ビットコイン10万ドル攻防、米BTC/ETH ETFは流出継続──Solana現物ETFに資金、ステーブル連鎖デペッグ(xUSD・deUSD・USDX)、Chainlink×UBSでトークン化実装拡大、Rippleが米現物プライムブローカレッジ開始【11月7日】

「Daily crypto news」の文字とともに、BTC/ETHの資金流出、Solana ETFの資金流入、xUSD→deUSD→USDXの連鎖デペッグ、Chainlink×UBSのトークン化、Rippleのプライムブローカレッジ開始を擬人化で表した横長イラスト。 デイリークリプトニュース
記事内にプロモーションが含まれています。
  1. 本日のポイント
    1. 今日のハイライト
    2. 今後のイベント
    3. 数値スナップショット(日本時間 11/7 午前9時台)
  2. 市場全体:ビットコインは「10万ドル攻防」、株安・VIX上昇でリスクオン後退
    1. 暗号資産の現在地(時価総額・出来高・ドミナンス)
    2. ビットコインとイーサリアムの値動き
    3. 株式・為替・コモディティの動き
    4. 米上場の暗号資産ETFの動き
    5. 用語解説
  3. ETFフローのねじれ:BTC/ETHは流出継続、Solana現物ETFは資金流入の対照
    1. 資金フローの現状
    2. ローテーションの背景
    3. 相場への影響
    4. 確認したデータポイント
    5. 用語解説
  4. ステーブル連鎖デペッグ:xUSD発、deUSD波及、USDXも乖離—信用・オラクル設計が焦点
    1. 連鎖の全体像
    2. xUSD崩壊からdeUSDへ
    3. Compoundの対応と市場安定化の動き
    4. USDXのデペッグと流動性の片寄り
    5. 何が問題だったのか
    6. 確認された事実関係(要点)
    7. 今後の焦点
    8. 用語解説
  5. トークン化インフラの前進:Chainlink×UBSの実運用処理、SBI DMのCCIP採用、Aave RWA拡大、Tether連携
    1. 要点整理
    2. UBS × Chainlink:投信ワークフローのオンチェーン完結
    3. SBI Digital Markets:CCIPの「排他的」採用
    4. Aave「Horizon」:RWA市場の拡大とVBILLの担保化
    5. Tether Hadron × KraneShares × Bitfinex Securities:トークン化ETPの設計
    6. 何が変わるのか:実装の質と到達範囲
    7. 用語解説
  6. Ripple:米現物プライムブローカレッジ開始—流動性統合の進展(XRP周辺は強弱材料が混在)
    1. 要点整理
    2. プライムブローカレッジの狙い:資金効率と実務の一体化
    3. XRPのオンチェーン指標:底打ちを示すサイン
    4. テクニカルの逆風:日足デッドクロスと価格レンジ
    5. 総合評価:ファンダ強化とチャートの綱引き
    6. 用語解説
  7. マクロとセンチメント:株安・VIX上昇、LTHの動きとMVRVは“底形成”を示唆—ただしETF流出が重し
    1. 全体像
    2. MVRVが示すサイン:統計的には「底圏」
    3. LTHの動きと“OG売り”論争
    4. ETFフローが価格の「ふた」
    5. 今後の着眼点
    6. 用語解説
  8. 規制・執行:Samourai Wallet開発者に禁錮5年判決—プライバシーとAMLの摩擦が続く
    1. 判決の要点
    2. 裁判所の見解と検察の主張
    3. プライバシー vs AML:開発者責任の線引き
    4. 市場と業界への波及
    5. 今後の焦点
    6. 用語解説
  9. そのほかの動き:SolanaのTVL拡大、地方自治体のBTC売却、Google Financeの機能強化
    1. SolanaのTVLが拡大し、バリュエーション指標も改善
    2. スペイン・テネリフェ島、2012年取得の97BTC売却を準備
    3. Google Financeが機能強化:予測市場データとAI検索を統合
    4. 用語解説
  10. 今後の注目とリスク:イベント密集、ETFフローとステーブル健全性が鍵
    1. 今夜〜来週の主なイベント(日本時間)
    2. 価格決定のカギ(短期)
    3. 主なリスク(短〜中期)
    4. 用語解説
  11. まとめ:本日の要点
    1. 本日のキーサマリー
    2. 明日以降の注目ポイント
    3. 注記
    4. 免責事項
    5. 用語解説

