ビットコイン113K攻防、FOMC議事要旨に注目──SEC「非証券」発言とトランプ利下げ圧力、Tether戦略も【8月20日】

ビットコインやテザーなど主要暗号資産を擬人化した風刺イラスト デイリークリプトニュース
ビットコイン113K攻防やSEC新方針、テザー米進出、FRNTローンチまで。注目テーマをまとめて解説、詳細は記事で。
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ビットコインは113K攻防、株安とマクロ不安が重石に

ビットコインは8月19日の取引で下落基調となりました。高値は116,729ドル、安値は112,750.9ドルを記録し、終値は112,880.3ドルでした。前日比は-2.86%となり、113,000ドルを下回る場面もみられました。短期的な売り圧力が優勢となり、相場は不安定な推移を見せています。

暗号資産市場全体では、銘柄数が9,536に達し、時価総額は3.90兆ドルとなりました。24時間の取引量は1,691.9億ドルで、ビットコインのドミナンスは59%、イーサリアムは13.3%を占めています。ETFを通じた資金流入が鈍化しており、需給面での下押し圧力が意識されています。

米国株の下落とリスク回避姿勢

米国株式市場では、S&P500が6,411.46(-0.58%)、ナスダックが21,314.95(-1.46%)と下落しました。ダウ平均は44,922.39(+0.02%)とほぼ横ばいでしたが、小型株2000は-0.77%と下落。VIX指数は15.57と3.87%上昇し、投資家のリスク回避姿勢を映し出しました。日本株も日経平均が42,987.50(-1.28%)と下落し、グローバル株式市場全体が軟調な流れを示しています。

重要イベントを前にした慎重な相場

20日には、世界各国で注目度の高い経済イベントが予定されています。午前11時にはニュージーランド準備銀行が政策金利を公表予定で、市場では利下げの可能性に関心が集まっています。午後6時にはユーロ圏の7月HICP(改定値)が発表予定で、物価動向が欧州中央銀行の金融政策を左右する要因となります。

さらに、日本時間21日午前3時(米国時間20日14時)には米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表予定です。米国の金融政策に対する見方は、暗号資産市場における投資行動にも直結するため、発表内容が価格変動を引き起こす可能性があります。

米SECの新方針「大半は非証券」

米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス新議長は、8月19日に米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれた「ワイオミング・ブロックチェーン・シンポジウム」で講演しました。その中で「大半の暗号資産は証券には該当しない」と述べ、従来の規制方針からの転換を示しました。

アトキンス氏は「トークン自体を証券とみなすべきではなく、販売方法や付随条件が重要である」と説明しました。これはゲンスラー前議長の「大半の暗号資産は証券」との主張と対照的であり、市場参加者の関心を集めています。

米SECの新方針「大半は非証券」と議会の法整備

米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス新議長は、8月19日に米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれた「ワイオミング・ブロックチェーン・シンポジウム」で講演しました。その中で「大半の暗号資産は証券には該当しない」と述べ、従来の規制方針から大きく転換する姿勢を示しました。

これは、ゲンスラー前議長が繰り返し主張してきた「暗号資産の大半は証券にあたる」との見解と対照的です。市場にとっては、規制リスクの軽減につながる可能性があり、業界関係者の注目を集めています。

一方で、米議会では「デジタル資産市場構造法案」の審議が進行中です。下院では関連法案がすでに可決されており、上院でも超党派での協議が進められています。制度の明確化が実現すれば、取引所や発行体にとって事業環境が安定するとの期待が広がっています。ただし、銀行業界のロビー団体は強く反発しており、規制設計を巡って伝統的金融と暗号資産業界の対立はなお続いています。

このように、政策の舞台では摩擦が残る一方、民間レベルでは伝統金融と暗号資産を結びつける取り組みも進展しており、対立と協調が同時進行している状況です。

Tether米進出、RWA拡大、SPAC活用など企業戦略が活発化

Tether、米国戦略顧問の起用

Tetherは8月19日、米国戦略およびデジタル資産戦略を担う戦略顧問として、元ホワイトハウス暗号ディレクターのボー・ヘインズ氏を起用しました。ヘインズ氏は、トランプ政権下でホワイトハウス暗号評議会の事務局長を務め、ステーブルコイン規制や省庁間調整に深く関与した経歴を持ちます。今回の任命は、同社が米国における政策形成と市場拡大に本格的に関与する姿勢を鮮明にしたものです。

