- 市場はリスク選好を維持、BTCは12万ドル台・出来高も堅調
- CMEが「24/7」デリバティブ計画、デリバ市場の存在感が一段と拡大へ
- BBVA、銀行アプリでBTC/ETHを24時間体制に──KYCレールとFX基盤で常時アクセスを実装
- ECBがデジタルユーロ中核ベンダーを選定、制度・技術の“配線”が前進
- CeFi×DeFiの貸付接続:Crypto.com×Morpho、CoinbaseのBTCローン拡大
- マイニング:NY州の電力税案とCanaanの5万台受注が示す分岐
- ビットコインは12万ドル台回復、オンチェーンは“再蓄積”を示唆
- ETH・XRP・ZECなど主要アルトの物色差:テクニカルとテーマ性
- 取引インフラ:zkパーペのLighter公開、1inchの“ハブ化”、SunPerp始動
- RWAとトークン化MMF:香港・欧米・日本で“オンチェーン現金同等物”が前進
- セキュリティ事案:種フレーズの“物理的流出”が再確認された判例
- 近未来の注目点とリスク:データ欠落下の政策判断、ETF日程、ETH『Fusaka』
- 結論・要点整理:常時稼働の“レール”が整い、価格は節目定着を試す一日
市場はリスク選好を維持、BTCは12万ドル台・出来高も堅調
暗号資産市場は買い優勢です。ビットコインは$120,240.8で12万ドル台を維持しました。24時間出来高は$189.36Bです。
主要価格と出来高
- 総時価総額:$4.08T
- 24時間出来高:$189.36B
- BTC:$120,240.8(24H +1.52%)
- ETH:$4,469.64(24H +3.11%)
- ドミナンス:BTC 58.1%/ETH 13.0%
株式・為替・コモディティ
- S&P500:+0.06%
- ナスダック:+0.39%
- VIX:16.63
- ドル円:147.32
- 金先物:$3,882.60
- WTI原油:$60.63
地合いの背景
金利低下への思惑が強まっています。9月のADP雇用統計は−3.2万人でした。雇用の弱さは利下げ観測を押し上げます。
米政府機関の一時停止も続いています。統計や審査の遅延が想定され、情報不足がボラティリティを高めやすい環境です。
用語解説
- 24時間出来高:直近24時間の推定売買代金の合計。
- ドミナンス:市場全体に占める銘柄の時価総額比率。
- VIX:米株の予想変動率指数。数値が高いほど不安定。
- ADP雇用統計:米民間部門の雇用増減を示す月次指標。
- 政府機関の一時停止:予算未成立で一部業務が止まる状態。
CMEが「24/7」デリバティブ計画、デリバ市場の存在感が一段と拡大へ
計画の概要
CME Groupは暗号資産デリバティブの取引時間を「週7日・24時間」へ拡張する方針です。開始時期は2026年初頭の見込みで、規制審査が前提です。現行の週末や祝日の休止時間を廃し、常時取引へ移行します。
常時化がもたらす効果
常時化で週末ギャップの発生リスクが抑制されます。機関投資家はポジション維持とヘッジを切れ目なく実行できます。結果として、流動性の連続性と価格発見の精度が高まりやすくなります。
規制審査と政府停止の影響
運用開始にはCFTC(米商品先物取引委員会)の審査が必要です。現在の米連邦政府の一部停止により、審査や実務が遅延する可能性があります。方針自体は制度対応の範囲で進み、再開後に審査が再始動する見通しです。
デリバ需給と年末相場への含意
ビットコイン先物の建玉(オープン・インタレスト、OI)は過去最高圏との報告があります。常時化が実現すれば、ヘッジ需要の受け皿が拡張します。先物中心のフローに現物ETFの資金動向が重なる構図です。年末に向け、出来高とOIの積み上がりが続く可能性があります。
現物側の24時間化との接続
現物とデリバの「24時間アクセス」が並走しています。両面で基盤がそろうと、評価・ヘッジ・決済の一体運用が進みます。市場参加者にとって、時間帯による運用制約はさらに小さくなります。
用語解説
- CME Group:米シカゴに本拠を置くデリバティブ市場運営会社。先物・オプションを上場。
- CFTC:米商品先物取引委員会。デリバティブ市場を監督する規制当局。
