ビットコイン12万ドル接近、ETH・主要アルト堅調──株高とマクロ緩和期待が追い風
ビットコイン(BTC)は前日比2.19%高の11万9,300ドル台で推移しています。節目となる12万ドル突破が視野に入り、市場では短期的な上昇モメンタムが意識されています。
イーサリアム(ETH)は長期レジスタンスラインを突破し、4,271ドル付近まで上昇しました。時価総額は5,140億ドルを超え、主要アルトコイン市場をけん引しています。
暗号資産市場全体の動き
暗号資産全体の時価総額は3兆9,400億ドルとなり、前日からの拡大傾向が続きました。BTCドミナンス(市場占有率)は59.7%に低下し、アルトコインへの資金流入が進んでいます。
株式市場の状況(前営業日)
米国株式市場は現地時間8月9日(金)に取引を終え、主要指数はいずれも上昇しました。
- S&P500:0.78%高
- ナスダック総合指数:0.98%高
- VIX指数:15.15(低水準を維持)
日本時間8月11日(月)午前9時42分現在、米市場は週末のため休場中です。株高と低ボラティリティが、リスク資産である暗号資産市場にも追い風となっています。
マクロ環境と市場心理
今週は米国消費者物価指数(CPI)発表や豪州中銀の政策金利決定を控えています。投資家はマクロ経済イベントへの警戒を維持しつつも、ETF関連の期待や主要アルトの強気相場に支えられた楽観ムードが広がっています。
ビットコイン上昇圧力とアルト市場の資金流入が同時進行
前述のように、ビットコイン(BTC)は12万ドル接近の動きを見せています。その背景には、複数の要因が同時進行しており、アルトコイン市場への資金流入と並行して進んでいます。
BTC:ショート清算リスクとCMEギャップ
BTCは現在、11万9,000ドル台で推移しており、11万6,500ドル付近にCMEギャップ(米シカゴ・マーカンタイル取引所の先物価格と現物価格の差から生じる未取引価格帯)が存在します。このギャップは市場が埋める動きを見せやすく、短期的な価格変動要因となります。また、約10%の価格上昇でショートポジション(売り建て取引)が強制決済され、18億ドル規模の清算が発生する可能性があります。週足終値を経て12万ドル突破を狙うシナリオが意識されています。
ETH:長期対称三角形を上抜け
イーサリアムは長期の対称三角形パターン(価格が高値と安値を切り下げ・切り上げしながら収束するチャート形状)を上放れしました。価格は4,200ドルを上回り、2021年以来の高値圏に突入しています。この形状の上抜けは、上昇トレンド再開のシグナルとされ、最高値更新を視野に入れた強気相場を示唆します。これによりアルト市場全体への資金流入が加速しています。
USDe:GENIUS法効果で急成長
ステーブルコインUSDeは、供給量とTVL(Total Value Locked=総預かり資産額)が急増しています。米国のGENIUS法施行により、米国内での金利支払い禁止規制を回避するDeFi(分散型金融)型運用が可能になり、投資家資金を吸収。わずか500日でTVLが100億ドルに到達し、成長スピードは競合を上回っています。
XRP:SECによる「Regulation D」資金調達制限の解除で機関採用に追い風
XRPの発行元であるRippleは、米証券取引委員会(SEC)からRegulation D(レギュレーションD)に関する新たな免除を取得しました。これは、過去の法的紛争により適用されていた資金調達制限(いわゆるBad Actor指定)が解除されたことを意味します。
Regulation Dは、SECへの登録を省略しながら、認定機関投資家からプライベートで資本を調達できる制度です。今回の解除により、Rippleは米国内でも機関投資家向けの私募を通じて迅速かつ柔軟に資金を確保できるようになります。
この動きは、Rippleの事業拡大や国際送金ネットワークの普及戦略を後押しする可能性があります。一方で、XRP価格は依然として3.65ドルのレジスタンス(上値抵抗線)を突破できておらず、短期的にはテクニカル面での課題が残ります。
テクニカル指標とオンチェーンデータが示す投資家心理
前述のように、ビットコインは12万ドル接近を背景に、テクニカル分析やオンチェーンデータからも投資家心理を読み取る動きが活発です。以下では主要指標の概要と現状を整理します。
短期保有者SOPR(Spent Output Profit Ratio)
SOPR:1.008。 SOPRは、売却されたコインの取得価格に対する売却価格の比率です。1を上回ると利益確定が優勢、1を下回ると損切りが優勢とされます。 現状はわずかに利益確定が優勢ですが、過去の急騰局面で見られる大規模な売り圧力は確認されません。
MVRV-Zスコアと短期保有者の実現価格
MVRV-Zスコア:2.58。 MVRV-Zスコアは、時価総額と実現時価総額(全コインの平均取得価格に基づく評価額)の乖離度を測る指標です。高すぎると過熱、低すぎると割安と判断されます。 短期保有者の実現価格は106,565ドルで、現在価格はこれを大きく上回っており、下値支持力が強い状況です。
NUPL(Net Unrealized Profit/Loss)
NUPL:55.77%。 NUPLは、投資家が保有する含み益・含み損の割合を示し、0%は損益ゼロ、プラスは含み益、マイナスは含み損です。 55%超は市場が「楽観ゾーン」にある水準で、過去にはこの状態から部分的な利益確定が進み、一時的な価格調整に至った事例があります。
ロング/ショート比
