- 本日のポイント
- 市場概況:ビットコインは10.8万ドル前後、株・為替はやや逆風のリスク環境
- FOMC後の清算拡大とBTCテクニカル:1.1Bドル清算、レンジ下限7k・200日線割れ示唆
- XRP現物ETF:S-1更新で「20日ルール」活用、最短11/13上場の可能性
- Solana:ETF資金は流入継続も価格は軟調、フローと現物の乖離(続報)
- イーサリアム「Fusaka」12/3実装確定:PeerDASでL2手数料・帯域負荷を軽減(続報)
- 国内規制の動き:Bybitが日本の新規登録を一時停止、JVCEAは移転制限の公表更新
- トークン化と伝統金融:J.P.モルガンの私募ファンド決済基盤/英cETN手数料競争/RWA見通し
- オンド周辺アップデート:BNBチェーン対応とChainlink提携でRWAデータ基盤を強化
- 取引所・プロトコルの個別動向:Coinbase好決算、dYdXは米展開の準備を加速
- マイニング×AI:BのCB調達と大型買収可否—収益モデル転換の過渡期
- 今後の展望とリスク:欧州インフレ、米ISM、RBA—イベント通過後のETFフローに注目
- 本日の要点
本日のポイント
一言要約:清算主導の下押しが続く一方で、ETF・トークン化・基盤技術は前進しています。直近イベント通過後にETFフローが持ち直すかが相場の方向を左右しやすい局面です。
今日のハイライト
- BTC: 約$1.1Bの清算後、$107k付近のレンジ下限を試し、200日SMA(約$109,380)を一時的に割り込みました。
- XRP: S-1の「20日ルール」活用で、条件が整えば11/13に最短上場の可能性があります。
- SOL: ETFには資金が流入(BSOL 初日$69.5M・2日目$46.5M、GSOL 初日$1.4M)していますが、価格は-8%と弱含みです。
- ETH: 大型アップグレード「Fusaka」が12/3に実装予定で、PeerDASによりL2コスト低下が見込まれます。
- 規制: Bybitは本日21:00(JST)から日本の新規登録を一時停止し、JVCEAは移転制限銘柄の公表を更新しました。
- トークン化: J.P.モルガンが私募ファンドのフローをオンチェーン化し、英国ではcETNの手数料競争が進展しています。RWAは2028年に$2T規模との予測があります。
- 個別: Coinbaseは3Qで$432.6Mの純利益を計上し、dYdXは米国展開の準備を進めています。
- マイニング×AI: 過去1年で$11Bの転換社債調達が進み、CoreWeaveのCore Scientific買収は否決されました。
直近イベント
- 10/31 19:00(JST): ユーロ圏HICP速報の公表があります。
- 11/03: 米ISM製造業指数の発表があります。
- 11/04: RBA(オーストラリア準備銀行)の政策金利決定があります。
- 翌週: 米雇用統計(NFP)の公表が予定されています。
- 10/30: 米中首脳会談は合意が限定的で、不透明感が残っています。
数値スナップショット(日本時間 10/31 9:45)
- 暗号資産合計: 時価総額 $3.64T/24H出来高 $199.53Bです。
- BTC: $108,766(-1.63%)/ETH: $3,823(-2.52%)です。
- ドミナンス: BTC 59.2%です。
- 米株: S&P500 -0.99%/ナスダック -1.57%/VIX 16.91です。
- 為替: USD/JPY は153.92近辺です。
- 商品: 金先物は$4,038.9、WTIは$60.29です。
詳細は本文各セクションをご参照ください。
市場概況:ビットコインは10.8万ドル前後、株・為替はやや逆風のリスク環境
暗号資産市場は横ばいで警戒感が続いています。 日本時間10月31日9時45分時点で、時価総額は$3.64兆、24時間出来高は$1,995.3億です。ビットコイン(BTC)は$108,766(-1.63%)、イーサリアム(ETH)は$3,823(-2.52%)でした。BTCドミナンスは59.2%です。FOMC後の慎重ムードのなか、主要通貨はレンジ下限近辺での攻防が続きました。
暗号資産のスナップショット
