ビットコイン11万ドル CPI鈍化 10/31満期 10/25

本日のポイント
市場概況：米CPI鈍化で株は最高値、BTCは11万ドル台で様子見
10/31にBTCオプション約0億満期、OIは過去最高水準
規制：CFTC委員長にセリグ氏指名方針、SEC/CFTC協調の行方
決済：Zelleが国際送金でステーブル活用へ、米大手銀連合が推進
企業動向：RippleがHidden Road買収完了、「Ripple Prime」始動
取引所・トークン：CZ恩赦でBinance米回帰観測、BNBは出来高増
トレジャリー/企業：SpaceXがBTCを再配置、ウォレット再編の見方
ステーブル：Tetherは25年利益0億見通し、USATとRumble連携
上場企業：Coinbaseに強気評価、Base/USDCで新収益仮説
マイニング：Jane Streetの保有開示で各社株が続伸
事業展開・ライセンス：Crypto.comが米トラストバンク申請、Blockchain.comはMiCAでEU拡張
規制・事件：WazirXが段階的に再開、英FCAはHTX提訴／ロシアとEUの動き
マクロ：CPI鈍化→株高・金利低下、BTCは上値重い展開も
今後の展望とリスク：FOMC・日銀・ECB、そして10/31の満期通過
結論・要点整理：マクロ追い風の中で“イベント密集週”へ
1. 本日の要点（3行で把握）
2. 次の注目ポイント

本日のポイント

一言要約：米CPI鈍化でリスクオンが続く一方、BTCは11万ドル台のレンジ。来週のFOMC・日銀・ECBと10/31の大型満期が短期ボラを左右します。

今日のハイライト

市場概況： 時価総額 $3.74兆／出来高 $146.66B。BTC $110,813（+0.44%）、ETH $3,923（+1.70%）、BTCドミナンス 59.1%。
株・金利： ダウ 47,207／S&P500 6,792／ナスダック 23,205 と最高値圏。VIX 16.37。金は小反落、原油は小安、ドルは強含み。
デリバティブ： 10/31にBTCオプション約$310億満期。DeribitのOIは約$502億。$100kプットと$120kコールに建玉集中。
規制・政策： CFTC委員長にセリグ氏指名方針。英FCAはHTXを提訴。ロシアは越境決済ルール準備、EUは制裁を追加。
企業・決済： Ripple Prime始動（Hidden Road買収統合）。Zelleが国際送金でステーブル活用へ。Tetherは25年利益$150億見通しとUSAT計画。CoinbaseはJPMが強気転換。
その他動向： SpaceXが1,215BTCを再配置。マイナー株はJane Streetの保有開示で上昇。Crypto.comは米トラスト申請、Blockchain.comはMiCAライセンス取得。

今週のイベント

10/29（米）：FOMC
10/30（日本）：日銀会合・展望
10/30（欧州）：ECB理事会
10/31（欧州/米）：ユーロ圏HICP速報、米PCE
10/31：BTCオプション大型満期（約$310億）

数値スナップショット（日本時間 10/25 10:00）

暗号資産： 時価総額 $3.74兆／出来高 $146.66B／BTC $110,813（+0.44%）／ETH $3,923（+1.70%）／ドミナンス 59.1%
米株（NY 10/24 終値）： ダウ 47,207.12／S&P500 6,791.73／ナスダック 23,204.87／VIX 16.37
為替・商品： EUR/USD 1.1625／USD/JPY 152.86／金先物 4,137.80／WTI 61.50

詳細は以下の各セクションへ。

市場概況：米CPI鈍化で株は最高値、BTCは11万ドル台で様子見

米国の物価指標（CPI）が予想を下回りました。米株は最高値圏です。一方で、暗号資産は高値レンジでの小動きです。日本時間10月25日10:00時点のデータに基づいて、主要な数値を整理します。

暗号資産のスナップショット（JST 10/25 10:00）

時価総額：$3.74兆
24時間出来高：$1,466.6億
BTC：$110,813（24H +0.44%）
ETH：$3,923（24H +1.70%）
BTCドミナンス：59.1%

