- 本日のポイント
- 市場概況:ビットコインは10.8万ドル前後、薄商いで小反発
- 米中首脳会談31日表明でリスク後退感──下げ止まりの材料に
- 週足は8,400上で確定:歴史的な需要帯をいったん維持
- マイニング:難易度は小幅低下、ハッシュは最高水準で次回上方予想
- 10月相場は“Uptober”失速、下旬の巻き返し余地は残存
- Q3の主役はETH:資金はビットコイン一極から分散
- ステーブルの「固定」は誤解?──急落局面で露呈した価格メカニズム
- XRP:CMEで機関デリバ需要拡大、価格は.40の攻防/大型流出事案
- 取引所の健全化:Binanceが600口座停止、Bybitは10銘柄のデリスト通知
- トークン化・USDCレールの前進:Sonic×CircleとRWA拡大
- 韓国市場の出来高偏在と今週の大型アンロック
- 国内:金融庁が銀行の暗号保有容認を検討、メタプラネットは評価面で揺れ
- 今後の注目:指標・会合・難易度調整の三点セット
- 結論・要点整理
本日のポイント
一言要約:米中首脳会談の表明でリスク回避は一服しましたが、ビットコインは$108,400の週足ラインと採掘指標(難易度・ハッシュ)がカギです。今週は指標と会合が密集し、ニュース起点の値動きが出やすい状況です。
今日のハイライト
- 市場概況:暗号資産は小反発も出来高は控えめで、方向感は限定的です。
- 米中対話:10/31の首脳会談表明でリスク後退感が広がりました。
- 週足の分岐点:直近週足は$108,400上で確定。短期の下げ止まり材料となりました。
- マイニング:難易度146.7T(直近高値比−2.7%)に低下も、ハッシュは1.2T超で高止まり。次回は上方調整見込みです。
- 10月相場:「Uptober」は失速。月初来でBTCは約−5%ですが、下旬の巻き返し余地は残ります。
- 資金循環:Q3はETH主導。DeFiやトークン化に資金が広がりました。
- ステーブル:「$1固定」は厳密な保証ではなく、発行・償還と裁定で$1近辺に収れんします。
- XRP:CMEでデリバ需要拡大。現物は$2.40の攻防。約$3M流出報告も話題です。
- 取引所動向:Binanceが600口座停止、Bybitは10銘柄デリスト告知でガバナンス強化が進行中です。
- トークン化とUSDC:Sonic×Circleで単一残高のUSDCクロスチェーン体験が前進。RWA残高は$34.14Bに拡大しました。
- 地域・国内:韓国は特定銘柄に出来高偏在+今週は大型アンロックが連続。日本では金融庁が銀行の投資目的での保有容認を検討中です。
今週のイベント(日本時間)
- 10/20(月)11:00:中国GDP
- 10/24(金):日本CPI(8:30)/米国CPI(21:30)
- 10/29(水)〜30(木)未明:FOMC結果
- 10/29(水)頃:ビットコイン難易度次回調整(上方見込み)
- 10/30(木):ECB理事会
- 10/31(金):米中首脳会談(APEC)
数値スナップショット(日本時間 10/20 9:30)
- 暗号資産合計:時価総額 $3.69兆/出来高(24H)$129.13B
- BTC:$107,650(24H +0.70%/7D −5.58%)
- ETH:$3,930.36(24H +1.59%/7D −4.20%)
- ドミナンス:BTC 58.9%/ETH 12.7%
- 参考:米株(10/17 NY終値)3指数+約0.5%、VIX 20.78/USDJPY 150.83/金 $4,219.64/WTI $56.91
詳細は本文各セクションをご参照ください。
市場概況:ビットコインは10.8万ドル前後、薄商いで小反発
以下の数値は日本時間2025年10月20日9時半時点の集計です(出典:Investing.com)。暗号資産は小幅反発ですが、出来高は控えめで方向感は限定的です。
きょうのスナップショット(暗号資産)
- 時価総額:$3.69兆
- 出来高(24H):$129.13B
