- 市場はBTC12.23万ドル近辺、時価総額は4.18兆ドルに
- BTCに週次+12億ドルのETF流入、ATH目前観測
- 日本政治の“高市トレード”観測:円安・株高の思惑が台頭
- Solana:機関マネーの受け皿強化(続報)
- 3倍レバETF案が相次ぐ提出、リスク選好の象徴に
- BitwiseがAptos現物ETFをS-1提出、USD1のAptos展開と同時進行
- ステーブルコインの拡張:利回り競争と越境決済の現実解
- オンランプ拡充(続報):Coinbaseの連邦信託申請、Samsung連携、Walmart系OnePay
- オンチェーン動向:ETH財団の資金配分、BTCの再蓄積サイン
- 規制・地政と市場構造:ロシアの主権型インフラ、米政府閉鎖の余波、予測市場の限界
- 直近イベント:中銀文書とCPI、国内では日銀関連日程に注目
- 結論・要点整理
市場はBTC12.23万ドル近辺、時価総額は4.18兆ドルに
日本時間2025年10月5日(日)9:37時点の集計では、暗号資産の総時価総額は4.18兆ドルです。24時間出来高は1,967.9億ドルでした。ビットコイン(BTC)は122,354.3ドルで、小幅高(24時間+0.20%)。イーサリアム(ETH)は4,489.78ドルで小幅安(24時間-0.25%)です。市場のシェアは、BTC58.3%、ETH13.0%でした。
価格サマリー(日本時間 10/5 9:37)
主要銘柄の足元の水準です。数値はいずれも同時点の公表値に基づきます。
- BTC:122,354.3ドル(24時間+0.20%、7日+11.56%)
- ETH:4,489.78ドル(24時間-0.25%、7日+11.73%)
- BNB:1,151.59ドル(24時間-2.20%、7日+19.04%)
- SOL:228.054ドル(24時間-1.66%、7日+12.12%)
- USDT:1.0003ドル / USDC:0.9993ドル
株式・為替・コモディティ(時差に注意)
きょうは日本の現物株が日曜で休場です。以下は米東部時間10月3日の取引終了時点の指標です。日本時間との時差に留意してください。
- S&P 500:6,715.79(+0.01%)
- ナスダック総合:22,780.51(-0.28%)
- VIX:16.65
- 米ドル/円:147.47前後 / ユーロ/米ドル:1.1741前後
- 金先物(12月):3,908.90ドル / 現物金(XAU/USD):3,886.83ドル
米国では政府機関の一時閉鎖が続いています。再開の時期次第で、規制手続きや市場心理に影響が及ぶ可能性があります。
ポイント早わかり
- 暗号資産の時価総額は4.18兆ドル。出来高は安定圏。
- BTCは12.23万ドルで高値圏を維持。7日ベースで2桁上昇。
- ETHは4,489ドル。主要アルトはまちまち。
- 日本株は休場。米株は小動きで、VIXは16台。
- 為替はドル高・円安方向(147円台)。金は3,900ドル前後。
用語解説
- ドミナンス:市場全体に占める特定通貨の時価総額比率。
- VIX:S&P 500の将来変動率への期待を示す指数。
- XAU/USD:金の現物価格を米ドルで示した指標。
- 終値(クローズ):その市場の取引終了時の値段。
- 24時間出来高:直近24時間の約定金額の合計。
BTCに週次+12億ドルのETF流入、ATH目前観測
現物型ETFの資金動向は、直近の取引週で5日連続の資金流入でした。集計では、ビットコイン向けに約9.85億ドル、イーサリアム向けに約2.34億ドルが加わりました。週を通じて流出は確認されず、取引高は過去最高圏との報告です。資金はブラックロックのIBITを中心に入り、主要銘柄の価格を下支えしています。
5日連続で資金が入った理由
