ビットコイン11.5万ドル台、CPI後にETF資金流入が再加速──ブラックロックがETFトークン化検討・Figureが米ナスダック初日+24%・ETHステーキング増とKilnがETHバリデータ退出・SOL/BTC相対強【9月12日】

暗号資産ニュースのアイキャッチ:ビットコイン・イーサ・ソラナを擬人化し、CPI後のETF資金流入、オプション満期、トークナイゼーション、IPO、規制動向を一枚で表現 デイリークリプトニュース
CPI後のETF流入加速、SOL/BTCの相対強、ETHステーキングとExit Queue、ブラックロックのETFトークン化、UBS×Chainlink実証、Figure上場・Gemini IPO、FDICとMiCAの規制動向——今日の重要トピックをまとめて表現。詳細は記事で。
記事内にプロモーションが含まれています。
  1. 市場概況:CPI通過後も時価総額3.96兆ドル、BTCは11.5万ドル台で推移
    1. 米8月CPI発表の翌日、市場は落ち着いた上向き
    2. 暗号資産:合計3.96兆ドル、BTCとETHが小幅高(24時間比)
    3. 株式・VIX:そろって上昇、ボラティリティは低下(前日比)
    4. 為替・コモディティ:ドル高は一服、金と原油は小動き
  2. 米CPIは前年比2.9%・コア3.1%、金利観測強まりETFフローが再加速
    1. インフレ指標の要点(8月分)
    2. 失業保険と金利見通しの変化
    3. 現物ETFへの資金が戻る
    4. 用語補足
  3. ETF・デリバティブ:43億ドルのBTCオプション期日が短期の方向感を左右
    1. 期日規模と勝敗ライン
    2. 建玉の偏りと取引所の構図
    3. マクロ要因が与える影響
    4. 用語補足
  4. トークナイゼーション加速:ブラックロックの「ETFシェアのトークン化」検討とUBS×Chainlink実証
    1. ブラックロックの検討内容
    2. UBS×Chainlink×DigiFTの香港パイロット
    3. 共通する狙いと意義
    4. 用語補足
  5. クリプトIPO熱:Figure初日+24%、Geminiは20倍超の需要で上場前から話題
    1. Figureの初値と評価背景
    2. GeminiのIPO需要
    3. 資本市場の追い風と位置づけ
    4. 用語補足
  6. イーサリアム:ステーキング残高増の一方、Kiln退出でExit Queueが急伸
    1. ステーキング残高は約3,614万ETHに拡大
    2. Kilnが全バリデータを予防退出、行列は150%拡大
    3. 市場・プロトコルへの影響
    4. 用語補足
  7. アルトコインが相対的に強い動き:SOL/BTCは2月以来の高め水準、AvalancheはTVL倍増
    1. SOL/BTC:強めに回復した理由
    2. Avalanche:TVLは4月比で約2倍に
    3. 用語補足
  8. 規制・コンプライアンス:FDICの方針転換、インドは限定規制継続。アジアでも足場固め
    1. 米国:FDICが明確化と「デバンキング」防止を掲げる
    2. インド:安定通貨の影響を懸念し、限定的な規制を継続
    3. 香港:HashKeyとEllipticが監視体制を強化
    4. EU:Socios/ChilizがMiCA体制で前進
    5. 用語補足
  9. オンチェーン断面と市場周辺:マイナー売り圧鈍化、13年ぶりクジラ起動、NFT手数料改定も
    1. ビットコイン:マイナーの売り圧力が低下
    2. 長期休眠アドレスの起動と心理への影響
    3. NFT市場:OpenSeaが取引手数料を1%へ引き上げ
    4. エアドロップの公正性:大規模「シビル攻撃」疑惑
    5. 用語補足
  10. DeFiリスク管理:Scrollのガバナンス不確実性にAaveが機動的対応
    1. Scrollの提案停止とガバナンス再設計
    2. Aaveの対応:パラメータを防御的に引き締め
    3. 影響と論点:チェーン横断の運用ガバナンス
    4. 用語補足
  11. 今後の注目点とリスク:イベント密集、期日通過と政策判断が短期の鍵
    1. 短期の焦点:本日のオプション満期と値位置
    2. 来週の主要イベント(9/16〜9/19)
    3. 市場波及:フローと流動性の見どころ
    4. 構造的リスク:運用とインフラの注意点
    5. 用語補足
  12. 結論・要点整理:CPI後の緩和期待とETFフロー、TradFi接近が同時進行
    1. 本日の要点
    2. 明日以降のチェックポイント
    3. 主要リスク