足元のフローは増えていますが、方向感は限定的です。出来高は大きく、価格は下に張り付きやすい状態です。一方で、ステーブルコイン需要は落ち着いており、相対的にBTCへの資金滞留が続きました。短期の戻りは出ますが、上値追いは鈍い状況です。
- 時価総額:$3.64兆
- 24H出来高:$199.53B
- BTC:$108,766(-1.63%)
- ETH:$3,823(-2.52%)
- BTCドミナンス:59.2%
株式・為替・商品との関係
米株は反落です。S&P500は-0.99%、ナスダックは-1.57%でした。恐怖指数のVIXは16.91で、過度な警戒ではありません。為替はドル高が続き、ドル/円は153.92近辺です。商品はまちまちで、金先物は$4,038.9と小反発、WTI原油は$60.29と軟調でした。これらの組み合わせは、暗号資産のリスク選好をやや冷やす方向に働きました。
当面の見どころ
短期は「株安・ドル高・原油安」という外部環境が重しです。出来高は維持されており、どちらかに抜ける準備段階です。ビットコインは下値の固さを試す局面で、戻りの初動は速い一方、節目では売りが出やすい配置です。次の材料が出るまで、レンジ内の推移が続く可能性があります。
用語解説
- FOMC:米連邦公開市場委員会。米国の金融政策を決める会合。
- S&P500:米大型株の代表指数。米国株式市場の方向性を示す指標。
- ナスダック:米国の新興・ハイテク株中心の株価指数。
- VIX:米株の先行き不安度を示す指数。高いほど不安が強い。
- BTCドミナンス:暗号資産全体に占めるビットコインの時価総額比率。
- WTI:米国指標の原油先物価格。世界の原油価格の代表指標のひとつ。
FOMC後の清算拡大とBTCテクニカル:1.1Bドル清算、レンジ下限7k・200日線割れ示唆
清算が急増し、短期はテクニカル主導の持ち合いが続いています。 FOMCの0.25%利下げ直後、先物・無期限先物の強制決済は24時間で約$1.1Bに拡大しました。ビットコイン(BTC)は$107k台のレンジ下限を再び試し、200日SMA(約$109,380)を一時的に下抜いたと指摘されています。個人投資家の不安は10月20日の急落時に匹敵する水準との分析があります。
清算拡大と投資家心理の変化
清算の偏りはロング(買い)側に集中しました。金利は下がったものの、先行き不透明感でレバレッジが剥落しています。オンチェーン分析会社のデータでは、個人の弱気が強まり、$100k未満を想定する投稿が増えています。市場は悲観に傾きやすい一方、過度な片寄りは逆方向の動きを呼びやすい局面でもあります。
焦点となる価格帯と移動平均
短期の攻防は明確です。下は$107,000〜$108,000に近いレンジ下限で、まずはここを維持できるかが焦点です。上は$111,650と$113,600が抵抗帯として意識されています。テクニカル面では200日SMA(約$109,380)の回復が初動の条件です。ここを明確に上回り、日足で定着できると、戻りの勢いがつきやすくなります。
シナリオ整理(水準ベース)
- 上振れシナリオ:200日SMAを回復し、$111,650を上抜け。次は$113,600の確認。定着なら$115k〜$117kが視野。
- 下振れシナリオ:$107,400を明確割れ。$102k〜$104kの需要帯までの下押しに注意。
- 持ち合い継続:$107k〜$108kの下限を維持しつつ、出来高を伴わない上下。材料待ちのレンジ推移。
現状は出来高が高い一方で、方向感は限定的です。指標と価格帯が重なる領域で売買が交錯し、短い値幅の保ち合いが続いています。
用語解説
- 清算(強制決済):証拠金不足でポジションが自動的に決済されること。
- 無期限先物(パーペチュアル):満期がない先物。資金調達率で価格を現物に近づける仕組み。
- 200日SMA:過去200日終値の単純移動平均。長期トレンドを見る代表的な線。
- レンジ下限/抵抗帯:価格が止まりやすい下限や、上昇が止まりやすい上値の帯。
- 需要帯:買い需要が厚く、下落が止まりやすい価格ゾーン。
- Santiment:オンチェーンやSNSデータを分析する暗号資産向けリサーチ企業。
- FOMC:米連邦公開市場委員会。米国の金融政策を決める会合。
XRP現物ETF:S-1更新で「20日ルール」活用、最短11/13上場の可能性
