- 本日のポイント
- 市場概況:BTC10.6万ドル台、時価総額.61兆・ドミナンス59%
- レバ解消とマイナー売りが重石:オプション清算の余波+51,000BTC移動
- 日本の3メガバンク、円連動ステーブル構想:相互運用の共通基盤を整備
- StripeのL1「Tempo」、5億ドル調達・時価総額50億ドル評価:決済最適化を掲げる新陣営
- フランス当局がAML検査を拡大:MiCA認可選別へ、Binanceなど数十社対象
- RWAとポストトレード:BNBチェーンで億MMFをトークン化、Nasdaq計画に透明性要求
- 政策・公的セクター:米のBTC押収とフロリダ年金案が示す制度化の射程
- セキュリティ:北朝鮮系が「EtherHiding」でスマコン悪用、JSマルウェア連鎖
- 個別銘柄・プロトコル:運用障害や売り圧で分散安、資金フローは選別
- 今後の注目:来週の中国GDP・日米CPI、MiCA選別とマイナー動向
- まとめ:本日の要点
本日のポイント
一言要約:清算ショックの余波+マイナー売りで戻りが鈍化。いっぽうで、円連動ステーブル構想・Tempo資金調達・EUのAML強化・RWA進展が同時進行。来週は中国GDP/日米CPIとMiCA選別が方向感のカギ。日本は土曜日で国内現物株は休場です。
今日のハイライト
- 市場概況: 時価総額 $3.61兆/出来高 $255.18B。BTC $106,665(-1.94%)、ETH $3,836(-2.20%)。BTCドミナンス 59%。
- 需給悪化: 約$19Bの清算後、マイナーが51,000BTCを取引所へ移動。戻りは重い。
- 日本: 3メガバンクが円ペッグ型ステーブルの共通基盤を構想。初期ユースは三菱商事の決済実証。
- 決済×ブロックチェーン: StripeとParadigm主導のL1「Tempo」が$500M調達(評価額$5B)。新規L1是非を巡る議論も。
- 規制: フランス当局がAML/CFT検査を拡大。MiCA認可の選別色が強まる。Binanceは協力姿勢。
- RWA・ポストトレード: BNBチェーンで$38億のMMFをトークン化。Nasdaqの上場案には透明性を求める声(Ondo)。
- 政策: 米政府が約13万BTC押収を公表。フロリダHB183は年金等の最大10%をデジタル資産に配分可能と提案。
- セキュリティ: 北朝鮮系「EtherHiding」に注意。正規サイト改ざん×スマコン悪用の多段攻撃。
- 個別・指数: dYdX/LINK/HBARが軟調。CoinDesk 20 -2.6%で広く下落。
イベント&観測
- 10/20 中国GDP・10/24 日本/米CPI:インフレと景気の強弱がリスク選好を左右。米CPIはボラ要因。
- ユーロ圏HICP(確報): ヘッドライン2.2%(予想一致)、コア2.4%(予想2.3%上振れ)。金利観測はややタカ派寄りに。
- マイナー動向: ハッシュ価格の低下と難易度高止まり。AI/HPC転用の収益化が注目。
- インフラ: ポストトレードの透明性とステーブル実装時期が機関導入のカギ。
数値スナップショット(日本時間 10/18 9:31)
- 時価総額: $3.61兆 / 出来高: $255.18B
- BTC: $106,665(24H -1.94%) / ETH: $3,836(24H -2.20%)
- ドミナンス: BTC 59%/ETH 12.9%
- 主なアルト: BNB $1,075.20(-6.40%)/XRP $2.3097(-1.15%)/SOL $182.866(-1.77%)
- 米株(10/17 NY終値): ダウ +0.52%/S&P500 +0.53%/ナスダック +0.52%/VIX 20.78(-17.90%)
- 為替: USD/JPY 150.61 / 金: XAU/USD $4,249.98(-1.76%) / WTI: $57.54(+0.14%)
詳しくは本文各セクションへ。
市場概況:BTC10.6万ドル台、時価総額.61兆・ドミナンス59%
きょうの暗号資産サマリー
日本時間10月18日(土)9:31時点の概況です。市場全体はやや弱含みです。ビットコインは10.6万ドル台で推移し、戻りは鈍い状況です。出来高は平常域で、ドミナンスは高止まりです。
