- 市場はやや慎重、BTCは11.5万ドル台で推移
- SECの「汎用」上場基準が実装段階へ、GDLC初日2,200万ドル
- 米財務省がGENIUS法の規則策定へ前進(意見募集開始)
- RWAは時価総額30B到達、実需と機関の関与が拡大
- USDeは時価14B、Flowdesk連携で流通経路を強化
- 日銀は政策金利据え置き、ETF/J-REITの市場売却を段階開始へ
- イーサリアム:12/3「Fusaka」稼働予定、P2P基盤の資金難も課題
- DeFiレンディング:Aaveの貸付残高30.5Bでシェア65%
- ビットコイン:難易度・ハッシュが最高更新、採掘は選別進む
- ウォレット/デリバティブ:MetaMaskがHyperliquid統合を示唆
- 規制執行と市場健全性:TradeOgre押収とMYX操作疑惑
- 地域採用:豪SMSFとラテンの決済で裾野拡大
- 上場・新商品:ValourのBTCステーキングETP、BitGoがIPO申請
- 破綻処理:FTXが9/30から16億ドルを配当、第3弾へ
- 今後1週間の注目:米住宅・GDP・PCE、SNB、イーサ進捗
- 結論・要点整理
市場はやや慎重、BTCは11.5万ドル台で推移
基準時刻:日本時間 9月20日(土)9:34。土曜日のため東京株式は休場です。米株の数値は現地9月19日(金)引け、為替・商品は同時刻の画面表示に基づきます。
クリプト全体の現在地(サマリー)
- 暗号資産の時価総額:4.07兆ドル
- 24時間出来高:1,472億ドル
- ビットコイン(BTC):115,588ドル(-1.57%/24H)
- イーサリアム(ETH):4,466ドル(-3.07%/24H)
- BTCドミナンス:57.1%
株式・為替・コモディティの足元
- 米株(9/19引け):ダウ+0.37%、S&P500+0.49%、ナスダック+0.72%
- VIX(恐怖指数):15台で低位安定
- 為替:ドル/円148円近辺、ユーロ/ドル1.17台
- 金先物:3,705.8(強含み)/WTI原油:62.68(続落)
今日の見立て(結論先行)
米株の底堅さと低いVIXが、リスク資産の支えになっています。一方で、為替と商品は方向が揃っていません。暗号資産は材料待ちで、BTCは11.5万ドル台を維持しつつ様子見の展開です。
用語解説
- ドミナンス:市場全体に占める特定銘柄の時価総額の比率。
- VIX:S&P500のオプション価格から算出するボラティリティ指標。高いほど不安心理が強い。
- 24時間出来高:直近24時間で成立した売買の合計。市場の活発さを示す。
- 先物価格:将来の受け渡しを前提にした価格。現物価格と差が出ることがある。
SECの「汎用」上場基準が実装段階へ、GDLC初日2,200万ドル
米証券取引委員会(SEC)が整備した「汎用」上場基準が、実運用の段階に入りました。手続きの簡素化で、現物型の暗号資産ETF(上場投資信託)が、ビットコインとイーサリアム以外にも広がる土台が整います。一方で、資金流入は各資産の投資ストーリーに左右されるとの見方が示されています。
GDLCの初日成績と組成
NYSE Arcaに転換上場したGrayscaleの「Digital Large Cap Fund ETF(GDLC)」は、初日の出来高が約2,200万ドルとなりました。デビューとしては堅調な規模です。構成はBTC 72%、ETH 17%、XRP 6%、SOL 4%、ADA 1%です。複数資産に一括でアクセスできる点が特徴です。
「汎用」基準の要点と手続きの変化
- 対象は各取引所の「商品ベース信託受益権」。Nasdaq、Cboe、NYSE Arcaが枠組みを受け入れます。
- 個別のRule 19b-4審査が原則不要になります。上場時はForm S-1の届け出が中心です。
- 目安として「ISG加盟市場での取引」や「CFTC監督の先物が6か月以上上場」などの客観基準が使われます。
- 手続きは速くなりますが、資金流入の保証にはなりません。需要は資産の用途や物語性に依存します。
供給は増えるが、需要は選別へ