米株・ボラティリティ（NY時間 10/24 終値）

ダウ工業株平均：47,207.12（+1.01%）
S&P 500：6,791.73（+0.79%）
ナスダック：23,204.87（+1.15%）
VIX：16.37（-5.38%）

米株の上昇とVIX低下は、リスク資産に追い風です。暗号資産も支えられています。ただし週末は参加者が減り、値動きは落ち着きがちです。

コモディティと為替（参照時点は各市場の表示値）

金先物（Dec 25）：4,137.80（-0.19%）
WTI原油（Dec 25）：61.50（-0.47%）

EUR/USD：1.1625
USD/JPY：152.86

金は小反落、原油は小安です。為替はドル高が続いています。これらはリスク選好の強さと金利観測の影響を反映しています。

全体像と足元のトーン

マクロ要因は追い風です。米CPIの鈍化で金利低下観測が強まりました。暗号資産は高値圏を維持しつつも、イベント前の様子見で方向感に欠けます。短期はレンジ推移、材料待ちの地合いです。

用語解説

CPI：米消費者物価指数。物価の動きを示す指標。
時価総額：全銘柄の価格×発行量を合計した市場規模。
24時間出来高：直近24時間の取引金額（または数量）。
BTCドミナンス：暗号資産全体に占めるBTCの時価総額比率。
ダウ工業株平均：米主要30社の株価指数。
S&P 500：米主要500社の株価指数。
ナスダック：米ハイテク中心の株価指数。
VIX：米株の予想変動率（いわゆる「恐怖指数」）。
WTI：米国産原油先物の代表的な指標。
限月：先物の受け渡し月。最も近いものを直近限月という。

10/31にBTCオプション約0億満期、OIは過去最高水準

月末にビットコインのオプションが大量に期限を迎えます。規模はおよそ$310億です。建玉残高（OI）は過去最高付近で、期日前後は値動きが変わりやすい局面です。

ポイント整理

10月31日に約$310億のBTCオプションが一斉に満期。
Deribit（暗号資産デリバティブ取引所）のOIは$502億で過去最高水準。
$100,000プットと$120,000コールに建玉が集中。
10月前半のフラッシュクラッシュ後も、レバレッジは残存との指摘。
大規模満期は通過前にボラが抑制され、その後24〜72時間で方向感が出やすい傾向。

需給とイベントのつながり

価格に影響するのは「どの水準に建玉が多いか」です。今回は10万ドルの防御（プット）と12万ドルの攻防（コール）が焦点です。満期に向けたポジション調整で、現物や先物にも波及しやすくなります。

このほか、今月序盤の清算で一部の建玉は減りましたが、レバレッジは完全には解消されていません。満期通過の前後は、一方向の動きが連鎖する可能性に注意が必要です。

資金フローの現状

ビットコインETFの資金は、月初は+27億ドルの流入がありました。中盤は-12億ドルの流出に転じています。直近週は+3.56億ドルの流入とされ、勢いはやや減速との見方です。強いテーマではありますが、短期での追い風は弱まりつつあります。

マクロ環境との相乗効果

市場は来週のFOMCでの利下げ観測が優勢です。金利の低下期待はリスク資産に追い風です。もっとも、オプション満期が重なるため、マクロの安心感とテクニカル要因が交錯します。満期までの抑制と、通過後の変化に注目が集まります。

用語解説

オプション：将来の売買価格を権利として持つ金融契約。
建玉（OI）：未決済の契約総数。多いほど取引参加が活発。
プット/コール：売る権利がプット、買う権利がコール。
満期：オプションの期限日。清算や権利行使が集中する。
ボラティリティ：価格変動の大きさ。高いほど値動きが荒い。
Deribit：暗号資産の先物・オプションを扱う大手取引所。
CME：米大手デリバティブ取引所。BTCオプションも上場。
ETFフロー：ETFへの資金流入出。需給と価格に影響。

