- 本日のポイント
- 市場概況:ビットコインは11万ドル前後、リスク資産はまちまち
- 日本:金融庁が「暗号資産ETF原資産のCFD等」は望ましくないと牽制
- 欧州:ECBがデジタルユーロを加速、2027年パイロット→2029年ローンチ目標
- ETF・フロー:米BTC現物ETFは週後半に資金流出、IBITが単日最大の流出
- 企業動向:CoinbaseがQ3好決算、国内SBIは上期過去最高益・トークン化推進
- ステーブルコイン:Tetherが年初来純益100億ドル、米国準拠「USAT」を年内計画
- ネットワーク・トークン化:Solana高スループット継続、Ondo×ChainlinkでRWA前進
- 日本発インフラ:カナンが国内電力会社と契約、マイニングで需給調整に活用
- オルタ資産と個別銘柄:XRP・BCH・LINK・ZECの要点を一括整理
- 今後の注目イベントとリスク:11/3 ISM、11/4 RBA、11/5 ADP・ISM非製造、11/7 米雇用統計
- まとめ:本日の焦点は「規制の線引き」と「実需・決算の底堅さ」
本日のポイント
一言要約:規制の線引きが進み、実需と決算の強さが下支え。ETFは短期マイナス・月間プラスで、来週の米指標とイベントが方向性を決めます。
今日のハイライト
- 市場概況: 時価総額 $3.69兆。BTC $109,713(+0.37%)/ETH $3,845、BTCドミナンス 59.4%。米ナスダック(10/31)+0.61%、VIX 17台、USD/JPY 154円近辺、金は軟調。
- 規制: 金融庁が海外暗号資産ETF連動CFDを「望ましくない」と牽制。投資者保護と税制の不確実性を指摘。
- 政策: ECBがデジタルユーロを加速(2027実証→2029ローンチ目標、費用約13億ユーロ)。
- 企業: Tether純益$100億(1–3Q)。CoinbaseはQ3増収増益・L2「Base」黒字化。国内はSBIが上期過去最高益でトークン化を推進。
- フロー: 米現物BTC ETFは$3.88億流出(10/30)。IBIT単日$2.91億流出が中心。一方、10月+ $36.1億で月間は資金流入。
- ネットワーク: Solana日次約7,000万Tx/DEX出来高$1,430億。Ondo×Chainlink連携でRWA前進。
- インフラ: カナンが国内電力会社と4.5MW契約。需給調整にマイニング活用(2025年末稼働予定)。
- 個別: XRP OI過去最高、BCHは利下げ思惑で堅調、LINKは大口買いで下支え、ZECは急騰後の変動大、DOTはETF判断延期で弱含み。
今週のイベント(日本時間)
- 11/3(月) ISM製造業
- 11/4(火) RBA(豪中銀)会合
- 11/5(水) ADP雇用・ISM非製造業
- 11/7(金) 米雇用統計(NFP)
- 11/4–5 Ripple「Swell」(NY)/11/8 Polkadot ETF審査期限
数値スナップショット(日本時間 11/1 9:57)
- BTC: $109,713(24H +0.37%)
- ETH: $3,845
- ドミナンス: BTC 59.4%
- 米株(10/31 NY): ナスダック +0.61%/VIX 17台
- 日経平均(前営業日): +2.12%
- 為替: USD/JPY 154円近辺
詳細は本文各セクションへ。
市場概況:ビットコインは11万ドル前後、リスク資産はまちまち
暗号資産の時価総額は3.69兆ドルです。ビットコイン(BTC)は109,713ドル(24時間 +0.37%)で、ドミナンスは59.4%となりました。イーサリアム(ETH)は3,845ドルです。米株は前日(現地10/31)にナスダック総合が+0.61%で引けました。VIXは17台です。日本の前営業日の日経平均は+2.12%でした。
