- 本日のポイント
- 市場概況:米株は最高値圏、BTCは11.2万ドル台で振幅・出来高も堅調
- 米国でSOL・HBAR・LTCの現物ETFが取引開始:BSOLが出来高首位
- ビットコイン:米株高と逆行の場面、FOMC前に11.6万→11.3万→再浮上の往来
- Western Union:Solana上で米ドル建てトークン「USDPT」を計画、発行はAnchorage/2026年前半めど
- RWAトークン化が前進:SecuritizeがSPAC経由でNASDAQ上場へ、評価額は.5B
- Ethereum「フサカ」:最終テストネット稼働、12月3日のメインネット実装案
- 不動産×オラクル:Chainlink×Balcony、2,400億ドル規模のデータをオンチェーン化
- ETF資金フローの偏在:IBIT頼みの構図に注意
- 機関イールドの設計:SharpLinkがETH0MをLineaへ段階展開
- 国内関連:決済インフラTIS×Avalanche、エンタープライズ向け多トークンプラットフォーム
- 予測市場:Polymarketの米再開報道、Truth Socialも参入表明
- 番外・外交:米大統領が東京訪問、重要鉱物の供給網で日米枠組み署名(アジア歴訪の一環)
- 今後数日の注目材料と留意点
- まとめ:本日の核
本日のポイント
一言要約:米国でアルト現物ETFが始動し、BSOLが出来高首位となりました。FOMC・日銀などのイベント前で、BTCはレンジ継続です。実需分野ではステーブル(Western Union)とRWA(Securitize)が前進し、ETH「フサカ」は年内実装案に進みました。
今日のハイライト
- 商品面: 米国でSOL・HBAR・LTCの現物ETFが同時上場。BSOLは初日出来高$55.4M、AUMは約$220Mで首位でした。
- 価格面: BTC $112,666(-1.13%)、ETH $3,983(-3.19%)。$116K→$113K→持ち直しで、イベント前の往来が続きます。
- 実需・RWA: Western UnionがSolanaで米ドル建てトークンを計画。SecuritizeはSPAC経由でナスダック上場へ。
- 開発面: Ethereum「フサカ」が最終テスト稼働。12/3メインネット実装案が提示されています。
- 政策・地政: 米大統領が日本で重要鉱物の供給網強化に署名。短期インパクトは限定的です。
今週のイベント
- 10/30未明(日本時間)FOMCとパウエル会見、10/30 日銀・展望レポート、米GDP速報、10/31 ユーロ圏HICP速報。
- ETFフロー: IBIT偏在に留意。アルト現物ETF2週目の資金動向を確認します。
- 開発進捗: ETH「フサカ」の最終テストとクライアント更新状況が焦点です。
数値スナップショット
- 暗号資産合計: 時価総額 $3.82兆/24H出来高 $156.8B
- ドミナンス: BTC 59.3%/ETH 12.7%
- 米株(NY終値): ダウ +0.34%/S&P500 +0.23%/ナスダック +0.80%/VIX 16.42
- 為替: USD/JPY 151.81
- コモディティ: 金 $3,969/WTI $60.26
詳細は本文各セクションをご参照ください。
市場概況:米株は最高値圏、BTCは11.2万ドル台で振幅・出来高も堅調
きょうのスナップショット
暗号資産の時価総額は3.82兆ドル、24時間の出来高は1,568億ドルです。ビットコイン(BTC)は$112,666(24H -1.13%)、イーサリアム(ETH)は$3,983(-3.19%)です。ドミナンスはBTC 59.3%、ETH 12.7%となりました。
米株式市場は最高値圏です。ダウは+0.34%、S&P500は+0.23%、ナスダックは+0.80%でした。変動性の目安であるVIXは16.42です。
為替はドル/円が151.81でドル高が続きます。コモディティは金(XAU/USD)が$3,969、WTI原油が$60.26です。
暗号資産の足元
BTCは11.2万ドル台を中心に上下しました。方向感は限定的ですが、出来高はおおむね堅調です。ETHは$4,000近辺で推移しました。上値は重い一方で、下値も粘りが見られます。
全体として、イベント前の待ち姿勢が続いています。直近は上場投資信託(ETF)関連の材料やマクロ要因が価格に影響しやすい局面です。