本日のポイント

一言要約:資金フローのねじれ(BTC/ETH流出 ⇔ SOL流入)ステーブル設計リスクが重なり、ビットコインは10万ドル攻防が続きます。インフラ面はトークン化の実運用が前進しました。

今日のハイライト

  • 市場概況: 時価総額 $3.42兆/出来高 $159.69B。BTC $101,056(-2.51%)、ETH $3,305(-3.01%)。ドミナンスは BTC 60%ETH 11.9%
  • ETFフロー: 米のBTC/ETH現物ETFは流出継続。一方でSolana現物ETFは連日流入で相対ローテーションが進行。
  • ステーブル連鎖: xUSD → deUSD → USDXへ波及。USDXは一時$0.82まで乖離。担保評価とオラクル設計が論点。
  • トークン化の前進: UBS×Chainlinkが投信の購買・償還をオンチェーン実運用。SBI DMCCIPを排他的採用。Aave Horizon$5.4億規模、VBILL担保追加。Tether Hadron×KraneShares×Bitfinex Securitiesはトークン化ETP設計へ。
  • Ripple: 米機関向け現物プライムブローカレッジを開始。XRP/ RLUSD対応で流動性統合を加速。オンチェーンは強弱材料が混在。
  • 規制・執行: Samourai Wallet開発者に禁錮5年。プライバシー技術とAMLの摩擦が継続。
  • そのほか: Solana TVL$35Bへ拡大。スペインテネリフェ島は2012年取得の97 BTC売却を準備。Google Financeは予測市場データやAI検索を統合。

今後のイベント

  • 本日: カナダ雇用統計(日本時間22:30)。
  • 来週: 英・月次GDP(木16:00)、米CPI(木22:30)、米小売売上高(翌日22:30)。
  • 参考(前日): 英中銀は政策金利を据え置き、議事要旨を公表。スタンスの確認が進みました。

数値スナップショット(日本時間 11/7 午前9時台)

  • BTC: $101,056(24H -2.51%)/ETH: $3,305(24H -3.01%)
  • ドミナンス: BTC 60%/ETH 11.9%
  • 暗号資産合計: 時価総額 $3.42兆/出来高 $159.69B
  • 米株(前日): S&P500 -1.12%/ナスダック -1.90%/VIX 19.50
  • 為替: USD/JPY 152.98
  • コモディティ: WTI $59.67(小幅高)

詳細は以下の各セクションへ。

市場全体:ビットコインは「10万ドル攻防」、株安・VIX上昇でリスクオン後退

暗号資産の現在地(時価総額・出来高・ドミナンス)

暗号資産の時価総額は3.42兆ドルです。24時間出来高は1,596.9億ドルです。ドミナンスはBTC 60%ETH 11.9%です。いずれも日本時間11月7日午前9時台の表示に基づきます。

ビットコインとイーサリアムの値動き

ビットコイン(BTC)は101,056ドル(-2.51%)です。節目の10万ドルを意識した値動きが続きます。直近24時間の高値は104,300ドル、安値は100,450ドルでした。

イーサリアム(ETH)は3,305ドル(-3.01%)です。主要アルト全般も弱含みで、週間では下落が目立ちます。

株式・為替・コモディティの動き

米株は軟調です。S&P500 -1.12%ナスダック総合 -1.90%でした。変動性の目安であるVIXは19.50へ上昇しました。日本株も下落し、日経平均 -1.32%です。

為替はドル円 152.98付近です。ユーロドルは1.1543前後で小幅な動きです。コモディティでは金が底堅く、WTI原油は小幅高で59.67でした。

米上場の暗号資産ETFの動き

米国の暗号資産現物ETFはそろって下落しています。ビットコイン連動ではiShares Bitcoin -2.82%Fidelity -2.84%などが下落しました。イーサリアム連動は-4%前後の下落が目立ちます。株安とボラティリティ上昇が資金フローを弱めています。

用語解説

  • ドミナンス:暗号資産全体に占める特定通貨の時価総額割合。
  • VIX:米株式の予想変動率(恐怖指数)。数値が上がるほど不安心理が強い状態。
  • 現物ETF:現物の暗号資産を保有し、価格に連動させる上場投資信託。
  • 節目価格:投資家の意識が集まりやすい価格帯。10万ドルなどのキリの良い水準。