為替はドル/円が154円近辺です。コモディティでは金が軟調です。全体として、FOMC後の見通しが不明瞭な点と、米テックの設備投資増(AI関連)への警戒が交錯し、リスク資産の方向感はまちまちです。なお、本稿の時点は日本時間 2025年11月1日(土)午前9時57分です。米株・為替・商品市況の一部データは米東部時間の取引終了値(またはその直近)に基づきます。
前日の値動き(ボラティリティ)
前日(現地10/31)のビットコインは、始値 108,319.5ドル/高値 111,102.2ドル/安値 108,319.5ドル/終値 109,602.8ドル(+1.18%)でした。日中の値幅は約2,782.7ドルで、終値対比で約2.5%の変動となりました。出来高は68.61Kです。方向感は上昇で引けた一方、取引時間内の上下動は比較的大きく、神経質な値動きが続いています。
材料のつながり
FOMC後の追加利下げ時期に対する不確実性、米テックの設備投資拡大に伴う株式市場の警戒感、さらに米ビットコインETFの資金フローの揺れが重なりました。これらのマクロ・フロー要因が、前日の「上昇で終えつつも値幅は広い」という展開につながったとみられます。加えて、週末入り前のポジション調整も値動きを増幅しやすい地合いです。
用語解説
- ドミナンス:暗号資産全体に占める特定銘柄(ここではBTC)の時価総額比率。
- 値幅:その日の高値と安値の差。ボラティリティの目安になります。
- 日中変動率:値幅を基準価格(終値など)で割った比率。動きの大きさを数字で把握できます。
- VIX:米株の先行き不安を示す指数。数値が高いほどボラティリティ期待が高い状態です。
- 出来高:取引が成立した数量。活況度合いの指標になります。
日本:金融庁が「暗号資産ETF原資産のCFD等」は望ましくないと牽制
金融庁は、海外で組成された暗号資産ETFを原資産とするCFDなどの取引を「実質的に暗号資産デリバティブ」に該当し得るため望ましくないと示しました。投資者保護を最優先とし、国内で未承認の枠組みを経由した販売にブレーキをかける狙いです。直近のIG証券によるBTC/ETHのETFを原資産とするCFD提供の動きが背景にあります。税制の取り扱いが不明瞭になりやすい点も、リスクとして明示されました。
何が示されたか(ポイント)
- 海外の暗号資産ETFを原資産に据えたCFDは、性質上暗号資産デリバティブと同等になりやすい。
- 国内での承認プロセスを経ていない商品性は、投資者保護の観点から望ましくない。
- 税制の不確実性(課税区分・損益通算・源泉徴収の扱いなど)が、投資家の不利益につながるおそれがある。
- 事業者には、広告や説明義務、リスク開示の一層の徹底が求められる。
背景:国内提供の動きと監督当局の反応
2025年10月末時点で、IG証券がビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)の海外ETFを原資産とするCFDの提供を開始しました。これは、国内で未承認の暗号資産デリバティブに類する取引を、「ETFを介した」形で実現する構図です。金融庁は、国内制度の外側から個人投資家へ類似リスクの商品が流入することを懸念し、今回の見解を公表しました。
論点①:投資者保護(複層構造によるリスク)
- 価格連動の層が二重(現物/先物のETF設計+CFD)になり、乖離や繰延効果が生じやすい。
- レバレッジや追証の発生で、想定外の損失拡大が起こりうる。
- 週末や海外祝日で価格形成の時間帯がずれると、清算やロスカットの不測のリスクが高まる。
- 商品パンフレットや画面表示が複雑になり、実質リスクの理解が難しくなる。
論点②:税制の不確実性(計算・区分の難しさ)
- ETFとCFDが税務上の別概念となり、損益通算や課税区分の整理が難しくなる。
- 海外ETF由来の価格指標を用いることで、源泉徴収や年間取引報告の扱いに齟齬が生じやすい。
- 適切な区分が不明確なまま普及すると、申告ミスや追徴のリスクが高まる。
想定される影響:商品設計・販売体制の見直し
- 国内事業者は、提供の一時停止や表示改善、レバレッジ抑制などの対応を迫られる可能性。
- 広告・勧誘での強調表現が抑制され、適合性確認やモニタリングが強化される見込み。
