクロ指標
    2. ユーロ圏とECBのイベント
    3. 制度面の変化:税制とステーブルコイン
    4. 短期の市場シナリオ
    5. 留意すべきリスク
  12. 結論・要点整理:ETHは「フロー逆風×デリバ強さ」、RWAは制度と実需の二輪で前進
    1. きょうのポイント

米株高・VIX低下の中、BTCは11.2万ドルで小動き・ETHは反発基調

きょうのポイント

  • BTCは112,055ドルで小動き(24H+0.66%)。
  • ETHは4,477.93ドルまで反発(24H+3.95%)。
  • 暗号資産の時価総額は3.84兆ドル、24H出来高は1,699億ドル
  • 米株は続伸、S&P500 +0.51%NASDAQ +1.02%
  • VIX 16.35で低下。ボラティリティは落ち着いています。

主要価格とシェア(9月4日 9:27 日本時間)

ビットコイン(BTC)は112,055ドルです。ドミナンスは57.8%です。イーサリアム(ETH)は4,477.93ドルです。市場シェアは13.7%です。これらは提出データに基づく数値です。

株式・ボラティリティの概況

米株は堅調でした。S&P500は+0.51%、NASDAQは+1.02%です。恐怖指数のVIXは16.35(-4.78%)でした。株高と低ボラは、リスク資産の需給を安定させやすい条件です。

BTCは狭いレンジでの推移が続く

BTCは11.1万〜11.2万ドルの範囲で推移しています。9月3日の終値は111,716.5ドルでした。9月4日は取引未了のため、始値のみが参照値です。8月29日には-3.74%の調整があり、その後は小幅な上下にとどまっています。

ETHは相対的に強含み

ETHは4,300ドル台の支持を意識しながら反発しました。先物やオプションの需給が価格を下支えしています。日次ではBTCよりも戻りが速く、対BTCでの相対強さが見られます。

ETH:デリバティブは強含み、現物ETFは日次で約3億ドル流出

ETHは4,477.93ドルで反発しました。米上場の現物ETFは直近2営業日で約3億ドルの資金流出ですが、先物・オプションは安定し、4,300ドル近辺が支持として意識されています。

ETFフローの動き(資金流出)

米上場のイーサリアム現物ETFでは、2営業日合計で約3億ドルの資金が流出しました。運用資産全体では約1.3%の規模です。現物ETFの流出は需給の逆風となりますが、規模は限定的です。

デリバティブの手掛かり(先物・オプション)

先物・オプションは強含みです。主要取引所の上位トレーダーのロング・ショート比は大きな変化がなく、ショートの急増も見られません。オプションではコール需要の持ち直しが示唆されます。

価格の位置と短期の注目点

価格は4,477.93ドルです。8月下旬のロング清算を経て、足元では需給が落ち着きつつあります。テクニカルには4,300ドル近辺が支持になりやすい状況です。現物ETFの逆風とデリバティブの強さが拮抗する構図が続きます。

FRBが10/21に「決済イノベーション会議」開催へ:ステーブル・DeFi・トークン化が議題

米連邦準備理事会(FRB)は10月21日(米国時間)に決済革新を主題とする会議を開催します。議題はステーブルコイン、DeFiと従来金融の融合、AIと決済、金融商品のトークン化です。銀行の暗号資産活動に関する姿勢転換や、米国債需要への波及に言及した直近の文脈とも整合します。制度面の前進が、市場心理の下支えになりやすい局面です。

会議の概要

開催日は10月21日です。会議はFRB公式サイトでライブ配信されます。対象は消費者、企業、金融機関など幅広い関係者です。理事のクリストファー・J・ウォーラー氏は、決済の安全性と効率性の向上を強調しました。

主要議題と用語の補足

  • ステーブルコイン:法定通貨に連動する暗号資産。価格変動を抑える設計です。
  • DeFiと従来金融の融合:スマートコントラクトと既存インフラの接続です。
  • AIと決済:不正検知や与信評価などへの応用を想定します。
  • トークン化:株式や債券などの権利をデジタル化し、オンチェーンで管理します。

背景となる政策環境

4月に、銀行の暗号資産・ステーブルコイン活動を制限していた指針が撤回されました。暗号資産関連銀行の監督プログラムも終了しました。銀行検査では「風評リスク」の分類が削除されました。7月のFOMC議事録では、法定通貨連動トークンが決済効率を高める可能性が示されました。裏付け資産としての米国債需要が増える可能性にも触れています。