市場概況:CPI通過後も時価総額3.96兆ドル、BTCは11.5万ドル台で推移

米8月CPI発表の翌日、市場は落ち着いた上向き

米国の消費者物価指数(CPI、8月分)は前年比2.9%、エネルギーと食料を除くコアは前年比3.1%でした(米東部時間9月11日発表)。物価は想定内の伸びにとどまり、過度な金利不安がやわらぎました。このため、暗号資産と株式はともに落ち着いた上昇となりました。

暗号資産:合計3.96兆ドル、BTCとETHが小幅高(24時間比)

暗号資産の合計時価総額は3.96兆ドルです。24時間出来高は1,584億ドルでした。ビットコイン(BTC)は$115,731+1.62%、イーサリアム(ETH)は$4,461+2.33%です。市場内の比率(ドミナンス)は、BTC57.4%、ETH13.5%でした。

株式・VIX:そろって上昇、ボラティリティは低下(前日比)

米株はCPI後に上昇しました。ダウ+1.36%、S&P500+0.85%、ナスダック+0.72%です。恐怖指数VIXは14.71まで低下し、市場の不安度合いは一段と落ち着きました。

為替・コモディティ:ドル高は一服、金と原油は小動き

為替はドル高がいったん一服しました。コモディティは動きが小さく、金(現物)は$3,632、WTI原油は$62台で推移しました。金利やドルの大きな変化がなかったため、値動きは限定的でした。

注記:暗号資産の%は過去24時間の変動率、株式の%は前日終値比です。

米CPIは前年比2.9%・コア3.1%、金利観測強まりETFフローが再加速

米8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2.9%、前月比で+0.4%でした。食料とエネルギーを除くコアCPIは前年同月比3.1%、前月比+0.3%でした。想定に沿う水準で、過度なインフレ懸念は強まりませんでした。

インフレ指標の要点(8月分)

・総合CPI:前年同月比2.9%、前月比+0.4%
・コアCPI:前年同月比3.1%、前月比+0.3%
・公表日:米東部時間9月11日

失業保険と金利見通しの変化

同時期に、新規失業保険申請件数が増えました。9月6日終了週は26.3万件で、市場予想を上回りました。これは2021年10月以来の大きな増加幅です。雇用の弱さは利下げを後押しする材料です。結果として、9月の米連邦公開市場委員会での利下げ観測が強まりました。

現物ETFへの資金が戻る

インフレと雇用の組み合わせにより、リスク資産の悪材料は和らぎました。直近の資金フローでは、ビットコイン現物ETFに+7.57億ドルイーサリアム現物ETFに+1.72億ドルの純流入が入りました(米東部時間9月10日)。純流入は「買いが解約を上回った」ことを意味します。フローの改善は、価格の下支えになりやすい特徴があります。

用語補足

CPI:物の値段の変化を示す指標です。物価の上がり下がりを計測します。
コアCPI:値動きが大きい食料とエネルギーを除いたCPIです。基調を見ます。
利下げ観測:中央銀行が政策金利を下げるとの見方です。金利が下がると資金調達がしやすくなります。
現物ETFの純流入:ETFへの資金の入りと出を差し引いた額です。プラスなら資金が入っています。

ETF・デリバティブ:43億ドルのBTCオプション期日が短期の方向感を左右

本日はビットコインのオプション満期が集中します。規模は約43億ドルです。価格が$113,000以上で終わると、コール(買う権利)側が約1.75億ドル有利になります。逆に$111,000未満で終わると、プット(売る権利)側が優位に変わります。満期は短期の値動きを左右しやすいイベントです。

