市場概況:BTCは11.5万ドル台、FOMCを前に様子見のムード
きょうのポイント(日本時間 9月15日 9:50/月曜・日本は祝日)
暗号資産は全体として小動きです。今週は米FOMCなどの大きなイベントがあります。参加者は結果待ちの姿勢を強めています。
暗号資産の全体像
- 時価総額:4.07兆ドル 24時間出来高:1,315億ドル
- ビットコイン(BTC):115,107.3ドル(24H -0.72%)
- イーサリアム(ETH):4,608.54ドル(24H -1.33%)
- ドミナンス:BTC 56.8%/ETH 13.8%
ドミナンスは、全体に占める各銘柄の時価総額の割合です。数値が高いほど、その銘柄に資金が集まっています。
米国株・VIX(現地時間9月12日(金)終値/週末は休場)
- S&P500:6,584.29(-0.05%)
- ナスダック:22,141.10(+0.44%)
- ダウ平均:45,834.22(-0.59%)
- VIX:14.76(+0.34%)
米株は小動きで引けました。ボラティリティ指標のVIXは低位で横ばいです。
日本・アジア・欧州株(日本は祝日で休場)
- 日経平均:44,768.12(+0.89%)※直近の取引日(9/12)の終値
- ハンセン:26,388.16(+1.16%)
- ユーロ・ストックス50:5,390.71(+0.07%)
本日は日本が祝日で東京市場は休場です。その他の主要指数は小幅な値動きにとどまっています。
為替(主要通貨の気配)
- ドル/円:147.66
- ユーロ/ドル:1.1721
為替は狭いレンジでの推移です。米金利イベント前で、方向感は出にくい状況です。
コモディティ(参考値)
- 金(XAU/USD):3,635.97ドル
- WTI原油:62.53ドル
- ブレント:67.06ドル
金と原油はいずれも小幅な値動きです。リスク指標に大きな変化は見られません。
今週のイベント(日本時間)
- 9/16(火)21:30:米・8月小売売上高
- 9/17(水)27:00:米FOMC・政策金利発表 27:30:FRB議長会見
- 9/18(木):英中銀(BOE)政策発表
- 9/19(金):日銀・金融政策決定会合、日本CPI
金利の見通しは、株・為替・暗号資産の短期的な値動きに影響します。時間はすべて日本時間です。
マクロとデリバティブ:FOMC利下げ観測と「コール優位」
FOMCの見通し(日本時間の整理)
市場は、米FOMCでの25ベーシスポイント(0.25%)利下げ観測を維持しています。発表は日本時間9月18日未明です。まず27:00に政策金利が公表され、27:30に議長会見が続きます。短期金利は下がりやすい一方、長期金利は財政要因で高止まりする可能性が指摘されています。金利の方向性は、暗号資産のリスク許容度にも影響します。
先物・オプションのポジション構図
ビットコイン先物の建玉(オープン・インタレスト)は高水準です。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が主導し、機関投資家の参加が目立ちます。オプション市場では、コールの残高がプットを上回る構図です。これは「上方向への備え」と「強気のバイアス」を示します。一方で、直近の出来高ではプットがやや優勢となる場面も見られ、イベント前の守りも意識されています。
「最大苦痛(マックスペイン)」とレンジ意識
オプションの損益が最も厳しくなる価格帯(最大苦痛)は、足元で11万〜11.5万ドル付近に集中しています。四半期物では11万ドル近辺が意識されます。この分布は、イベント通過まではこのレンジでの推移を示唆します。強い新材料が出ない限り、価格はこの帯に引き寄せられやすくなります。
地域間の価格差:韓国プレミアム/ディスカウント