規制：CFTC委員長にセリグ氏指名方針、SEC/CFTC協調の行方

米政権は、CFTC（米商品先物取引委員会）の委員長にマイケル・セリグ氏を指名する方針です。セリグ氏はSEC（米証券取引委員会）の暗号タスクフォースで法律顧問を務める人物です。指名は上院の承認が前提で、審議の進捗が市場の注目点になります。SECとCFTCの役割分担が明確化すれば、暗号資産の監督体制に一段の整合性が生まれる可能性があります。

指名の概要

指名方針：大統領がセリグ氏をCFTC委員長に起用する意向。
経歴：SECの暗号タスクフォースで法律顧問。ポール・アトキンス委員長の補佐。
経緯：前候補のブライアン・クインテンツ氏は指名が撤回済み。
手続き：就任には米上院の承認が必要。審査で政策姿勢が問われます。

SEC/CFTCの役割分担と市場への示唆

現政権は、SECとCFTCの協調を重視しています。両機関は暗号資産の所管が交錯しがちでした。共同声明や作業部会の提言では、現物市場の監督をCFTCが担う案も議論されています。役割分担が定まれば、上場商品やデリバティブ、カストディの線引きが明確になります。

一方で、資産の性質によっては証券性の判断が必要です。SECの基準とCFTCの商品性の判断をどう整合させるかが課題です。セリグ氏の就任は、この整合プロセスを前進させる人事として位置付けられます。

承認プロセスと今後の焦点

上院承認：公聴会で監督範囲、投資家保護、イノベーション支援を確認。
市場構造法案：審議中の法案に波及し、現物市場の所管明確化に影響。
規制の一貫性：取引所、ブローカー、カストディへの適用基準が整理される可能性。
国際整合：MiCAなど海外制度との整合やパスポート戦略にも間接的に影響。

総じて、指名と承認の行方は監督の明確化を左右します。明確化は上場商品や機関マネーの参入にとって重要です。逆に、承認が難航すれば、制度不確実性が延びる可能性があります。

用語解説

CFTC：米国のデリバティブ規制当局。先物やスワップを監督。
SEC：米国の証券規制当局。証券の発行・流通を監督。
役割分担：資産の性質に応じた監督の割り当てを指す用語。
現物市場（スポット）：即時決済の売買市場。先物とは別区分。
市場構造法案：暗号資産の所管や登録枠組みを定める米議会の法案群。
上院承認：大統領人事に必要な確認手続き。公聴会を含む。

決済：Zelleが国際送金でステーブル活用へ、米大手銀連合が推進

Zelleの運営元Early Warning Servicesは、国際送金にステーブルコインを使う方針です。目的は送金の速度と確実性の向上です。採用する銘柄はまだ公表されていません。米国の安定通貨法（GENIUS法）の成立で、制度面の整備も進みました。大手銀行が支える送金網の導入は、デジタルドルの普及を押し上げる要因になります。

導入の狙い

最優先は「速さ」と「止まらないこと」です。ステーブルコインは価値が法定通貨に連動します。価格変動が小さく、24時間の送金が可能です。これにより、国をまたぐ資金移動を短時間で処理できます。Zelleの既存ネットワークと組み合わせることで、ユーザー体験の一貫性も保てます。

実装上のポイント

採用銘柄は未公表：対応通貨と対応地域は段階導入の見込み。
送金の信頼性：ブロックチェーンの即時性を活用し、遅延を抑制。
順法体制：GENIUS法に沿った発行・保全・開示が前提。
銀行連合の後押し：大手銀行の参加でアクセスポイントが広がる。

市場への影響

大手銀行が先に動くことで、決済での暗号資産利用が一般化しやすくなります。送金コストや着金時間の見直しが進む可能性があります。一方で、どのステーブルを使うかは重要です。準備金の安全性や開示水準が選定の条件になります。公表内容の範囲と導入スケジュールを見極める必要があります。

用語解説

Zelle：米国内送金サービス。大手銀行のアプリから即時送金ができるネットワーク。
Early Warning Services：Zelleの運営会社。米大手銀行グループが出資。
ステーブルコイン：米ドルなどに連動する暗号資産。価格変動を抑えた設計。
GENIUS法：米国の安定通貨ルール。発行・準備金・監督の枠組みを定める法律。
越境送金：国境をまたぐ送金。為替や営業日による遅延が課題。

