はじめに｜規制の波と静かな蓄積、仮想通貨市場の転換点か
2025年5月6日、仮想通貨市場は落ち着いた値動きの中で、複数の注目ニュースが浮上しました。
ビットコインは94,000ドル台を維持。急騰や急落は見られないものの、ETFを通じた資金流入は継続しており、市場に安定感を与えています。
一方で、規制リスクへの警戒感も強まっています。特に、インドネシア政府によるWorldcoinプロジェクトへの停止命令（5月6日報道）や、SECによるLitecoin ETF審査の動向がクローズアップされ、制度面での不確実性が意識されています。
そのほかにも、以下のような動きが目立ちました：
- 企業によるビットコインの追加購入
- Chainlinkの新報酬制度導入
- Solanaによるバグ修正と透明性の議論
- Rippleの教育支援やTetherのAI事業参入
価格の安定と制度・技術面での変化が並行して進行しているのが現在の市場の特徴です。
本記事では、こうした話題を中心に、世界の大手仮想通貨系メディアから報じられた最新ニュースを広く網羅的に紹介していきます。
主なニュース
Worldcoin、インドネシア政府が停止命令──プライバシー規制強化の流れか
2025年5月6日、インドネシアの情報通信省は、Worldcoinプロジェクトの国内ライセンスを一時停止しました。対象は、OpenAI共同創業者のサム・アルトマン氏が主導する「World」アプリで、虹彩スキャンによる本人確認データの取り扱いが、同国の規制に抵触する可能性があると判断されました。
この決定は、グローバル規模で拡大する生体認証プロジェクトへの規制的ブレーキとみなされており、特に新興国におけるデータ主権やプライバシー保護の強化傾向を象徴しています。
Worldcoinに対しては過去にもケニアや欧州諸国で同様の懸念が表明されており、今回の事例はその「規制連鎖」の延長線上にあると見られます。
参照元：
News.Bitcoin「インドネシア、規制違反でワールドのライセンスを凍結」
Decrypt「Indonesia Suspends World Project」
Crypto Times「インドネシア当局、OpenAI創設者の暗号資産プロジェクト『World』を一時停止」
CryptoSlate「Worldcoin faces regulatory setback in Indonesia over compliance issues」
Litecoin ETF、SECの対応に注目集まる──承認の可能性も報道
米証券取引委員会（SEC）は、Canary Capitalが申請したLitecoin（LTC）の現物ETFに関する判断を保留しました。2025年5月6日時点で、複数の業界メディアがこれを「承認に向けた兆し」と解釈し、注目度が急上昇しています。
特に、VanEckが同時期にBinance Coin（BNB）を対象としたETF申請を提出したことで、アルトコインETFに対するSECのスタンスが徐々に変化しつつある可能性が指摘されています。
また、Litecoinの価格にもすでに反応が出ており、ETF承認への期待感が短期的なトレンドを形成している模様です。
参照元：
Decrypt「SEC Punts on Canary Capital Litecoin ETF Approval」
bitcoinsistemi「BREAKING: SEC Issues Statement on Litecoin Spot ETF」
The Defiant「VanEck files for BNB ETF, Litecoin ETF approval odds rise to 47%」
CryptoSlate「Litecoin climbs on hopes of ETF green light from SEC」
ストラテジー社、1,895 BTC（約259億円相当）を追加購入
マイケル・セイラー氏が率いるストラテジー社（旧マイクロストラテジー）は、2025年5月5日に1,895 BTC（約259億円相当）を追加購入したことを明らかにしました。これにより、同社の総保有量は555,450 BTCを突破し、保有資産価値は7.5兆円を超えています。
今回の購入は、株式売却によって得た資金を充てたものであり、企業としてのビットコイン蓄積戦略を継続する姿勢を強調する動きとなっています。また、この買い増しにより、BlackRockの保有量に次ぐ規模に迫るポジションを築きつつあることも注目点です。
Cointelegraphなど複数メディアでは、同期間にSemler Scientificも167 BTCを追加購入したと報じており、企業投資家による長期積立姿勢が明確になってきています。
参照元：
jinacoin「ストラテジー、約259億円分のBTCを追加購入」
CoinDesk「Strategy Adds 1,895 Bitcoin」
Cointelegraph「Strategy、Semlerが2,000BTCを購入、BTC97K試す展開も」
Cryptobriefing「Strategy scoops up 1,895 BTC」
News.Bitcoin「Strategy、最新の1億8000万ドルの買収でBlackRockに接近」