結論:キャナリー・ファンズがS-1を更新し、「遅延修正条項」を削除しました。SECが追加の異議を出さなければ、提出から20日後に自動で有効化される可能性があります。提出日は10月24日で、スケジュール上は11月13日が目安となります。
S-1更新と「20日ルール」のポイント
今回の更新は、手続きの流れをシンプルにします。SECから新たなコメントがなければ、登録が20日後に自動発効します。政府閉鎖の影響で審査業務が滞りがちななか、SEC首脳の発言もあり、この仕組みを活用する動きが強まりました。時間軸が明確になったことで、市場は上場の可能性を具体的な日付で織り込みやすくなりました。
上場時期の見通しと不確実性
11月13日の発効はあくまで条件付きです。SECが異議を出す場合や、実務の都合で上場手続きが延びる場合があります。上場の有無、時期、初期の資金流入は、市場環境と需給に左右されます。期待は高まっていますが、最終判断は未確定です。値動きに直結する材料と見なされやすいため、ヘッドラインだけでなく、発効可否の正式発表と実際の上場時刻を確認する必要があります。
ユーティリティの追い風:UpholdのXRP還元カード
エコシステム面では、Upholdが米国でデビットカードを再開しました。日常の支払いでXRP還元を受けられます。条件を満たすと、直接入金による還元とカード利用の還元を合わせて、最大10%を獲得できる設計です。Visa加盟店で広く使え、300超のデジタル資産での支払いに対応します。利用可能地域は米国の多くの州で、ルイジアナ州・ニューヨーク州・米領土は対象外です。日常決済への展開は、投機だけでないユースケースを示します。
用語解説
- キャナリー・ファンズ(Canary Funds):米資産運用会社。XRP現物ETFの申請者。
- S-1:新規の証券を公募・上場する際に提出する登録届出書。
- 20日ルール:SECが異議を示さなければ、届出が提出20日後に自動で有効となる仕組み。
- SEC:米証券取引委員会。証券市場の監督官庁。
- ETF:取引所で売買できる投資信託。現物型は基礎資産を実際に保有する。
- Uphold:グローバル展開の暗号資産プラットフォーム。ウォレットやカードを提供。
- Visa:国際的なカード決済ネットワーク。多くの店舗で利用可能。
Solana:ETF資金は流入継続も価格は軟調、フローと現物の乖離(続報)
結論:Solana(SOL)関連の現物ETFには資金が入り続けています。一方で、現物価格は前日比で-8%と弱含みです。資金フローと価格の動きにずれが生じ、短期の需給がかみ合っていません。
ETFフローの状況
Bitwiseの「BSOL」は、上場初日に6,950万ドル、2日目に4,650万ドルの純流入を記録しました。グレースケールの「GSOL」も初日に140万ドルの資金流入が確認されています。いずれも立ち上がりは堅調で、ETFという器への需要自体は明確です。手数料水準の差や上場タイミングの違いが、初動の流入規模に影響した可能性があります。
価格が伸びない要因
SOLの現物価格は、ETFの資金流入とは対照的に軟調です。オンチェーンでは、大手トレーディング企業による大口のSOL移動が観測されました。この動きがローテーション(資産の入れ替え)観測を呼び、投資家心理を冷やしたとの見方があります。短期では、現物の売り出しや先物ヘッジの影響、マクロ要因の逆風が重なり、価格の上値を抑えています。
フローと価格のずれをどう見るか
ETFへの資金流入=即時の価格上昇とは限りません。新規の受益権設定や内部での調整により、現物市場へ伝わるタイミングにずれが出る場合があります。さらに、既存保有者の利益確定売りや、他銘柄へのローテーションが同時に起きると、需要増を相殺します。結果として、フローは強いが価格は弱いという乖離が発生します。この構図は、短期要因が薄れるまで続くことがあります。
用語解説
- Bitwise:米資産運用会社。暗号資産関連ETFの発行体。
- Grayscale(グレースケール):米資産運用会社。暗号資産トラストやETFを運用。
- BSOL/GSOL:Solanaに連動する上場投資商品。BSOLはBitwise、GSOLはGrayscaleが提供。
- 純流入:ETFへ入った資金から流出を差し引いた正味の資金増加分。
- ローテーション:資金を他の資産や銘柄へ入れ替える投資行動。
- 先物ヘッジ:価格変動リスクを抑えるために先物で反対売買を行う手法。