韓国の主要取引所では、週末にビットコインがグローバル加重平均より小幅ディスカウントで表示されました。今月はプレミアムとディスカウントが交互に出る展開が続いています。地域ごとの需要や資金フローの違いが、短期の裁定機会や出来高配分に影響します。方向性の手掛かりが乏しい局面では、こうした地域差も価格形成に寄与します。
用語解説
- ベーシスポイント(bp):金利の最小単位です。1bp=0.01%、25bp=0.25%です。
- オープン・インタレスト(建玉):未決済の先物・オプション契約の合計です。多いほど、市場に残るポジションが厚いことを示します。
- コール/プット:コールは「買う権利」、プットは「売る権利」のオプションです。コール優位は上方向への需給が強いことを示します。
- 最大苦痛(マックスペイン):満期時にオプションの買い手が最も損をしやすい価格帯です。価格がその帯に近づく傾向が語られることがあります。
- 韓国プレミアム/ディスカウント:韓国の取引所価格が、世界の加重平均より高い(プレミアム)または低い(ディスカウント)状態を指します。資本規制や需給の差で発生します。
イーサリアム:ステーキング退出キュー拡大とプライバシー計画
退出キューの現状と背景
先日も取り上げたステーキング動向の続報です。イーサリアムの「退出キュー」が拡大しています。報道では、退出待ちは約264万ETH規模に達しました。待ち時間はおよそ45日超とされています。増加の主因は、ステーキング事業者Kilnの段階的な退出です。Kilnは関連するセキュリティ事案を受け、バリデーターを保全目的で入れ替えています。
売り圧力懸念と専門家の見方
退出が増えると、売り圧力が懸念されます。一方で、専門家は「直ちに売却に向かうとは限らない」と指摘します。多くは新しい鍵での再ステーキングを想定しています。実際に「新規参加」の待機も増えています。報道では、参加待ちは約63万ETH、待ち時間は11日程度とされます。供給の動きは両方向で生じており、純増減は時期で変わります。
「エンドツーエンドのプライバシー」計画
財団系チームは、プライバシー強化の新計画を公表しました。PSEは名称を「Privacy Stewards of Ethereum」に改めました。目標は、ネットワーク全体でプライバシーを標準にすることです。具体策は三つです。第一に「プライベートリード」です。RPC利用時の情報漏えいを減らします。第二に「プライベートライト」です。送金や投票を秘匿化し、PlasmaFoldなどで実装を進めます。第三に「プライベートプルーフ」です。証明手続を安全かつ使いやすくします。チームは規制適合との両立も掲げています。
ネットワーク運営への含意
退出キューの拡大は、資金移動の所要時間を延ばします。短期は運用上の待機が生じやすくなります。他方で、鍵の更新や再ステークが中心なら、恒常的な売り圧力には直結しません。並行して、プライバシー計画が前進しています。決済やIDなどの主要ユースケースで、秘匿性と規制順守の両立を狙います。技術面の進展と運用面の整理が同時に進む局面です。
用語解説
- ステーキング:ETHを預けてネットワークの運用に参加し、報酬を得る仕組み。
- バリデーター:取引やブロックを検証する参加者。ETHを担保に動作する。
- 退出キュー:ステーキング停止の申請順を並べた待機列。処理数に上限がある。
- チャーンリミット:一定時間に退出や参加を処理できる最大数の制限。
- 再ステーキング:退出後のETHを、新しい鍵やノードで再度ステークすること。
- ZK(ゼロ知識証明):中身を明かさず「正しい」ことだけを示す暗号技術。
- RPC:ウォレットがノードへ命令を送る仕組み。設計次第で利用情報が漏れうる。
- PlasmaFold:秘匿性のある送金などを想定した、実験的なレイヤー2の一種。
- エンドツーエンドのプライバシー:アプリから基盤まで、通信と処理の全行程で利用者の情報を守る考え方。
個別銘柄:SOLの強気ブレイク、DOGEのETF観測、XRPの時価総額台頭
SOL:強気ブレイクと機関フロー
