ビットコイン11.3万ドルに下落──企業買いは継続、トランプ政権の圧力とSEC規制改革が交錯【8月2日】──ETH拡大・マクロ悪化・a16z提言・Avalanche RWA強化も注目

ビットコイン急落とETF関連ニュースを風刺した擬人化コインのイラスト デイリークリプトニュース
ビットコイン急落でも機関投資家は買い継続──ETF制度や地政学リスクも交錯。市場の真意と今後の展開は記事で解説。
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ビットコインが急落、暗号市場全体に広がるリスク回避ムード

8月1日、ビットコイン(BTC)の価格は一時112,760.6ドルの安値を記録し、前日比で約2.1%下落しました(終値ベース)。8月2日9時時点では113,554.1ドルとなっており、依然として不安定な地合いが続いています。

イーサリアム(ETH)は5.3%の下落。ソラナ(SOL)やドージコイン(DOGE)なども大幅に下落し、市場全体に調整ムードが強まりました。

この結果、暗号資産市場の時価総額は3.74兆ドルまで縮小。24時間の取引高は1,964億ドルへと急増し、リスク回避的な取引が広がったことがうかがえます。

株式市場にも下落圧力が波及

同日は伝統的な株式市場にも売りが広がりました。米S&P500は前日比で1.6%安、ナスダックは2.2%の下落。VIX指数は20を超え、投資家心理の悪化が明確になっています。

米ダウ平均は543ドルの下落となり、リスク資産全体に警戒感が強まる展開となりました。

米7月雇用統計の悪化が引き金に

今回の市場急変は、同日発表された米7月雇用統計が直接のきっかけです。非農業部門雇用者数の増加はわずか7.3万人にとどまり、市場予想を大きく下回りました。

この結果、景気の減速懸念が強まり、金利政策や米ドル相場への影響も意識され、暗号資産市場にも波及した形です。

政情不安も投資家心理に影響

加えて、ドナルド・トランプ米大統領が統計局長を突如解任したことも、市場の不透明感を強めました。

経済指標の中立性が揺らぐ懸念が広がり、政策判断の予測可能性が低下。これがビットコインを含むリスク資産の売り材料となったとみられます。

週末前の調整とロング偏重の解消も

週末を前にしたポジション調整も売り圧力を強めました。直近まで市場にはロング(買い)ポジションが偏っており、これが巻き戻される形で価格が大きく動いた可能性があります。

こうした要因が複合的に重なったことで、BTCの下落がマーケット全体に広がる結果となりました。

企業の買い増し継続と規制改革の進展──複数の材料が交錯

ビットコイン下落でも企業の買い姿勢は継続

ビットコインが下落するなかでも、機関投資家による買い姿勢は変わっていません。 カナダの資産運用会社Strategyは、ビットコインの最大7%にあたる供給量の確保を目指すと表明しました。

また、クリーンテック事業に取り組むDevvStreamや、資産運用会社Twenty One Capitalもビットコインおよびイーサリアム(ETH)を大量取得しています。 価格の調整局面にもかかわらず、長期的視点に立った買い増しが進んでいることが示されました。

SECが規制改革を進行、「Project Crypto」が始動

昨日もお伝えしたように、米証券取引委員会(SEC)は、暗号資産市場における包括的な監督体制の構築を目的に「Project Crypto」を正式発表しました。 このプロジェクトでは、トークンの分類基準や情報開示の明確化が主要な検討項目です。

さらにSECは、ETF(上場投資信託)の現物引渡方式(インカインド償還)も承認しました。 これは、今後の現物型ビットコインETFの発展に大きく寄与する制度変更と見られています。

Andreessen Horowitzがトークン規制に意見書

著名VCであるAndreessen Horowitz(通称a16z)は、現在議論されている草案法案に対して公開書簡を提出しました。 書簡では、トークンの技術的特性を考慮しない現行案への懸念を示し、柔軟かつ実態に即した規制設計の必要性を訴えています。

こうした動きにより、トークン分類や規制の整備に向けた議論が本格化してきています。

AvalancheがRWA分野を拡大、イーサリアムは技術強化へ

Avalancheは、RWA(現実資産)領域での事業展開を加速しています。 新たに複数の資産トークン化プラットフォームと連携し、実物資産をブロックチェーン上で扱う枠組みを強化しました。

一方、イーサリアム(ETH)は、この動きに連動する形で注目を集めています。 共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏は、スケーラビリティ(処理能力)の向上に関する新たな提案を公表し、技術面での関心が高まっています。

これらのトピックは、規制・技術・資産運用といった異なる領域から、同時多発的に暗号資産市場へ影響を及ぼしています。

ロング比率は高水準を維持、オンチェーンは加熱感後退を示唆

テクニカルデータ:ロング優勢の構図が継続

主要取引所におけるロング/ショート比率は依然としてロング優位となっています。 Binanceでは1.51、OKXでは1.67と、いずれも1.5倍を超える水準が維持されており、短期的な価格反発への期待感が強いことが示唆されます。

この数値は、調整局面にもかかわらずポジティブなセンチメントが市場に残っていることを意味します。 一方で、建玉の偏りは反動リスクを高める要因にもなり得るため、注意が必要です。

オンチェーン指標:過熱感はやや後退

オンチェーンデータでは、短期保有者の売買動向を示すSTH SOPRが「1.015」となっています。 この水準はプラス圏にあり、わずかに利益確定が進んでいる局面と読み取れます。

