- BTCは11万ドル周辺でこう着、株・ドル堅調と対照
- オプション満期0億とテクニカルの“支点”:max pain=11万ドル、200日EMA=約10.6万ドル
- デリバティブの板厚:先物OI4.5億、コール優位だが短期はプット出来高が拡大
- 低ボラの余波:BTC連動株のmNAV圧縮(MSTR・メタプラネット)
- パーペチュアルDEXの台頭:Hyperliquidの存在感、AsterはCZが助言役
- フロー断片:休眠BTCの覚醒とETH取引所残高の減少示唆
- リテール動向の多様化:初回オンボーディングで「非BTC」比率が上昇
- 規制のシグナル:米SECピアース発言、EU“チャット監視”への懸念、インドIPO不認可
- イスラム金融圏の進展:XRPがバーレーンでシャリア適合認証
- ラテンの企業需要:ブラジル中小が準備金ヘッジでBTC・ステーブル活用
- ゲーミング銘柄のソーシャル熱量:ApeCoinなどが可視化
- 今後数日の注目点とリスク
- 結論・要点整理
BTCは11万ドル周辺でこう着、株・ドル堅調と対照
きょうのポイント(日本時間)
日本時間2025年9月28日(日)朝の時点で、暗号資産は週末取引中です。 ビットコイン(BTC)は約11万ドルで横ばいです。 直近1週間は約5%の下落でした。 きょうは日曜日のため、株式・為替・コモディティは前週末の水準が基準になります。
- BTC:おおむね11万ドル前後で推移
- 週間騰落:-5%(第3四半期は小幅高、9月は横ばい)
- 米10年金利:前週末時点で約4.2%
- ドル指数(DXY):前週末時点で98付近
- 株式・貴金属:前週末時点で高値圏を維持
相場の背景(デリバティブと月末要因)
27日(金)に大型のオプション満期が通過しました。 想定規模は約170億ドルです。 「max pain(買い手の損失が最大化する理論価格)」は11万ドル付近でした。 現物価格はこの水準に近づきやすい状況でした。
月末・四半期末の資金フローも重なりました。 出来高は抑制気味で、短期の値動きはデリバティブ主導になりやすい地合いでした。 一方で、株式やドルは前週末まで堅調でした。 この対比が、暗号資産の上値を重く見せています。
テクニカルの注目水準(短期と中期)
足元では、いくつかの節目が意識されています。 これらは方向感を判断するための基準帯です。
- 短期保有者コスト基準:約110,775ドル
- 200日EMA(中期トレンド):約106,000ドル
- 9月1日の直近安値:約107,252ドル
BTCは直近、100日EMAを割り込みました。 200日EMAと直近安値のゾーンが下支えとして意識されています。 短期保有者コスト基準を上回れるかも、需給の目安になります。
用語解説
- オプション満期:契約の期限日。期日周辺は値動きがぶれやすい。
- max pain:オプション買い手の損失が最大になる理論価格。
- 出来高:一定期間の取引数量。資金の勢いを示す指標。
- ドル指数(DXY):主要通貨に対する米ドルの強さを示す指標。
- EMA(指数平滑移動平均):直近データを重視する移動平均線。
- 短期保有者コスト基準:直近6か月で動いたBTCの平均取得価格の推計。
オプション満期0億とテクニカルの“支点”:max pain=11万ドル、200日EMA=約10.6万ドル
デリバティブの需給:建玉はどこに集中したか
月末のビットコイン(BTC)オプション満期は約170億ドル規模でした。 建玉(オープン・インタレスト)は11万~11.6万ドル帯に厚く、短期ではプット出来高がやや優勢でした。 一方、先物の建玉残は合算で約70万BTC超と厚く、週末も流動性は維持されました。
max painが“磁石”になる理由
max pain(理論上、買い手の損失が最大化する価格)が11万ドルに位置しました。 期日が近づくと、ヘッジャーの売買(デルタ・ガンマ調整)が増えます。 その結果、現物・先物がmax pain付近に収れんしやすくなります。 今回は同帯に建玉が厚く、価格の戻り先として機能しました。