イーサリアム「Fusaka」12/3実装確定:PeerDASでL2手数料・帯域負荷を軽減(続報)
結論:大型アップグレード「Fusaka」が12月3日 21:49(UTC)に本番ネットで有効化されます。中核機能のPeerDASにより、バリデータはデータ全体ではなく断片のみを検証できます。これにより帯域の負荷が下がり、レイヤー2(L2)のデータ関連コストの低下が見込まれます。
実装スケジュールと到達点
「Fusaka」は最終テストであるHoodiの検証を済ませ、開発者コールで日程が正式にロックされました。これで年内のスケーリング改善に向けた具体的なマイルストーンが示された形です。作業は合意済みで、当日のブロックスロット到達時に自動で切り替わります。
PeerDASの要点
PeerDASは、データ可用性の保証方法を見直す仕組みです。各バリデータは担当する部分のみを検証すればよく、全データを一括で取得する必要がありません。結果として以下の効果が期待できます。
- 通信帯域の削減:ノード運用の負担を軽くします。
- L2の手数料低下:データ投稿の効率化でコストを圧縮します。
- スループット改善:混雑時でも取り扱えるトラフィックが増えます。
「何が安くなるのか」を整理
主な対象は、ロールアップが投稿するデータ部分のコストです。実行レイヤーの計算料金とは別領域で、データ圧縮と検証効率の向上が効きます。短期ではL2の手数料(ガス)の低下が中心で、アプリの送金・取引コストにも波及が見込まれます。
市場への影響と見方
技術的には処理性能と運用負担の最適化が主眼です。L2のコスト低下は、取引頻度の高いアプリや小口決済のユーザー体験を押し上げます。一方で、ネットワーク全体の手数料水準や価格への影響は、需要動向や他のマクロ要因にも左右されます。まずは年内の安定運用が焦点になります。
用語解説
- Ethereum(イーサリアム):スマートコントラクト対応の主要ブロックチェーン。
- Fusaka:2025年下期に予定されたイーサリアムの大型ハードフォーク。
- PeerDAS:バリデータがデータ断片のみ検証する方式で、帯域とコストを抑える仕組み。
- バリデータ:ブロック提案や検証を行うノード運用者。
- レイヤー2(L2):イーサリアム本体の処理を肩代わりし、手数料や速度を改善する拡張ネットワーク。
- データ可用性(DA):ブロックに必要なデータが誰でも取得でき、検証可能である状態。
- Hoodi:Fusakaの最終検証に使われたテストネット。
- UTC:協定世界時。各国の標準時の基準となる時刻。
国内規制の動き:Bybitが日本の新規登録を一時停止、JVCEAは移転制限の公表更新
結論:海外取引所のBybitは10月31日 21:00(JST)から日本居住者の新規登録を一時停止します。目的は金融庁ガイドラインへの準拠です。既存ユーザーは当面サービスを継続できます。一方、国内の自主規制団体であるJVCEAは、移転制限付き暗号資産に関する公表資料を更新しました。口座開設環境の見直しと取り扱い銘柄の透明性向上が進む局面です。
Bybitの措置:新規登録の一時停止
Bybitは日本の規制ガイドラインに合わせるため、登録手続きを止めます。対象は日本居住の個人・法人です。既存の口座は利用可能とされています。ただし、将来の取り扱い方針は規制対応の進捗で変わる可能性があります。今回の決定は、無登録での勧誘やサービス提供に対する監督強化の流れと整合します。
国内制度の更新:JVCEAの公表改定
JVCEAは「移転制限が付された暗号資産」に関する公表を更新しました。該当銘柄の情報提供を整理し、移転制限の内容やリスクを明確にします。これにより、交換業者の上場審査や開示の基準が引き締まり、投資家がルールを把握しやすくなります。市場の透明性を高める狙いが中心です。
市場への見え方:口座開設と銘柄透明性
- 口座開設環境:海外事業者は日本向けの受付を絞る傾向が続きます。
- サービスの継続性:既存ユーザーの取引や入出金は、各社の規約と監督当局の指針で変動します。
- 銘柄の見通し:移転制限の明示により、取引ルールやリスクの把握が容易になります。
- 全体像:海外・国内の双方で、投資家保護とコンプライアンスを重視する流れが強まっています。
用語解説
- Bybit:海外拠点の大手暗号資産取引所。
- 金融庁:日本の金融規制当局。暗号資産交換業の監督を担う。