株式・為替・商品
米株はテクノロジー株を中心に上昇しました。株高はリスク資産全般の心理を下支えします。一方で、ドル高は一部の投資家にとって暗号資産の上値を抑える要因になり得ます。
金は$3,900台後半で小動きです。原油は$60台前半で落ち着いた値動きです。いずれも短期のレンジ内での推移が続いています。
イベント予定(日本時間)
FOMC政策金利の発表が10/29 27:00(=10/30 3:00)に予定されています。声明と記者会見は、今後の金利経路の見通しに影響します。
翌日の10/30には日本銀行の金融政策決定会合が続きます。展望レポートや総裁会見を含め、内外金利差の見通しが注目点です。
これらの時間帯は、一時的にスプレッドが広がることがあります。短時間で価格がぶれやすいため、値動きの荒さに留意が必要です。
用語解説
- ドミナンス:市場全体に対する特定銘柄の時価総額の割合。
- VIX:S&P500のオプション価格から算出する予想ボラティリティ指標。
- FOMC:米連邦公開市場委員会。米国の政策金利などを決める会合。
- XAU/USD:金1トロイオンスの米ドル建て価格。
- WTI:米国産原油の代表指標である先物価格。
米国でSOL・HBAR・LTCの現物ETFが取引開始:BSOLが出来高首位
前日からの流れ
前日の報道では、Solana・Hedera・Litecoinの現物ETFが「今週上場へ」とお伝えしました。 本日はその続報として、実際の上場初日の取引データと資金動向を整理します。
取引初日の規模
米国でSolana、Hedera、Litecoinの現物ETFが同時に上場しました。 初日はBitwise(米資産運用会社)のBSOLが出来高5,540万ドルで首位でした。 運用資産残高(AUM)は約2億2,000万ドル超の規模です。 一方、Canary Capital(資産運用会社)のHBRは約800万ドル、LTCCは約100万ドルでした。 いずれも上場初日の集計値です。
商品設計と投資家の受け止め
BSOLはステーキング報酬を反映する設計です。 この仕組みが機関投資家の関心を集め、BTCやETH以外の銘柄でも 収益源を多様化できる点が評価材料になりました。
市場への意味合い
今回の上場は、BTC・ETH以外の現物型ETFの裾野拡大を示します。 投資家はテーマや仕組みの違いで選択肢を広げられます。 出来高の差は流動性や投資家層の広さを反映しており、 今後は銘柄ごとの資金定着と追随商品の登場が焦点になります。
用語解説
- Bitwise:米資産運用会社。暗号資産関連ETFを運用。
- Canary Capital:資産運用会社。HBARやLTCのETFを提供。
- BSOL/HBR/LTCC:各ETFのティッカー(銘柄コード)。
- ステーキング:ネットワーク運用に資産を預け、報酬を得る仕組み。
- 現物ETF:実物の暗号資産を保有して運用するETF。
- AUM(運用資産残高):ファンドが保有する資産の総額。
ビットコイン:米株高と逆行の場面、FOMC前に11.6万→11.3万→再浮上の往来
当日の値動き(結論先行)
ビットコイン(BTC)は米市場時間に$116,000を再テスト後に失速し、$113,000割れまで下落しました。 その後は引けにかけて持ち直し、レンジ内で終えました。 米株が最高値圏でも、暗号資産は利益確定優勢の時間帯があり、イベント前の神経質な値動きが続いています。
背景:イベント前のポジション調整
翌日のFOMC(米連邦公開市場委員会)を控え、短期筋の手仕舞いと様子見が交錯しました。 株式市場は上昇基調でしたが、暗号資産では「イベント通過待ち」の色合いが濃く、相場は方向感を欠きました。
テクニカルの焦点
市場では$111,000近辺のCMEギャップ(先物の窓)を埋めに行くとの見方と、$117,000の上値目標が併存しています。 短期はレンジ上限の$116,000~$117,000と、下側の$111,000~$113,000が意識されやすい状況です。
- 上値目安:$117,000(直近レジスタンス)
- 下値目安:$113,000(割れやすい支持)/$111,000(CMEギャップ)
株式との逆行と資金フロー
同時間帯の米株はS&P500とナスダックが最高値を更新しました。 一方で暗号資産は、一時的に資金が株式へ向かった可能性があり、BTCは利益確定の売りが先行しました。 相関が薄れる局面では、短期の価格変動が拡大しやすくなります。
