- 市場はBTC12.2万ドル台・時価総額4.14兆ドル、米株まちまち・VIX16台
- 既存BTC現物ETFに資金回帰、価格はATH間近へ
- Solana:CME(米CMEグループ/大手デリバティブ取引所)建玉が過去最高、ETP資金は5億ドル超で機関主導色
- Coinbase:連邦「国家信託」認可を申請—決済・清算拡張へ(銀行化は否定)
- 英FCAがリテールの暗号資産ETN解禁へ—ETFはなお対象外
- 小売と端末のオンランプ拡充:Walmart系OnePayとSamsung×Coinbase
- CME「24/7」計画の射程—週末ギャップ縮小の構造変化
- ETH:現物強含みでもデリバは中立、財団は1,000ETHをステーブル化
- セキュリティとインフラ:Unity脆弱性、ハック損失の質的変化、クロスチェーン進展
- マイニング動向:CleanSparkが9月629BTCを産出、売却と積増しを併用
- インフラ採用:Chainlinkの企業接続と安定通貨チェーン連携
- 今後の注目とリスク:指標空白下の政策判断、ETF審査停滞、個別イベント
- 結論・要点整理
市場はBTC12.2万ドル台・時価総額4.14兆ドル、米株まちまち・VIX16台
暗号資産の現在地(日本時間10月4日 午前9時39分)
時価総額は4.14兆ドルです。24時間の出来高は2,024.5億ドルです。銘柄数は9,513です。
ビットコイン(BTC)は122,214.7ドルです。24時間で+1.64%、7日で+11.46%です。イーサリアム(ETH)は4,512.53ドルで、24時間は+0.81%です。
市場のシェアはBTCが58%、ETHが13.1%です。資金は大型銘柄に集まっています。
ビットコインの進行中データ(暫定)
Investing.comの「Bitcoin Historical Data」に基づく10月4日(進行中)の暫定値は、現時点のレンジが高値122,273.1ドル、安値122,107.9ドル、始値122,224.8ドルです。
前日(10月3日終値122,224.2ドル)との比較では、高値圏での推移にとどまっています。
株式・VIX・為替・商品(時間の注意あり)
本日は土曜日です。日本の現物株は休場です。以下は米国東部時間10月3日の終値です。
S&P500は6,715.79(+0.01%)です。ナスダックは22,780.51(-0.28%)です。VIXは16.65で、小幅な上昇です。欧州株は強弱まちまちでした。
為替は24時間取引です。ドル/円は147.47付近です。ユーロ/ドルは1.1741です。
商品先物は直近値です。金先物は3,908.90ドル(+1.05%)です。WTI原油は60.88ドル(+0.66%)です。
政府機関のシャットダウンで統計の公表が滞っています。代替として、ETF資金流入や機関投資家の取引が相場の指標になっています。
用語解説
- 時価総額:暗号資産全体の評価額の合計。
- 出来高:24時間に取引された金額の合計。
- ドミナンス:特定銘柄が市場全体で占める比率。
- 終値:その日の取引終了時の価格(米株は米国時間基準)。
- VIX:S&P500の将来の変動率への期待を示す指数。
既存BTC現物ETFに資金回帰、価格はATH間近へ
米国のビットコイン現物ETFに資金が回帰しています。直近4営業日で約22億ドルの純流入です。政府機関のシャットダウンで新規ETFの審査が停滞し、既存商品の受け皿機能が強まっています。ビットコインは12.3万ドル接近と高値圏で推移し、過去最高値(約12.45万ドル)に迫っています。
資金フローの加速
9月末から10月初めにかけて連日の純流入が続きました。1日あたり数億ドル規模の流入で、売買高も回復しています。新規承認が進みにくい局面で、資金は実績あるETFに向かいやすい状況です。その結果、需給はタイトになっています。
価格の位置と短期のメド
ビットコインは12.3万ドルに接近しました。四半期入りの強気ムードが支えです。短期では12.55万〜13.0万ドルに売り板の集中が意識されています。このゾーンの上抜け可否が、次の値幅を左右します。
背景:政府閉鎖と「デバースメント」論点
