ビットコイン10.9万ドル台、PCE直前&月末オプション満期$220億で警戒感──Hashdexがマルチ資産ETF拡大、PayPal×SparkでPYUSD流動性強化【9月26日】

ビットコインやPYUSDなどの擬人化コインがPCEと月末オプション満期、ETF拡大、RWA化、ハッシュレートATH、規制強化を象徴する英字ボードの前で行進する風刺イラスト(1200×630) デイリークリプトニュース
今夜PCE×月末OP満期でBTCは警戒、ETF拡大(Hashdex/BlackRock)とPYUSD流動性、RWA・ハッシュレートATHが進展。相場の次のフローを要点でチェック—詳細は記事で。
記事内にプロモーションが含まれています。
  1. 市場はリスク回避気味、BTCは9k台・ドミナンス58%台に
    1. 暗号資産の指標と日次の流れ
    2. 株式・ボラティリティの動向
    3. 為替・コモディティの概況
    4. イベント接近による手控え
    5. 用語解説
  2. BTC:月末オプション満期0億とPCE前が重なり、清算拡大で下押し
    1. デリバティブ清算とポジション調整
    2. ETFフローと満期後の焦点
    3. 用語解説
  3. ETF・規制:SEC「汎用上場基準」後に案件が加速、Hashdex拡大とBLK新提案
    1. Hashdexの拡大:指数と適格要件の整理
    2. ブラックロック:BTCプレミアム・インカム構想
    3. 新基準の含意:承認の迅速化と保護のバランス
    4. 用語解説
  4. ステーブルコイン:PYUSDのDeFi流動性強化、決済ユース拡大の布石
    1. PayPal×Spark:DeFi流動性レイヤーの活用モデル
    2. Cloudflare「NET Dollar」:エージェント時代のマイクロペイ決済
    3. Circle:USDCの「可逆化」検討と返金オペの前進
    4. 含意:決済ユース拡大に向けた「流動性×運用ルール」の整備
    5. 用語解説
  5. マネーの将来像:Citiは2030年ステーブル時価.9–兆、RWA連動も台頭
    1. Citiの予測とデジタルマネーの棲み分け
    2. 株式RWAの進展:SPXAがBaseで稼働
    3. 含意:24/7市場と担保設計の再編
    4. 用語解説
  6. 取引所・規制執行:KuCoinに加課金、米上院公聴会は“税制明確化”で続報
    1. カナダ:FINTRACがKuCoinに制裁、登録義務とAML統制を巡る争点
    2. 米国:上院財政委が10/1に公聴会、課税の実務整理を議論
    3. 市場への含意:執行と制度設計の二面から透明性を強化
    4. 用語解説
  7. インフラ・マイニング:ハッシュレートATHとHPC転用、採算圧力の分岐点
    1. ハッシュレート加速と難易度・採算の関係
    2. HPC転用:Cipher×Fluidstack×Googleの構図
    3. 上流制約と評価軸:電源・接続・建設の“実配備”
    4. 用語解説
  8. プロトコル/DeFi:Aave V4のモジュール化とXRPのLSDでユース拡張
    1. Aave V4:ハブ&スポークで流動性を集約し、リスクを分離
    2. XRPのLSD「mXRP」:EVMサイドチェーンで休眠資産を稼働
    3. 共通テーマ:資本効率と安全性、そして操作性の再設計
    4. 用語解説
  9. 今後数日の注目:今夜PCE→月末OP満期→来週の公聴会とETFパイプライン【9月26日】
    1. 米PCEとカナダGDP:物価と成長の同時チェック
    2. 月末のBTCオプション満期とETFフローの点検
    3. 来週の上院公聴会とETFパイプラインの継続
    4. 用語解説
  10. 結論・要点整理【9月26日】

市場はリスク回避気味、BTCは9k台・ドミナンス58%台に

暗号資産市場はややリスク回避が強まりました。総時価総額は3.83兆ドル、24時間出来高は1,766億ドルです。ビットコイン(BTC)は109,101ドルで前日比-3.50%、イーサリアム(ETH)は3,889ドルで-5.84%でした。ドミナンスはBTCが58.2%、ETHが12.7%です。米個人消費支出(PCE)デフレーターの発表を控え、ポジション調整が優勢となりました。