SOLは上昇トライアングルを上抜けました。9月14日には一時250ドル台を示現しました。米東部時間の同日17時45分時点では243ドル付近でした。上昇の背景には機関の買い増し報道があります。Galaxy Digitalは9月13日に約5時間で32万5千SOLを取得したとされます。取得額は約7,800万ドル相当です。報道では、直近3日で保有が約500万SOLに達したともされます。ETF観測も支援材料です。技術的な節目の突破と資金フローが重なり、上値を試す流れが続いています。
DOGE:0.30ドル回復とETF観測
DOGEは0.30ドルを回復しました。テクニカルは改善傾向です。著名トレーダーは節目回復を重要局面と評価しました。現物ETFの上場観測も報じられています。REX-OspreyのDOGE現物ETFは来週の上場見込みとされます。予定は1週間の延期を経ています。機関投資家のアクセスが広がるとの見方が、投資家心理を支えています。ただし、正式な上場可否や時期は当局や取引所の手続に依存します。
XRP:時価総額の台頭とETF思惑
XRPは時価総額で大手企業を上回ったと報じられました。指標サイトの比較では、ShopifyやVerizon、Citigroupを超えたとされます。価格は直近で3.10ドル超を付けました。ETF関連の思惑も相場観に影響しています。REX-OspreyのXRP関連ETFに関する報道が続いています。強気の目標価格を示す見方もあります。もっとも、価格予測には幅があります。規制判断や商品設計の詳細が、資金流入の度合いを左右します。
ETH/BTC:相対パフォーマンスの確認
ETH/BTC比は0.05未満のままです。コインの相対力は引き続きBTC優位のレンジです。指標は2024年7月以降0.05を回復していません。2025年8月にはETHが過去最高値に接近しました。8月24日には4,957ドルを付けました。それでも比率は0.039前後にとどまりました。マクロ要因と資金循環が、主軸通貨の優位を支えた形です。アルトの個別材料があっても、対BTCでの戻りは限定されやすい状況です。
用語解説
- 上昇トライアングル:高値が並び、安値が切り上がる持ち合い型のパターン。
- ブレイクアウト:チャートの上限や下限を明確に抜ける動き。
- 現物ETF:原資産を現物で保有する上場投資信託。
- 時価総額:価格に流通枚数を掛けた指標。規模の比較に用いる。
- ETH/BTC比:ETH価格をBTC価格で割った比率。相対強弱を示す。
- 機関フロー:機関投資家による資金の出入り。価格に影響しやすい。
- センチメント:投資家の心理や市場の雰囲気を指す言葉。
ネットワーク・基盤:BTCハッシュ1ZH/sとクライアント多様化、TRONの収益
ビットコイン:ハッシュレートが1ゼタハッシュ/秒に到達
ビットコインの計算力(ハッシュレート)が、1ゼタハッシュ/秒の節目に達しました。これは1秒間に極めて多くの計算が行われている状態です。承認作業に必要な計算力が増え、51%攻撃などのリスクが下がる方向に働きます。
ハッシュレートが高いほど、ブロックの書き換えは難しくなります。結果として、台帳の安全性が厚くなります。難易度調整は自動で行われます。採掘の競争度合いに応じて、ネットワークは安定を保ちます。
クライアント多様化:Bitcoin Knotsのシェア拡大
ノード用ソフトの分布にも動きがあります。代替クライアントの「Bitcoin Knots」の割合が、全ノードの4分の1超に達したと報じられました。複数の実装が並立すると、単一の不具合が全体に波及しにくくなります。
一方で、実装差による仕様や方針の違いは議論を生みます。運用者はアップデート方針や機能差を理解する必要があります。多様化は健全性を高めますが、検証や監視の手間も増えます。
TRON:手数料収入が他チェーンを上回る
TRONの直近24時間のネットワーク収入は約114万ドルでした。同期間のEthereumやSolanaは十数万ドル規模との集計です。30日合計でもTRONが上位でした。収入源はトランザクション手数料です。
