- 市場概況:BTCは11.2万ドル台回復、米株は26日終値ベースで堅調・ドルは小安、コモディティは金堅調/原油軟化
- 米現物ビットコインETF:週次で約9億ドルの資金流出、価格のもみ合いと呼応
- 10月の現物ETF判断日程:Solana・XRP・LTC・DOGE・ADAが相次ぎ最終期限へ
- パーペチュアルDEXの台頭とHyperliquid:機能拡張・出来高膨張、SOLにも波及
- ETH:アンステーキング「渋滞」とデリバティブ構造—K近辺が軸、12月コールが厚い
- マクロ:ドル売りポジションの混雑と利下げ観測—ショートスクイーズの警戒感
- 規制・企業動向ピックアップ:Crypto.comの米デリバ許認可、アリゾナのATM対策
- そのほか:Vanguardの方針転換観測、UNのブロックチェーン活用、PolkadotのpUSD構想
- 今後の展望とリスク:今週の経済指標・ETF判断・トークンアンロック
- 結論・要点整理:ETFフローの逆風とイベント密集の「十月」
市場概況:BTCは11.2万ドル台回復、米株は26日終値ベースで堅調・ドルは小安、コモディティは金堅調/原油軟化
暗号資産市場は小反発です。時価総額は$3.77兆、24時間出来高は$933.4億です(9月29日9:32、日本時間)。ビットコイン(BTC)は$112,256.9で+2.41%、イーサリアム(ETH)は$4,134.20で+2.92%です。ドミナンスはBTC57.9%、ETH12.8%です。週明けはマクロとETFフローが交錯し、方向感は限定的です。
主要銘柄の足元
- BTC:$112,256.9(24時間 +2.41%)/7日間 -2.77%
- ETH:$4,134.20(24時間 +2.92%)/7日間 -6.89%
- SOL:24時間 +3.44%、BNB:+2.51%、DOGE:+2.87%
短期は買い戻しが優勢です。ただし、週足では調整が残っています。
株式・ボラティリティ(米国は9/26の終値ベース)
- ダウ:+0.65%(46,247.29)
- S&P 500:+0.59%(6,643.70)
- ナスダック:+0.44%(22,484.07)
- VIX:15.29(-8.66%)
欧州主要指数も26日終値は堅調でした。日本時間の今朝は米株の新たな値動きはまだ出ていません。
為替(日本時間 9/29 朝)
- EUR/USD:1.1716/20(+0.14%)
- USD/JPY:149.23/25(-0.18%)
- GBP/USD:1.3418/21(+0.11%)
ドルはやや弱含みです。対ユーロで下落し、円は149円前後です。
コモディティ(日本時間 9/29 朝)
- 金(XAU/USD):$3,779.19(+0.50%)
- WTI原油:$65.05(-1.02%)
- ブレント原油:$68.60(-0.90%)
金は堅調です。一方で原油は軟調です。インフレ観測と景気感の綱引きが続いています。
時刻と基準の注意点
本稿は日本時間9月29日9:32時点のデータです。米国株の数値は9月26日(NY時間)の終値を基準にしています。週明けの米国市場は未開場のため、新しい値動きは確定していません。
用語解説
- ドミナンス:市場時価総額に占める各銘柄の比率。
- VIX:S&P500の予想変動率を示す指数(一般に「恐怖指数」)。
- XAU/USD:店頭の金価格(米ドル建て)の代表的指標。
- WTI/ブレント:原油先物の代表指標。WTIは米国、ブレントは北海産。
- NY終値:ニューヨーク市場の取引終了時点の価格。
米現物ビットコインETF:週次で約9億ドルの資金流出、価格のもみ合いと呼応
先週の米現物ビットコインETFは、週次で約9.03億ドルのネット流出でした。主要ファンドで日次の資金流出が続き、ビットコイン現物のレンジ推移と重なりました。需給はやや逆風に傾き、短期の上値は抑制されました。
フローの内訳(先週末時点)
- Fidelity Wise Origin(FBTC):約3億ドルの流出
- iShares Bitcoin Trust(IBIT):約3,725万ドルの流出
- Bitwise(BITB):約2,379万ドルの流出
- Ark/21Shares(ARKB):約1,781万ドルの流出
- Grayscale Mini / Trust:1,714万ドル/1,257万ドルの流出
- VanEck(HODL):約928万ドルの流出
