- 市場概況:FOMC0.25%利下げ後、BTCは11.6万ドル前後で往来
- FRB利下げは「想定内」:価格は往復、デリバティブ優勢の地合い
- SEC“汎用”ETF基準を正式承認:審査のスピードと透明性が向上
- XRP『現物型』ETFとCMEのXRP/SOLオプション計画
- ETFフロー:BTCに強い資金流入、ETHは伸び悩みの対比
- 規制・監督:NY州は銀行にブロックチェーン監視を要請、反CBDC法案も前進
- 企業動向:取引・カストディが前進、送金大手はUSDC採用へ
- 技術・プロトコル:L2・レンディング・クロスチェーンで大きな更新
- セキュリティ:Solana系レンディングで重大バグを修正、被害なし
- 近日の注目イベントとリスク:英・南ア中銀、日銀と日本CPI、来週の米指標
- 結論・要点整理:政策の緩和基調と制度整備が“受け皿”を拡大
市場概況:FOMC0.25%利下げ後、BTCは11.6万ドル前後で往来
いまの全体像(9:19時点)
米FOMCが政策金利を4.00~4.25%に引き下げました。発表直後は上下に振れましたが、その後は落ち着いた動きです。暗号資産の時価総額は4.03兆ドル、24時間出来高は1,472.7億ドルです。ビットコインの市場シェア(ドミナンス)は57.6%です。
主要コインの価格と変動
- ビットコイン(BTC):$116,334(24時間 -0.20%)
- イーサリアム(ETH):$4,606.33(+2.06%)
- XRP:$3.0912(+1.84%)
- ソラナ(SOL):$245.712(+4.02%)
- ドージ(DOGE):$0.285113(+5.68%)
BTCの日足では、9月18日は取引中のため始値のみで$116,426.5です。前日の終値は$116,425.9(9月17日)でした。価格は11.6万ドル前後での小動きが続いています。
株式市場(時刻は原則ニューヨーク時間)
米国株は強弱まじりです。ダウ +0.57%(46,018.32)は上昇しましたが、S&P500 -0.10%(6,600.43)、ナスダック -0.33%(22,261.33)は小反落です。市場の不安度を示すVIX 15.72(-3.91%)は低下しました。
欧州はまちまちです。DAX +0.13%、FTSE100 +0.14%が小幅高、CAC40 -0.40%は下落です。MSCIワールド -0.08%は小幅安です。
アジアでは、日経225 +0.37%、ハンセン +1.78%、台湾加権 +1.07%が上昇しました。一方で、豪ASX200 -0.81%は軟調でした。
為替と商品
為替はドル/円 146.95、ユーロ/ドル 1.1819です。商品は、WTI原油 $63.98、ブレント原油 $67.90、金(XAU/USD)は$3,663.01でした。
きょうの見どころ
- 米利下げは予想どおり0.25%で、市場はもみ合いです。
- BTCはドミナンス57.6%、暗号資産の時価総額は4兆ドル台を維持しています。
- 米株はダウが上昇、ハイテク中心の指数は小反落で方向感はなお模索中です。
用語解説
- ドミナンス:市場全体に対する特定コインの占有率。
- 時価総額:価格×発行枚数の合計。市場規模の目安。
- 出来高:一定期間の取引量。売買の活発さを示す。
- VIX:先行きの変動の大きさを示す指数。高いほど不安が強い。
- FOMC:米国の金利を決める会議。金利は資産価格に影響する。
FRB利下げは「想定内」:価格は往復、デリバティブ優勢の地合い
利下げの概要(FOMCの続報)
米連邦準備制度理事会(FRB)は、政策金利を4.00~4.25%へ0.25%引き下げました。今回の決定は市場予想の範囲内です。声明と会見は、インフレと雇用の両リスクに配慮した慎重な姿勢を維持しました。
ドット・プロット(参加者見通し)は、年内に最大0.50%の追加利下げの可能性を示しました。一方で、より大きな利下げを求めた委員は少数でした。
ビットコインの初動:上昇→失速の往復
発表直後、ビットコイン(BTC)は上昇しました。その後は失速し、発表前の水準付近へ戻りました。この動きは、材料が出尽くした後の「上げてから戻る」パターンです。短時間に上げ下げが交錯し、値動きは荒くなりました。
デリバティブ優勢:建玉は増加、現物は鈍い
先物やオプションなどのデリバティブ市場では、建玉(オープン・インタレスト)の増加が確認されました。一方で、現物の出来高は伸びが限定的でした。この差は、短期の値動きがレバレッジ取引に左右されやすい地合いを示します。