- ビットコイン(BTC):$107,650(24H +0.70%/7D -5.58%)
- イーサリアム(ETH):$3,930.36(24H +1.59%/7D -4.20%)
- ドミナンス:BTC 58.9%/ETH 12.7%
米株・ボラティリティ(現地時間ベース)
米国株は現地10月17日(金)終値で小幅高でした。ダウは+0.52%、S&P500は+0.53%、ナスダックは+0.52%です。VIXは20.78まで低下しました。
日本の月曜朝は米国市場が週末で取引がないため、評価には前営業日の終値を用いています。
為替・コモディティ(日本時間ベース)
為替はUSD/JPYが150.83です。早朝帯でも更新が入りやすい点に注意が必要です。
コモディティは金(XAU/USD)が$4,219.64、WTI原油が$56.91です。電子取引中心のため、日本時間でも値動きが生じます。
足元の見方
暗号資産は小反発ですが、出来高は細いままです。米株の前営業日上昇が投資家心理を下支えしています。一方で、主要市場の本取引再開までは値動きがぶれやすい状況が続きます。
用語解説
- ドミナンス:暗号資産全体の時価総額に占める特定銘柄の割合です。
- VIX:S&P500の予想変動率を示す指数です。高いほど不安心理が強い傾向があります。
- 出来高(Vol):一定期間に成立した取引量の合計です。流動性の参考になります。
- 現地時間/日本時間:米株は米東部時間の取引が基準です。日本の月曜朝は米国の前営業日データを参照します。
米中首脳会談31日表明でリスク後退感──下げ止まりの材料に
トランプ米大統領が10月31日のAPECで習近平国家主席と会談すると明言しました。 この発言を受け、通商摩擦の緊張が和らぐとの見方が広がりました。暗号資産市場ではビットコインと主要アルトが数%反発し、極端に悪化していた投資家心理は一旦落ち着きを見せています。ただし、現時点では相場の基調を決定づける材料と断定はできません。
先週の「関税ショック」からの揺り戻し
先週は対中関税の表明でリスク回避が強まり、価格の下押しと清算の拡大が進みました。出来高は細り、弱気ムードが優勢でした。今回の首脳会談表明は下落要因を部分的に相殺し、短期的な下げ止まりの根拠になっています。
価格の初動とセンチメントの変化
報道後、ビットコインは約2%上昇し、イーサリアムやBNBは約3.5%、ソラナは約4%上昇しました。悲観に傾いていたセンチメントは中立方向へ改善しています。もっとも、今回の反発は首脳会談というヘッドラインが起点であり、持続性は今後の追加情報に左右されます。
当面の注視点
- 議題の具体化:関税や技術輸出管理など、交渉範囲が明確になるかが重要です。
- 発言のトーン:協調的なメッセージが続けばボラティリティ低下と資金回帰につながりやすいです。
- 再燃リスク:強硬発言が出た場合は反発の巻き戻しに注意が必要です。
用語解説
- リスク後退(リスクオン):投資家が株式や暗号資産などのリスク資産に資金を戻す状態です。
- センチメント:市場参加者の心理傾向です。楽観・悲観の度合いを示します。
- ヘッドライン相場:要人発言やニュースの見出し(ヘッドライン)に価格が大きく反応する相場です。
- APEC:アジア太平洋経済協力会議です。首脳会談の舞台として発言が相場材料になります。
週足は8,400上で確定:歴史的な需要帯をいったん維持
週足は本日9:00(日本時間)に確定し、$108,400をわずかに上回って終了しました。日足の10月19日終値は$108,658で、これが直近週のクローズ水準の目安になります。$108,400は「需要帯」を保つための目安(Cointelegraph掲載のアナリスト見解)とされており、直近の週足はこの水準を上回って確定しました。そのため、テクニカル面ではいったん下げ止まりのシグナルが点灯した形です。