- 将来の制度整備に向け、暗号資産デリバティブとETF関連商品の明確な線引きが検討課題となる。
用語解説
- 金融庁:日本の金融規制当局。市場の公正性や投資者保護を担う。
- CFD(差金決済取引):原資産を保有せず、差額のみを決済するデリバティブ取引。
- ETF(上場投資信託):指数や資産価格に連動するよう設計された上場ファンド。
- 暗号資産デリバティブ:先物やオプションなど、暗号資産の価格に連動する派生商品。
- IG証券:国内向けにCFDなどを提供する外資系の証券会社。
- 原資産:金融商品の価格が連動する基礎となる資産や指数。
- 追証:証拠金が不足した際に追加で差し入れる資金。
- 税制の不確実性:課税区分や損益通算、源泉徴収の扱いが明確でない状態。
欧州:ECBがデジタルユーロを加速、2027年パイロット→2029年ローンチ目標
ECBは中央銀行デジタル通貨「デジタルユーロ」を前倒しで進めます。規則が2026年に整えば、2027年にパイロット開始、2029年に域内ローンチを目標とします。開発費は初回発行までに約13億ユーロと見積もられています。目的は現金のデジタル補完と、域内決済の主権確保です。一方で、プライバシーの確保や凍結などの公的権限をどう設計するかが課題です。米国は政府系CBDCに慎重(大統領令で抑制)で、民間ステーブルコインの整備を進める対比が鮮明です。
計画の全体像と狙い
小口決済の基盤を公的に用意し、キャッシュレス化の中でも中央銀行マネーへのアクセスを保ちます。加盟国に共通するインフラを整え、越境決済の効率化や民間決済への過度な依存の低減を狙います。
スケジュール:規則整備→実証→発行
2026年にEU規則が確定すれば、2027年に実証(パイロット)でユーザー体験や運用安全性を検証します。条件が整えば、2029年の初回発行をめざします。段階的に機能を拡張し、リスクとコストを管理します。
費用と運営モデル
初回発行までに約13億ユーロを投じ、インフラやウォレット部品をモジュール化して調達します。発行後は運営費が毎年発生し、発行益(シニョリッジ)などで相殺する設計を想定します。
論点:プライバシーと権限設計
本人確認と不正対策に配慮しつつ、少額決済の匿名性をどこまで認めるかが争点です。残高や取引上限の設定、オフライン決済の扱いも調整が必要です。凍結・遮断権限の濫用防止には、透明性や監督の枠組みが求められます。
米国との対比:CBDC慎重、ステーブル推進
米国は政府系CBDCの導入に慎重で、ドル建て民間ステーブルコインの制度整備と決済連携が前進しています。欧州は公的デジタルマネーを軸に、米国は民間トークンを軸に据える構図です。
用語解説
- ECB:欧州中央銀行。ユーロ圏の通貨政策を担う機関。
- デジタルユーロ:ユーロ現金を補完する、ECBが発行を検討するデジタル通貨。
- CBDC:中央銀行デジタル通貨。法定通貨をデジタル形態で提供する仕組み。
- ステーブルコイン:法定通貨などに価値を連動させる設計の暗号資産。
- 発行益(シニョリッジ):通貨発行で生じる収益。運営費の一部の原資となり得る。
ETF・フロー:米BTC現物ETFは週後半に資金流出、IBITが単日最大の流出
10月30日(米国時間)は、米国のビットコイン現物ETF全体で約3.88億ドルのネット流出でした。なかでもBlackRockの「IBIT」から約2.91億ドルが流出し、8月以来で最大の単日流出となりました。短期の資金フローは弱含みですが、10月の月間ネットフローは+36.1億ドルで、9月を上回っています。
当日の動き:流出の中心はIBIT
米スポット型のビットコインETFは、複数銘柄で小口の流出が重なりました。とくにIBITの流出が大きく、市場全体のネット流出を主導しました。単日ベースで3億ドル規模の動きは、短期需給には無視できないインパクトがあります。
背景:政策不透明感と裁定機会の縮小
FOMC直後で12月の追加利下げの不確実性が意識され、金利観測に揺れが出ました。これにより、リスク資産の選好が日替わりで変化しました。また、現物と先物の価格差(ベーシス)が縮小し、裁定取引の妙味が低下したことも短期フローの逆風になりました。