米政府の閉鎖で、SECの審査は制限を受けています。新規ETFは前進しにくく、既存ETFに資金が集まりやすい環境です。加えて、通貨価値の希薄化を意識した「デバースメント・トレード」が再浮上しています。マクロの不確実性が、ビットコイン需要を下支えしています。
用語解説
- 現物ETF:現物のビットコインを保有し、価格に連動する上場投資信託。
- 純流入:資金の流入額から流出額を差し引いた正味の増加分。
- 政府閉鎖(シャットダウン):予算未成立で一部の行政機能が停止する事態。
- ATH(過去最高値):これまでで最も高い価格水準。
- デバースメント・トレード:通貨の価値希薄化を想定し、価値保存資産へ資金を振り向ける投資行動。
Solana:CME(米CMEグループ/大手デリバティブ取引所)建玉が過去最高、ETP資金は5億ドル超で機関主導色
Solana(SOL)は反発局面でCME(米CMEグループ/大手デリバティブ取引所)の先物建玉(OI)が$2.16Bに到達しました。直近の清算で個人は慎重姿勢です。一方で、ETPの運用資産(AUM)が累計$500M超に拡大し、機関フローが主導しています。10月10日のSOL現物ETF判断が近づき、短期は$245〜$250の上抜け可否が焦点です。押し目の$218〜$210再検証でも、上昇構造は維持との見方が多いです。
先物・デリバティブの動き
CMEのSOL先物OIは過去最高$2.16Bです。年率換算の基差は約16.37%で、過熱感は限定的です。清算後、中央集権型取引所のOIは横ばいです。資金調達率も中立圏で推移しています。反発の起点は$195付近の安値形成後です。機関はCMEでポジションを積み上げ、価格の底打ちと同時に動いた格好です。
ETP資金と機関フロー
SolanaのETPは合計AUMで$500M超に拡大しました。内訳はREXSharesのSolana Staking ETF(SSK)が$400M超、BitwiseのBSOLが$100M超です。現物連動の受け皿が整い、機関の現物・先物の両面での積み増しが示唆されます。個人は$307M規模の清算を受けてレバレッジを抑制しており、過度な強気には傾いていません。
短期レンジとシナリオ
上値は$245〜$250に売りが集まりやすい水準です。ここを明確に上抜けると、ATH(約$290)試しのシナリオが意識されます。下値では$218〜$210の押し目が注目です。4時間足のフェアバリューギャップや200EMAに重なる帯です。清算ヒートマップは$220〜$200に流動性の塊を示します。個人のレバレッジが抑制的なため、下落が連鎖清算に発展しにくい構図です。
基礎収益とチェーン指標
SolanaのQ3収益は約$222Mと報告されています。主要ネットワークを上回り、4四半期連続で首位を維持しました。安定コインの流入加速も観測され、決済やDeFiでの利用が広がっています。収益と資金フローの両面で、需給の下支え材料が積み上がっています。
用語解説
- CME(CMEグループ):米国の大手デリバティブ取引所。BTC/ETH/SOL先物などを上場する規制市場。
- OI(建玉):未決済の先物・オプション契約の総数。
- 基差(年率):先物と現物の価格差を年率換算した指標。
- ETP/ETF:上場投資商品の総称。ETFは投資信託型。
- AUM:運用資産残高。ファンドの規模を示す。
- 清算(リクイデーション):証拠金不足で強制決済されること。
- フェアバリューギャップ:短時間の急変で価格が取りこぼした帯。
- 200EMA:直近200本の指数平滑移動平均線。
- ATH:過去最高値。
Coinbase:連邦「国家信託」認可を申請—決済・清算拡張へ(銀行化は否定)
Coinbase(米ナスダック上場の大手暗号資産取引所・カストディ)は、10月3日にOCC(米通貨監督庁)へ国家信託会社(ナショナル・トラスト)の認可を申請しました。目的は、連邦監督のもとで決済・清算などの新サービスを展開しやすくすることです。同社は「銀行になる意図はない」と明言しています。
申請の狙いと背景