期日規模と勝敗ライン

満期は9月12日(米東部時間)です。主な分岐点は$113,000$111,000にあります。$113,000以上の維持でコール優位。$111,000割れでプット優位です。期限直前は建玉の偏りが価格に影響しやすくなります。

建玉の偏りと取引所の構図

今週の期日では、デリビットがシェア約75%を占めます。次いでOKXが約13%です。バイビットとバイナンスはそれぞれ約5%です。価格が$113,000超に乗ると、行使対象のコールが増え、買い需要が強まりやすくなります。

マクロ要因が与える影響

雇用の弱さを示す指標が増えています。失業保険の申請件数は増加基調です。加えて、AI関連の収益性を巡る議論も続いています。これらの不確実性は、期日通過の攻防に重なります。そのため、短期の上下に振れやすい地合いです。

用語補足

オプション:将来の売買を有利な価格で行える権利です。
コール/プット:コールは「買う権利」。プットは「売る権利」です。
建玉(オープン・インタレスト):未決済の契約数です。偏りは値動きの手がかりになります。
満期(エクスパイリー):オプションが期限を迎える日です。期限前後は値動きが出やすくなります。

トークナイゼーション加速:ブラックロックの「ETFシェアのトークン化」検討とUBS×Chainlink実証

伝統金融とブロックチェーンの接続が進んでいます。ブラックロックはETFの持ち分をブロックチェーン上に載せる構想を検討しています。香港ではUBSとChainlink、DigiFTが、トークン化商品の配布から決済までを自動化する実証を実施しました。資産の24時間流通と、担保としての活用拡大を狙う流れが並行して進んでいます。

ブラックロックの検討内容

同社はETFシェアをトークンとして発行する案を検討しています。トークンはブロックチェーン上で保有と移転を記録します。これにより時間外でも受け渡しが可能になります。国境をまたぐ投資家のアクセスも改善します。保有分を担保に入れる用途も拡がります。発行と償還をスマートコントラクトで管理すれば、バックオフィスの手続きが簡素化します。

UBS×Chainlink×DigiFTの香港パイロット

香港では、トークン化ファンドの配布と決済、ライフサイクル管理を自動化する実証が行われました。販売、約定、受け渡し、分配金や償還といった工程を、スマートコントラクトで連携します。Chainlinkは外部データの安全な受け渡しを担います。DigiFTは規制準拠の取引基盤を提供します。目的は、運用効率の向上と、コンプライアンス要件の内蔵です。

共通する狙いと意義

両案件に共通する狙いは、証券の「発行・取引・保管・事務処理」を一体でデジタル化することです。これにより決済の所要時間が短縮します。発行体は運用報告や分配の処理を自動化できます。投資家は小口・分割での参加がしやすくなります。さらに、トークン化された持ち分は他の金融アプリとも接続しやすくなります。市場の流動性と透明性の向上が期待されます。

用語補足

トークナイゼーション:株や債券などの権利を、ブロックチェーン上のデジタル証券に置き換えることです。
スマートコントラクト:条件が満たされたときに自動で実行されるプログラムです。
ライフサイクル管理:発行から償還、分配やコーポレートアクションまでの一連の事務処理です。
オラクル:価格や金利など、チェーン外のデータを安全にブロックチェーンへ渡す仕組みです。

クリプトIPO熱:Figure初日+24%、Geminiは20倍超の需要で上場前から話題

暗号資産関連の資本調達が活発です。ブロックチェーン融資のFigureがナスダックに上場しました。初日は+24%で引けました。日中高値は+44%でした。時価総額は約66億ドルです。証券化の事務を効率化するモデルが評価されています。

Figureの初値と評価背景

Figureは債権の管理と流通をデジタル化します。ブロックチェーンで移転記録を一元化します。人手の事務が減ります。決済も早まります。投資家はコスト低下を評価しました。初日の上昇率はこれを反映します。金融の裏方業務を置き換える点が注目点です。

GeminiのIPO需要

先日も取り上げたGeminiのIPOは続報です。ブックは20倍超の需要と報じられました。上場前から関心が集まっています。取引所ナスダックの出資参加も示されました。需給の厚さが改めて確認されました。上場準備は想定どおり進んでいます。

