ビットコイン一時10万ドル割れ・清算拡大──米BTC ETFは4日連続流出、ETHは下値警戒・Balancer/StreamでDeFiリスク【11月5日】

ビットコイン・イーサリアム・ソラナを擬人化し、赤い下向き矢印やVIX、USD/JPY、DeFiプールの警告を背景に配置した横長のアイキャッチ画像。左上にDaily crypto newsの英字タイトル。 デイリークリプトニュース
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  1. 本日のポイント
    1. 今日のハイライト
    2. 今夜以降のイベント
    3. 数値スナップショット(日本時間 11/5 9:48)
  2. リスクオフが波及:BTC・ETHとも下落、株安・VIX上昇・円安基調で逆風
    1. 主要指標のスナップショット
    2. クロスマーケットの見方
    3. 用語解説
  3. ビットコインが一時10万ドル割れ、清算増加で下落加速(背景:10月のフラッシュ後も戻り鈍化)
    1. 概況:心理的節目を一時割り込み
    2. 清算拡大:24時間で20億ドル超
    3. マクロの逆風:タカ派観測とクロスアセット安
    4. テクニカル焦点:節目と前回安値
    5. 直近の流れ:高値圏からの調整が継続
    6. 用語解説
  4. 米現物BTC ETFは4日連続流出、資金は一部SOL ETFへ回遊
    1. 日次フローの概要
    2. SOL現物ETFには資金が流入
    3. なぜ価格のボラティリティに効くのか
    4. チェックポイント
    5. 用語解説
  5. ETHは2日で20%超下落、派生市場のロング清算が増幅
    1. 価格の推移と節目
    2. 派生市場のレバレッジ解消
    3. 需要の鈍化が重なる
    4. テクニカルの水準と下押しリスク
    5. 用語解説
  6. DeFiの相次ぐ負荷:Balancer流出とStreamのxUSDデペグ
    1. Balancer V2:複数チェーンでの流出
    2. Stream Finance:運用損失とxUSDの急落
    3. 波及:レンディング市場の連鎖懸念
    4. 共通する論点:設計と運用の二重リスク
    5. 用語解説
  7. 規制・安全保障:米財務省が北朝鮮関連8人・2団体を制裁
    1. 制裁のポイント
    2. 資金の流れと手口
    3. 規模感と文脈
    4. 市場への含意
    5. 用語解説
  8. L2/インフラ:ZKsyncが$ZKの価値還元案、ChainlinkはCREで機関導入加速
    1. ZKsync:「ガバナンスからユーティリティへ」
    2. Chainlink:CREで「マルチチェーン×レガシー」を標準化
    3. 全体像:価値循環の「設計」と「需要」を同時に強化
    4. 用語解説
  9. 国内企業動向:DAT拡大、取引所はMEME上場予定で銘柄多様化
    1. リミックスポイント:BTC保有を1,411BTCへ拡大
    2. モブキャストHD:SOLを約5,177SOLまで積み増し
    3. OKJ:MEME上場予定で取扱銘柄を拡充
    4. 用語解説
  10. マイニングからAIへ:IRENのMS契約、上場マイナー決算と財務再編
    1. IREN×Microsoft:5年・97億ドルでGPUホスティングへ転換
    2. 上場マイナーの決算:HPC・エネルギーで収益源を多角化
    3. Sequans:債務半減へ970BTCを売却、株価は急落
    4. 見通し:設備・電力の再配分がハッシュと売り圧に波及
    5. 用語解説
  11. 逆行高の一角:プライバシー銘柄が物色
    1. 上昇の背景:監視強化観測と資金の回転
    2. 持続性と留意点:ボラティリティと規制リスク
    3. 用語解説
  12. 今後の焦点とリスク:米雇用・ISM、英BOE、週末の米雇用統計とETFフロー
    1. 直近の結果(参考)
    2. 直近イベントと注目点
    3. 価格の分岐水準(短期の目安)
    4. テーマ別リスク
    5. 確認しておきたい指標とサイン
    6. 用語解説
  13. まとめ:本日の要点