- オープン・インタレスト(OI):未決済建玉の総数。需給や資金の滞留度合いを示す指標。
- 週末ギャップ:休場明けに発生する大きな価格の飛び(窓)。常時取引で発生しにくくなる。
- 現物ETF:現物資産の価格に連動する上場投資信託。資金流入が現物需給に直結する。
BBVA、銀行アプリでBTC/ETHを24時間体制に──KYCレールとFX基盤で常時アクセスを実装
デリバティブの24/7化(CME計画)に続き、リテール現物でも「いつでも取引」が前進しました。スペイン大手のBBVAが、個人向けのビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)売買を24時間365日で開始し、銀行アプリ内にフル統合しました。監督当局CNMVの承認の下、口座・為替・支払いと同じ導線で売買・保有管理が可能です。
発表の要点
24時間365日対応を前提に、開始銘柄はBTCとETHです。ユーザーは新規口座や外部送金を挟まず、既存の銀行アプリだけで完結します。これにより、営業時間に縛られないアクセスが一般の投資家にも広がります。
アプリ統合とKYCレール
銀行がKYC/AMLに準拠したオン/オフランプを直接提供します。法定通貨と暗号資産の往来を一つのアプリで処理でき、入出金と残高管理も同一UIで行えます。セキュリティや審査フローは銀行基準に準拠します。
FX基盤への統合と運用
本サービスは既存のFX基盤に統合され、SGX FXの技術支援を受けます。為替で実績のある価格集約・配信・リスク管理を暗号資産にも適用し、価格提示の継続性と執行の一貫性を高めます。
市場インパクト
24/7の銀行チャネルが広がると、ETFやデリバティブのフローと規制順守の現物流動性が接続しやすくなります。結果として、平時の資金出入りが平準化され、イベント時のボラティリティ吸収力の向上が期待されます。CMEの24/7デリバ計画とあわせ、「常時アクセス」が制度市場とリテールの両輪で進みます。
留意点
提供地域、手数料、スプレッド、入出金条件は、各国規制と行内リスク管理により異なります。対象銘柄の追加や機能拡張の時期は未定です。
用語解説
- BBVA:スペイン拠点の大手銀行グループ。顧客約7,000万人規模。
- CNMV:スペイン証券市場委員会。投資サービスの監督当局。
- SGX FX:金融機関向けの価格集約・配信・リスク管理の技術基盤。
- オン/オフランプ:法定通貨と暗号資産の出入り口となる仕組み。
- KYC/AML:本人確認/マネロン対策。銀行サービスの前提となる手続き。
ECBがデジタルユーロ中核ベンダーを選定、制度・技術の“配線”が前進
欧州中央銀行(ECB)がデジタルユーロの中核機能を外部委託する体制を固めました。 対象はエイリアス検索、詐欺・リスク管理、アプリ開発、オフライン決済、情報交換です。 各領域で枠組み契約を締結し、まず主担当ベンダー、必要に応じて副担当が対応します。 この段階では支払いは発生しません。 規制に合わせてスコープを調整できるセーフガードも明記されています。
体制の概要
契約はサービス要求に応じて起動します。 本番展開は、EUのデジタルユーロ規則が採択され、ECB理事会が発行を決定した後です。 よって、現段階は実装準備フェーズにあたります。 オフライン関連では追加ベンダーの発表が控えています。
技術領域と主要ベンダー
- 詐欺・リスク管理:Feedzai、Capgemini Deutschland
- アプリ/ソフト開発:Almaviva、Fabrick
- オフライン決済:Giesecke+Devrient(ほか1社は後日公表)
- 安全な情報交換:EquensWorldline、Senacor FCS
- 複数領域での支援:Sapient GmbH、Tremend Software Consulting
制度前提とスケジュール感
今回の契約は法整備前提の準備措置です。 デジタルユーロ規則の採択と理事会決定がなければ、発行は行いません。 導入時期は未定ですが、十年末にずれ込む可能性も示されています。 各コンポーネントは、決定以降の段階的開発となる見込みです。
市場への含意
