- 本日のポイント
- 市場全体:BTC・ETHは小反発、株はリスクオン、為替はややドル高
- 米現物BTC ETF:週次で約12億ドル流出、値動きは11万ドル付近で持ち直し
- 英LSE:リテール向け仮想通貨ETPの取引が開始、米流出との対比鮮明
- AWS障害:コインベースやL2で不具合、集中インフラ依存が改めて露呈
- 日本:高市政権誕生へ—連立合意と政策試算、株式市場は期待先行
- 規制・ガバナンス:米財務省への提言と不正対策、英国は税務執行を強化
- プロダクト・採用:stETH ETF提案、SOLクレカ、XRP上場ビークル構想、企業買いも継続
- セキュリティ:XRP約300万ドル流出、東南アジアのOTC経由で洗浄と指摘
- マイニング・インフラ:収益性悪化とハッシュ最高、事業多角化の動き
- アルト市場:LINKが指数牽引、DOGEはポスト要因、BNBやZECも上昇目立つ
- 今後数日の注目:日米欧の物価・金融イベント、米政府閉鎖とETF審査の停滞
- きょうの要点
本日のポイント
一言要約:米の資金流出と英の受け皿拡大、AWS障害、日本の政局期待が交錯し、全体は戻り基調だが選別色が強い一日です。
今日のハイライト
- 資金フロー: 米現物BTC ETFは週次で約$1.2B流出。一方、ロンドン証券取引所(LSE)で個人向けETPの売買開始。
- インフラ: AWS障害が取引所やL2に影響。分散型でも集中リスクが可視化。
- 日本: 自民・維新が連立合意、高市氏の首相指名見通し。東京市場はリスクオン。
- プロダクト: VanEckのstETH ETF登録、GeminiのSOL還元クレカ、EvernorthのXRPN構想。MSTRはBTCを追加購入。
- セキュリティ: XRP約$3M流出。東南アジアのOTC経由で洗浄との指摘。
- マイニング: 収益性は7%超悪化。一方でハッシュは最高圏。CleanSparkはAI事業に展開。
- アルト: ZECとLINKが相対強さ。DOGEは投稿要因、BNBは重い。
今週のイベント
- 10/24: 日本CPI、米CPI・新築住宅販売
- 10/29: FOMC
- 10/30: 日銀会合、ECB理事会、ユーロ圏GDP
- 10/31: 米PCE、雇用コスト指数
- 米政府一部閉鎖の影響でETF審査の遅延が続く可能性。
数値スナップショット(参考)
- 時価総額: $3.74兆
- 出来高(24H): $169.9B
- BTC: $110,343(24H +2.11%)
- ETH: $3,978(24H +0.90%)
- ドミナンス: BTC 59.1%
- 米株: ダウ +1.12%/S&P500 +1.07%/VIX 18.23
- 日経平均: 49,185.50(+3.37%)
- 為替: USD/JPY 150.69
- コモディティ: 金 $4,370.86/WTI $56.97
詳細は本文の各セクションをご確認ください。
市場全体:BTC・ETHは小反発、株はリスクオン、為替はややドル高
暗号資産は小反発、株式はリスク選好が優勢です。為替はややドル高で推移しました。全体として、過度な警戒感は後退しています。
暗号資産の足もと
市場規模は安定しました。総時価総額は3.74兆ドル、24時間出来高は1,699億ドルです。主要銘柄は下値を確認しつつあります。
- ビットコイン(BTC):$110,343.3(+2.11%)
- イーサリアム(ETH):$3,978.44(+0.90%)
- BTCドミナンス:59.1%
ビットコインの比率が高く、資金は大型銘柄に集まりやすい地合いです。
株式・ボラティリティ
米国株は反発しました。ダウは+1.12%、S&P500は+1.07%です。先行き不安を示すVIXは18.23へ低下しました。
東京市場は政治の先行きが見え、強い値動きです。自民と日本維新の会の連立合意と高市新政権への期待を背景に、日経平均は49,185.50(+3.37%)で高値引けとなりました。
為替・コモディティ
- 米ドル/円:150.69
- 金(XAU/USD):4,370.86
- 原油WTI先物:$56.97
米ドルはやや強含みです。金と原油は小動きで、リスク資産の回復を妨げる材料は限定的でした。
今日のつながり
米株の上昇とVIX低下が投資家心理を改善しました。これが暗号資産の小反発につながりました。BTCの優位が続き、相場の重心は大型にあります。国内では連立合意と新政権期待が株高を後押しし、リスク選好の流れを強めています。