10月3日(金)までの1週間、暗号資産ETFは「オールグリーン」の推移でした。ビットコインETFでは、IBITに7.92億ドルが集まり、FidelityのFBTC、ArkのARKB、VanEckのHODL、BitwiseのBITBも資金を受け入れました。イーサリアムETFも2.34億ドルの純流入で続き、ブラックロックのETHAが中心でした。機関投資家の需要が継続している構図です。
長期指標は強気継続を示唆
オンチェーン・長期指標でも追い風が示されています。コインデスクの整理では、ビットコインの200週移動平均(200WMA)は約5.3万ドルに到達し、実現価格(直近の移動平均取得価格)が約5.4万ドルでこれを上回りました。過去サイクルでは、実現価格が200WMAより上にある局面で、上昇基調が続いた例が多く報告されています。
機関見解:短期の上値余地
英スタンダードチャータードは、足元の需給と資金フローを背景に、短期で13.5万ドル到達の可能性に言及しました。スポットETFの純流入が継続し、企業財務や個人からの買いも増えているとの見立てです。価格は過去最高値圏に近づいたとの指摘がある一方、需給が崩れると調整が速い点には留意が必要です。
押さえておきたいポイント
- ビットコインETFに約9.85億ドル、イーサリアムETFに約2.34億ドルが週次で流入。
- 5営業日連続で流出ゼロ。取引高は過去最高圏との報告。
- 長期指標では実現価格 > 200WMA。過去サイクルでは強気局面で見られた配置。
- スタンダードチャータードは13.5万ドルの短期到達も可能と評価。
用語解説
- 現物ETF:現物の暗号資産を裏付け資産として保有する上場投資信託。
- 純流入(フロー):当日の資金流入額から流出額を差し引いた金額。
- 200WMA:200週移動平均。長期のトレンド把握に使う基準線。
- 実現価格:流通する全BTCが最後に動いた価格の平均。投資家の平均取得コストの近似指標。
- ATH:過去最高値(All-Time High)。
- AUM:運用資産残高。ETFなどの規模を示す指標。
日本政治の“高市トレード”観測:円安・株高の思惑が台頭
自民党の新総裁は高市早苗氏です。市場は積極財政と金融緩和の継続を織り込みつつあります。初期反応として円安・株高に傾くシナリオが目立ちます。暗号資産では、円安ヘッジ需要やリスク選好の回復が意識されています。
為替・株式の初期反応シナリオ
複数の識者は、週明けのドル/円が150円へ接近する可能性を挙げています。株式は「ポジティブサプライズ」との見方が中心です。一方で、先物主導の上昇は反落が速い点に注意が必要です。
- 為替:財政拡張観測と利上げ慎重で円安圧力がかかりやすい。
- 株式:半導体・防衛・インフラ関連に恩恵との指摘が多い。
- 金利:中短期低下と超長期上昇の綱引き。長期金利の方向性に注目。
日銀の利上げ観測と金利カーブ
早期の利上げ観測は後退しやすい局面です。「方向性は政府、手段は日銀」との発言が意識されています。これにより、引き締めペースに歯止めがかかるとの見方があります。超長期は財政拡張思惑で上昇圧力がかかる一方、中短期は買い戻し優勢との指摘です。
暗号資産への波及経路
円安局面では、暗号資産を通貨ヘッジの一部とみる投資家が増える可能性があります。リスク選好の改善は、ビットコインや主要アルトへの資金流入と整合的です。オンチェーンでは、取引所のステーブルコイン残高が高水準との分析が出ています。厚い待機資金は、上昇局面の押し目を支える材料です。
- 通貨ヘッジ:円安時にBTCなどを価値保存手段として選好。
- 流動性:ステーブルコイン残高の増加は買付余力の存在を示唆。
- 連想効果:株高×円安がリスク資産のセンチメントを下支え。
注意点とチェックリスト
週明けの日本株は現物市場の反応が焦点です。短期筋中心の上昇は反落が速い点に留意が必要です。為替では150円の攻防と、当局のスタンスが材料です。金利は30年債入札などの需給イベントの影響が大きい局面です。