民間ステーブルコインへの依存を下げる選択肢が整い始めています。 公的インフラにより、24/7の即時決済や相互運用の下支えが期待できます。 詐欺対策やオフライン対応を中核に据える構成は、小口決済の利便性と安全性を両立させる設計です。 規制準拠の銀行・決済網との連結で、オンチェーン決済の実務利用が進む可能性があります。
用語解説
- デジタルユーロ(CBDC):ユーロ圏の中銀デジタル通貨。現金と併存を想定。
- 枠組み契約:発注条件や役割を先に定める包括契約。案件ごとに実行。
- エイリアス検索:電話番号などの別名から口座を安全にひも付ける機能。
- オフライン決済:通信不通時でも限度内で決済を成立させる仕組み。
- 24/7決済:年中無休で稼働する決済運用。バッチ処理の時間制約を回避。
- 情報交換(セキュア):決済関連データを暗号化等で安全に連携する機能。
CeFi×DeFiの貸付接続:Crypto.com×Morpho、CoinbaseのBTCローン拡大
Crypto.comとMorphoの連携の中身
Crypto.com(グローバル展開の取引所・決済プラットフォーム)は、自社チェーンのCronos上でMorpho(DeFiレンディング)を統合します。ユーザーはラップドBTC/ETHを担保に安定通貨を借り入れ、金利収入を狙えます。フロントはCrypto.comの既存アプリ、バックはオンチェーンの貸借市場という構成です。米国でも提供可能とされ、Genius Actの枠内での「貸付による利回り」に位置付けられます。
CoinbaseのBTC担保ローンの拡大
Coinbase(米ナスダック上場の大手取引所)のBTC担保ローン起源額は10億ドルを超えました。担保はcbBTCとしてBase経由でMorphoに預け入れられます。LTVが86%に達すると清算が発動し、清算ペナルティ(4.38%)が課されます。返済スケジュールは固定ではなく、米国での提供はニューヨーク州を除外とされています。中期目標は2030年に累計1,000億ドルです。
共通の文脈と市場インパクト
両者に共通するのは、規制準拠のフロントエンドからDeFiインフラへ接続する「デファイ・マレット」型です。これにより、常時稼働の与信レールが整い、担保の可視化と自動清算で実務の即時性が高まります。CMEの24/7構想やBBVAの24時間売買とあわせ、売買と与信の連続稼働が広がる構図です。結果として、ディーリング時間の制約はさらに後退します。
リスクと留意点
価格変動リスクが最も大きく、担保価格の急落でLTVが閾値に到達しやすくなります。市場の利用率上昇で借入金利が跳ね上がる局面もあり得ます。清算時はペナルティと手数料が発生し、実効コストが膨らみます。プロトコル側では清算執行の遅延やガス高がボトルネックになる可能性があります。これらはDeFi特有の運用条件として理解が必要です。
用語解説
- Morpho:オンチェーンの貸付を最適化するDeFiレンディング基盤。
- Cronos:Crypto.com系のEVM互換チェーン。
- ラップド資産:他チェーン資産の価値を反映するトークン。
- cbBTC:Coinbaseが保管するBTCに裏付けられたトークン。
- Base:Coinbase関連のL2。手数料が低く処理が速い。
- LTV(ローン価値比):借入額を担保価値で割った指標。
- 清算ペナルティ:清算時に差し引かれる手数料・罰金。
- 利用率(Utilization):プール資金の貸出比率。上昇で金利上昇。
- デファイ・マレット:フロントはCeFi、バックはDeFiの接続型。
マイニング:NY州の電力税案とCanaanの5万台受注が示す分岐
NY州の電力使用税案:コスト構造に直撃
10月2日付の報道によれば、ニューヨーク州上院で暗号資産マイニング事業の電力使用に段階課税する法案が提出されました。年間2.25GWh以下は非課税、2.26~5GWhは1kWh当たり2セント、5~10GWhは3セント、~20GWhは4セント、20GWh超は5セントを課します。再生可能エネルギー100%の事業者は免除です。