本日のポイント

一言要約:リスクオフと資金フローの悪化が重なり、BTCは心理的節目割れETHは清算連鎖DeFi事故も加わって警戒継続の一日です。

今日のハイライト

  • 市場全体: 株安・VIX上昇ドル高/円安で逆風。暗号資産は出来高増で値動きが荒い。
  • BTC: 一時$100k割れ。24時間で$2B超の清算。短期の分岐は$100k〜$105k
  • ETH: 2日で20%超下落、ロング清算は累計$1B規模。目先は$2,700〜$2,800に警戒。
  • ETFフロー: 米現物BTCは4営業日連続の純流出(累計約$1.34B)。一方でSOL現物ETF$0.4B超の資金流入。
  • DeFiリスク: Balancer V2で多連鎖の資産流出(約$120M)。StreamxUSDは最大-77%のデペグ、関連エクスポージャー$284M観測。
  • 規制・安全保障: 米財務省OFACが北朝鮮関連8人・2団体を制裁。AML強化の流れを再確認。
  • L2/インフラ: ZKsync$ZK収益連動構想を提示。Chainlink CREで機関導入を加速(JPM/UBS事例)。
  • 企業・マイニング: 国内はDAT拡大と上場予定で銘柄多様化。海外はIREN×Microsoft $9.7BでGPUホスティングへ転換、MARA/Hut8は多角化、SequansはBTC売却で債務圧縮。
  • セクター動向: 調整相場のなかでプライバシー銘柄が逆行高(Dash/Decredなど)。

今夜以降のイベント

  • 米ADP雇用統計(22:15)/ISM非製造業(24:00):強ければ金利高止まり観測が強まり、リスク資産に逆風。
  • 英BOEの金利判断:据え置きでもタカ派色なら世界金利に上押し圧力。
  • 週末・米雇用統計:賃金と雇用者数がカギ。結果でボラティリティが変化。

数値スナップショット(日本時間 11/5 9:48)

  • 暗号資産合計: 時価総額 $3.45T/出来高 $230.1B/BTCドミナンス 60%
  • BTC: $100,441.6(24H -5.66%)/ETH: $3,232.31(24H -10.67%
  • 米株: S&P500 -1.17%/ナスダック -2.04%VIX 19.03
  • 日本株: 日経平均 -2.47%
  • 為替: USD/JPY 153.39
  • コモディティ: 金先物 3,944.45(-0.41%)/WTI 60.24(-0.53%)

詳細は本文各セクションへ。

リスクオフが波及:BTC・ETHとも下落、株安・VIX上昇・円安基調で逆風

主要指標のスナップショット

日本時間2025年11月5日9時48分時点の表示値です。全体の動きが分かるよう、数値を簡潔に整理しました。

  • 暗号資産全体:時価総額 3.45兆ドル/24時間出来高 2,301億ドル/BTCドミナンス 60%
  • BTC100,441.6ドル(24時間 -5.66%
  • ETH3,232.31ドル(24時間 -10.67%
  • 米株:S&P500 -1.17%/ナスダック総合 -2.04%/VIX 19.03
  • 日本株:日経平均 -2.47%
  • 為替:ドル/円 153.39
  • 商品:金先物 3,944.45-0.41%)/WTI原油先物 60.24-0.53%

クロスマーケットの見方

株安とVIX上昇が同時に進み、世界的にリスク回避の流れが強まりました。ドル高・円安も続き、リスク資産に逆風となりました。

暗号資産では、BTCが心理的節目の10万ドル付近で攻防が続きました。ETHは下げ幅が大きく、相対的な弱さが目立ちました。

出来高は増加しました。価格調整とボラティリティの高まりが重なり、短期の値動きは荒くなっています。

用語解説

  • BTC(ビットコイン):時価総額が最大の暗号資産。
  • ETH(イーサリアム):スマートコントラクトを備えた代表的な暗号資産。
  • ドミナンス:市場全体に占める特定銘柄の時価総額比率。
  • VIX(恐怖指数):米S&P500の予想変動率。上昇は不安心理の高まりを示す。
  • S&P500/ナスダック総合:米国の主要株価指数。
  • 日経平均:日本の代表的な株価指数。
  • ドル/円:米ドルと日本円の為替レート。数値上昇は円安。
  • WTI原油先物:米国の指標となる原油先物価格。
  • 出来高:一定期間の取引数量。市場の活発度を示す。

ビットコインが一時10万ドル割れ、清算増加で下落加速(背景:10月のフラッシュ後も戻り鈍化)

概況:心理的節目を一時割り込み

ビットコイン(BTC)は主要取引所で一時10万ドルを下回りました。10月10日の大規模清算で付けた安値も更新しました。反発は続かず、戻りは売りで押される展開です。短期の分岐点は「10万〜10万5千ドル」が意識されています。

清算拡大:24時間で20億ドル超

先物・レバレッジ取引のロスカット(強制決済)が増加しました。24時間の清算総額は20億ドル超との報道です。下落で損失確定が進み、さらに売りが出る連鎖が生じました。清算主導の下落は値幅が拡大しやすく、短時間で安値を試しやすい局面になります。

マクロの逆風:タカ派観測とクロスアセット安

米金融政策へのタカ派観測が重なりました。株式の下落と金の反落も同時に進み、リスク回避の流れが強まりました。BTCは「上昇時は非相関、下落時は相関が強まる」動きが出ています。複数資産の同時安は、暗号資産にとっても逆風です。