ETFの投入が進むと、投資家の選別が強まります。ユースケースが明確な大型アルトは恩恵を受けやすいとの指摘があります。一方で、根拠の弱いテーマは資金が集まりにくい可能性があります。バスケット型のETFは、ビットコイン単独型に次ぐカテゴリーに育つとの見方もあります。
用語解説
- 汎用上場基準:一定の客観条件を満たす商品系ETFを、個別審査なしで上場できる枠組み。
- Rule 19b-4:取引所ルールの個別変更をSECに申請する手続き。不要化で上場が迅速化。
- Form S-1:新規上場時の有価証券届出書。情報開示を通じて投資家保護を図る。
- 商品ベース信託受益権:コモディティや暗号資産などを裏付けとするETFの制度区分。
- バスケット型ETF:複数の暗号資産を一つのファンドに束ねて保有するETF。
- GDLC:Grayscaleの大型銘柄バスケットETF。BTC、ETH、XRP、SOL、ADAで構成。
米財務省がGENIUS法の規則策定へ前進(意見募集開始)
米財務省は安定通貨の包括法「GENIUS Act」を具体的規則に落とし込む作業を進めます。制度設計の初期段階として、事前通知(ANPR)で市場から意見を募ります。受付期間は公表日から1か月です。締切は10月20日です。論点は制裁、マネロン対策、課税、州と連邦の役割分担など多岐にわたります。
背景と位置づけ
GENIUS法は、米国で初の包括的なステーブルコイン法です。今回は条文を運用ルールに落とす工程です。規則化が進めば、発行体の要件や準備資産の扱いが明確化します。決済や送金、トークン化の基盤整備が進む可能性があります。SECのETF上場基準の整備と並び、資金の受け皿を広げる政策連動と位置づけられます。
ANPRで問われる主な論点
- 制裁遵守と取引遮断の方法。ウォレットや発行体の義務範囲。
- AML/CFT体制。KYCの水準やトラベルルールとの整合。
- 準備資産の範囲と保管先。分別管理とカストディの要件。
- 償還の権利と期限。異常時の流動性確保策。
- 州規制と連邦監督の分担。登録制度と監督窓口。
- 税務の取り扱い。利子や報酬の課税関係。
- 外国制度との比較。越境決済や制裁の相互運用。
市場への影響と展望
規則が固まれば、発行体の不確実性が低下します。法令順守のコストは増えますが、機関投資家の参入障壁は下がります。安定通貨の決済利用が広がれば、トークン化資産の受け渡しも円滑になります。ETFの拡大と合わせ、オンチェーンと伝統金融の接続点が増える可能性があります。一方で、準備資産やカストディの要件次第で、小規模発行体の参入は難しくなるリスクがあります。
用語解説
- GENIUS Act:米国のステーブルコイン包括法。発行体や準備資産の枠組みを定めます。
- ANPR(Advance Notice of Proposed Rulemaking):規則案の事前通知。意見募集を通じて論点を整理します。
- AML/CFT:マネーロンダリング・テロ資金供与対策。KYCや取引監視を含みます。
- 準備資産:ステーブルコインの裏付け資産。現金、短期国債などが対象候補です。
- 償還:発行体が保有者からの払い戻し請求に応じる仕組みです。
RWAは時価総額30B到達、実需と機関の関与が拡大
トークン化された実世界資産(RWA)の時価総額が300億ドルを超えました。過去30日で約9%増です。保有者数は7%増の39万5,939件となりました。4月時点は200億ドル規模で、保有者は9万4,809件でした。機関と個人の双方で、参加の裾野が広がっています。
内訳と足元の伸び
最大セグメントはプライベート・クレジットです。およそ170億ドルを占めます。米国債のトークン化は70億ドル超です。Figure Technologiesが私募債分野をけん引します。Tradable(ZKsync Era)とMaple Financeも存在感を高めています。直近の増加は、新商品の供給と需要の両面で説明されます。
機関商品の拡充が支え
機関投資家向けの商品が拡大しています。BlackRockのBUIDL、Franklin TempletonのBENJI、OndoのOUSGが代表例です。FidelityのETH連動ファンドも資産を伸ばし、既に2億ドル超です。これらは即時決済や移転の容易さを提供します。金利収益と運用の透明性が、採用の追い風になっています。