コール優位の中期、直近はヘッジ色が強い
中期(四半期末~年末)では、$12万~$20万のコール建玉が目立ちます。 これは上方向リスクへの保険や強気ポジションを示します。 ただし直近24時間はプット出来高がコールを僅差で上回る場面があり、短期ヘッジの需要が強まりました。
テクニカルの“支点”をどう位置づけるか
足元の焦点は三つの価格帯です。
- 短期保有者コスト基準:11万775ドル(直近6か月に動いたコインの平均取得推計)
- 直近重要安値:10万7,252ドル(9月1日)
- 200日EMA:およそ10万6,000ドル(中期トレンドの目安)
100日EMAを下回る中、10万7,252~10万6,000ドルの帯は下値の目安です。 一方で11万775ドルを明確に回復すると、短期投資家の含み損が圧縮され、上値追いの余地が生まれます。
短期シナリオの整理(数日~1週間)
- 上方シナリオ:11万775ドルの再奪回 → 11万~11.6万ドルのオプション厚い帯で上値確認。
- レンジ継続:11万ドルを挟む膠着。出来高が薄い週末は値動きが細りやすい。
- 下方シナリオ:10万7,252ドル割れ → 200日EMA(約10万6,000ドル)を試す展開。
なお、足元のインプライド・ボラティリティは40%未満と低下基調です。 このため、大きなトレンドが出にくく、オプションの満期価格帯に吸着しやすい地合いが続きました。
用語解説
- オープン・インタレスト(建玉残):未決済の契約総数。資金の滞留度合い。
- max pain:オプション買い手の損失が最大になる理論価格帯。
- デルタ・ガンマ調整:オプション売り手が価格変動に合わせてヘッジ比率を調整する行為。
- インプライド・ボラティリティ:市場が織り込む将来の変動率。数値が低いと値幅が出にくい。
- EMA(指数平滑移動平均):直近データを重視する移動平均。200日は中期の目安。
- 短期保有者コスト基準:直近6か月で動いたコインの推定平均取得価格。
デリバティブの板厚:先物OI4.5億、コール優位だが短期はプット出来高が拡大
市場規模と時間帯
ビットコイン先物の建玉残は約70.8万BTCです。名目額は約774.5億ドルです。集計は9月27日(UTC)時点の数値です。暗号資産のデリバティブは24時間動きます。週末や祝日も取引されます。米株や現物が休場の時間帯でも、価格は動きます。
主要取引所のシェア
建玉は大手に集まります。上位は次の通りです。
- CME(米シカゴ・マーカンタイル取引所):約13.9万BTC、シェア約19.6%
- Binance(世界最大級の取引所):約12.3万BTC、シェア約17.4%
- Bybit(グローバル取引所):約8.4万BTC
- Gate/OKX/Bitget:いずれも厚い残高
機関投資家はCMEに集まりやすいです。一方で、個人は海外取引所に分散します。これが流動性の底上げにつながります。
コール優位だが、直近はプット出来高が増加
オプションは建玉ベースでコール優勢(約61%)です。プットは約39%です。直近24時間の出来高は様相が異なります。プット出来高がわずかに上回りました。週末のヘッジ需要が背景です。
活発なストライク帯と期先の偏り
最も取引が集まるのは10万〜11.6万ドル帯です。期近はこの帯で約定が増えます。具体例は次の通りです。
- 9月28日満期:11万ドル・プットに出来高が集中
- 10月10日満期:10万ドル・プットが活発
- 10月31日満期:11.6万ドル・コールに商い
期先では強気の建玉が目立ちます。12月物は14万ドルと20万ドルのコールが厚いです。年末の上振れリスクへの備えや強気ポジションが示唆されます。
板厚が示す足もとの地合い