テクニカル焦点:節目と前回安値

10万ドルは心理的な節目です。ここを割るとストップ注文が出やすく、清算も連鎖しやすくなります。10月10日の清算安を下回った点も弱材料です。上値では10万5千ドル近辺が戻りの圧力帯と見られます。ここを明確に上抜けられるかが、短期の方向感を左右します。

直近の流れ:高値圏からの調整が継続

10月6日の高値は12万6千ドル超でした。そこから下落率は20%超に達しています。戻り局面では売りが出やすく、反発は続きにくい状態です。出来高の増加と清算の拡大が、ボラティリティを高める要因になっています。

用語解説

  • 清算(ロスカット):証拠金が不足した際に、取引所が強制的に建玉を決済すること。
  • フラッシュクラッシュ:短時間に急落・急反発が起きる現象。10月10日の急落が該当。
  • 心理的節目:投資家が意識しやすい丸い価格帯。売買が集まりやすい。
  • 主要取引所:Coinbase(米上場の大手暗号資産取引所)/Gemini(米系の大手取引所)/Kraken(米系の大手取引所)。
  • タカ派(hawkish):物価(インフレ)抑制を最優先し、政策金利の引き上げや高止まりを支持する立場。金利見通しを引き上げやすく、結果として「ドル高・株安(リスク資産安)」の圧力になりやすい。暗号資産にも資金流出の逆風となる傾向がある。対義語はハト派(dovish)

米現物BTC ETFは4日連続流出、資金は一部SOL ETFへ回遊

10月29日から4営業日連続で資金が流出しました。累計は約13.4億ドルの純流出です。とくにiShares Bitcoin Trust(IBIT)の動きが全体を左右しました。他の発行体は横ばいが多く、資金の偏りが目立ちました。フローの偏在は、価格の振れを大きくしやすい要因です。

日次フローの概要

直近4営業日の純流出は次のとおりです。日々の数値は公表ベースの集計です。

  • 10月29日:-4.71億ドル
  • 10月30日:-4.88億ドル
  • 10月31日:-1.92億ドル
  • 11月3日:-1.87億ドル(この日はIBITが主因)

一方で、Grayscale Bitcoin Trust(GBTC)が小幅に資金を集めた日もありました。集計全体はマイナスですが、発行体ごとの差が鮮明です。

SOL現物ETFには資金が流入

ビットコインから資金が抜ける一方、ソラナ(SOL)現物ETFには累計で4億ドル超の流入が観測されました。米国ではBitwiseGrayscaleのSOL商品が資金を集めました。テーマの回転が起きており、投資資金は暗号資産セクター内で移動しています。

なぜ価格のボラティリティに効くのか

ETFフローは即時の価格ではなく需給の傾きを示します。特定発行体に偏った流出は、裁定や在庫調整の負荷を高めます。そのため、現物・先物のヘッジ連鎖を通じて価格の振れが大きくなりやすくなります。逆に、流出が途切れるか、複数の発行体へ分散すれば、振れは徐々に落ち着きます。

チェックポイント

  • 流出の継続性:もう1週間続くか、日単位で転換するか。
  • 発行体の分散度:IBIT偏重が和らぐかどうか。
  • SOL流入の持続:初期流入が定着するか、短期で息切れするか。

用語解説

  • 現物ETF(スポットETF):現物の暗号資産を保有して運用する上場投資信託。
  • 発行体(Issuer):ETFを組成・運用する運用会社のこと。
  • IBIT:iShares Bitcoin Trust。BlackRock(米資産運用大手)の米上場BTC現物ETF。
  • GBTC:Grayscale Bitcoin Trust。Grayscale(米デジタル資産運用会社)のビットコイン投資商品。
  • フロー(資金フロー):ETFへの資金の出入り。純流入は需要超過、純流出は供給超過の兆候。
  • Bitwise:米資産運用会社。暗号資産のETFやETPを運用。
  • Solana(SOL):高速処理を特徴とするブロックチェーンとそのネイティブ資産。

ETHは2日で20%超下落、派生市場のロング清算が増幅

イーサリアム(ETH)は2日で20%超下落しました。およそ4,000ドルから3,000ドル近辺まで急速に下がりました。直近2日で約10億ドル規模のロング清算が発生し、下げを加速させました。さらに、ETFや個人投資家の需要が弱まり、テクニカルの支持帯を次々に割り込みました。アナリストからは2,700〜2,800ドルまでの下押しリスクが指摘されています。

価格の推移と節目

下落は短時間で進みました。4,000ドル付近から3,000ドル近辺へと一気に到達しました。3,200〜3,300ドルの反発ポイントは上値抵抗に変わりました。心理的な3,000ドルが直近の分岐点です。割り込むと、次の目安は2,700〜2,800ドルになります。