- 為替当局:150円接近時の発言や対応。
- 超長期金利:上昇の持続性とカーブ形状の変化。
- 海外フロー:現物株への海外勢買いの有無。
用語解説
- 高市トレード:積極財政+緩和継続を織り込む円安・株高の取引観測。
- 超長期金利:20〜40年などの国債利回り。財政期待で動きやすい。
- 先物主導:先物の値動きが現物市場に先行して影響する状態。
- オンチェーン指標:ブロックチェーン上の残高や資金移動に基づく統計。
- ステーブルコイン:法定通貨に連動する暗号資産。待機資金の受け皿になりやすい。
Solana:機関マネーの受け皿強化(続報)
Solana(SOL)への資金流入観測が続いています。速度と最終性を評価する声が増え、機関投資家の関心が高まっています。価格は$228台でのレンジ推移が続いています。
「新しいウォール街」という評価
Bitwise(米資産運用会社)のCIOは、Solanaを「新しいウォール街」と評しています。理由は高スループットと即時確定に近い最終性です。実行の速さは、トレーディング業務に親和的です。比較検討の起点として、投資家の関心が集まっています。
トークン化と決済の実装余地
ネットワーク性能は、証券トークン化や決済の実装を後押しします。手数料は低水準で、処理の遅延も小さい設計です。発行体や金融機関は、低コストでの大量処理を重視します。こうした要件とSolanaの特性は整合的です。
機関フローの持続性に焦点
前日までの報道では、Solana関連の機関フローが注目されました。英国でのETN拡充や商品化の動きが、受け皿を広げています。市場は、これらの受け皿拡大とネットワーク性能をセットで評価しています。資金流入ストーリーの継続性が焦点です。
短期の価格レンジと確認ポイント
足元の価格は$228台でのレンジです。フローが続くかは、以下の点が手掛かりです。
- 商品面:上場商品(ETF/ETNなど)の拡充状況。
- 利用面:トークン化や決済の実装事例。
- ネットワーク面:処理遅延や手数料の安定性。
用語解説
- 最終性:取引が巻き戻されない確定状態になる性質。
- トークン化:株式や債券などをブロックチェーン上のトークンに置き換える手法。
- ETN:上場投資証券。指数連動を債券形式で提供する商品。
- 機関フロー:運用会社や年金など大口主体からの資金流入。
- Bitwise:米国の暗号資産特化型の資産運用会社。
3倍レバETF案が相次ぐ提出、リスク選好の象徴に
Defianceが3倍ロング/ショートのETF49本を米証券取引委員会(SEC)に申請しました。対象はビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)に連動する商品や、暗号資産関連株です。申請は提出段階であり、承認の可否や時期は未定です。レバレッジ商品の拡大は、市場のリスク選好の強まりを映します。
提出の中身(対象と本数)
今回の申請はロングとインバースの両方を含みます。暗号資産株では、CoinbaseやMicroStrategyなどが想定対象です。さらに、GrayscaleのMini Trust連動や、Volatility SharesのSOL系ETFを参照した構成も含まれます。計49本を束ね、短期の値動きに連動する設計です。別途、LeverageSharesやThemes Trustも3倍系ファンドを準備中と報じられています。
設計の前提(デイリーリセットと留意点)
3倍レバETFは日次リターンの約3倍を目指します。運用は毎日のリセットが前提です。値動きが荒い局面ではボラティリティ・デケイが生じやすく、期間収益が指数の単純3倍から乖離します。短期運用前提の商品であり、長期保有では乖離が拡大する場合があります。
相場との関係(商品拡大が示すもの)