先物の残高は高水準です。これは参加者が多いことを示します。一方で、直近の出来高はプットに偏りました。短期は守りの姿勢が意識されています。活発なストライク帯は現物価格の節目になりやすいです。値動きはその帯に引き寄せられやすい特性があります。
用語解説
- オープン・インタレスト(建玉残):未決済契約の合計。資金の滞留度を示す。
- 先物:将来の売買を約束する契約。価格変動のヘッジや投機に使う。
- オプション:将来の売買の権利。買いは損失限定、売りは義務を負う。
- コール/プット:買う権利がコール。売る権利がプット。
- 出来高:ある期間に成立した取引数量。資金の回転を示す。
- ストライク(権利行使価格):オプションで事前に決めた価格。
- 満期:契約の期限。清算や権利行使が発生する。
- CME:米大手デリバティブ取引所。機関投資家の利用が多い。
- Binance/Bybit/OKX:グローバルに展開する暗号資産取引所。
低ボラの余波:BTC連動株のmNAV圧縮(MSTR・メタプラネット)
低ボラ環境がプレミアムを削る構図
ビットコインのインプライド・ボラティリティは40割れです。値動きの期待が小さい局面です。価格に連動しやすい株は、将来の上振れ期待が薄れます。そのため、ビットコイン保有を軸にしたトレジャリー銘柄のmNAV(株価プレミアム)が圧縮します。
マイクロストラテジー(MSTR)のプレミアム縮小
MSTRのmNAV倍率は1.44です。金曜日時点の数値です。過去の高水準から低下しました。MSTR/IBIT比は4.8です。2024年10月以来の低水準です。ビットコイン連動のETFに対し、上乗せが縮みました。
MSTRのインプライド・ボラは68です。ビットコインの40未満よりも高い水準です。株式はビットコインより振れやすい特徴が残ります。実現値動きも縮小しています。過去1年の年率標準偏差は89%です。直近30日は49%です。
一方で資金調達手段には進展があります。MSTRの永続型優先株(STRK/STRC/STRF)の生涯リターンはプラスです。ビットコイン取得のための手段が機能しています。ただし、ビットコインの低ボラは「ボラにレバレッジを乗せる」物語を弱めます。株価の追加プレミアムは付きにくくなります。
メタプラネット(3350):保有拡大余地はあるが倍率は低下
メタプラネットの保有は25,555 BTCです。国際オファリングには約5億ドルの残枠があります。拡大余地は残ります。株価は517円(約3.45ドル)です。過去高値から70%超下落しています。
同社のmNAVは1.12です。6月の8.44から大幅に縮小しました。時価総額は約39.4億ドルです。ビットコインNAVは約29億ドルです。平均取得コストは$106,065です。現行水準では、株価のプレミアムは限定的です。
共通する論点:低ボラと裁定の働き
ボラティリティが低い局面では、株価とビットコイン価値の乖離に注目が集まります。裁定の動きが強まると、mNAV倍率は1倍方向に収れんしやすいです。短期のテーマは、ビットコインの方向感の乏しさです。これがプレミアムの維持を難しくしています。
用語解説
- mNAV倍率:企業のエンタープライズバリューを保有ビットコインの時価で割った比率。
- エンタープライズバリュー(EV):時価総額に純有利子負債等を加減した企業価値。
- ビットコインNAV:保有ビットコイン数量×市場価格による評価額。
- インプライド・ボラティリティ:オプション価格から逆算した将来の変動率の期待。
- IBIT:ブラックロックのビットコイン現物ETF。価格連動のベンチマークとして使われる。
- 永続型優先株:満期がない優先株。配当や資金調達の柔軟性を高める。
パーペチュアルDEXの台頭:Hyperliquidの存在感、AsterはCZが助言役
Hyperliquidの拡大:低手数料と高レバレッジが資金を吸収