- JVCEA:日本暗号資産取引業協会。交換業者の自主規制団体。
- 移転制限が付された暗号資産:譲渡や送付に制限がある設計の暗号資産。
- JST:日本標準時。
トークン化と伝統金融:J.P.モルガンの私募ファンド決済基盤/英cETN手数料競争/RWA見通し
要点:私募ファンドの資金フローがブロックチェーンに移り始めました。英国では暗号資産連動ノート(cETN)の小口解禁で手数料引き下げが進みます。主要行はRWA(現実世界資産)の拡大を予測し、インフラ整備と低コスト商品の競争が並行しています。
J.P.モルガン:私募ファンドのフローをオンチェーン化
同行は「Kinexys Fund Flow」の初の本番取引を実施しました。投資家情報をトークン化し、運用会社・管理会社・販売会社が同じ台帳を共有します。これにより、資金の着金や持分更新をほぼリアルタイムで処理できます。
従来は、照合作業や手動入力がボトルネックでした。オンチェーン化は可視化・即時化・整合性を同時に高めます。代替資産の申込から受渡までの待機時間を短縮し、誤記や二重計上のリスクも抑えます。
- 即時性:キャッシュと権利の移転を同時に記録。
- 運用効率:関係者が単一のデータを参照し再入力を削減。
- 透明性:資金フローの把握と監査対応が容易。
英国:小口解禁でcETNの“薄利競争”が加速
英国の規制変更を受け、個人投資家も暗号資産連動のETNにアクセスできるようになりました。発行体は手数料を大幅に引き下げ、最低水準は年率0.05%まで低下しました。一方で、商品によっては高コストのままの例もあります。
小口解禁は市場参加者を広げます。しかし、発行体の競争は厳しく、流動性や価格乖離の管理力がより問われます。投資家にとっては、コスト低下と選択肢拡大が追い風です。
- コスト面:信託報酬の引き下げが進展。
- 流動性:取引量と板の厚みは発行体ごとに差。
- 商品性:連動対象、ステーキング有無、保管体制を確認。
RWAの拡大見通し:2028年までに2兆ドル規模
大手行は、非ステーブル系のRWA時価総額が2028年に2兆ドルへ達すると見ています。資金の主な受け皿は、マネー・マーケット型、米国株式のトークン化、投資信託、私募・不動産などの流動性の低い資産です。
前提は、安定的な決済手段と分散型金融のレールが整うことです。手数料の低下、決済の高速化、24時間稼働の強みが評価されます。もっとも、規制の整備が遅れると進捗は鈍化します。
- 成長エンジン:安定通貨の流動性とDeFiの拡張。
- 想定配分:MMF・株式トークン・投信・プライベート資産。
- 主要リスク:各国の法制度、投資家保護、会計・税務の整合。
用語解説
- J.P.モルガン:米系の大手金融グループ。
- Kinexys(キネクシス):同行のデジタル資産部門が担う基盤。
- Citco:私募ファンド向けの大手管理会社。
- cETN:暗号資産に価格連動する上場ノート型の証券。
- FCA:英国の金融行為監督機構(規制当局)。
- Standard Chartered:英系の大手国際銀行。
- RWA:現実世界資産のトークン化(株式や債券など)。
- トークン化:資産の権利をブロックチェーン上のトークンで表現。
- オンチェーン:ブロックチェーン上で記録・処理すること。
オンド周辺アップデート:BNBチェーン対応とChainlink提携でRWAデータ基盤を強化
結論:Ondo Global Markets(OGM)がBNBチェーンに拡大し、RWA(現実世界資産)の売買導線とデータ連携が強化されました。あわせてChainlinkが公式オラクルとなり、価格や企業アクションの配信、CCIPによるクロスチェーン接続が前進しました。発行・流通・情報標準の三点で実務面の整備が進みます。
BNBチェーン対応:DEX経由でトークン化株・ETFの売買が容易に
OGMはBNBチェーンでの提供を開始しました。これにより、PancakeSwap経由でトークン化された米国株式やETFの売買が可能です。オンチェーンの24時間取引と、既存のDEX流動性を組み合わせ、注文導線がシンプルになります。
OGMは9月にイーサリアムで稼働を開始しており、BNBチェーンは2つ目の対応先です。今後はソラナやOndo Chainへの展開も計画されています。提供側の発表では、ローンチ後の短期間でTVLは約3.5億ドル、累計オンチェーン取引は約6.7億ドルに到達しています。