月間評価:流出の一方で積み上がる10月資金
一方で、10月の月間ネットフローは+36.1億ドルです。9月の水準を超え、中長期の資金流入は継続しています。短期の売り越しと月間の買い越しが同居しており、短期需給と長期需要が分かれている状態です。
読み解きのポイント
- 単日の流出入は金利観測や裁定環境の変化で振れやすい。
- 月間の積み上がりは長期マネーの動向を示しやすい。
- IBITの規模効果により、市場全体のフローは同銘柄の動きに左右されやすい。
用語解説
- 現物ETF:ビットコインそのものを保有するタイプのETF(上場投資信託)。
- IBIT:BlackRock(米資産運用大手)が運用する米国のビットコイン現物ETF。
- ネット流出/流入:当日の資金の差し引き(流入−流出)。マイナスは資金流出を意味。
- FOMC:米連邦公開市場委員会。政策金利など金融政策を決める会合。
- ベーシス:先物と現物の価格差。裁定(アービトラージ)の収益源になりやすい。
企業動向:CoinbaseがQ3好決算、国内SBIは上期過去最高益・トークン化推進
米Coinbaseは第3四半期(Q3)で市場予想を上回る決算を示し、収益源の多角化も進みました。日本のSBIホールディングスは上期で過去最高益となり、ステーブルコインや実世界資産のトークン化を軸に事業を拡大しています。両社の動きは、暗号資産と既存金融の接続が収益貢献段階に入ったことを示します。
米国:CoinbaseのQ3決算(成長の柱が複線化)
CoinbaseのQ3売上高は19億ドルで、市場予想を上回りました。純利益は4.33億ドルです。取引収益は10億ドル超に拡大し、月間アクティブ利用者(MTU)は1,260万人まで伸びました。取引以外の収益源も寄与し、収益構造のバランスが改善しています。
イーサリアムのレイヤー2である「Base」は黒字化しました。オンチェーン活動の増加が運営コストを上回り、ネットワーク型の収益が立ち上がっています。会社側はQ4売上について22〜23億ドルのレンジを示し、年末商戦期の取引活性とオンチェーン需要の継続を織り込みました。
- 売上:19億ドル(Q3)
- 純利益:4.33億ドル(Q3)
- MTU:1,260万人(Q3)
- ガイダンス:22〜23億ドル(Q4売上)
- Base:黒字化を達成
日本:SBIの上期決算とWeb3戦略(金融インフラとの接続)
SBIホールディングスの2026年3月期上期(2025年4〜9月)は、純利益1,658億円で上期として過去最高でした。暗号資産事業は堅調に推移し、グループの国内口座数は179万、預り残高は約8,800億円です。一方、マイニング子会社では自己保有資産の不正流出が発生し、当該セグメントはおおむね均衡となりました。
戦略面では、USDCやRLUSD(ドル建ステーブル)の取り扱い計画を掲げ、RWA(実世界資産)のトークン化や暗号資産カストディの体制を拡充します。信託スキームの活用で、国内規制に適合した発行・保管・決済の一体運用を目指します。こうした取り組みは、国内のデジタル資産インフラを商用レベルに引き上げる狙いがあります。
- 上期純利益:1,658億円(過去最高)
- 口座数/残高:179万口座/約8,800億円
- ステーブル計画:USDC・RLUSDの取り扱いを準備
- 重点領域:RWAトークン化、カストディの強化
見るべきポイント(共通テーマ)
両社ともに、取引依存の単線型収益からの脱却を進めています。Coinbaseはオンチェーン経済の拡大でネットワーク収益を積み上げ、SBIは既存金融の基盤と接続するトークン化・カストディで収益機会を広げます。マーケット環境の変動があっても、反復的・継続的な収益モデルの構築が進む構図です。
用語解説
- Coinbase:米ナスダック上場の大手暗号資産取引所。
- Base:Coinbaseが運営するイーサリアムのレイヤー2ネットワーク。