派生市場のレバレッジ解消

急落局面では、先物や借入を使ったロング清算が連鎖しました。強制決済が売りを呼び、現物・先物のヘッジで売り圧力が広がります。結果として、出来高が膨らみ、短時間で価格の振れが大きくなりました。

需要の鈍化が重なる

ETFへの資金流入が弱まりました。個人の関心も低下しています。需要の鈍化は押し目の買い支えを細らせ、下落の勢いを抑えにくくします。フローが戻らない間は、反発が続きにくい地合いです。

テクニカルの水準と下押しリスク

主要な移動平均線を下回り、日足の支持帯を次々に割り込みました。戻りは限定的で、上値では売りが優勢です。短期は3,000ドルの攻防が焦点です。維持できなければ、前述の2,700〜2,800ドルが想定レンジになります。

用語解説

  • ロング清算:証拠金取引で価格が下落したとき、損失拡大を防ぐためにポジションが強制決済されること。
  • レバレッジ解消:借入や証拠金を使った取引を縮小し、ポジションを軽くする動き。
  • 支持帯(サポート):買いが入りやすく、価格が下げ止まりやすい価格帯。
  • ETF需要の鈍化:ETFへの資金流入が弱まること。需給の下支えが弱くなる。
  • CoinDesk:米国の暗号資産ニュースメディア。
  • 10x Research:暗号資産の分析や見通しを提供するリサーチ会社。

DeFiの相次ぐ負荷:Balancer流出とStreamのxUSDデペグ

設計面と運用面のリスクが同時に顕在化しました。分散型取引所BalancerのV2で多チェーンにまたがる資産流出が発生し、被害は約1.2億ドル規模に達しました。さらに、運用型プロトコルStream Financeは外部運用者の損失9,300万ドルを公表し、同社のxUSDが約77%下落しました。市場不安はレンディング領域に広がり、直接・間接のエクスポージャー累計は約2.84億ドルとの推計が出ています。

Balancer V2:複数チェーンでの流出

攻撃はV2の「Composable Stable Pool」を狙いました。プール内部の丸め誤差と、プールトークンであるBPTの構造を突く手口です。イーサリアム、アービトラム、ベース、オプティミズム、ポリゴンなどに波及しました。結果としてosETH、WETH、wstETHなどの資産が抜き取られました。

攻撃は小口スワップを多数繰り返し、わずかな残高差を積み上げる形で成立しました。最終的に残高を一括で引き出すことで損害が拡大しました。影響を受けたプールは停止され、リカバリーモードへ移行しています。

Stream Finance:運用損失とxUSDの急落

Stream Financeは、外部の資産運用者による損失を公表しました。規模は9,300万ドルです。この発表を受け、同社のステーク型ドル連動トークンxUSDが一時大きくデペグし、最大で約77%下落しました。入出金は停止され、資産の回収や優先順位の整理が進められています。

波及:レンディング市場の連鎖懸念

オンチェーン分析では、Euler、Silo、Morpho、Gearboxなど複数のレンディングに関連ポジションが確認されています。推計では約2.84億ドルのエクスポージャーが示されました。さらに、ElixirのdeUSDやTreeveのscUSDなど、二次的な安定資産にも影響が及ぶ可能性があります。

背景には、同一資産を繰り返し担保に使う再担保化(リハイポテーション)の連鎖があります。担保網が複雑化すると、ひとつの不具合が複数の市場へ伝播しやすくなります。

共通する論点:設計と運用の二重リスク

Balancerの件はプロトコル設計の脆弱性が主因です。一方でStreamは、人と組織に起因する運用リスクが前面に出ました。DeFiはスマートコントラクトの安全性だけでなく、運用体制や資産管理の透明性も重要です。両者の事例は、設計と運用の二重管理の必要性を示しています。

用語解説

  • Balancer:自動マーケットメイカー(AMM)型の分散型取引所。
  • V2/Composable Stable Pool:複数の安定資産などを柔軟に組み合わせるBalancerのプール設計。
  • BPT(Balancer Pool Token):Balancerプールの持分を表すトークン。
  • 丸め誤差:計算時の小数処理で生じるわずかな誤差。累積すると残高差になる。
  • Stream Finance:外部運用も行うDeFiプロトコル。
  • xUSD:Streamのステーク型ドル連動トークン。今回大きくデペグ。
  • デペグ:本来の連動価格(1ドルなど)から大きく外れる状態。
  • 再担保化(リハイポテーション):同一の担保資産を複数の借入に繰り返し使用すること。
  • レンディングプロトコル:暗号資産を担保に貸借するサービス。Euler、Silo、Morpho、Gearboxなど。