用語解説
- BTCドミナンス:暗号資産全体に占めるBTCの時価総額比率。
- VIX:S&P500の予想変動率。低下は不安後退を示すことが多い。
- 出来高:一定期間の取引量。資金の活発度を示す。
- 高値引け:その日の取引を高値圏で終えること。
米現物BTC ETF:週次で約12億ドル流出、値動きは11万ドル付近で持ち直し
米スポット型ビットコインETFは先週に純流出が拡大しました。金額はおよそ12億ドルです。年初来でも大きめのマイナスとなりました。一方で、週明けの現物相場は11万1,000ドル近辺まで戻し、下値の不安はいったん和らいでいます。
フローの概要
米国で上場する現物BTC ETFは、先週を通して資金が流出しました。主要銘柄から幅広く資金が抜けた形です。背景には、直前の価格急落でリスクを抑える動きが強まったことがあります。週次ベースでは、年初来でも大きな規模の流出に当たります。
現物の戻りと需給
資金は流出しましたが、現物価格は週明けに持ち直しました。水準は11万ドル台前半です。短期の需給は荒いままですが、投資家の恐怖はやや後退しました。大型銘柄中心の買い直しが支えになりました。
オプションの手掛かり
デリバティブでは、強気のポジションが残っています。14万ドルのコールに約24億ドル相当が集中しています。年末にかけた上方向の見通しは維持されています。短期は値動きが大きくなりやすい点には注意が必要です。
読み解きポイント
- ETFは流出:現物に対する消極姿勢が続いた。
- 価格は回復:11万ドル付近でいったん下げ止まり。
- 強気の残存:コール偏重で上値を狙う構図は続く。
フローと価格が逆方向になる局面です。売り一巡後の買い戻しや、オプション主導の思惑が相場を支えました。足もとはニュースやマクロ次第で振れやすい環境です。
用語解説
- 現物ETF:ビットコインそのものを裏付け資産とする上場投資信託。
- 純流出:資金流入から流出を差し引いた合計。マイナスは資金が抜けた状態。
- コールオプション:将来の買う権利。価格上昇に賭ける取引で使われる。
- 建玉集中:特定価格にポジションが偏ること。相場の節目になりやすい。
英LSE:リテール向け仮想通貨ETPの取引が開始、米流出との対比鮮明
英国で個人投資家向けの仮想通貨ETPの売買が始まりました。今月の販売禁止解除を受け、ロンドン証券取引所でBTCとETHの現物連動商品が実際に取引されています。欧州の販売網が広がり、個人のアクセス経路が増えました。
上場の概要
上場したのは21Shares、WisdomTree、Bitwiseです。さらにBlackRockも参入しました。商品は現物を裏付けとする構成で、ETHではステーキング機能付きの銘柄もあります。手数料は一部で0.10%〜0.35%に設定され、低コストを打ち出しています。
米国の資金流出との対比
米国の現物BTC ETFは先週に約12億ドルの純流出でした。一方で、英国では販売網が再開し、個人が買えるルートが増えています。地域ごとに資金の向きが分かれ、「米国は流出、欧州は受け皿拡大」という構図が鮮明です。
投資家にとって何が変わるか
英国の個人は、証券口座から上場商品としてBTC/ETHにアクセスできます。為替・税制・取引時間などは株式と同じ扱いです。取引所の口座を新たに開かずに、既存のブローカー経由で発注できる点が利便性につながります。
用語解説
- ETP(上場投資商品):取引所で売買できる投資商品。ETFやETNを含む総称。
- ETFとETN:ETFはファンド型、ETNは発行体の信用を裏付けとする債券型。
- 現物連動:実際のBTCやETHの価格に連動して価値が動く仕組み。
- ステーキング機能:ETH保有に対する報酬を反映する設計。価格と報酬の両方を取り込む狙い。
- リテール:個人投資家のこと。
- ロンドン証券取引所(LSE):英国の主要取引所。欧州の資本市場ハブの一つ。
AWS障害:コインベースやL2で不具合、集中インフラ依存が改めて露呈
米国時間の月曜、Amazon Web Services(AWS)の障害が暗号資産エコシステムに波及しました。コインベース(米上場の大手暗号資産取引所)やロビンフッド(米オンライン証券)が断続的に不具合となり、複数のイーサリアム系レイヤー2(L2)でも処理遅延が発生しました。インフラ依存の一点障害が、分散型を標榜する領域に与える影響が再確認されました。