シナリオ整理(短期)
FOMC通過までは、材料待ちの往来相場が続く公算です。 上抜けには出来高の伴う$117,000突破が条件となりやすく、反対に失速すれば$111,000付近の窓意識が強まります。 イベント後のボラティリティ拡大に備え、節目の攻防が焦点になります。
用語解説
- FOMC:米連邦公開市場委員会。政策金利や金融政策を決める会合。
- CME:シカゴ・マーカンタイル取引所(米デリバティブ市場)。
- CMEギャップ:先物市場の休止中に現物が動き、再開時に生じる価格の「窓」。
- レジスタンス/サポート:上値抵抗線/下値支持線のこと。
Western Union:Solana上で米ドル建てトークン「USDPT」を計画、発行はAnchorage/2026年前半めど
結論:送金大手Western Unionは、Solana上で米ドル建ての決済用トークン「USDPT」を提供する計画です。発行主体はAnchorage Digitalで、開始時期は2026年前半を見込みます。自社の現金入出金ネットワークと連携させ、低コストかつ迅速な越境決済の実装をねらいます。
計画の要点
・ブロックチェーン:Solanaを採用。高スループットと低手数料が理由です。
・発行・保全:Anchorage Digitalが発行・保全を担います。
・開始時期:2026年前半を目標に段階的に展開。
・用途:送金・決済の実取引での活用。既存の現金出入口(店舗・提携網)と連動させる構想です。
狙いと背景
Western Unionは国際送金の手数料と着金速度の改善を重視しています。ステーブルコインを用いれば、為替・送金の中間コストを圧縮しやすく、24時間の清算も可能になります。Solanaの処理性能は、少額・高頻度決済との相性が良いとされます。競合の採用拡大(例:既存のドル建てステーブル)もあり、トラディショナル金融の実需が暗号資産決済へ広がる流れが続いています。
今後の見通し
正式ローンチまでに、規制順守、準拠法、準備資産の開示、償還フローの設計が焦点になります。とくに本人確認(KYC)と不正対策、準備金の監査体制が信頼性を左右します。Solana側では、ネットワーク混雑時のレイテンシや手数料変動への備えも重要です。実運用に入れば、既存の送金レール(銀行、カード網)との比較データが示され、採用の広がりが判断しやすくなります。
用語解説
- Western Union:国際送金大手。世界各地で現金の入出金網を持つ事業者。
- Anchorage Digital:米国の適格カストディ(カストディ銀行)。機関向けに暗号資産の保管・発行を提供。
- Solana:高スループットと低手数料を特徴とするブロックチェーン。
- ステーブルコイン:法定通貨などに連動する価値安定型トークン。送金・決済での活用が進む。
RWAトークン化が前進:SecuritizeがSPAC経由でNASDAQ上場へ、評価額は.5B
結論:トークン化(RWA)の主要事業者Securitizeが、Cantor系のSPACと合併してNASDAQに上場する計画です。想定評価額は12.5億ドル。大手投資家の出資を背景に、債券やマネーファンドなどの実物資産のオンチェーン化が、公開市場の制度と接続する段階に入ります。
上場計画の骨子
今回の合併は、SPACを使ったスピーディな上場経路を選んだ点が特徴です。Securitizeはデジタル証券の発行・管理の実績を持ち、運用会社や発行体向けのコンプライアンス対応のインフラを提供してきました。上場により、資本調達の選択肢が広がり、製品開発と地域展開の加速が期待されます。
投資家構成と評価の意味
株主には大手の資産運用会社が含まれます。評価額$1.25Bは、RWA分野への期待と、規制に沿ったトークン化プラットフォームの希少性を映します。未上場の同業他社に対するバリュエーションのベンチマークとしても機能します。
市場へのインパクト
上場企業としての開示義務により、発行残高・手数料・準拠法といった実務データが可視化されます。これにより、RWA商品の透明性と比較可能性が高まり、機関投資家の参入障壁が下がります。結果として、短期債・社債・ファンド持分などのオンチェーン商品が、証券会社や銀行のチャネルで扱われる余地が広がります。
今後の焦点(規制・インフラ)
上場後の論点は次の通りです。