市場への影響と見どころ

制度整備の進展は、銀行とフィンテックの実装リスクを下げます。決済の即時性やプログラマビリティ向上は、オンチェーン決済の採用を促します。一方で、具体的な適用範囲やリスク管理の基準は今後の論点です。会議では、発行体の規律や償還メカニズムなどの詳細に注目が集まります。

L2競争が加速:Arbitrumが4,000万ドル相当のインセンティブを開始

Arbitrumは「DRIP」インセンティブを発表しました。約8,000万ARBを複数期に配分し、第1期は2026年1月20日までです。金利が付く資産を担保にしたレンディング需要へ報酬を重点配分します。単一プロトコルへの偏りを抑え、L2間の流動性争奪に新たな軸を導入します。

Arbitrumとは

Arbitrumはイーサリアムの拡張基盤(レイヤー2)です。Optimistic Rollup(オプティミスティック・ロールアップ)方式を採用します。

  • 仕組み:L2で多数の取引をまとめ、要約データをL1(イーサリアム)に投稿します。異議があれば「不正証明」で検証します。
  • 利点:手数料の低下と処理能力の拡大が見込めます。最終的な安全性はイーサリアムに依存します。
  • プロダクト:汎用のArbitrum One、超低コスト指向のArbitrum Novaがあります。
  • ガバナンス:トークンARBで構成されるDAOが、インセンティブ配分や提案を決定します。

DRIPの設計と配分

DRIPはパフォーマンス連動の報酬設計です。単に流動性を置くだけでなく、実際の借入需要に紐づく行動を対象にします。総枠は約8,000万ARBで、四つの「シーズン」に段階配分します。第1期は2025年9月3日〜2026年1月20日で、最大2,400万ARBを割り当てます。

対象は複数のレンディング市場です。Aave、Morpho、Fluid、Euler、Dolomite、Siloなどが参加予定です。担保資産はwstETH、eUSDC、USDeなどの利回り付与型・ステーブル資産が中心です。設計はプロトコル非依存で、単一の会場に流動性が集中しにくい構造です。

狙いと投資家への含意

狙いは一過性の流動性ではなく、持続的な信用需要の創出です。報酬が実需と結び付くため、資本効率の高いエコシステム形成が期待されます。一方で、金利資産を担保にしたループ型レバレッジは、金利変動や担保価格の低下で清算リスクが高まります。プロトコル横断の設計は単一障害点を減らしますが、担保・借入の多層化はリスク伝播の経路を増やす可能性があります。

L2エコシステムの文脈

イーサリアムのL2は、利用と資本の獲得で競争が強まっています。Arbitrumは総担保価値で先行し、BaseやOP Mainnetが追随します。インセンティブの横断配分は、アプリ個別の施策を越えた「ネットワーク全体の厚み」を狙う動きです。加えて、イーサリアム財団は8月29日にEthereum Interoperability Layer(EIL)を示し、L2間の分断縮小を目指す方針を示しました。相互運用が進むほど流動性の移動コストは低下し、DRIPのような仕組みの効果が高まりやすくなります。

用語の補足

  • 利回り付与型担保:wstETHなど、保有中に利回りが付く担保資産。
  • ループ型レバレッジ:借入れた資産を再度担保に入れて、ポジションを重ねる手法。

RWA・オンチェーン資本市場:株式・金・24/7取引の進展

実世界資産(RWA)のオンチェーン化が進みました。Ondoは非米国投資家向けに米株・ETFをEthereum上で提供します。Galaxy Digitalは自社の上場株をSolanaで発行体関与型としてトークン化します。さらにWorld Gold Councilはロンドン金市場のデジタル化構想を示しました。24時間取引と分割保有の普及が視野に入ります。

Ondo:米株・ETFのトークン化と24/7取引

Ondoは100超の米上場株・ETFのトークンをEthereumで提供します。対象は非米国投資家です。証券は米登録ブローカーで保管され、裏付け資産と1対1で対応します。オンチェーンでの分割保有と24時間365日の売買が可能になります。

  • 主な機能:ミント/償還、分割保有、ウォレット間移転。
  • 想定効果:時間外でも価格発見が進み、流動性の「穴」を縮小。
  • 制約:米国内の個人は対象外。適格性とKYCが前提です。

Galaxy Digital:Solanaでの発行体関与型トークン化

Galaxy Digitalはナスダック上場株をSolana上でトークン化します。合成版ではなく、SEC登録の普通株と同一の権利を持ちます。譲渡代理人がオンチェーンで所有権を更新します。KYC済み投資家は自らのウォレットで保有し、移転できます。