連邦の信託認可は、州ごとの個別承認を避けられる点が特徴です。これにより、決済や資産移転などの新機能を全国一律の枠組みで導入しやすくなります。Coinbaseは、既にNY州トラスト(Coinbase Custody Trust Company)でカストディを運営しています。今回の申請は、その上位に連邦監督の器を加える形です。
サービスへの影響
国家信託は、銀行免許なしで決済・清算等のサービスを拡張できる制度です。認可が下りれば、新商品の投入速度と全米対応の柔軟性が高まります。カストディ基盤を活かし、機関投資家の運用・保管・送受金の一体運用が進む見通しです。
業界全体での位置づけ
連邦監督を志向する流れは広がっています。Circle、Ripple、Paxosも同様に監督強化へ動いています。統一的な監督の下で、機関のリスク管理要件に沿った商品設計が可能になります。結果として、採用(アドプション)の加速が意識されています。
「銀行化」否定の意味
Coinbaseは、フルバンキングではなく信託会社としての機能拡張を選びました。これは、預金・融資などの銀行機能を持たず、資産の保護と決済機能に焦点を当てる方針を示します。規制の明確化により、監督当局と顧客の信頼を確保する狙いがあります。
用語解説
- OCC(米通貨監督庁):米財務省の機関。国法銀行や国家信託会社を監督。
- 国家信託会社(ナショナル・トラスト):連邦監督下でカストディや決済等を提供する法人形態。
- Coinbase Custody Trust Company:CoinbaseのNY州トラスト。BitLicense体制下で保管業務を担う。
- BitLicense:NY州の暗号資産事業者向けライセンス制度。
- カストディ:顧客資産の分別管理・保護を行う受託業務。
- 決済・清算:資金や資産の移転と、その取引を確定させるプロセス。
英FCAがリテールの暗号資産ETN解禁へ—ETFはなお対象外
英国のFCA(金融行為監督機構)は、2019年から続いたリテール向け暗号資産ETNの禁止を来週解禁します。上場先はFCAが承認する英国の取引所に限定されます。ETFやデリバティブのリテール解禁は対象外で、制度の見直しが必要と明確化しました。施行は英国時間の来週水曜を予定しています。
解除のポイント
FCAは、個人投資家が取引できるのは認可済みの英国取引所に上場するETNのみと示しました。目論見書の受理や上場審査は、各取引所と発行体が進めます。報道では、ブラックロックなど大手が提供準備に入っています。制度の範囲は限定的ですが、欧州での受け皿拡大が見込まれます。
米国との対比
一方で、米国は政府機関のシャットダウンで、SEC(証券取引委員会)の審査が一部停滞しています。英FCAが枠組みを明示したのに対し、米国では新規ETFの進行が遅延する状況です。相対的に、英国・欧州市場への資金シフトに関心が集まっています。
市場への影響
今回の解禁はETNに限定され、ETFはなお対象外です。個人投資家のアクセス経路は増えますが、商品リスクの説明や上場基準の遵守が前提になります。制度が段階的に広がるかは、今後の枠組み更新と運用実績に左右されます。
用語解説
- FCA:英国の金融規制当局(Financial Conduct Authority)。
- ETN:上場投資証券。発行体の信用に連動する債券型の上場商品。
- ETF:上場投資信託。原資産を保有するファンド型の商品。
- 認可取引所:FCAが承認した英国の上場市場(Recognised Investment Exchange)。
- リテール:個人投資家のこと。
- SEC:米国証券取引委員会。証券の開示と市場監督を担う。
- 政府シャットダウン:連邦予算未成立による政府機関の一時閉鎖。
小売と端末のオンランプ拡充:Walmart系OnePayとSamsung×Coinbase
小売とスマホの両面で暗号資産の入口が広がっています。 Walmart支援のOnePayは、年内にビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の取引とカストディをアプリに追加する見込みです。米国のGalaxy端末では、SamsungがCoinbase(米上場の大手暗号資産取引所)へのアクセスをWallet/Payに統合しました。日常決済の動線と投資の入口が、同時に拡充しています。