- 規制順応:証券法、投資家適合性、KYC/AMLの運用精度。
- 準備金・管理:カストディ、価格算定、償還手順の明確化。
- 相互運用性:複数チェーン対応と、伝統的清算・保管インフラとの接続。
- 収益モデル:発行・管理手数料と二次流通の出来高拡大の両立。
これらが進むほど、オンチェーンのT+0決済や部分保有、プログラム可能な配当など、ブロックチェーンならではの機能が主流市場に近づきます。
用語解説
- RWA(Real World Assets):債券、不動産、ファンド持分など、実体資産をトークンとして表現したもの。
- Securitize:デジタル証券の発行・管理プラットフォームを提供する企業。
- SPAC:買収目的会社。非上場企業が合併により上場する手法。
- NASDAQ:米株式市場の一つ。テック企業の上場が多い。
- Cantor(Cantor Fitzgerald):米系の金融グループ。投資銀行業務などを展開。
Ethereum「フサカ」:最終テストネット稼働、12月3日のメインネット実装案
結論:次期ハードフォーク「フサカ」が、最終段階のフーディ(Hoodi)テストネットで稼働を開始しました。提案では、メインネット実装を12月3日としています。狙いは、L2の処理能力向上と手数料の一段の低下です。具体策として、ブロックガス上限の見直し、ブロブ(データ)容量の拡張、PeerDASの導入が柱になります。
変更点の要点(なにが良くなるか)
- ブロックガス上限の見直し:L1の処理余力を高め、輻輳(ふくそう)時の遅延を抑制します。
- ブロブ容量の拡張:ロールアップが投稿できるデータ量が増え、L2手数料の低下につながります。
- PeerDAS:データ可用性(DA)をネットワーク内で分散して検証。ロールアップのスループット向上が期待されます。
L2・利用者への影響(実務面)
- 取引コストの低下:ブロブ拡張とPeerDASで、L2のガス代が下がりやすくなります。
- 処理速度の向上:混雑時の詰まりが緩和され、決済までの体感が改善します。
- アプリ拡張の余地:高頻度の決済やゲーム、ソーシャル系など、大量書き込み型のアプリが動かしやすくなります。
タイムラインと確認事項
- 現在:フーディ最終テストネットで機能検証中。
- 提案日程:メインネット実装は12月3日案。最終決定はテスト結果とクライアント準備の完了が前提です。
- エコシステム対応:ノード運用者やインフラ事業者は、クライアント更新と監視体制の確認が必要です。
次段の論点:「グラムステルダム」と並列化
次の開発ラウンド「グラムステルダム」では、BALの導入など並列化に向けた議論が進んでいます。目的は、同時に走る処理を増やし、全体のスループットを押し上げることです。フサカでデータ経路を拡張し、次段で計算経路の並列性を高める構図です。
用語解説
- フサカ(Fusaka):Ethereumの次期ハードフォーク(プロトコル更新)のコードネーム。
- フーディ(Hoodi)テストネット:メインネット実装前の最終検証用ネットワーク。
- ブロブ:ロールアップがL1に投稿する大容量データ領域。手数料に大きく影響します。
- PeerDAS:ピア間でデータ可用性を分担検証する仕組み。スケールと信頼性を両立します。
- L2/ロールアップ:Ethereumの処理を補助するレイヤー。手数料と速度の改善を目的に設計されています。
- BAL:次段で検討される新方式。並列化を支える設計要素として議論が進行しています。
不動産×オラクル:Chainlink×Balcony、2,400億ドル規模のデータをオンチェーン化
結論:不動産トークン化基盤のBalconyが、Chainlink Runtime Environment(CRE)を採用し、政府ソースの不動産データをオンチェーン化します。まずは地番(パーセル)レベルの認証済み情報を起点に、権利関係や評価情報を検証可能な形で提供し、プログラマブルな不動産市場の土台づくりを進めます。対象は累計2,400億ドル規模のデータとされ、RWA(現実資産)の実装が一段深まる見通しです。
ポイント(なにが起きるか)
- 公的データの信頼担保:政府ソースの登記・評価などを署名付きデータとして扱い、改ざん耐性を高めます。
- 市場基盤の高度化:地番レベルの正確なデータを使い、決済・担保・所有権移転などを自動化しやすくします。