資本市場の追い風と位置づけ

両ニュースは共通の流れにあります。暗号資産まわりの上場と資金調達が広がっています。ETFの普及と金利観測も背景です。リスク資産への資金が戻りつつあります。企業は規制に沿った枠組みで成長資金を得ています。投資家は収益モデルの実装度を見ています。

用語補足

IPO:企業が株式を公開して資金を集めることです。
オーバーサブスク:募集枠に対し申込が過大な状態です。倍率で示します。
証券化:債権などをまとめ、証券として売買可能にする仕組みです。
時価総額:株価に発行株数を掛けた企業の市場評価です。
ブロックチェーン融資:融資の記録や権利移転をブロックチェーンで管理する手法です。

イーサリアム:ステーキング残高増の一方、Kiln退出でExit Queueが急伸

イーサリアム(ETH)の「預け入れ(ステーキング)」は増加基調です。観測では約3,614万ETHがロックされ、供給の約30%に達しました。一方で、ステーキング事業者Kilnが予防措置として全バリデータを退出します。これによりExit Queue(退出待ち行列)が急伸しました。短期は換金待ちの長期化が論点になりますが、ネットワーク稼働は平常です。

ステーキング残高は約3,614万ETHに拡大

ETHのロック量は3,614万ETHと推定されています。流通量に対する比率は約30%です。価格換算では約1,580億ドル規模です。長期保有の増加と、取引所からの資金移動の流れが続いています。需給の引き締まり要因として機能しています。

Kilnが全バリデータを予防退出、行列は150%拡大

Kilnは、SwissBorg関連の侵害報告を受け、全てのETHバリデータを退出します。顧客資産の保全を最優先とする判断です。直近24時間でExit Queueが約150%拡大しました。待ち行列は約260万ETH規模に達し、推定45日超の待機が必要と見られます。Kilnは「秩序的退出」を掲げ、資産はユーザーに戻す方針です。

市場・プロトコルへの影響

退出待ちの増加は、引き出し完了までの時間を延ばします。これにより、LST(例:stETH)償還遅延一時的な乖離が起きやすくなります。ただし、これは流動性のタイムラグの問題です。プロトコルの欠陥を示すものではありません。イーサリアムの検証・ブロック生成は通常どおり継続しています。

用語補足

ステーキング:ETHを預け、取引の確認作業に参加して報酬を得る仕組み。
バリデータ:取引を検証しブロックを提案する参加者。32ETHで1台。
Exit Queue:バリデータがネットワークを抜ける際の待ち行列。安全のため上限がある。
LST(流動ステーキングトークン):預けたETHの受益権を表す代替トークン。例:stETH。
予防退出:被害の拡大を避けるために、問題がない段階で先に退出する対応。

アルトコインが相対的に強い動き:SOL/BTCは2月以来の高め水準、AvalancheはTVL倍増

ソラナ(SOL)の対ビットコイン比率(SOL/BTC)が0.002になりました。これは「1 SOL=0.002 BTC」という意味で、2月16日以来の高めの水準です。比率が上がるほど、同じ期間でSOLがBTCよりも強い値動きをしていることを示します。

位置づけも確認します。0.002は、今年3月の0.0031(今年のピーク付近)や、2021年9月の0.0047(過去ピーク)よりは下です。つまり「過去ピークよりは低いが、足元は持ち直し」という中間ゾーンです。短期は強め、長期ピークにはまだ距離がある、という見方になります。

SOL/BTC:強めに回復した理由

背景には、企業の財務がデジタル資産を保有する構想(DAT)への期待があります。さらに、大口投資家による現物SOLの移動がオンチェーンで観測され、売り圧力が薄まるとの見方が広がりました。これらが比率の押し上げ要因になりました。

Avalanche:TVLは4月比で約2倍に

アバランチ(AVAX)のTVL(預かり資産残高)は約21億ドルです。4月の約10億ドルから倍増しました。ガス代の低下などのコスト改善、ゲーム分野の利用拡大、そして機関投資家の資金流入が重なったことが背景です。