OnePay:店頭エコシステムと接続する「小売オンランプ」
OnePayはWalmart出資のフィンテックです。Zerohash(暗号資産インフラ事業者)が取引と保管の基盤を提供します。ユーザーはアプリ内でBTCとETHを購入し、保有資産を現金に変換できます。Walmartのオンラインと店舗の決済に、残高を接続できる設計です。小売の決済網と連動する点が、ほかの金融アプリとの差異になります。
同社は2021年に始動し、銀行・カード・貯蓄・BNPLなどを展開してきました。暗号資産の追加で、単一アプリでの金融サービス集約が進みます。店頭での即時利用が可能になると、暗号資産の「使い道」が明確になります。投機だけでなく、支払いとの接点が強まります。
Samsung×Coinbase:端末ネイティブの「モバイルオンランプ」
Samsungは米国のGalaxyユーザー向けに、Samsung Wallet/PayからCoinbaseでの購入を容易にしました。対象は約7,500万台規模です。アプリ間の移動を減らし、口座開設から購入までの手順を簡素化します。期間特典として、Coinbase Oneの3か月無料や初回取引後のクレジット付与も案内されています。
端末側に入口を組み込むことで、少額の初回購入や定期買い付けがしやすくなります。本人確認や支払い設定がスマホ標準の体験と重なり、参入の心理的な負担が下がります。結果として、新規ユーザーの獲得効率が高まりやすくなります。
市場インパクト:決済と投資の距離が縮小
小売と端末の両経路が強化されると、オンランプ(購入導線)は太くなります。店頭決済の網とスマホの常時接続が重なるためです。これにより、保有から支払いまでの回転が早まります。結果として、暗号資産の利用と保有のサイクルが拡張します。既存のETF経由の資金と並び、リテールの新規フローが継続的に生まれる構図です。
用語解説
- OnePay:Walmart支援のフィンテック。モバイル銀行や決済を提供。
- Zerohash:取引・カストディの基盤を提供する暗号資産インフラ事業者。
- カストディ:暗号資産を安全に保管・管理するサービス。
- オンランプ:法定通貨から暗号資産を購入する入口や導線。
- Samsung Wallet/Pay:Samsungのウォレット・決済アプリ。
- Coinbase:米ナスダック上場の大手暗号資産取引所・カストディ事業者。
- BNPL:Buy Now, Pay Later(後払い決済)。
CME「24/7」計画の射程—週末ギャップ縮小の構造変化
先日も触れましたが、CME(米シカゴ・マーカンタイル取引所)は、暗号資産先物の24時間365日(24/7)稼働を計画しています。規制承認が前提で、開始は2026年初の見込みです。常時稼働になると、週末の価格飛び(ギャップ)の縮小が期待されます。伝統機関のヘッジも、週をまたいで連続で運用できます。
なぜ24/7化が重要か
現物の暗号資産は、土日も取引が続きます。対して、CME先物は従来時間で休止します。このずれが週末ギャップの主因です。先物を常時開けると、価格発見の時間切れが解消します。指値やヘッジの調整も止まりません。
週末ギャップの縮小とヘッジ連続性
月曜寄り付きの大幅ギャップは、清算や追証の増加要因でした。24/7化は、このギャップを埋める方向に働きます。ファンドやETFの作成・償還に関わる取引も、リスクを持ち越さずに調整できます。ボラティリティの急変リスクは、段階的に低下しやすくなります。
ETFフローと基差(ベーシス)への波及
ETFの資金フローは、現物と先物の裁定を通じて価格に反映されます。先物が止まると、裁定が途切れます。24/7化は、現物・先物・ETFの裁定回路を連続にします。結果として、先物の年率ベーシスや追随誤差の圧縮が進みます。価格発見の連続性と透明性が高まります。
流動性、スプレッド、ボラティリティの変化