ETFフローのねじれ:BTC/ETHは流出継続、Solana現物ETFは資金流入の対照

資金フローの現状

米国の現物ETFでは、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)からの資金流出が続いています。一方、ソラナ(SOL)の現物ETFは、上場直後から連日の資金流入が続いています。新規上場の初期需要にとどまらず、資金の受け皿として機能している点が特徴です。

報道ベースでは、10月末以降にBTC現物ETFは累計で十数億ドル規模の流出ETH現物ETFも数億ドルの流出が観測されています。これに対し、米ソラナ現物ETFは上場後6営業日連続の資金流入が確認され、週次でも大幅な純流入が記録されました。複数のデータ提供者が同様の傾向を示しています。

ローテーションの背景

背景には株安・ドル高の環境があり、リスク資産全般への需要が弱まっています。BTCとETHの現物ETFは、機関マネーの解約(償還)が続き、需給が重くなりました。対照的に、SOLは新規商品特有の創設(新規受益権の発行)が続き、資金の相対ローテーションが生じています。

新規上場ETFでは、上場直後のローンチ効果が資金を呼び込むことが一般的です。ただし、今回のソラナETFは初期資金にとどまらず、複数週にわたり純流入が維持されています。これは、単なる物珍しさではなく、配分見直しの動きが実需として続いている可能性を示します。

相場への影響

BTCとETHのETFからの流出は、現物の日次の純需要を弱めやすく、価格の上値を抑える要因になります。実際に、BTCは心理的な節目である10万ドルの攻防が続きました。一方、SOLはETFの継続的な創設により、相対的に資金を集めています。これが指数配分や運用の再調整を通じて、短期の相対パフォーマンスに影響を与えています。

もっとも、ローンチ直後は初期シード資金で流入が膨らむ局面もあります。今後は、初期資金の一巡後も純流入が持続するかが焦点です。持続するなら、構造的な資金シフトの可能性が高まります。反対に、BTC/ETHの流出が止まり、SOLの流入が落ち着けば、一時的な「上場効果」に収れんします。

確認したデータポイント

  • 米BTC/ETH現物ETF:10月末以降、複数営業日にわたり純流出が継続。
  • 米SOL現物ETF:上場後6営業日連続で純流入。週次でも大幅な資金流入を確認。
  • 株安・ドル高環境:株式の下落とボラ上昇で、暗号資産ETF価格は軟調が目立つ。

用語解説

  • 現物ETF:対象資産そのものを保有し、価格に連動させる上場投資信託。
  • 資金流入・流出:ETFへの投資資金の純増減。需給の強弱を示す。
  • 創設/償還:ETFの新規受益権発行(創設)と回収(償還)。主に機関が担う。
  • ローンチ効果:新規上場直後に見られる一時的な資金流入の増加。
  • 相対ローテーション:資金が特定の資産から別の資産へ移る現象。相対的な強弱を生む。
  • CoinShares(デジタル資産運用):暗号資産の資金フロー統計を公表する運用会社。
  • Farside Investors(英系のETF分析):ETFの資金フローデータを提供する調査機関。

ステーブル連鎖デペッグ:xUSD発、deUSD波及、USDXも乖離—信用・オラクル設計が焦点

連鎖の全体像

複数のステーブルコインで価格乖離が連鎖しました。起点はStream FinanceのxUSDです。ここからElixirのdeUSDに波及し、さらにUSDXでも乖離が発生しました。共通点は、担保評価の設計価格オラクルの扱いに弱点があったことです。相互依存が強い環境では、設計の穴が市場全体に広がりやすくなります。

xUSD崩壊からdeUSDへ

xUSD崩壊後にdeUSDが急落しました。背景には、担保の組成と清算の前提に価格ズレが生じた点があります。オラクル更新が遅れると、実勢価格と担保評価が一致しません。その差が借入余力の誤認を招き、清算の遅れや過剰な貸出に発展します。結果として、価格低下 → 清算不全 → さらなる下落という負の連鎖が強まりました。

Compoundの対応と市場安定化の動き

Compound(大手レンディング)は、リスク管理の提言を受けて一部の安定通貨市場で出金を一時停止しました。影響範囲の点検後、段階的に再開しています。停止の狙いは、価格参照の不整合を踏まえた準備金の保全です。さらに、ガバナンス提案の執行により、清算や引当の前提が見直されました。短期的には流動性の安全弁として機能しました。