採算は電力単価に大きく依存します。記事では2025年Q2のBTC採掘の中央値コストが7万ドルを超過とされ、2025年Q1の電力単価が約0.08ドル/kWhに上昇したことで、TeraWulfは同四半期に6,140万ドルの損失を計上しました。系統電力に依存する小規模事業者ほど影響は大きく、再エネ自家発電や産地直結の大型事業者が相対優位になります。
Canaanの5万台受注:設備の高効率化は継続
Canaan(採掘機メーカー)はAvalon A15 Proを5万台受注しました。買い手は米国拠点で、過去3年以上で最大規模とされています。米国は世界ハッシュレートの約36%を占め、ネットワークの計算力が厚い市場です。難易度は2025年9~10月にかけて過去最高圏(例:150.84T)に到達しましたが、高効率機への更新投資は継続しています。報道時点で同社株は前日比+26%(約1.31ドル)まで上昇しました。
分岐の構図:規制の選別と設備投資の加速
NY州の電力税案は、電力コスト構造を直接的に再配分します。再エネ100%の免除は、水力・風力・太陽光に直結する拠点を持つ大手に有利です。一方で、系統電力に頼る中小事業者は収益圧迫リスクが高まります。これに対し、Canaanの大量発注は、高効率設備の拡張によって難易度上昇局面でもハッシュ/電力当たりの生産性を引き上げる動きが続いていることを示します。結果として、地理・電源・規模で産業が選別され、採算の悪い地域や設備からの退出と、効率の高い拠点への集約が同時進行します。
用語解説
- 電力使用税(kWh課税):消費電力量に応じて段階的に課税する方式。
- 再生可能エネルギー100%免除:電源が全量再エネの施設を課税対象から外す規定。
- ハッシュレート:ビットコインの計算能力の総量。ネットワーク安全性の指標。
- マイニング難易度(Difficulty):新規ブロック生成の難しさ。約2週間ごとに調整。
- Avalon A15 Pro:Canaanの最新世代ビットコイン採掘機。高効率が特徴。
- 系統電力(グリッド電力):電力会社の送電網から供給される一般電力。
ビットコインは12万ドル台回復、オンチェーンは“再蓄積”を示唆
ビットコイン(BTC)は12万ドル台を回復しました。8月中旬以来の水準です。オンチェーン指標では、短期・長期の両面で過熱感の後退を示す動きが出ています。相場は11.5万〜12万ドルの価格帯での持ち合いを維持しており、直近の下落で売り圧力をこなした後、エネルギーの“再蓄積”局面に入ったかが焦点です。
短期・長期のシグナル:利確圧力の後退
Glassnodeによると、短期保有者のRVT(Realized Value to Transactions)は圧縮が進んでいます。これは、短期の利確が落ち着き、ネットワーク活動に対して過度な利益確定が減っている状態を示します。また、長期保有者(LTH)のネットポジション変化は中立に近づいており、長期勢の分配圧力が弱まったことを示唆します。結果として、現物ETFなどの新規資金のフローが価格形成を主導しやすい地合いになりつつあります。
短期損失の吸収と安定化の兆し
CryptoQuantのデータでは、短期保有者のSOPRが9月にかけて一時的に1を下回る場面がありました。これは、短期筋が損失を確定しながら退出していたことを意味します。直近は同指標が回復基調にあり、損失の吸収が進行した可能性があります。短期の売りが落ち着けば、上値の重さは相対的に緩和します。ただし、指標の改善が継続するかは、価格が支持帯を維持できるかに依存します。
価格レンジ:11.5万〜12万ドルでの“底固め”
直近の値動きは、11.5万〜12万ドルの需給帯でのレンジ形成が中心です。9月末の下押しから、10月にかけて12万ドルを再び上抜けました。Investing.comの履歴では、最新日(10月3日)は取引未了のため始値のみが掲載されており、始値は120,566ドルでした。確定している直近2日(10月1〜2日)の終値は118,576ドルと120,566ドルで、高値圏での持ち合いが続いています。この帯域を保ちつつ上方向に離れるなら、再開局面への期待が高まります。一方、帯域を明確に割り込む場合は、再度の調整に注意が必要です。
デリバティブとフロー:モメンタムの“増幅装置”