- SBIホールディングス:日本の総合金融グループ。証券・銀行・保険・暗号資産を展開。
- USDC:米サークル社が発行する米ドル連動ステーブルコイン。
- RLUSD:米リップル社が計画する米ドル連動ステーブルコイン。
- RWA(実世界資産):不動産や債券など現実資産をブロックチェーン上でトークン化したもの。
- カストディ:暗号資産などの保管・管理サービス。
- MTU:Monthly Transacting Users(毎月取引する利用者数)。
ステーブルコイン:Tetherが年初来純益100億ドル、米国準拠「USAT」を年内計画
Tetherの収益拡大が鮮明です。1〜3四半期の累計で純益100億ドルに達しました。主因は、約1,350億ドル規模の米国債運用から得た利息です。金利高止まりの環境が追い風となり、資産運用収益が収益全体を押し上げています。
収益の柱:米国債運用がけん引
準備資産の大半を米国債で運用し、安定した利息収入を確保しています。高水準の金利が続く中で、運用益が利益の中心となりました。報道ベースの比較では、収益規模はBoAを上回り、MSやGSに接近しています。もっとも、事業モデルが異なるため、単純比較は注意が必要です。
- 年初来純益:100億ドル(1〜3Q累計)
- 米国債残高:約1,350億ドル規模
- 環境要因:政策金利の高止まりで利息収入が拡大
新トークン:米国準拠USATを年内発行へ
Tetherは米国準拠の新たなステーブルコイン「USAT」を年内に計画しています。既存のUSDTと位置付けが異なる可能性があります。準拠先のルールや準備資産の構成など、具体仕様は今後の開示が鍵です。用途や取引所での取り扱いも順次明らかになる見通しです。
- 計画時期:年内発行を目標
- 論点:準拠ルール、準備資産、開示の範囲
市場の拡大と残る課題
ステーブルコイン市場の時価総額は3,000億ドル超に拡大しています。決済やトレードの基盤として存在感が増しています。一方で、準備資産の透明性や、内部監査の実施といったガバナンス面は重要論点です。USATの導入で、開示の粒度や監査の体制がどう変わるかが注目点です。
- 市場規模:時価総額3,000億ドル超
- 主要用途:決済、為替ヘッジ、トレードの待避先
- 課題:透明性、監査、準備資産の品質管理
用語解説
- Tether:ステーブルコインUSDTの発行体。準備資産を運用し価値を1ドルに維持する。
- USDT:Tetherが発行する米ドル連動のステーブルコイン。
- USAT:Tetherが年内計画とする米国準拠の新ステーブルコイン。詳細仕様は未公表。
- BoA/MS/GS:米大手金融機関(バンク・オブ・アメリカ/モルガン・スタンレー/ゴールドマン・サックス)。
- 準備資産:ステーブルコインの価値を裏付ける資産。現金や短期国債など。
ネットワーク・トークン化:Solana高スループット継続、Ondo×ChainlinkでRWA前進
Solanaは日次約7,000万件の取引と、10月のDEX出来高約1,430億ドルを維持しています。手数料は負荷時でも安定しやすく、並列実行や優先度制御の改善が効いています。一方で、実物資産のデジタル化では、Ondo FinanceとChainlinkが提携を発表しました。株式やETFのトークン化に必要な価格データとチェーン間連携を強化し、機関投資家の導入ハードルを下げる狙いです。高速な基盤と信頼できるデータ配信がそろい、RWA(実物資産)のユースケースが前進しています。
Solanaの処理性能と混雑耐性
並列実行(Sealevel)とサブ秒ブロックにより、高い処理能力を維持します。2024年の停止を受けて、Stake-weighted QoS(SQoS)を導入。混雑時も一定の帯域を確保し、取引失敗を抑えます。さらにFiredancerのハイブリッド検証で余力を拡大し、実運用の安定性とスループットの両立を図っています。
結果として、大量の小口注文やミームコイン期の負荷でも手数料の突発的な上昇を抑えやすい設計です。処理は単一レイヤーで完結するため、流動性が分断されにくい点も、板の厚みと執行品質に寄与します。