背景にはUSDTの送金が集中している点があります。安価で速い送金が多いと、手数料収入が安定しやすくなります。収益の継続性は、ネットワーク維持と開発の原資にもなります。
用語解説
- ハッシュレート:ネットワーク全体の計算力。高いほど安全性が増す。
- ゼタハッシュ/秒(ZH/s):1秒あたり10の21乗回の計算を示す単位。
- 難易度調整:10分前後でブロックが見つかるよう、自動で難しさを調整する仕組み。
- ノード:ブロックチェーンのデータを保持し、検証する参加者のコンピュータ。
- クライアント(実装):ノードが動かすソフトウェア。Bitcoin CoreやBitcoin Knotsなど。
- 手数料収入(プロトコル収益):取引に支払われる手数料から生じるネットワークの収入。
- USDT(テザー):米ドルに連動するステーブルコイン。送金や決済で広く利用される。
規制・制度:米IRSの監視強化とパキスタンのライセンス開放
米IRS:監督は「点」から「面」へ拡大
米内国歳入庁(IRS)は、監督の範囲を広げています。取引所から得た利用者データと、ブロックチェーン解析を組み合わせる手法です。特定少数の調査から、複数取引所を横断する広域調査へと移行しています。
裁判所の許可を得て、いわゆる「ジョン・ドゥ召喚状」で匿名の利用者群を特定します。2017年以降、主要取引所に対する情報請求が段階的に拡大しました。監督当局は、実名の個別照会だけでは把握しにくい流れを、解析で補っています。
報告制度とプライバシー論点の並走
IRSは報告制度も整備します。2025年の売却には「1099-DA」による粗利益の報告が導入されます。2026年からは一部で取得原価の報告も想定されます。これにより、申告内容と第三者報告の照合が進みます。
一方で、プライバシーの議論も続きます。取引所データの取得は「第三者提供の原則」に基づきます。最高裁が再検討しない判断を示したことで、現行ルールが当面の基準となります。過度な強制により、誤照合や過剰通知が起きる懸念も指摘されています。
パキスタン:国際基準に沿った参入窓口を新設
パキスタンは、仮想資産の包括的なルールを整えています。2025年に「Virtual Assets Ordinance」を施行し、監督機関PVARAを設置しました。PVARAは海外大手の暗号資産サービス事業者(VASP)に、ライセンス申請を促しています。
申請には厳格な条件があります。主要国の監督当局での既存ライセンス、KYC、AML/CFT、サイバー対策への適合です。利用者規模と取引量の大きさを踏まえ、信頼できる事業者の誘致を狙います。中央銀行は、CBDCの実証も進めています。狙いは、透明性と包摂性の高いデジタル金融の基盤作りです。
用語解説
- ジョン・ドゥ召喚状:匿名の利用者群を対象に、税務情報の提出を求める裁判所令。
- ブロックチェーン解析:公開台帳の取引履歴をたどり、資金の流れを可視化する手法。
- 1099-DA:暗号資産の売却などに関する第三者報告書。粗利益や取引情報を税務当局へ送る。
- 第三者提供の原則:金融機関などが保有する顧客記録は、本人の直接保護が弱いとする法理。
- VASP:暗号資産交換や保管、送受信を業として行う事業者の総称。
- KYC/AML/CFT:顧客確認、マネロン対策、テロ資金対策。取引監視や報告義務を含む。
- PVARA:Pakistan Virtual Asset Regulatory Authority。国内の仮想資産監督機関。
- CBDC:中央銀行デジタル通貨。法定通貨をデジタル化したもの。
セキュリティ・運用リスク:ブリッジ攻撃、トークン増刷、PoW再編成
Shibarium:ブリッジ由来の資金で検証者権限を一時掌握
9月13日、Shibariumのブリッジ関連流出の続報が公表されました。攻撃者は過去の流出資金を用い、単一ブロックで約460万BONEを取得しました。手口はフラッシュローンに類似する資金移動を模倣しています。
