ビットコインは高値圏での持ち合い継続──ETF関連の材料織り込み進む中、株式市場はリスクオフ
ビットコインは足踏み、イーサリアムは堅調
7月30日午前時点のビットコイン(BTC)は117,916.3ドルで推移しています。前日比は-0.05%、過去7日間では-1.74%の下落となっています。
相場は11万7,000ドルから12万ドルの間で持ち合いが続いており、高値圏での調整が意識される展開です。一方、イーサリアム(ETH)は3,784.38ドルと堅調に推移し、24時間比では+0.12%を記録しています。
直近では、ビットコインに比べてイーサリアムが相対的に強含む場面が目立っており、市場では「選別色」の強まりが意識されています。
暗号資産市場は安定推移、BTCドミナンスは6割超
暗号資産市場全体の時価総額は約3.91兆ドルに達しており、24時間の取引高は1,750億ドル前後と流動性は安定しています。
ビットコインのドミナンス(市場シェア)は60.5%に達しており、イーサリアムは11.9%を占めています。引き続き、ビットコイン主導の相場構造が維持されている状況です。
一部のアルトコインや分散型金融(DeFi)関連資産にも選別的な資金流入は見られるものの、全体としては目立ったリスクテイクは限られています。
株式市場は下落、VIX上昇でリスクオフが強まる
米国株式市場は29日の取引を通じて全体的に下落しました。ダウ平均は44,632.99ドル(-0.46%)、S&P500は6,370.89ポイント(-0.30%)、ナスダック総合は21,098.29ポイント(-0.38%)といずれもマイナスで引けています。
小型株を示すラッセル2000も2,244.30ポイントで、-0.55%の下落となりました。こうした中、恐怖指数とされるVIX(S&P500のボラティリティ指数)は15.98に上昇し、前日比で+6.32%と急伸しました。
この動きは、FOMC(米連邦公開市場委員会)の政策金利発表を今夜に控えていることが背景にあります。パウエルFRB議長の発言次第では、株式市場だけでなく暗号資産市場にも波及的な影響が及ぶ可能性があります。
ETF材料は織り込み済み、次の焦点はマクロ経済
暗号資産市場では、現物ETFのインカインド償還承認などの制度改革が一定の評価を得た一方、足元では新たな材料不足が意識されています。
ビットコインは年初来高値圏を維持しながらも、上値の重さが意識され始めており、短期的な方向感の乏しさが目立つ局面です。
一方、イーサリアムにはETF資金流入やステーキング関連の思惑があることから、ビットコインとのパフォーマンス乖離が広がる可能性も指摘されています。
市場全体としては、今夜のFOMCをはじめとするマクロ経済イベントの結果を見極めようとする姿勢が強まっており、様子見ムードが広がる構図となっています。
ETF承認、企業買い、ETHステーキング──制度改革と資産運用に波及する3つの動き
SECがインカインド償還を正式承認、市場の構造的効率性に影響
米証券取引委員会(SEC)は7月29日、ビットコインおよびイーサリアムの現物ETFに対して「インカインド創出・償還方式」の導入を正式に認可しました。
これは、ETFの発行体が現金ではなく、暗号資産そのものでETFシェアの発行および償還を行う仕組みです。従来のキャッシュベースモデルと比較して、取引コストや税務上の複雑性を軽減する効果が見込まれています。
BlackRockやFidelityといった大手運用会社は、かねてよりインカインド方式の採用を申請しており、今回の承認により運用戦略への導入が可能となります。これにより、市場参加者の取引戦略にも柔軟性が生まれると期待されています。
2024年から議論されてきた制度改善のプロセスは、今回の正式承認によりひとつの区切りを迎えました。
Strategy社が25億ドル相当のBTC追加取得、企業戦略が鮮明に
前述のETF制度改善と並行して、機関投資家によるビットコインの積極的な取得も継続しています。
米Strategy社は7月30日、約25億ドル相当(21,021 BTC)を新たに取得したと発表しました。これは同社の新規IPO「STRC」で調達した資金を直ちにビットコインに転換したものです。
これにより、同社の総保有量は62.3万BTCに拡大しました。平均取得単価は73,227ドルとされており、依然として暗号資産を財務の中核と位置づける姿勢が明確です。
このような企業の行動は、ビットコインが「デジタル金(ゴールド)」として機関投資家に受け入れられている現状を象徴しています。
イーサリアムETFにステーキング提案、実需型の評価が高まる
ビットコインに対する注目が続く一方で、イーサリアムにも新たな展開が見られます。
BlackRockのETH現物ETFに対し、ステーキング機能を組み込む提案がSECに承認されました。これにより、ETF保有者がネットワークにバリデーター(検証者)として貢献し、報酬を得る仕組みが実装される見通しです。
共同創業者のジョー・ルービン氏は、「ETHは信頼経済の中核資産である」と述べ、法人や国家レベルの導入を推進する意欲を示しました。
この動きは、イーサリアムが単なる投機対象ではなく、ネットワーク参加型の実需資産として認識され始めていることを示しています。
分析・専門家見解・市場の反応
オンチェーン指標は過熱を避けつつ健全圏へ
前述の通り、ビットコインは高値圏での持ち合いが続いていますが、オンチェーンデータを見る限り、市場は過熱よりもむしろ安定した状態にあると解釈できます。