暗号資産の週足は月曜00:00(UTC)=日本時間の月曜9:00に切り替わります。したがって、きょう9時台の時点では週足はすでに確定済みです。以降は新しい週の値動きがスタートしています。
短期の着眼点(ボラティリティと清算)
清算連鎖の余波は残っており、直近24時間の清算は約$200M規模と報じられました。板(注文量)が薄い時間帯は、比較的小さなフローでも価格が振れやすい局面が続きます。これにより、短期のボラティリティ(価格の振れ幅)は当面継続しやすい状況です。
一方で、週足が需要帯の上で確定したことは、テクニカル面の「下げ止まり材料」として意識されます。今後は$108,400付近を再び確実に上回って定着できるか、あるいは割り込んで$108K前後の攻防に移るかが、当面の分岐点になります。
用語解説
- 週足クローズ:週足ローソク足が確定する時点。暗号資産は月曜00:00(UTC)が一般的です。
- 需要帯:過去に買いが入りやすかった価格帯。サポート帯とも呼ばれます。
- 清算(ロスカット):先物や証拠金取引で、証拠金不足によりポジションが強制的に決済されることです。
- 板が薄い:注文の厚みが少ない状態。小さな注文でも価格が動きやすくなります。
マイニング:難易度は小幅低下、ハッシュは最高水準で次回上方予想
ビットコインの採掘難易度は小幅に低下しました。一方で、ネットワークのハッシュレートは過去最高水準を維持しています。直近の難易度は146.7T(直前高値150.8T比で約−2.7%)です。ハッシュレートは1.2T超(ハッシュ/秒)で推移しています。次回の調整は10月29日(UTC)に見込まれ、156.92Tへ上振れ予想が出ています。
直近の指標(概要)
- 難易度:146.7T(直近ピーク150.8Tから小幅低下)
- ハッシュレート:1.2T超で最高圏を維持
- 次回調整見込み:10月29日(UTC)に156.92Tへ上方調整
何が起きているのか
難易度はやや下がりましたが、参入計算力の増加が続いています。直近の小幅低下は、前回の急伸後に生じた一時的な緩みとみられます。しかし、ハッシュレートが高止まりしているため、次回は難易度の再上昇が見込まれます。結果として、マイニングの競争環境はむしろ厳格化する可能性があります。
事業環境と論点
- 収益圧力:報酬減の影響が続き、電力コストの差が採算を左右します。
- エネルギー競合:AIデータセンターとの電力・インフラ競争が拡大しています。
- 調達リスク:対中関税や半導体の輸出管理が機器価格と入手性に影響します。
- 選別の進行:効率の高いマイナーにハッシュ集中が進みやすい局面です。
用語解説
- 難易度(Difficulty):ブロックを見つけるむずかしさを示す指数です。上がるほど採掘は難しくなります。
- ハッシュレート:ネットワーク全体の計算力です。高いほど安全性が高まる一方、競争も激しくなります。
- 難易度調整:約2週間ごとに自動調整され、10分前後でブロックが出るように保たれます。
10月相場は“Uptober”失速、下旬の巻き返し余地は残存
10月は例年強い月とされますが、今年は失速しています。ビットコインは月初来で約−5%となり、2015年以来でもっとも弱い推移との指摘があります。背景には流動性の薄さとレバレッジ解消があり、上値を抑えています。一方で、月末に向けた反発余地は過去の事例からも残っています。
足元の状況
- ビットコインは月初来で約−5%。
- イーサリアム、ソラナ、BNBは週次で−4〜−7%。
- ドージコインとカルダノは月内で20%超の下落との指摘。
- 大型銘柄の複合指数であるCoinDesk 20は10月に−8%。
弱含みの背景
米中の通商摩擦がリスク要因となりました。流動性が薄い中で、先物のレバレッジ解消(強制ロスカット)が進みました。先週は$107,000割れで約$1.2B規模の清算が発生し、価格の下押し圧力が強まりました。この影響は主要アルトにも波及しました。
月末に向けた論点
- 過去の平均では10月は+19.8%、11月は+42%と強い傾向が指摘されています。