- 時価総額:$3.61兆
- 24時間出来高:$255.18B
- BTC:$106,665(24h -1.94%)
- ETH:$3,836(24h -2.20%)
- BTCドミナンス:59%(ETHシェア12.9%)
- 主なアルト:BNB $1,075.20(-6.40%)/XRP $2.3097(-1.15%)/SOL $182.866(-1.77%)
ビットコインの直近推移
日足では10月10日に-7.22%の下落が発生しました。その後も10月14日から17日にかけて下げが続きました。10月18日は取引未終日のため、始値$106,469.4などレンジ情報が参考値となります。短期的には戻り売りを意識した値動きが続いています。
株式・為替・コモディティ(時間に注意)
以下は米国現地10月17日引け値、欧州は同日午前~昼の取引時間帯の数値です。日本は土曜日で休場です。為替・コモディティは板情報の更新時刻に基づく参考値です。
- 米株:ダウ +0.52%/S&P500 +0.53%/ナスダック +0.52%
- VIX:20.78(-17.90%)―直前の警戒感が後退
- 欧州:DAX -1.82%、FTSE100 -0.86%、ユーロ・ストックス50 -0.77%
- 為替:USD/JPY 150.61(円安方向)/EUR/USD 1.1650
- 金(XAU/USD):$4,249.98(-1.76%)
- WTI原油:$57.54(+0.14%)
米株は小幅高で引け、ボラティリティは低下しました。一方、欧州は総じて軟調です。金は下落し、原油は小幅に上昇しました。為替はドル高・円安基調が続いています。
用語解説
- 時価総額:暗号資産全体の評価額合計(価格×流通量)。
- 出来高:一定期間の取引額や数量。ここでは24時間の概算額。
- ドミナンス:市場全体に占める特定通貨の時価総額比率。
- VIX:S&P500のオプションから算出する期待ボラティリティ指数。
- XAU/USD:金の対米ドル価格の代表的指標。
- 引け値:その日の取引終了時点の価格。
レバ解消とマイナー売りが重石:オプション清算の余波+51,000BTC移動
何が起きたか
下落の主因はレバレッジ解消です。先週はおよそ190億ドル規模の清算が発生しました。JPMorgan(米大手投資銀行)は、中心は「クリプトネイティブの建玉縮小」と分析しています。現物ETFやCME先物の強制売りは限定的でした。一方で、無期限先物の建玉が大きく減少し、価格を押し下げました。
マイナーの動きと資金フロー
売り圧力はマイナー(採掘者)の動きでも強まりました。10月9日から15日にかけて、マイナーのウォレットから約51,000BTCが取引所へ移動しました。データ出所はCryptoQuant(オンチェーン分析企業)です。主な移動先はBinance(世界最大級の暗号資産取引所)でした。10月11日には1日で14,000BTC超の入金が確認されています。現金化や担保目的の可能性があり、戻りを抑える要因になっています。
背景:採算悪化(ハッシュ価格低下と難易度)
マイナーの収益性は悪化しています。ハッシュ価格(計算力1単位あたりの収益)は約45ドルまで低下しました。ネットワークの難易度は9月に高水準を更新し、その後の下げは小幅です。4月の半減期でブロック報酬は3.125BTCになりました。取引手数料も低迷しています。平均は1ブロックあたり0.036BTCです。収益圧迫が売り圧力につながっています。
相場への影響
強制ロスカットの余波とマイナーの売り観測が重なりました。短期の需給は重く、戻り局面では上値が抑えられやすい状況です。難易度が高止まりするかぎり、収益の改善は限定的です。新規の買い需要が強まらない場合、上向きへの転換は時間がかかります。
用語解説
- JPMorgan:米国の大手投資銀行。市況分析レポートを定期的に公表。
- Binance:世界最大級の暗号資産取引所。現物とデリバティブを提供。
- CME(シカゴ・マーカンタイル取引所):米先物取引所。ビットコイン先物などを上場。
- CryptoQuant:オンチェーンデータを提供する分析企業。
- レバレッジ解消:借入や証拠金取引のポジションを縮小すること。
- 清算(ロスカット):証拠金不足で取引所が強制的に決済する仕組み。