このような局面では、価格が一方向に偏ると、反対方向への急な戻りが起きやすくなります。短期のボラティリティ(価格の振れ幅)は、しばらく高止まりしやすい状況です。
今後の注目点:ガイダンスと流動性
市場は、FRBの追加利下げの幅と時期に関心を向けています。ガイダンスの変化は、ドル資金の流れに影響します。ドルの流動性が緩むと、暗号資産のリスク許容度が上がる場面があります。
一方で、現物の資金流入が弱いままなら、デリバティブ主導の変動が続く可能性があります。短期の値動きは、指標発表や要人発言で振れやすい状態です。
用語解説
- 25bp(ベーシスポイント):0.25%のことです。
- ドット・プロット:FOMC参加者の金利見通しを点で示した図です。
- オープン・インタレスト:未決済の先物・オプションの建玉総数です。
- 出来高:取引量のことです。活発さの目安になります。
- レバレッジ取引:資金を借りて手元資金以上の取引を行う方法です。
- ガイダンス:当局が示す今後の政策運営の方向性です。
- 流動性:資金の出入りのしやすさです。市場の動きやすさに影響します。
SEC“汎用”ETF基準を正式承認:審査のスピードと透明性が向上
背景と今回の決定(「10月適用観測」の続報)
先日も取り上げた「10月適用観測」の続きです。報道によると、米証券取引委員会(SEC)は、暗号資産の現物型ETPに関する汎用的な上場基準を正式に承認しました。個別の銘柄ごとに審査を出し直す手間を減らす狙いです。
これにより、取引所は一定の条件を満たす商品について、共通ルールに基づき上場可否を判断できます。審査の手順がそろうため、全体の見通しと可用性が高まる見込みです。
想定される影響:SOLやXRPなどにも道
基準が明確になると、ソラナ(SOL)やXRPなどの現物系ETPの審査が進みやすくなります。申請書類の作り方や必要なデータが共通化されるためです。結果として、上場判断までの時間短縮が期待されます。
一方で、すべての案件が自動的に承認されるわけではありません。条件を満たさない商品は、これまで通り個別審査が必要です。投資家保護の観点から、慎重な運用も続きます。
要件のポイント
- 監視共有の枠組み:取引所間で不正取引を監視する協定があること。
- 先物の上場実績:対象資産の先物が、指定市場で一定期間取引されていること。
- 既存ETFのトラック実績:同資産を40%以上組み入れるETFが上場済みであること、など。
これらの条件を満たすと、取引所は汎用基準に沿って上場申請を進めやすくなります。個別の「特例扱い」を減らし、手続きの透明性を高める設計です。
市場とのつながり:プロセスの平準化がもたらすもの
手続きの標準化は、発行体にとって計画の立てやすさを生みます。審査の入り口がそろうためです。投資家にとっても、商品の比較軸が明確になり、情報収集がしやすくなります。
ただし、基準は入口の整備に過ぎません。需要や流動性は、個々の商品と市場環境に左右されます。制度面の前進と、市場の受け皿拡大は別物である点に留意が必要です。
用語解説
- ETP(上場取引型商品):取引所で売買できる投資商品。ETFなどを含む総称。
- ETF:指数や価格に連動を目指す投資信託。市場で株式のように売買可能。
- 汎用上場基準:銘柄横断の共通ルール。個別審査の負担を減らす仕組み。
- 監視共有(サーベイランス・シェアリング):市場間で不正取引の兆候をやり取りする枠組み。
- 指定契約市場(DCM):先物を上場する公的に認められた取引所区分。
XRP『現物型』ETFとCMEのXRP/SOLオプション計画
背景と本日の動き
先日も「予告段階」として触れたXRPの米初の『現物型』ETFが、本日上場予定です。発行体はXRPRのティッカーで、米国の証券取引所に登場します。報道ベースの情報であり、最終条件や初日の出来高は取引開始後に判明します。
あわせて、CMEは10月13日にXRPとソラナ(SOL)の先物オプションを上場する計画です。いずれも規制審査を前提とする案内で、日程や仕様は変更の可能性があります。
XRPRの構造と位置づけ
XRPRは現物のXRPを保有する設計が軸です。そのうえで、海外の現物ETFへの投資や、必要に応じたデリバティブ併用を許容するハイブリッド型と整理されています。いわゆる「純粋な現物100%」とは異なる点が特徴です。
この型は、米国の規制環境に合わせつつ、ブローカー口座経由でのXRPへのアクセス手段を広げる狙いがあります。仕組みが明確になることで、商品比較や情報開示も一定の共通尺度で見やすくなります。