  • 特徴:発行体が関与し、株主名簿をオンチェーンで同期。
  • 想定効果:決済の迅速化と透明性の向上。
  • 留意点:適格投資家限定の運用。準拠法と移転制限が伴います。

World Gold Council:ロンドン金市場のデジタル化構想

World Gold CouncilはPGI(pooled gold interests)を構想します。地金の分割持分をデジタル単位で表現します。2026年第1四半期にロンドンで試験導入を予定します。目的は参加者拡大と流動性の向上です。

  • 狙い:保管・輸送コストの壁を下げ、参入を容易にする。
  • 市場環境:金価格の上昇がデジタル化の追い風。
  • 今後:技術方式や運用枠組みの詳細開示が課題です。

投資家への示唆:メリットとリスク

  • メリット:24/7取引、分割保有、決済短縮、透明性の向上。
  • 流動性:時間外の出来高形成が進み、ギャップが縮小し得ます。
  • 規制・適格性:地域制限やKYCが必須。米投資家は対象外の例があります。
  • オペレーション:スマートコントラクト、カストディ、ブリッジに技術リスク。
  • 同一性:「発行体関与型」は権利同一性が明確。一方で合成型はリスク相手先が増えます。

用語の補足

  • RWA:株式や債券、金など現実世界の資産を、ブロックチェーン上のトークンで表現する手法。
  • トークン化:所有権や受益権をデジタルトークンに紐づけて移転・保管すること。
  • 発行体関与型:発行企業や譲渡代理人がオンチェーン記録を公式に更新するモデル。

ビットコインのファンダ:ハッシュレートは最高水準、クジラ保有は低下

ネットワークの計算力(ハッシュレート)が記録更新です。単日で1.279 ZH/sに到達し、7日平均でも1 ZH/sを上回りました(9月2日)。一方で、100~1万BTCを保有する大口の平均残高は2018年以降で最も低い水準に下がりました。上昇局面での利益確定が続くなか、需給は拮抗しています。

ハッシュレート上昇:セキュリティとマイナー収益の二面性

9月2日の単日ハッシュレートは1.279 ZH/sでした。7日平均も初めて1 ZH/sを超えました。計算力の増加は、51%攻撃の難度を高め、ネットワークを堅牢にします。一方で、半減期後の採掘報酬は3.125 BTCです。電力コストの上昇も重なり、マイナーは収益確保のため売却を増やす可能性があります。高性能計算など他事業へ分散する動きも見られます。

クジラ保有の低下:利益確定と分散の進行

保有量100~1万BTCのウォレット群で、平均残高は488 BTCまで低下しました。これは2018年12月以来の低水準です。年初や7月の高値局面では、長期保有者が30~40億ドル規模で利確しました。休眠アドレスの動きも活発化し、上値での利益確定がデータに表れています。

需給の読み方:売り圧と買い需要の綱引き

ハッシュレートの上昇は難易度の上昇を伴います。マイナーのキャッシュ需要は高まりやすく、短期的な供給圧力になり得ます。一方で、価格は11万ドル台を維持しています。大口の売りを市場が吸収している可能性があります。マクロ要因やETF需給が下支えとなり、当面はレンジ推移が想定されます。

実需・決済の広がり:PayPalの「Pay with Crypto」と銀行連携

PayPalの「Pay with Crypto」:外部ウォレットで即時決済

PayPalは「Pay with Crypto」を通じ、外部ウォレット連携での支払いを可能にしました。利用者はCoinbase WalletやMetaMaskなどから直接支払えます。加盟店は米ドルまたはPayPalの米ドル連動型ステーブルコイン(PYUSD)で即時に受け取れます。価格変動はPayPal側で自動換算され、加盟店は為替リスクを負いません。

手数料・精算と中小事業者の導入ハードル

暗号資産決済の手数料はプロモーション期間中0.99%です。期間終了後はおおむね1.5%水準が想定されています。カード決済の一般的な料率より低く設定され、越境取引でも即時精算が可能です。加盟店はPYUSD残高に年率約4%の利回りが付くと報じられています。資金繰りの平準化に寄与する可能性があります。

利用上の留意点:規制・保護・地域制限

PYUSDや暗号資産は預金保険(FDIC)や証券投資者保護(SIPC)の対象外です。保全先やブロックチェーンの障害は損失に直結します。ニューヨーク州など一部地域ではPYUSD機能の提供に制限があります。プロモ手数料は2026年中頃で終了予定です。長期の価格体系は未確定です。