- 機関投資の受け皿拡大:データの来歴と検証が明確になり、規制対応や監査を前提とした商品設計が可能になります。
仕組み(どうやって実現するか)
- CREによる接続と実行:公的データベースやAPIに接続し、安全な実行環境でデータを整形・検証します。
- オンチェーン反映と更新:検証済みデータをスマートコントラクトに書き込み、Chainlinkのオラクルで更新を配信します。
- アクセス制御:機関投資家向けに、KYC/AMLなどのガバナンス要件に沿った閲覧・利用ルールを設計します。
波及(なぜ重要か)
- コストとリスクの低減:二重記帳・照合作業が減り、エラーや不正のリスクも低下します。
- RWAトークン化の前進:債券やファンドに続き、不動産でもデータ起点の自動執行が広がります。
- 検証文化の定着:欧州の暗号資産ETPで広がるProof of Reserve(PoR)の動きと並び、「裏付けを公開・検証する」流れが強まります。
用語解説
- Chainlink(チェーンリンク):ブロックチェーンに外部データを届ける分散オラクルのネットワーク。
- Balcony(バルコニー):不動産データの検証・トークン化を目指すプラットフォーム。
- Chainlink Runtime Environment(CRE):外部データの取得・検証・配信を行う安全な実行環境。
- RWA(Real World Assets):不動産や債券など現実世界の資産をオンチェーンで扱う概念。
- Proof of Reserve(PoR):準備資産の保有状況をオンチェーンや第三者で検証する手法。
- 地番(パーセル)データ:土地を識別する最小区画単位の公的情報。
ETF資金フローの偏在:IBIT頼みの構図に注意
結論:米国のビットコイン現物ETFは、資金流入がiShares Bitcoin Trust(IBIT)に大きく偏っています。年初来の総流入は約269億ドルですが、IBIT単体で約281億ドルを占めます。つまり、IBITを除くと全体は純流出の場面が見られます。
現状(数字で見る構図)
- 現物ETFの年初来流入は約269億ドル。
- IBITだけで約281億ドルの流入。
- 他ETFは資金が出入りし、期間によっては純流出が継続。
なぜ問題か(市場構造リスク)
- 買い需要の多くが単一ファンドに依存。
- IBITの流入が鈍ると、現物の継続的な買い圧力が弱まる。
- その結果、取引所の流動性低下やスプレッド拡大が起きやすくなる。
- 価格の下支えが細り、ボラティリティが高まりやすい。
今後のチェックポイント
- IBITの日次・週次フローの減速や反転。
- ETF全体の出来高シェアの変化(IBIT偏重の緩和有無)。
- 基準価額と市場価格の乖離(プレミアム/ディスカウント)。
- 他ETFへの資金分散が進むか、銘柄間の回転が起きるか。
用語解説
- IBIT:BlackRock(米資産運用大手)のiShares Bitcoin Trust。米上場のビットコイン現物ETF。
- 現物ETF:現物ビットコインを保有し、その価格に連動するETF。
- 資金フロー(フロー):ETFへ流入・流出した資金の合計。需給の手掛かり。
- スプレッド:買値と売値の差。流動性が低いと拡大しやすい。
機関イールドの設計:SharpLinkがETH0MをLineaへ段階展開
結論:SharpLink(米ナスダック上場のイーサリアム保有企業)は、複数年で最大2億ドル相当のETHをLineaに段階展開します。カストディはAnchorage Digital Bankを用い、ether.fiのステーキングとEigenCloudのリステーキング報酬、さらにエコシステムのインセンティブを束ね、リスク調整後でネイティブステーキング利回り超を狙う構成です。上場企業によるETH財務のオンチェーン活用の参照モデルとなる可能性があります。
何をするか(計画の骨子)
- 段階展開:複年コミットで順次配分。即時の一括移管ではありません。
- カストディ一元化:Anchorageの適格カストディ下で保管・実行。
- ガバナンス重視:上場企業基準のコンプライアンスと内部統制を前提。
収益源の組み合わせ(ネイティブ超を狙う仕組み)
- ネイティブ利回り:イーサリアムのステーキング報酬。
- リステーキング報酬:EigenCloudのAVS(自律検証サービス)を担保する対価。
- インセンティブ:Lineaとether.fiのパートナー報酬。