デリバティブ拡充(CMEのXRP/SOLオプション)
CMEの計画が実現すると、XRPとSOLの先物オプションが、既存のビットコインやイーサのラインアップに加わります。オプションは権利行使価格と満期を選べるため、価格変動リスクの管理に使われます。
標準契約と小型(マイクロ)契約の両方が想定され、日次・月次・四半期など複数の満期が用意される見込みです。対象は機関投資家からアクティブ個人まで幅広い層となります。
市場への意味合い
XRPRの上場予定とCMEの計画は、「スポット+デリバティブ」の二面でアクセスを増やす動きです。現物に近いエクスポージャーと、規制市場でのヘッジ手段が同時に広がります。
ただし、上場はスタートラインです。需給や流動性、運用手数料、トラッキング精度など、実際の評価は取引の積み上がりで決まります。運用報告や開示の内容も、投資家の信頼形成に影響します。
用語解説
- 現物型ETF:対象資産を直接保有して価格連動を目指すETF。
- ハイブリッド型:現物保有を軸に、他のETFやデリバティブ併用も可能な設計。
- 先物オプション:先物を将来の価格で売買する「権利」を取引する商品。
- 小型(マイクロ)契約:標準より取引単位を小さくした先物・オプション契約。
- エクスポージャー:資産の価格変動にさらされる度合い。
ETFフロー:BTCに強い資金流入、ETHは伸び悩みの対比
ビットコインETFに資金が戻る
米現物ビットコインETFには、先週だけで約23.4億ドルの純流入があったとの分析が出ています。これは7月以来でもっとも強い水準です。ETFの保有残高は約132万BTCまで積み上がったとの整理もあります。
日次でも流入は続き、9月16日には約2.92億ドルの純流入が集計されています。銘柄別では、IBITに約10億ドル、FBTCに約8.43億ドル、ARKBに約1.82億ドルが入ったとされています。
イーサリアムETFは伸び悩み
同じ16日に、現物イーサリアムETFは約6,170万ドルの資金流出となりました。直前までの5日連続の流入(累計約10.9億ドル)はいったん途切れています。足元は「BTC回帰」のムードが続いているとの指摘が見られます。
需給と市場への示唆
一部の分析では、直近のビットコインETFへの資金流入が、新規供給の約9倍に達したとされています。ETFの運用資産総額は1,500億ドル超で、ビットコインの時価総額の約6.5%に相当するとの見方です。利下げ環境と制度整備が受け皿を広げ、ETF経由の資金が価格形成に影響しやすい状況が続いています。
用語解説
- 現物ETF:資産を直接保有し、価格連動を目指す投資信託。
- 純流入:流入額から流出額を差し引いた資金の増加分。
- 新規供給:ビットコインのマイニングによる新規発行量。
- 運用資産総額(AUM):ETFなどが運用する資産の合計額。
- BTC回帰:資金や関心がビットコインに戻る動き。
規制・監督:NY州は銀行にブロックチェーン監視を要請、反CBDC法案も前進
NY州:銀行に「ブロックチェーン分析ツール」の導入を要請
ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)は9月17日、州の監督下にある銀行へ方針を示しました。要点は、取引追跡ができる「ブロックチェーン分析ツール」の導入です。目的はマネロン対策(AML)と制裁順守の強化です。
対象は州認可の銀行と、州内の外国銀行の支店です。通知は「規則」ではなく、監督上の期待事項です。各行は自社のリスクに合わせて体制を整えることが求められます。
ツールは次の用途を想定します。顧客ウォレットのスクリーニング、資金の出所確認、高リスク事業者への曝露の把握、不正や制裁逃れの検知です。暗号資産と銀行の接点が、さらに可視化される見通しです。
米下院:反CBDC条項を「CLARITY法案」に再統合し、上院へ
米下院は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を制限する条項を、市場構造の包括法案(CLARITY)に再統合しました。これにより、審議は上院に進みます。ねらいは、暗号資産のルール整備を進めつつ、連邦準備制度によるデジタルドルの導入を抑えることです。
法案は手続きの簡素化を図る狙いがあります。ただし、成立までの過程は不透明です。上院での修正や調整の可能性があります。
英国:FCAが「ステーブルコインを銀行並み」に監督する案を諮問