暗号資産の指標と日次の流れ

BTCは109,000ドル台で推移し、直近24時間は下落基調です。ETHも弱含みで、主要アルトの下げが全体のセンチメントを重くしました。ビットコインのヒストリカルデータでは、9月25日に-3.79%を記録しています。26日は取引進行中で、朝時点の水準は109,000ドル台でした。出来高と時価総額の組み合わせは、イベント前の様子見姿勢を示しています。

株式・ボラティリティの動向

米株はダウ平均が-0.38%、S&P500が-0.50%、ナスダックが-0.50%でした。VIXは16.74で、前日比で小幅上昇です。株式の弱含みとボラティリティの持ち直しは、暗号資産のリスク選好を抑制しました。欧州主要指数も軟調で、世界株のトーンはややリスクオフ寄りでした。

為替・コモディティの概況

為替はドル高一服の流れで、USD/JPYは149.82近辺でした。ユーロドルは1.166台で小動きです。コモディティは金先物が3,773ドル台、XAU/USDは3,743ドル台で推移しました。WTI原油は65ドル台を維持し、小幅高でした。資源価格は総じて落ち着いており、マクロ指標待ちの色合いです。

イベント接近による手控え

本日21:30に米8月PCEデフレーターの発表が予定されています。コアPCEの予想は前月比0.2%、前年同月比2.9%です。月末に向けたオプション満期も重なり、短期資金は機敏なフローとなりました。市場全体では、イベント消化後の方向感を探る展開が想定されます。

用語解説

  • 時価総額:全暗号資産の価格×発行量の合計。
  • 出来高:直近24時間で成立した取引金額の合計。
  • ドミナンス:市場全体に占める主要銘柄の時価総額比率。
  • VIX:米株の予想変動率指数。数値が高いほど不安定とされる。
  • PCEデフレーター:米個人消費の物価指標。FRBが重視するインフレ指標。
  • WTI原油:米国産標準原油の先物価格。景気やインフレ観測に影響する。

BTC:月末オプション満期0億とPCE前が重なり、清算拡大で下押し

ビットコインは一時109,000ドルを下回る場面がありました。月末のBTCオプション満期が接近し、想定建玉は約220億ドルです。米PCEデフレーターの発表も控え、ロング傾斜のポジション調整が進みました。短期の売り圧力は派生市場で増幅し、現物の買い支えは限定的でした。

デリバティブ清算とポジション調整

24時間の強制清算は総額10億ドル超でした。内訳ではETHロングの比重が大きく、次いでBTCロングが続きました。価格の下押しと同時に、取引所のロング・ショート比率は揺れました。満期に向けたヘッジの積み増しや、証拠金の引き上げも影響しました。結果として、清算は短時間に集中し、ボラティリティが上昇しました。

ETFフローと満期後の焦点

一部のビットコイン現物ETFには小幅の資金流入が観測されました。先物プレミアムは中立域を維持し、過度な強気は限定的でした。市場は満期通過後のフロー転地に関心が集まります。PCEの結果と併せ、需給の再構築が注目点です。清算で軽くなったポジションが、どの水準で再構築されるかが焦点です。

用語解説

  • 月末オプション満期:月末に権利が消滅するオプションの決済期日。
  • 建玉(オープン・インタレスト):未決済の契約総数。需給の厚みを示す。
  • 強制清算:証拠金不足でポジションが自動的に決済されること。
  • ロング・ショート比率:買い建てと売り建ての比率。投資家の傾きを示す。
  • ETFフロー:ETFへの資金流入出。現物需給の手がかりとなる。
  • PCEデフレーター:米個人消費の物価指標。金融政策の判断材料。