- 導線の強化:主要DEXを介した売買でアクセス性が向上。
- 24時間化:株式由来のトークンでも常時取引が可能。
- DeFi活用:保有トークンの貸借など二次利用が拡大。
Chainlink提携:価格・企業アクションとCCIPでデータ標準を前進
ChainlinkがOGMの公式オラクルに選定され、価格や企業アクション(配当、分割など)のデータ提供を担います。データ仕様の統一は、複数チェーンや複数アセットを扱う際の整合性を高めます。
さらに、ChainlinkのCCIPを通じてクロスチェーン連携を標準化します。これにより、権利移転やデータ参照の一貫性が増し、バックオフィスの再入力や照合の負担が減ります。RWAの実務で重視される、正確性・即時性・相互運用性の確保に資する設計です。
- データ品質:公式フィードで価格とイベントを一元管理。
- 相互運用:CCIPでチェーン間の移転・参照を平易化。
- 実務効率:照合の削減、監査対応の明確化に寄与。
全体像:発行・流通・データの三位一体でRWAの実装度が上がる
BNBチェーン対応で流通の間口が広がり、Chainlink提携でデータ標準が整い、既存のイーサリアム稼働が発行基盤を支えます。三つの要素が同時に進むことで、RWAの利用体験が段階的に改善します。
一方で、カストディや法規制、原資産の保全といったオフチェーン要件は引き続き重要です。商品性の比較では、手数料、換金性、権利の扱いを個別に確認する必要があります。
用語解説
- Ondo Finance:RWAトークン化やトークン化証券を提供するプロジェクト。
- Ondo Global Markets(OGM):トークン化株式・ETFを売買できるプラットフォーム。
- BNBチェーン:BNB Smart Chain。高速・低コストのパブリックブロックチェーン。
- PancakeSwap:BNBチェーン上の大手分散型取引所(DEX)。
- Chainlink:オンチェーンに外部データを配信するオラクル基盤。
- オラクル:価格やイベントなど、オンチェーン外の情報をブロックチェーンへ橋渡しする仕組み。
- 企業アクション:配当、株式分割、合併など発行体が行うコーポレートイベント。
- CCIP:Chainlinkのクロスチェーン相互運用プロトコル。
- RWA:株式や債券、不動産などの現実世界資産をトークンで表現する概念。
- TVL:Total Value Locked。プロトコルに預けられた資産残高の合計。
取引所・プロトコルの個別動向:Coinbase好決算、dYdXは米展開の準備を加速
Coinbase:ボラティリティ追い風で収益拡大
結論:第3四半期の純利益は4億3,260万ドルに急増しました。価格変動の拡大が取引高を押し上げ、収益を底上げしました。併せて、ステーブルコインを使った決済需要への期待も示されました。
足元の数字は次のとおりです。取引収益は10億5,000万ドルに増加しました。サブスクリプションおよびサービス収益は7億4,670万ドルへ拡大しました。いずれも前年同期を上回っています。
- 純利益:4億3,260万ドル
- 取引収益:10億5,000万ドル
- サブスク等収益:7億4,670万ドル
同社は、政策整備と企業採用の進展により、ステーブル決済の拡大余地があると述べています。収益源の多角化と、決済インフラとしての役割拡大が焦点です。
dYdX:米国での提供計画を前倒しで準備
結論:米国市場でのサービス提供に向けた計画が報じられました。スポット取引の提供を含む構想で、規制環境の改善観測を背景に準備を加速しています。
実現時期は報道ベースでの計画段階です。具体的な提供範囲やスケジュールは、規制当局との調整に左右されます。非レバレッジの現物領域からの展開が有力とみられます。
示唆:北米での「収益多角化」と「現物回帰」
二つの動きは方向性が共通します。ひとつは収益源の広がりです。取引手数料に加え、決済や保管などの反復収益が重視されています。もうひとつは現物取引の役割です。規制順守の観点から、現物や低リスク商品が入口になります。
一方で、注意点もあります。急なボラティリティ低下は取引収益を圧迫します。また、米国でのコンプライアンス要件は高く、立ち上げのコストや時間が増える可能性があります。
用語解説
- Coinbase:米上場の大手暗号資産取引所。