週次では累計約9.03億ドルのマイナスです。直近2週間は合計で30億ドル超の流入が見られましたが、その流れはいったん途切れました。
価格との連動と「こう着」
ビットコイン現物は、直近で上値と下値が収れんするもみ合いが続いています。デリバティブ市場でも建玉やフローが拮抗し、方向感は限定的でした。そこへ現物ETFの資金流出が重なり、短期の需給は中立からやや弱めにシフトしました。
ETFフローは現物の追加需要を左右します。流入が減る局面では、価格がレンジ内で停滞しやすくなります。一方で、流入の回復はレンジ上放れのきっかけになります。
背景と直近の流れ
四半期末が近づく中で、投資家はポジションの見直しを進めました。マクロ要因と金利見通しの揺れが続く中、短期資金はフローに敏感です。先行して強かったETFへの資金は、週を通じて利益確定に傾きました。市場全体では、出来高は維持されつつも、方向感の欠如が続いています。
用語解説
- 現物ETF:現物のビットコインを裏付け資産として運用する上場投資信託。
- ネット流出(アウトフロー):当日の資金の流入額から流出額を差し引いた結果がマイナスの状態。
- レンジ推移:一定の価格帯で上限と下限の間を行き来する値動き。
- デリバティブ:先物やオプションなど、価格変動を取引する金融派生商品。
- 需給:買い需要と売り供給のバランス。価格の短期的な動きに影響する。
10月の現物ETF判断日程:Solana・XRP・LTC・DOGE・ADAが相次ぎ最終期限へ
10月は主要アルトの現物ETFやトラスト転換が最終判断期日を迎えます。期日は中旬に集中します。申請の顔ぶれでは、BlackRockとFidelityの不在が指摘されています。イベントが密集するため、見出し次第でテーマ回転とボラティリティ拡大が起きやすい地合いです。
主な期日(最終判断の想定レンジ)
- Solana(SOL):10月10日、13日、14日、17日
- XRP:10月15日
- Litecoin(LTC):10月10日、13日
- Dogecoin(DOGE):10月13日
- Cardano(ADA):10月23日
上記は、各社の現物ETF申請や既存トラストの現物ETF転換に関する最終締切です。複数銘柄が同じ週に重なります。市場の関心が日ごとに移りやすい配置です。
市場への波及経路
一つ目は見出しインパクトです。可否のニュースが短期フローを動かします。前掲のビットコインETF資金フローの鈍化と重なると、個別テーマへの資金シフトが強まりやすくなります。
二つ目は相関の変化です。承認・否認の結果次第で、対象銘柄とビットコインの相対パフォーマンスが振れます。オプション市場のヘッジ需要も変化します。
三つ目は流動性の偏在です。イベント前後は板が薄くなることがあります。短時間でスプレッドが広がりやすい局面です。
用語解説
- 現物ETF:現物の暗号資産を裏付けに持つ上場投資信託。
- トラスト転換:既存の投資信託を現物ETFへ切り替える手続き。
- 最終判断期日:規制当局(米SEC)が可否を決定する締切日。
- テーマ回転:資金が銘柄・セクター間で短期的に移動する現象。
- ボラティリティ:価格変動の大きさ。イベント時に拡大しやすい。
- 米SEC:米証券取引委員会。証券の規制と投資家保護を担う当局。
パーペチュアルDEXの台頭とHyperliquid:機能拡張・出来高膨張、SOLにも波及
ポイント要約
パーペチュアルDEX(無期限先物を扱う分散型取引所)の存在感が拡大しています。Hyperliquid(分散型デリバティブ取引所)は、誰でも見積資産を申請できる仕組みを実装しました。市場全体では、Aster(パーペチュアル系DEX)やHyperliquidが出来高を大きく伸ばしています。さらに、ARK Invest(米運用会社)のキャシー・ウッド氏(同社CEO)の言及を材料に、ソラナ(Solana/レイヤー1ブロックチェーン)が一時反発しました。
Hyperliquidの新機能:見積資産の「パーミッションレス」対応
Hyperliquidは、見積資産(クォート資産)をパーミッションレスで導入できる機能をメインネットに実装しました。運営の個別承認を前提としないため、発行体やコミュニティが自律的に市場を拡張できます。最初の採用例はUSDH(安定通貨)で、HYPE/USDHなどのスポットペアが稼働しています。
新規ペアの初期価格は、ダッチオークション(段階的に価格を下げて約定させる方式)で決まります。これにより、上場初日の価格形成が透明になり、偏りが生じにくくなります。結果として、長期的な流動性の安定にもつながります。