- 無期限先物(パーペチュアル):満期がない先物。資金調達料で価格を調整。
- ハッシュ価格:マイニング計算力1単位あたりの想定収益。
- 難易度:ビットコインのブロック生成の難しさ。参加計算力で自動調整。
- 半減期:新規発行量(ブロック報酬)が半分になるイベント。
日本の3メガバンク、円連動ステーブル構想:相互運用の共通基盤を整備
要点
三菱UFJ・三井住友・みずほの3グループが、企業間決済向けの円ペッグ型ステーブルコインを共同で構想しています。共通の技術仕様と運用ルールを定め、各行の顧客間で相互送金できる仕組みを目指します。初期の実証では三菱商事が利用者となり、企業の資金決済で運用テストを行う見通しです。将来は米ドル連動版の検討も報じられています。発行や保管は国内の規制順守を前提とし、準備資産の管理とカストディ体制を重視します。
狙いと初期ユース
狙いは、企業間の資金移動を速くし、手続きを簡素化することです。現在は銀行やプラットフォームごとに標準が異なり、運用が複雑になりがちです。共通基盤を用いることで、複数行の顧客間でも同じ手順で送金できます。初期ユースは三菱商事の決済フローで検証します。ここで運用ルール、コンプライアンスチェック、流動性管理を実データで確認します。
技術と規制の枠組み
計画では、銀行間で動くトークン化されたデジタル現金を想定します。技術面は相互運用性(インターオペラビリティ)を最優先に据えます。これにより、参加行が同じ標準で発行・償還・送金を行えます。基盤には、MUFGが主導するトークン化プラットフォーム「Progmat(プログマ)」の活用が取り沙汰されています。いずれも報道段階ですが、完全裏付け型の発行と、国内ルールに沿った保全・決済プロセスが前提とされています。
市場インパクト
3行は国内の大企業ネットワークを広くカバーします。報道では、取引先への広い波及効果が見込まれます。実証が進めば、サプライヤー決済や海外送金の効率化に広がる可能性があります。一方で、運用の詳細や開始時期はまだ未確定です。欧州でも複数銀行がユーロ建てステーブルの構想を進めており、各地域で銀行主導のトークン化が並行して進展しています。
用語解説
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG):国内最大級の金融グループ。トークン化基盤「Progmat」を主導。
- 三井住友フィナンシャルグループ(SMFG):国内大手の金融グループ。法人取引に強み。
- みずほフィナンシャルグループ(みずほFG):国内大手の金融グループ。決済や外為に強み。
- 三菱商事:総合商社。原材料やインフラなど幅広い商流を持つ。
- ステーブルコイン:法定通貨などに連動する設計の暗号資産。価格変動を抑える狙い。
- 相互運用性(インターオペラビリティ):異なる組織・システム間で同じルールでやり取りできる性質。
- カストディ:資産の保管・管理を担う業務。銀行や専門会社が担当。
- Progmat(プログマ):MUFG陣営が進めるトークン化・発行管理のプラットフォーム。企業や金融機関が参加。
StripeのL1「Tempo」、5億ドル調達・時価総額50億ドル評価:決済最適化を掲げる新陣営
要点
Stripe(米決済大手)とParadigm(暗号資産VC)が主導する 決済特化型レイヤー1(L1)「Tempo」が、$500Mの資金調達を実施しました。 評価額は$5Bです。狙いは、ステーブルコインや 実世界決済に最適化したブロックチェーン基盤の提供です。 一方で、「新たなL1は不要」との反発もあり、議論が活発化しています。
プロジェクトの狙い
Tempoは、高頻度の小額決済や安定的な清算を想定します。 既存チェーンの混雑や手数料の変動に左右されにくい運用を目標とします。 Stripeの決済網で進むステーブルコイン送金や、 加盟店向けの即時決済を支える基盤として設計を進めます。
体制と人材
資金調達はGreenoaksとThrive Capitalが主導し、 Sequoia Capital、Ribbit Capital、SV Angelが参加しました。 StripeとParadigmは今回、追加出資を行っていないとされます。 さらに、Ethereum Foundation(イーサリアムの研究支援団体)の研究者 Dankrad Feist氏が参画しました。氏はアドバイザーとしてEFに残りつつ、 Tempoでの知見をオープンソース技術として還元する姿勢を示しています。