- 10月終値がマイナスに終わった年は2014年と2018年の2回のみとの整理があります。
- 2020年は月前半のマイナスから月末に+27%へ反転した例があります。
したがって、現状は弱含みでも、ヘッドラインや流動性の改善次第で下旬の巻き返しは想定されます。ただし、市場は清算の余波が続いており、短期の値動きは荒くなりやすい局面です。
用語解説
- Uptober:「10月は上がりやすい」という市場の俗称です。
- レバレッジ解消:信用取引の建玉が縮小される過程です。価格の急変で強制ロスカットが連鎖しやすくなります。
- 清算(強制ロスカット):証拠金が不足した際にポジションが自動的に決済されることです。
- 流動性:「売買のしやすさ」です。薄いと小さな注文でも価格が大きく動きます。
- CoinDesk 20:主要銘柄の動向を示す市場指数です。
Q3の主役はETH:資金はビットコイン一極から分散
2025年Q3はイーサリアム(ETH)が市場をけん引しました。Coingeckoのレポートでは、資金がビットコイン一極から分散し、DeFiやトークン化資産に広がったと整理されています。ETHは四半期終値で$4,215(Q/Q +68.5%)と強含みでした。対照的に、BTCのドミナンス(一市場内の時価総額シェア)は一服しています。
資金フローの変化
- BTCからETH・大型アルトへ循環が進みました。
- DeFi(分散型金融)やトークン化資産が再評価されました。
- 現物ETFやカストディ整備で伝統資金の入り口が増えました。
ETHを押し上げた要因
- L2(レイヤー2)の拡張が進み、手数料低下と処理能力の向上が進展しました。
- トークン化(RWAなど)の実需が広がり、利用場面が増えました。
- 一部の企業トレジャリー(企業の資産配分)でETH活用が注目されました。
市場構造への示唆
「BTCだけではない」循環相場が意識されています。価格を押し上げる材料が、ETFの受け皿やオンチェーンの実需に広がったためです。結果として、BTCの相対優位は保ちつつも、セクター別に主役が入れ替わる局面が増えています。今後も、手数料やスケーラビリティといった利用コストの低下が続けば、ETH中心のエコシステム拡張が相場の下支えになりやすい構図です。
用語解説
- ドミナンス:主要銘柄が市場全体で占める時価総額の比率です。
- DeFi:仲介業者を介さず、ブロックチェーン上で金融機能を提供する仕組みです。
- トークン化資産(RWA):国債や金など現実の資産をブロックチェーン上のトークンで表す手法です。
- L2(レイヤー2):基盤チェーンの外で取引を処理し、手数料と混雑を減らす拡張技術です。
- 現物ETF:実物の暗号資産を保有して値動きに連動させる上場投資信託です。
ステーブルの「固定」は誤解?──急落局面で露呈した価格メカニズム
導入:先週は米中通商をめぐるヘッドラインをきっかけに、暗号資産市場が急落しました。清算が連鎖し、流動性が薄い板ではステーブルコインの一時的な乖離も見られました。この出来事を踏まえ、ステーブルの価格がなぜ$1近辺に保たれるのかを整理します。
結論:多くのステーブルコインは保証された固定価格ではありません。通常は発行・償還(リデンプション)と裁定取引が働き、価格が$1近辺に収れんします。混乱時は乖離や市場間の価格分断が起きやすくなります。
平常時の仕組み
- 発行・償還:$1の入出金と引き換えにコインを発行・回収します。これが$1の目安になります。
- 裁定取引:$1未満なら買い、$1超なら売りが入り、需給で価格調整が進みます。
- 設計の違い:法定通貨担保型、暗号資産担保型、ヘッジ活用型などで安定度が異なります。
混乱時に起きやすい現象
- 一時的なデペグ:売りが集中し、$1から離れる場合があります。
- 市場分断:取引所やチェーンごとに価格差が生まれ、同じ銘柄でも表示が揃わないことがあります。
- 設計リスクの顕在化:先物やヘッジに依存する方式は、清算や板薄で変動が増幅することがあります。