企業動向：RippleがHidden Road買収完了、「Ripple Prime」始動

Rippleはグローバル・プライムブローカーのHidden Roadを買収し、統合ブランド「Ripple Prime」を始動しました。取引アクセス、清算、資金調達を一体で提供し、デジタル資産と外国為替、各種デリバティブを横断して扱います。事業は発表時からおよそ3倍に拡大し、現在は300社超の機関にサービスを展開、累計クリアリングは3兆ドル超です。自社の米ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD」を担保に使う事例も広がっています。

何が変わるか（ワンストップ化のポイント）

単一窓口：複数の取引所・カストディ・レンダーを一本化し、執行から決済までを一気通貫で支援。
資金効率：クロスマージンで担保を横断管理。過剰な証拠金を抑え、資金の滞留を減らします。
リスク管理：リアルタイムのポジション監視とリミット管理。SOC 2 Type II準拠の運用で統制を強化。
カバー資産：デジタル資産に加え、FX、上場デリバティブ、OTCスワップ、債券清算、レポ、貴金属まで対応。

導入状況とRLUSDの位置づけ

Ripple Primeの取引関連事業は始動発表以降に規模が拡大しました。カバーする顧客は300社超で、これまでのクリアリング累計は3兆ドルを超えます。一部のデリバティブ顧客は、担保としてRLUSDを採用しています。担保を共通化することで、資金移動の手間や為替コストの低減が見込めます。

市場への意味合い

プライムブローカー機能の本格化は、機関投資家の取引慣行に近い運用フローを暗号資産にも広げます。執行と清算、資金調達が一体化することで、約定の安定性や清算リスク管理の水準を引き上げる狙いがあります。結果として、流動性の受け皿が厚くなり、複数市場に分散するポジション管理がしやすくなります。

用語解説

Ripple：米発のフィンテック企業。決済・カストディ・ステーブルコインなどを提供。
Hidden Road：グローバル展開の非銀行系プライムブローカー。機関向けに執行・清算・資金調達を提供。
Ripple Prime：買収統合後の新ブランド。デジタル資産と伝統資産を横断するワンストップ基盤。
プライムブローカー：機関投資家に市場アクセス、証拠金ファイナンス、清算などをまとめて提供する仲介業者。
RLUSD：Rippleの米ドル連動ステーブルコイン。取引担保や決済への活用を想定。
クロスマージン：複数ポジションの損益と担保を合算し、必要証拠金を最適化する方式。
SOC 2 Type II：運用管理やセキュリティ統制の有効性を一定期間にわたり検証する監査基準。

取引所・トークン：CZ恩赦でBinance米回帰観測、BNBは出来高増

米大統領の恩赦により、Binance（グローバル大手の暗号資産取引所）の創業者CZ（Changpeng Zhao）氏をめぐる法的リスクが後退しました。これを受け、同社の米国展開が再加速するとの観測が広がっています。CZ氏はXで前向きな姿勢を示したと報じられ、事業復帰の思惑が市場で意識されています。

恩赦と「米回帰」観測のポイント

恩赦の効果：創業者個人の懸念が一部軽減し、経営関与やブランド面の不確実性が縮小。
復帰の思惑：X上の発信や肩書変更が報じられ、組織への関与度合いに注目が集まる。
未確定要素：正式な体制変更や米事業の具体計画は現時点で未公表。

市場の初期反応（BNB）

エコシステム・トークンのBNBは、出来高が7日平均比でおよそ35%増と報じられました。価格は小幅高で推移し、需給の厚みが増したとの評価が見られます。出来高の増加は関心の高まりを示しますが、短期フロー主導の値動きには振れも残ります。

米国再展開のハードルと論点

規制対応：米国では厳格なコンプライアンスが求められます。KYC/AMLや市場監督への適合が焦点です。
事業スキーム：Binance.US（米居住者向けの別運営体）とグローバル本体の関係整理が引き続き重要です。
政策環境：規制当局の方針や人事、議会審議の進展で、参入難易度が変動します。