ETF・規制:SEC「汎用上場基準」後に案件が加速、Hashdex拡大とBLK新提案

先日も取り上げたSECの「汎用上場基準」承認を受け、ETFの動きが加速しています。米ナスダック上場のHashdex「NCIQ」は、XRP・ソラナ(SOL)・ステラ(XLM)を追加しました。構成はビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)を含む5資産です。基準の明確化で、適格銘柄は審査の所要期間が短くなります。一方で、商品拡大は「質の差」を浮き彫りにします。指数連動の設計や監視体制、流動性の水準が改めて問われます。

Hashdexの拡大:指数と適格要件の整理

NCIQはナスダックの暗号資産指数を追跡します。追加銘柄はXRP・SOL・XLMです。ファンドは原資産を1対1で保有する設計です。SECの新基準では、コモディティ性の確認や先物上場の有無、監視共有の枠組みが適格性の判断材料となります。これにより、個別の追加審査を省略できる案件が出ます。結果として、マルチ資産型の拡張が進みやすい環境になりました。

ブラックロック:BTCプレミアム・インカム構想

ブラックロック(米大手資産運用)は「Bitcoin Premium Income ETF」を準備しています。方針はBTC先物に対するカバードコールの売りです。プレミアムを受け取り、分配原資に充てます。上昇時の値上がり分は一部放棄します。既存の現物型IBITを価格連動の中核に据え、利回り狙いの商品で補完する設計です。信託の登録手続きが進み、正式な申請に移行する段取りです。

新基準の含意:承認の迅速化と保護のバランス

汎用上場基準は、対象資産の絞り込みと書類の簡素化を進めます。これにより、承認の見通しは相対的に早まります。ただし、流入は保証されません。指数の構成やヘッジ手法、建付けの透明性が選別の焦点です。SEC内では投資家保護への配慮も示されています。結果として、ETFの裾野拡大とガバナンスの精緻化が同時進行となります。発行体は商品性と説明責任の両立が求められます。

用語解説

  • 汎用上場基準:一定条件を満たす商品を個別審査なしで上場可能にする枠組み。
  • マルチ資産ETF:複数の暗号資産を一つのファンドで保有する設計。
  • カバードコール:現物や先物の保有に対し、コールを売ってプレミアムを得る戦略。
  • 監視共有(サーベイランス):市場不正対策のための取引監視データの連携体制。
  • 現物ETF(IBIT):現物のBTCを裏付け資産とするブラックロックのETF。

ステーブルコイン:PYUSDのDeFi流動性強化、決済ユース拡大の布石

ステーブル拡大の流れが具体化しています。PayPal(米決済大手)とSpark(分散型与信基盤)は、PYUSDのオンチェーン流動性を拡張します。SparkLend導入初日に預入残高は10億ドル規模を目標に、1億ドル超からの立ち上がりとなりました。短期インセンティブ依存を避け、一定金利と深い板を提供する「流動性レイヤー」の活用が特徴です。発行体がDeFiの恒常的な資金供給面を取り込み、決済トークンのスプレッドと約定の安定化を狙います。

PayPal×Spark:DeFi流動性レイヤーの活用モデル

Sparkは機関投資家向けのアロケーション枠を持ち、複数のレンディング市場へ準自動で流動性を配分します。今回、PYUSDが担保・貸出資産として組み入れられました。Paxos(米信託会社)が発行・保全する準備資産を前提に、借入コストを予見可能に設計します。これにより、取引所とウォレットでの板厚が増し、決済や両替の滑らかさが向上します。企業発行体とDeFiインフラの役割分担が可視化しました。

Cloudflare「NET Dollar」:エージェント時代のマイクロペイ決済

Cloudflare(米クラウド大手)は、AIエージェントの少額決済を想定したドル連動「NET Dollar」を公表しました。API課金、クリエイター報酬、プログラム的支払いの即時・少額処理を狙います。同社はAgent Payments Protocolやx402などの標準化にも関与します。広告依存から使用量課金への移行を後押しし、24時間の国際決済での摩擦低減を目指します。