パーペチュアルDEXのHyperliquidは、累計出来高2.7兆ドル、利用者70万人超まで拡大しています。スポットのテイカー手数料は0.07%から、パーペチュアルのメイカーは0%まで下がります。最大40倍のレバレッジにより、短期の投機フローを取り込みやすい設計です。
また、同ネットワークのエクスプローラーでは、建玉や清算価格が可視化されます。オンチェーンの透明性が高く、ポジション偏りや清算の連鎖を把握しやすい点が特徴です。現物相場がこう着する局面では、手数料と約定速度が資金移動の決め手になります。
AsterとCZ:助言は技術領域、BNB圏との近接
競合のAsterは、Binance創業者のCZ(Changpeng Zhao)が「技術面のみ助言」と説明しています。規制対応の助言は行わない立場です。AsterのチームはBNBチェーンの人材と近接し、BNB圏とのエコシステム連携が意識されます。ネイティブトークンASTERは足元でボラティリティが高く、流動性の厚みが変動する点に留意が必要です。
市場構造への影響:清算リスクがCEX/DEX横断で波及
レバレッジの受け皿がCEX(中央集権型取引所)からDEXへ分散しています。結果として、急速な価格変動時の清算(ロスカット)は、CEX/DEX横断で同時多発しやすくなります。パーペチュアルの資金調達レートや未決済建玉の偏りが、短期のボラティリティを増幅する構図です。
週末は伝統市場が休場のため、暗号資産の出来高が薄くなる時間帯があります。この時間帯にデリバティブのフローが集中すると、清算が連鎖しやすくなります。オンチェーンとオフチェーンの流動性が相互に影響し、価格の振れ幅を広げる場合があります。
用語解説
- パーペチュアル(永久)先物:満期がない先物。資金調達レートで価格乖離を調整する。
- DEX:分散型取引所。スマートコントラクトで注文や決済を処理する。
- CEX:中央集権型取引所。運営企業がカストディとマッチングを担う。
- メイカー/テイカー手数料:板に流動性を供給する側/取り去る側の手数料。
- 清算(ロスカット):証拠金が不足した建玉を強制的に決済する仕組み。
- 資金調達レート:先物と現物の価格差を調整するための定期支払い。
- BNBチェーン:Binance系のブロックチェーン。手数料と処理速度が特徴。
フロー断片:休眠BTCの覚醒とETH取引所残高の減少示唆
休眠ビットコインの移動:売却とは限らないが「可動化」は事実
10年超の休眠アドレスを含む12件が、直近約295BTC(時価約3,200万ドル相当)を移動しました。これはオンチェーン上の資金移動であり、取引所への入金や売却を断定できるわけではありません。一方で、長期保管されていたコインの一部が流動化した事実は、短期の供給増につながる可能性があります。
移動先はレガシー形式から新しいアドレス形式への入れ替え(セキュリティ更新)や、複数先への分散などが確認されます。取引所への明確な流入がなければ、直近の売り圧力には直結しません。休眠コインの覚醒は、需給の“周辺ノイズ”として観測される一方、トレンドの転換指標と見るのは時期尚早です。
ETHの取引所残高が低下:保管先の分散とステーキング移行
PR配信ベースの指摘ながら、ETHの取引所残高は約1,480万ETHまで低下し、9年ぶりの低水準とのデータが共有されています。背景には、ETF・機関投資家や企業の長期保管(コールド)、およびステーキングへの移行が挙げられます。取引所からの恒常的な流出は、売り出し可能な即時供給を細らせる要因です。
ただし、PR発の数値は推計方法や対象取引所の範囲で差が出ます。オンチェーン解析企業の集計でも、エクスチェンジ識別ラベルの網羅性で結果が変わります。いずれにせよ、「取引所にあるETHが減る」ことは、短期の成行売りに回る可処分在庫が減ることを示します。
BTC/ETHに共通する“流通圧縮”仮説:中長期の供給タイト化