ユースケースと今後の焦点
担保としての採用拡大が見込まれます。取引所やカストディの担保リストに載る動きがカギです。金利低下局面では、利回りは縮小します。一方で、決済や企業の資金管理など実需の広がりが期待されます。RWAはDeFiの基盤部品としての役割を強めています。プロトコル間の相互利用性が、追加の成長要因になります。
用語解説
- RWA(実世界資産):国債や社債、クレジットなどをブロックチェーン上で表現した資産です。
- プライベート・クレジット:非公開で組成される貸付債権です。企業向け融資などが中心です。
- トークン化国債:米国債などをトークンで表現したものです。オンチェーンで保有や移転が可能です。
- BUIDL/BENJI/OUSG:BlackRock、Franklin、Ondoのトークン化キャッシュや国債系商品です。
- コンポーザビリティ:異なるプロトコルや資産を組み合わせて再利用できる性質です。
USDeは時価14B、Flowdesk連携で流通経路を強化
EthenaはOTC大手のFlowdeskと提携しました。対象はUSDeとUSDtbです。取引執行と報酬プログラムの運用支援で、流通と受け皿を広げます。USDeの時価総額は140億ドル台に到達しました。規模の拡大と流動性の確保が同時に進んでいます。
提携の狙いと流通経路
Flowdeskは発行体やヘッジファンド、取引所を顧客とするOTCデスクです。今回の連携で、USDeとUSDtbの売買やインセンティブ配布が円滑になります。場外取引と取引所の両面で経路が太くなります。結果として、発行残高の成長を受け止める体制が整います。
設計と拡大の背景
USDeは「デルタ・ニュートラル」設計の合成ドルです。暗号資産の価格変動を先物などで相殺し、1ドルの維持を狙います。USDtbはBUIDLなど実物資産を裏付けに持つ設計です。USDeの循環供給は拡大が続き、時価総額は140億ドルを超えました。担保としての活用も広がっています。
残るリスクと留意点
一方でリスク要因は残ります。資金調達コストと資金調達金利の変動が挙げられます。先物の資金調達金利が長期でマイナス化すると、ヘッジ収益は圧迫されます。デリバティブとカウンターパーティへの依存もあります。清算や約定の不確実性が、ペッグ維持に影響する可能性があります。モデルの持続性は市場ストレス局面で検証されます。
用語解説
- USDe:先物ヘッジで価格変動を打ち消す「合成ドル型」ステーブルコインです。
- USDtb:トークン化マネー・ファンドや既存ステーブルなど実物資産で裏付ける設計です。
- OTC(店頭取引):取引所を介さずに相対で売買する方式です。大口の約定に向きます。
- デルタ・ニュートラル:現物と先物の組み合わせで価格変動リスクを小さくする手法です。
- 資金調達金利(Funding):先物と現物の価格差を調整するための金利です。先物の保有コストになります。
- カウンターパーティ・リスク:相手方の支払い不能などにより損失が生じる可能性です。
日銀は政策金利据え置き、ETF/J-REITの市場売却を段階開始へ
日本銀行は9月19日(東京時間)に政策を維持しました。無担保コール翌日物は「0.5%程度」です。賛成7、反対2で決定しました。あわせて、保有するETFとJ-REITの売却開始を表明しました。市場の攪乱回避を最優先とし、極めて緩やかなペースで進めます。
決定のポイントと時間軸
金利は据え置きです。次回会合までの運営方針に変更はありません。声明は海外経済の不確実性に言及しました。為替や金融市場の動向を注視する姿勢です。結果は金曜日の昼に公表されました。土曜日の本日は国内市場は休場です。
ETF/J-REITの売却設計
売却は取引所市場で行います。価格は市場で形成された水準に従います。売却額は簿価ベースでETFが年3,300億円程度です。J-REITは年50億円程度です。東証の売買代金に対する売却割合は約0.05%です。時期は分散します。銘柄ごとの保有比率におおむね比例します。相場急落時は一時停止も可能です。
市場インパクトの整理