常時稼働は、時間帯ごとの流動性を平準化します。薄商いの窓が減ると、スプレッドは狭まりやすくなります。一方で、体制移行期は一時的な歪みも起こり得ます。清算機関、証拠金、資金繰りの運用時間が広がるためです。運用とオペレーションの両面で、移行設計が重要です。
残る前提条件と実装課題
実現には、米規制当局の承認が必要です。清算所の営業時間拡張や、担保の差し入れ体制も伴います。グローバルの仲介業者や銀行も、バックオフィスの24/7化を迫られます。市場監視や障害対応も、常時体制への更新が求められます。
用語解説
- CME:米シカゴ・マーカンタイル取引所。CFTC規制下の大手デリバティブ市場。
- 24/7:24時間365日の常時稼働。取引停止時間が発生しない。
- 週末ギャップ:休場中の価格変動が、再開時に一気に反映される現象。
- 価格発見:売買を通じて市場価格が形成されていく過程。
- ベーシス:先物と現物の価格差。年率換算でプレミアムの過熱度を測る。
- 裁定取引:同一資産の価格差を同時売買で収れんさせる取引。
- ETFフロー:ETFの資金流入出。作成・償還を通じて現物需給に影響。
- CFTC:米商品先物取引委員会。先物市場の主な規制当局。
ETH:現物強含みでもデリバは中立、財団は1,000ETHをステーブル化
現物は週次+14%、ただし先物・オプションは中立圏
イーサリアム(ETH)は直近1週間で約+14%上昇し、$4,500台を回復しました。現物は堅調ですが、デリバティブ指標は過熱を示していません。
- 先物プレミアム(年率換算)は約5〜10%の中立帯で推移。
- オプションのデルタ・スキューは+6%〜-6%の範囲で中立。
- 2月以降、強い強気サインには移行していないとの観測が継続。
このため、市場は$5,000の上抜け可否を、現物の資金流入やファンダメンタルに委ねる構図です。
競合チェーンの活況で「手数料優位」が揺らぐ
直近30日では、Ethereumのネットワーク手数料は約30%低下し、トランザクション数も約10%減少しました。一方で、BNB Chain、Avalanche、HyperEVMなどは手数料や取引が増えています。DEXや合成パーペチュアルの成長が、ユーザー獲得の分散を進めています。
とはいえ、TVL(預かり資産)ではEthereumが依然トップです。主要プロトコルの一部は資金を伸ばし、エコシステムの厚みは保たれています。短期はマルチチェーン化で相対優位が揺れる一方、中長期はスケーリングとETF経由の需要が評価軸になります。
ETFと企業保有の積み上がりが次段の鍵
先物指標が中立な中で、上値トリガーはスポットETFと機関・企業の積み上がりにあります。レポートでは、企業の保有拡大例として、Bitmine Immersion Techが数十億ドル規模(約120億ドル)のETHを追加したとの言及もあります。こうした恒常的な買い手は、浮動供給の減少を通じて$5,000超の定着可否を左右します。
財団は1,000ETHをステーブル化—資金配分と市場への含意
Ethereum Foundation(EF)は、CoW Swapを通じて1,000 ETHをステーブルコインに交換しました。目的は研究開発、助成、DeFi支援の原資確保です。受領通貨は特定されていません。
この動きは、トレジャリーの通貨リスクを抑えつつ支出予見性を高める施策です。市場面では、限定的な売り圧となる一方、エコシステム投資を通じて基盤強化につながります。短期の価格には中立、中期のネットワーク価値にプラスという評価が一般的です。
用語解説
- 先物プレミアム(ベーシス):先物が現物より高い状態。年率換算で過熱感を測る指標。
- デルタ・スキュー:同期限のコールとプットの需要差。投資家心理の偏りを示す。
- TVL(Total Value Locked):DeFiに預けられた資産の総額。エコシステムの厚みを示す。
- スポットETF:現物を保有する上場投資信託。資金流入が現物需給に直結する。
- CoW Swap:分散型取引プロトコル。オフチェーンのオーダールーティングで価格改善を狙う。
- ステーブルコイン:価格が法定通貨などに連動する暗号資産。資金管理や決済で使われる。
セキュリティとインフラ:Unity脆弱性、ハック損失の質的変化、クロスチェーン進展