休眠BTCの一時的な可動化と、ETHの取引所残高の継続的な減少は、方向が異なる動きです。前者は短期の供給増に見えますが、売却の裏付けがない限り効果は限定的です。後者は流通在庫の構造的な目減りで、ボラティリティ低下局面でも水面下で進みます。総じて、BTC/ETHともに中長期の“流通圧縮”仮説が根強い状況です。
この仮説は、長期保有・ステーキング・ETF保管などにより、売りに出やすいコインが減るという見方です。価格は短期の需給で動きますが、基礎在庫が痩せるほど、出来高増加時の価格弾力性は上がりやすくなります。もっとも、休眠コインの覚醒が増える局面では、逆向きの圧力が一時的に増す点に留意が必要です。
用語解説
- 休眠ウォレット:長期間、出入金のないアドレス。動くと市場の関心が高まる。
- 取引所残高:中央集権型取引所(CEX)が保有するユーザー預かり分などの推計合計。
- コールドウォレット:オフライン保管。ハッキング耐性が高いが即時売買はしづらい。
- ステーキング:ネットワーク運用に預け入れて報酬を得る仕組み。ロック期間がある場合もある。
- 流通圧縮:市場で即時売却に回りやすい在庫が減る現象。価格弾力性を高めやすい。
- オンチェーン分析:ブロックチェーン上の取引データを解析し、資金フローを推計する手法。
リテール動向の多様化:初回オンボーディングで「非BTC」比率が上昇
調査のポイント:入り口が一様ではなくなった
2025年9月公表のCoinGecko調査(回答者2,549人)では、初回の暗号資産保有でビットコイン(BTC)から始めた人は55%でした。10%は一度もBTCを購入していないと回答し、37%はアルトコインから参入しています。初回オンボーディング(最初の購入)における選好が、従来の「まずBTC」から分散している実態が示されました。
非BTCエントリーの背景:価格単価とコミュニティ性
非BTCで始める理由としては、価格単価の低さ(1枚あたりが安く見える効果)や、コミュニティ主導の盛り上がりが挙げられます。DeFi(分散型金融)の利回り体験や、ミームコインの話題性など、プロジェクトごとの物語(ナラティブ)が入り口になっています。取引のしやすさが向上し、少額から試せる環境が整ったことも、選択肢の拡大につながりました。
「最終的にBTCへ回帰」観とドミナンスの出入り
一方で、地政学・金融の不確実性が高いときは、価値の基軸としてBTCへ回帰する見方も根強いです。市場全体では、資金の流入先がアルトコインとBTCの間で行き来し、BTCドミナンス(時価総額シェア)の出入りが速い局面が続いています。短期ではテーマ銘柄に資金が集まりやすく、中期ではマクロ環境や政策の影響で資金が基軸資産へ戻る構図が併存しています。
用語解説
- オンボーディング:初めて暗号資産を購入して市場に入ること。
- アルトコイン:BTC以外の暗号資産の総称。ETHや各種L2、ミームコインなどを含む。
- DeFi(分散型金融):スマートコントラクトを用いた金融サービス群。貸借や交換などを自動化。
- ミームコイン:インターネット文化を背景にしたトークン。コミュニティ主導で拡散しやすい。
- ドミナンス:市場全体に占める特定資産の時価総額シェア。
- 価格単価:1枚あたりの見かけの価格。投資判断に直接の優劣を与える指標ではない。
規制のシグナル:米SECピアース発言、EU“チャット監視”への懸念、インドIPO不認可
米SEC・ピアース委員の発言:明確化の下での「ビルド」を促す
9月28日(日本時間)、米証券取引委員会(SEC)のヘスター・ピアース委員が講演しました。委員は在任中の対応に触れ、業界への謝意と謝罪を表明しました。規制の明確化が進む局面で、開発と実装を継続する重要性を示しました。任期満了後は後任任命まで在任し、個人プロジェクト案としてNFTの構想にも言及しました。発言は、米国でのルール形成が段階的に前進しているシグナルとして受け止められます。
EUの「チャット監視」構想:プライバシー侵害への懸念が拡大