売却は長期にわたり段階的に実施されます。大量処分ではありません。株式や為替のボラティリティ抑制に配慮した枠組みです。国内リスク資産の急変は想定しにくい設計です。結果として、暗号資産の外部環境は中立からやや追い風になり得ます。低VIXと併せてセンチメントの下支え要因です。
民間解説が指摘する論点
政策委員2名は利上げを提案しました。執行部はなお慎重姿勢とされます。売却の完了には長い時間がかかる見方があります。市場機能への配慮が背景です。短期の金融条件に直接的な引き締め効果は限定的と整理できます。
用語解説
- 無担保コール翌日物:金融機関同士が無担保で翌日に返す短期資金の金利です。日銀はこの水準を誘導します。
- 簿価ベース:保有資産を会計上の取得原価で評価した金額です。時価とは異なります。
- ETF/J-REITの市場売却:取引所の通常売買を通じて段階的に売る方式です。ブロック売却ではありません。
- 攪乱回避:市場の価格形成を歪めないことを最優先にする方針です。
- 売却割合0.05%:市場全体の売買代金に対する日銀売却額のおおよその比率です。
イーサリアム:12/3「Fusaka」稼働予定、P2P基盤の資金難も課題
イーサリアムは12月3日に「Fusaka」アップグレードを予定しています。目的はスループットの拡大と手数料の低減です。並行して、ネットワークの土台であるP2P基盤では資金難が顕在化しています。スケーリングと運営体制の両面を同時に点検する局面です。
Fusakaの狙いとスケジュール
Fusakaは開発者会合ACDC #165の合意に基づき、12月3日にメインネットで有効化予定です。10月にHolesky、Sepolia、Hoodiへのテストネット展開を行います。イーサリアム財団は9月15日に200万ドル規模の監査コンテストを開始しました。Sherlockで実施し、GnosisとLidoが協賛します。Hoodiフォークから少なくとも30日以降の本番適用という条件です。
PeerDASと段階的なBlob拡張
中核はEIP-7594「PeerDAS」です。各ノードが大容量データの一部のみを検証します。帯域負荷を抑えつつ、ロールアップのデータ掲載を拡張します。現状、主要L2のBlob利用率は90%超です。Arbitrum Oneは99.6%、OP Mainnetは99.2%が目安です。中央値のBlob手数料は1MiBあたり0.49〜3.05ドルの範囲です。
Fusaka後は「Blob Parameter Only(BPO)」フォークを二段階で実施します。第1弾は12月17日で最大Blob数を9から15へ拡大します。第2弾は2026年1月7日で上限を21まで引き上げます。いずれもクライアント更新を伴わない軽量なパラメータ調整です。
P2P基盤の資金難と代替の模索
ネットワークの背骨であるlibp2pの維持にも課題があります。主要メンテナーのShipyardは9月30日までにGoおよびJavaScript実装のサポート終了を予告しました。コミュニティへの移管を進めますが、短期的にはバグ対応やセキュリティ修正の遅延リスクがあります。イーサリアムのコンセンサスクライアントはGossipsubでブロックや投票を伝搬します。P2P層の保守はバリデータ性能に直結します。
資金循環の新案としてTea Protocolが提案されています。依存関係を可視化し、重要度に応じて報酬やバウンティを配分する構想です。技術代替としてはOptimumの「mumP2P」があります。ランダム線形ネットワーク符号化(RLNC)で冗長性と遅延を抑える設計です。Gossipsubがストレス下で遅延しやすい点への対処を狙います。現時点ではテスト段階です。
用語解説
- Fusaka:イーサリアムの次期ネットワークアップグレードの呼称です。
- PeerDAS(EIP-7594):大きなデータをノード間で分担検証する仕組みです。帯域効率を高めます。
- Blob:ロールアップが投稿するデータ塊です。容量と手数料がL2の処理能力を左右します。
- BPOフォーク:クライアント更新なしでBlob関連の上限値を調整する軽量フォークです。
- libp2p/Gossipsub:ピア同士の接続と情報拡散の基盤です。ブロックや投票の伝搬に用います。