共通テーマは、実需の広がりコスト低下、そして資金の呼び込みです。これらが、ビットコインが横ばいでも、アルトコインの相対的な強さにつながっています。

用語補足

SOL/BTC:SOLの値段をBTCで表した比率。上昇=SOLがBTCより強い、下落=SOLがBTCより弱い。
TVL(Total Value Locked):そのチェーンやアプリに「預けられている資産の総額」。規模感や資金の滞留度を見る指標。

規制・コンプライアンス:FDICの方針転換、インドは限定規制継続。アジアでも足場固め

米国:FDICが明確化と「デバンキング」防止を掲げる

米連邦預金保険公社(FDIC)が、暗号資産に関する銀行の取り扱いを明確にする方針を示しました。発表は9月上旬の説明資料です。論点は二点です。第一に、銀行の暗号関連業務を「何が許容されるか」まで具体化すること。第二に、口座閉鎖の連鎖を招く「デバンキング」を防ぐことです。これにより、銀行と暗号事業者の接続が進みやすくなります。監督下でのリスク管理を前提に、送金や保管などの業務が整理される見通しです。

インド:安定通貨の影響を懸念し、限定的な規制を継続

インド政府は9月11日、公的文書を根拠に「全面的な暗号法制化は当面見送る」との方針を維持しました。背景は二つです。安定通貨が決済網UPIのシェアを奪う懸念。さらに、過度な普及が金融安定を損なう恐れです。現在は一部規制のみです。海外取引所の登録義務。厳格なマネロン対策(AML)。そして暗号利益に30%の課税です。保有額は約45億ドルと推計されますが、制度の全面整備は急がない構えです。

香港:HashKeyとEllipticが監視体制を強化

9月11日、香港の規制下で運営するHashKey ExchangeがEllipticと提携しました。取引監視の高度化が狙いです。導入範囲は広いです。KYT(トランザクション監視)。AML調査。オンチェーンの資金追跡です。これにより不正検知の精度が上がります。個人投資家には安全性の向上。機関投資家にはリスク管理の透明性。規制当局には監督データの充実が期待されます。

EU:Socios/ChilizがMiCA体制で前進

9月11日、マルタ金融庁がSocios Europe ServicesにMiCAの事前承認を付与しました。完全承認に進めば、EU域内での「パスポーティング」が可能になります。Chilizは同日、CHZのMiCA準拠ホワイトペーパーを公表しました。10月1日には、Socios.comの暗号資産業務をマルタ拠点へ段階移行する計画です。欧州の統一規制に沿ったカストディや交換業が整い、スポーツ関連のファントークン供給にも制度面の裏付けが広がります。

用語補足

デバンキング:特定業種の口座開設や維持を、銀行が一律に拒むこと。資金決済が滞る原因になります。
安定通貨(ステーブルコイン):価格を米ドルなどに連動させた暗号資産。送金や決済で使われます。
UPI:インドの即時支払いインフラ。銀行口座間を即時で振替できる公共ネットワークです。
KYT:Know Your Transaction。取引データを監視し、不正や制裁違反の兆候を検知する仕組みです。
AML:Anti-Money Laundering。資金洗浄対策。本人確認や取引監視を含みます。
MiCA:EUの暗号資産包括規制。発行とサービス提供のルールを統一します。
パスポーティング:一国での認可を、EU域内の他国でも通用させる制度です。

オンチェーン断面と市場周辺:マイナー売り圧鈍化、13年ぶりクジラ起動、NFT手数料改定も

ビットコイン:マイナーの売り圧力が低下

直近のオンチェーンデータでは、マイナー(採掘者)から取引所への送金が低水準です。マイナーが保有を続ける傾向が強まり、短期の売り圧が和らいでいます。マイナーは新規に得たBTCを売ることが多く、その量が価格に影響します。流出が少ない局面は、需給面の重さがやや和らぎやすい環境と言えます。