USDXのデペッグと流動性の片寄り

USDXは0.82ドル付近まで下落しました。分散型取引所のプールでは、USDX側に資産が偏在しました。価格低下局面でUSDXが残り、対通貨(例:USDT)が薄くなると、スリッページが拡大します。片側に偏ったプールは、追加の売り圧力で価格が滑りやすい構造です。結果として乖離の修復が遅れやすくなります。

何が問題だったのか

論点は二つです。第一に担保評価の設計です。デペッグ時に額面固定(ハードコード)を続けると、過大な借入が可能になります。第二にオラクルの安全設計です。現実価格に追従しない参照値は、清算の遅延裁定の歪みを広げます。両者が重なると、連鎖的な価格崩れが起きやすくなります。

確認された事実関係(要点)

  • xUSD崩壊後、deUSDが急落。担保と価格参照にズレ。
  • Compoundが出金を一時停止し、点検後段階的に再開
  • USDXは0.82ドル付近まで下落。プールで資産配分が偏在
  • 担保評価のルール価格オラクル設計が共通課題。

今後の焦点

焦点は価格参照の更新方法異常時のフェイルセーフです。複数ソースの集約、異常検知(サーキットブレーカー)参照値の上限・下限の設定などが中心となります。あわせて、担保資産の多様化相関管理も重要です。単一設計や単一資産に依存すると、同様の連鎖が再発しやすくなります。

用語解説

  • Stream Finance:利回り最適化を掲げるDeFiプロトコル。xUSDを発行。
  • xUSD:Stream Financeの合成ドル建てステーブルコイン。
  • Elixir:合成ドルdeUSDなどを扱う流動性関連プロトコル。
  • deUSD:Elixirの合成ドル建てトークン。
  • USDX:Stables Labsが発行する合成ドル建てステーブルコイン。
  • Compound:大手の分散型レンディングプロトコル。
  • オラクル:オンチェーンに価格など外部データを届ける仕組み。
  • ハードコード評価:価格を一定値で固定して担保価値を算定する手法。
  • 流動性プール:自動マーケットメイカーで資産を交換するための原資。

トークン化インフラの前進:Chainlink×UBSの実運用処理、SBI DMのCCIP採用、Aave RWA拡大、Tether連携

要点整理

トークン化は「実証」から「実運用」へ段階を進めました。 具体的には、UBSが投信の購買・償還をオンチェーンで完結SBI Digital MarketsはCCIPを排他的に採用AaveのRWA市場は5.4億ドル規模に拡大し、VBILLを担保追加。さらに、TetherのHadronはKraneSharesとBitfinex Securitiesと連携し、トークン化ETPの設計に踏み出しました。これらは、機関投資家が使えるコンプライアンス対応の配管づくりが進んでいることを示します。

UBS × Chainlink:投信ワークフローのオンチェーン完結

UBSはChainlinkのDTA標準を使い、投信の申込から償還までを実運用環境で処理しました。ISO 20022準拠のメッセージと、既存決済・保管システムとの接続を両立します。結果として、受発注・決済・データ同期が自動化され、決済時間と事務コストの圧縮が期待されます。試験ではなく、実サービスで動いた点が重要です。

SBI Digital Markets:CCIPの「排他的」採用

SBI Digital Marketsは、クロスチェーン相互運用の基盤にCCIPを単独採用しました。狙いは、公開チェーンと許可型チェーンをつなぐ安全な資産移転です。プライベート取引動的コンプライアンスの導入も視野に入ります。機関投資家が求めるデータ秘匿ポリシー準拠を組み込み、トークン化証券の配布と決済の受け皿を整えます。

Aave「Horizon」:RWA市場の拡大とVBILLの担保化

AaveのRWA市場「Horizon」は総資産約5.4億ドルに到達しました。VanEckの短期国債ファンド「VBILL」が担保資産に追加され、NAVのオラクル連携で評価データの信頼性を高めます。これにより、実世界資産の担保化DeFiとの接続が一段と前進します。供給・借入・可用枠が明確な設計は、機関の運用プロセスに馴染みやすい構造です。

Tether Hadron × KraneShares × Bitfinex Securities:トークン化ETPの設計

TetherのHadronは、KraneSharesとBitfinex Securitiesと連携し、上場投資商品(ETP)のトークン化を設計します。規制プラットフォームでの取引を前提に、法務・運用の枠組みを整備します。目的は、ウォレット経由での投資アクセス即時性の高い決済の実現です。新興市場での流通チャネル拡大も視野に入ります。