取得原資には224.57 ETHと926億SHIBが含まれます。検証者の署名鍵は12のうち10が侵害されたと報告されました。チームはステーキングとアンステークを停止し、資産を6-of-9のハードウェアマルチシグへ移管しました。
セキュリティ企業が鑑識に参加し、緊急対応が続きます。攻撃者との交渉余地を残す姿勢も示されました。LEASHやROARなど他トークンの流出も伝えられていますが、売却は限定的との報告です。
約70万ドル相当のKNINE売却は、DAOのブラックリスト化で阻止されました。2480億KNINEが凍結され、二次被害抑制を図っています。BONEはバリデータにステークされており、即時引き出しは困難です。
$YU:多チェーン増刷と換金で7.7百万ドル規模の利得
$YUでは、ポリゴン上で1.2億枚の新規ミントが確認されました。攻撃者は資産をイーサリアムとソラナへ橋渡しし、安定通貨などに換金しました。換金額は約771万ドル相当と整理されています。
残存トークンは複数チェーンに分散しています。ソラナとイーサリアムのウォレットに約2229万枚が残り、ポリゴンには約9000万枚が未処分で残存します。追加の売却が行われれば、流動性への影響が拡大する可能性があります。
換金USDCの一部は1501 ETHに再交換されました。資金は複数のアドレスへ分割され、追跡を困難にしています。ミント権限とブリッジ運用の統制不備が、横断的な被害拡大を招いた事例です。
Monero:18ブロックのディープ・リオーグで最終性に揺らぎ
9月14日、Moneroで18ブロックの再編成が観測されました。対象は高さ3,499,659から3,499,676です。約36分分の履歴が置換され、118件の取引が再採掘待ちになりました。
孤立ブロックの発生率が上昇し、ネットワーク不安定が示唆されました。事業者の一部は、必要確認数を通常の10ブロックから20〜30ブロックへ引き上げました。確定性を高める臨時措置です。
背景にはハッシュパワー集中やセルフィッシュマイニング疑惑が挙げられます。開発側は伝播調整やロールチェックポイントの検討を進めています。報告時点で、確定した二重支払いは確認されていません。
用語解説
- ブリッジ:異なるブロックチェーン間で資産を移す仕組み。
- ドレイン攻撃:脆弱性を突いて資産を短時間で吸い出す攻撃。
- フラッシュローン:担保なしで同一ブロック内に借入と返済を完結させる手法。
- 検証者(バリデータ):取引の正当性を確認し、ブロック生成に関与するノード。
- マルチシグ:複数鍵の署名を要求する資産保管方式。例:6-of-9。
- ミント権限:トークンを新規発行できる管理権限。
- 再編成(リオーグ):競合チェーンに置き換えられ、直近の履歴が巻き戻る現象。
- 最終性:取引が巻き戻されないと見なせる状態。
- セルフィッシュマイニング:一時的に発見ブロックを秘匿し、有利に分岐を伸ばす戦略。
- 孤立ブロック:最終チェーンに採用されず、無効となったブロック。
今後の注目:FOMC・英BOE・日銀、9/26オプション期日と資金フロー
今週の主なイベント(日程と時刻は日本時間)
今週は金利イベントと経済指標が集中します。本日は日本の祝日で株式市場は休場です。為替と暗号資産は通常どおり稼働します。
- 9/16(火)21:30:米8月小売売上高(総合・除自動車)
- 9/17(水)27:00:FOMC政策金利(同27:30に議長会見)※米東部時間では9/17午後
- 9/18(木)20:00:英BOE政策金利/議事要旨、22:00:南ア中銀
- 9/19(金):日銀政策金利、同日朝に日本CPI(8月)
イベント通過後は、米金利とドル相場の反応が焦点になります。これらはETFへの資金フローや、BTCドミナンスにも波及しやすい構図です。
金利と為替の波及経路(短期の整理)