出来高の拡大:AsterとHyperliquidがけん引
集計データでは、過去30日間のパーペチュアルDEX出来高が約1兆ドルに達したとされます。特に、AsterとHyperliquidの寄与が大きい状況です。パーペチュアルDEXは、満期のない先物をスマートコントラクトで決済します。一部はオフチェーンで注文照合を行い、清算はオンチェーンで実施します。高速性と透明性を両立させるハイブリッド設計が主流です。
出来高の膨張は、裁定取引やヘッジ需要が分散型に移る動きと一致します。CEX(中央集権型取引所)依存を弱め、DEXの価格発見機能が相対的に強まる可能性があります。
SOLへの波及:インタビュー発言を受けた短期反発
キャシー・ウッド氏は、分散型デリバティブ領域の進展に言及し、Hyperliquidを評価しました。報道後、ソラナ(SOL)は一時反発しました。Solanaは高いトランザクション処理能力を持ち、オンチェーン取引と相性が良いことが背景です。パーペチュアルDEXの拡大は、低手数料と約定速度を求めるフローを惹きつけます。そのため、関連テーマへの資金回転が起き、個別銘柄の短期変動につながる場面があります。
用語解説
- パーペチュアルDEX:満期のない先物(永続契約)をオンチェーンで取引・清算する分散型取引所。
- Hyperliquid(分散型デリバティブ取引所):パーペチュアル取引に強み。見積資産をパーミッションレスで導入可能にした。
- Aster(パーペチュアル系DEX):出来高上位のDEXの一つ。Perp市場の拡大をけん引。
- 見積資産(クォート資産):価格表示の基準となる通貨やトークン。例:USD建て、USDH建て。
- USDH(安定通貨):Hyperliquidで最初に採用された見積資産。価格の安定を目的とする。
- ダッチオークション:価格を段階的に調整し、需要と供給の交点で約定させる入札方式。
- ハイブリッド設計:注文照合はオフチェーンで高速化し、決済・清算はオンチェーンで透明性を確保する方式。
- Solana/ソラナ(レイヤー1ブロックチェーン):高スループットが特徴。基盤通貨はSOL。
- ARK Invest(米運用会社):イノベーション領域に投資する資産運用会社。CEOはキャシー・ウッド氏。
ETH:アンステーキング「渋滞」とデリバティブ構造—K近辺が軸、12月コールが厚い
退出キューの現状と値動きへの波及
イーサリアム(ETH)は、アンステーキングの退出キューが膨らんでいます。滞留量は約216万ETH(約86.7億ドル)です。処理には最長で数十日を要する見込みとされています。
背景には、過去12か月の上昇を受けた利益確定の動きがあります。キューは供給の潜在弾力を示し、売り圧力への警戒感を残します。ただし、処理は段階的です。市場に一度に出回るわけではありません。
一部のステーキング事業者では、セキュリティ強化に伴い引き出しが遅延しました。これも待機時間の長期化要因です。短期のフローは読みにくく、価格は往来しやすい地合いが続きます。
オプション・先物の板構造:,000が重心、年末はコール優位
デリバティブ市場では、オプションの建玉がコール優位に偏っています。年末高ストライクへの期待が続いています。直近の「マックス・ペイン(満期に最も損失が集中する水準)」は$4,000近辺です。
取引所別の先物建玉(OI)も厚みを増しています。主なプラットフォームは以下のとおりです。
- CME(米シカゴ・マーカンタイル取引所):約219万ETH
- Binance(暗号資産取引所):約265万ETH
- OKX(暗号資産取引所):約82万ETH
- Bybit(暗号資産デリバティブ取引所):約121万ETH
- Bitget(暗号資産取引所):約146万ETH、Gate:約120万ETH
直近フローでは、ヘッジ目的のプット売買も観測されています。例えば、Bybitでは10月17日満期の$2,000プットが大口で成立しました。一方、上方向ではDeribit(暗号資産デリバティブ取引所)の$6,000コール(10月末)が活発です。
需給のせめぎ合い:,000帯でのレンジ化要因
退出キューは将来の現物供給を示します。これは上値の重さにつながりやすい材料です。対して、デリバティブの建玉は$4,000近辺に価格を引き寄せる力を持ちます。