- dYdX:分散型のデリバティブ取引プラットフォーム。
- ボラティリティ:価格の変動の大きさを示す指標。
- サブスクリプションおよびサービス収益:保管やステーキングなど反復的な収益。
- スポット取引:先物や証拠金を使わない現物の売買。
- ステーブルコイン:法定通貨などに連動する価格安定型トークン。
マイニング×AI:BのCB調達と大型買収可否—収益モデル転換の過渡期
資金調達の加速:転換社債で総額110億ドル
結論:主要マイナーは過去1年間で合計110億ドルの転換社債を発行しました。目的はAIデータセンターへの投資資金の確保です。半減以降の収益圧迫に対応し、設備投資を先行させる動きが強まっています。
発行件数は18件です。1社あたりの発行規模は拡大し、Marathon Digital、Cipher Mining、Iris Energy、TeraWulfはそれぞれ10億ドル規模を実行しました。金利ゼロの条件を含む案件もあり、株式転換による将来の上昇益に期待が集まっています。
- 総発行額:約110億ドル(過去1年)
- 件数:18件(半減後に集中)
- 大型発行:1社あたり10億ドル級の調達が増加
- 条件:クーポン0%の事例も確認
事業転換の狙い:AIインフラで収益源を追加
結論:マイナーは採掘専業から、AI向け演算インフラの提供へと事業を広げています。ビットコイン価格と難易度に左右される収益構造を補完する狙いです。高効率な電力調達や冷却設備を生かし、データセンター運営に横展開しています。
しかし、装置投資と電力コストは高水準です。ハード更新の頻度も短く、減価償却負担が収益の振れ幅を大きくします。電力網への直接接続など制度面の整備が進めば、稼働と需給調整の両立がしやすくなる見通しです。
M&Aの行方:CoreWeaveによるCore Scientific買収は否決
結論:CoreWeaveによる約90億ドル規模の買収案は、株主承認に届きませんでした。統合によるAIインフラ化の加速は一旦見送りです。株価動向は不確実性を織り込み、再編のシナリオは仕切り直しとなります。
マイナー側は株式価値の希薄化や評価額への懸念を抱えていました。買い手側の株価調整も影響し、ディールの受容性が低下しました。今後は業務提携や共同投資など、資本を伴わない連携手段が焦点となります。
示唆と留意点:レバレッジ・CapEx・電力コストの三重管理
結論:資金調達で拡大するのは設備と収益機会だけではありません。財務リスクも同時に増えます。短期的には利払い負担が軽くても、株式転換時の希薄化や市況悪化時の資本性の弱さに注意が必要です。
- レバレッジ:負債増で財務の柔軟性が低下しやすい
- CapEx:最新GPU・冷却・電力系統など更新負担が大きい
- 電力:単価上昇や停止要請で稼働率が変動
- 市況:BTC価格・難易度・AI需要の三重変数に依存
一方で、電力の需給調整力を評価する制度が進めば、データセンターは電力網の安定化に寄与できます。可変負荷の提供は、マイナーの新たな収益機会となる可能性があります。
用語解説
- 転換社債(CB):将来、発行体の株式に転換できる社債。金利が低い代わりに転換で希薄化が起こる。
- 半減(Halving):ビットコインの採掘報酬が約4年ごとに半分になる仕組み。マイナー収益に直結。
- Marathon Digital(MARA):米上場の大手ビットコインマイニング企業。
- Cipher Mining:米系のビットコインマイニング企業。
- Iris Energy(IREN):豪州発のデータセンター・ビットコインマイニング企業。
- TeraWulf:米系のクリーンエネルギー志向のビットコインマイニング企業。
- Core Scientific:米上場の大手ビットコインマイニング企業。
- CoreWeave:米系のAIインフラ・GPUクラウド事業者。
今後の展望とリスク:欧州インフレ、米ISM、RBA—イベント通過後のETFフローに注目
短期の焦点は「欧州インフレ・米製造業・豪州の政策」の三点に集約されます。結果と声明のトーンは金利見通しとリスク選好を動かし、暗号資産のETFフローに波及しやすいです。株安とドル高が続く場合は、暗号資産がレンジ下限を試す展開になりやすいです。
直近スケジュール
- 本日 19:00(JST):ユーロ圏HICP速報値
- 11月3日:米ISM製造業指数