手数料設計とユーザー体験
手数料は署名ごとの基本料+優先度手数料が基本です。優先度はグローバルではなくローカルな市場で決まり、過剰入札や過少入札が起きる余地はあります。一方で、TipRouterやプロトコル改善により、優先度手数料の配分と価格発見が滑らかになり、スプレッド縮小と約定の安定が進んでいます。
RWAトークン化:Ondo×Chainlinkの役割
Ondo Financeは、株式やETFのトークン化プラットフォームで、Chainlinkを公式オラクルに採用しました。CCIPによるチェーン間の安全なブリッジングと、価格・指標などの高信頼データを組み合わせます。これにより、発行体や運用者は評価・決済・移転をより確実に自動化できます。
RWAでは、価格の正確性と相互運用性が鍵です。信頼できるデータ供給とメッセージング基盤がそろうことで、清算・償還・コーポレートアクションの自動処理が現実的になります。高速な実行基盤の普及と合わせ、オンチェーン資本市場の基盤整備が進展しています。
投資家への含意と注意点
短期では、混雑局面での優先度手数料のばらつきに注意が必要です。アグリゲーターの活用で執行の安定が期待できます。中期では、クライアント多様化が単一実装のリスクを下げ、ネットワーク耐障害性が高まります。RWAの拡大には、KYC/AMLや証券規制への適合が不可欠で、オラクルの信頼性やガバナンスも継続的な論点です。
用語解説
- Solana:高速処理を特徴とするレイヤー1ブロックチェーン。
- Sealevel:Solanaの並列実行エンジン。複数取引を同時処理。
- SQoS:Stake-weighted QoS。ステーク量に応じた帯域配分。
- Firedancer:高性能な新クライアント実装。処理余力を拡大。
- RWA:Real World Assets。現実資産のトークン化。
- Ondo Finance:トークン化資産の発行・運用基盤を提供する企業。
- Chainlink:オンチェーンに外部データを供給するオラクル基盤。
- CCIP:Chainlinkのチェーン間メッセージング・ブリッジ規格。
日本発インフラ:カナンが国内電力会社と契約、マイニングで需給調整に活用
ASIC大手カナンが、国内の大手地域電力会社と契約しました。導入するのは4.5MW規模の水冷式マイニングサーバーです。自社開発の制御チップで周波数・電圧・ハッシュレートを動的に調整します。目的は余剰再エネの受け皿と負荷平準化です。2025年末の稼働開始を予定しています。
契約の要点
今回のシステムは、需要と供給の変動に合わせて演算負荷を即時に上下します。これにより、出力が不安定な再エネを生かしやすくなります。系統の混雑時は消費を抑え、余剰時は消費を増やすことで、系統の安定性と効率の両立を図ります。
電力システムでの位置づけ
マイニング設備はデジタルな可変負荷として機能します。停止や再開が速く、工場設備よりも調整力として扱いやすい特徴があります。再エネの発電抑制を減らし、需給バランス調整や周波数維持に寄与します。
規模・方式・スケジュール
規模は4.5MWです。冷却は水冷式を採用し、消費電力あたりの性能を高めます。制御チップがフィードバック制御で設備を調律します。稼働開始は2025年末の見込みです。大手電力会社が主導し、国家関連インフラ下でのBTCマイニング実装として注目されています。
実装時の留意点
運用では、系統連系の要件や停止時の安全制御が重要です。電力・冷却コスト、設置地域の規制、そして需給調整市場との整合も論点になります。事業者の運用透明性と環境配慮が継続的な評価軸になります。
用語解説
- カナン:マイニング用半導体(ASIC)とサーバーを手がける企業。
- 水冷式マイニングサーバー:水で熱を逃がす高密度設計の装置。
- ハッシュレート:暗号計算の処理速度。演算負荷の指標。
- 負荷平準化:需要のピークと谷をならし、系統を安定させる運用。
- 再エネの受け皿:余剰発電を吸収し、発電抑制を減らす仕組み。