何が変わるのか:実装の質と到達範囲

三つの進展が際立ちます。第一に、既存金融の標準・規制との接合です。DTAやISO準拠で、既存のオペレーションに無理なく接続します。第二に、相互運用の安全性です。CCIPで、チェーンをまたぐ移転ポリシー組込型で可能になります。第三に、RWA担保の厚みです。VBILLなど信用力のある原資産が増えるほど、流動性とリスク管理は安定します。これらがそろうと、機関マネーが入る導管が太くなります。

用語解説

  • UBS:スイスの大手金融グループ。
  • Chainlink:ブロックチェーン向けオラクルと相互運用技術を提供するプロジェクト。
  • DTA(Digital Transfer Agent):Chainlinkの投信等の移転業務をオンチェーン処理する技術標準。
  • ISO 20022:国際的な金融メッセージ標準。
  • SBI Digital Markets:SBIグループの機関向けデジタル資産事業会社。
  • CCIP:Chainlinkのクロスチェーン相互運用プロトコル。
  • Aave:大手の分散型レンディングプロトコル。
  • RWA(Real World Assets):国債や株式など実世界資産のトークン化。
  • VanEck / VBILL:米資産運用会社VanEckのトークン化短期国債ファンド。
  • Tether / Hadron:USDT発行体Tetherのトークン化事業部門。
  • KraneShares:ETFを運用する資産運用会社。
  • Bitfinex Securities:規制下でデジタル証券を取り扱う取引プラットフォーム。
  • ETP:取引所上場の投資商品(ETF等を含む広義)。

Ripple:米現物プライムブローカレッジ開始—流動性統合の進展(XRP周辺は強弱材料が混在)

要点整理

Rippleが米国で現物プライムブローカレッジを開始しました。店頭(OTC)スポットと先物・オプションを、共通の証拠金(クロスマージン)で扱います。対象資産はXRPやRLUSDを含む主要銘柄です。

周辺指標は強弱が交錯しています。オンチェーンでは新規ウォレット増加クジラの売り一服が観測。一方で、日足チャートにはデッドクロスが出現し、2ドル割れ懸念が残ります。

プライムブローカレッジの狙い:資金効率と実務の一体化

店頭スポットとデリバティブを同一の担保プールで管理します。これにより、ポジション同士でリスク相殺が可能になり、資金効率が向上します。対象は米国の機関投資家で、XRPや米ドル連動のRLUSDなどの主要資産に対応します。

ポイントは「流動性の統合」です。現物とデリバティブの清算・保全を一体化し、執行から保管までの動線を短縮します。約定の安定性や、資本コストの低減につながる設計です。

XRPのオンチェーン指標:底打ちを示すサイン

オンチェーンでは、新規ウォレットが短期で急増しました。直近48時間で2万超の新規アドレスが追加されたとの分析があります。さらに、クジラの売り圧は一服し、大口のネットフローが中立化したとのデータも出ています。

これらは、需給悪化の峠越えを示す材料です。ただし、DEX取引の急増には、裁定や自動売買の影響も含まれる可能性があります。純粋な現物需要との切り分けが重要です。

テクニカルの逆風:日足デッドクロスと価格レンジ

日足では短期線が中期線を下抜けデッドクロスが点灯しました。直近の重要サポートは2.05〜2.10ドル帯です。ここを明確に割り込むと、2.00ドル割れのリスクが意識されます。

反対に、2.34ドルの上抜け・定着が実現すれば、2.48〜2.50ドルが次の焦点になります。短期の戻り売り圧力と、機関フローの受け皿のせめぎ合いが続いています。

総合評価:ファンダ強化とチャートの綱引き

ファンダメンタルズは前向きです。現物プライムブローカレッジの稼働で、流動性の質と調達のしやすさが改善します。一方で、短期のトレンド指標は弱含みです。サポートの維持出来高を伴う上抜けが確認されるまで、強弱材料が拮抗する展開です。

用語解説

  • Ripple:米国のフィンテック企業。決済・流動性ソリューションを提供。
  • プライムブローカレッジ:機関投資家向けの包括サービス(取引、清算、貸借など)。
  • OTC(店頭):取引所を介さない相対取引。大口でも価格影響を抑えやすい。
  • クロスマージン:複数ポジションを共通の証拠金で管理し、損益を相殺する仕組み。
  • RLUSD:米ドルに連動するRippleのステーブル型資産。
  • デッドクロス:短期移動平均線が中期線を下抜ける弱気サイン。
  • クジラ(Whale):巨額の暗号資産を保有する大口投資家。
  • DEX:分散型取引所。スマートコントラクトで注文・清算を行う。