なぜ「に見える」のか
安定の源泉は“保証”ではなく、仕組みと市場行動です。発行・償還が機能し、裁定取引が働く環境では、価格は$1近辺に浮動しやすくなります。逆に、発行・償還が滞る、連鎖清算が発生する、板が薄いといった条件下では、乖離が拡大しやすくなります。
用語解説
- 発行・償還:担保や資金の出し入れにより、ステーブルコインを発行・回収する仕組みです。
- 裁定取引:市場間や理論値との価格差を利用して利益を狙う取引で、価格のゆがみを縮めます。
- デペグ:本来の目安価格(ここでは$1)から離れる現象です。
- 流動性:希望する価格・数量で売買できる度合いです。低いと価格が振れやすくなります。
XRP:CMEで機関デリバ需要拡大、価格は.40の攻防/大型流出事案
本セクションは第3四半期(7〜9月)の集計に基づく動向を中心に整理しています。あわせて、足元の現物価格の分岐点と、報告された流出事案を簡潔にまとめます。
機関投資家が使う「規制市場」でXRPデリバが拡大
CME(米デリバティブ取引所)では、XRPとSOLの先物・オプションがQ3に急伸しました。CMEは規制下の市場で、年金やヘッジファンドが利用しやすいのが特徴です。
- 取引拡大:XRPデリバは5月開始以降の累計名目で$23.7B相当に到達。
- 厚みの増加:未決済建玉(OI)や大口参加者が増え、板の流動性が改善。
- 商品拡充:XRP・SOLのCFTC承認オプションが追加され、ヘッジ手段が広がりました。
これらは、ビットコインやイーサ中心だった資金が、規制環境でXRPにも分散しつつあるサインと受け止められます。
現物は.40の攻防:上抜け・下振れの目安
足元のXRPは短期レンジ$2.34〜$2.39を経て、$2.40の明確な上抜けが注目点です。テクニカルには次の水準が意識されています。
- 上方向:$2.40突破で$2.47、勢いが続けば$2.65が視野。
- 下方向:$2.34割れで$2.28〜$2.31ゾーンが下値目安。
- 地合い:先週の清算連鎖の余波で板が薄く、短期ボラは残存。
米SECのスポットXRP ETF審査観測も続いており、ヘッドライン次第で値動きが振れやすい環境です。
約0万相当のXRP流出が報告:鍵管理に要注意
米在住の個人投資家が、約$3M相当のXRPが第三者に移転されたと報告しました。メーカーの説明では、コールドウォレットのシード(復元語)をモバイルアプリに入力すると、端末に秘密鍵が保存され、実質的にホットウォレット化する点が指摘されています。
- 資金経路:オンチェーン分析ではブリッジ経由でTronへ移動し、OTC先に拡散した痕跡が示されています。
- 留意点:当事者の証言とメーカーの声明によるもので、第三者検証が未完の部分があります。
この件は、価格動向とは別に、鍵管理の設計・運用が市場の信頼やボラティリティに影響し得ることを示しています。
用語解説
- CME:米国の大手デリバティブ取引所。規制下で先物・オプションを提供します。
- デリバティブ:先物やオプションなどの派生商品。ヘッジやレバレッジ取引に使います。
- 未決済建玉(OI):決済されていない契約の残高。参加者数や流動性の指標です。
- ブレイクアウト:レンジ上限・抵抗線を明確に上抜け(下抜け)する動きです。
- ホット/コールドウォレット:ネット接続の有無で区分。ホットは即時送金、コールドは隔離保管が前提です。
- OTC(店頭取引):取引所外で相対に行う売買。大口の資金移動で用いられます。
取引所の健全化:Binanceが600口座停止、Bybitは10銘柄のデリスト通知
要点:大手取引所で不正対策と上場基準の見直しが進んでいます。Binance(世界最大級の暗号資産取引所)は600口座を停止し、不正ツールで得た利益を剥奪しました。Bybit(グローバル展開の取引所)は先物市場で10銘柄のデリスト予定を告知しました。市場の流動性が細りやすい局面で、ガバナンス強化の動きが並行しています。
Binance:600口座を停止、通報に報奨制度