どこに影響が出たか
まず、大手取引アプリのログインや発注が制限されました。次に、インフラ事業者インフラ(Infura)経由の接続が悪化し、メタマスク(イーサリアム系の代表的ウォレット)で一時的に残高が「ゼロ」表示となる例が報告されました。ベース(CoinbaseのL2)を含むL2各ネットワークでも、ブロック生成やトランザクションの遅延が目立ちました。
なぜ広がったのか
多くのサービスがAWSの同一リージョンや共通コンポーネントに依存していたためです。ノード運用、APIゲートウェイ、データベースなどの基盤が重なり、一箇所の障害が連鎖しました。ユーザーは分散型アプリを使っていても、実際の読取や配信はクラウド経由に集中している場合があります。
短期的な市場面の変化
トラフィックが急減し、イーサリアムの平均ガス価格は0.1 gwei未満まで低下しました。取引は通りやすくなりましたが、可用性の不安が優先し、利用の手控えが起きたためです。可視化されたのは「手数料の低下」ではなく、「依存の偏り」でした。
中期的に浮かび上がる論点
論点は2つです。第一に、RPCやノード運用の多様化です。複数プロバイダーや自前ノードの併用が求められます。第二に、マルチクラウド/マルチリージョンの設計です。単一リージョンへ処理が集中すると、再発時の影響が同様に拡大します。分散型の価値と現実の実装をどうすり合わせるかが、今後の課題です。
用語解説
- AWS(Amazon Web Services):アマゾンのクラウド基盤。多くのWebサービスが採用。
- Infura:ブロックチェーン接続の基盤サービス。ウォレットやDAppが利用。
- レイヤー2(L2):イーサリアムの処理を外部で高速化する仕組み。最終的に本体へ結合。
- RPC:アプリとブロックチェーンが通信する窓口。ノードやプロバイダーが提供。
- ガス価格(gwei):イーサリアム取引の手数料水準。小さいほど安い。
- 一点障害(SPOF):単一箇所の故障が全体停止に直結する弱点。
日本:高市政権誕生へ—連立合意と政策試算、株式市場は期待先行
自民党と日本維新の会が連立合意に達し、高市氏の首相指名が見込まれます。物価高の一律給付は見送り、食料品の消費税ゼロの検討と、給付付き税額控除の制度設計を急ぐ方針です。政策の実行には時間がかかる見通しですが、期待先行で株式市場は強含みました。
連立合意の骨子(速報)
合意は経済、政治改革、安全保障などにまたがります。短期は家計支援の設計見直しが中心です。中期は税制や制度の改編が焦点となります。
- 首相指名:21日に高市氏が初の女性首相に選出見通し。
- 家計支援:物価高の一律2万円給付は見送り。
- 税制:食料品の消費税を2年間ゼロ%とする案を検討。
- 再分配:給付付き税額控除の制度設計を前倒し。
政策の経済効果(試算)
維新の公約を前提にした試算では、景気押し上げの規模が示されました。財源や制度変更の工程から、段階的な実施が想定されます。
- 食料品消費税ゼロ:年間約5兆円規模で、実質GDP+0.43%の効果。
- ガソリン暫定税率廃止:年間約1兆円規模で、実質GDP+0.08%の効果。
一方で、財政規律や制度設計の複雑さから、早期に実現する政策は限定的です。合意文書でも、詳細設計や法制化に時間をかける方針が示されています。
市場の反応(株式・セクター)
東京市場は政策期待でリスクオンが優勢でした。日経平均は49,185.50(+3.37%)で高値引けとなりました。東証33業種が上昇し、銀行、情報・通信、電気機器など景気敏感株に買いが広がりました。政治の不透明感が後退し、先物主導の買い戻しも相乗しました。
用語解説
- 給付付き税額控除:税額控除に給付を組み合わせ、低所得層にも実質支援が届く仕組み。
- 暫定税率:本来の税率に上乗せする特例税率。ガソリンなどに適用。
- 実質GDP:物価変動の影響を除いた国内総生産。景気の実力を示す。
- 連立合意:複数政党が政策や役割分担で一致し、政権運営を共にする取り決め。
規制・ガバナンス:米財務省への提言と不正対策、英国は税務執行を強化
規制とガバナンスの動きが同時進行で強まっています。米国ではCoinbase(米上場の大手暗号資産取引所)がAML(マネロン対策)規則の見直しを要請しました。運営側の内部統制ではBinance(世界最大級の取引所)が違反ユーザーを恒久停止としました。英国では税務当局が納税遵守を迫る「促し」レターを拡大しています。