Tetherのパオロ・アルドイーノCEOは、同氏の就任を「米国に強固な拠点を築く」取り組みの一環と位置づけました。同社は、ステーブルコインを起点に国内インフラ投資や支払いシステムの近代化を進めることを視野に入れており、規制環境に対応しつつ市場支配力を強化する戦略を打ち出しています。

スカラムッチ氏によるRWAトークン化

米投資会社スカイブリッジ・キャピタルの創業者アンソニー・スカラムッチ氏は、Avalancheブロックチェーン上で3億ドル規模のファンドをトークン化すると発表しました。この取り組みは、Avalanche上の実世界資産(RWA)残高をほぼ倍増させる規模であり、暗号資産と従来型資産の接続を加速させる動きと位置づけられます。

トークン化対象は、ビットコインを中心とする暗号資産ファンドと、ベンチャーおよび暗号関連資産を含む「ファンド・オブ・ファンズ」です。トークナイゼーションの実務は、機関投資家向けに特化したTokenyが担います。スカラムッチ氏は「取引の迅速化、コスト削減、透明性向上といった利点により、トークン化は既存の仕組みに勝る」と強調しました。

DeFi・AI領域に特化したSPAC設立

暗号資産強気派として知られるチャマス・パリハピティヤ氏は、2億5,000万ドル規模のSPAC(特別買収目的会社)「American Exceptionalism Acquisition Corp A」を米証券取引委員会に申請しました。ニューヨーク証券取引所で「AEXA」として上場を目指し、分散型金融(DeFi)、人工知能(AI)、エネルギー、防衛分野の成長企業を対象とする計画です。

このSPACは、Social Capitalのスティーブン・トリュー氏がCEO、パリハピティヤ氏が会長を務めます。同氏は過去にも複数のSPACを主導しましたが、一部は清算に終わっており、今回も期待と警戒が交錯しています。それでもDeFiやAIを伝統的資本市場に取り込む試みは、ブロックチェーンと金融業界を橋渡しする重要な動きと評価されています。

ワイオミング州、州発行ステーブルコイン「FRNT」始動

ワイオミング州ステーブル・トークン委員会は8月19日、米国初となる州政府発行ステーブルコイン「フロンティア・ステーブル・トークン(FRNT)」のメインネット稼働を発表しました。これにより、同州は米国で初めて公式にブロックチェーンを活用した安定資産を提供する州政府となりました。

FRNTは米ドルおよび短期国債により完全に担保され、さらに法的に義務付けられた2%の過剰担保を付与することで高い安定性を確保しています。基盤にはレイヤーゼロを採用し、Arbitrum、Avalanche、Base、Ethereum、Optimism、Polygon、Solanaの7チェーンに対応する設計です。

インフラはFireblocksが担当し、資産管理はFranklin Advisorsが担います。取引はKrakenでの展開や、RainのVisa連携カードを通じた利用が予定されており、利用者にとってのアクセス環境も整備されつつあります。

マーク・ゴードン州知事は発表の場で「ワイオミング州は2016年以来、ブロックチェーンと仮想通貨規制において45以上の法案を可決し、先導的な役割を果たしてきた」と述べ、同州の先進的な法整備とFRNT導入の意義を強調しました。今回の取り組みは、7月に署名された連邦ステーブルコイン法案と並行し、州レベルでの制度実装を前進させる動きとして注目されます。

オンチェーンとマクロ指標でみる今後の注目点とリスク

FOMC議事要旨:流動性と金利期待の再評価

米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨は、米国時間8月20日14時、日本時間では21日午前3時に公表予定です。市場は利下げ時期やバランスシートの運営方針に関する示唆を確認します。金利期待が変化すれば、ドル資金の需給が変わり、暗号資産のリスク許容度にも影響が及びます。発表直前はポジション調整が入りやすく、短期の値動きが荒くなる可能性があります。

