ビットコインは12万ドル目前で推移、アルトにも資金波及の兆し
2025年7月28日、ビットコイン(BTC)は前日比+1.19%の119,361ドルとなり、節目とされる12万ドルの水準に迫っています。
イーサリアム(ETH)も+3.02%の3,867ドルと堅調に推移。主要銘柄全体が上昇基調にあり、仮想通貨市場には買い意欲が戻っています。
市場全体の指標では、
- 暗号資産全体の時価総額:3.90兆ドル
- 24時間取引高:1,202億ドル
- BTCドミナンス:60.4%
- ETHドミナンス:11.8%
株式市場も堅調、リスク選好が仮想通貨にも波及
同日の株式市場も落ち着いた展開です。
- S&P500は前日比+0.40%と上昇
- VIX指数は-2.99%と低下
これらの値動きは、全体としてリスク資産への選好が強まっていることを示しています。
背景には、7月27日に報じられた米国とEUの「新関税協定」合意があります。
この合意は、半導体やテクノロジー関連製品の関税を再調整するもので、暗号資産関連産業にもポジティブに作用するとの見方が広がっています。
アルトコインへの資金波及も視野に
BTCが上昇するなかで、ETHやSOL、XRPといったアルトコインにも資金が流れ始めている兆しがあります。
特に、SOLとXRPはETFに関連する話題が多く、市場の注目が集まりやすい状況にあります。
このように、ビットコイン単独ではなく、市場全体に広がる買いの動きが観測されています。
今後の焦点は「12万ドルの壁」突破
現在のBTC価格は、テクニカル的に意識されるレジスタンス(上値抵抗線)である12万ドルに接近しています。
この水準を突破できるかどうかが、今週の市場の方向性を左右する重要なポイントです。
短期的には上昇継続の期待もありますが、直近の清算リスクや利確売りへの警戒感も根強く、慎重な見極めが求められます。
米欧の関税合意が安心感を提供、主要トピックが多方面で連動
ビットコイン反発──大口売却の吸収と市場の回復力
7月26日、Satoshi時代に採掘されたとされる8万BTCが売却され、一時的に市場に下押し圧力が加わりました。 この大口売却は、Galaxy Digitalが顧客に代わって執行したものであり、市場参加者の警戒感を誘発しました。
しかしその後、市場は急速に売り圧力を吸収。 週末を通じてBTC価格は反発し、28日時点では11万9,000ドル〜12万ドルのレジスタンスゾーンに到達しています。 分析プラットフォームCoinankによれば、この価格帯には大量の清算注文が集中しており、短期的な反落リスクにも注意が必要です。
GENIUS法に再注目──ステーブル規制の基盤整備が前進
7月18日にトランプ大統領が署名し、成立した「GENIUS法(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act)」が、ステーブルコインの制度設計に関する関心を再燃させています。
この法律は、ステーブルコイン発行者に対する包括的な連邦ルールを整備するもので、CircleやTetherなどの大手発行者に影響を及ぼす内容を含んでいます。
直近では、Circleの規制準拠方針やJPMorganによるブロックチェーン決済網の拡張が取り沙汰されており、ステーブルコインのインフラ的役割が再評価される動きがみられます。
XRPとSolanaにETF観測──法的整備と企業動向が後押し
XRPに関しては、長年続いてきたSECとの訴訟が終結に近づいており、レギュレーションリスクが後退しています。 これにより、ETF商品としての組み込み可能性に対する期待が高まっています。
一方、Solana(SOL)は、BlackRockによるETF申請報道を受け、価格面でも注目度が上昇中です。 Bitgetのレポートでは、両銘柄ともに中長期的な価格上昇の可能性が示されています。
World ID活用の新事例──DeFiの裾野を広げる取り組み
サム・アルトマン氏が開発した虹彩認証プラットフォーム「World ID」が、分散型金融(DeFi)領域で新たなユースケースを創出しています。
サンフランシスコのスタートアップ「Divine Research」は、World IDによって身元認証されたユーザーに対し、約30,000件の無担保ローンを発行しました。 これは、従来の信用スコアに依存しない新たな金融アクセスモデルとして注目されています。
利率は年率20〜30%と高水準である一方、初回貸付のデフォルト率は約40%に達しています。 リスクを利率で補う構造ではありますが、今後の持続性には課題も残ります。
Tether Gold(XAUt)に資金流入──インフレ・不安定なドルを背景に
デジタルゴールドの代表格であるTether Gold(XAUt)が、この1年で約40%の価格上昇を記録しています。 背景には、米国のインフレ継続と中東・アジア圏を中心とした中央銀行の金買いがあります。