規制・安全保障:米財務省が北朝鮮関連8人・2団体を制裁

米財務省の外国資産管理局(OFAC)が、北朝鮮関連の暗号資産洗浄網に対し制裁を実施しました。対象は個人8名と団体2件です。サイバー攻撃やIT労働者スキーム(海外での偽装就労)で得た収益を暗号資産で移し替え、制裁銀行を介して資金を循環させたとしています。

制裁のポイント

発表では、2人の銀行員が530万ドル規模の暗号資産の移転に関与したと指摘されています。資金は、制裁指定済みの金融機関や仲介者を通じて分散されました。OFACは、これらの資金が北朝鮮の核・ミサイル開発などの国家プロジェクトの資金源になっているとしています。

資金の流れと手口

米当局および報道は、中国・ロシアの仲介者の関与や、シェルカンパニー(ペーパーカンパニー)を用いた実体隠しを指摘しています。暗号資産は、マルウェアフィッシングソーシャルエンジニアリングで盗まれた後、複数のチェーンと口座に分散されました。最近はAIを用いた攻撃の自動化も報告されています。

規模感と文脈

ブロックチェーン分析では、2025年だけで20億ドル超の暗号資産が北朝鮮関連のハッキングで失われたとの推計があります。別の統計では、直近3年間で30億ドル超の被害も示されており、推計に幅がある一方、被害の累積は拡大しています。今回の指定には、第一信用銀行(First Credit Bank)柳京信用銀行(Ryujong Credit Bank)高麗万景台コンピュータ技術会社(KMCTC)などが含まれ、地政学リスクとAML(資金洗浄対策)リスクの再認識につながりました。

市場への含意

制裁は米ドル建て金融やグローバルな取引網へのアクセス遮断を狙います。関連アドレスや仲介者が追加で特定されれば、取引所の上場・入出金対応や、トラベルルール対応のフィルタリング強化が進む可能性があります。短期的には資金移動の遅延や、制裁回避を目的とした新たな手口の出現が懸念されます。

用語解説

  • OFAC(米財務省外国資産管理局):米国の制裁を所管する機関。
  • 資金洗浄(マネーロンダリング):犯罪収益の出所を隠す行為。
  • IT労働者スキーム:海外で身元を偽装してIT業務を受注し、収益を本国へ送る手口。
  • First Credit Bank/Ryujong Credit Bank:制裁に関連する北朝鮮の金融機関。
  • KMCTC(高麗万景台コンピュータ技術会社):北朝鮮拠点のIT関連企業。海外拠点を通じた資金移動が問題視。
  • シェルカンパニー:実体の乏しい法人。資金の出所隠しに使われる。
  • ソーシャルエンジニアリング:人の心理を突いて情報を盗む手法。
  • AML(Anti-Money Laundering):資金洗浄対策。KYCやトランザクション監視などを含む。

L2/インフラ:ZKsyncが$ZKの価値還元案、ChainlinkはCREで機関導入加速

要点は二つです。まず、ZKsyncがトークン$ZKにネットワーク収益を結びつける構想を示しました。次に、ChainlinkがCRE(Chainlink Runtime Environment)を正式展開し、複数チェーン対応と既存金融との接続を一体で提供します。前者は「トークンに価値を戻す」設計、後者は「実需を載せる」基盤整備であり、トークン経済とインフラの両輪が同時に進みました。

ZKsync:「ガバナンスからユーティリティへ」

ZKsyncは、$ZKの役割をガバナンス専用から実用性のあるトークンへ広げる提案を出しました。想定する収益源は二つです。ひとつは、エコシステム内のロールアップ間移転などで生じるオンチェーンの相互運用手数料。もうひとつは、企業向けツールのライセンス収入です。

これらの収益は、ガバナンス管理の仕組みで$ZKの買い戻しに用いられます。買い戻したトークンは、焼却(バーン)運用者へのステーキング報酬開発者支援に再配分される設計です。なお、手数料率や配分比率、買い戻しの頻度などの具体値はまだ示されていません。現時点では提案段階であり、詳細はコミュニティの意思決定に委ねられます。

Chainlink:CREで「マルチチェーン×レガシー」を標準化

Chainlinkは、金融機関が短期間でスマートコントラクトを導入できる開発運用環境CREを本格提供しました。特徴は、複数ブロックチェーン対応既存の金融メッセージ標準(例:ISO 20022)との接続コンプライアンス機能をひとつにまとめた点です。さらに、同社の価格フィードプルーフ・オブ・リザーブといった既存サービスも統合されます。

公表された事例では、JPMorganUBSがCREを用いた実証・運用を進めています。クロスチェーン決済トークン化資産の償還など、実務で必要なワークフローに踏み込んだユースケースです。2026年初頭には機密計算などのプライバシー機能の追加も予定されています。