Alchemy Pay × Fiat24:Swiss IBANで法定通貨レールを拡張

Alchemy PayはFiat24と提携し、Swiss IBANに対応しました。IBANは国際銀行口座番号で、国境を越えた銀行送金に用います。ユーザーは暗号資産カードやマルチ通貨口座を通じて、法定通貨と暗号資産の入出金を一体で扱えます。事業者や開発者は、法令準拠の送金網と暗号資産オン/オフランプを同一アプリで組み込めます。

小売・中小企業にとっての実務的な意味

両取り組みは「受け取りの安定」と「決済コストの見通し」を提供します。加盟店はUSDやPYUSDで即時着金し、返品や在庫補充の回転率を維持しやすくなります。IBAN対応は請求書決済や給与支払いにも接続できます。暗号資産の保有ニーズがなくても、決済の選択肢を拡張できます。

伝統金融の受け皿:米銀US BancorpがBTCカストディを再開

サービス再開の概要

9月3日、U.S. Bancorpは機関投資家向けのビットコイン保管を再開しました。現物ビットコインETFのカストディ(保管業務)にも対応します。同行は米国で商業銀行上位に位置し、受託者責任に基づく鍵管理や資産分別を提供します。これにより、資産運用会社は規制準拠の枠組みでデジタル資産を保管できます。

同社は2021年に暗号資産カストディを開始し、2022年末に規制環境の不確実性から一時停止していました。再開により、BNYメロンやステート・ストリートと並ぶ選択肢が増え、機関投資家のオペレーション面の制約は緩和されます。

背景:規制明確化と会計ルールの転換

今回の再開は、連邦規制当局による「適格カストディアン」としての銀行の位置付けが整理されたことが背景です。あわせて、SECの職員会計速報SAB121の撤回(SAB122)が示され、銀行が保管資産を自己勘定に計上せずに済むとの解釈が浸透しました。資本負担の軽減は、銀行の暗号資産カストディ再開を後押しします。

ETFエコシステムへの波及

暗号資産ETFの資金フローはビットコインが優位で、総流入の約7割を占めます。最大手のビットコインETFは数百億ドル規模の純資産を持ち、日次でも資金が動きます。複数の大手銀行がETFカストディに参入することで、ファンドの鍵管理や決済の冗長性が高まります。結果として、ETFの受益者にとってオペレーショナル・リスクの分散が期待できます。

投資家・発行体の実務インパクト

運用会社は、監督当局の枠組みに沿ったカストディを選びやすくなります。資産の分別管理、保険、内部統制の要件を満たすプロバイダーが増えるためです。ETF発行体は、リバランスや創設・償還のプロセスを安定運用しやすくなります。結果として、現物連動型商品のスプレッドや追随性の改善に寄与する可能性があります。

留意点:集中リスクと運用ガバナンス

カストディの選択肢は広がりますが、ガバナンスや障害時の復旧計画は事前確認が必要です。鍵管理の方式、第三者監査、サイバー保険の範囲はプロバイダーごとに異なります。さらに、カストディ事業は主に機関向けであり、個人投資家が直接利用できるとは限りません。

ネットワーク運用リスク:Starknetの障害復旧と機関向けSTRKステーキング

障害の概要と復旧状況

Starknetは4時間超の停止を経て、稼働を再開しました。停止中に提出された一部トランザクションは未処理となりました。チェーンはブロック1962681まで巻き戻され、整合性を確保しました。巻き戻し(ロールバック)は、不整合解消のために状態を過去時点へ戻す措置です。

技術的背景:Grintaアップグレードの影響

直近導入の「Grinta」が影響した可能性が指摘されています。Grintaは単一シーケンサーを、3ノードのTendermint型合意へ置き換える設計です。Tendermintはビザンチン耐性の合意方式で、迅速な確定を目指します。半秒程度で仮の確定を返す「プリコンファメーション」も導入されました。手数料はEIP-1559型のベースフィー調整を採用します。

用語の整理

レイヤー2(L2)は、Ethereumの上で動く拡張ネットワークです。処理をオフロードし、混雑と手数料を抑えます。シーケンサーは取引の順序付けを管理します。停止時は入出金や清算が遅延する場合があります。DAppは再送や状態照合が必要になります。

機関向けSTRKステーキングの開始

米アンカレッジはSTRKのカストディとステーキング提供を開始しました。想定年率(APR)は7.28%です。機関投資家は規制準拠の保管と、委任型の運用でリワードを獲得できます。ステーキングは資産をロックし、ネットワークの安全性に寄与する仕組みです。