ユーロ圏HICP・RBNZ政策金利:為替とリスク選好の連動

本日20日は、午前11時にニュージーランド準備銀行(RBNZ)の政策金利、午後6時にユーロ圏7月HICP(改定値)の公表が予定されています。インフレ指標と金利判断は、為替と株式のボラティリティを高める要因です。為替の方向性がリスク資産の資金フローに波及すると、暗号資産の短期的な需給にも影響が出ます。時間帯別の流動性を意識し、イベント前後の急変に備える必要があります。

オンチェーン指標で読む需給と心理

オンチェーンデータは、短期投資家の行動や市場参加者の心理を把握するうえで有用な情報を提供します。8月20日時点の主要指標を整理すると、以下のような特徴が見られます。

  • 短期保有者SOPR(STH SOPR):0.981と1を下回りました。SOPRは売却時の損益比率を示す指標で、1未満は「損切り売却が多い」状態を意味します。短期的には戻り局面で売り圧力が強まる傾向を反映しています。
  • STH実現価格:108,541.68ドルに位置し、現行価格(112,880.3ドル終値)がこれを上回っています。実現価格は短期保有者の平均取得コストを表し、これを上回ることで「平均的には含み益を維持している」状況を示しています。心理的な下支えとして意識されやすい水準です。
  • NUPL(Net Unrealized Profit/Loss):55.61%で推移しており、市場全体として過半の投資家が含み益を抱えています。過度な楽観に傾いてはいませんが、利益確定売りが出やすい局面であることを示しています。
  • MVRV-Zスコア:2.49で、直近24時間で-3.30%低下しました。MVRVは「市場価格と実現価格の乖離」を測る指標で、プラス圏にあるため依然として割高感が意識されやすい状況です。

このように、指標ごとに異なる側面が強調されます。SOPRは「直近の取引行動」を反映する一方で、実現価格やNUPLは「全体の平均的な含み益」を示します。すなわち、平均的には含み益を維持しつつも、短期的な売買では損切りが出ているという二面性が存在する点が重要です。

さらに、取引所データも需給の傾向を示しています。Coinglassによると:

  • Binance BTC/USDT:アカウント比は1.67(+2.29%)、トップトレーダーのアカウント比は1.76(+1.20%)、ポジション比は1.96(+2.33%)とロング優勢。
  • OKX BTC/USDT:アカウント比は1.68(+2.44%)、トップトレーダーのアカウント比は1.02(+13.40%)と拮抗、ポジション比は1.99(+74.64%)と大口がロングに傾斜。
  • Bitfinexマージンポジション:ロング48,470BTCに対し、ショート275.80BTCと圧倒的にロング優勢。

一方で、4時間ベースの取引量はロングが-48.75%の42.7億ドル、ショートが-48.39%の41.9億ドルと急減しており、イベント前にポジションを縮小する「様子見姿勢」が強まっています。総じて、オンチェーンは含み益維持の楽観と短期的な売り圧力が交錯する局面を示しており、今後のマクロイベントが需給バランスを大きく動かす可能性があります。

結論・要点整理

8月19日の暗号資産市場は、ビットコインの113,000ドルを巡る攻防や米国株式の軟調、さらには金融政策イベントを控えた慎重姿勢が重なり、不安定な値動きを見せました。一方で、規制と政策の分野では、SECアトキンス新議長の「大半は非証券」とする発言や、ワイオミング州によるFRNTローンチなど、従来の枠組みを再構築する動きが鮮明になっています。

民間企業の動向も活発化しており、Tetherの戦略顧問起用、スカラムッチ氏によるRWAトークン化、SPACを通じた新領域への資本流入が進んでいます。州政府の取り組みと並行し、暗号資産市場は「規制明確化」と「事業拡大」が同時進行する局面に入ったと言えます。

オンチェーン指標では、短期保有者SOPRやMVRV Zスコアが市場心理の微妙なバランスを映し出しています。多くの投資家は含み益を維持しつつも、価格調整局面では売り圧力が強まりやすい環境にあります。NUPLも55%台と、楽観と慎重姿勢が拮抗する水準にとどまっています。

今後の焦点は、FOMC議事要旨やユーロ圏HICP、RBNZ政策金利といったマクロ経済イベントが市場心理にどう作用するかです。これらが金融政策の方向性に影響し、暗号資産市場の需給バランスに直接反映される可能性があります。

本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれています。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。

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