市場はFOMCの25bp利下げ観測を織り込みつつあります。短期金利は低下しやすい一方、長期金利は財政要因で高止まりの見方もあります。長短の動きが分かれると、株式と暗号資産の相関は読みづらくなります。
米指標が予想とずれた場合、ドル高・ドル安の振れが拡大し、暗号資産の寄付き変動を強めます。日本は祝日明けの現物市場で、海外時間の値動きを後追いしやすい点にも留意が必要です。
9/26のBTCオプション期日(満期接近の論点)
9/26(金)に大口のBTCオプション満期が到来します。直近の板状況では、建玉はコール優位に傾き、最大苦痛(Max Pain)は11万〜11.5万ドル付近に集まっています。
イベント前後は、この価格帯が「重力点」となりやすい状態です。先物・オプションのガンマ配置も相まって、短期の値幅は指標や会見の結果で拡大しやすくなります。
資金フローとテーマの継続確認
イベント後のETF資金流入・流出は、銘柄ごとの強弱差を生みます。BTCに資金が戻ればドミナンスが上がりやすく、ETHや主要アルトは相対的に伸びづらくなります。
一方で、ETHのステーキング退出キューの進捗は継続確認事項です。大量の引き出しは見かけの供給変化につながりますが、再ステークの動きが同時に進む可能性があります。直近のセキュリティ案件の続報も、個別セクターのセンチメントを左右します。
チェックリスト(日本時間ベース)
- 9/16夜:米小売売上のサプライズ有無(ドルと金利の初動)
- 9/18未明:FOMC声明とドットの方向性(会見ヘッドライン)
- 9/18夜:英BOEの金利据え置き可否と票割れ
- 9/19:日銀のガイダンスとCPIのギャップ
- 9/26:BTCオプション満期に向けた建玉の偏り変化
用語解説
- 25bp利下げ:政策金利を0.25%引き下げること。
- BTCドミナンス:暗号資産全体に対するBTC時価総額の比率。
- オプション満期:権利行使の期限。前後で売買とヘッジが集中しやすい。
- 最大苦痛(Max Pain):買い手に最も不利となる理論上の価格帯。
- ガンマ:オプションの感応度の一種。価格変動に伴うヘッジ需要を左右する。
- ステーキング退出キュー:ETHの引き出し順番待ち。処理枠に限りがある。
結論・要点整理:イベント前のレンジとテーマの二極化
最大の焦点はFOMCと派生市場のポジショニングです。BTCは11万〜11.5万ドル帯を往来しています。オプションはコール優位で、最大苦痛が同帯に集まります。イベント前のレンジ維持を示唆する配置です。
ETHは退出キューの拡大が続きます。Kilnの段階的退出が主因と報じられています。再ステークの見通しもあり、即時の売り圧力は限定の見方です。並行して、プライバシー計画の提示が続きます。
SOLは上昇トライアングルを突破しました。機関の買い増し報道が追い風です。DOGEは0.30ドル回復でテクニカルが改善しました。現物ETF観測がセンチメントを支えています。XRPは時価総額で大手企業を上回ったとの報道が出ています。
相対ではETH/BTCが0.05未満にとどまります。BTC優位のレンジが続きます。規制面では米IRSの監視強化が進行します。パキスタンはライセンス開放を進めます。セキュリティ事案も複数並行しています。
イベント通過後は資金再配分が焦点です。ドルと金利の反応がETFフローに波及します。韓国市場のプレミアムやディスカウントにも注目が集まります。
明日以降のチェックポイント
- FOMCの声明と金利経路(ドット)の示唆
- BTCのオプション需給(9/26満期に向けた偏り)
- ETHの退出キュー進捗と再ステーク動向
- 個別事案の続報(ブリッジ流出、トークン増刷、チェーン再編成)
- 地域価格差の変化(韓国プレミアム/ディスカウント)
免責事項:本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
本記事の目的:本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。
コメント