- RLNC/mumP2P:数式化したデータ断片を送る方式です。重複伝送を減らし遅延を抑えます。
DeFiレンディング:Aaveの貸付残高30.5Bでシェア65%
規模と収益性
Aaveのアクティブローンは9月18日に300億ドル超(30.5B)となりました。分散型レンディング全体の約65%を占めます。直近の競合は50億ドル未満で、差は大きい状況です。総預かり資産(TVL)は420億ドルです。直近7日間の手数料収入は2,460万ドルでした。プロトコルとしての収益力も維持しています。
拡大要因と市場での位置づけ
背景にはオンチェーン金利の優位があります。USDCなどの主要ステーブルで年利5%台の水準が見られます。トレーダーのレバレッジ需要も続いています。保有資産を担保に追加の資金を借りる使い方が一般化しています。ETFの拡大やステーブル制度化の進展と並走し、オンチェーン与信の受け皿として存在感が増しています。
ユースケースの広がり
Aaveは複数チェーンで提供されています。預け入れで利回りを得たい保有者に活用されています。短期の資金調達を求めるトレーダーにも使われます。オンチェーンでの自動清算や担保管理が前提となるため、透明性が高い点も特徴です。市場の流動性を支える役割が強まっています。
用語解説
- アクティブローン:現在借り手に出ている貸付残高の合計です。
- TVL(総預かり資産):プロトコルにロックされている資産の総額です。
- 手数料収入:借入金利や清算関連手数料など、プロトコルに入る収入です。
- オンチェーン金利優位:ブロックチェーン上の金利が、銀行の平均金利より高い状態です。
- レバレッジ:担保を入れて資金を借り、ポジション規模を拡大する手法です。
ビットコイン:難易度・ハッシュが最高更新、採掘は選別進む
難易度とハッシュの動向
9月20日時点で、採掘難易度は142.3兆に達しました。年初来で+29.6%です。ネットワークのハッシュレートも最高圏です。新規ブロック発見に必要な計算量が増えています。難易度は2016ブロックごとに自動調整されます。平均10分のブロック時間を保つ設計です。
収益性への影響と選別
難易度上昇は採掘コストを押し上げます。電力価格や設備効率の差が収益を左右します。大型事業者は低コスト電源を確保しやすい状況です。最新ASICの投入で電力当たりの計算効率も改善します。一方で、旧型機中心の事業者は収益が圧迫されやすいです。結果としてマイナーの選別が進みます。
価格と機器効率が下支え
ビットコイン価格が高水準なら、収益悪化を相殺できます。機器効率の向上も負担を軽減します。電力当たりの計算性能が上がるためです。収益は価格に強く連動します。価格が維持されれば稼働継続の余地は広がります。価格が下落すると、停止する事業者が出やすくなります。
ネットワーク安全性の含意
ハッシュレートの上昇は安全性の向上につながります。攻撃に必要な資源が増えるためです。取引の確からしさも高まりやすくなります。難易度とハッシュが高い状態は、防御力の指標となります。ただし電力コストの上昇は産業側の負担です。効率化投資と電力調達の工夫が鍵です。
用語解説
- 採掘難易度:ブロックを見つける難しさの指標です。値が高いほど難しくなります。
- ハッシュレート:ネットワーク全体の毎秒の計算能力です。高いほど処理能力が大きいです。
- 難易度調整:2016ブロックごとに難易度を再計算する仕組みです。平均10分を目指します。
- ASIC:採掘専用の半導体機器です。一般的なGPUより高効率です。
- 51%攻撃:過半の計算力を握り、改ざんを試みる攻撃です。現実的難度はハッシュ次第です。
ウォレット/デリバティブ:MetaMaskがHyperliquid統合を示唆
コードから読み取れる実装の進捗
9月20日までに、MetaMaskのコード断片が確認されました。内容はHyperliquidのパーペチュアル取引に関する記述です。入金フローやスリッページ確認などのUI要素が含まれています。ウォレット内での建玉管理を想定した設計が進んでいる可能性があります。
非カストディでCEX級の操作感を志向