UnityのAndroid脆弱性(CVE-2025-59489)—アプリ権限内での悪用リスク
UnityのAndroid向けランタイムに脆弱性が報告されました。攻撃者は検索パスを操作し、アプリが意図しないネイティブライブラリを読み込むおそれがあります。影響は当該アプリの権限に限定されますが、ゲーム内ウォレットやログイン機能を持つアプリでは、署名要求やセッション情報の扱いに影響し得ます。
Unityは修正版を提示しています。開発側の再ビルドが必要になるため、アプリ単位で対応時期が異なります。ビルドが更新されるまでの間は、一部タイトルで脆弱性が残存する可能性があります。市場全体では、モバイル上の鍵やセッションの取扱いに対する監視が強まる局面です。
ハック損失は数量減・単価増へ—攻撃は運用・ウォレット面にシフト
暗号資産のハッキング損失は2025年第3四半期に約37%減少しました。一方で、100万ドル超の中規模攻撃件数は過去最多を記録しました。大型のコード欠陥狙いは減少し、ウォレット運用や認証の弱点を突く手口が増えています。
- 中央集権型取引所(CEX)の被害額が最大。
- DeFiの損失は続くが、一件あたりの規模は分散。
- 国家関与の攻撃は継続。戦術は中規模・多発型に移行。
結果として、単発の巨額被害は減っても、検知しづらい中規模の累積が全体リスクになります。インフラやウォレットの安全性が、価格や流動性の安定性にも波及します。
クロスチェーンの前進:BOB×LayerZeroで「1クリックBTC」へ
BOB(BitcoinとEthereumの流動性を統合するL2)とLayerZeroは、11チェーンでの「1クリックBTC」送受構想を発表しました。OFT(Omnichain Fungible Token)標準を用い、wBTC.OFTとして各チェーンにローカル着金させる設計です。
この仕組みは、ブリッジ操作の簡素化と、アプリ側のBTCオンランプの一体化を狙います。対応が進めば、デリバティブや決済でのBTC利用が広がり、チェーン間の価格と流動性の乖離が縮小する可能性があります。クロスチェーンUXの改善は、安定した価格発見にも寄与します。
用語解説
- Unity:ゲームやアプリの開発基盤。モバイルやVRにも対応。
- CVE:脆弱性識別子。CVE-2025-59489はUnityのAndroid関連の不具合。
- ゲーム内ウォレット:ゲームアプリに統合された暗号資産の保管・署名機能。
- CEX(中央集権型取引所):運営者がカストディとマッチングを担う取引所。
- DeFi:ブロックチェーン上の分散型金融。スマートコントラクトで運営。
- LayerZero:異なるブロックチェーンを接続する相互運用プロトコル。
- OFT:複数チェーンで同一資産を扱うためのトークン標準。
- wBTC:ビットコインを他チェーンで扱うために発行される担保付きトークン。
マイニング動向:CleanSparkが9月629BTCを産出、売却と積増しを併用
米上場マイナーのCleanSpark(ビットコイン採掘企業)は、9月に629BTCを産出しました。月内に445BTCを平均$109,568で売却し、期末の自社保有は13,011BTCとなりました。株価は週次で+23%と堅調です。一方で、機器の関税リスクや電力コストの上昇、ネットワーク難易度の最高更新など、事業環境は引き続き厳しい状況です。
生産と売却の内訳
9月の産出は前年同月比で増加しました。CleanSparkは売却で$48.7百万の現金を確保しつつ、保有残高も積み増しました。運転資金や設備投資の原資を確保しながら、強気局面でのバランスシート強化を狙う形です。同社は機関向けのビットコイン取引デスクも活用し、月次での売却を機動的に行っています。
外部環境と逆風
ネットワークの採掘難易度は過去最高水準です。必要な計算資源が増え、同じ1BTCを得るコストが上がります。さらに、米税関当局による関税適用リスクが指摘されています。中国製リグに対する実効関税57.6%、インドネシア・マレーシア・タイ製で21.6%の報告があり、機器調達コストを押し上げる要因です。電力価格の上昇も重なり、採算の圧迫が続きます。