先物市場では、建玉(OI)の高水準が続いています。OIが厚い局面では、スポットのフローが起点となり、デリバティブ側で動きが増幅されやすくなります。短期の売りが一巡し、長期の分配圧力も和らぐ環境が続けば、フロー次第で上放れの可能性も視野に入ります。逆に、OI偏在やニュース起点の変動が重なると、下方向の清算が連鎖しやすくなる点には留意が必要です。
用語解説
- 短期保有者(STH):取得から短期間の保有者層。売買が活発で価格に敏感。
- RVT:実現価値とトランザクション量の比率。利確過熱や冷却の目安。
- 長期保有者(LTH):取得から長期間の保有者層。供給の“硬さ”を左右。
- LTHネットポジション変化:長期保有者の保有量の増減。分配・蓄積の転換点を示唆。
- SOPR:売却時の利益・損失の比率。1未満は損失確定の優勢を示す。
- 需給帯:過去の売買が厚い価格帯。支持・抵抗として機能しやすい。
- OI(Open Interest):未決済建玉。モメンタムの“燃料”となる在庫の大きさ。
ETH・XRP・ZECなど主要アルトの物色差:テクニカルとテーマ性
主要アルトは銘柄ごとに明暗が分かれています。 テクニカルの節目と、個別テーマの有無が差となっています。市場はビットコイン高の追い風を受けつつも、出来高の集まり方やCVD(累積売買差)の傾きに違いが見られます。以下では、ETH・XRP・ZECの3点を整理します。
ETH:,500の上抜け可否が焦点
イーサリアムは$4,500接近で上値抵抗を試す局面です。記事は、日足で$4,500を明確に超える終値が次の上昇条件と指摘しました。6月の上昇時と似たPO3(蓄積→振るい落とし→分配)の形状に着目しています。
一方で、押し目候補として$4,100〜$4,250帯を挙げています。この帯は出来高が厚く、反発余地が残るとの見方です。先物の建玉はまだ過熱しすぎておらず、スポット需要の持続が上値トライの鍵になります。
XRP:台回復もレンジ上限の攻防
XRPは$3台を回復しました。ただし、レンジ上限での攻防が続きます。記事は直近の抵抗を$3.06、上限を$3.14と整理しています。テクニカル指標ADXは低下しており、トレンドの勢いは限定的です。
移動平均ではEMA50が$3.00付近で上値を抑えています。下値は$2.70が一つの目安です。出来高が伴う上抜けがなければ、もみ合い継続のリスクも残ります。
ZEC:プライバシー需要が急伸を後押し
昨日も触れたように、Zcash(ZEC)はプライバシー需要を背景に急伸しています。報道ベースでは、10月2日に+42%高、価格は一時$131に達しました。テーマ性が明確な銘柄に買いが集まった格好です。
ビットコインの$120k回復と合わせ、先物・ETF関連の思惑がアルト全体の選別を強めています。ZECはその流れの中で、物色対象として浮上しました。
横断ポイント:出来高プロファイルとCVDの差
短期の強弱は、価格帯別出来高とCVDの傾きで差が出ています。出来高が厚い帯で買い支えが強い銘柄は、押し目が入りやすい傾向です。反対に、上値で売り叩きが続く銘柄は、ブレイク失敗の可能性が残ります。
現状では、ETHは節目上抜けの可否、XRPはレンジブレイクの成否、ZECはテーマの持続性が注目点です。いずれも、出来高の増加とCVDの改善がトレンド確認の材料になります。
用語解説
- PO3(Power of 3):蓄積→振るい落とし→分配の値動きパターン。
- ADX:トレンドの強さを示す指標。数値が低いほど方向感は弱い。
- EMA50:50日指数平滑移動平均線。短中期の抵抗・支えになりやすい。
- 価格帯別出来高:価格ごとの約定量。厚い帯は支持・抵抗になりやすい。
- CVD(累積売買差):買い成行と売り成行の差を積み上げた指標。
取引インフラ:zkパーペのLighter公開、1inchの“ハブ化”、SunPerp始動
デリバティブの基盤整備が一段と進んでいます。 zkロールアップ型の新興プロトコル、アグリゲーターの事業転換、トロン系の新プラットフォームが同時進行です。共通点は検証可能性と常時アクセス性を重視し、フロントは使いやすく、バックは分散化する設計です。これにより、流動性の集約と取引コストの低減が期待されます。