英国の金融行為監督機構(FCA)は、ステーブルコインの発行体とカストディアンを、銀行に近い基準で監督する案を示しました。ウォレットや取引所を含む事業者には、正式な認可取得を求める方針です。
FCAは、資産の保全や情報開示のルールを強化する考えです。投資リスクは残るとしつつ、透明性の向上をめざします。これにより、個人投資家の「何が起きているか」が分かりやすくなります。
用語解説
- NYDFS:ニューヨーク州の金融監督当局。
- ブロックチェーン分析ツール:取引の流れを追うためのソフトやサービス。
- AML(マネロン対策):資金洗浄を防ぐためのルールと監視。
- 制裁順守:制裁対象の国・個人との取引を避けるしくみ。
- CBDC:中央銀行が発行するデジタル通貨。
- CLARITY法案:米国の暗号資産の市場構造を定める包括法案。
- FCA:英国の金融行為監督機構。金融サービスの監督を担う。
- ステーブルコイン:米ドルなどに価値を連動させた暗号資産。
- カストディアン:投資家の資産を預かり、保全する事業者。
企業動向:取引・カストディが前進、送金大手はUSDC採用へ
Bullish:NYでBitLicense取得、機関向けサービスを拡張
Bullishは機関投資家向けの暗号資産プラットフォームです。取引とカストディ(保管)を一体で提供します。ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)のBitLicenseを取得しました。送金業ライセンスも併せて認可されました。
これにより、同社はニューヨークでの現物取引と保管を拡大できます。2023年にはメディア事業を取得しました。直近では米国上場も行いました。規制下でのサービス提供力が強まります。
BitGo:BaFinの許認可拡大でEUで「取引」まで対応
BitGoはデジタル資産インフラとカストディの大手企業です。ドイツの金融監督当局BaFinから許認可の拡大を受けました。既存のMiCA準拠の認可に「取引」機能が加わります。
EU域内の顧客は、保管に加えてOTC取引などにもアクセスできます。移管やステーキングの実績もあります。複数の流動性先を活用できる点が強みです。
MoneyGram:USDCとStellarを採用、まずコロンビアで開始
MoneyGramは米国の国際送金大手です。次世代アプリの中核にUSDCとStellarを採用します。まずコロンビアで受取と保管の機能を開始します。
同国は受取額の大きい送金回廊です。通貨安の影響も続いています。アプリは安定通貨建てでの受取と、即時性の高い送金をねらいます。ウォレット基盤にはCrossmintを使います。
Kraken:機関部門で幹部の退任が相次ぐ
Krakenは米国発の暗号資産取引所です。機関向け事業を担う幹部の退任が続きました。対象は機関営業、プロダクト(Pro)、OTC関連の責任者です。同社はコメントを控えています。
報道では人員整理と体制見直しが進むとされます。上場準備の一環との見方もあります。直近の業績に触れる記述もありますが、詳細は開示されていません。
用語解説
- BitLicense:NY州で暗号資産事業を行うための免許。
- 送金業ライセンス:資金移動サービスを扱う事業に必要な州許可。
- BaFin:ドイツの金融監督当局。
- MiCA:EUの暗号資産包括規制。域内の共通ルールを定める。
- カストディ:顧客の暗号資産を安全に保管・管理するサービス。
- OTC取引:取引所を介さない相対の大口取引。
- USDC:米ドルに連動するステーブルコイン。
- Stellar:国際送金などに使われるブロックチェーン基盤。
- Crossmint:ウォレットや決済の基盤を提供する事業者。
技術・プロトコル:L2・レンディング・クロスチェーンで大きな更新
Mantle:OP Succinctに移行し、TVLで最大のZKロールアップに
Mantleは9月にOP Succinctへの移行を完了しました。これにより、同チェーンはTVL(預かり資産)で最大のZKロールアップとなりました。直近のTVLは約22.4億ドルで、2024年12月の過去最高(23.6億ドル)に接近しています。
運営は「Liquidity Chain」を掲げ、DeFiの資金回遊を拡大する方針です。取引所ByBitは「MNT Pass」の統合を予告しました。トークンMNTは9月始値比で約45%上昇した経緯があります。