戦略の位置づけ
CleanSparkは、段階的な売却とトレジャリー積増しを併用しています。売却はキャッシュ創出に直結し、難易度上昇や関税対応に備える効果があります。一方、保有の積み増しは、価格上昇局面での含み益拡大につながります。市場では、主要マイナーの時価総額が拡大する一方で、原価上昇と規制要因が収益を左右する構図が続いています。
用語解説
・CleanSpark:米ナスダック上場のビットコイン採掘企業。
・採掘難易度:ブロック生成に必要な計算の難しさ。全体の計算力に応じて調整される。
・トレジャリー:企業が保有する自己勘定の暗号資産残高。
・平均販売価格:当月に売却したビットコインの加重平均価格。
・関税リスク:輸入マイニング機器に課される関税の追加負担。調達コストとROIを左右する。
インフラ採用:Chainlinkの企業接続と安定通貨チェーン連携
Chainlink(分散型オラクル)の採用が広がっています。安定通貨決済に特化するL1のPlasmaが、クロスチェーン連携のCCIPや価格配信のData Feedsを導入しました。これにより、複数チェーン間での送受金や、安定通貨建て決済の価格参照が標準化されます。開発者は、公式のデータ配信とメッセージ機能を使い、決済ロジックを安全に自動化できます。
Plasmaのねらい:安定通貨決済の即時性と整合性
Plasmaは決済チェーンに必要な「価格の正しさ」と「メッセージの確実な到達」を重視します。Data Feedsは市場価格をオンチェーンに配信します。CCIPはチェーン間の送金指示や精算情報を運びます。両者の組み合わせで、異なるチェーンでも同一のレートとルールで清算できます。手数料や清算タイミングの差から生じるズレを抑え、誤差の少ない送受金を目指します。
UBS×SWIFTのパイロット:既存金融の“橋渡し”
UBS(スイス大手銀行)は、SWIFT(国際銀行間通信協会)のメッセージ網と連動するトークン化運用のパイロットを開始しました。Chainlinkの企業向け接続を使うことで、既存のバックオフィス手順と、オンチェーンの権利移転を同期させます。証券の発行、償還、資金決済の指示を、既存の標準メッセージとスマートコントラクトで二重化します。これにより、既存の監査フローを保ちつつ、決済の即時性を高める狙いがあります。
マーケットの反応:LINKは上昇後の抵抗確認
ChainlinkのネイティブトークンLINKは、10月第1週に+6.7%の週足上昇となりました。足元は$23が直近のレジスタンス(上値抵抗)として意識されています。企業接続の進展は中長期の需要要因です。一方で、短期は価格節目を巡る攻防が続きます。
用語解説
・Chainlink:ブロックチェーンへ外部データやメッセージを安全に渡す分散型オラクル。
・CCIP:Cross-Chain Interoperability Protocol。チェーン間でのメッセージや資産移転を行う仕組み。
・Data Feeds:価格などの市場データをオンチェーンに配信するサービス。
・Plasma:安定通貨決済に特化したレイヤー1ブロックチェーン。
・SWIFT:国際送金で使われる金融機関向け標準メッセージ網。
・レジスタンス:価格が上がりにくくなる上値の節目。
今後の注目とリスク:指標空白下の政策判断、ETF審査停滞、個別イベント
今週は統計の空白が続く見込みです。米政府閉鎖の影響で、一部の経済データが遅延します。市場は手掛かりが乏しい中で、政策文書と海外データに反応しやすい状態です。一方でETF関連の審査は停滞し、資金は既存商品や域外市場へ流れやすくなっています。個別イベントも重なり、短期の変動要因は多い状況です。
直近の主要イベントと時刻表
以下は今週から来週前半の注目イベントです。統計の空白を埋める材料として注視されます。
- 10/8(米)FOMC議事要旨:利下げ経路やインフレ認識を再確認。
- 10/9(欧)ECB議事要旨:ユーロ圏の景気減速と利下げペースを確認。
- 10/10(加)雇用統計:北米の需給感を補完。
- 10/15(米)CPI:政策の方向性とリスク資産の感応度を左右。