全体像:価値循環の「設計」と「需要」を同時に強化

ZKsyncの提案は、ネットワークの利用が増えるほど$ZKの需給に正の循環をもたらす設計を目指します。一方のCREは、金融機関の導入コストと時間を下げ、オンチェーン需要の裾野を広げます。つまり、前者はトークン経済の内側、後者は実需の外側から、同じ方向へ押し上げる構図です。

ただし、ZKsync側はパラメータ未定、Chainlink側は本格展開と機能拡張の進捗次第という不確実性があります。短期的な価格だけでなく、採用状況と運用実績の積み上がりが評価の軸になります。

用語解説

  • ZKsync:EthereumのL2(レイヤー2)で、ゼロ知識証明を使い手数料と処理能力を改善するネットワーク。
  • $ZK:ZKsyncのトークン。従来はガバナンス中心、提案では収益連動で買戻し・焼却・報酬に活用。
  • 買い戻し・焼却(バーン):市場からトークンを買い取り、消却して流通量を減らす仕組み。
  • ステーキング報酬:ネットワークの運用者や検証者に与える報酬。トークン保有と引き換えに受け取る。
  • Chainlink:オラクル基盤を提供するプロジェクト。価格フィードや外部データ連携で広く採用。
  • CRE(Chainlink Runtime Environment):複数チェーン対応、レガシー接続、コンプラ対応を備えた機関向け開発運用環境。
  • ISO 20022:国際的な金融メッセージ標準。送金や決済で用いる共通仕様。
  • JPMorgan/UBS:JPMorgan(米大手銀行)、UBS(スイス大手金融)。トークン化やブロックチェーンの実証を拡大。

国内企業動向:DAT拡大、取引所はMEME上場予定で銘柄多様化

日本企業のデジタル・アセット・トレジャリー(DAT)が広がっています。ビットコイン(BTC)に加え、ソラナ(SOL)などのアルト採用も増えています。国内取引所では新規銘柄の上場予定が出ており、個人投資家が選べる資産の幅がさらに広がる見通しです。

リミックスポイント:BTC保有を1,411BTCへ拡大

リミックスポイントは10月31日に29.46BTCを追加取得しました。平均取得単価は1,697万円で、取得額は5億円です。これにより総保有は1,411.30BTCになりました。

取得総額は約213.7億円、平均取得単価は約1,514万円です。4月以降、保有量は約2.2倍に増えています。9月にはSBI VCトレードとの連携も発表し、売買・保管体制を強化しました。

一方で、株式の希薄化に配慮し、2026年6月までは新株発行による暗号資産購入を行わない方針です。財務調達と運用の両立を図る姿勢がうかがえます。

モブキャストHD:SOLを約5,177SOLまで積み増し

モブキャストホールディングスは、10月24日から31日にかけて約5,177SOLを取得しました。取得総額は約1.53億円、平均取得単価は29,549円です。資金は新株予約権の行使で調達しました。

DATの対象がBTCからアルトへ広がる流れを示す事例です。企業トレジャリーが、用途やエコシステムの違いを踏まえた分散化を進めている点が注目されます。

OKJ:MEME上場予定で取扱銘柄を拡充

国内取引所のOKJは、11月11日17:00MEMEの取り扱い開始を予定しています。予定どおりであれば国内初の上場となります。対象サービスは、取引所・販売所・積立・入出庫です。

対応ネットワークはイーサリアムのみです。他ネットワーク上のMEMEを送付すると資産を失うおそれがあるため、入出庫時の確認が必要です。上場により、同取引所の取り扱いは50銘柄規模へ拡大します。

MEMEは9GAGのWeb3ベンチャースタジオMemelandのトークンです。コミュニティ向けのソーシャルプロダクトと連動し、NFTや独自トークンを活用した設計が特徴です。

用語解説

  • DAT(デジタル・アセット・トレジャリー):企業が手元資金の一部を暗号資産で保有・運用する財務戦略。
  • リミックスポイント:国内上場企業。エネルギーや金融関連事業を展開。BTC保有を拡大。
  • モブキャストホールディングス:国内上場のエンタメ企業。トレジャリーにSOLを組み入れ。
  • OKJ:国内暗号資産取引所。MEMEの上場予定を発表。
  • MEME(Memeland):9GAGのWeb3スタジオが設計するトークン。コミュニティ型プロダクトと連携。
  • SBI VCトレード:SBIグループの暗号資産サービス。法人向けの売買・保管支援も行う。
  • SOL(ソラナ):高速処理を特徴とするブロックチェーンの暗号資産。手数料の安さが強み。

マイニングからAIへ:IRENのMS契約、上場マイナー決算と財務再編

設備をビットコイン採掘からAIへ振り向ける動きが鮮明です。IRENはマイクロソフトと大型契約を結び、GPUホスティングを本格化します。主要マイナーの決算でも、高性能計算(HPC)やエネルギー事業への分散が進みました。一方で、Sequansは債務削減を優先し、保有ビットコインを売却しました。資本と電力の配分が、マイニング収益と市場の売り圧力に影響する局面です。