一方で、MantleのDeFi専用TVLは約2.15億ドルにとどまります。今後は基盤TVLから実需アプリへの広がりが焦点になります。
Aave V4:ERC-4626型の「シェア会計」へ。非効率チェーンは整理へ
Aave LabsはV4のロードマップを公表しました。aTokenの残高増加方式から、ERC-4626に沿った「シェア会計」に移ります。残高は固定し、価格(シェア価値)が上がる形です。連携が簡単になり、会計や税務処理も明瞭になります。
コード公開、公開テストネット、新UI、形式手法を含む多層の監査を予定します。ガバナンスでは、収益の約86.6%がEthereumメインネットに集中すると説明されました。採算性の低いL2や他L1のクローズ提案を段階的に進める方針です。
DAO収益は年約1.3億ドル規模とされます。V4はGHOなど収益性の高い領域にも注力し、広域展開から選択と集中へ舵を切ります。
Wormhole:トークノミクスを改定。リザーブ新設と年4%の基準利回り
WormholeはWトークンの設計を見直しました。プロトコル手数料などで積み立てる「Wリザーブ」を新設します。ステーキングには年4%の基準利回りを導入し、エコシステム貢献に応じて上乗せします。
トークンのアンロックは「まとめて」から「隔週」に変更します。目的は資金の偏りを抑え、利用拡大に合わせた持続的な配分にすることです。投票では約4.85億Wが使われ、ステーク残高は約4,500万ドル相当との記載があります。
同社は今後1~2年で、ブリッジとメッセージング量の拡大を見込みます。ステークはガバナンス権限の委任にも直結します。
Solana:Alpenglow計画で100~150ms級の最終性へ。安全性と多様性を両立
Solanaは「Alpenglow」を9月4日にガバナンス可決しました。賛成は約98.94%でした。実装後は取引の最終性を100~150ミリ秒に短縮する計画です。現在の約12.8秒から大幅に速くなります。
中核は「Votor」と「Rotor」という新コンポーネントです。検証者の参加コストを下げる「VATs」と「20-20レジリエンス」も導入します。20%の停止と20%の悪意に耐える想定です。
単一クライアント依存の課題は残ります。これに対し、Jump Cryptoの「Firedancer」で多様化を進めています。2025年時点で一部バリデータにハイブリッド形態が入っています。テストネットは12月、メインネットは2026年第1四半期の予定です。
用語解説
- ZKロールアップ:取引をまとめ、ゼロ知識証明で検証するL2方式。
- OP Succinct:Optimism系スタックの簡潔化実装。効率化を狙う改良版。
- TVL(預かり資産):プロトコルに預けられた資産の合計額。
- ERC-4626:「金庫(Vault)」の標準。残高は固定で、シェア価値が上がる。
- aToken:Aaveで利息に合わせて残高が増える受取トークン。
- シェア会計:口数は固定で、価格の上昇で收益を表す方式。
- トークノミクス:トークンの配布、利回り、ロックなどの設計。
- ステーキング:トークンを預け、報酬やガバナンス権を得る仕組み。
- 最終性:取引が取り消せなくなるまでの確定時間。
- バリデータクライアント:検証者が使うソフト。複数あると障害に強い。
- VATs:Validator Admission Tickets。検証者参加の仕組み。
- 20-20レジリエンス:20%の停止と20%の悪意に耐える設計思想。
セキュリティ:Solana系レンディングで重大バグを修正、被害なし
事案の概要
Solanaのレンディング「Marginfi」で不具合が見つかりました。フラッシュローンの返済チェックを迂回できる経路が判明しました。研究者の報告で、運営が速やかに対応しました。
技術的なポイント
フラッシュローンは同一トランザクション内での返済が前提です。問題の指示「transfer_to_new_account」で負債の付け替えが可能になりました。結果として返済検証が素通りする恐れがありました。
リスクの対象はユーザー預かり資産でした。規模は約1.6億ドル超とされました。発見はバグバウンティ経由の報告によります。
対応と影響
Marginfiは直ちにパッチを適用しました。フラッシュローン中のアカウント移転を遮断しました。無効化済みアカウントでの返済も禁止しました。
資産流出は発生していません。ユーザー残高への影響は確認されていません。サービスは通常運用に戻っています。
再発防止と示唆