- 措置の内容:自動化ツールや「ボットファーム」などの不正利用アカウントを一括停止しました。
- 利益剥奪:不正行為で得られた利益は回収・無効化とされています。
- 通報インセンティブ:初回の有効な通報者に回収額の最大50%を支払う仕組みを導入しました。
- 目的:市場の公正性と利用者保護を優先する方針の明確化です。
Bybit:先物で10銘柄のデリスト予定
- 対象:先物取引の10銘柄が対象です(銘柄名は告知基準に準拠)。
- 期日:10月21日 14:00(UTC)までにポジション整理が必要と告知されています。
- 背景:上場基準やリスク管理の見直しにより、流動性の薄い銘柄の整理を進めています。
市場への影響:短期の流動性低下とガバナンス強化の同居
短期的には一部銘柄の出来高や板の厚みが低下し、価格が振れやすくなる局面が生じます。一方で、不正排除や上場基準の厳格化は、中長期では市場の信頼性を高める要因です。足元は清算の余波で板が薄い時間帯もあり、ニュースに反応しやすい環境が続いています。
用語解説
- デリスト:取引所の上場廃止。対象銘柄の取引や新規建てが終了します。
- ボット(自動売買ツール):APIなどで自動発注を行うプログラム。不正利用は規約違反です。
- 通報報奨制度:不正の通報に対して、回収利益の一部を報奨として支払う仕組みです。
- 流動性:注文の集まり具合。流動性が低いとスプレッド拡大や価格の振れが起きやすくなります。
トークン化・USDCレールの前進:Sonic×CircleとRWA拡大
結論:インフラと実需が同時に進んでいます。Sonic(ソニック:新興のブロックチェーン・ネットワーク)が、Circle(サークル:米系のUSDC発行体)のCircle Gatewayに接続し、CircleのCCTP v2(クロスチェーン転送プロトコル)でネイティブUSDCをチェーン横断で扱える単一残高体験を提供します。並行して、オンチェーンのRWA(実世界資産)残高は$34.14B(30日+10.58%)へ拡大しました。決済レールとトークン化資産の両輪が加速しています。
Sonic×Circle:ネイティブUSDCを“単一残高”でチェーン横断
今回の連携により、USDCの移動はブリッジ用トークンを介さず、焼却→再発行の手順で安全に行います(CCTP v2)。ユーザーはチェーンごとに資金を分けず、一つの残高で複数チェーンにアクセスできます。企業や開発者は共通APIで複数チェーンへ同時展開でき、資本効率と運用効率が向上します。転送はブロック確定に連動したスピード感で処理され、体験が一体化します。
RWA市場:月次+10.58%で.14Bに拡大
オンチェーンRWAの時価規模は$34.14Bに到達し、過去30日で+10.58%増です。保有者は約48.9万人、発行者は200超へ広がっています。内訳では、米国債ファンドや金連動トークンといった伝統資産由来のプロダクトが牽引しています。チェーン別ではEthereum(イーサリアム)が最大シェアで、レイヤー2や他チェーンも伸びています。
意味合い:決済レール×実需の相互強化
USDCの基盤整備は、RWAの発行・決済・流通を滑らかにします。逆に、RWAの市場拡大は、安定した決済レールの利用機会を増やします。両者がかみ合うことで、オンチェーンの資金循環と流動性が段階的に厚みを増している状況です。
用語解説
- Sonic:新興のブロックチェーン・ネットワーク。Circle Gatewayに接続し、USDCのクロスチェーン利用を拡張します。
- Circle:USDCを発行する米企業。取引所・決済・開発基盤を提供します。
- USDC:米ドルに連動するステーブルコイン。設計上、1ドル近辺の価値維持を目指します。
- Circle Gateway:事業者向けのUSDC発行・償還/移転基盤。複数チェーン対応の業務用ハブです。
- CCTP v2:USDCを焼却・再発行でチェーン間移動する仕組み。ブリッジ資産を使いません。