用語解説

Binance：世界最大級の暗号資産取引所。現物・デリバティブなど幅広い商品を提供。
CZ（Changpeng Zhao）：Binanceの創業者。近時は法的課題への対応が注目点でした。
Binance.US：米国居住者向けの取引所。BAM Trading Servicesが運営。
BNB：Binanceエコシステムのトークン。手数料割引などの用途があります。
出来高：一定期間に成立した取引数量。関心や流動性の度合いを示す指標。

トレジャリー/企業：SpaceXがBTCを再配置、ウォレット再編の見方

SpaceXがビットコイン（BTC）を新しいアドレスへ再配置しました。移動額は約1.34億ドル（1,215BTC）です。今週の再配置に続く動きで、外部の分析機関は「ウォレット再編やカストディ変更の可能性」を指摘しています。売却の有無は不明で、オンチェーン上は保管先の付け替えに近い挙動が目立ちます。

移動の概要

日時：現地時間10月24日（報道ベース）。
数量：合計1,215BTC。複数の新アドレスへ分割して送付。
文脈：同週序盤にも大口の移動が確認され、短期間に連続した再配置。

再配置の目的に関する見方

外部アナリストは、次のシナリオを挙げています。第一に、ウォレット再編です。運用方針の見直しや、鍵管理の強化に伴うアドレス更新が想定されます。第二に、カストディ（保管）体制の変更です。過去の送金では、機関向けカストディ先とのやり取りが確認された事例があります。いずれも、価格に直接影響する売却行為とは限りません。

保有状況とこれまでの経緯

SpaceXのBTC保有量は推計に幅があります。直近の移動前後で、データ提供者により推定値が異なるためです。過去には保有量の大幅な変化が報じられた時期もあり、現在の正確な残高はオンチェーン分析の更新待ちとなります。再配置が完了すれば、推定残高や保管構造の評価が順次見直される見込みです。

市場への波及

今回の再配置は、企業トレジャリーの運用姿勢を示す材料になります。大口保有者の動きは投資家心理に影響しますが、移動がそのまま売り圧力を意味するわけではありません。短期的には観測報道での思惑が先行しやすく、中期的にはカストディの安定性や開示の透明性が評価軸になります。

用語解説

SpaceX：米宇宙企業。企業トレジャリーでBTCを保有していることで注目。
ウォレット再編：資産の保管先アドレスを整理・更新する運用手続き。
カストディ：暗号資産の保管・管理サービス。機関投資家は専用の保管先を利用することが多い。
オンチェーン：ブロックチェーン上で確認できる取引や残高の記録。
トレジャリー：企業の自己勘定で保有する資産やその管理活動。

ステーブル：Tetherは25年利益0億見通し、USATとRumble連携

Tetherは2025年の利益見通しを約150億ドルと示しました。主因は準備資産の運用益と、ステーブルコイン需要の拡大です。あわせて、米規制に準拠した新トークン「USAT」を12月にローンチ予定です。配信基盤として投資先のRumbleを活用し、利用者の早期獲得を狙います。

業績見通しのポイント

2025年の利益は約150億ドル（報道ベース）。2024年の約130億ドルから増益見込み。
主力のUSDt（米ドル連動型）の発行残高が拡大。金利環境も追い風。
事業ライン拡大に向け、外部資本の受け入れ検討も報じられている。

USATの狙いと配布戦略

USATは米国の新たなステーブル規制枠（GENIUS法）に沿った設計です。Tetherは12月の立ち上げを目指し、まず米国内の流通を強化します。配布は決済やコンテンツ分野と連携し、短期間で利用者の裾野を広げる計画です。

Rumbleとの連携とクリエイター経済

動画プラットフォームのRumbleは、年内にビットコインの投げ銭機能を本展開する計画です。Rumbleは米国内で大規模なユーザー基盤を持ち、Tetherは出資関係を通じて決済導線を整備します。クリエイターへの支払いが暗号資産で完結すれば、ユーザーの受け皿としてUSATの活用余地も広がります。

