ビットコインは115,000ドル前後で反発維持──株高と連動もETF資金流出が重しに
8月5日時点の暗号資産市場では、ビットコイン(BTC)が反発基調を維持しています。 週初の段階で、一時115,000ドルを超える水準まで上昇しました。 その後は115,000ドル前後で推移しており、短期的には高値圏での落ち着いた値動きとなっています。
この動きは、8月3日時点での終値111,992.4ドルからの反発局面に位置づけられます。 反発の勢いがやや鈍化しているものの、前週後半の下落に対する戻しとしては一定の強さを保っています。
イーサリアムや一部アルトコインも上昇
主要アルトコインでは、イーサリアム(ETH)が堅調です。 8月5日時点で3,699ドルと、前日比+4.31%の上昇を見せています。 他にも、Solana(SOL)やChainlink(LINK)などに対しても選別的な資金流入が観測されています。
一方で、暗号資産全体の時価総額や市場シェアには大きな変化は見られていません。 全体としては、局所的な買い材料に反応する個別銘柄と、慎重姿勢が続く市場とのコントラストが浮き彫りになっています。
米国株は全面高──投資家心理は改善傾向
前営業日の米国株式市場では、S&P500が+1.47%、NASDAQが+1.95%と大幅高となりました。 この上昇は、経済指標の底堅さや、好調な企業決算を背景にしたリスク選好の広がりによるものです。
また、投資家の不安心理を示すVIX指数(恐怖指数)は17.48付近まで低下しており、 前日比では-2.86(-14.03%)の大幅な下落率となっています。 この水準は、短期的な市場ボラティリティへの警戒感が和らいでいることを示唆しています。
こうした米株の堅調な推移は、暗号資産を含むリスク資産全体の投資環境にとって、ポジティブな外部要因と見なされています。
ETFから812百万ドルが流出──需給に変化
CoinSharesの最新レポートによれば、7月末時点で812百万ドル規模の資金が暗号資産ETFから流出しています。 これは過去2番目の規模に相当し、市場参加者のポジション調整や利益確定の動きが反映されている可能性があります。
背景には、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げに慎重な姿勢や、今後のインフレ動向に対する懸念があります。 これらの要因が、ETFを通じた機関投資家の動向に影響を及ぼしていると考えられます。
投資家心理は交錯──リスク選好と慎重姿勢の綱引き
現在の市場は、株高によるリスク資産全体への好影響と、ETFフロー悪化による需給不安が共存しています。 そのため、投資家心理も「押し目買い期待」と「調整懸念」がせめぎ合う、中立的な局面にあります。
特に、短期的な価格回復に対しては、材料不足による足踏み感も出てきています。
今後は、ETFフローの動向やマクロ経済指標の内容が、再び相場の方向性を左右することになりそうです。
SolanaやChainlinkの好材料が注目を集める一方、ETF市場は資金流出に転換
Solana、次世代スマホ「Seeker」出荷でエコシステム拡大へ
Solana Mobileは、ブロックチェーン技術を活用した次世代スマートフォン「Seeker」の出荷を、2025年8月5日より50カ国以上で開始しました。 Seekerは、初代モデル「Saga」と比較して性能や機能が大幅に向上しており、特に「Seed Vault」や「TEEPIN(Trusted Execution Environment Platform Infrastructure Network)」といった独自機構が、分散化とセキュリティを両立する設計として注目されています。
事前予約は15万台を超え、販売価格は450ドル〜500ドルに設定されています。 Solana Labsによれば、総売上は6,750万ドル以上に達する見通しです。 従来のスマートフォンと異なり、中央集権的なアプリ配信から脱却した「分散型アプリストア」を搭載しており、DeFiやNFTゲームなどWeb3ユーザーのニーズに対応しています。 この取り組みは、Solanaのモバイル領域への本格進出とエコシステム拡大の一環として、投資家や開発者の関心を集めています。
Binanceの新機能と企業導入がBNB価格を760ドル台へ押し上げ
Binanceは、Web版の「Binance Wallet」を正式公開し、最大7日間先までのトレード承認を可能にする新機能を実装しました。 加えて、これまで一部上級ユーザーに限定されていた「ビットコインオプション取引」の開放を全ユーザーに広げ、BNB建ての取引における手数料20%割引も適用されています。
これらの利便性強化を背景に、BNBは8月5日時点で760ドルを突破し、24時間で約2%の上昇となりました。 特に注目されるのは、出来高が平時比で約50%増加し、テクニカルな抵抗帯(759ドル〜761ドル)をほぼ滑らかに突破した点です。 この動きは、企業などの計画的な買い(コーポレートトレジャリー)による支えがあった可能性が指摘されています。