マクロとセンチメント:株安・VIX上昇、LTHの動きとMVRVは“底形成”を示唆—ただしETF流出が重し

全体像

株安とVIX上昇でリスクオフが強まっています。米株は下落し、ボラティリティ指標のVIXは19.50(日本時間11月7日時点)まで上昇しました。ビットコインは10万ドル近辺での攻防が続いています。

現物ETFの資金流出が継続し、相場の重しになっています。テクニカルの改善が見えても、資金フローが弱いと反発が続きにくい局面です。

MVRVが示すサイン:統計的には「底圏」

評価指標のMVRVは1.8〜2.0帯に低下しました。過去の相場では、この帯が中期のボトム圏と重なる事例が多くあります。

ただし、MVRVは平均コストとの乖離を見る統計です。単独では判断できません。出来高や価格の推移、ETFフローと合わせて読む必要があります。

LTHの動きと“OG売り”論争

長期保有者(LTH)のコイン移動が話題です。一部では「古参(OG)の売り」との見方が出ています。

一方で、オンチェーン分析では主因は短〜中期保有の回転とする反論があります。6か月〜2年保有のコイン移動が多く、利確の循環が目立つという整理です。

結論として見解は割れています。ただ、いずれの分析でも売り圧の出所が複数ある点は共通です。需給の改善には時間が要ります。

ETFフローが価格の「ふた」

ビットコインとイーサリアムの現物ETFで資金流出が続いています。機関マネーの流出は、価格の上値を抑える要因です。

反対に、ソラナETFなど一部では資金流入が観測されています。資金のローテーションが起きると、BTCの戻りは鈍くなりやすい構図です。

したがって、MVRVの改善やLTH動向が底形成を示しても、ETFのネットフローが反転しない限り、価格への反映は限定的です。

今後の着眼点

  • ETFネットフロー:連続流出が止まるか。
  • VIXと金利:リスク許容度の回復有無。
  • 出来高:反発局面での増加の有無。
  • オンチェーン:LTHの純移動と取引所流入出。

用語解説

  • VIX:米株のボラティリティを示す指数。上昇は不安心理の高まり。
  • LTH(Long-Term Holder):長期保有者。一般に長期の移動が減ると売り圧が弱まる。
  • MVRV:時価総額と実現時価総額の比率。1.8〜2.0は過去に底圏で出やすい帯。
  • OG:古参の長期保有者の俗称。初期から保有する投資家を指すことが多い。
  • 現物ETF:現物の暗号資産を裏付けとする上場投資信託。資金の出入りが価格に影響。
  • ネットフロー:ETFや取引所への資金流入から流出を差し引いた額。

規制・執行:Samourai Wallet開発者に禁錮5年判決—プライバシーとAMLの摩擦が続く

判決の要点

米ニューヨーク南部地区連邦地裁(SDNY)は2025年11月6日、ビットコインのプライバシー系ウォレット「Samourai Wallet」の開発者ケオネ・ロドリゲス氏に禁錮5年(最長刑)を言い渡しました。罪状は無免許送金事業の共謀です。

判決には3年間の保護観察25万ドルの罰金が含まれます。被告側はすでに約630万ドルの没収金を支払い済みです。共同開発者ウィリアム・ヒル氏の量刑は11月19日に予定されています。

  • 量刑:禁錮60か月(法定上限)
  • 付随措置:保護観察3年、罰金25万ドル、没収金約630万ドル
  • 論点:プライバシー保護とマネロン対策(AML)の境界

裁判所の見解と検察の主張

裁判所は、被告の「金融プライバシー保護」という動機の主張に対し、犯罪利用の現実を直視していないと指摘しました。判事は提出文書への反省の不足にも言及しています。

検察は、同ウォレットの機能が制裁回避やハッキング資金の洗浄に使われたと主張しました。さらに、被告が逃走計画文書を所持していた点を重視し、意図性の高さを強調しました。

プライバシー vs AML:開発者責任の線引き

技術そのもの犯罪利用の切り分けは、暗号資産領域で続く重要な論点です。Samouraiのようなミキシング系機能は、取引履歴の追跡を困難にします。プライバシーを守る手段である一方、AML・制裁遵守と衝突しやすい設計です。