市場インパクト

ステーブルコインは送金の速度と確実性を高めます。メディアやソーシャルの支払いと直結すれば、日常決済での接点が増えます。結果として、「ステーブル×コンテンツ」の組み合わせが普及を後押しし、発行体の収益基盤を強める可能性があります。

用語解説

Tether：ステーブルコインUSDtを発行する大手。準備資産の運用益が収益源。
USAT：米国市場向けの新ドル連動トークン。GENIUS法に準拠した設計。
Rumble：動画共有プラットフォーム。クリエイターへの暗号資産支払い導入を推進。
ステーブルコイン：法定通貨に価値を連動させた暗号資産。価格変動を抑えやすい。
GENIUS法：米国のステーブルコイン関連法。発行と準備資産のルールを整備。

上場企業：Coinbaseに強気評価、Base/USDCで新収益仮説

JPMorganがCoinbaseの投資判断を中立から強気に引き上げました。目標株価は$404です。根拠は「Base」のトークン発行仮説と、USDCの報酬設計見直しによる収益拡大です。報道後、株価は反発しました。四半期決算は10月30日の予定です。

投資判断と株価の動き

JPMorganは成長余地の再評価を示しました。トレーディングへの依存度低下と、サブスクや基盤事業の伸長を評価しています。報道を受け、COINは上昇基調を取り戻しました。短期は決算ヘッドラインが焦点です。

Baseトークン仮説：潜在価値の試算

JPMorganはBaseのネイティブトークンが実現した場合を試算しました。想定時価総額は$120億〜$340億です。Coinbaseの保有分を$40億〜$120億相当と見積もりました。配布先は開発者やバリデータ、コミュニティを優先する想定です。

USDC報酬の見直し：収益インパクト

USDCの利回り付与を再設計する案が指摘されています。一般向けの付与を抑え、有料会員Coinbase Oneに厚く配分する想定です。この場合、年間で$3.74億の利益上積み余地があるとしています。金利水準と預かり残高が前提条件です。

今後の注目点

10月30日の決算で、サブスク・サービス収益の進捗。
Baseトークン方針の開示有無と、実施時期や配布設計。
USDC報酬の運用方針と、ユーザー行動への影響。

用語解説

Coinbase：米上場の大手暗号資産取引所。カストディやL2も展開。
Base：Coinbaseのレイヤー2ネットワーク。手数料低減と高速化を狙う。
USDC：米ドル連動のステーブルコイン。Circle発行でCoinbaseと提携。
JPMorgan：米大手金融機関。個別銘柄の評価や目標株価を提示。
Coinbase One：定額制の有料会員。手数料特典や利回り優遇が想定対象。

マイニング：Jane Streetの保有開示で各社株が続伸

大手クオンツ運用のJane Streetが、ビットコイン採掘企業の株式保有を明らかにしました。対象はBitfarms、Cipher Mining、Hut 8です。発表後、マイナー株は8〜20％高で続伸しました。機関投資家の関与が、流動性と信頼感を高めた形です。

株価反応のポイント

材料は「誰が買っているか」です。Jane Streetのような大口投資家の保有は、需給の安定と情報感度の高さを示します。そのため、同業他社にも買いが波及しました。年初来でビットコインを上回る銘柄も出ています。

個別の動き

Bitfarms：出来高が増加し、上昇幅が拡大。
Cipher Mining：足元の増産期待と合わせ、買いが優勢。
Hut 8：大型マイナーの一角として、指数連動資金も流入。

背景と評価

マイナー株は、ビットコイン価格にレバレッジをかけたように動く傾向があります。価格が上がると収益性が改善し、株価の反応が大きくなるためです。さらに、機関投資家の保有開示は、ガバナンス面の期待も生みます。一方で、電力コストや難易度上昇などのコスト要因には注意が必要です。