実際に、複数の米上場企業がBNBへの巨額投資を発表しています。 例として、CEA IndustriesはBinance共同創業者の家族ファンド支援のもと最大12億ドルの資金調達計画を掲げており、Nano Labsはすでに12万8,000BNBを取得。 Liminatus Pharmaは5億ドル、Windtree Therapeuticsは7億ドル規模のBNB調達戦略を打ち出しています。 こうした導入拡大は、BNBの基盤強化と価格支援要因となっています。
Chainlink、米株・ETFデータのオンチェーン提供で価格反発
Chainlinkは8月5日、米国株およびETFのリアルタイム市場データをオンチェーンで提供する新サービス「Chainlink Data Streams」の展開を開始しました。 このサービスは、Apple(AAPL)、NVIDIA(NVDA)、Microsoft(MSFT)などを含む株式やETF(SPY、QQQなど)の高頻度価格データを、37のブロックチェーンネットワーク上で利用可能にするものです。
用途としては、トークン化された株式取引、パーペチュアル先物、合成ETFの構築などが想定されており、伝統的金融とブロックチェーンの架け橋として期待されています。 すでにSolanaベースのDeFiプロトコル「Kamino」や、分散型デリバティブ取引所「GMX」などが導入を開始しており、実需がともなった製品展開となっています。
この発表を受けて、Chainlinkのネイティブトークン「LINK」は+4.39%上昇し、16.16ドルから16.87ドルまで急伸。 取引高は平均の約3倍に増加し、明確な抵抗線突破(16.65→16.83)とともに、17ドルの心理的節目を意識する強気モメンタムが強まっています。
ETF市場では8.12億ドルの大規模流出──FOMC後の利下げ期待後退が影響
一方、暗号資産ETF市場では資金流入が一巡し、8月第1週には8.12億ドルの資金流出が確認されました。 これは過去2番目の規模となり、CoinSharesのレポートによれば、7月の連続的な上昇を受けた「利益確定売り」が背景にあると分析されています。
また、7月末に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)にて、パウエルFRB議長がインフレ対応に引き続き注力する方針を示したことも、利下げ期待を大きく後退させる要因となりました。 同会合を境に、市場の利下げ予想は「9月の利下げ確率63% → 40%」へと急低下しています。 これにより、リスク資産全体への慎重な姿勢が再び強まり、ETF市場の流動性を押し下げる結果となりました。
オンチェーン指標は過熱抑制と安定示唆──MVRVやSOPRは慎重ながらもポジティブ領域維持
MVRV Zスコア:過熱感は抑制され、健全な水準にとどまる
ビットコインのMVRV Zスコアは「2.49」となっています。 この値は、極端な加熱局面(Zスコアが3.0以上)には達しておらず、 市場が利益確定に傾きすぎていない、健全な水準と見なされます。
過去のデータと比較しても、現在はバブル懸念が後退しており、 強い売り圧力がかかりにくい状況にあると考えられます。
STH SOPR:短期保有者の利益確定は落ち着き、再構築局面へ
短期保有者による利確傾向を示す「STH SOPR」は「1.003」で推移しています。 この数値はプラス圏にとどまっており、 保有資産の売却後も、利益が出ていることを意味します。
利確と同時に再エントリーの動きも見られており、 現在の局面は、売却一辺倒ではなく「ポジションの再構築段階」と言える状況です。
Realized Price(短期保有者):依然として含み益を維持
短期保有者の「Realized Price(実現価格)」は「106,039ドル」となっています。 これに対し、現在のビットコイン価格は「約115,000ドル台」に位置しており、 依然として多くの短期投資家が含み益を維持していることがわかります。
この価格乖離が続くかぎり、 急激な投げ売り圧力が発生しにくい地合いが保たれると考えられます。
NUPL:投資家心理は中立からやや楽観へ
ネット未実現損益(NUPL)は「55.8%」となっています。 この値は、全体として投資家の利益が確保されていることを示しており、 心理的には「中立〜やや楽観」に位置する水準です。
ただし、70%を超える水準(過去の過熱局面)にはまだ遠く、 市場全体として慎重な姿勢も同時に維持されていると読み取れます。
ロング/ショート比:取引所間で方向感が分かれる
BinanceとOKXにおけるロング/ショート比には明確な差が見られます。 Binanceではロング(買い)優位、OKXではショート(売り)寄りとなっており、 短期トレーダーの間でも見方が分かれていることが浮き彫りとなっています。
このような分裂したポジショニングは、 相場が明確な方向性を欠いた「もみ合い相場」にあることを示しています。
今後の展望とリスク
米国政策:GENIUS法と金利見通しが交錯
今後の仮想通貨市場では、米国の金融政策と暗号資産規制の動向が、引き続き投資家心理に大きな影響を与える見通しです。 とりわけ、2025年7月18日に署名された「GENIUS法」は注目を集めています。 この法案では、ステーブルコイン発行体による利回り提供が明確に禁止され、実質的に収益性を伴うデジタルドル商品の提供が封じられました。