今回の判断は、開発者が機能の設計と運用の実態についてどこまで責任を負うか、という境界線の厳格化を示します。単なるコード公開にとどまらず、運営・誘引・サポートの関与度が問われやすい点が浮き彫りになりました。

市場と業界への波及

法執行は今後も継続する可能性が高いとみられます。対象はミキシング系・プライバシー系サービスが中心になりやすく、米国の方針が他地域にも波及する展開が考えられます。

事業者側は、制裁スクリーニングトランザクション監視異常検知などのコンプライアンス実装を迫られます。匿名性を重視するプロダクトほど、権限制御不正利用の抑止手段の整備が評価の鍵になります。

今後の焦点

  • 量刑の連鎖:共同開発者の量刑判断と判決理由の具体化。
  • 技術設計の基準:ミキシングやプライバシー強化機能の許容範囲とリスク低減策。
  • 国際協調:米国の執行が他法域の規制運用に与える影響。
  • 開発者責任:コード提供運営関与の線引きの再整理。

用語解説

  • SDNY:ニューヨーク南部地区連邦地裁。金融犯罪で判例が多い。
  • Samourai Wallet:ビットコインのプライバシー特化ウォレット。ミキシング系機能を提供。
  • 無免許送金事業:送金サービスを必要な登録・免許なしで運営する違法行為。
  • AML(アンチ・マネーロンダリング):資金洗浄対策の総称。制裁遵守を含む。
  • ミキシング(混合)サービス:複数の送金を混ぜて送金元と送金先の特定を難しくする仕組み。
  • 保護観察:刑期後の監督期間。違反時は追加制裁の対象。

そのほかの動き:SolanaのTVL拡大、地方自治体のBTC売却、Google Financeの機能強化

SolanaのTVLが拡大し、バリュエーション指標も改善

SolanaのエコシステムTVLは約350億ドルに拡大しました。1年で資産の預け入れ残高が増え、稼働資本が厚くなっています。あわせて、時価総額の先行指標であるFDV/TVL倍率は約14倍から約3倍へ低下しました。

倍率の低下は、価格に対して基盤となる預け入れ資産が増えたことを示します。過度な割高感が和らぎ、プロトコルの利用実態が拡大しているサインと受け止められます。手数料の低さや処理速度の速さが、DEXやレンディングの需要を支えています。

  • TVL:約350億ドル
  • FDV/TVL:約14倍 → 約3倍

スペイン・テネリフェ島、2012年取得の97BTC売却を準備

テネリフェ島議会が2012年に取得した97BTCの売却を準備しています。取得額は約1万ユーロでした。現在水準では約1,000万ユーロ規模と見込まれます。売却手続きは、スペインの規制当局の監督下にある国内の金融機関と連携して進められています。

ビットコインは研究目的で公的機関により保有されていました。今回の売却益は、量子技術を含む新規研究分野など、地元の技術開発プロジェクトに充当される予定です。

Google Financeが機能強化:予測市場データとAI検索を統合

Google Financeが予測市場データやAIのディープサーチ機能を順次統合しています。金融指標や銘柄情報にアクセスする導線が広がり、要点の自動整理や比較がしやすくなる見通しです。暗号資産やETFの情報収集でも、一画面での把握性が高まります。

従来の価格、出来高、指数に加え、市場の“確率”情報や関連ニュースの文脈提示が強化されます。個人投資家にとって、分散した情報源を横断できる点が利点です。

用語解説

  • TVL(Total Value Locked):プロトコルに預けられた資産の合計額。
  • FDV(Fully Diluted Valuation):全トークン発行済み前提の理論時価総額。
  • Solana:高速処理と低手数料が特徴のパブリックL1ブロックチェーン。
  • テネリフェ島議会/ITER:スペイン領カナリア諸島の地方政府/公的研究機関。
  • Google Finance:Googleが提供する金融情報サービス。
  • 予測市場:参加者の売買で事象の発生確率を価格化する市場。
  • ディープサーチ:AIで要点抽出や関連づけを行う高度な検索機能の総称。

今後の注目とリスク:イベント密集、ETFフローとステーブル健全性が鍵

直近1週間はマクロ指標と政策イベントが集中します。短期の焦点は米現物ETFの資金フローが反転するか、そしてステーブルコインの連鎖不安を封じ込められるかです。これらが価格決定に与える影響は大きく、イベント通過まではヘッドラインで値動きが振れやすい状況が続きます。あわせて、英中銀の据え置きと議事要旨公表が確認され、欧州側の金利観測にも整理が入りました。