用語解説

Jane Street：米系の大手クオンツ運用・マーケットメイカー。
Bitfarms／Cipher Mining／Hut 8：北米中心のビットコイン採掘企業（マイナー）。
マイナー株：暗号資産の採掘事業を行う上場企業の株式。
保有開示：機関投資家が保有銘柄や残高を公表すること。
アウトパフォーム：市場ベンチマークや関連資産を上回る成績。

事業展開・ライセンス：Crypto.comが米トラストバンク申請、Blockchain.comはMiCAでEU拡張

暗号資産企業の制度対応が進んでいます。Crypto.comは全米トラストバンク認可の申請を行い、米国内でのカストディ（保管）とステーキングの提供範囲を広げる狙いです。一方、Blockchain.comはマルタでMiCAライセンスを取得しました。これにより、EU域内での「パスポート」（域内展開）の基盤が整います。

狙いと効果（米国）

トラストバンク認可で、受託型の資産保管や関連サービスを連邦準拠で提供しやすくなります。
機関投資家は、監督体制が明確な事業者を選ぶ傾向があります。ガバナンスと内部管理の強化が資金受け入れを後押しします。
ステーキングの運用体制を明確化することで、報酬の分配やリスク説明の標準化が進む見込みです。

体制整備（EU）

Blockchain.comはマルタの規制当局下でMiCAに準拠した登録を完了しました。
マルタを拠点に、単一の認可で他のEU加盟国にもサービスを広げやすくなります。
EUでは開示義務や資産分別などの投資家保護ルールが段階的に実装されています。

共通する流れ

両社ともに、法令準拠を前提にした拡張を選んでいます。米国はトラスト型の枠組みで、EUはMiCAの単一ルールで整備を進めています。結果として、機関投資家や大手企業が参入しやすい環境が広がります。

用語解説

Crypto.com：グローバル展開の取引所・決済プラットフォーム。
Blockchain.com：ウォレットや取引サービスを手がける老舗事業者。
トラストバンク（信託銀行型の免許）：受託者として資産を分別保管し、保護・管理する銀行免許の一形態。
カストディ：顧客資産の保管・管理を担う受託サービス。
ステーキング：対象チェーンに資産を預け、取引検証に参加して報酬を得る仕組み。
MiCA：EUの暗号資産包括規制（Markets in Crypto-Assets）。
パスポート：一つの加盟国の認可でEU域内にサービスを展開できる制度。

規制・事件：WazirXが段階的に再開、英FCAはHTX提訴／ロシアとEUの動き

各地域で監督強化が進んでいます。インドのWazirX（大手取引所）が大型ハック後に段階的な再開に踏み切りました。一方、英国ではFCA（英金融監督）が未登録のHTX（グローバル取引所）を金融プロモーション規制違反で提訴しました。さらに、ロシアは越境決済を含む新ルールを準備し、EUはロシア関連の暗号資産制裁を追加しています。

インド：WazirXがサービスを順次復旧

WazirXはハッキング被害を受け停止していましたが、段階的にサービスを再開します。まず安全対策の強化を優先し、そのうえで入出金や取引機能の順次復旧を進める方針です。ユーザー保護と監視体制の見直しが焦点です。

英国：FCAがHTXを金融プロモ規制で提訴

FCAは、登録外の事業者が英国向けに広告や勧誘を行うことを禁じています。HTXはこの規則に違反したと見なされ、提訴されました。英国は表示義務や承認プロセスを厳格に適用しており、違反時は広告停止や罰金などの措置が想定されます。

対象は「広告・勧誘・紹介リンク」など幅広いプロモーションです。
消費者保護と誤認防止がルールの中心です。

ロシア・EU：拡大と制限の対照的な動き

ロシアは暗号資産の越境決済を想定した新ルールを準備中です。国際送金の選択肢を広げる狙いがあります。これに対し、EUはロシア関連の暗号資産制裁を追加し、資金移動やサービス提供への制限を強めています。地域ごとに政策の方向が分かれています。