9月27日、イーサリアム共同創業者のヴィタリック・ブテリン氏が、EUのチャット監視構想に反対の立場を表明しました。構想は暗号化前スキャンを求める案で、個人通信のプライバシーを損なう懸念が指摘されています。報道では、行政機関向けの例外扱いを巡る議論も示されました。強制的なスキャン導入は、暗号化技術の信頼性や、分散型アプリへの移行動機に影響し得ます。欧州の制度設計は、利用者保護と監視防止のバランスが焦点です。
インドのIPO不認可:仮想通貨投資計画で審査が厳格化
9月27日、インドのボンベー証券取引所(BSE)が、資金の大半を暗号資産(VDA)投資に充てる計画のIPOを不認可としました。案件では、調達資金の6割超を暗号資産取得に充当する計画が示されていました。取引所は政策の不確実性を理由に挙げ、上場の最終承認に至りませんでした。インドでは暗号資産の会計・外為規制との整合が課題で、上場審査での保守的判断が続いています。
地域差がもたらす資金配分のゆがみ
米国はルール明確化を進める一方で、EUは通信監視を巡る議論が続きます。インドは上場資金の用途で暗号資産への配分を慎重に扱います。結果として、規制温度差が資金の地理的分布に影響します。開発者と投資家は、司法ごとの枠組みに合わせて拠点や資金の流れを調整する必要があります。市場では、制度が相対的に整う地域へ、プロジェクトと流動性が集まりやすい状況です。
用語解説
- SEC(米証券取引委員会):米国の証券市場を監督する規制当局。
- ヘスター・ピアース委員:SEC委員。暗号資産に比較的寛容な見解で知られる。
- チャット監視(暗号化前スキャン):メッセージを暗号化する前に自動検査する仕組み。
- NFT:代替不可能トークン。デジタル所有権の証明に用いるトークン。
- BSE(ボンベー証券取引所):インドの主要取引所の一つ。
- VDA(Virtual Digital Assets):インド法で用いられる暗号資産の区分。
- ドミシール:拠点や法的所在地。規制対応に影響する。
イスラム金融圏の進展:XRPがバーレーンでシャリア適合認証
XRPは、バーレーンのShariyah Review Bureau(SRB)からシャリア適合の認証を取得しました。イスラム法に基づく基準に適合すると評価され、湾岸地域の銀行や資産運用会社がルールに沿ってXRPの活用を検討しやすくなります。
イスラム金融では、利子(リバ)や過度な不確実性(ガラール)を避ける必要があります。今回の認証は、これらの要件に対してXRPの利用設計が適合しうることを示します。そのため、クロスボーダー決済などの送金ユースケースで、地域金融機関の実務検討が進みやすくなります。
一方で、この認証は投資商品の上場や販売を直接許可するものではありません。ETF観測など制度面の議論とは区別されます。ただし、準拠性の裏付けが整うことで、中東由来のフロー多様化に向けた環境が一段と整備される可能性があります。
ポイント整理
- 何が起きたか:SRBがXRPをシャリア適合と認証しました。
- 実務面の意味:湾岸の金融機関が、社内ガバナンス上、XRP活用を検討しやすくなります。
- 市場への示唆:送金・決済の採用拡大に追い風となる可能性があります。ETFなど制度整備と相まって資金流入経路が広がる余地があります。
- 留意点:認証は規制承認や上場許可ではありません。各国の法規制やリスク管理は別途必要です。
用語解説
- シャリア適合:イスラム法の原則(利子の禁止、過度な不確実性の回避など)に合致することを指します。
- Shariyah Review Bureau(SRB):バーレーン拠点のシャリア監査・助言機関で、金融商品の適合性を審査します。
- イスラム金融:シャリアに基づく金融で、実物性やリスク共有を重視します。
- クロスボーダー決済:国境をまたぐ送金・決済で、ブロックチェーン活用によりコストや時間の短縮が期待されます。
- ETF観測:暗号資産を対象とする上場投資信託の新規設定や上場に関する思惑を指します。