賛否・論点
支持派は、決済用途に特化した設計により、 確定性(ファイナリティ)やスループットの向上が見込めると評価します。 一方で、批判派は「EthereumのL2として構築すべきだった」と指摘します。 独自L1はバリデータ(検証ノード)運用やセキュリティ確保のコストが大きく、 中央集権化の懸念や規制上の負担を招く可能性があるためです。
市場への影響
Tempoはステーブル決済×トークン化の覇権競争を刺激します。 Circle(USDCの発行企業)や、銀行主導の法定通貨トークンの構想と 競合する構図が強まります。ローンチ時期は未公表で、 まずは開発体制の拡充と決済事業との接続が焦点です。
用語解説
- Tempo:StripeとParadigmが主導する、決済最適化を掲げる新しいレイヤー1ブロックチェーン。
- Stripe:グローバル決済プラットフォーム大手。オンライン決済や加盟店向けサービスを提供。
- Paradigm:暗号資産・Web3分野に特化したベンチャーキャピタル。
- Greenoaks:米系の成長株投資ファンド。テック企業への大型投資で知られる。
- Thrive Capital:米ベンチャーキャピタル。フィンテックやSaaSへの出資実績が多い。
- Sequoia Capital:米大手ベンチャーキャピタル。IT・インターネット分野の投資で著名。
- Ribbit Capital:フィンテック特化のベンチャーキャピタル。決済・金融APIに強み。
- SV Angel:米エンジェル投資ファンド。創業初期のテック支援で知られる。
- Ethereum Foundation:イーサリアムの研究・標準化・資金助成を担う非営利団体。
- Dankrad Feist:イーサリアムのデータ可用性やスケーリング領域で実績のある研究者。
- レイヤー1(L1):アプリが直接動く基盤チェーン。L2はその上位の拡張層。
- ステーブルコイン:法定通貨に価値を連動させた暗号資産。価格変動を抑える設計。
- USDC:Circleが発行する米ドル連動型のステーブルコイン。
- バリデータ:取引の検証・ブロック生成を担うノード運用者。
- 確定性(ファイナリティ):取引が覆らない状態に達する性質。決済の信頼性に直結。
フランス当局がAML検査を拡大:MiCA認可選別へ、Binanceなど数十社対象
要点
フランス当局がマネロン対策(AML)検査を拡大しました。対象は登録済みの暗号資産事業者100社超です。主導はACPR(健全性監督・破綻処理機構)で、結果はAMF(金融市場庁)と共有されます。内部統制や人員・ITの強化が求められ、是正できない企業は制裁やMiCA認可の不許可の可能性があります。
検査の狙いと対象
狙いはAML/CFT(マネロン・テロ資金対策)の実効性確認です。検査は昨年後半に開始され、現在は数十社規模で精査が進みます。Binance(グローバル大手取引所)も対象に含まれます。企業ごとの体制や記録管理を点検し、将来のEU全域でのMiCAライセンス付与の材料とします。
求められる対応
当局は以下の強化を求めます。
- コンプライアンス部門の増強(人員・権限・研修)
- IT・セキュリティ体制の改善(監視、ログ、アクセス管理)
- リスク管理プロセスの明確化(顧客管理、疑わしい取引届出)
検査後は是正期間が与えられます。改善が不十分な場合、制裁やMiCA認可の見送りにつながります。
影響と見通し
フランスの判断はEU全域の実務標準に影響します。すでに一部の事業者はMiCA認可を取得しています。今後は体制整備の速度と透明性が競争力になります。Binanceは協力姿勢を示しており、各社の対応力が試される局面です。
用語解説
- ACPR:フランスの健全性監督・破綻処理機構。金融機関の内部管理を監督。
- AMF:フランス金融市場庁。市場ルールと投資家保護を担う規制当局。
- AML/CFT:マネーロンダリング・テロ資金供与対策。KYCや取引監視を含む。
- MiCA:EUの暗号資産包括規制。発行体・事業者のライセンス制度を整備。