また、金現物市場と連動する仕組みが評価されており、ドルの信用不安や地政学的リスクに対するヘッジ手段としての再評価が進んでいます。 ステーブルコインの派生資産という枠を超え、デジタル資産における「安全資産」の役割を確立しつつあります。
分析・専門家見解・市場の反応
アナリストによる短期見通しと警戒感
暗号資産アナリストのTheKingfisherは、ビットコインが12万ドルの水準を突破する可能性に言及しています。 ただし、ポジション調整による短期的な価格の乱高下が予想されるとして、ボラティリティへの注意を呼びかけています。
その指摘は、週末にかけて価格が急反発した背景と一致しており、現在の上昇局面が投機的な熱狂に傾くリスクも意識されつつあります。
主要取引所におけるロング/ショート動向
デリバティブ市場のデータによれば、BinanceおよびOKXではロング比率がやや低下しています。 一方で、Bitfinexではトップトレーダーによるロングポジションの構築が進んでおり、機関投資家に近い層からの買い支えが観測されています。
こうした取引所ごとの動きの差異は、ポジション構成の違いや流動性特性を反映したものであり、短期戦略の分岐を示しています。
MVRV-Zスコアが示す中期的な強気シグナル
オンチェーン指標であるMVRV-Zスコアは、7月28日時点で「2.69」を記録しています。 これは、ビットコインの現在価格が市場参加者の平均取得コストを大きく上回っていることを示しており、過去の強気相場と類似した水準です。
このスコアの水準は、歴史的に見ても中期的な上昇トレンドの継続と一致するケースが多く、投資家心理の健全性が保たれている可能性を示唆します。
XRP・SOLに対する投資家の期待感
XRPおよびSolanaに対しては、ETF関連の報道を受けてSNS上でも強気な見方が増加しています。 「次の上昇相場をリードする銘柄」として、両通貨に対する注目が高まっており、価格にも資金流入の兆しが現れています。
特に、ETFが実現すれば、伝統的な資産運用層からの資金が呼び込まれる可能性があり、アルト市場全体の回復に弾みをつけるとみられます。
分析・専門家見解・市場の反応
12万ドル水準は短期的な攻防の焦点に
前述のように、ビットコインは現在、12万ドル付近の強いレジスタンスゾーンに到達しています。 この価格帯はレバレッジポジションが多く、短期的なボラティリティが生まれやすい領域です。
分析プラットフォームCoinankによれば、清算クラスターがこの水準に集中しており、「ロング・ショート両方の清算が連鎖する可能性がある」との見解が示されています。 アナリストTheKingfisherも、「この攻防を明確に突破できれば新たな展開につながるが、失速すれば短期調整も視野に入る」と警戒を促しています。
オンチェーン指標は中立〜強気、トレンド継続を示唆
オンチェーンデータでも市場の現状を裏付ける動きが見られます。 7月28日時点で、MVRV-Zスコアは2.69に達しており、これは過去の強気相場中盤と同等の水準です。
この指標は、現在のビットコイン価格が長期保有者の平均取得価格をどれだけ上回っているかを示すものであり、極端な過熱ではない一方で、利益確定売りが出やすいタイミングでもあります。 中長期では依然として上昇余地が残されているとの評価が主流です。
主要取引所で分かれる戦略、投資家層の違いが顕在化
取引所ごとのロング・ショート比率にも注目が集まっています。 BinanceやOKXではロング比率が減少傾向にあり、短期的な調整への備えと見られます。
一方、Bitfinexでは大口トレーダーによるロングポジションの積み増しが続いており、「長期保有前提の強気姿勢」が明確に見られます。 このような違いは、取引所ごとのユーザー層や戦略の違いを反映したもので、市場全体のセンチメントを読み解く上で有効な手がかりとなります。
XRP・SOLに対する投資家心理の改善傾向
前述のように、XRPとSolanaにはETF観測や法的進展が材料視されており、市場心理に好影響を与えています。 SNSや投資家フォーラムでは、両銘柄に対する「次の資金流入先」としての期待感が広がりつつあります。
XRPは訴訟リスクが後退しており、SOLはBlackRockのETF申請報道が好感され、いずれも将来的な機関投資家の資金流入を見越した思惑が広がっています。 こうした期待は、短期トレードだけでなく、中長期保有への関心も喚起している状況です。
今後の展望とリスク
7月30日~8月1日:金融政策と経済指標が相場に影響
今週後半は、複数の重要イベントが集中し、市場の変動要因として注目されています。 7月30日(水)から8月1日(金)にかけて、以下の主要指標と政策判断が予定されています(すべて日本時間):