ラテンの企業需要:ブラジル中小が準備金ヘッジでBTC・ステーブル活用
何が起きているか
ブラジルの中小企業で、準備金の守りとしてビットコイン(BTC)とステーブルコインを使う動きが広がっています。狙いは値上がり益ではなく、インフレや通貨安から資金価値を守ることです。取引所の発信でも、企業の参加が目立ち始めています。
背景と狙い
背景にはインフレ・為替の不安定さがあります。加えて、現物型ETFやカストディの整備で取り扱いの実務負担が下がりました。企業は会計と内部統制を意識しつつ、現金の購買力を維持する手段を求めています。
実務での使い分け
長期の価値保全にはBTCを充てるケースが多いです。一方で、日々の支払いや短期運転資金には、価格が安定するUSDT・USDCなどを選びます。保有先は取引所から外部カストディや自社管理に移る傾向があります。
市場への影響
企業の長期保有は、取引所の売り在庫の圧縮につながります。結果として、現物の需給の下支えになりやすい構図です。資金が分散して保管されるため、短期のフローに揺さぶられにくくなる面もあります。
留意点(制度・オペレーション)
- 会計・税務:評価方法や仕訳の統一が必要です。
- ガバナンス:権限管理や承認フローの整備が前提です。
- カストディ:鍵管理と保険手当が重要です。
- 規制変更:為替・税制の改定で方針が変わる可能性があります。
ポイント整理
- 目的:投機ではなく価値保全と資金管理です。
- 使い分け:長期はBTC、日常はUSDT・USDCです。
- 需給効果:現物の長期化で売り圧が出にくくなります。
- ドライバー:インフレ耐性需要と制度整備です。
用語解説
- ステーブルコイン:ドルなどに連動し価格を安定させた暗号資産。
- カストディ:資産の保管・管理を行う専門サービス。
- 現物型ETF:現物の暗号資産を裏付けにした上場投資信託。
- 価値保全(ヘッジ):インフレや為替変動から資産を守る手当。
- 運転資金:日々の仕入れや支払いに用いる短期資金。
ゲーミング銘柄のソーシャル熱量:ApeCoinなどが可視化
24時間の動向と指標の意味
LunarCrushの24時間データでは、ゲーミング関連の話題が活発でした。投稿への反応や拡散の多さは、投資家の注目が特定テーマに集中しているサインになります。ただし、価格や資金流入に直結するわけではありません。短期のムードや関心の偏りを測る補助指標として使うのが前提です。
主要銘柄のスナップショット
エンゲージ投稿数は「実際に反応があった投稿数」です。インタラクション数は「いいね・リポストなどの合計反応」です。以下は直近24時間の概要です。
- ApeCoin(APE):エンゲージ約1.25万件、インタラクション約79.4万件
- Chainlink(LINK):エンゲージ約1.23万件、インタラクション約160万件
- Seedify(SFUND):エンゲージ約4,700件、インタラクション約14.1万件
- MON:エンゲージ約3,200件、インタラクション約23.4万件
- FLOKI:エンゲージ約2,600件、インタラクション約23.9万件
- Verasity(VRA):エンゲージ約2,500件、インタラクション約16.6万件
- Immutable(IMX):エンゲージ約2,300件、インタラクション約19.0万件
- Render(RNDR):エンゲージ約2,100件、インタラクション約10.1万件
- Beam(BEAM):エンゲージ約1,900件、インタラクション約7.5万件
- Zentry(ZENT):エンゲージ約1,800件、インタラクション約4.5万件
どう読むか(活用のコツ)
- テーマ回転の早さをつかめます。資金が集まりやすい話題を早期に把握できます。
- 価格との乖離に注意が必要です。盛り上がっても値動きが弱い場合があります。
- イベント前後は数値が跳ねやすいです。短期の偏りを見極めて解釈します。