Circle:USDCの「可逆化」検討と返金オペの前進

Circle(USDCの米発行体)は、一定条件下での取引「可逆化」を検討中と報じられました。最終性を維持しつつ、詐欺や誤送金に対する返金プロトコルをレイヤーとして追加する構想です。現在も凍結・ブロックは可能ですが、送金自体の巻き戻しは前提としていません。伝統金融で一般的な返金・紛争処理をオンチェーンに移植する試みで、機関導入の障壁を下げる狙いがあります。

含意:決済ユース拡大に向けた「流動性×運用ルール」の整備

PYUSDのDeFi統合は、決済トークンの価格安定と可用性向上に直結します。一方で、CloudflareとCircleの動きは、少額課金と返金手続の標準化に軸足を置きます。結果として、流動性の厚みとオペレーションの確度が同時に改善します。決済、送金、サブスクリプションの各ユースで、手数料と失敗コストが低減する可能性があります。規制対応と透明性の担保が今後の成否を左右します。

用語解説

  • PYUSD:PayPalが採用する米ドル連動ステーブルコイン。発行はPaxos。
  • Spark/SparkLend:DeFi向けの流動性配分基盤とレンディング市場。
  • 流動性レイヤー:複数市場に資金を供給し、板と金利を安定させる仕組み。
  • NET Dollar:Cloudflareが公表したAIエージェント向けのドル連動トークン。
  • Agent Payments Protocol/x402:オンライン送受金の標準化に向けた仕様群。
  • 可逆化(Reversibility):送金完了後の返金・巻き戻しを可能にする設計。
  • Circle:USDCの発行体。米国拠点の決済インフラ企業。
  • Paxos:米信託会社。準備資産の保全と発行管理を担う。

マネーの将来像:Citiは2030年ステーブル時価.9–兆、RWA連動も台頭

デジタルマネーの規模拡大と、実物資産のトークナイズが並行して進んでいます。Citiはステーブルコイン市場の発行残高予測を上方修正しました。同時に、株式指数のオンチェーン化が実運用段階へ移行しています。市場インフラは24時間化と規制適合の両立を模索しています。

Citiの予測とデジタルマネーの棲み分け

Citiは2030年の発行残高をベース$1.9兆と推計しました。強気シナリオは$4兆です。流通速度が法定通貨並みなら、年間決済は$100兆規模に達し得ます。強気では$200兆規模も見込みます。企業需要では銀行トークンが優位と指摘しました。規制耐性と即時決済、組込みコンプライアンスが動機です。ドル建ての支配力は当面維持されます。実証の中心地として香港やUAEの台頭にも言及しました。

株式RWAの進展:SPXAがBaseで稼働

トークナイズドS&P500指数ファンドが始動しました。名称はSPXAです。ブロックチェーンはBaseを採用します。S&Pダウ・ジョーンズのライセンスに基づきます。保有銘柄は透明化され、24時間取引が可能です。Janus Hendersonがサブ運用を担います。CentrifugeのAnemoyがファンドを統括します。FalconXがアンカー投資家です。将来のマルチチェーン展開はWormholeが担います。

含意:24/7市場と担保設計の再編

ステーブルの拡大は、オンチェーン決済の処理能力を押し上げます。銀行トークンは法人決済の標準化を後押しします。RWAはオンチェーン担保の選択肢を広げます。指数ファンドの24時間化は、資金フローの連続性を高めます。結果として、市場は規制整合性と可用性の両輪で再設計されます。

用語解説

  • ステーブルコイン:法定通貨等と連動する暗号資産。価格安定を目的とします。
  • 銀行トークン:銀行預金をトークン化した決済資産。規制下での即時決済を想定します。
  • RWA:実物資産のトークン化。債券や株式、ファンド等を対象とします。
  • トークナイズド指数ファンド:指数連動の持分をオンチェーンで発行する仕組みです。
  • Base:Coinbase系のイーサリアムL2。低コストと高速処理を指向します。
  • Wormhole:異なるブロックチェーン間のブリッジ基盤です。
  • Janus Henderson:英系の大手資産運用会社です。
  • Anemoy:Centrifugeの資産運用部門。SPXAを統括します。
  • FalconX:デジタル資産ブローカー。機関投資家にサービスを提供します。