米国:CoinbaseがAML改革を提案
Coinbaseは米財務省に対し、数十年前の枠組みが現状に合わないと指摘しました。現行の大量報告型の仕組みは効果が薄く、個人情報リスクも大きいと主張しています。
- 技術活用の容認:APIやAIを用いる監視にセーフハーバー(一定条件下の免責)を提案。
- 本人確認の更新:分散IDとゼロ知識証明を有効な手段として認識するよう要請。
- 監視の質重視:従来の一律報告より、トランザクション分析とブロックチェーン解析を重視。
- 官民の実証:規制サンドボックスで新しいコンプライアンスモデルを検証。
同社は「成果に基づく」設計への転換を求めました。目的は不正対策の実効性とプライバシー保護の両立です。
取引所の内部統制:Binanceが600超の口座を恒久停止
先日も伝えましたが、Binanceは未承認のサードパーティツールの使用などを理由に、600超のアカウントを禁止しました。違反が確認された利用者は、取引所や関連プログラムへの参加資格を恒久的に失います。
- 対象行為:未承認の取引ボット、スクリプト、APIの不正利用、アカウント共有など。
- 措置範囲:プログラム収益の没収や今後の参加資格の剥奪を含む。
- 通報制度:検証済みの通報者に回収利益の最大50%を報奨金として付与。
同社はコミュニティと連携し、プラットフォームの健全性を高める方針です。
英国:HMRCが6.5万通の「促し」レターで納税遵守を喚起
英国のHMRC(税務当局)は、2024-25年に約6.5万通の「促し」レターを送付しました。前年の2万7,700通から大幅に増加しています。
- 目的:暗号資産の課税不遵守に対する是正と自主申告の促進。
- 背景:取引の記録不足や制度理解の不足が不履行の一因。
- 対応の指針:取引履歴の詳細な保存と自己申告。自主開示は罰金が軽くなる可能性。
税務の執行強化は、取引所のデータ活用とあわせて今後も進む見通しです。
用語解説
- AML(マネーロンダリング対策):資金洗浄やテロ資金供与を防ぐための規制と実務。
- セーフハーバー:一定条件を満たす行為を規制の対象外とする仕組み。
- ゼロ知識証明:秘密を明かさず、条件を満たすことだけを証明する暗号技術。
- 分散ID(DID):中央管理者に依存しない本人確認の枠組み。
- サンドボックス:新しいサービスを限定環境で試験する制度。
- 「促し」レター:税務当局が納税者に遵守を促す通知文書。
- 取引ボット/API不正:自動売買や接続機能を規約に反して用いる行為。
- トランザクション分析:送受金の流れを解析し、不審パターンを検出する手法。
プロダクト・採用:stETH ETF提案、SOLクレカ、XRP上場ビークル構想、企業買いも継続
資金の入り口と使い道を広げる動きが相次ぎました。VanEckはLidoのstETHに連動するETFを米SECに登録しました。GeminiはSolana(SOL)での還元と自動ステーキングを備えたクレジットカードを開始しました。SBIやRippleが支援するEvernorthは、SPAC合併を通じた「XRPN」の上場を計画しています。企業サイドでは、Strategy(MSTR)がビットコイン(BTC)の追加取得を実施しました。
VanEck:LidoのstETH連動ETFをSECに登録
VanEckが、LidoのstETH(ステーク済みETHの受益権トークン)に連動するETFを登録しました。狙いは、ステーキング報酬を取り込みつつ、日次の流動性を投資家に提供することです。オンチェーン操作を避けたい投資家に、規制下の器を用意する形です。
- 投資対象:stETH(Lidoのリキッド・ステーキング・トークン)
- 設計意図:ステーキング経済を反映しつつ、売買は従来のETFと同様に市場で完結
- 想定メリット:保有と報酬の一体管理、税務・ガバナンス面の透明性向上
承認の可否や時期は未定です。ただ、ステーキング関連の上場商品に対する制度整備が進めば、ETHエコシステムへの間接的な資金導入につながる可能性があります。
Gemini:SOL還元を自動ステーキングするクレカを開始
Gemini(米系の暗号資産取引所・カストディ)は、Solana版クレジットカードを導入しました。利用額に応じてSOLで還元し、そのまま自動ステーキングします。利用者は手間なくネットワーク参加と利回り獲得を両立できます。