- 実装の流れ:メインネットでステークし、受益(レシート)トークンをLineaへブリッジしてDeFiで活用。リステーキングはトークンの所在に依存せず裏側で処理します。
なぜLineaか(制度・運用面の適合)
- zkEVM設計:イーサリアムと高い互換性、決済高速化と手数料低減。
- コンポーザビリティ:周辺プロトコルと組み合わせやすい設計。
- 運用効率:Anchorageとether.fiの連携により、カストディから直接ミント・配分の動線を想定。
リスクとコントロール(注意点)
- 技術リスク:スマートコントラクト不具合、L2ブリッジやシーケンサー依存。
- スラッシング:選定するAVSのルールにより没収リスクが発生し得ます。
- 市場リスク:ETH価格とインセンティブ水準の変動で実効利回りが変化。
- 対応:AVS条件の事前審査、デリスク発動条件の設定、カストディ分離管理などで低減を図ります。
業界への示唆(トレジャリー運用の分岐)
- オンチェーン活用型:ステーキング+リステーキング+インセンティブで複層化。
- 割安是正型:自己株買いなどオフチェーン施策で企業価値の割引解消を優先。
- SharpLinkは前者を選択し、「運用で複利」の道筋を示しました。
用語解説
- SharpLink:米ナスダック上場のETH保有企業。財務にETHを組み入れ。
- Anchorage Digital Bank:米国の適格カストディ(暗号資産の保管銀行)。
- Linea:Consensysが主導するzkEVM型レイヤー2。手数料低減と拡張性を提供。
- ether.fi:非カストディのステーキング/リステーキング基盤。
- EigenCloud:EigenLayer上のAVS群。検証業務などに対する報酬を提供。
- リステーキング:ステーク済みETHを担保に追加のセキュリティ提供で報酬を得る仕組み。
- 受益(レシート)トークン:ステーキングした証書となるトークン。ブリッジでL2でも利用。
- インセンティブ:L2やプロトコルが成長促進のために付与するトークン等の報酬。
国内関連:決済インフラTIS×Avalanche、エンタープライズ向け多トークンプラットフォーム
結論:日本国内の決済基盤を持つTISが、Ava Labsと提携して「複数のトークン」を扱える業務用プラットフォームを進めます。基盤はAvaCloudを活用し、安定通貨の決済や実物資産のトークン化など、企業の実務に直結する用途を想定します。日本の制度(資金決済法など)に合わせた設計が前提で、企業の導入ハードルを下げる狙いがあります。
狙いとユースケース
- 安定通貨の決済:小売や送金の精算を高速・低コスト化。
- 実資産のトークン化:ポイント、社債、流動化資産などの発行と管理。
- マルチトークン:ステーブルコイン、ユーティリティ、証券型などを一体運用。
制度適合と運用ガバナンス
- 国内法に整合:資金決済法、金融商品取引法、犯収法の要件を踏まえた実装を想定。
- KYC/AMLの組み込み:既存の本人確認や取引監視との連携を前提。
- 分別管理と監査:会計・監査プロセスに乗る台帳設計を重視。
技術面の要点(AvaCloud活用)
- プライベート/許可型構成:企業間の閉域ネットワークにも対応。
- スケーラビリティ:高スループットと短時間確定で決済要件に対応。
- 相互運用性:外部システムや他チェーンとつながる前提の設計。
想定リスクと対策
- 規制変更:制度改定で要件が変わる可能性。柔軟なルール設定が必要。
- スマートコントラクト不具合:監査・テスト・段階導入で低減。
- オペレーション連携:既存決済網との接続で運用負荷が増す恐れ。標準APIと監視基盤で対応。
導入が進むと何が変わるか
- 決済コストの見える化:オンチェーンで手数料と処理状況を把握。
- 発行と流通の一体化:トークンの発行、移転、償還までを同一基盤で管理。
- 新サービスの立ち上げ速度:ブランド型ステーブルやポイント連携が短期で実装可能に。
用語解説
- TIS:日本の大手IT・決済インフラ事業者。クレジットや決済の基盤を提供。
- Ava Labs:ブロックチェーン「Avalanche」を開発・運営する企業。
- AvaCloud:Avalanche上で企業向けチェーンを迅速に構築できるサービス群。
- 安定通貨(ステーブルコイン):法定通貨と価値を連動させたトークン。