年末にかけてはコール優位が続く見通しです。強気の思惑が残る一方で、短期のプット需要も断続的です。結果として、ETHは$4,000帯を中心に往来しやすい配置になっています。
この構図は、現物フローの解消ペースと、オプション満期日の集中具合で変化します。イベントの前後でボラティリティが高まりやすい点に留意が必要です。
用語解説
- アンステーキング:預け入れたETH(ステーク)を引き出して流動化すること。
- 退出キュー:引き出し申請が処理待ちで並ぶ状態。混雑時は待機が長期化する。
- マックス・ペイン(max pain):オプション満期時に、最も多くの参加者が損をしやすい価格帯。
- コール/プット:上がる権利/下がる権利を取引するオプション。ヘッジや見通し反映に使う。
- OI(オープンインタレスト):未決済建玉の総数。板の厚さや関心の強さを示す。
- CME(米シカゴ・マーカンタイル取引所):米大手デリバティブ取引所。機関投資家の利用が多い。
- Binance/OKX/Bybit/Bitget/Gate:暗号資産(デリバティブ)取引所。リテールとプロが併用。
- Deribit:オプションに強みを持つ暗号資産デリバティブ取引所。
マクロ:ドル売りポジションの混雑と利下げ観測—ショートスクイーズの警戒感
ドル売りの混雑と通貨ヘッジの拡大
為替市場では、ドル売り(ショート)のポジションが膨らんでいます。投資家はドル安を前提に構えています。海外投資家は、米国株や米国債を保有しつつ、為替損失を避けるために通貨ヘッジを厚くしています。ヘッジ比率の上昇は、ドルの売り圧力を間接的に強めやすい構図です。
市場参加者の視線は、米国の成長減速観測や財政懸念にも向いています。これらはドル安シナリオの根拠として語られています。結果として、ポジションは一方向に傾きやすく、反転時の値動きは大きくなりやすい状況です。
利下げ観測とクロスアセットへの波及経路
10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、25ベーシスポイント(0.25%)の利下げ観測が優勢です。金利低下は、一般にドル安とリスク資産高を後押しします。株式、社債、コモディティ、そして暗号資産へも波及します。
一方で、米国の雇用統計や物価指標が強い場合は別です。金利低下観測が後退し、ドルが急反発する可能性があります。その場合、株や暗号資産などリスク資産は短期で巻き戻されやすくなります。
ショートスクイーズのリスクと近接イベント
ドル売りが混雑している局面では、材料次第でショートスクイーズが起きやすくなります。売り方が一斉に買い戻すと、ドルは急伸します。為替連動のポジションやヘッジも連鎖的に動き、ボラティリティは上がります。
直近では、米雇用統計や物価統計、財政関連のヘッドラインが警戒点です。FOMCの前後はガイダンスにも注意が必要です。暗号資産はドルとの相関が高まりやすく、短期の値動きが増幅される傾向があります。
用語解説
- FRB(米連邦準備制度理事会):米国の中央銀行。金融政策を決定する機関。
- FOMC:FRBの政策決定会合。年8回程度開催。
- 25ベーシスポイント(25bp):0.25%の利下げ・利上げ幅を指す単位。
- 通貨ヘッジ:為替変動の損益を抑える目的で行うデリバティブ取引。
- ショート(売り持ち):資産価格の下落を狙うポジション。
- ショートスクイーズ:売り方の買い戻しが連鎖し、価格が急騰する現象。
- 海外投資家:米国籍外の機関投資家や年金基金など。為替ヘッジの有無で収益が変動する。
- デュアル影響:金利とドルの動きが同時にリスク資産へ影響する構図。
規制・企業動向ピックアップ:Crypto.comの米デリバ許認可、アリゾナのATM対策
Crypto.comの米デリバティブ許認可の拡充
Crypto.com(グローバル展開の暗号資産取引所・決済プラットフォーム)は米国での許認可を強化しました。CFTC(米商品先物取引委員会)の清算所ライセンスを改定し、NFA(全米先物協会)でFCM(先物取扱業者)登録を得ました。
- 取得・変更内容:CFTCの清算所ライセンス改定/NFAのFCM登録。
- できること:米国でのデリバティブ(先物・オプションなど)の受託と清算体制を拡充。顧客資産の分別管理や証拠金管理を規制基準で運用。
- 狙いと影響:機関投資家の受け皿を広げ、流動性の厚みを確保。一方で、コンプライアンス対応や報告義務の負担は増えます。
清算所は取引の最終的な決済と保証を担います。FCMは顧客から証拠金を預かり、取引所での約定から清算までをつなぎます。規制下の提供は、リスク管理の透明性を高める効果があります。