- 還元率:ガソリン・EV充電・配車で最大4%、外食3%、食料品2%、その他1%
- 自動化:受け取ったSOLをプラットフォーム上で自動ステーク
- 意義:カード利用がそのままチェーンのセキュリティ強化に接続
ポイント経済とオンチェーン利回りの橋渡しで、日常支出からの暗号資産エンゲージメントを拡大します。
Evernorth:「XRPN」上場を計画、XRPの企業保有を加速へ
EvernorthはSPAC合併で「XRPN」の上場を計画しています。SBI、Ripple、Pantera、Kraken、GSRなどが支援し、10億ドル超の調達を見込みます。資金は主に市場でのXRP購入に充て、世界有数の企業保有主体を目指します。
- 戦略:受動的な連動だけでなく、融資・流動性提供・DeFi収益で1株あたりの保有XRP増加を狙う
- 提供価値:機関投資家が上場ビークル経由でXRPにアクセス
- 波及:企業バランスシートでのXRP活用の前例を拡大
リスク管理や開示の枠組みが整えば、XRPの資産クラスとしての位置づけを補強する可能性があります。
Strategy(MSTR):BTCを168枚追加、保有は64万超に
Strategy(米ナスダック上場のビットコイン保有企業、ティッカーMSTR)は、BTCを168枚追加取得しました。平均取得単価は約$112,051です。今回の購入は、$1,880万の優先株・普通株発行で調達した資金を活用しています。
- 累計保有:640,418 BTC規模
- 市場反応:株価は発表後に小幅高で反応
- 文脈:価格の振れが大きい局面でも、バランスシート戦略の継続を示唆
同社の一貫した積み増しは、企業によるBTC需要の下支えとして注目が続きます。
用語解説
- stETH:Lidoのリキッド・ステーキング・トークン。ETHをステークした見返りとして受け取り、売買可能。
- リキッド・ステーキング:ステークした資産の価値を、取引可能なトークンで表現する仕組み。
- ETF:上場投資信託。取引所で売買できる投資信託の器。
- 自動ステーキング:受け取ったトークンを自動でステークに回し、利回りを得る設定。
- SPAC:特別買収目的会社。合併を通じて企業を上場させる手法。
- 上場ビークル:特定資産への投資を目的とした上場会社やファンドの総称。
セキュリティ:XRP約300万ドル流出、東南アジアのOTC経由で洗浄と指摘
XRPの大型流出が確認されました。ブロックチェーン調査のZachXBTは、米国の個人ユーザーから約1.2百万XRP(約300万ドル)が流出したと報告しました。資金は複数のチェーンとサービスを経由し、東南アジアのOTC(店頭取引)に送られた形跡があるとしています。
資金移動の流れ
報告によると、被害はEllipalウォレットの侵害から始まりました。犯人はXRPを別チェーンへ移すためにスワップを実行し、その後OTCに資金を集約したとみられます。移動は短時間で断続的に行われ、追跡を困難にしました。
- XRPが外部に移動
- Bridgers経由で別チェーン(TRON)へスワップ
- OTCアドレスへ集約し分散
背景にある運用上のリスク
被害者側では、ウォレットの運用形態に誤解があった可能性が指摘されています。いわゆる「コールド」運用(オフライン保管)と思い込んでいた一方で、実際には「ホット」運用(オンライン接続)に近い設定だった可能性があります。
この差は、侵害時の被害規模に直結します。オンラインに接続された状態では、秘密鍵や署名経路への攻撃面が広がります。
越境型の洗浄と回収の難しさ
OTCは取引相手が限定され、オンチェーン上の識別が難しい場合があります。さらに、複数の法域にまたがる送金が重なると、当局や取引所によるフリーズや回収は一段と難しくなります。
今回のケースも、資金が短期間で複数の経路を通過したため、実害の把握と回収可能性は限定的とみられます。
用語解説
- ZachXBT:著名なブロックチェーン調査アカウント。資金追跡の公開で知られる。
- Ellipal:暗号資産ウォレットの一種。運用設定によりオンライン性が変わる。
- Bridgers(旧SWFT):異なるブロックチェーン間で資産を交換するブリッジ系サービス。
- TRON:高速・低コストのトランザクションを特徴とするレイヤー1ブロックチェーン。
- OTC(店頭取引):取引所外で行う相対取引。流動性供給や大口決済で使われる。