- 実資産トークン化(RWA):現実の資産をブロックチェーン上のトークンとして表現すること。
- 資金決済法:前払式支払手段や資金移動業など、決済サービスの枠組みを定める日本の法律。
予測市場:Polymarketの米再開報道、Truth Socialも参入表明
結論:米予測市場で動きが相次ぎます。報道によると、Polymarketは11月に米国で限定的な再開を検討中です。一方、Truth SocialはCrypto.comと組み、独自の予測市場「Truth Predict」を発表しました。規制に沿った枠組みが整い、SNSと予測契約の連携が広がる可能性があります。
Polymarket:米国向けに再ローンチを模索
Polymarketは、米国の規制動向を踏まえ、11月の米限定リローンチを目指すと報じられました。対象は段階的な提供になる見通しです。KYCや地域制限など、コンプライアンスの強化が前提となります。まずは政治や経済など、公共性が高いテーマからの再開が想定されます。
Truth Social:「Truth Predict」でSNS×予測を前提化
Truth Socialは、Crypto.comと連携し「Truth Predict」を発表しました。SNS上の話題と予測市場を直接つなぐ設計です。ユーザーはニュースや投稿の文脈から、そのまま予測に参加できるようになります。集客力の高いSNSと決済・カストディの統合が特徴です。
何が変わるのか:規制準拠とユーザー体験の両立
- 規制準拠の強化:KYC/AML、地域制限、コンテンツ審査を前提に運営。
- 参入のしやすさ:既存の口座・決済と接続し、参加障壁を下げる設計。
- SNS連動:話題化→参加の動線が短縮され、流動性が生まれやすい。
想定されるリスクと論点
- 規制の不確実性:連邦・州レベルでの解釈差により、提供範囲が変動し得ます。
- 市場の健全性:誤情報や相場操作を防ぐ監視・開示の仕組みが不可欠です。
- 商品設計:政治・選挙テーマの扱い、上限額、解決データ源の透明性が鍵です。
用語解説
- Polymarket:ブロックチェーン上で運営される予測市場プラットフォーム。
- Truth Social:SNSプラットフォーム。今回は予測市場「Truth Predict」を発表。
- Crypto.com:グローバル展開の暗号資産取引・決済プラットフォーム。
- 予測市場:将来の出来事に関する契約(合約)を売買し、価格に期待確率を反映させる仕組み。
- KYC/AML:本人確認とマネロン対策。金融サービスの基本要件。
番外・外交:米大統領が東京訪問、重要鉱物の供給網で日米枠組み署名(アジア歴訪の一環)
米のトランプ大統領は10月28日に東京で高市首相と会談し、レアアースなど重要鉱物の供給網を強化する枠組みに署名しました。日米でサプライチェーンを補完し合い、半導体や防衛産業での安定供給につなげる狙いです。短期的な市場への影響は限定的ですが、資源・産業政策と安全保障を重ねる流れは中期的なテーマとして注目されます。
合意のポイント
合意は、重要鉱物の調達・精製・備蓄で協力し、特定地域への依存を下げることを柱としています。輸出規制や地政学リスクに備えることで、企業の投資計画や在庫戦略の不確実性を和らげる効果が見込まれます。政府間の連携により、資金支援や手続きの迅速化にも道が開けます。
首脳間の関係とメッセージ
会談では、トランプ大統領が高市首相に高い評価を示したと伝えられています。強固な同盟関係を前提に、経済と安全保障を一体で進める姿勢を明確にした形です。象徴的な演出にとどまらず、通商・資源の実務で連携を深める方針が読み取れます。
アジア歴訪の位置づけ
今回の東京訪問はアジア歴訪の起点と位置づけられ、次いで韓国訪問、さらに中国要人との会談が見込まれると報じられています。地域の通商・安全保障の枠組みを巡る協議が続く見通しで、重要鉱物の確保はその基盤となります。
市場への含意
資源協力の強化は、電池素材や先端半導体など鉱物依存度の高い分野に波及します。暗号資産市場への即時の波及は限定的ですが、政策主導の投資加速や供給網の再編は、企業収益や投資マインドを通じて間接的な影響を及ぼす可能性があります。
用語解説
- 重要鉱物:半導体や電池に不可欠で、供給途絶リスクが高い鉱物の総称です。
- レアアース(希土類):高性能磁石やモーターなどに用いる元素群で、特定地域への依存が大きい資源です。