長期休眠アドレスの起動と心理への影響

9月12日、約13年間動きがなかった大型保有者(クジラ)アドレスが、137.03 BTCを移動しました。取得は2012年で、当時の価格は1枚12ドル台でした。長期休眠アドレスの起動は、売却観測を誘発しやすく、短時間の心理悪化につながることがあります。一方で、実際に取引所へ送られないケースも多く、価格への実需の影響は限定的な場合があります。

NFT市場:OpenSeaが取引手数料を1%へ引き上げ

9月15日から、NFTマーケットプレイスのOpenSeaは取引手数料を0.5%から1%へ変更します。引き上げ分の一部は、トークン発行前(TGE前)の報酬原資に充当される計画です。競合の手数料水準はまちまちで、手数料改定は出品側と購入側の行動に影響します。短期的には、流動性の分散や市場シェアの変化が起きやすい局面です。

エアドロップの公正性:大規模「シビル攻撃」疑惑

一部の新規トークン配布では、同一主体が大量のアドレスを用意して配布を不正取得する「シビル攻撃」が議論となっています。分析企業は、MYXの配布で約100の新規アドレスが同時に資金移動し、9.8百万MYXを請求したと指摘しました。プロジェクト側は不正対策の導入を説明しつつ、今後の強化を表明しています。公正性の確保は、投資家保護と価格形成の健全性に直結します。

用語補足

マイナーの取引所流出:マイナーが保有BTCを取引所に送る動き。売却の前段となるため、増減が売り圧の目安になります。
クジラ:大量の暗号資産を保有する個人や組織。大口移動は市場心理に影響します。
TGE(トークン生成イベント):プロジェクトがトークンを初めて配布する節目。報酬や割り当ての原資が用意されます。
シビル攻撃:多数の偽アカウントを作り、配布や投票を不正に獲得する行為。エアドロップで問題になります。

DeFiリスク管理:Scrollのガバナンス不確実性にAaveが機動的対応

Scrollの提案停止とガバナンス再設計

イーサリアムのレイヤー2「Scroll」は、ガバナンスの再設計に入っています。9月上旬から新規の提案受付を一時停止し、設計の見直しに時間を充てています。承認済みの提案は進行しますが、新規は止まります。意思決定の遅れが、プロトコル運営に影響する懸念が出ています。

Aaveの対応:パラメータを防御的に引き締め

レンディング大手Aaveは、Scroll上の市場に対して防御的な調整を提案しました。提案は9月11日にAave Chan Initiative(ACI)から提出され、迅速化プロセス(Direct to AIP)での実装を想定しています。目的は、ガバナンス混乱時の連鎖リスクを抑えることです。

主な調整案

  • リザーブファクターを90%へ引き上げ:プールに入る利息の取り分を増やし、成長を抑制しつつ安全余力を厚くします。
  • 供給上限(Supply Cap)の引き下げ:現状残高に近い水準まで下げ、新規供給の増加を抑えます。
  • 借入上限(Borrow Cap)の引き下げ:過度なレバレッジ拡大を防ぎ、清算リスクを軽減します。

影響と論点:チェーン横断の運用ガバナンス

AaveのScrollにおけるTVL(預かり資産)は比較的小規模です。それでも早期に引き締めるのは、問題の波及を防ぐためです。複数チェーンで動くプロトコルは、各チェーンのガバナンス状況に左右されます。今回の対応は、チェーン横断での運用ガバナンスの重要性を示します。

一方で、上限引き下げは短期的に流動性を圧縮します。流動性の薄さは価格変動を大きくする場合があります。安全性と利便性のバランスが、当面の焦点になります。

用語補足

リザーブファクター:発生した利息のうち、準備金としてプールに積み立てる割合です。高いほど安全性を意識した設定です。
Supply Cap/Borrow Cap:資産の預け入れ上限と借入上限です。上限を下げると、過度な資金集中やレバレッジ拡大を防げます。
Direct to AIP:Aaveの迅速化フローです。緊急性が高い提案を素早く実装するための手順です。