IREN×Microsoft:5年・97億ドルでGPUホスティングへ転換

IRENは、マイクロソフトと5年・97億ドルのクラウド契約を締結しました。あわせてDellから58億ドルの機器を調達し、テキサスのChildress拠点にGPUクラスターを構築します。

稼働計画は2025年後半に75MW2026年後半に200MW規模への拡張です。契約の20%を前払いとする条件が付き、早期の設備立ち上げが促されます。

同社は、同一電力を使った場合の収益性でGPUホスティングが採掘を上回ると説明しています。電力市場の柔軟性が高いERCOT(テキサス)では、価格急騰時の抑制や需給調整の収入も見込みやすい点が追い風です。

上場マイナーの決算:HPC・エネルギーで収益源を多角化

MARA Holdingsの第三四半期は、売上が前年同期比+92%の2.52億ドルでした。純利益は1.23億ドルで、保有ビットコインは52,850BTCへ増加しました。Hut 8も売上0.835億ドル、純利益0.506億ドルとし、保有は13,696BTCです。

両社とも、HPCやデータセンター、エネルギー開発への投資を進めています。ビットコイン価格・手数料・難易度に左右されにくい収益基盤を整え、キャッシュフローの安定化を図っています。

Sequans:債務半減へ970BTCを売却、株価は急落

半導体のSequansは、970BTCを売却して1.89億ドルの転換社債の約半分を償還しました。保有は2,264BTCとなり、株価は発表当日に-16.6%下落しました。

同社はビットコイン保有の長期方針は維持としていますが、当面は財務制約の解消を優先しました。トレジャリー戦略と資本効率の両立が課題となります。

見通し:設備・電力の再配分がハッシュと売り圧に波及

採掘設備がAIへ移ると、ネットワークのハッシュレートの伸びが鈍化する可能性があります。難易度上昇が抑えられれば、残る採掘者の採算はやや改善します。マイナーの現物売り圧力の低下にもつながり得ます。

ただし、ビットコイン価格の反発手数料の高止まりが続けば、採掘の収益性は再び上向きます。GPU調達や液冷設備のサプライチェーン遅延電力価格の変動長期ホスティング契約の固定化は下振れ要因です。2026年中盤までの立ち上がり速度が分岐点となります。

用語解説

  • IREN:オーストラリア発のビットコイン採掘・データセンター事業者。
  • Microsoft:米大手のクラウド・ソフトウェア企業。外部GPU能力を契約で確保。
  • ERCOT:テキサス州の電力市場。需給調整が柔軟で価格変動が大きい。
  • HPC(高性能計算):大規模な計算資源を用いる計算処理。AI学習で需要が拡大。
  • GPUホスティング:GPUサーバーの運用・保守を受託し、利用料を得るビジネス。
  • ハッシュレート:ビットコイン採掘の計算能力。難易度や採算を左右。
  • MARA Holdings:米上場の大手ビットコイン採掘会社。
  • Hut 8:カナダ拠点の採掘・データセンター事業者。
  • Sequans:半導体企業。保有BTCの売却で債務削減を実施。

逆行高の一角:プライバシー銘柄が物色

相場全体が調整するなか、プライバシー関連が逆行高となりました。DashやDecredなどが二桁上昇し、短期資金が集まりました。背景には、各国で進む監視・課税の強化観測があり、匿名性への需要が意識されています。大口投資家の買い集め(いわゆる「鯨」)も確認され、上昇に厚みが出ました。ただし、フロー主導の色合いが強く、持続性は市場全体の地合いに左右されます。

上昇の背景:監視強化観測と資金の回転

  • 規制・税務の強化観測:取引の追跡や報告義務の拡大が意識され、匿名性資産への関心が上がりました。
  • 大口の累積:上位アドレスの保有比率上昇が伝えられ、需給面で買い優位が続きました。
  • セクターローテーション:広範な下落局面で、相対的にテーマ性のある領域へ資金が移動しました。

持続性と留意点:ボラティリティと規制リスク

続伸の鍵は流動性と政策の見通しです。プライバシー銘柄は値動きが大きく、短期の資金出入りで価格が振れやすい特性があります。取引所の上場方針や地域ごとの規制判断が変わると、流動性が急低下する場合があります。また、市場が反発に転じた局面では利益確定が出やすく、上げ幅を戻す展開も想定されます。テーマ性の強さと政策要因の両面を確認する必要があります。