- Binance:世界最大級の暗号資産取引所。欧州での規制対応を進める。
- Deblock/GOin/Bitstack:フランスでMiCA認可を得たとされる事業者群。
- CACEIS:クレディ・アグリコル系の資産管理子会社。カストディに強み。
RWAとポストトレード:BNBチェーンで億MMFをトークン化、Nasdaq計画に透明性要求
要点
実世界資産(RWA)のオンチェーン化が二つの動きで進んでいます。アジアではBNBチェーン上で$38億規模の米ドル建てマネーマーケットファンド(MMF)がトークン化されます。一方、米国ではNasdaqのトークン化証券上場計画に対し、清算インフラの透明性を巡る議論が高まっています。両者は「資産を載せる」点で同じですが、運用先とポストトレード(清算・保管・移転)の設計が対照的です。
BNBチェーンで億MMFをトークン化:DeFi担保にも接続
CMBインターナショナル資産管理は、BNBチェーンと連携し、USDマネーマーケットファンド(約$38億)のファンド持分をトークン化します。実装はDigiFTとOnchainが支援し、スマートコントラクトを通じてサブスクリプション(購入)とリアルタイム償還を実現します。投資家は法定通貨またはステーブルコインで参加できます。
トークンはCMBMINT/CMBIMINTとして発行され、適格投資家向けに配布されます。加えて、Venus ProtocolやListaDAOなどのDeFiと連携し、担保としての活用や利回り戦略への接続が想定されています。これにより、24時間稼働の流動性とプログラム可能な償還が両立します。
Nasdaqのトークン化証券計画に「設計の公開」を要求
Ondo Financeは、米SEC(証券取引委員会)に対し、Nasdaqのトークン化証券上場案の承認を一時見送りにするよう要請しました。理由は、DTC(Depository Trust Company)が担う予定のトークン化清算モデルの詳細が公開されていないためです。設計が不透明だと、大手だけが有利になる懸念や、新規参入が不利になる懸念が残ります。
RWAはすでにオンチェーン残高$340億規模まで拡大しています。だからこそ、市場参加者全員が参照できるルールや相互運用が重要です。Ondoは「ポストトレードの配線(post-trade plumbing)が閉じていると、従来の壁をそのままブロックチェーンに持ち込む」と指摘します。
共通点と相違点:同じRWA、違う配線
両者は伝統資産をオンチェーンに乗せる点で一致します。しかし、BNBチェーン側はDeFi連携と即時性を前面に出します。Nasdaq側は既存の清算・保管網にトークン化層を重ねる発想です。前者は流動性プールや担保利用が早く広がる一方、適格投資家中心などの制約が残ります。後者は制度互換性が高い反面、設計の透明性と相互運用の担保が問われます。
用語解説
- RWA(実世界資産):株式や債券、MMFなどの伝統資産をトークン化して扱う概念。
- BNBチェーン:BNBエコシステムのパブリックブロックチェーン。手数料とスループットに強み。
- CMBインターナショナル資産管理:中国・招商銀行系の資産運用会社。
- DigiFT/Onchain:トークン化やスマートコントラクト実装を支援するプロジェクト/事業者。
- Venus Protocol:BNBチェーン上のレンディング(貸借)プロトコル。
- ListaDAO:BNBチェーンのステーブル・担保戦略を提供するDeFiプロトコル。
- Nasdaq:米国の主要証券取引所。トークン化証券の上場案を検討。
- SEC:米国証券取引委員会。証券市場の規制当局。
- DTC(Depository Trust Company):米国の中央保管・清算機関。ポストトレードの中核。
- Ondo Finance:RWAやトークン化資産に注力するDeFi企業。
- MMF(マネーマーケットファンド):短期の安全資産で運用する投資信託。高い流動性が特長。
政策・公的セクター:米のBTC押収とフロリダ年金案が示す制度化の射程
要点