Lighter:Ethereum結算のzkロールアップ型パーペを一般公開
Lighterは一般公開のメインネットを開始しました。注文のマッチングや約定をゼロ知識証明で検証します。資産はEthereumのL1で保全される設計です。オンチェーンで結果を確定し、不正検知や履歴の追跡性を担保します。これにより、低コストな検証と透明性を両立させます。清算や証拠金の管理も、自動化と検証を前提に構築されています。
1inch:CEXやウォレット向けのインフラ提供へ軸足を移動
1inchは開発者向けAPIを統合し、パートナー経由の利用を拡大しています。共同創業者は5〜10年の時間軸で、CEXがDEXのフロントエンドへ移行すると述べました。実際に大手取引所との連携が進み、グローバル流動性ハブとしての役割が強まっています。ユーザーは従来の口座で操作し、バックエンドで非カストディのスワップや約定が処理されます。
SunPerp:トロン系がダークプール構想で参入
トロン系のSunPerpは分散型パーペチュアルの提供を開始しました。手数料補助やダークプールの導入を掲げ、板情報の秘匿性を高めます。まずはUSDT建てを中心に設計し、将来は他チェーンとの接続を想定します。既存の高速系プロトコルに対抗し、約定品質とスリッページ抑制を狙います。競争軸は、レイテンシ、手数料、清算耐性です。
横断視点:フロントは使いやすく、バックはオープン
三者に共通するのは、ユーザー体験の単純化と、裏側の分散処理です。フロントは従来の口座やアプリに近づきます。一方で、約定検証や清算はスマートコントラクトと暗号証明に任せます。結果として、ガバナンスやリスク管理はプロトコル側に集約されます。流動性はAPIとブリッジで束ねられ、常時稼働の相対取引環境が整います。
用語解説
- zkロールアップ:計算をオフチェーンで行い、証明だけをオンチェーンに投稿する仕組み。
- パーペチュアル:満期のない先物。資金調達率で価格乖離を調整します。
- ダークプール:板情報を公開しない取引枠。大口の価格影響を抑えます。
- アグリゲーター:複数のDEXや流動性を束ね、最良執行を探す仕組み。
- L1/L2:L1は基盤チェーン、L2は拡張レイヤー。手数料と速度を最適化します。
- 清算耐性:急変時に強制決済へ耐える設計。証拠金とリスク管理が要点です。
RWAとトークン化MMF:香港・欧米・日本で“オンチェーン現金同等物”が前進
現金同等物のオンチェーン化が広がっています。 香港ではトークン化MMFの新商品、欧米では制度対応が前進し、日本でも枠組みが整いました。共通する狙いは、24時間の決済性と資金効率の向上です。短期運用資産をブロックチェーン上で扱うことで、担保利用や交換が滑らかになります。
香港・欧米:AlloyX(トークン化インフラ企業)がトークン化MMF(RYT)をPolygonで展開
10月3日報道によれば、AlloyX(トークン化インフラ企業)はReal Yield Token(RYT)を発表しました。裏付資産はスタンダードチャータード銀行(英系大手銀行、香港でカストディ提供)が保管します。対象は短期国債やCPなどのMMF相当資産で、オンチェーンでの保有・移転が可能です。基盤はPolygon(イーサリアム系のスケーリング基盤)です。
RYTはDeFiで担保活用を想定します。たとえば、RYTを預けて資金を借り、再投資するループ戦略が可能になります。これにより、利回り確保と常時決済の両立が進みます。欧米市場で進むMMFのトークン化は、キャッシュ運用の選択肢を広げています。
日本:Progmat(三菱UFJ信託の子会社、デジタル資産基盤)が「日本版トークン化MMF」の枠組みを公表
10月3日の国内報道では、Progmat(三菱UFJ信託銀行の子会社、デジタル証券・ステーブル基盤)が主導し、46組織が参加する検討結果が示されました。目的は、売買・利払い・決済・保管をオンチェーンで完結させることです。ステーブルコインと組み合わせ、資金の流れをブロックチェーン上で閉じる設計を想定します。
報告書は制度面の課題も整理しています。たとえば投資信託法の枠組み、パブリックチェーンのリスクウェイト、ステーブルコインでの納税の不明確さです。短期的には商品化の道筋を示し、中期的にはルール整備を促す構えです。