- 7月30日(水):17:00 ドイツ4-6月期GDP速報、18:00 ユーロ圏GDP速報、21:15 米ADP雇用統計、21:30 米4-6月期実質GDP速報、27:00 米FOMC政策金利、27:30 パウエルFRB議長会見
- 7月31日(木):日本銀行政策金利発表・展望レポート、15:30 植田日銀総裁会見、21:30 米PCEデフレーター(インフレ指標)と雇用コスト指数
- 8月1日(金):18:00 ユーロ圏7月HICP速報(インフレ指標)、21:30 米7月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均時給)
これらのイベントは、いずれも米ドルの動向や金利政策に影響を及ぼす可能性があり、仮想通貨市場もその連動性の高さから強く反応することが想定されます。 特にFOMCや雇用統計は、短期的な方向感を形成する材料として注視されています。
政策環境:米関税合意と新法案が次のテーマ
前述のように、米国と欧州連合(EU)との間での関税合意は、現時点で市場に安心感をもたらしています。 ただし、この合意が恒久的なものかどうかは依然として不透明であり、再交渉や見直しの可能性には注意が必要です。
加えて、ステーブルコイン規制「GENIUS法」に続く、「クラリティ法案(Clarity for Digital Tokens Act)」の審議動向も注目されています。 この法案は、デジタル資産の分類と監督体制の明確化を目的としており、今後の仮想通貨取引の透明性確保に影響を与えるとみられます。
ETF観測とDeFi基盤の進化が資金の流れを変える
現物型ETFの審査は依然として市場の関心を集めており、XRPやSOLといった個別銘柄に対する期待が強まっています。 ETF上場による資金流入が実現すれば、ボラティリティの安定と機関投資家の参入が促進される可能性があります。
また、前述のようにWorld IDを利用した信用スコアに依存しないローン提供など、分散型金融(DeFi)の新たな展開も進んでいます。 こうした技術の進展は、仮想通貨が「取引手段」から「金融インフラ」へと進化する兆しとして評価されています。
資金の分散とリスクの再構築に要注意
Tether Gold(XAUt)の価格上昇は、実物資産との連動性が評価され、インフレヘッジ資産としての地位を高めています。 前述のように、XAUtは1年間で約40%の価格上昇を記録しており、米国のインフレ懸念や中央銀行の金買いとも連動した動きとされます。
ただし、こうした代替資産への資金シフトは、従来の暗号資産市場との資金競合を生む可能性があります。 また、Divineのような高リスク・高利回りの無担保ローンが拡大することにより、市場全体に信用リスクの連鎖をもたらすリスクにも注意が必要です。 分散化の進展が、逆に二極化と脆弱性をもたらす構図には引き続き警戒が求められます。
結論・要点整理
米欧の関税交渉が市場に安心感をもたらす一方で、仮想通貨市場は依然として高い変動性を内包しています。前述のように、Satoshi時代の大口ビットコイン売却を市場が吸収したことにより、短期的な反発が見られたものの、119,000〜120,000ドルの強いレジスタンス帯を突破できるかが今後の焦点となります。
加えて、米国におけるステーブルコイン規制「GENIUS法」や、XRP・SolanaのETF観測といった制度面・金融商品面での進展が、投資家心理や資金フローに影響を与える可能性が高まっています。こうしたテーマは、仮想通貨が金融インフラとしての信頼性を得る上で重要な布石となります。
一方で、Divine ResearchによるWorld ID活用型の無担保ローン事例や、XAUt(Tether Gold)への関心の高まりは、金融包摂や資産分散といった文脈で評価されつつも、高リスク案件や代替資産への資金流出といった副作用も伴います。この点では、今後の市場構造における二極化の進行に注意が必要です。
来週にかけては、7月30日から8月1日に集中する主要経済指標と金融政策イベント――たとえば、30日(水)のFOMCと米GDP速報、31日(木)の日銀政策決定会合、8月1日(金)の米雇用統計など――が、仮想通貨市場のボラティリティを左右する材料となります。また、ETF承認審査の動向も相場に大きなインパクトを与える可能性があり、短期的には「押し目狙い」の戦略に優位性があると考えられます。
本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意しておりますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いいたします。
また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。
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