現物ETFの普及で、暗号資産の商品多様化が進みました。3倍系の申請は、取引高と投機需要の高まりを反映します。一方で、ボラティリティ管理や適合投資家の限定性が繰り返し指摘されています。一次資料の更新で目論見書の記載や指数連動手法が修正される可能性があります。
今後の焦点(承認プロセスと開示)
SECの審査はN-1A(登録届出書)に基づきます。リスク開示、指数算出、費用構造、カバー先の透明性が焦点です。承認の有無にかかわらず、レバレッジ系ラインアップは拡充が進む見通しです。市場の熱量と商品設計の安全性の両立が問われます。
用語解説
- Defiance:米系のETF運用会社。高ボラ資産のテーマ商品に強み。
- SEC:米国の証券規制当局。上場審査や開示を監督。
- Coinbase:米上場の大手暗号資産取引所・カストディ事業者。
- MicroStrategy:米ナスダック上場のソフトウェア企業。大規模なBTC保有で知られる。
- Grayscale:米資産運用会社。BTC/ETHのMini Trustなど暗号資産ETPを提供。
- Volatility Shares:米ETF発行体。暗号資産関連のレバレッジ商品を展開。
- LeverageShares:欧州拠点のレバレッジETP発行体。
- Themes Trust:米ETF発行体。テーマ型の新規申請を行う。
- 3倍レバETF:対象の日次リターンの約3倍を目指す上場投資信託。
- インバース:対象の反対方向の値動きに連動する設計。
- デイリーリセット:毎日ポジションを調整し倍率目標を維持する仕組み。
- ボラティリティ・デケイ:上下動が続くと複利の影響で基準価額が目標から乖離する現象。
- N-1A:投資信託の登録届出書。運用方針やリスクを開示。
BitwiseがAptos現物ETFをS-1提出、USD1のAptos展開と同時進行
BitwiseはAptos(APT)現物ETFのS-1を米証券取引委員会(SEC)に提出しました。提出は審査開始段階で、承認の有無や時期は未定です。並行して、WLFIはドル連動型ステーブルコインUSD1のAptos展開を予告しました。BTC・ETH以外のレイヤー1へ受託商品が広がる動きと、ステーブル連携による流動性強化が同時に進む構図です。
ETFの狙い:BTC/ETH以外のL1へ受託商品を拡張
現物ETFは原資産を現物保有し、指標価格への追随を目指します。Aptosが対象となれば、機関投資家は証券口座経由でAPTにエクスポージャーを得られます。一方で、カストディ、価格インデックス、市場監視の枠組みなど、審査項目は多岐にわたります。S-1提出=承認ではなく、開示の精緻化とリスク説明が焦点になります。
ステーブル連携:USD1のAptos展開が流動性を押し上げる可能性
USD1の導入は、チェーン上の決済手段と建値通貨を提供します。これにより、取引ペアの増加やDeFiでの担保利用が見込まれ、オンチェーン流動性の底上げに繋がる可能性があります。もっとも、準備資産の構成、第三者監査、償還手続きなどの開示は重要です。規制準拠と透明性が定着の条件となります。
市場文脈:商品多様化とチェーン選好の可視化
BTC・ETHの現物ETF普及を土台に、投資家の関心はオルタナL1にも広がっています。ETF申請はアクセス手段の整備を、USD1は日常的ユースケースを補完します。受託商品×ステーブルの同時進行は、資金の入口とチェーン内の回流をつなぎ、市場の厚みをつくる動きとして位置づけられます。
用語解説
- Bitwise:米資産運用会社。暗号資産のETF/ETPに注力。
- Aptos(APT):レイヤー1ブロックチェーン。高速実行を志向。
- S-1:新規証券の登録届出書。SECが内容を審査。
- 現物ETF:原資産を保有して指数連動を目指す上場投資信託。
- SEC:米国の証券規制当局。開示と投資家保護を監督。
- WLFI:暗号資産プロジェクト。USD連動のUSD1を計画。
- ステーブルコイン:法定通貨に連動する設計のトークン。
- カストディ:暗号資産の保管・管理サービス。