- 単一残高体験:複数チェーンのUSDCを一つの残高として扱えるユーザー体験です。
- RWA(実世界資産):国債・金・ファンド等の現実資産の権利をトークンで表すカテゴリーです。
韓国市場の出来高偏在と今週の大型アンロック
結論:韓国の大手取引所では、ZBTやXRPなど一部銘柄に出来高が集中しています。さらに、今週はZRO・ZORA・GTをはじめとする複数トークンの大量アンロックが予定されています。相場全体の方向感が鈍い中でも、個別イベントで価格が動きやすい環境が続きます。
韓国市場:一部銘柄への売買集中
直近24時間は、Upbit・Bithumb(韓国の主要取引所)でZBT・XRPなどに特異的な出来高の偏りが見られました。局所的に資金が集まると、板が薄い時間帯に価格が振れやすい傾向が強まります。そのため、出来高の偏在は短期の値動きに直接影響しやすい状況です。
今週の主なトークン・アンロック(時刻はUTC+3、日本時間は+6時間)
- ZRO(LayerZero):10/20 18:00、時価総額の約22%規模の解除。
- ZORA:10/23 03:00、約22%の解除を予定。
- GT(GateToken):10/26 03:00、約8%に相当する大口。
- COAI(ChainOpera AI):10/25 03:00、約4%の解除。
- XPL(Plasma):10/25 03:00、約5%の解除。
- H(Humanity):10/25 03:00、約5%の解除。
アンロックは流通可能な枚数の増加を通じて、短期の需給バランスに影響を与えます。市場が薄い時間帯と重なると、価格変動が増幅される場合があります。
意味合い:イベント駆動の値動きに注意
韓国市場の出来高集中とアンロックの同時進行により、銘柄ごとのボラティリティ(価格変動の大きさ)が高まりやすい状況です。相場全体が方向感に欠ける局面では、ニュースやスケジュールが直接のきっかけになりやすく、個別の値動きが際立ちます。
用語解説
- 出来高:一定期間に取引された数量。多いほど売買が活発です。
- 偏在:特定の銘柄に売買や資金が片寄る状態です。
- アンロック:ロックされたトークンが市場で流通可能になることです。
- Upbit/Bithumb:韓国の大手暗号資産取引所です。
国内:金融庁が銀行の暗号保有容認を検討、メタプラネットは評価面で揺れ
結論:日本では金融庁(FSA)が銀行による暗号資産の「投資目的での保有」解禁を検討しています。制度面の前進が議論に上る一方で、メタプラネット(東証上場)の評価はテクニカル面で強弱が交錯しています。
政策見直しの要点
金融庁は、銀行が株式や国債と同様に暗号資産を投資枠で保有できるよう、監督指針の見直しを検討しています。並行して、銀行グループの暗号資産交換業への登録も議題に載る見通しです。いずれも厳格なリスク管理の条件が前提となります。
市場への含意(インプリケーション)
銀行バランスシートでの取り扱いが明確になると、カストディ(保管)や相対取引などの周辺インフラが進みやすくなります。結果として、機関投資家の参入経路が増え、価格発見の質や流動性にプラスが見込まれます。ただし、自己資本規制やボラティリティ管理の要件が厳しくなる可能性があります。
メタプラネットの評価動向
個別では、メタプラネット(3350)に対し、中長期の下押しリスクを指摘するチャート分析が続いています。足元では移動平均線の下方乖離やボリンジャーバンドの拡大など、調整バイアスを示すサインが目立ちます。一方で、日足の重要線の回復が確認できれば、戻り局面に移行する余地も残ります。
ポイント整理
- 制度:銀行の投資目的保有容認を金融庁が検討。
- 実務:保有が解禁されれば、保管・清算の整備が進展。
- 個別:メタプラネットは調整圧力と反発余地が併存。
用語解説
- 金融庁(FSA):日本の金融行政を担う監督当局です。
- 投資目的での保有:決済用ではなく、運用資産として持つことです。
- カストディ:暗号資産を安全に保管・管理する業務です。