今回の動きは、非カストディのまま取引体験を高める潮流に沿います。鍵の管理をユーザー側に残しつつ、高機能な板・執行に接続します。CEXに近い操作感を、ウォレット内で再現する狙いです。資産移動の手間やUIの分断を減らす効果が想定されます。
個人投資家のアクセス拡大と市場への波及
ウォレット一体型のデリバティブは導線を短縮します。証拠金の入金から発注までを連続で実行できます。新規ユーザーの参入障壁が下がる可能性があります。流動性が特定プラットフォームへ集約する動きも考えられます。
制度・リスク面の論点
レバレッジ商品は価格変動の影響が大きいです。証拠金管理や強制決済の理解が必要です。地域の規制やKYC要件との整合も論点になります。UI改善が進む一方で、適合性や開示の設計が重要です。
用語解説
- パーペチュアル取引:満期のない先物型のデリバティブです。資金調達料で価格を調整します。
- スリッページ:発注価格と約定価格のずれです。流動性や板厚で変化します。
- 非カストディ:秘密鍵や資産を自分で保管する方式です。第三者が預かりません。
- CEX/DEX:中央集権型取引所と分散型取引所です。運営主体と保管方法が異なります。
- 証拠金:デリバティブ建玉の担保資産です。不足時は追加入金が必要です。
規制執行と市場健全性:TradeOgre押収とMYX操作疑惑
カナダRCMP、未登録交換所TradeOgreから資産を押収
9月19日、カナダ連邦警察(RCMP)が暗号資産を押収しました。対象は未登録の交換所TradeOgreです。押収額は5,600万カナダドル超で、同国最大規模です。国内の取引所としては初の実質的な「解体」案件とされています。
捜査は2024年6月のユーロポールからの照会に端を発します。資金洗浄対策機関FINTRACへの未登録や、顧客確認の不備が問題とされました。捜査当局は不正資金の流入を疑い、引き続き調査を継続します。
示すもの:未登録リスクとカストディの注意点
当局は登録と本人確認の順守を重視しています。未登録の場は閉鎖や押収の対象になりえます。利用者はカストディ先の監督体制と所在国の規制を確認する必要があります。越境での情報連携が進む中、コンプライアンスの基準は上がっています。
AI分析が指摘するMYXの不自然な取引挙動
同日、MYXの取引パターンに関する分析レポートが公開されました。Rena LabsとInsider.Cashは9,200以上の分単位データを検証しました。結果は249件の異常を示し、自然発生の確率は0.001%未満と推計しました。
Gateでの流動性異常は9月9日に433%増と報告されました。2日間で32件の流動性低下イベントが観測されました。平均約定サイズは67%縮小し、取引頻度も45%低下しました。流動性低下局面でスプレッドが縮むという逆行も確認されています。
市場全体への含意:執行強化とサーベイランスの同時進行
カナダの押収は未登録リスクの顕在化を示します。MYXの分析は市場監視の高度化を示します。規制の執行とデータ駆動の検知は並行して進んでいます。流動性や価格形成の健全性は、規制順守と市場監視の両輪で担保されます。
用語解説
- RCMP:カナダ連邦警察です。連邦レベルの捜査と摘発を担います。
- FINTRAC:カナダの金融取引・レポート分析センターです。AML/テロ資金対策を所管します。
- 未登録交換所:所管機関に登録せず運営する取引所です。押収や停止の対象になりえます。
- 流動性異常:板の厚みや約定量が急変する現象です。価格乖離や約定遅延を招きます。
- スプレッド:買い気配と売り気配の差です。通常は流動性低下で拡大します。
- KYC:顧客確認手続きです。口座開設時の本人確認を指します。
- AML:アンチ・マネーロンダリングです。資金洗浄対策の総称です。
地域採用:豪SMSFとラテンの決済で裾野拡大
豪SMSFに大手が照準、長期マネーの受け皿に
オーストラリアの自主管理年金(SMSF)向けサービスが拡大しています。OKXは2025年6月にSMSF商品を開始しました。Coinbaseも専用サービスを準備中と報じられています。
同国の年金資産は巨大です。SMSFは63万超の基金と100万超の加入者を抱えます。2025年時点で暗号資産の保有は豪ドル建てで拡大しています。