- 価格インデックス:NAV算定の基準となる参照価格群。
- 市場監視の枠組み:不正取引を抑止する取引所間の監視協定。
ステーブルコインの拡張:利回り競争と越境決済の現実解
利回り付きステーブルの普及観測が強まっています。Stripe(米決済プラットフォーム)のコリソン氏は、利回り共有が銀行預金にも波及すると発言しました。VanEck(米資産運用会社)は9月のチェーン収益が前月比-16%と指摘しました。取引高の鈍化が広範に及んだためです。一方で、TRON(L1)はステーブル決済の厚みを背景に収益基盤を維持する構図です。インドではCoinDCX(国内大手取引所)がルピー連動ステーブルの導入を提案し、送金コストの引き下げを狙います。
利回り付きステーブルが迫る「預金の利回り共有」
利回り付きステーブルは、準備資産の運用益の一部をユーザーへ分配します。国債などの利回りが源泉です。コリソン氏は、この仕組みが支払い体験に浸透すれば、既存の銀行預金も利回り共有を迫られると述べました。結果として、決済と資産運用の境界がさらに薄れます。規制の明確化、開示の厳格化、償還プロセスの信頼性が普及の前提になります。
- 想定される変化:支払い残高にも「利回り」を求める需要の拡大
- 鍵となる論点:準備資産の内訳、監査頻度、分配方式、税務の取り扱い
- 決済面の効果:手数料負担の可視化と、事業者間の価格競争の加速
9月はチェーン収益が減速、TRONは決済需要で下支え
VanEckによると、9月のチェーン収益は合計で-16%でした。ETHは-6%、SOLは-11%、TRONは-37%でした。ボラティリティと手数料の低下が主因です。月次は減少したものの、TRONはステーブル送金に支えられ、決済回廊としての存在感を維持します。手数料が低位でも、トランザクション数が多いと収益が積み上がります。
- 需給の特徴:低手数料×高件数で決済を獲得するモデル
- 競合軸:最終性、停止耐性、手数料一貫性、法人口座の接続性
インド:ルピー連動ステーブルで送金コストの圧縮を狙う
CoinDCXのスミット・グプタ氏は、RBI(インド準備銀行)規制下の100%ルピー裏付けステーブルを提案しました。インドの年間受取送金は1,250億ドル超とされます。氏は、手数料を6~7%から1~3%へ圧縮できる可能性を示しました。UPI(インド即時決済網)と併用すれば、着金速度と透明性の向上も期待されます。家計の可処分所得を押し上げる効果が論点です。
- 制度設計:準備金のINR保有、第三者監査、償還保証
- 政策目標:コスト低減、資本流入の可視化、AML/CFTの強化
用語解説
- 利回り付きステーブル:準備資産の運用益の一部を保有者へ分配する設計。
- ステーブルコイン:法定通貨に連動する価値を目指すトークン。
- オンチェーン収益:プロトコル手数料やMEV由来のネットワーク収入。
- Stripe:グローバルなオンライン決済事業者。
- VanEck:米国の資産運用会社。暗号資産レポートを公表。
- TRON:手数料と処理件数の多さで知られるL1ブロックチェーン。
- CoinDCX:インドの暗号資産取引所。政策提言も行う。
- UPI:インドの即時銀行振替ネットワーク。小口決済に普及。
- RBI:インド準備銀行。金融規制と通貨政策を担う。
- 償還:ステーブルを発行体に返却し法定通貨を受け取る手続き。
オンランプ拡充(続報):Coinbaseの連邦信託申請、Samsung連携、Walmart系OnePay
暗号資産への入口(オンランプ)が広がっています。Coinbase(米上場の大手暗号資産取引所)は、OCCに国家信託の認可を申請しました。Samsung(韓国の大手家電・スマホメーカー)は、GalaxyのWallet/PayにCoinbaseの導線を統合します。さらに、Walmart系のOnePay(モバイルバンキング)は年内にBTC/ETH対応と報じられました。