この規制により、米国のデジタルドルはマネー・マーケット・ファンド(MMF)など伝統金融のトークン化商品との競争において劣位に立つ可能性が指摘されています。 EYのブロックチェーン部門責任者Paul Brody氏は、トークン化MMFは安定性と規制適合性を維持しながら、利回りの提供により投資家の選好を引きつけると述べています。
一方で、安定通貨が依然としてDeFiにおける流動性や汎用性を持つ「ベアラー資産(無記名形式)」である点も、競争上の優位性として指摘されています。 このように、政策が意図する競争構造は必ずしも一方的ではなく、ユーザーの用途次第で選好が分かれる局面が続くと見られます。
英仮想通貨政策の停滞と国際的波紋
暗号資産取引所Coinbaseの顧問であり、元英財務相でもあるGeorge Osborne氏は、2025年8月5日にFinancial Times紙へ寄稿し、英国の暗号資産政策の停滞を厳しく批判しました。Osborne氏は、「ステーブルコイン分野において英国は完全に取り残されており、世界金融都市ロンドンとしての地位が危ぶまれている」と警鐘を鳴らしています。
米国では、GENIUS法の成立を通じてドルの国際的優位性を強化する動きが進む一方、英国では「ポンドが脇役にすらなれない」との懸念が高まっています。特に、英イングランド銀行がステーブルコインに関する明確な政策ビジョンを示せていない点について、Osborne氏は政策的な空白を指摘しています。
また、Coinbaseが公開した風刺広告「Everything Is Fine」では、英国の経済停滞や生活費の高騰といった現状が皮肉的に描写されており、既存金融システムの限界を浮き彫りにする内容となっています。この広告は、暗号資産が提供しうる新たな選択肢や革新の必要性を訴える意図が込められており、国内外で議論を呼んでいます。
FRB高官による利下げ慎重論
米連邦準備制度理事会(FRB)のサンフランシスコ地区連銀のMary Daly総裁は、8月4日の発言において今後の利下げについて「永遠には待てないが、現時点での判断には慎重である」と述べました。 同氏は年内に2回の利下げを行う可能性に言及しつつも、7月の経済指標の結果を踏まえて「もう1サイクル待つ選択肢もある」との見解を示しました。
これにより、次回9月のFOMC(連邦公開市場委員会)に向けた市場の観測は分かれており、金利とビットコインETF資金流入との相関が再び注目される局面にあります。 特に、ETFの資金動向がビットコイン価格に与える影響は短期的なボラティリティの要因として意識されています。
8月12日(火)に発表予定の7月のCPI(米消費者物価指数)など主要経済指標の結果次第では、金利見通しやリスク資産のセンチメントが大きく転換する可能性もあり、引き続き注視が必要です。
ETF流出は一時的か、それとも潮目か──アルト堅調も市場の選別色が強まる構図
本日、暗号資産市場ではビットコインが反発基調を維持する一方で、ETFからの資金流出が依然として価格の重しとなっています。8月5日時点での主要スポットETFのデータによると、連日の純流出が観測されており、需給主導の相場環境において機関投資家の資金動向が再び注視されています。
特に、BlackRockのiShares Bitcoin Trust(IBIT)やFidelityのFBTCからの資金流出は、ETF発足以降の投資トレンドに変化が生じている可能性を示しています。この点から、ETFが支えるビットコイン価格の持続性に対して、市場参加者の間で懸念が広がっています。
アルトコインにみられる資金回帰の兆し
一方で、Solana(SOL)やChainlink(LINK)など、プロトコルの実装実績や技術的発展が評価されている銘柄には、資金が再び流入しています。これは、単なるリスクオンの動きではなく、投資家が「実需・ユースケース」に着目しながら銘柄を選別する段階に入ったことを示唆しています。
特定のテーマ性(リアルワールドアセット〈RWA〉、インフラレイヤー、オラクル領域など)を持つプロジェクトへの資金集中は、市場の成熟と共に選別が進んでいる兆候ともいえます。また、短期的な市場の過熱感が抑制される中で、押し目買いの動きも一部確認されています。
次の焦点はETFフローとマクロ指標
ETF市場のフローが当面の市場心理を左右する状況が続いており、明日以降の資金動向が重要な局面を迎えます。また、今週は米国で7月のISM非製造業指数、英イングランド銀行の政策金利発表、来週には米CPIの発表も控えており、マクロ経済指標と金利見通しが価格形成に影響を与える可能性があります。
ビットコインETFのフローと、アルト市場への資金分配は、単なる相場の上昇下落ではなく、構造的な市場参加者の意図を読み取る上での重要な材料となります。慎重な姿勢が求められる中でも、選別的な買い意欲が再び台頭している点には注目が集まっています。
なお、本記事の一部には、AI技術を活用して収集・整理された市場データや分析情報が含まれております。可能な限り正確性に配慮しておりますが、内容のすべてが実際の市場状況を完全に反映しているとは限りません。
また、本記事は情報提供のみを目的としており、特定の投資行動を推奨または助言するものではありません。投資に関する最終的な判断は、読者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。
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