- フィードバック制御:測定結果で機器の出力を自動調整する方式。
- 需給調整市場:電力の需給バランスを調整力で支える市場制度。
オルタ資産と個別銘柄:XRP・BCH・LINK・ZECの要点を一括整理
主要アルトの材料と足元のトーンを速読できる形で整理します。先物やETF、政策要因が価格に与える影響は銘柄で異なります。短期のフローが強弱を左右する局面のため、材料の「質」と「タイミング」に注目が必要です。
XRP:CME先物は過去最高、ETFとの相乗で流動性増/価格はやや弱含み
CMEのXRP先物で未決済建玉(OI)が過去最高に達しました。5月開始からの増勢が続き、先物ベースETFとの相乗効果で板厚が拡大しています。
一方で、短期はイベント期待の剝落が先行し、価格は軟調です。流動性の増加はボラティリティの抑制にもつながりますが、ニュースの中身次第で方向感は変化しやすい状況です。
BCH:米利下げが追い風、強含みで抵抗帯を試す
米FRBの利下げを背景に、リスク資産選好の回復が進みました。ビットコインキャッシュ(BCH)は出来高を伴って上昇し、上値抵抗帯の試しが続いています。
先物ポジションの整理も進み、テクニカルな買い直しが入りやすい地合いです。ただし、上抜けに失敗すると押し戻される余地も残ります。
LINK:大口の約1.88億ドル買いで下値を切り上げ
チェーンリンク(LINK)では、約1.88億ドル相当の大口買い(取引所からの引き出し)が観測されました。これは長期保有の意図とみられ、売り圧力の低下に寄与しています。
目先はレンジ上辺の抵抗が意識されますが、実需寄りの買いが下値を固めています。押し目は浅くなりやすい一方、上抜けの可否が次の焦点です。
ZEC:インフルエンサー起点の急騰、ボラ高でリスク管理が焦点
ジーキャッシュ(ZEC)は7年ぶり高値圏まで急騰しました。背景には著名インフルエンサーの発信があり、短期資金の流入が加速しました。
ただし、一過性の思惑買いが大きく、出来高の変化と急反落リスクに注意が必要です。プライバシー通貨セクター全体の温度感も影響します。
補足:DOTはETF判断延期で弱含み
ポルカドット(DOT)は、21SharesのETF判断延期が重荷で推移しています。価格は52週安値圏を試す場面が多く、規制・承認の時間軸が短期センチメントを左右しています。
用語解説
- 未決済建玉(オープンインタレスト):決済前の先物・オプションの総数量。資金の滞留度合いを示す。
- 先物ベースETF:先物を保有するETF。価格は現物と乖離(ベーシス)する場合がある。
- 利下げ:中央銀行が政策金利を下げること。一般にリスク資産に追い風。
- レンジ上辺の抵抗:もみ合い価格帯の上限。上抜けるとトレンド転換のサインになりやすい。
- ボラティリティ:価格変動の大きさ。急騰・急落時はボラが高い。
- プライバシー通貨:送金履歴の秘匿性を高めた暗号資産(例:ZEC)。
- ETF判断延期:規制当局の審査が継続し結論が先送りされること。短期センチメントの悪化要因。
今後の注目イベントとリスク:11/3 ISM、11/4 RBA、11/5 ADP・ISM非製造、11/7 米雇用統計
向こう1週間の重要日程が相場の方向性を左右します。短期は米景気指標と中銀会合が中心軸です。中期はETFの資金フローの転換と、各地域の規制・制度の具体化が論点です。下記の日付は日本時間基準です。
マクロ指標・政策イベント(日本時間)
- 11/3(月)ISM製造業:50が分岐点。50超で景気拡張、50未満で鈍化を示します。サプライズは金利期待とドル相場に直結します。
- 11/4(火)RBA(豪中銀)会合:インフレ見通しと政策金利のスタンスに注目。豪ドルの変動はリスク選好の温度感にも波及します。
- 11/5(水)ADP雇用・ISM非製造業:ADPは米雇用統計の先行手掛かり。ISM非製造はサービス主導の景気を映します。
- 11/7(金)米雇用統計:NFP(非農業部門雇用者数)・失業率・賃金に注目。金利の再評価を通じてビットコインやアルトのボラを高めやすい日です。