Coinbase:OCC「国家信託」申請の狙い
申請の狙いは、全米スケールのカストディと清算の提供です。国家信託は州横断で事業がしやすい枠組みです。機関投資家向けの受託サービスを一段と強化できます。
- 想定機能:現物の保管、決済の受託、清算の標準化
- 強み:全国展開と規制準拠の明確化
- 留意点:最終認可の可否と条件、既存子会社との役割整理
Samsung:端末ネイティブの導線を整備
SamsungはGalaxy Wallet/PayからCoinbaseに接続します。端末内でのKYC開始や購入導線が短くなります。オンランプの摩擦が減り、初回体験が平易になります。
- 効果:アプリ切替の減少と完了率の向上
- 対象:スマホ利用者と新規ユーザーの獲得
Walmart系OnePay:量販×フィンテックの集客導線
OnePayは年内にBTC/ETHをアプリで扱う計画です。実装はZerohash(デジタル資産インフラ)の接続と報じられています。カードや貯蓄機能と同居し、利用動線が一本化されます。
- 想定機能:売買、保有、法定通貨への変換
- 小売連動:残高を支払いに転用する設計の検討
- 不確定要素:手数料、州別の提供範囲、段階導入の可能性
三つの動きは共通して入口の太さを拡大します。取引所、端末、量販系フィンテックが役割を補完します。規制準拠の明確化が、導線の量と質を左右します。
用語解説
- オンランプ:法定通貨から暗号資産を購入する入口。
- OCC:米通貨監督庁。銀行監督と信託認可を担う。
- 国家信託(National Trust):州をまたぐ信託業務の許可形態。
- カストディ:資産の保管と管理を受託する業務。
- 清算:約定後の資金と資産の受け渡し処理。
- Samsung Wallet/Pay:Galaxy向けのウォレットと決済機能。
- OnePay:Walmart系のモバイルバンキングアプリ。
- Zerohash:暗号資産のカストディや決済のB2B基盤。
- KYC:利用者の本人確認。規制上の要件。
オンチェーン動向:ETH財団の資金配分、BTCの再蓄積サイン
ETH財団:1,000ETHをステーブル化し資金用途を確保
Ethereum Foundation(イーサリアムの中核を支える非営利団体)が、1,000 ETHをステーブルコインへ交換しました。記録はオンチェーンで確認されています。目的は、助成や運営費などの法定通貨建てコストに備えるためです。市場変動の影響を抑え、支出計画の確度を高めます。
交換にはCoWSwap(分散型取引アグリゲーター)が使われました。分散型の経路選択により、スリッページの抑制が期待できます。プロトコルの売り圧は限定的で、板の厚みを大きく崩さない設計です。
- 狙い:ボラティリティ回避と支出の安定化
- 手段:DEXアグリゲーター経由でのステーブル化
- 短期影響:スポットの売り圧は限定的になりやすい
BTC:UTXOが17カ月ぶり低水準で「再蓄積」を示唆
ビットコインはUTXOの一部指標が17カ月ぶりの低水準となりました。小口の出力が減り、コインの分散が進みにくい局面です。長期保有者の再蓄積が続くシグナルと解釈されます。
この状態では取引所に戻る供給が相対的に減ります。需給はタイト化しやすく、価格変動が拡大しやすい面もあります。ただし、オンチェーン指標は確率的な示唆にとどまります。他のデータとの併用が必要です。
- 示唆:LTH(長期保有)の比率上昇
- 板影響:指値の薄い価格帯ができやすい
- 留意:オンチェーン単独では断定不可
休眠ウォレットの起床:9月に約2,804 BTC、約3.42億ドルが移動
9月は初期アドレスの休眠ウォレットが活発化しました。2011〜2017年に作成されたウォレット70件から、計約2,803.62 BTCが移動しました。移動時点のレート換算で約3.42億ドル相当です。