全体像：監督強化の常態化と地域分断

インドは安全性の確保と市場の継続性を両立。
英国は未登録事業者の勧誘を強く抑制。
ロシアは利用拡大を志向、EUは制限を強化。

この結果、事業者は拠点や対象国ごとに広告・運用・コンプライアンスを細かく切り分ける必要があります。ユーザー側も、地域固有のルール差を理解する重要性が高まっています。

用語解説

WazirX：インドの大手暗号資産取引所。
FCA（英金融行為規制機構）：英国の主要な金融規制当局。
HTX：グローバル展開の暗号資産取引所。
金融プロモーション規制：広告や勧誘の表示・承認を義務づける英国のルール。
越境決済：国をまたぐ送金。速度や確実性の向上が課題。
制裁：特定の国・個人・企業との取引を制限する政策措置。

マクロ：CPI鈍化→株高・金利低下、BTCは上値重い展開も

米国時間10月24日に発表された9月CPIは、総合・コアともに市場予想を下回りました。金利低下とドル安が進み、米株はダウとS&P500がそろって最高値圏で終了しました。一方で、ビットコイン（BTC）は一時11.2万ドルに接近しましたが、節目付近で戻り売りが出て上値は限定的でした。イベント通過でリスク資産全体には追い風が残る一方、暗号資産はテクニカルと需給の整理が続く局面です。

インフレ指標：予想下振れで利下げ観測が強まる

9月のCPIは前月比0.3％、コアCPIは0.2％でした。いずれも予想をわずかに下回り、前年比も総合・コアともに3.0％となりました。インフレ鈍化が確認されたことで、米連邦準備制度理事会（FRB）の利下げ継続観測が強まりました。市場では年内の追加利下げが意識され、金利先物の織り込みもやや進みました。

株式・金利・為替：リスクオンが優勢

米株は好感度が高まり、ダウ平均とS&P500が終値ベースで最高値を更新しました。米長期金利は低下基調となり、ドルは主要通貨に対して軟調でした。投資家の不安心理を示すVIXも16台へ低下し、株式を中心にリスク選好の流れが優位になりました。

暗号資産：BTCは節目で失速、需給調整が続く

BTCはCPI発表後に買いが先行し、11.2万ドルに迫りました。ただし、直近高値圏のレジスタンスで伸び悩み、戻り売りに押される場面がありました。マクロ追い風は続く一方、テクニカルの節目や清算の余波が残り、短期的にはレンジ推移が意識されています。月末（10月31日）の大型オプション満期も控えており、イベント前後のボラティリティ（価格変動）の変化に注意が必要です。

用語解説

CPI（消費者物価指数）：物価の上昇率を示す指標。物価動向と金融政策の判断材料になる。
コアCPI：CPIから食品・エネルギーを除いた指標。基調的なインフレを把握しやすい。
利下げ観測：市場が政策金利の引き下げを見込むこと。金利低下は株式などの追い風になりやすい。
VIX：米株の先行き不安を示す指数。値が低いほど市場は落ち着いている状態。
レジスタンス：価格が上昇時に止まりやすい水準。売り圧力が出やすい。
オプション満期：デリバティブの期限日。ポジション調整で価格変動が大きくなることがある。

今後の展望とリスク：FOMC・日銀・ECB、そして10/31の満期通過

向こう1週間は、政策イベントと暗号資産デリバティブの期日が重なります。米FOMC（10/29・米時間）、日銀（10/30・日本時間）、ECB（10/30・欧州時間）に加え、ユーロ圏HICP速報（10/31）と米PCE（10/31）が続きます。月末のビットコイン（BTC）大型オプション満期（10/31）もあり、政策判断と需給調整が同時進行となるため、短期の価格変動は高まりやすい状況です。

主なイベントの焦点

FOMCは利下げペースと今後の指針が焦点です。インフレ鈍化が確認されるなか、声明や記者会見のニュアンスが金利とドルの方向性を左右します。日銀は金利運営と国債買入れの姿勢が注目点です。円相場の変動はドル建て暗号資産の円ベース評価にも影響します。ECBは据え置きがメインシナリオですが、景気減速下でのインフレ評価次第でユーロと金利が反応しやすい局面です。