米政府の大規模ビットコイン押収と、フロリダ州の公的年金でのデジタル資産配分案が同時に進み、制度面での受け皿が広がっています。前者は約13万BTC(約150億ドル)という過去屈指の規模です。後者は公的年金などに最大10%までの配分を認め、ETFやトークン化証券も対象に含めます。いずれも「公的主体が資産としてどう扱うか」という論点を具体化させる動きです。
米政府:史上最大級の押収と今後の扱い
米政府は約13万BTCの押収を公表しました。規模は過去最大級で、事件の被害者補償が優先されます。補償後の残余については、売却か保有かで議論が生じています。米政府はこれまでも、押収資産を米連邦保安局(U.S. Marshals Service)がオークション等で処分した前例があります。今回も手続きや市場への影響が注視されています。
フロリダ州:公的年金に最大10%の配分を再提案
フロリダ州ではHB183が再提出され、公的年金や州関連基金にデジタル資産を最大10%まで配分できる枠組みが提案されています。対象にはビットコイン現物ETFなどの上場投資信託や、トークン化証券が含まれます。提案は分散投資の選択肢を拡大する狙いで、運用主体の受託者責任(フィデューシャリー・デューティ)やリスク管理を前提としています。
示唆:公的主体の「関与の深まり」
米政府の押収は、捜査・没収といった執行面での関与の深まりを示します。一方、フロリダ案は、公的資金の投資対象としての位置づけを前進させます。両者はアプローチが異なりますが、結論は共通です。すなわち「ビットコインやトークン化資産が、公的制度の枠内で扱われる前提が整いつつある」という点です。市場にとっては、需給(売却・配分)と制度化(運用ルール)の両面で注目材料になります。
用語解説
- 米司法省(DOJ):米国の法執行機関。犯罪収益の没収・返還手続きを所管。
- 米連邦保安局(U.S. Marshals Service):押収資産の管理・売却を担当する連邦機関。
- HB183:フロリダ州下院法案。公的年金などにデジタル資産の最大10%配分を認める提案。
- ETF(上場投資信託):取引所で売買できる投資信託。ビットコイン現物ETFは現物を裏付けにする。
- トークン化証券:有価証券をブロックチェーン上のトークンとして発行・管理する仕組み。
- 受託者責任:運用者が受益者の利益を最優先に行動する義務。
セキュリティ:北朝鮮系が「EtherHiding」でスマコン悪用、JSマルウェア連鎖
要点
Googleの脅威情報チームが、新手法「EtherHiding」を警告しました。攻撃者は正規サイトの改ざんと、スマートコントラクトに埋め込んだ悪性コードを連動させます。勧誘は偽の採用テストなどのソーシャル工学が中心です。侵入後はJADESNOWなどのJavaScript型マルウェアで長期潜伏し、暗号資産や機密情報の窃取を狙います。
攻撃の仕組み:サイト改ざん × スマコン「読み取り」
手口は二段構えです。まず、攻撃者が正規サイトにローダー用スクリプトを仕込みます。次に、そのスクリプトがブロックチェーン上のスマートコントラクトへアクセスします。
ここで特徴的なのは、取引を発生させない読み取り関数を使う点です。台帳に記録を残さず、費用もほとんどかかりません。攻撃者は悪性ペイロードをスマコン側に保持し、必要に応じて更新します。ブロックチェーンが「分散型のデッドドロップ」として機能するため、テイクダウンが難しい構造になります。
勧誘の型:偽求人・面談・課題提出で誘導
勧誘は開発者やクリプト関係者を狙います。LinkedInでの接触から、TelegramやDiscordに誘導する流れが多いとされます。次に、コーディング課題の名目でGitHubなどの外部リポジトリからファイルのダウンロードを求めます。
別パターンでは、ビデオ通話中に偽のエラーを見せ、「修正パッチ」の導入を促します。いずれのパターンでも、実体はマルウェアの導入です。感染後はJADESNOWなどが実行され、ウォレット情報や認証情報が狙われます。
多段マルウェア:情報窃取と長期侵入を分担
報告では、初期段階のダウンローダの後に、BeaverTailやJADESNOWが連続投入されます。最終段階ではInvisibleFerretが使われ、長期的な遠隔操作や追加窃取が可能になります。これらはWindows / macOS / Linuxの複数OSに対応するとの指摘もあります。