用語解説

  • プライバシー銘柄:送金額や送金元を秘匿する技術を用いる暗号資産の総称。
  • 鯨(クジラ):大量保有・大口取引で相場に影響を与えやすい投資家。
  • Dash:匿名機能を備えた決済志向の暗号資産。
  • Decred:ガバナンスを重視するPoW/PoSハイブリッド型の暗号資産。
  • Zcash:ゼロ知識証明で送金情報を秘匿できる暗号資産。
  • Horizen:プライバシー志向のブロックチェーン基盤。
  • Secret:暗号化された計算でデータの秘匿を図るスマートコントラクト基盤。

今後の焦点とリスク:米雇用・ISM、英BOE、週末の米雇用統計とETFフロー

今週はマクロ指標と政策イベントが連続します。足元では、日本の金融政策に関する議事要旨が公表予定です。日本時間の今夜は米ADP雇用統計(22:15)とISM非製造業景況指数(24:00)が控えます。さらに、英イングランド銀行(BOE)の金利判断があり、週末には米雇用統計が発表されます。これらは金利観測に直結し、リスク資産の方向づけに影響します。

直近の結果(参考)

11月3日に発表された米・10月ISM製造業指数は「48.7」。前月の「49.1」から低下し、予想の「49.4」も下回りました。50未満は景況感の悪化(製造業の縮小)を示すため、リスク回避ムードを強める材料となりました。

豪・RBA(中央銀行)政策金利は11月4日に3.60%で据え置き。声明ではインフレの「持ち直し」に言及し、当面は慎重姿勢を維持するスタンスを示しました。サプライズは限定的ですが、世界的な金利低下期待をやや冷ます要因になりました。

直近イベントと注目点

  • 米ADP(22:15)・ISM非製造業(24:00):賃金や雇用が強ければ、金融引き締め長期化観測が強まります。
  • 英BOEの金利判断:据え置きでも声明や票割れがタカ派寄りなら、世界金利に上押し圧力がかかります。
  • 米雇用統計(週末):非農業部門雇用者数と賃金の伸びが焦点です。強すぎる結果は金利高止まり観測につながります。

価格の分岐水準(短期の目安)

  • BTC:10万〜10万5千ドルのレンジが分岐点です。上抜けで下げ止まり感、下抜けで調整継続の公算が強まります。
  • ETH:2,700〜2,800ドルの支持帯が意識されます。割り込みが進むと、清算増加で値動きが荒くなる可能性があります。

テーマ別リスク

  • ETFフロー:米現物BTCは4日連続流出が観測されました。発行体ごとの偏在が大きい点に留意が必要です。
  • DeFi事故の波及:プロトコルの資産流出やデペグは、関連レンディングやプールの評価に二次被害をもたらします。
  • 地政学・AML強化:制裁や規制強化の報は、資金移動や特定銘柄の流動性に影響します。

確認しておきたい指標とサイン

  • 金利・ドル指数:上昇局面は暗号資産の重荷になりやすい環境です。
  • ボラティリティ:VIXの上昇はリスクオフの強まりを示唆します。
  • ETFの連続フロー:流入転換や分散の度合いが、価格の振れ幅を左右します。

用語解説

  • ADP雇用統計:米民間雇用の増減を示す民間指標。米雇用統計の先行サインとして注目されます。
  • ISM非製造業指数:米サービス業の景況感を示す指数。50が好不況の境目です。
  • 英BOE:イングランド銀行。英国の中央銀行で金融政策を所管します。
  • 米雇用統計:米労働省が発表。非農業部門雇用者数、失業率、賃金などを含みます。
  • ETFフロー:上場投資信託への資金の出入り。連続性や発行体の偏りが価格に影響します。
  • タカ派:インフレ抑制を優先し、金利を上げやすい政策スタンスのことです。
  • デペグ:本来の固定レート(ペッグ)から価格が外れる現象です。
  • AML:マネーロンダリング対策。資金洗浄を防ぐ規制や監督の総称です。

まとめ:本日の要点

本日の最大ポイントは、マクロ要因とETF資金動向が重なり、ビットコイン(BTC)が心理的節目の10万ドルを下回った点です。イーサリアム(ETH)は派生市場の清算連鎖で下落が加速し、分散型金融(DeFi)では個別リスクが投資家心理を冷やしました。

  • BTC:米現物ETFの流出継続と株安が重なり、10万ドル割れ。フローの偏在がボラティリティを拡大。
  • ETH:過去2日で大規模なロング清算が発生。テクニカル支持を次々に割り込み、2,700〜2,800ドルの下押しに警戒。
  • DeFi:Balancer V2の資産流出と、StreamのxUSDデペグが相次ぎ、リスク回避姿勢を強める要因に。
  • 次の確認点:ETFフローの連続性、主要イベント通過後の価格反応、BTCの「10万〜10万5千ドル」攻防とETHの下値目線。

本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。

また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。

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