SMSFは運用の自由度が高い枠組みです。個人や家族が直接、資産配分を決められます。暗号資産は分散投資の選択肢として組み込みが進む可能性があります。
専用口座や監査フローの整備が鍵です。取引所は会計士や法務との連携を強化しています。長期保有前提の保全と報告の仕組みが求められます。
ラテン米ではNubankがドル建て決済パイロット
ブラジルのNubankはドル連動ステーブルコインのカード決済を試験導入します。計画は2025年9月に公表されました。
目的は日常決済の安定化です。高インフレや為替変動が大きい地域で、ドル建て価値の維持に需要があります。ブロックチェーンの決済レール活用が進みます。
同社は100万人規模の顧客基盤を持ちます。成功すれば他サービスへ拡張する方針です。地域横断の利用にも波及が見込まれます。
一方で課題もあります。カストディや送金規制の整理が必要です。入出金の換金経路や、与信との接続も検討課題になります。
共通する含意:制度化と実需が並進
豪州では年金マネーの制度化が進みます。ラテン米では高インフレ下の決済実需が拡大します。両者は市場の裾野を広げます。
ステーブル運用とカストディ整備が鍵です。規制の明確化とインフラの安定運用が求められます。長期資金と日常決済の双方で採用が進みます。
用語解説
- SMSF:自主管理年金。加入者が自ら運用と遵守を管理します。
- ステーブルコイン:法定通貨に連動する暗号資産。価格変動を抑えます。
- ドル建て決済:支払い額を米ドル価値で確定する決済方式です。
- カストディ:資産の保管管理業務。セキュリティと監督が重要です。
- パイロット:本格展開前の試験導入。機能や規制対応を検証します。
上場・新商品:ValourのBTCステーキングETP、BitGoがIPO申請
ValourのBTCステーキングETPがLSEに上場
英国ロンドン証券取引所で、Valourのビットコイン・ステーキングETPが取引を開始しました。対象は機関投資家です。
想定年率は約1.4%です。報酬はCore(CORE)で受け取り、ETP内でビットコインに換算して還元します。
保管はCopperが担当します。カストディ一体の設計で、運用と保全の分離を明確にしています。
現物ETFではなくETPの枠組みです。収益源や転換過程のリスクを商品性として開示しています。
BitGoがS-1を公開、NYSE上場を目指す
暗号資産カストディ大手のBitGoが、米国でS-1を提出しました。上場先はニューヨーク証券取引所の計画です。
2024年の売上は30億ドルと開示しました。機関向け保管や清算、ウォレット事業の拡大が背景です。
上場準備は、インフラ企業の資本市場アクセスの拡大を示します。ETFやトークン化の保管需要とも整合します。
用語解説
- ETP:上場投資商品。ETF以外も含む上場ビークルの総称です。
- ステーキング(BTC文脈):Coreなど外部報酬をBTCに換算して分配する方式です。
- CORE:Coreチェーンのネイティブ資産。本件では報酬受取通貨です。
- カストディ:資産の保管管理サービス。分別管理と監督が重要です。
- S-1:米IPOの有価証券届出書。事業と財務を詳細に開示します。
- NYSE:ニューヨーク証券取引所。大型上場の受け皿です。
破綻処理:FTXが9/30から16億ドルを配当、第3弾へ
配当スケジュールと回収率
FTX破綻財団は、9月30日から16億ドルの配当を開始します。今回の配当は第3弾にあたります。対象者は、事前の本人確認を完了した債権者です。
米国顧客は今回40%分の支払いを受け、累計回収率は95%に達する見込みです。国際部門の「ドットコム顧客」は6%の上積みで、累計78%になります。一般無担保債権やデジタル資産ローン債権は24%の支払いで、累計85%となります。少額債権の簡易和解枠は120%での支払いと案内されています。
資金の受け渡しはBitGo、Kraken、Payoneer経由で行われます。着金は開始後おおむね3営業日以内の見込みとされています。
市場への波及経路
大型破綻の清算進展は、過去のレバレッジ残滓を薄める効果があります。担保精算や差損の処理が進むためです。一方で、受領資金の一部は現金化に向かう可能性があります。短期的な売却圧力に直結する場合があります。