取引所・規制執行:KuCoinに加課金、米上院公聴会は“税制明確化”で続報

規制の執行と制度設計が同時進行しています。カナダではKuCoinへの制裁が示されました。米国では暗号資産課税の公聴会が予定され、税務実務の整理が進みます。取引所の登録・監督体制と、課税の線引きが接点を持ち始めています。市場はコンプライアンスの負担と可視性の向上を織り込みつつあります。

カナダ:FINTRACがKuCoinに制裁、登録義務とAML統制を巡る争点

カナダの金融取引報告分析センター(FINTRAC)は、KuCoinに約1,400万ドル相当の制裁金を科しました。対象は未登録のマネーサービス事業者(MSB)とみなされる点です。さらに、大口取引の未報告と疑わしい取引の不申告が指摘されました。期間は2021年から2024年が中心です。Seychelles籍のPeken Global(KuCoin運営体)が当局判断に異議を申し立て、連邦裁判所へ上訴しました。違反の重大性と再発防止策が審理の焦点となります。取引所には、KYCと取引監視、報告体制の実装強化が求められます。

米国:上院財政委が10/1に公聴会、課税の実務整理を議論

米上院財政委員会は、10月1日10時(東部時間)に「デジタル資産の課税を検討する」を開催します。委員長はマイク・クレイポ議員です。業界と税務の証言者が登壇し、課税区分、報告義務、コンプライアンスの費用対効果を議論します。想定される論点は、取引と報酬の所得区分、損益通算、原資産の性質判定です。自主的な遵守を促す簡素な報告制度と、執行の実効性の両立が焦点となります。先に整理した市場のイベント集中とも接続し、税務の明確化は流動性の安定要因になり得ます。

市場への含意:執行と制度設計の二面から透明性を強化

FINTRACの措置は、登録と報告の基準を再確認させます。上院公聴会は、納税者の予見可能性を高めます。両者は、取引所のリスク管理と顧客の税務処理を接続します。結果として、資金流入の経路が透明になります。一方で、コンプライアンスコストの上昇は小規模事業者に影響します。規制の整合を巡る各国間の相違は残ります。短期的には、登録状況と監督リスクが銘柄とプラットフォーム選好を左右します。

用語解説

  • FINTRAC:カナダの金融取引報告分析センター。AML/CFTの監督機関です。
  • MSB(マネーサービス事業者):送金や両替等を行う事業者区分。登録と報告義務があります。
  • AML/CFT:資金洗浄対策とテロ資金対策。KYCと取引監視が中核です。
  • 疑わしい取引報告(STR):不正の疑いがある取引を当局へ届け出る制度です。
  • 上院財政委員会:米連邦上院の税制と財政を所管する委員会です。
  • KuCoin:グローバル展開の暗号資産取引所。運営体はPeken Globalとされています。
  • KYC:顧客確認。本人確認とリスク評価を行います。

インフラ・マイニング:ハッシュレートATHとHPC転用、採算圧力の分岐点

ビットコインの採掘環境は転機にあります。ネットワークのハッシュレートは9月23日に1,073EH/sへ到達しました。難易度上昇と価格の伸び鈍化が重なると、電力単価と機材効率が収益を左右します。上場マイナーは電源と施設の確保で競争します。並行して、AI用途の高性能計算へ設備を転用する動きが広がります。資本効率の差が株式市場の評価に直結します。

ハッシュレート加速と難易度・採算の関係

直近30日でハッシュレートは約20%増でした。四半期では約70%増、1年で約675%増です。難易度は2,016ブロックごとに調整されます。計算資源が急増すると、難易度は追随して上がります。ブロック報酬の取り分は相対的に減ります。電力価格と効率指標が重要度を増します。新型ASICと冷却方式の優劣が損益分岐点を動かします。電力が安価な事業者は優位を維持します。