古いコインの移動は、売却の前段となる場合があります。一方で、セキュリティ再整備や相続・管理移転の可能性もあります。短期のフロー方向は、取引所流入の有無で評価が変わります。
- 供給面:フリーフロートの増減に直結
- 価格面:取引所流入が増えると売り圧要因
- 監視点:移動先が取引所か自己保管か
用語解説
- Ethereum Foundation:イーサリアム開発・助成を担う非営利団体。
- ステーブル化:保有資産を価格が安定した通貨・トークンへ交換すること。
- CoWSwap:複数のDEXを横断して最適な約定を探すアグリゲーター。
- UTXO:未使用トランザクション出力。BTCの最小残高単位。
- 再蓄積:市場参加者がコインを買い集め、保有を増やす局面。
- 休眠ウォレット:長期間、送受信がなかったアドレス群。
- フリーフロート:市場で自由に流通する供給量。
規制・地政と市場構造:ロシアの主権型インフラ、米政府閉鎖の余波、予測市場の限界
ロシア:資格投資家向けの「主権型」暗号インフラを前進
ロシア当局は、国内で完結する資格投資家向けインフラの整備を急いでいます。取引、清算、保管の各レイヤーを自国管轄下に置く構想です。狙いは、制裁リスクの遮断と、トークン化や決済を国内で回す体制の確立です。
主権型の枠組みは、市場のリージョン分断を強めます。流動性は地域プールに分かれ、価格発見は複線化します。一方で、国家が定めるルールに沿うため、参加条件は限定されます。越境フローはコンプライアンスの確認がより厳格になります。
- 短期:参加者が限定され、板は厚くなりにくい
- 中期:国内RWAや決済で実需が積み上がる可能性
- 留意:国際接続の方法次第で裁定機会が不安定化
米政府閉鎖の余波:ETFとルール形成の遅延リスク
米国の政府機関閉鎖が長引く場合、暗号資産のETF上場や規則策定は遅れやすくなります。SEC(米証券取引委員会)の審査体制は縮小し、19b-4やS-1の処理は滞りやすい状況です。短期で再開されれば影響は限定的ですが、数週間超の長期化は不確実性を高めます。
議会側の審議も停滞します。市場構造法案のマークアップは先送りになりやすく、政策の先行きは読みにくくなります。結果として、発行体は開示計画の再調整を迫られ、投資家はスケジュールの可視性を失いやすくなります。
- 即影響:ETFの最終手続きが遅延しやすい
- 波及:税制・監督ガイダンスの公表も後ろ倒し
- 市場面:イベントドリブンのフローが減少
予測市場の限界:日本の総裁選でPolymarketが外した背景
日本の自民党総裁選では、オンチェーン予測市場のPolymarketが結果を外しました。市場は小泉氏優勢を強く織り込みましたが、最終的に高市氏が勝利しました。党内の派閥力学や決選投票の駆け引きは、公開情報だけでは読み取りにくい構造です。
予測市場は集合知を集約しますが、情報が非公開領域に偏ると精度は落ちます。国内政治の意思決定は、世論投票とは違うメカニズムで動く場合があります。価格の事前予見性に過度な期待を置くことは適切ではありません。
- 示唆:内部交渉や票読みは外部から観測しにくい
- 限界:市場価格は確率の瞬間値でしかない
- 応用:他データと組み合わせた解釈が必要
用語解説
- 主権型インフラ:取引・清算・保管を自国規制下で完結させる市場基盤。
- 資格投資家:一定の資産・知識を満たす投資家。参加要件が厳格。
- 政府機関閉鎖:連邦予算未成立により一部機関が業務停止となる状態。
- SEC:米国の証券監督当局。ETF審査や市場規則の承認を担う。
- 19b-4/S-1:上場規則変更の申請書/新規証券登録届出書。
- Polymarket:オンチェーンで賭けによる確率予測を集約する市場。
- 集合知:多人数の判断を集約した知見。情報の偏りで精度が変動。
直近イベント:中銀文書とCPI、国内では日銀関連日程に注目
主なスケジュール(日本時間・JST)