政策判断の焦点:統計欠落時の“文書依存”
政府閉鎖で高頻度データの入手が難しくなります。議事要旨や声明文の一語一句に対する市場の反応は増えます。材料が限られるため、解釈のぶれが価格変動を拡大させる可能性があります。CPIの発表は予定されていますが、周辺統計の遅延で事前の予測分布が広がりやすい点に注意が必要です。
規制・承認プロセス:SECの滞留と域外代替
米SECのS-1審査は停止・遅延リスクが続きます。新規ETFや増額・仕様変更の承認は後ろ倒しになりやすい局面です。その一方、英国FCAのリテール向けETN解禁が近く予定されています。米国が停滞する間は、域外の受け皿が短期資金の逃避先となる可能性があります。
個別イベント:SolanaのETF判断と資金フロー
10月10日に予定されるSolana現物ETFの判断は、米政府閉鎖の影響を受ける可能性があります。SECの非必須業務が制限されるため、判断の延期や審査期間の延長が起きやすい状況です。結果の確定よりも、手続きの継続や保留が選択される公算が高まっています。
機関投資家は、こうした不確実性を前提にCME先物やETP(上場投資商品)を使い、事前のポジション調整を進めています。結論が出ても出なくても、市場の想定と実際の結果(または延長)の差が短期の値動きを大きくする要因となります。
- SECの制約:閉鎖中は新規承認やS-1の登録有効化が滞留しやすい。
- 二つの手続き:上場には19b-4(取引所規則変更)とS-1(目論見書)の両方が必要。片方が止まると実際の上場は進まない。
- 英FCAの動き:リテール向け暗号資産ETN解禁は米政府閉鎖の影響を受けない。米国外でのアクセス経路が広がる見込み。
- 資金フロー:判断前は派生市場(先物・オプション)とETP経由の建玉調整が中心。
- ボラティリティ:「承認/不承認/延長」のいずれでも、サプライズの度合いが価格変動を左右。
総じて、10月10日は最終決着の期日というより、手続き上の節目として位置づけられます。市場では複数シナリオが意識され、資金の受け皿として英・欧の受託商品も含む選択肢が注目されています。
セキュリティ動向:ハックの“質的変化”に警戒
第3四半期は総損失が減少しましたが、100万ドル超の中規模攻撃が過去最多となりました。狙いはコード欠陥から、運用・ウォレット・端末権限へシフトしています。UnityのAndroid脆弱性など、アプリ権限の悪用はゲーム内ウォレットにも影響し得ます。アップデート適用と権限設計の見直しが重要です。
用語解説
・政府閉鎖:連邦予算の失効で一部機関が業務停止となる状態。
・議事要旨:政策会合の討議内容の要約。市場は語句の変化に敏感。
・S-1:米SECへの有価証券登録届出書。新規ETFの上場に必須。
・ETN:上場投資証券。発行体の信用に依存するデット型の上場商品。
・ETF:上場投資信託。原資産の保有構造が明確なファンド型。
・ボラティリティ:価格変動の大きさ。イベント時に拡大しやすい。
・端末権限の悪用:OSやアプリの権限設定を利用した不正動作のこと。
結論・要点整理
本日の焦点は「ETF資金の再加速と機関フローの広がり」です。 BTCは$122K台で過去最高値目前、SOLはCMEやETP経由の機関買いが目立ちます。規制面ではCoinbaseの連邦信託申請と、英国でのリテール向けETN解禁方針が進みました。
- ビットコイン:$122K台で高値圏。ETFへの資金が再加速。
- ソラナ:CME先物とETPを通じた機関フローが顕著。
- 制度面:Coinbase(米上場の大手暗号資産取引所)の連邦「国家信託」申請が前進。英FCAはリテール向け暗号資産ETNを解禁へ。
- イベント・政策:米政府閉鎖の長期化で統計の空白とSEC審査の滞留が続く見込み。
短期の変動要因は、ETFの資金フローと米欧の政策日程です。中期では、機関投資家の参加拡大と規制の整備速度が、上昇の持続性を左右します。
本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。
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