- 11月4日:RBA(オーストラリア準備銀行)政策金利
- 来週:米雇用統計(NFP)
米中首脳会談の位置づけ
10月30日に米中首脳会談が実施されました。具体的な合意は限定的で、通商や関税をめぐる不確実性は残存しています。この不透明感は投資家の安全志向を強めやすく、ドル高・株安の圧力につながる局面では暗号資産の上値を抑えやすいです。
ETFフローと個別テーマの観測点
イベント通過後のETFフローが鍵になります。Solana(SOL)は現物ETFへの資金流入自体は確認されていますが、価格連動は鈍い場面があります。XRPは現物ETFの審査進捗が注目点です。Ethereum(ETH)は12月3日の「Fusaka」適用を控え、レイヤー2の手数料低下が実際に進むかが確認ポイントです。月初・週末のオプション満期に伴うポジション調整にも留意が必要です。
想定シナリオと主なリスク
想定シナリオ:インフレ鈍化やハト派的なスタンスが示されれば、ETFフローの回復を伴う持ち直しが想定されます。逆に、物価・雇用が強く、ドル高・株安が継続する場合は、レンジ下限の再確認に向かいやすいです。
主なリスク:政策当局のメッセージ不一致、通商交渉の停滞、流動性の低下、先物・オプションの建玉偏在に起因するボラティリティ拡大が挙げられます。
用語解説
- HICP:ユーロ圏の消費者物価指数。金利見通しに影響します。
- ISM製造業:米供給管理協会の景況指数。為替・株式・金利に波及します。
- RBA(オーストラリア準備銀行):豪州の中央銀行。政策金利と声明が市場心理を左右します。
- ETFフロー:上場投資信託への資金流入出。需給を通じて価格に影響する場合があります。
- レイヤー2(L2):メインのブロックチェーン外で処理を分担し、手数料や混雑を抑える仕組みです。
- Fusaka:Ethereumの大型アップグレード。データ処理効率の向上などを目的とします。
本日の要点
FOMC後の清算拡大で、ビットコインは$107,000近辺のレンジ下限を試す状況です。一方で、ETFやトークン化、基盤技術の前進は続いています。XRPの現物ETFは11月13日の早期上場観測があり、Solanaは資金流入が続く一方で価格の弱さが目立ちます。Ethereumは12月3日に「Fusaka」実装が確定しました。規制・制度面では、日本の口座環境と英国のcETN解禁が整備を進めています。
市場の動き
- BTCは清算拡大の影響で、$107,000前後のレンジ下限に接近しています。
- 株安・ドル高が続く場合は、暗号資産の戻りが鈍くなりやすいです。
ETF・プロトコルの進展
- XRPの現物ETFは「20日ルール」により11/13に自動発効となる可能性があります。
- Solanaの現物ETFには資金が流入していますが、価格は軟調でフローとの乖離が見られます。
- Ethereumの大型アップグレード「Fusaka」は12/3に本番適用が確定しました。
規制・制度の整備
- 日本では口座開設環境の見直しが進み、透明性の向上に向けた取り組みが続いています。
- 英国では個人向けcETNが解禁され、低コスト化の競争が進行しています。
トークン化とインフラ
- トークン化資産の発行・流通・データ基盤は、伝統金融との接続強化を通じて前進しています。
用語解説
- FOMC:米連邦公開市場委員会。金融政策の方針を決める会合です。
- 現物ETF:現物の暗号資産を保有する上場投資信託です。
- cETN:暗号資産に連動する上場投資証券で、英国市場での個人向け取引が解禁されました。
- Fusaka:Ethereumの大型アップグレード名称で、データ処理効率の向上を目的とします。
免責事項:本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
注記:本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。

 
         
         
         
         
         
         
         
         
         
         
         
         
  
  
  
  
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