地域別の焦点(制度・フロー)
- 欧州:ECBの方針具体化待ち。デジタルユーロや金融規律の議論が進むと、ステーブルやRWA(現実資産のトークン化)関連の思惑が強まります。
- 米国:現物BTC ETFのフローが転換点。流入回復なら地合い改善、流出継続なら短期の上値を抑えます。
- 日本:金融庁の追加指針に注目。海外ETFを原資産とするCFDなど、販売スキームの整理が続く見通しです。
個別イベント(暗号資産)
- Ripple「Swell」11/4–5(NY):提携や技術ロードマップの発表が材料。過去には「期待先行→発表後の値動き反転」も見られました。
- Polkadot ETF審査期限 11/8:結論の先送りや判断内容でDOTの短期センチメントが変わります。
潜在リスク(価格変動要因)
- 指標サプライズ:強弱いずれの乖離でも、金利とドルの再評価で暗号資産のボラ拡大につながります。
- ETFの資金流出入:大口の売買フローが継続すると、先物と現物の裁定関係が崩れやすくなります。
- 取引所ガバナンス:口座凍結や内部統制の問題は信用不安を誘発します。上場トークンにも波及し得ます。
- 流動性の薄さ:週明け・イベント前後は板が薄くなり、先物清算の連鎖が起きやすくなります。
- 規制ヘッドライン:各国のステーブル規制・税制・販売規制は、セクターごとの資金配分を変えます。
用語解説
- ISM(製造業/非製造業):米供給管理協会の景況指数。50が拡張と縮小の分岐。
- ADP雇用:民間雇用の月次推計。米雇用統計の先行指標として注目。
- 米雇用統計(NFP):米労働省が発表。雇用者数・失業率・賃金で景気と金利期待を左右。
- RBA:オーストラリア準備銀行。政策金利の決定が豪ドルとリスク選好に影響。
- ETFフロー:ETFへの資金流入出。現物需要の proxy として価格に影響。
- カタリスト:価格変動のきっかけとなる材料やイベント。
- ガバナンス:組織の統治・管理体制。取引所では内部統制や顧客保護を指す。
まとめ:本日の焦点は「規制の線引き」と「実需・決算の底堅さ」
制度面は前進、需給は底堅い一日でした。日本ではデリバティブの線引きが明確化に向かい、欧州ではデジタルユーロの工程が加速しました。一方で、Tether(USDT発行体)の高収益と、Coinbase(米上場の大手暗号資産取引所)の好決算が示すとおり、収益源は実需と取引活動に支えられています。
フローは短期逆風・月間では資金回帰が確認されました。米現物BTC ETFは週後半に流出が出たものの、10月の月間ではプラスを維持しています。短期はイベント前の手仕舞いでぶれやすく、中期は制度整備と企業収益が下支えです。
本日の要点
- 規制:日本の当局がETF連動CFDに慎重姿勢を示し、販売スキームを整理する流れ。
- 政策:ECBはデジタルユーロの工程を具体化し、欧州のデジタル決済網が進展へ。
- 企業:Tetherは米国債運用などで高い純益を計上。Coinbaseは取引収益拡大とL2「Base」の黒字化で決算が堅調。
- フロー:米現物BTC ETFは週後半に流出も、月間では流入超で需給は底堅い。
- 相場:指標やイベントを前に短期の値動きは振れやすい状況。
来週の見どころ
米ISM、RBA会合、米ADP・ISM非製造、米雇用統計が相次ぎます。金利観測とドルが再評価されやすく、暗号資産のボラティリティが高まりやすい局面です。個別ではRipple「Swell」やPolkadotのETF審査期限が材料になり得ます。
注意事項
- 本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には配慮していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
- 本記事は投資判断を促すものではありません。市場理解を目的とした情報提供にとどまります。


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