HPC転用:Cipher×Fluidstack×Googleの構図

マイニング施設をHPCへ転用する事例が進んでいます。CipherはAIクラウドのFluidstackと10年のコロケ契約を締結しました。コロラド州のサイトで168MWのIT負荷を提供します。最大244MWの総容量を想定します。GoogleはFluidstackのリース債務を最大14億ドルまでバックストップします。GoogleはCipherの新株予約権を取得します。持分は約5.4%相当とされます。マイナーは価格低迷期でも設備稼働率を維持できます。収益源の多角化が進みます。

上流制約と評価軸:電源・接続・建設の“実配備”

拡張の鍵は上流にあります。変電所の新設には長いリードタイムがあります。系統接続のキューも制約要因です。地域の電源政策や料金体系も影響します。結果として「実際に通電できる容量」が差になります。株式市場は電力単価とMWの即応性を評価します。効率の古い機材は圧迫されます。電力が0.05ドル/kWh以下の事業者は耐性が高いです。稼働率の高いサイトは収益の安定に寄与します。難易度上昇局面では、この差が決算に表れます。

用語解説

  • ハッシュレート:ネットワーク全体の計算能力です。単位はEH/sです。
  • 難易度調整:2,016ブロックごとの採掘難度更新です。目標時間を維持します。
  • EH/s:エクサハッシュ毎秒です。10の18乗ハッシュを示します。
  • HPC:高性能計算です。AI学習や科学計算で用います。
  • コロケーション:他社設備をデータセンターに収容する形態です。
  • バックストップ:債務などに保証を提供する枠組みです。
  • Cipher:米ナスダック上場のビットコインマイナーです。
  • Fluidstack:AI向けクラウド基盤の事業者です。

プロトコル/DeFi:Aave V4のモジュール化とXRPのLSDでユース拡張

Aaveの次期大型アップデートとXRPの液体ステーキング導入が並行して進みます。いずれも資本効率とユーザー体験の改善を狙います。市況悪化下でも、プロトコル層の設計刷新が続く構図です。

Aave V4:ハブ&スポークで流動性を集約し、リスクを分離

Aaveは2025年第4四半期にV4を予定します。中核の「ハブ」に流動性を集約し、「スポーク」で市場ごとのリスクと金利を分岐させます。市場の分断を抑えつつ、用途別の最適化を図る設計です。

清算は「ヘルス目標型」に移行します。必要分のみを清算してポジションを維持します。グローバル設定変更による想定外の清算リスクを抑える狙いがあります。

UXも更新されます。ウォレット単位で資産とポジションを一元表示します。複数操作をまとめるマルチコールや、自動執行の「ポジションマネージャー」も実装予定です。ホワイトペーパーとコード公開、テストネットが次工程です。

XRPのLSD「mXRP」:EVMサイドチェーンで休眠資産を稼働

XRPでは液体ステーキングの導入が進みます。EVMサイドチェーン上のmXRPは9月25日に初期ボールトの上限を引き上げました。ロック総額は約2,000万ドル規模に拡大しています。

仕組みは単純です。XRPをブリッジし、ボールトへ預け入れます。受け取るmXRPに運用成果が反映されます。年率最大8%を目標とする戦略が提示されています。

運用は外部のリスクキュレーターが担います。初期はHyperithmが担当しました。基盤の相互運用はAxelarが支えます。長期保有が多いXRPの新たな活用先が増えています。

共通テーマ:資本効率と安全性、そして操作性の再設計

両トピックの軸は共通です。資本効率の向上と、損失リスクの制御です。Aaveは市場設計と清算ロジックを刷新します。mXRPは保有資産を運用可能なトークンへ変換します。

あわせて操作性の改善も進みます。Aaveは一元UIと自動執行を導入します。mXRPはEVM互換でDeFi連携を広げます。プロトコルとトークンの両面で、使いやすさを高める動きです。