利回り機会と運用リスク

利回りは魅力ですが、ネットワーク停止やロールバックは運用リスクです。ブロック再編は報酬反映の遅延を生みます。カストディ側のスラッシング対策、保険、鍵管理の体制確認が重要です。プロトコル変更期は、約定や清算の失敗率が上がる傾向があります。

交差テーマ:クロスチェーン流動性の強化(Uniswap×Wormhole×Unichain)

取り組みの概要

UniswapとWormholeは、Unichainでの資産対応を拡大しました。対象はHYPEとSOLです。Wormhole Portalを用いた資産移送を前提とします。これにより、複数チェーン間の資金移動が簡素になります。新興チェーンとL2の断片化を和らげる狙いです。

資産移送とLPインセンティブ

ユーザーはPortal経由でHYPEとSOLをUnichainへ移せます。移送後はUniswap上で流動性提供が可能です。流動性提供者には週次のUNI報酬が提示されます。USDC/HYPEとUSDC/SOLの各ペアが対象です。報酬はプール参加を促す設計です。

期待される効果:可搬性と価格発見

可搬性の向上は、片側チェーンの過度なスリッページを抑えます。裁定取引の導線が増え、価格発見の精度が高まります。チェーン間で資金が滞留しにくくなります。手数料と最終性の差も、ブリッジ経路の選択で平準化が進みます。結果として、DAppのUXは改善します。

RWA・決済への波及

安定したブリッジは、RWAの受渡しにも有用です。トークン化株式や金の移転が迅速になります。決済系のトークン移送も同様です。資産が24時間移せることで、国際的な受渡しが滑らかになります。清算遅延のリスク低減にもつながります。

今後の展望とリスク:米雇用・サービス業指標、ECB会合、仮想通貨税制の国際動向

今週の米マクロ指標

9月4日にADP雇用統計が公表されます。民間部門の雇用の勢いを示します。金利見通しの手掛かりです。

同日にISM非製造業指数も発表されます。サービス業の景況感を把握できます。需要の強さを点検できます。

9月5日は米雇用統計です。雇用者数、失業率、賃金を確認します。金融政策の期待に直結します。

ユーロ圏とECBのイベント

9月5日にユーロ圏の4~6月期GDP確定値が出ます。成長の強弱を再確認できます。ユーロの方向感に影響します。

翌週9月11日はECB理事会です。金利とバランスシート方針が焦点です。政策トーンがリスク資産の選好を左右します。

制度面の変化:税制とステーブルコイン

ウクライナで暗号資産課税法案が1読を通過しました。所得税18%と軍事税5%を提案します。初年度は法定通貨転換に5%の優遇案です。

EUでは、域外発行のステーブルコインに関する懸念が示されました。完全な裏付けと平価償還の確保が論点です。MiCAとの同等性も争点です。

短期の市場シナリオ

雇用とサービス業の指標が弱い場合です。利下げ観測が強まりやすいです。ドル安とリスク選好の回復が想定されます。

反対に指標が強い場合です。長期金利の上昇圧力が高まります。暗号資産、とくにアルトに重荷となり得ます。

留意すべきリスク

  • 米雇用統計のサプライズ。金利とドルの急変動。
  • ECBのタカ派化。ユーロ資金調達コストの上昇。
  • 域外ステーブル規制の強化。流通と換金の摩擦増加。
  • 各国の課税制度の変更。取引行動と流動性の分散。
  • 週末や指標直後の薄商い。スプレッド拡大と滑り。

結論・要点整理:ETHは「フロー逆風×デリバ強さ」、RWAは制度と実需の二輪で前進

本日の総括です。ビットコインは11.2万ドル前後でレンジが続きました。強弱は米株高とイベント前の様子見で拮抗しました。イーサリアムは現物ETFからの資金流出が続きます。一方で先物・オプションの需給は堅調で、デリバティブが価格を下支えしました。

制度面では前進が見られます。FRBは10月に決済イノベーション会議を開催します。ECBは域外ステーブルの論点を提示しました。税制ではウクライナが課税枠組みを進めています。これらは中期の受け皿拡大につながります。

オンチェーン金融は具体化が進みます。Arbitrumは横断型インセンティブで流動性を呼び込みます。RWAでは株式や金のトークン化が広がります。決済では大手決済事業者が実需を押し上げています。

きょうのポイント

  • BTC: 11.2万ドルのレンジ維持。方向感は指標待ち。
  • ETH: ETFは流出基調でも、先物・オプションが支え。
  • 制度: FRB会議・ECB論点・各国税制で受け皿が拡大。
  • オンチェーン: Arbitrum施策とRWA進展で資本市場の実装が前進。

免責事項1:本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。

免責事項2:本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。

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