攻撃者は北朝鮮系のUNC5342とされ、過去に知られるLazarus(ラザルス)系戦術との共通点も見られます。標的は個人だけでなく、組織の開発環境や暗号資産事業者にも及ぶ可能性があります。
影響の見取り図
ブロックチェーン層とウェブ層をまたぐ設計が、従来の検知や遮断を回避しやすくします。特に、読み取り関数によるペイロード取得は、ネットワーク監査でも見落とされがちです。
また、人事・採用フローに似せた勧誘は、セキュリティ教育が行き届いた組織でも突破しやすい傾向があります。結果として、キー管理やビルド環境などの重要領域が、段階的に侵害されるリスクが生じます。
用語解説
- Google:米国の大手テック企業。脅威情報の収集・分析部門を持つ。
- Googleの脅威情報チーム:サイバー攻撃の監視・分析を行うGoogleの専門組織。
- EtherHiding:悪性コードをスマートコントラクトに埋め込み、ウェブ改ざんと連動して配布する手口。
- スマートコントラクト:ブロックチェーン上で自動実行されるプログラム。
- 読み取り関数(read-only):台帳に書き込みを行わず、データ取得だけを行う関数。
- UNC5342:北朝鮮関与が指摘される脅威グループの識別名。
- Lazarus(ラザルス):北朝鮮系とされる著名なハッカー集団の総称。
- BeaverTail / JADESNOW / InvisibleFerret:段階的に投入されるマルウェア群の名称。情報窃取や持続化を分担する。
- LinkedIn / Telegram / Discord:採用連絡やコミュニティ運営で使われるプラットフォーム。
- GitHub:開発者向けのコード共有・バージョン管理プラットフォーム。
- BNB Smart Chain:Binance(大手暗号資産取引所)系のブロックチェーン。
個別銘柄・プロトコル:運用障害や売り圧で分散安、資金フローは選別
dYdX(DYDX):チェーン一時停止の余波で年初来安値圏
10月10日の一時停止後、dYdXチェーンは安定を回復しましたが、トークン価格は年初来安値圏で推移しました。運用停止は投資家の信頼に直結します。とくにデリバティブ取引所の基盤は「止まらないこと」が重要です。そのため、短期の戻りは限定的になりました。
テクニカル面でも売りが優勢でした。出来高が増えた局面で下押しが続き、短期の戻り売りが入りやすい地合いでした。
Chainlink(LINK):企業買い観測が出るも、目先は売り優勢
LINKは前日比約9%安まで下落しました。一方で、米ナスダック上場のCaliberによる約200万ドルの追加取得が報じられました。企業の買いは中長期の需要を示します。しかし、直近は広範なリスク回避が勝り、売り圧が上回りました。
開発面ではプロダクトの前進が続きます。ただし、短期の価格は需給とセンチメントに左右されやすい状況です。
Hedera(HBAR):売り圧の継続で支持線を試す展開
HBARは前日比で二桁下落し、$0.16近辺の支持を試す動きがみられました。出来高が増える時間帯に下落が加速した点が特徴です。戻りは入るものの、高値を切り下げる展開が続きました。
市場インデックスと流動性:CoinDesk 20は-2.6%、板の薄さも指摘
CoinDesk 20指数は-2.6%となり、全構成銘柄が下落しました。先週の急落時には、一部マーケットメイカーの一時撤退が報じられ、板の流動性が急減したとも指摘されています。こうした環境では、悪材料の出た銘柄ほど値動きが過敏になります。
用語解説
- dYdX:分散型のデリバティブ取引所。独自チェーン上で先物などを提供。
- Chainlink(LINK):ブロックチェーンに外部データを届けるオラクルネットワークの主要プロジェクト。
- Caliber:米ナスダック上場の不動産・投資関連企業。企業として暗号資産を保有。
- Hedera(HBAR):分散型台帳Hedera Hashgraphのネイティブトークン。ガバナンス評議会に大手企業が参加。
- CoinDesk 20:時価総額や出来高の大きい20銘柄で構成する市況インデックス。
- マーケットメイカー:常に板(注文簿)に売買注文を出し、流動性を提供する参加者。
- 流動性:希望の価格で売買しやすい度合い。薄いほど価格が動きやすい。