- メタプラネット:ビットコイン保有で注目される日本の上場企業です。
- テクニカル分析:価格や出来高の統計的な動きから傾向を読む手法です。
今後の注目:指標・会合・難易度調整の三点セット
結論:今週から月末にかけてマクロ指標・金融会合・ビットコインのネットワーク調整が連続します。いずれも金利観測やリスク選好に直結し、暗号資産の短期ボラティリティを高めやすい要因です。
直近1週間の主な予定(日本時間)
- 10/20(月)11:00:中国四半期GDP —— 成長率が市場予想を上回ればリスク選好に傾きやすい一方、下振れは景気減速懸念から警戒感が強まりやすいです。
- 10/24(金):日米CPI —— 日本CPIは8:30、米国CPIは21:30の公表が通例です。インフレ指標は利下げ・利上げ観測を動かし、暗号資産の価格にも波及します。
- 10/29(水):FOMC結果 —— 米FRBの政策判断はドル金利・流動性に影響します(公表は日本時間10/30(木)未明が通例)。
- 10/29(水):ビットコイン難易度の次回調整 —— 採掘難易度が上がる見込みです。予想時刻は前後しますが、ネットワーク面の供給サイドに関わります。
- 10/30(木):ECB理事会 —— ユーロ圏の政策見通しは為替・金利を通じてリスク資産の変動要因になります。
- 10/31(金):米中首脳会談(ソウル・APEC) —— 通商・関税を巡る地政学・マクロ要因。緊張緩和は安心感に、逆に対立は警戒に傾きます。
価格とのつながり(なぜ効くのか)
指標や会合は、まず金利見通しに影響します。金利が下がる観測は流動性の改善を通じてリスク資産に追い風となりやすい一方、上振れ観測は逆風になり得ます。
ビットコインの難易度調整は、マイナーの採算や売り圧・保有姿勢に影響します。難易度上昇×高ハッシュレートが続く局面では、電力コストや機材更新力に差が出やすく、ネットワーク健全性の指標としても注目されます。
チェックポイント
- インフレ指標:コア指数の方向で利下げ観測の強弱が変わります。
- 金融会合:声明文・記者会見のガイダンスに注目です。
- 難易度調整:予想値と乖離が出た場合はマイナー動向の再評価が進みやすいです。
- 米中首脳会談:関税や輸出規制に言及があれば、リスク資産の見通し修正につながります。
用語解説
- CPI(消費者物価指数):物価の上昇率を示す指標で、金融政策の判断材料です。
- FOMC:米連邦公開市場委員会。米国の政策金利を決める会合です。
- ECB理事会:欧州中央銀行の政策決定会合です。
- ビットコイン難易度調整:約2週間ごとに行う採掘の難しさの自動調整です。ブロック生成間隔を安定させます。
- ハッシュレート:ネットワーク全体の計算処理能力です。高いほどセキュリティが強い傾向です。
結論・要点整理
総括:米中首脳会談の表明で極端なリスク回避は和らぎました。いっぽうで、ビットコインは$108,400の週足ラインと、難易度の上方見込み×高いハッシュレートという二面性が残ります。今週は指標と会合が重なり、ニュース起点の短期的な振れが出やすい地合いです。
本日の要点
- リスク後退:米中対話の前進で過度な警戒は一服。
- 技術面の分岐:週足で$108,400を維持できるかが焦点。
- 採掘動向:難易度は次回調整で上方予想、ハッシュは高水準。
- イベント密集:中国GDP/日米CPI/FOMC・ECB/難易度調整が連鎖。
明日の注目ポイント
- 中国指標への市場反応:リスク選好の強弱を確認します。
- ETF関連ヘッドライン:資金フローのトーンを点検します。
免責事項:本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
ご留意ください:本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。
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