短期保有者の売却動向を示す指標である「STH SOPR」は1.015と、かろうじて利益確定の水準にあります。 これは短期的な売りが断続的に発生していることを示唆していますが、数値が過剰な利確領域(1.1超など)には達しておらず、過熱感は抑制されています。
一方、「MVRV-Zスコア」は2.71で、3.0の加熱ゾーンには届いていません。 市場全体のバリュエーション水準はやや割高といえますが、過去のピークと比較しても健全性を保った水準にとどまっています。
短期Realized Priceとの乖離が下値を支える構造
ビットコインの短期保有者の平均取得価格を示す「Realized Price(STH)」は10万5,264ドルです。 現値とは約1万ドル超の乖離があるため、この価格帯が今後の下値支持帯として意識されやすいと見られます。
また、「NUPL(Net Unrealized Profit/Loss)」は56.37%となっており、過半数の投資家が含み益を抱えていることを示します。 ただし、値はまだ70%を下回っており、市場心理が強い楽観に傾いているわけではありません。 投資家のセンチメントは中立的な水準で維持されていると言えます。
ロング優勢だが明確な強気転換には至らず
先物市場のポジション動向を見ると、ロング/ショート比率はBinanceで1.01、OKXでは1.06と、いずれもロングがやや優勢です。 しかし、いずれも極端な偏りではなく、強いトレンド発生の兆候とは言い切れません。
このように、オンチェーンおよび先物市場のデータを総合すると、短期的な売り圧力は一定程度緩和されつつあるものの、現水準から上値を追うためには新たな材料や資金流入が求められる状況です。 市場参加者の多くは様子見のスタンスを保っており、方向感に乏しい相場構造が続いています。
今後の展望とリスク
FOMC後の市場反応と年内政策の方向性に注目
本日深夜に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明発表と、パウエル議長による会見内容が市場の焦点となります。
市場は現行の政策金利の据え置きをほぼ織り込んでいますが、注目されるのは9月以降の金融政策スタンスです。 仮に利下げに対する慎重な姿勢が打ち出される場合、株式および暗号資産市場においてボラティリティが拡大する可能性があります。 特にレバレッジが溜まりやすい暗号資産セクターでは、パウエル発言のニュアンスが短期的な価格変動に直結しかねないため、注意が必要です。
さらに今週は、米個人消費支出(PCE)デフレーターや雇用統計など、インフレと景気の両面にかかわる経済指標の発表が控えています。 これらの数値が金融政策の見通しを左右することから、週を通じてファンダメンタル主導の相場展開が続くと見られます。
米中対立リスクと地政学的な波及懸念
金融政策に加え、米中間の通商問題も再び市場の不確実性を高めています。 通商交渉の緊張が高まる中、米国が新たな関税措置を発動する可能性も浮上しており、実際に制裁が実行される場合は、グローバル市場全体にリスクオフの連鎖が及ぶ恐れがあります。
こうした背景のもと、暗号資産市場でも安全資産への逃避やドル高の影響が価格に反映されるリスクが高まっています。
ETH・SOLへの選別的資金流入とBTCの停滞
前述の通り、イーサリアムやソラナ(SOL)といったアルト銘柄に対する資金流入が続いています。 背景には、ステーキング型ETFの認可やDeFiエコシステムへの期待感があると考えられます。
一方でビットコインは、インカインド制度の承認など好材料が出そろった後とあって、材料出尽くし感も指摘され始めています。 ETF関連の買いが一巡しつつある中で、新たな上昇トリガーを欠いており、短期的にはレンジ圏での推移が想定されます。
このように、銘柄ごとの資金流入の偏りやマクロ環境の変化が、今後の市場構造を複雑化させる要因として浮上しています。 短期的なポジション管理においては、セクター間の相関低下にも留意が必要な局面です。
結論・要点整理
本日報じられた米SECによるインカインド方式ETFの正式承認は、現物型ETFにおける制度上のボトルネックを解消する重要な転換点となりました。 これにより、暗号資産を裏付けとした運用商品の制度的信頼性が高まり、機関投資家の参入障壁が一段と低下する構図が生まれつつあります。
前述の通り、イーサリアムにおいてはステーキング機能を付与したETFの認可や、共同創業者ルービン氏の実需評価といった動きも相まって、資産クラスとしての機能的拡張が進行しています。 一方で、ビットコインについても企業による買い増し(Strategy社)やインカインド承認による取引効率向上といった要素が、構造的な支援材料として作用し始めています。
短期的には、FOMCやPCEデフレーター、雇用統計といったマクロ指標の発表を前に、ポジション構築に慎重な姿勢が優勢となる展開が想定されます。 一方で、中期的にはETFの運用構造変化をきっかけとした、資金循環や分散投資戦略の見直しが進む可能性もあります。
加えて、ETHやSOLといったアルト銘柄に対する選別的な資金流入、RWAトークンなどの次世代ユースケースの台頭もあり、市場は単一銘柄主導からテーマ型・構造型の局面へと移行する兆しが見え始めています。 投資家は今後の市場の構造的変化に目を向けつつ、短期的な変動リスクにも適切に備える必要があります。
本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。
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