意義:24/7決済と資金効率の向上、担保市場の拡張
トークン化MMFは、T+0に近い移転性と即時担保化を提供します。これにより、取引所やレンディングでの決済遅延を抑えられます。資金を遊ばせず、必要時に迅速に担保化できる点が利点です。
また、銀行カストディや監査により、規制準拠の透明性を確保しやすくなります。結果として、機関投資家の参入障壁が下がります。国内外で枠組みが整えば、ステーブルコイン依存の低減にも寄与します。現金同等物のオンチェーン選択肢が増えることで、支払いと運用の接続が強化されます。
短期の注目点:実装と使い道
どこで、どう使えるかが焦点です。まずは主要チェーンでの担保受け入れや、CEX・ウォレットでの対応状況が鍵になります。次に、清算時の処理速度や会計・税務の取り扱いが整うかがポイントです。日本では、制度面の明確化が普及速度を左右します。
用語解説
- AlloyX:トークン化インフラを手がける企業。RWAのオンチェーン化を支援。
- スタンダードチャータード銀行:英国拠点の大手銀行。香港で資産のカストディを提供。
- Progmat:三菱UFJ信託銀行の子会社。デジタル証券やステーブルの基盤を運営。
- Polygon:イーサリアム系のスケーリング基盤。低コスト・高速を特長。
- RWA(Real World Assets):国債や社債など実世界資産のオンチェーン表現。
- トークン化MMF:マネー・マーケット・ファンドの権利をトークンで表現した商品。
- カストディ:資産の保管・管理を行う受託業務。
- リスクウェイト:金融機関が資産に割り当てる規制上のリスク係数。
- オンチェーン完結:売買から決済、利払いまでをブロックチェーン上で処理。
- ループ戦略:担保→借入→再投資を繰り返し、利回りを上積みする手法。
セキュリティ事案:種フレーズの“物理的流出”が再確認された判例
シンガポールで、紙に書かれたシードフレーズが物理的に流出した事件で、被告が有罪を認めました。被告は返却しなかったアクセスカードで再入室し、室内のメモに記された24語のシードフレーズをスマートフォンで撮影。翌日にUSDT約170万ドルを不正送金しました。起訴事実は住居侵入、コンピュータ不正利用、不正収益の処理です。高度なサイバー攻撃ではなく、物理アクセスが引き金となった点が注目されます。
事件の概要
時系列と手口は以下のとおりです。
- 被告はコンドミニアムのアクセスカードを返却せず保持。
- 室内に保管されていたシードフレーズ(24語)が書かれた紙を撮影。
- 翌日、撮影したフレーズでウォレットを復元し、USDT約170万ドルを送金。
- 資金の一部は高級時計購入やギャンブル、住宅ローンに充当。
- ブロックチェーン分析で資金移動が追跡され、被告は有罪を認めました。
何が示されたか
本件は、暗号資産の侵害経路として物理アクセスと人間要因が依然として大きいことを示します。シードフレーズはウォレットの“マスター鍵”であり、これが一度漏えいすると資産の取り戻しは困難です。ウォレットの種類やプロトコルの進化にかかわらず、保管場所・アクセス権限・室内管理といった現実世界の管理が、デジタル資産の安全性を左右します。また、オンチェーンの記録により資金の追跡は可能ですが、流出後の実害防止には限界があります。
用語解説
- シードフレーズ(復元用フレーズ):ウォレット復元に使う12〜24語の単語列。流出すると資産を失う恐れがあります。
- アクセスカード:建物への入館・入室に使うカード。返却されない場合、物理侵入のリスクになります。
- ハードウェアウォレット:秘密鍵を専用端末で保管する仕組み。例:Ledger(フランスのハードウェアウォレット企業)の「Nano X」など。
- USDT:テザー社が発行する米ドル連動型ステーブルコイン。オンチェーン送金が即時に行えます。
- ブロックチェーン分析:オンチェーンの取引履歴を追跡して資金の流れを特定する手法。
- ソーシャルエンジニアリング:人の心理や行動を突く手口。物理アクセスの獲得にも用いられます。
近未来の注目点とリスク:データ欠落下の政策判断、ETF日程、ETH『Fusaka』