- ホットウォレット/コールドウォレット:オンライン接続の有無で区別する保管形態。前者は利便性が高く、後者は耐侵害性が高い。
マイニング・インフラ:収益性悪化とハッシュ最高、事業多角化の動き
9月はマイナーの収益性が低下しました。ビットコイン価格の軟化と採掘難易度の上昇が重なり、収益性は前月から7%超の悪化となりました。上場マイナーの生産も減り、北米勢の月間産出は3,401BTCで前月の3,576BTCから縮小しました。
収益指標:1EH/sあたりの稼ぐ力が細る
理論上の1EH/sあたり日次収益は約52,000ドルでした。8月は約56,000ドルで、9月は効率が落ちた形です。価格下落と競争激化(難易度上昇)が同時に進み、マージンを圧迫しました。
- 北米上場マイナー生産:3,401BTC(前月3,576BTC)
- 上位の生産:MARA Holdingsが736BTC、CleanSparkが629BTC
ネットワーク:ハッシュレートは過去最高圏
一方で、ネットワークの総ハッシュレートは1,164EH/s(=1.164ZH/s)に達した局面がありました。計算資源の増加は安全性の向上につながりますが、マイナー間の競争を強め、個社の採掘コストには逆風となります。
多角化:マイニングからAIデータセンターへ
CleanSpark(米ビットコインマイナー)は、AIデータセンター事業を新設しました。これにより、保有電力・不動産・運用ノウハウを活かしつつ、収益源の分散を図ります。電力契約や設備をAI向けに転用する動きは、採掘収益の変動を補う狙いがあります。
用語解説
- ハッシュレート:ネットワーク全体の計算能力。値が高いほど攻撃が難しくなる。
- 採掘難易度:ブロック生成の難しさを表す指標。上昇すると同じ設備でも報酬が得にくい。
- EH/s・ZH/s:毎秒エクサ/ゼタ回の計算を意味する単位。
1ZH/s = 1,000EH/s
。 - 1EH/sあたり日次収益(ハッシュプライス):一定の計算能力が1日で理論上稼ぐ金額。
- MARA Holdings:米上場の大手ビットコインマイナー。
- CleanSpark:米上場のビットコインマイナー。電力・施設を生かしAI事業に展開。
アルト市場:LINKが指数牽引、DOGEはポスト要因、BNBやZECも上昇目立つ
主要アルトはまちまちです。Zcash(ZEC)が24時間で二桁上昇し、相場の持ち直しを示しました。Chainlink(LINK)も堅調ですが、週次ではまだマイナスです。Dogecoin(DOGE)は投稿要因で小幅高、BNBは弱含みです。Aave(AAVE)はレンジ内の戻りにとどまっています。
主要アルトの足元データ(24H/7D)
資産 | ティッカー | 価格 | 前日比(24H) | 前週比(7D) | 時価総額 | 出来高(24H) |
---|---|---|---|---|---|---|
Chainlink | LINK | $18.75 | +9.62% | -5.96% | $12.73B | $1.32B |
Aave | AAVE | $227.22 | +2.75% | -12.50% | $3.49B | $345.97M |
Dogecoin | DOGE | $0.198779 | +2.42% | -6.75% | $30.28B | $2.12B |
BNB | BNB | $1,095.20 | -0.80% | -15.66% | $152.91B | $4.13B |
Zcash | ZEC | $266.72 | +12.24% | +7.53% | $4.35B | $706.80M |
着目点
- ZECが24時間騰落率で首位。週次でもプラスを維持し、相対強さを示しています。
- LINKは短期堅調。一方で7日間はマイナスで、戻り切っていません。
- DOGEは小幅高。投稿要因のフローが続く一方、週次はまだ軟調です。
- BNBは弱含み。24時間・7日ともに下落し、上値が重い状態です。
- AAVEは限定的な反発。ボラティリティが高まる中でのレンジ推移です。
用語解説
- Chainlink(LINK):分散型オラクル。外部データをブロックチェーンへ安全に接続する基盤。
- Aave(AAVE):暗号資産の貸借を行うレンディング型の分散型金融(DeFi)プロトコル。
- Dogecoin(DOGE):ミーム由来の暗号資産。話題性で短期フローが動きやすい特性。