高速チェーンでも論理バグは起こり得ます。設計変更時は返済検証の境界条件が要注意です。形式検証とコード監査の併用が有効です。
バグバウンティは早期発見に役立ちます。公開報告と迅速な修正がシステミックリスクを抑えます。運用監視とフェイルセーフも重要です。
用語解説
- フラッシュローン:同一トランザクション内で借入と返済を行う仕組み。
- 返済検証:返済処理の有無をプログラムで確認する手続き。
- トランザクション:ブロックチェーン上の一連の処理の単位。
- バグバウンティ:脆弱性の通報者へ報奨金を支払う制度。
- フェイルセーフ:異常時に安全側へ停止させる設計思想。
近日の注目イベントとリスク:英・南ア中銀、日銀と日本CPI、来週の米指標
今夜〜明日の金融イベント
本日はイギリスと南アフリカの政策会合があります。イングランド銀行は金利据え置き観測が中心です。南ア中銀も現行水準の維持が想定されています。
明日は日本のイベントも続きます。日銀の金融政策決定会合が終了します。あわせて8月の日本の消費者物価指数(CPI)が公表されます。
これらは為替と金利に直結します。ビットコインなどのリスク資産の値動きにも波及しやすい局面です。
来週の欧米指標と注目点
来週は米国とスイスの重要指標が並びます。短期の値動きに影響しやすい指標です。
- 米・新築住宅販売(9/24):住宅需要と金利感応度を確認できます。
- スイス国立銀行(9/25):政策金利の方針を発表します。
- 米・GDP確定値(9/25):成長の強弱を最終確認します。
- 米・PCEデフレーター/コア(9/26):FRBが重視するインフレ指標です。
成長と物価の評価が変わると、利下げの速度感も変わります。その結果、ドルや長期金利が動き、暗号資産のボラティリティにつながります。
マーケットへのつながり
金利は「資産の割引率」です。利下げが速いほど、将来価値は相対的に上がります。一方で、インフレが粘ると利下げは遅れます。為替はその期待の差で動きます。
ETFへの資金は、こうしたマクロの見通しで変化します。ビットコインETFには流入が続いています。イーサETFは伸び悩みが目立ちます。今後の指標で差が広がる可能性があります。
先物・オプションのイベント
10月13日にCMEがXRPとSolanaの先物オプション上場を予定しています(規制審査前提)。新たなヘッジ手段が増える見込みです。建玉の積み上がり次第で、短期の値動きが大きくなる場合があります。
用語解説
- 政策金利:各国の中央銀行が決める基準金利。短期金利の目安になります。
- CPI:消費者物価指数。家計が買うモノやサービスの価格の変化を示します。
- GDP確定値:国内総生産の最終値。景気の強さを示します。
- PCEコア:個人消費の物価指標から食品・エネルギーを除いたもの。FRBが重視します。
- 利下げサイクル:中央銀行が段階的に金利を引き下げる局面のことです。
- オプション:将来の売買価格を権利として取引する金融商品。ヘッジや投機に使われます。
結論・要点整理:政策の緩和基調と制度整備が“受け皿”を拡大
本日の要点
- FRBは25bpの利下げで、想定内の対応でした。
- SECは“汎用”のETF上場基準を承認しました。
- XRPの「現物型」ETFが本日上場予定です。
- 市場は先物・オプションなどデリバティブ優勢です。
金融緩和と制度整備が進み、ETFやデリバティブなど受け皿は広がっています。価格は往来が続き、方向感は次の材料待ちです。
短期の注目材料とリスク
- BOE、日銀、南ア中銀の政策決定と日本CPI。
- 米新築住宅販売、米GDP確定値、米PCEコア。
- ETFフローの継続性と銘柄間の資金シフト。
- CMEのXRP/SOL先物オプション上場計画(10/13)。
利下げの速度、為替と金利の再調整が焦点です。フローとデリバティブの建玉動向が、短期のボラティリティを左右します。
用語解説
- 汎用ETF上場基準:個別審査を省ける共通の上場ルール。
- 現物型ETF:実物の暗号資産を保有して価格に連動させるETF。
- デリバティブ:先物やオプションなど、価格に連動する派生商品。
- ETFフロー:ETFへの資金の流入・流出のこと。
- ボラティリティ:価格の変動の大きさを示す指標。
本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。
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