アリゾナ州:暗号ATMの詐欺対策ルール案
アリゾナ州は暗号ATM(現金と暗号資産の交換端末)に関する新ルールを準備しています。高齢者や初心者を狙う送金誘導型の被害が背景です。
- 主なルール:1回あたりの購入上限/強制的な詐欺警告表示/一定条件での返金規定。
- 事業者要件:本人確認の強化、取引ログと警告表示の記録保存。
- 狙い:事前の抑止と事後の救済を両立し、被害を減らす。
- 影響:利便性は一部低下する可能性がありますが、消費者保護は強化されます。他州への波及も想定されます。
州レベルの保護策と、事業者側の制度順応が同時に進んでいます。市場参加者の安全性と、プロダクトの供給体制を両立させる動きです。
用語解説
- Crypto.com:グローバル展開の暗号資産取引所・決済プラットフォーム。
- CFTC(米商品先物取引委員会):米国のデリバティブ規制当局。先物やオプション市場を監督。
- NFA(全米先物協会):米デリバティブ業界の自己規制団体。会員のコンプライアンスを監督。
- FCM(先物取扱業者):顧客から証拠金を預かり、先物などの受託や清算仲介を行う登録業者。
- 清算所(Clearing House):約定後の決済・保証を担う機関。カウンターパーティーリスクを引き受ける。
- 暗号ATM:現金と暗号資産の交換を行うキオスク型端末。
そのほか:Vanguardの方針転換観測、UNのブロックチェーン活用、PolkadotのpUSD構想
Vanguard:ブローカー経由の暗号資産ETFアクセスを検討との報道
9月28日付の報道で、Vanguard(米大手の資産運用会社)が、同社のブローカープラットフォームで暗号資産ETFのアクセス解禁を検討していると伝えられました。従来は取扱いを制限してきた経緯があり、姿勢の変化が注目されています。
解禁が実現すれば、個人投資家の売買チャネルが広がります。資金フローの受け皿が増えるため、市場の出来高や流動性に影響する可能性があります。一方で、最終決定や開始時期は不明で、顧客保護や商品選定の基準が焦点となります。
国連:年金での実証を踏まえ、ブロックチェーン活用を拡大
国連(United Nations)は、国連合同年金基金(UNJSPF)での実証を経て、ブロックチェーン活用の拡大方針を示しました。年金受給のデジタル資格確認(DCE)で、本人確認と申請の効率化を進めた実績が背景にあります。
仕組みは、改ざん耐性のある記録で手続きの透明性を高め、事務コストや不正の抑制に寄与します。今後は、人道支援やサプライチェーン監視などへの拡張が想定されます。公的機関での利用拡大は、暗号資産とは別軸ながら、分散型台帳技術の社会的信用を押し上げる材料です。
Polkadot:DOT担保のネイティブ安定通貨「pUSD」をOpenGovで推進
Polkadot(相互運用に注力するL1)は、DOT担保のネイティブ安定通貨pUSDの導入をOpenGov(オンチェーン投票)で進めています。設計は過剰担保(オーバーコラテラル)型で、PolkadotのAsset Hubから発行する構想です。
狙いは、外部ステーブルコイン依存の低減と、エコシステム内での流動性の自給自足です。発行・清算のルールをチェーン共通で整備できれば、DeFiの資金循環が滑らかになります。一方で、価格変動時の清算設計、ガバナンスの合意形成、監査や準備状況の透明性などが重要な論点となります。
用語解説
- Vanguard: 米国の大手資産運用会社。低コスト運用で知られる。
- ブローカープラットフォーム: 個人が株式やETFを売買する証券口座・取引基盤。
- UNJSPF: 国連合同年金基金。国連職員向けの年金制度を運営。
- DCE(Digital Certificate of Entitlement): 年金受給資格をデジタルで確認する仕組み。
- Polkadot: 複数のブロックチェーンをつなぐ相互運用性(インターオペラビリティ)に強みを持つ基盤(L1)。
- DOT: Polkadotのネイティブトークン。ステーキングやガバナンスに使用。
- pUSD: DOTを担保とする安定通貨の構想。米ドル価値への連動を目指す。
- Asset Hub: Polkadotの資産発行・管理を担うシステムチェーン。
- OpenGov: Polkadotのオンチェーンガバナンス。提案と投票で方針を決める。
- 過剰担保(オーバーコラテラル): 発行額を上回る価値の担保を預ける設計。価格変動に備える目的。