今後の注目:来週の中国GDP・日米CPI、MiCA選別とマイナー動向
来週はマクロ指標と規制の二つの軸が焦点です。まず、10/20の中国GDP、10/24の日本・米国CPIがインフレと景気の温度感を示します。同時に、EUのMiCA認可プロセスと、ビットコインマイナーの資金繰り・設備転用の進捗が、暗号資産の需給に影響します。ポストトレードの透明性や、ステーブルコイン実装の時期感も中期テーマです。
欧州インフレの確認:コアが予想上振れ
前日17日公表のユーロ圏HICP確報(9月)は、ヘッドライン+2.2%で予想一致、コア+2.4%は予想+2.3%を小幅上回りました。上振れ幅は限定的ですが、欧州の金利観測はややタカ派寄りに傾きやすい状況です。もっとも、現時点でクリプト市場への波及は小さく、来週のアジア・米国データに関心が移っています。
マクロ指標の主なスケジュール
価格と出来高の反応は、下記の順で現れやすい想定です。
- 10/20 中国GDP:成長減速ならリスク回避が強まりやすい一方、堅調ならセンチメント改善に寄与。
- 10/24 日本CPI・米国CPI:インフレが強いと金融引き締め観測が再燃。弱ければ金利低下期待で下支え要因。
特に米CPIはビットコインのボラティリティに直結しやすい指標です。日本CPIは円安・円高の振れを通じ、国内投資家のフローに影響します。
MiCA認可の「選別」と各国監督
EUではMiCAの正式運用に向け、監督当局がAML/CFT体制の厳格化を進めています。フランス当局による広範な実地検査は、内部統制・人員・IT体制の底上げを促す狙いです。結果として、認可の「当落線上」にある事業者の動向が、取引コストや上場銘柄の流動性に影響する可能性があります。
マイナー動向:ハッシュ価格とAI/HPC転用
今月、ハッシュ価格の低下と難易度の高止まりが続きました。マイナーは手元資金の確保を急ぎ、AI/HPCホスティングへの転用で収益の安定化を模索しています。来週も、上場マイナーの設備増強、電力契約、ホスティング契約の開示が注目点です。売り圧の和らぎや再加速は、これらのニュースフローに左右されます。
ポストトレードとステーブル:実装時期が鍵
証券のトークン化が進む一方、清算・決済(ポストトレード)の仕組みには透明性の議論が残ります。設計が不透明な場合、機関投資家の参加が遅れる恐れがあります。国内では円連動ステーブル構想が進展中で、相互運用の実装時期が実需拡大のカギを握ります。来週以降、具体的な運用ルールや接続先が示されるかが焦点です。
用語解説
HICP:ユーロ圏の物価指数。各国で比較しやすい仕様。
MiCA:EUの暗号資産包括規制。発行・サービス提供の統一ルール。
AML/CFT:マネロン・テロ資金供与対策。取引監視やKYCを含む。
ハッシュ価格:採掘能力1単位あたりの収益。マイナーの採算指標。
AI/HPCホスティング:データセンターをAIや高性能計算向けに貸す事業。
ポストトレード:約定後の清算・受渡プロセス。リスク管理の中核。
ステーブルコイン:法定通貨に連動する暗号資産。送金や決済に活用。
まとめ:本日の要点
本日の相場は「レバレッジ解消」と「マイナー売り」が上値を抑えました。制度面では、円連動ステーブル構想、Stripe系L1「Tempo」、EUのAML強化とRWA(実世界資産)の進展が同時進行です。短期は板の流動性と売り圧の持続が焦点、中期は決済・清算インフラ再編が資金配分を左右します。
本日のキーポイント
- 需給面:レバレッジ解消の余波とマイナーの売却観測が戻りを鈍化。
- 決済・ステーブル:日本の円連動ステーブル共通基盤が相互運用を志向。
- 新規L1:Tempoが大型資金調達。決済最適化の競争が加速。
- 規制・RWA:EUのAML精査がMiCA認可の選別を強化。RWAはポストトレードの透明性が課題。
明日以降の注目
- 週明けフロー:海外勢の資金動向と板の復元度合い。
- 中国GDP(10/20):リスク選好の強弱に直結。弱ければ警戒、堅調なら支えに。
免責とご案内
本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
また、本記事は投資判断を促すものではありません。市場理解を目的とした情報提供にとどまります。
コメント