- 銘柄間の温度差を比較できます。セクター全体の勢いも把握しやすくなります。
用語解説
- LunarCrush:暗号資産のソーシャルデータを集計・可視化する分析サービス。
- エンゲージ投稿数:コメントやリプライなど、実際の反応が付いた投稿の数。
- インタラクション数:いいね、リポスト、共有などの合計反応数。
- ゲーミング銘柄:ゲーム関連のトークンや、ゲーム基盤を持つプロジェクトの銘柄。
- ソーシャル指標:SNS上の関心度を数値化したもの。短期ムードの把握に有効。
今後数日の注目点とリスク
レンジ解消の条件(テクニカル)
焦点は11万ドル帯のこう着がいつ解けるかです。月末・四半期末の満期通過で、短期のガンマ圧力は弱まりやすくなります。その後は次の水準が基準線になります。
- 200日EMA:約10.6万ドル(中期トレンドの目安)
- 9月1日の直近安値:約10万7,252ドル
- 短期保有者(STH)コスト:約11.08万ドル
これらをまとめて維持できれば、上方向のシナリオが残ります。明確に割り込むと、戻り売りが厚くなりやすい地合いです。
経済指標・イベント(JST)
金利とドルの方向づけに直結します。時間はすべて日本時間です。
- 9/30(火)13:30 豪RBA 政策金利(予想:3.60%据え置き)
- 9/30(火)15:00 英国 Q2 GDP・改定(前期比 0.3%/前年比 1.2%)
- 10/1(水)08:50 日銀短観・大企業製造業(予想:14)
- 10/1(水)18:00 ユーロ圏 HICP 速報(総合 2.2%/コア 2.3%)
- 10/1(水)21:15 米ADP雇用(予想:5.0万人)
- 10/1(水)23:00 米ISM製造業(予想:49.2)
- 10/3(金)21:30 米雇用統計(NFP 5.0万人/失業率 4.3%/賃金 前月比 0.3%)
- 10/3(金)23:00 米ISM非製造業(予想:52.0)
結果が強い場合は米金利上昇・ドル高となり、暗号資産の上値を抑えやすいです。弱い場合はリスク資産の支援材料になりやすいです。
市場構造リスク(デリバティブ・規制)
先物のオープンインタレスト(OI)は高水準です。小さな値動きでも清算が連鎖しやすい局面です。オプションは建玉ではコール優位ですが、イベント前はプット出来高が増えやすい点に注意が必要です。
また、パーペチュアル型DEXへのレバレッジ集中が進んでいます。CEXとDEXをまたぐ清算の波及が起きやすい構造です。規制や上場・審査のヘッドラインが、指標発表の時間帯と重なると価格変動が増幅しやすいです。
用語解説
- ガンマ圧力:オプションのヘッジ調整で価格が特定水準に吸着しやすくなる力学。
- 200日EMA:過去200営業日の指数平滑移動平均。中期トレンドの目安。
- STHコスト:短期保有者の平均取得コスト。短期の損益分岐を示す水準。
- オープンインタレスト(OI):未決済のデリバティブ建玉総数。
- 清算(強制ロスカット):証拠金不足でポジションが自動決済されること。
- パーペチュアル型DEX:期限のない先物(パーペチュアル)を扱う分散型取引所。
結論・要点整理
最大の要点は、オプション満期の影響が薄れる中で、上記の節目群を巡る攻防が方向性を決めやすいことです。価格はテクニカルの軸に寄りやすく、結果に応じてモメンタムが切り替わります。
- 判断の物差し:基準線の維持なら上方向の余地が残ります。明確な割れは戻り売り優位になりやすいです。
- 外部ドライバー:カレンダー指標は金利・ドルに波及します。強弱により、暗号資産の短期バイアスが変わります。
- 構造面:高いOIとDEXへのレバレッジ集中により、清算の波及に注意が必要です。
免責事項
本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。
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