今週(10/6〜10/12)は、中央銀行の文書公表や講演、雇用指標が続きます。加えて、米政府閉鎖の行方がヘッドラインを左右します。暗号資産はニュースに反応しやすい地合いです。時刻は変更の可能性があるため、直前の発表を確認してください。
- 10月6日(月):日銀支店長会議・地域経済報告(さくらレポート)公表。
- 10月8日(水):植田総裁講演。金利と物価の評価に注目が集まります。
- 今週中(10/6〜10/12):RBNZ政策金利、FOMC議事要旨、ECB議事要旨、カナダ雇用統計が公表予定。
- 来週(10/13〜10/19):米CPI(消費者物価指数)。金融政策の見通しに直結します。
注目テーマと市場へのつながり
中銀文書は、利下げペースやバランスシート方針の手掛かりになります。金利観測が動くと、ドル指数と米金利が変動し、BTC/ETHの資金流入に波及します。
日銀イベントは、円金利と為替に直結します。円安が強まる場合、国内投資家の外貨建て資産需要が意識され、暗号資産のリスク選好にもつながりやすくなります。
米政府閉鎖が長期化すると、ETFやルールメイキングの処理が遅延しやすくなります。イベントドリブンのフローは減少し、発表一つで価格が振れやすい状態が続きます。
用語解説
- RBNZ:ニュージーランド準備銀行。政策金利(OCR)を決める中銀。
- FOMC議事要旨:米連邦公開市場委員会の討議記録。金利の先行きに示唆。
- ECB議事要旨:欧州中央銀行の会合記録(アカウント)。金融政策の論点を整理。
- カナダ雇用統計:月次の雇用者数・失業率。景気の強弱を映す。
- CPI:消費者物価指数。インフレ率の代表指標で金利に影響。
- 支店長会議:日銀が各地域の景況感を集約する会議。
- 地域経済報告(さくら):日銀が地域別の景気判断を公表する文書。
- 政府閉鎖:米連邦予算の未成立で一部機関が業務停止となる状態。
結論・要点整理
本日のポイントを簡潔に整理します。
- ETF資金の再加速:週次で約12億ドル流入。内訳はBTC約9.85億ドル、ETH約2.34億ドル。5日連続の純流入が続きました。
- 日本政治と為替:自民党新総裁の決定で「円安・株高」観測が台頭。為替経路を通じた暗号資産への資金配分に注目が集まります。
- Solanaの機関ストーリー:高速処理と確定の速さが評価され、「トークン化/決済」の受け皿としての期待が継続。価格はおおむね228ドル近辺で推移しました。
- レバレッジETFの拡張:3倍ロング/ショート案が複数提出。短期運用を前提とする設計が中心で、市場のリスク許容度の高まりを映します。
- 受託商品の裾野拡大:BitwiseがAptos現物ETFのS-1を提出。並行してUSD1のAptos展開が予告され、流動性の接続強化が進みます。
- オンランプの強化:Coinbaseの連邦信託申請、Samsung端末連携、Walmart系OnePayのBTC/ETH計画が報じられ、入口チャネルが広がっています。
- オンチェーンの所見:Ethereum Foundationが1,000ETHをステーブル化。BTCはUTXO数の低下や休眠資産の移動が見られ、板の流動供給に偏りが出ています。
- 規制・地政の不確実性:ロシアの主権型インフラ整備、米政府閉鎖の影響、予測市場の読み違いなど、制度面のノイズが残ります。
- 直近イベント:今週はRBNZ、FOMC/ECB議事要旨、カナダ雇用。来週は米CPI。国内は日銀支店長会議・地域経済報告・総裁講演が続きます。
総括:当面の主軸は「ETF資金の再加速」と「日本政治のサプライズによる円安・株高観測」です。今週の中銀文書と来週の米CPIを前に、流動性の行き先と為替の影響に着目してください。
本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。
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