今夜〜来週の主なイベント(日本時間)

  • 本日22:30:カナダ雇用統計(10月)。毎月の「労働力調査」の公表日で、今回は11月7日(金)現地8:30発表です。為替と株式の波及に注意が必要です。
  • 11月13日(木)16:00:英「月次GDP速報(9月)」公表。欧州時間の序盤にあたり、ポンドと金利見通しの手掛かりになります。
  • 11月13日(木)22:30:米CPI(10月)。コアの変化率が注目で、リスク資産の方向性を左右します。
  • 11月14日(金)22:30:米小売売上高(10月)。個人消費の強弱を測る定番指標で、直後の金利期待に影響します。
  • 参考(昨日):イングランド銀行(MPC)が政策金利4.00%を維持。同時に議事要旨四半期報告を公表。スタンスは「据え置き継続」を再確認しました。

価格決定のカギ(短期)

  • ETFフローの転換点:米BTC/ETHの資金流出が止まるか、あるいは資金が他銘柄へ回転し続けるかが焦点です。CPIと小売の結果次第で需給の傾きが変わる可能性があります。
  • ステーブル連鎖の封じ込め:価格乖離の拡大はDeFiの担保評価やオラクル参照に波及します。追加のディペッグが生じなければ、センチメントは徐々に安定します。
  • ボラティリティ管理:イベント前後は板が薄くなりやすく、指標ヘッドラインに対する過敏な値動きが起きやすい点に留意が必要です。

主なリスク(短〜中期)

  • 政策・統計の不確実性:政府関連の予算・運営を巡る停滞が長引く場合、統計公表や政策対応の遅れにつながり、リスク資産に重しとなります。
  • エネルギー・金利要因の再燃:原油や金利の再上昇は、リスク許容度の低下と資金の安全資産回帰を促します。
  • 信用イベント:取引所やステーブルコインの運営・担保に関するニュースは、流動性縮小とスプレッド拡大を通じて市場全体へ波及します。

用語解説

  • ETFフロー:上場投資信託への資金の流入・流出。需給の変化を測る手掛かり。
  • 連鎖ディペッグ:あるステーブルコインの乖離が、他銘柄やDeFi市場へ伝播する現象。
  • 議事要旨(Minutes):中央銀行の会合で交わされた討議内容の要約。今後の政策スタンスを読む材料。

まとめ:本日の要点

最大の焦点は「フロー」と「信用」です。BTC/ETHの現物ETFは流出が続き、Solanaの現物ETFには資金が入っています。ステーブルコインの連鎖デペッグは、担保評価とオラクル設計の弱点を示しました。相場は10万ドルの攻防が続きやすい地合いです。

本日のキーサマリー

  • 資金のねじれ:BTC/ETH ETFは流出継続、Solana ETFは流入。銘柄間の相対ローテーションが続く構図です。
  • インフラ進展:トークン化の実装が前進。Ripple(米上場の大手暗号資産関連企業)やChainlink、UBSなどが具体化を進めています。
  • 信用リスク:xUSD→deUSD→USDXと乖離が波及。レンディングとプールの設計が改めて問われています。
  • マクロ逆風:株安とボラ上昇でリスク許容度が低下。ヘッドラインに反応しやすい環境が続きます。
  • テクニカルの綱引き:MVRVや長期保有動向は底形成を示唆。ただしETF流出が価格の上値を抑えています。
  • 規制・執行:プライバシー技術とAML(資金洗浄対策)の摩擦が続き、センチメントの重しになり得ます。

明日以降の注目ポイント

  • 米ETFフロー:流出の減速や反転の有無。需給の転機になりやすい指標です。
  • ステーブルの回復:乖離解消の速度と、担保・オラクルの見直し動向。
  • インフラの積み上げ:Ripple/Chainlink/UBSなどのトークン化や流動性統合の進展。

注記

本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。

免責事項

本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。

用語解説

  • ETFフロー:上場投資信託への資金の流入・流出。需給の手掛かり。
  • トークン化:株や債券などをブロックチェーン上のトークンとして扱う仕組み。
  • 連鎖デペッグ:あるステーブルの価格乖離が、他銘柄やDeFi市場へ広がる現象。

コメント

タイトルとURLをコピーしました