今後の注目点とリスク:イベント密集、期日通過と政策判断が短期の鍵

短期の焦点:本日のオプション満期と値位置

前述の通り、BTCオプションの満期本日(9月12日・米東部時間)に集中します。概算規模は約43億ドルです。建玉の偏りから、$113,000以上で終わればコール(買う権利)側が約1.75億ドル有利、$111,000未満ならプット(売る権利)側が優位に転じます。期日前後はこの「勝敗ライン」を意識したフローが増えやすく、満期清算・現物の需給・ETF資金の動きが短期の値動きを左右します。

来週の主要イベント(9/16〜9/19)

9月16日(月)米小売売上高。個人消費の強さを測ります。結果はドルと米国債利回りに直結します。

9月17日(火)EU HICP改定。ユーロ圏の物価です。インフレが粘ると、リスク資産に重しになりやすいです。

9月17日(火)カナダ政策金利。資源通貨と金利見通しの手掛かりです。

9月17日(火)FOMC。利下げ幅、声明、ドット(参加者の金利見通し)が焦点です。ドルと短期金利の初動が、暗号資産の方向感に波及します。

9月18日(水)ニュージーランド・英国の指標と金利。為替のボラティリティに注意です。

9月19日(木)日銀会合と日本CPI。金利政策と円の方向で、ドル指数に間接的な影響が出ます。

市場波及:フローと流動性の見どころ

イベント直後は、ドル指数米2年債利回りの動きが重要です。ドル安・金利低下はリスク資産に追い風になりやすい一方、ドル高・金利上昇は重しになりやすいです。また、ETFの資金フローは翌営業日に表れやすく、出来高の戻りが価格の安定に影響します。アジア、欧州、米国の各時間帯で流動性が切り替わる点にも留意が必要です。

構造的リスク:運用とインフラの注意点

ステーキング運用では、大量の解除申請が出るとExit Queue(出金待ち行列)が伸び、出金まで時間がかかります。資金繰りに影響が出る場合があります。ブリッジオラクルの障害・改ざんは、資産の移動や価格参照に直結します。チェーンやプロトコルのガバナンスが停止すると、パラメータ調整が遅れ、想定外の価格変動を招くことがあります。これらは短期の値動きだけでなく、中期の信頼にも影響します。

用語補足

オプション満期(期日):オプション取引が決済される日です。期日前後は価格が動きやすくなります。
HICP:ユーロ圏の消費者物価です。物価の上昇率を示します。
FOMC:米国の金融政策会合です。金利の方針を決めます。
Exit Queue:ステーキングの出金待ち行列です。行列が長いほど出金に時間がかかります。

結論・要点整理:CPI後の緩和期待とETFフロー、TradFi接近が同時進行

最大の論点は「緩和期待×ETFフロー×トークナイゼーション」の三層進行です。先日も取り上げた米CPIは結果が判明しました。直近のフローや相対強弱(SOL/BTCなど)にも反映しています。本日はBTCオプション満期も重なります。通過後の値位置が短期の方向感を決めやすい局面です。

本日の要点

・CPI後に利下げ観測が強まりました。ETFへの資金流入が再加速しています。
・SOL/BTCは2月以来の水準に回帰しました。アルトの相対地合いが改善しています。
・イーサリアムはステーキング残高が拡大しています。一方でKilnの予防退出でExit Queueが伸びています。
・トークナイゼーションでは、ブラックロックのETFシェアのブロックチェーン化検討が進みました。UBSなどの実証も並行しました。
・資本市場ではFigureが初日プラスで上場しました。GeminiのIPO需要も報告されています。

明日以降のチェックポイント

・本日のオプション満期通過後の値位置と出来高の戻り。
・来週の政策イベント(米小売売上高、欧州HICP改定、FOMCなど)の結果と金利見通し。
・BTC/ETHの現物ETFフローの継続性。
・ETHのExit Queueの消化速度とネットワーク手数料の推移。
・IPO連鎖やRWA実装の追加開示。

主要リスク

・マクロの反転リスク(インフレの再加速、成長指標の悪化)。
・規制・監督の変化による市場インフラへの影響。
・運用面の障害(ステーキング運用、ブリッジ、オラクルなど)によるボラティリティ拡大。
・ETFとデリバティブの期日集中に伴う流動性の偏り。

本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。

また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。

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