8日のFOMCに向けた手掛かり:ISMの比重が高まる
10月3日(米国時間)にISM非製造業指数が公表予定です。 現在は政府機関の停止で、雇用関連など公的統計の一部が遅延しています。 このため、FOMC(8日発表)までの期間は、ISMのサプライズが市場の金利見通しを左右しやすい局面になります。
具体的には、上振れなら利下げ観測は後退し、米金利・ドルが上がりやすく、暗号資産には逆風になりやすいです。 下振れなら利下げ観測が強まり、米金利・ドルは下がりやすく、暗号資産には追い風になりやすいという整理です。 つまり、ISM → 金利期待 → FOMC → 暗号資産という伝播経路が意識されます。
ETF審査の“再開待ち”と日程の圧縮リスク
先日も触れたように、政府機関の業務再開までは、ETFの審査工程が停止します。 再開後は申請が一斉に順番待ちとなり、19b-4とS-1のレビュー負荷が一時的に高まる見通しです。 期日が近い案件では、審査の圧縮による日程変動が発生する可能性があります。 審査一本化やテンプレート活用が進めば処理は早まりますが、可否判断の集中日には価格の振れが大きくなり得ます。
ETH『Fusaka』:10/14・28のテストが年内本番の分岐点
これも先日も触れたように、ETHの次期アップグレード『Fusaka』は10月14日と28日に検証が予定されています。 ここでの安定性確認が取れれば、年内メインネット実装の可能性が見えてきます。 同アップグレードは手数料処理や運用面の改善を狙う計画で、L2との連携や混雑時の平準化に資する設計が想定されます。 テスト結果が良好なら、ETH関連フローの思惑が強まりやすい一方、延期となれば短期の失望売りがリスクとなります。
用語解説
- ISM非製造業指数:米サービス業の景況感を示す指標。50が景気の分岐点です。
- 政府機関停止:連邦予算未成立などで一部機関が業務停止となる状態。
- FOMC:米連邦公開市場委員会。政策金利と金融環境を決定します。
- ETF審査(19b-4/S-1):取引所規則変更(19b-4)と有価証券届出(S-1)の二段階審査。
- ETH『Fusaka』:イーサリアムの次期アップグレード計画。年内実装可否は10月のテストが鍵です。
結論・要点整理:常時稼働の“レール”が整い、価格は節目定着を試す一日
本日の論点は三つです。 一つ目は「24/7化」の前進です。CMEの常時デリバ計画と、BBVAの個人向け24時間売買が並びました。二つ目はデジタルユーロの実装準備です。中核ベンダー選定で制度面の配線が進みました。三つ目は相場の節目確認です。ビットコインは$120,000台の定着を試し、アルトは選別が続きました。
本日の要点
- CMEの「24/7」構想が示されました。ヘッジ手段が途切れにくくなります。建玉増加の土台にもなります。
- BBVAが24時間の個人売買を開始します。伝統金融で常時対応が広がる流れです。アクセスと流動性の改善が期待されます。
- ECBはデジタルユーロの中核ベンダーを選定しました。オフライン決済や不正対策の枠組みが整備段階に入りました。
- 相場は$120kの攻防が続きます。ETHは$4.5k接近。XRPは$3台でレンジ上限を試しました。ZECはプライバシー需要で強含みでした。
短期のリスクと視点
- 米政府の停止で審査や統計が遅れやすい状況です。イベントの順番待ちが生じます。
- 金利期待の変化に注意が必要です。指標のサプライズは価格の振れを大きくします。
- デリバティブ主導の局面です。建玉の積み上がりは、急変時の清算増にもつながり得ます。
総括すると、制度とインフラの常時稼働のレールが広がりました。並行して、ビットコインは$120kの定着可否を試す一日でした。アルトはテーマ性とテクニカルで明暗が分かれています。
注記:本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
免責:本記事は投資判断を促すものではありません。市場理解を目的とした情報提供にとどまります。
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