MVRV-Zスコアは「2.66」に位置しており、これは過熱圏の下限付近です。 依然として市場価格が平均取得コストを上回っていることから、利益確定の余地は残されていますが、極端な楽観状態ではありません。

Realized PriceとNUPL:下値の支えと投資家心理

短期保有者の平均取得価格であるRealized Price(STH)は、現在「105,800ドル」付近に位置しています。 この価格帯は、今後の下落局面で市場の支えとなる中期的なサポートラインとして意識されています。

また、NUPL(未実現損益比率)は「54.35%」と、含み益を持つ投資家が全体の半数を超えている状況です。 これは投資家心理がやや楽観的であることを示していますが、過去の強気相場のピークと比較すれば落ち着いた状態にあります。

総じて、ロングポジションの傾斜とオンチェーン指標を照らし合わせると、 現在の市場は過熱と冷静の中間に位置しており、やや楽観的な期待と慎重な調整圧力が併存しているといえます。

政治・経済の不透明感がリスクに──今後の指標と規制に要警戒

重要な経済指標と政策イベントが控える

今後数日間、市場は複数の重要経済指標と政策イベントに注目する必要があります。 8月5日には米ISM非製造業景況指数、8月7日には英国中銀(BOE)の政策金利発表が予定されています。 これらの指標は、グローバルなリスク資産への影響を持つ可能性があるため、暗号資産市場も警戒を強めています。

政権動向と金融機関への影響が顕在化

トランプ政権が進める統計局人事の刷新や、FRB(連邦準備制度)に対する圧力の強化が懸念材料となっています。 FRBの政策独立性が揺らぐ事態は、利上げ・利下げのタイミングに不透明感をもたらし、投資家心理を冷やす要因となります。

加えて、FRBメンバーであるクーグラー理事の辞任報道は、市場にさらなる不信感を与えました。 金融政策の一貫性が損なわれるリスクは、金利市場のみならず、暗号資産市場にも波及する可能性があります。

トランプ関連のステーブルコイン問題とETF改革

トランプ陣営に関係するとされるステーブルコイン「USD1」では、利益相反の疑惑が浮上しています。 民主党関係者がOCC(通貨監督庁)に調査を要求するなど、規制当局の対応も注目されています。

一方で、SECが進めるETF制度の見直しや、「Project Crypto」などの政策的取り組みは、長期的な市場活性化につながる可能性があります。 企業の米国回帰や制度整備の進展は、資金流入の呼び水として期待されています。

トランプ政権による潜水艦展開とロシアへの圧力

2025年8月1日、トランプ大統領はSNSを通じて、原子力潜水艦2隻を「適切な地域」へ展開するよう指示したと明かしました。 この措置は、ロシアのメドベージェフ前大統領による挑発的な発言を受けた対応であり、トランプ政権はロシアに対し、停戦に応じる期限として自ら示した8月8日を前に、軍事的な圧力を強めています。

メドベージェフ氏は7月28日にSNSで「最後通牒のゲームは戦争への一歩だ」などと投稿し、さらに核報復能力に関する発言もあったと報じられています。 トランプ大統領はこれを安全保障上の重大な脅威と捉え、「人々を守るためだ。核に言及されたら備えねばならない」とコメント。 記者団には、防衛的かつ抑止力の一環であることを強調しました。

こうした軍事的緊張の高まりは、金融市場においても「安全資産」への資金移動を促す動きとして観測されており、暗号資産市場では一時的なリスクオフムードが拡大しています。

暗号市場の二極化が進行、方向感には慎重な見極めが必要

8月2日時点の暗号資産市場は、価格の短期調整とファンダメンタル強化が並行する複雑な構図となっています。ビットコイン(BTC)は一時11万2,000ドル台まで下落しましたが、DevvStreamやTwenty One Capitalなどによる機関投資家の買い越しや、ETF制度の整備進展が下支え要因となっています。

とりわけ注目されるのは、下落局面での過剰反応を抑制するかのような中長期資金の存在です。米証券取引委員会(SEC)によるETF現物引渡方式の承認、ならびに「Project Crypto」を含む制度改革の加速が、強気材料として市場心理を一定程度支えています。さらに、イーサリアム(ETH)ではスケーラビリティ改善案や分散型金融(DeFi)との実需連動が相まって、ファンダメンタルの底堅さが確認されつつあります。

一方で、市場の方向性には依然として慎重な姿勢が必要です。NUPLやMVRV-Zスコアといったオンチェーン指標は中立〜やや楽観の水準にあり、投資家の心理は大幅な高揚からは距離を置いています。また、BinanceやOKXなど主要取引所ではロングポジション優勢が続くものの、短期的な反発期待に対する慎重な見方も広がりつつあります。

今後は、8月4日に開催予定のSECラウンドテーブルや、ETHおよびAvalancheの実需展開が焦点となります。とくにAvalancheではRWA(現実資産)関連のプラットフォーム拡充が発表されており、分散型金融の次の段階に向けた注目材料となっています。

このように市場は現在、「価格調整」と「制度・技術支援」という相反する要素の中で方向感を模索しており、投資家にとっては過度な楽観や悲観を避け、構造的な変化を注視した冷静な判断が求められます。

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