Binance:0.93、OKX:0.90。 ロング/ショート比は、先物市場での買いポジション(ロング)と売りポジション(ショート)の比率を示します。1未満はショート優勢を意味します。 この状態では価格上昇時にショートカバー(売り方の買い戻し)が起きやすく、急騰の引き金となる場合があります。
ETH出来高と資金循環
ETH市場の出来高は増加傾向にあります。 出来高の増加は投資家の関心の高まりを示すほか、ビットコインからアルトコインへの資金循環が始まっている兆候と考えられます。これが継続すれば、市場全体の流動性が高まり、複数銘柄に資金が波及する可能性があります。
その他の注目ニュース
前述の市場動向に加え、暗号資産市場では複数の注目すべきニュースが並行して進展しています。以下に主要な動きを整理します。
BTC市場支配率の低下
ビットコインの市場支配率(ドミナンス)は過去1週間で3.22%低下しました。これは、時価総額に占めるビットコインの割合が減少し、イーサリアムやその他のアルトコインに資金が移動していることを示します。ドミナンス低下は、アルト市場の活況や資金循環局面の兆候とされます。
BTCボラティリティの低下
ETF承認以降、ビットコインの価格変動幅(ボラティリティ)は縮小しています。これは長期運用を前提とする機関投資家の参入を促す一方、短期的な値幅を狙う投機的取引の機会は減少する傾向にあります。
ブラックロックのXRP現物ETFへの慎重姿勢
世界最大の資産運用会社ブラックロックは、XRP現物ETFの組成について慎重な姿勢を示しています。背景には、米国内の需要不足や規制の不透明さ、既存申請の過多、そして流動性の大半がアジア市場に偏っている構造があります。
エルサルバドルの新投資銀行法
エルサルバドルでは新たな投資銀行法が成立し、投資銀行によるビットコイン保有やプロ向け暗号資産サービス提供が合法化されました。これにより、同国の暗号資産フレンドリーな政策がさらに強化される見通しです。
日本市場停滞の文化的背景
日本の暗号資産市場の停滞には、税制改革だけでは解消できない文化的・制度的要因が指摘されています。過剰な規制文化や制度的障壁が、新しいサービスやビジネスモデルの導入を妨げているとみられます。
World Mobileのドローン型5G通信網
通信プロジェクトWorld Mobileは、水素燃料ドローンを活用した5G通信網を展開します。この仕組みは広域を低遅延・低コストでカバー可能で、従来のインフラが届きにくい地域での利用が期待されます。
ビットコイナー誘拐事件の増加
暗号資産保有者を狙った誘拐事件が週1件以上のペースで発生しており、データ漏えいとの相関が指摘されています。中には物理的な暴行や脅迫による「レンチ攻撃」と呼ばれるケースも確認されています。
CPI・政策金利発表前の値動きに注目、調整リスクも内包
前述のように、市場は今週、複数の重要経済指標を控えています。特に8月12日発表の米国消費者物価指数(CPI)は、米東部時間8時30分(日本時間21時30分)に公表されます。インフレ鈍化が続けば利下げ観測が一段と強まり、暗号資産市場にも買い圧力がかかる可能性があります。一方、予想を上回る結果となれば、利下げ期待が後退し、リスク資産全般で調整圧力が高まる恐れがあります。
同日にはオーストラリア準備銀行(RBA)が政策金利を発表します。これは世界的な金利トレンドや資金の流れを判断する材料となります。さらに、8月15日には日本の四半期GDP速報値が発表予定で、円相場やクロス円市場経由で間接的に暗号資産に影響を与える可能性があります。
ビットコインは12万ドル突破で史上最高値更新への期待が高まりますが、CME先物市場に残る「CMEギャップ」(先物と現物の価格差)11万6,500ドル付近が短期的な下落要因になり得ます。CPI発表直後は取引量が急増しやすく、ギャップ埋めの動きが出れば、一時的なボラティリティ拡大が想定されます。
規制環境では、米国の「Operation Chokepoint」問題が依然として不安材料です。これは金融機関が特定業種との取引を制限する政策で、暗号資産業界の資金流入を抑制し得ます。また、各国固有の規制文化や制度が、長期的な市場参加障壁となる懸念も残ります。
アルトコイン市場では、分散型ステーブルコインUSDeの急成長や、XRPの制度面での進展が資金流入を後押ししています。ただし、急騰後の利益確定売りが発生しやすく、特にCPI発表前後は需給変動が激化する可能性があるため、短期的なポジション管理には慎重さが求められます。
短期的な上値試しと調整の分岐点、機関資金の動向に注目
前述のように、ビットコイン(BTC)は12万ドル突破を視野に入れる局面を迎えています。加えて、イーサリアム(ETH)の強気転換、分散型ステーブルコインUSDeの急成長、XRPの機関採用の進展が、市場全体の強気基調を下支えしています。
短期的には、8月12日の米国消費者物価指数(CPI)発表前後に値動きが拡大する可能性があり、イベントリスクに備えたポジション調整が入りやすい環境です。このため、押し目形成時の戦略検討が有効とされます。
機関投資家による資金流入が継続し、さらにETF関連の好材料が揃えば、中期的には上値追いのシナリオが強まる見込みです。ETF(上場投資信託)は現物や先物を裏付けとした金融商品で、機関投資家が市場に参入しやすくする効果があります。
なお、明日予定されるCPI発表は米国のインフレ動向を示す重要指標であり、その結果は暗号資産市場のトレンドに直接影響を与えると予想されます。
本記事内容には、一部AIによるデータ収集・分析結果が含まれています。内容の正確性には十分配慮していますが、実際の状況とは異なる可能性があります。また、本情報は市場理解を目的としたものであり、特定の投資判断を推奨するものではありません。
コメント