- サプライチェーン(供給網):原材料の調達から製造・物流までの一連の供給体制です。
今後数日の注目材料と留意点
向こう数日は、米国の金融政策と主要マクロ統計が相場の方向感を左右します。まず本日深夜(日本時間30日未明)のFOMCは、0.25ポイントの利下げ観測が優勢です。パウエル議長の会見では、今後の利下げペースとインフレ評価に注目が集まります。翌30日は日銀会合と展望レポート、同日に米GDP速報、31日はユーロ圏HICP速報が続きます。来週は米ISM・ADP・雇用統計が並び、金利観測の再調整が想定されます。
マクロ日程(短期のチェックリスト)
- FOMCと議長会見:利下げの幅と先行きガイダンスに注目。
- 日銀・展望レポート:物価見通しと緩和スタンスのニュアンスを確認。
- 米GDP速報:個人消費の強弱とデフレーターが焦点。
- ユーロ圏HICP速報:エネルギー・食品を除く基調インフレの鈍化度合い。
- 来週の米指標:ISM製造業、ADP、雇用統計で労働需給と賃金を再点検。
ETFフローと市場構造のポイント
米ビットコイン現物ETFの年初来資金は、BlackRockのIBIT(上場投資信託)に偏在しています。他社は純流出の局面もあり、IBITの流入鈍化は、市場の流動性やスプレッド、価格の下支えを弱める懸念があります。今週は、アルト現物ETFの2週目フローにも関心が向きます。商品多様化が進む一方で、資金の分散度合いが中期の安定性を左右します。
プロトコル/開発の進捗
Ethereumの次期アップグレード「フサカ」は最終テストネットで稼働中です。ブロックガス上限やデータ処理の拡張は、レイヤー2の手数料低下と処理速度の改善を狙います。メインネット実装案は12月3日で、開発進捗が好感されやすい一方、実装前後の不確実性にも注意が必要です。
規制・会計の並行テーマ
RWA(実世界資産)のトークン化、ステーブルコイン、予測市場の制度整備が進んでいます。会計・開示やカストディの基準が整うと、機関投資家の参入が加速する可能性があります。短期の価格変動要因ではなくとも、中期の資本コストや市場の厚みに影響します。
用語解説
- FOMC:米連邦公開市場委員会。政策金利を決める会合です。
- 展望レポート:日銀が公表する成長率・物価見通しです。
- HICP速報:ユーロ圏の消費者物価指数の速報値です。
- ISM・ADP・雇用統計:米景気と雇用の代表的な月次指標です。
- IBIT:BlackRockのビットコイン現物ETFです。
- RWAトークン化:債券や不動産など実物資産をブロックチェーン上で表現する手法です。
- フサカ:Ethereumの次期ハードフォーク名です。
まとめ:本日の核
米国でアルトの現物ETFが本格稼働し、BitwiseのBSOLが初日の出来高で首位となりました。価格面では、ビットコイン(BTC)がイベント前のレンジを維持しました。トラディショナル金融ではWestern Unionのステーブル採用計画が進み、SecuritizeはSPAC経由でのナスダック上場を発表しました。Ethereumは年内大型ハードフォークに向けて最終段階にあります。政策・地政のヘッドラインは当面センチメント主導にとどまり、中期の価値軸は資金フローと開発ロードマップの進捗に集約されます。
本日の要点(3行で整理)
- 商品面: アルト現物ETFが始動し、BSOLが出来高首位。商品多様化が前進しました。
- 価格面: BTCは11万ドル台で往来。イベント通過待ちのレンジ相場が続きました。
- 基盤面: Western Unionのステーブル計画とSecuritizeの上場計画で、実需とRWAの接続が強まりました。
中期の視点(チェックポイント)
- 資金フローの偏在: 米BTC現物ETFはIBITへの資金集中が続いています。流入の持続性が市場の厚みに直結します。
- 技術マイルストーン: Ethereumの「フサカ」実装は手数料と処理能力の改善に波及します。前後の不確実性にも留意が必要です。
- 制度整備: ステーブル、RWA、予測市場の規制・会計の進展は、機関投資家の参入余地を広げます。
免責事項:本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。



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