用語解説

  • Aave:大手の分散型レンディングプロトコルです。
  • ハブ&スポーク:中核プールと個別市場を分離する設計です。
  • ヘルス目標型清算:必要額のみを清算し、ポジションを維持する方式です。
  • ポジションマネージャー:返済や借入を自動執行する機能です。
  • マルチコール:複数の取引を一つのトランザクションにまとめる機能です。
  • LSD(液体ステーキング):ステーキング資産をトークン化し、流動性を持たせる仕組みです。
  • mXRP:XRPを担保に発行される液体ステーキングトークンです。
  • XRP Ledger EVMサイドチェーン:EVM互換を持つXRPの拡張チェーンです。
  • Axelar:異なるブロックチェーン間の橋渡しを行うインフラです。
  • Hyperithm:デジタル資産の運用会社です。

今後数日の注目:今夜PCE→月末OP満期→来週の公聴会とETFパイプライン【9月26日】

短期の日程が密集します。本日(9月26日)は米PCEが日本時間21:30に公表されます。カナダの月次GDPも同時刻に続きます。翌営業日にはビットコインの月末オプション満期が到来します。来週(10月1日)は米上院のデジタル資産課税公聴会が予定されています。SECの汎用上場基準の下で、ETF関連の申請や拡張も続きます。マクロ、制度、デリバティブが同時に価格形成へ影響します。

米PCEとカナダGDP:物価と成長の同時チェック

米8月PCEデフレーターの市場予想は前年比2.7%です。コアの前月比は0.2%、前年比は2.9%がコンセンサスです。公表は東部時間8:30(日本時間9月26日21:30)です。同時刻にカナダ7月GDPが出ます。前月比は+0.1%、前年比は+0.7%の予想です。米物価と北米成長の組み合わせが、当面の金利観測に影響します。為替や株価を経由したセンチメントの変化に留意が必要です。

月末のBTCオプション満期とETFフローの点検

9月末のビットコインオプションが満期を迎えます。想定建玉は約220億ドル規模です。清算に伴う現物ヘッジの需要や供給に注目が集まります。満期通過後はETFの資金フローを再確認します。直近は一部ETFで小幅な資金流入が観測されています。オプション構造の変化とETFフローの方向が、週明けの値動きに影響します。主要取引所の満期は協定世界時8:00が基準です。

来週の上院公聴会とETFパイプラインの継続

10月1日に米上院財政委員会が公聴会を開きます。テーマはデジタル資産の課税です。業界関係者と税務専門家が証言します。実務上の課税ルール整備に焦点が当たります。SECは汎用上場基準を承認済みです。これにより新規や拡張のETF案件が加速しやすい環境です。指数連動やマルチ資産の枠組み拡大も想定されます。制度と商品供給が、資金流入の経路に影響します。

用語解説

  • PCEデフレーター:個人消費の物価指数です。米連邦準備制度の重視指標です。
  • コアPCE:食品とエネルギーを除くPCEです。基調インフレの把握に用います。
  • 月末オプション満期:毎月末に到来するデリバティブ契約の期日です。
  • 想定建玉(Notional):オプションの原資産に換算した名目残高です。
  • ETFフロー:上場投資信託への資金流入と流出の動きです。
  • 汎用上場基準:SECが定める商品上場の包括的な標準です。
  • 米上院財政委員会:税制や財政政策を扱う上院の常任委員会です。

結論・要点整理【9月26日】

最大の焦点は、今夜のPCEと月末ビットコイン・オプション満期が重なることで短期の不確実性が高まる一方、ETF・ステーブルコイン・RWAの制度およびプロダクト面では前進が続くという二面性です。

イベント通過後の資金フローの向きが最初の確認点です。ETFではSECの汎用上場基準の下で拡張や新規案件が加速しており、銘柄の広がりと商品設計の質の差が意識されます。ステーブルコインはPYUSDのDeFi流動性拡張が定着するかが論点です。RWAではS&P500連動ファンドのオンチェーン展開が進み、伝統資産と暗号資産市場の接点が拡大しています。短期はマクロとデリバティブ、中期は制度整備と商品多様化が価格形成に作用します。

  • 本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
  • また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。

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