今後の展望とリスク:今週の経済指標・ETF判断・トークンアンロック
今週の主要指標:金利・物価・雇用が集中
9/30(火)はオーストラリア準備銀行(RBA)の政策金利と、英国のGDP改定値が予定されています。金融政策と景気認識を同日に確認できます。
10/1(水)は日本の日銀短観、ユーロ圏のHICP速報値(消費者物価)、米国のADP雇用統計とISM製造業景況指数が並びます。インフレと景況感の方向を一気に点検する日程です。
10/3(金)は米国の雇用統計とISM非製造業が焦点です。金利見通しに直結するため、為替や債券に波及しやすい構図です。価格変動は暗号資産にも伝わりやすくなります。
現物ETFの判断ラッシュ:テーマ回転と価格振れに留意
10月はアルトコインの現物ETFやトラスト転換の最終期限が相次ぎます。対象はSolana(SOL)、XRP、Litecoin(LTC)、Dogecoin(DOGE)、Cardano(ADA)です。採否は資金フローと市場心理に影響します。
承認・非承認いずれでも、関連銘柄に短期のボラティリティが生じやすい局面です。他セクターへの資金移動(テーマ回転)にもつながる可能性があります。大手機関の取り扱い方針は、二次的な材料になります。
トークンアンロック:供給増で流動性は厚く、価格は不安定化も
今週はOptimism(OP)、AltLayer(ALT)、Ethena(ENA)、Immutable(IMX)などで大型アンロックが予定されています。市場に出回るトークンが増え、短期の供給圧力になり得ます。
一方で、流通量の増加は出来高や板厚を高め、スプレッドの縮小につながる場合もあります。ファンダメンタルズや需要の強さによって、価格の反応は銘柄ごとに異なります。
全体リスク:データサプライズとイベント集中の相乗効果
物価や雇用のサプライズは、金利予想の修正を伴います。為替と債券の値動きが大きい場合、暗号資産のボラティリティも高まりやすくなります。ETF判断やアンロックが同時期に重なる点も、値動きの振れ幅を広げる要因です。
イベントの時間差にも注意が必要です。欧州・米国の指標は日本時間の夜間から深夜の公表が中心です。流動性が薄い時間帯に価格が動くと、短期の変動が拡大しやすくなります。
用語解説
- RBA: オーストラリア準備銀行(中央銀行)。政策金利を決める機関。
- 日銀短観: 日本銀行の企業景況感調査。四半期ごとに公表。
- HICP: ユーロ圏の調和消費者物価指数。インフレ指標の中核。
- ADP雇用統計: 米民間雇用の推計。米雇用統計の先行指標として注目。
- ISM(製造業/非製造業): 米供給管理協会の景況指数。50が拡大・縮小の分岐。
- 現物ETF: 実物資産を保有して価格に連動させるETF。先物ETFと区別。
- トークンアンロック: ベスティング解除で新たなトークンが市場に出回ること。
- テーマ回転: 市場の関心が銘柄やセクター間で移る現象。
結論・要点整理:ETFフローの逆風とイベント密集の「十月」
最大のポイントは二つです。第一に、現物ビットコインETFが先週に約9億ドルの純流出となり、短期の需給に逆風が出ていること。第二に、10月はアルトの現物ETF判断と主要経済指標が重なり、値動きが大きくなりやすいことです。
- 現物BTC ETFは週次で純流出。価格のもみ合いと呼応し、買い戻しの勢いは限定的です。
- 10月はSOL・XRP・LTC・DOGE・ADAなどの最終判断が集中。結果次第で資金の出入りとテーマ回転が起きやすい局面です。
- ETHは退出キューの滞留とオプション市場の年末コール優位が並存。$4,000帯に重心が寄りやすい配置です。
- マクロではドル売りのポジション偏りと利下げ観測が優勢。逆流時はショートスクイーズでボラ拡大に注意が要ります。
- DEXの台頭は継続。Hyperliquidの機能拡張や出来高増が話題化し、SOLにも物色が波及しました。
- 今週は雇用関連や景況感指標が集中。サプライズは為替・金利を通じて暗号資産にも波及しやすい状況です。
10月前半は、マクロ(ドル・金利)と制度イベントが同時進行します。相関の変化やボラティリティの拡大に、引き続き留意が必要です。
本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。
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