同時に、資金の再投資が起きる可能性もあります。スポットETFやステーブルコイン、主要DeFiへの資金回帰が選択肢となり得ます。どちらが優勢となるかは、米株の地合いとボラティリティ、為替動向に左右されます。
用語解説
- 破綻財団(FTX Recovery Trust):破綻後の資産回収と配当を担う管理主体。
- 回収率:債権額に対して、累計で返済された割合。
- 一般無担保債権:担保が付かない通常の債権。優先順位は高くありません。
- デジタル資産ローン債権:暗号資産を貸し出した債権に関する区分。
- ドットコム顧客:FTXの国際版プラットフォーム利用者の区分。
- コンビニエンスクレーム:少額債権の簡易和解枠。迅速な支払いを目的とした制度です。
今後1週間の注目:米住宅・GDP・PCE、SNB、イーサ進捗
来週はマクロ指標が集中します。米国では新築住宅販売、GDP確定値、PCEデフレーターが並びます。スイス国立銀行(SNB)の政策金利も重なります。金利と為替の再評価が起きやすい週です。ETFへの資金フローやアルトコイン選好に波及しやすい局面です。加えて、イーサリアムのFusaka開発進捗と、日銀のETF/J-REIT売却の市場影響も確認材料です。
米経済指標(9/24〜9/26)と資金フロー
9月24日に新築住宅販売が公表されます。住宅は金利感応度が高く、長期金利の方向感に影響します。25日にはGDP確定値が出ます。成長率の上振れや下振れは、利下げ見通しに直結します。26日にはPCEとコアPCEが公表されます。米金融政策の判断軸であり、インフレ鈍化なら金利低下観測が強まります。
これらは日本時間では深夜から早朝の発表が中心です。米金利やドルの反応が先行し、その後にETFフローやアルトの物色に波及しやすい構図です。特にPCEは、現物ETFの需要やステーブルコインの需給に影響を与えやすい指標です。
SNBの政策金利とクロス通貨の波及
9月25日はSNBの決定が予定されています。欧州圏の金利バランスが変わる場合、ドルや円の相対強弱に影響します。暗号資産はグローバルなリスク資産です。為替ボラティリティが低下すれば、リスク選好が維持されやすくなります。逆に不意の引き締めやガイダンス変更は、短期の調整要因となり得ます。
暗号資産サイド:Fusaka監査と日銀の売却ペース
イーサリアムは12月3日予定のFusakaに向けて準備が進みます。監査の結果や仕様確定は、L2の手数料や処理能力の見通しに直結します。一方、日銀はETF/J-REITの売却を段階的に始めます。売却は極めて緩やかです。株式と為替のボラティリティが抑制されるなら、暗号資産の外部環境は中立からやや追い風となります。
用語解説
- 新築住宅販売:米国の新築住宅の販売件数。長期金利の影響を受けやすい指標。
- GDP確定値:四半期GDPの最終改定値。成長率の見通しを確定させるデータ。
- PCE / コアPCE:米個人消費支出物価指数。コアは食品・エネルギーを除く。
- SNB:スイス国立銀行。欧州金利の一角を担う中銀。
- ETFフロー:上場投資信託への資金流入出。需給と価格の連動性が高い。
- Fusaka:イーサリアムの次期アップグレード名称。データ可用性拡張を含む。
結論・要点整理
最大の焦点は「米インフレと成長の再評価」です。PCEとGDPが金利観測を左右し、ETFやステーブル、アルトの資金配分に影響します。SNBや日銀の動向は為替とボラティリティ経路で効いてきます。暗号資産サイドでは、イーサリアムのFusaka進捗がコストと処理能力の見通しを左右します。
- 米PCEとGDPの結果が、金利見通しとETFフローの方向を決めやすい。
- 為替の落ち着きは、暗号資産のリスク許容度を支えやすい。
- Fusakaの監査結果は、L2利用コストの見通しに直接つながる。
- 日銀の売却は緩やかで、外部環境は中立〜やや追い風となりやすい。
本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。
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