- BNB:BNB Chainの基軸資産。手数料支払いなどネットワーク利用に用いられる。
- Zcash(ZEC):プライバシー保護機能を持つ暗号資産。送金内容の秘匿が可能。
- 出来高シェア:市場全体の取引高に占める当該資産の割合の目安。
今後数日の注目:日米欧の物価・金融イベント、米政府閉鎖とETF審査の停滞
物価指標と中銀イベントが集中します。物価の強弱は、利下げ時期やリスク資産の方向感に直結します。米政府の一部閉鎖が続き、当局の審査や告示が遅れる点も不確実性です。英国ではリテール向けETPの売買が始まり、資金の受け皿が広がりました。米ETFからの資金流出が止まるかは要観測です。
今週の主な日程(現地日付)
- 10月24日:日本の消費者物価指数(CPI)。米国のCPIと新築住宅販売。
- 10月29日:FOMC(政策金利と声明)。
- 10月30日:日銀金融政策決定会合。ECB理事会とユーロ圏GDP。
- 10月31日:米個人消費支出価格指数(PCE)と雇用コスト指数(ECI)。
政策・市場のチェックポイント
- 米政府閉鎖の影響:4週目に接近し、ETF審査など規制当局の業務が遅延しています。スケジュールの不透明さが残ります。
- 英国のETP実需:ロンドン証券取引所での売買開始で、個人のアクセスが拡大しました。出来高とスプレッドの推移に注目します。
- 米ETFフローの転換:先週は資金の純流出が拡大しました。物価指標とFOMC前後で流れが変わるかが焦点です。
- AWS依存の議論:主要サービスの障害を受け、インフラの集中リスクが再確認されました。代替経路や冗長化の公表に注目します。
見通しの整理
- インフレの減速が確認:利下げ観測が強まり、暗号資産には追い風になりえます。
- インフレが粘着的:長期金利の上振れ要因となり、リスク資産の上値を抑える可能性があります。
- イベントの同時多発:短期の値動きが荒くなりやすく、指標結果の「相対的な強弱」が価格を左右します。
用語解説
- CPI(消費者物価指数):家計が購入する品目の価格変動を示す指標。インフレの代表指標。
- PCE(個人消費支出価格指数):米国の物価指標。米FRB(米連邦準備制度)の重視指標。
- ECI(雇用コスト指数):賃金や福利厚生の伸びを示す指標。賃金インフレの把握に用います。
- FOMC:米FRBの金融政策会合。金利や量的引き締めの方針を決定。
- 日銀(日本銀行):日本の中央銀行。金利や国債買入れの方針を決めます。
- ECB(欧州中央銀行):ユーロ圏の中央銀行。金利と資産買入れの方針を所管。
- ETP(上場投資商品):取引所で売買できる投資商品。ETF(上場投資信託)やETNなどを含みます。
- AWS(Amazon Web Services):アマゾンのクラウド基盤。多くの取引所やウォレットが利用。
きょうの要点
相場は「戻り基調だが選別色が濃い」一日でした。米国では現物ビットコインETFから資金が流出。一方で英国のロンドン証券取引所(LSE)では、個人が買える仮想通貨ETPの売買が始まりました。米英で資金フローの向きが分かれています。
- 資金の東西コントラスト:米スポットBTC ETFは資金流出が続きました。対して、LSEでのリテール向けETP開始が資金の受け皿を広げています。
- インフラ集中リスク:Amazon Web Services(AWS)の障害で、主要サービスの依存が露呈しました。代替経路や冗長化の重要性が再確認されています。
- 日本の政策期待:自民・維新の連立合意で高市政権の発足が見込まれ、国内株式は期待先行で上昇しました。
- 売買の手掛かり:主要イベント前で流動性は細りやすい局面です。資金フローの「向き」と、市場の「分散度合い(物色の広がり)」に注目が集まります。
用語解説
- ETF(上場投資信託):指数や資産に連動する投資信託。取引所で売買します。
- ETP(上場投資商品):ETFやETNなどの総称。仮想通貨を裏付けとする商品も含みます。
- LSE(ロンドン証券取引所):英国の主要取引所。欧州の資本市場の中心地の一つです。
- AWS(Amazon Web Services):アマゾンのクラウド基盤。多くの取引所やウォレットが利用します。
本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。
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