ビットコイン及び主要なアルトコインのニュース
ビットコイン価格推移（2025年5月5日）
2025年5月5日のビットコインは、日中に93,000ドル台まで下落する場面も見られましたが、最終的には小幅高で終了しました。依然として94,000ドル台を維持しており、市場の底堅さを示しています。
- 始値：94,314.6ドル
- 高値：95,206.8ドル
- 安値：93,590.8ドル
- 終値：94,745.2ドル
- ドミナンス（市場占有率）：63.7%
急騰・急落を伴わない価格推移は、市場のボラティリティが低下している兆候とも解釈されており、短期的なポジション調整と長期的な蓄積の均衡状態が続いています。
参照元：
Investing.com「ビットコイン 過去データ」
ETF資金流入は3週連続のプラス──安定相場の下支え要因に
CoinSharesのレポートによると、過去3週間で累計55億ドル以上の資金が仮想通貨市場に流入しており、その多くがETF（上場投資信託）経由の機関投資によるものでした。
特に米国のビットコインETFへの注目が継続しており、BlackRockをはじめとする大手ファンドの存在感が顕著になっています。このETF経由の継続的な資金流入が、現在の価格安定を支えている要因の一つと見られています。
複数のメディアが、この資金流入が「弱気局面の中でも持続的な蓄積を示唆する材料」として機関投資家の関心を高めていると報じています。
参照元：
jinacoin「仮想通貨市場に資金回帰、3週で55億ドル流入＝CoinSharesレポート」
News.Bitcoin「Weekly ETF Recap」
Decrypt「Bitcoin ETFs Continue Positive Run, Pulling in $1.8 Billion Last Week」
Crypto Times「米ビットコインETFへの資金流入止まらず、3週連続プラス」
市場は再蓄積フェーズへ？──ボラティリティ低下が示す可能性
ビットコインのボラティリティ指数が過去と比較して大幅に低下していることが報じられています。これは、短期的な売買が一巡し、長期投資家による静かな買い増しが進行している可能性を示す兆候とされています。
「再蓄積フェーズ（Accumulation Phase）」とは、価格が一定のレンジで推移しながら、取引量が減少し、資産の蓄積が進行する局面を指します。過去の強気相場前にも類似のパターンが確認されており、今回も次の価格上昇に向けた準備段階ではないかとの見方もあります。
現在の市場は短期的に動きが乏しい一方で、大口投資家が動き出す前の静寂期とも解釈可能です。
参照元：
Blockchain Reporter「Bitcoin Volatility Index Signals Fresh Accumulation Phase」
注目のアルトコイン最新動向
★MAGACOINFINANCE、価格目標0.007ドルに接近
注目のポリティカルミーム系トークン「MAGACOINFINANCE」が、0.007ドルの価格目標に迫る展開となり、複数のメディアで報道されています。特にEthereum（ETH）やCardano（ADA）のトレーダーが、ポジションの一部をこの新興銘柄に振り向けている動きが観測されました。
さらに、MAGACOINFINANCEはビットコイン（BTC）やXRP、Solana（SOL）と並び、2025年の主要上昇候補として注目されているとする見方も出ています。SOLやKaspaといった他のアルトコインとの共演で、市場に独自の存在感を示しています。
参照元：
bitcoinsistemi「What ETH and ADA Traders Are Doing Now as MAGACOIN FINANCE Moves Closer to Its $0.007 Target」
bitcoinsistemi「BTC, XRP, and MAGACOINFINANCE Build Strength—SOL and Kaspa Add May Momentum」
bitcoinsistemi「Will MAGACOINFINANCE, XRP, BTC, and SOL Lead 2025’s Surge?」
Solana、セキュリティバグを非公開で修正し議論
Solana（ソラナ）は、2025年初旬に発見されたトークン規格に関する重大な脆弱性を、公式発表なしに秘密裏で修正していたことが明らかになりました。この脆弱性は、不正なトークンの鋳造や資産の横領につながる恐れのあるものでした。
この対応については、開発チームの対応速度を評価する声と、情報開示の透明性不足を懸念する意見が分かれており、Solanaの今後の信頼性にも影響を及ぼす可能性があります。
参照元：
Decrypt「Solana Patches Bug」
Crypto Times「ソラナ、トークン規格の重大な脆弱性を修正」
XRP、取引高は安定もネットワーク活動は減速傾向
Ripple（リップル）関連の暗号資産XRPは、2025年第1四半期において32億ドル規模の取引高を維持しました。市場における流動性は一定の水準を保っているものの、XRPL（XRP Ledger）上のネットワーク活動は急減しており、分散型アプリケーションの利用頻度やトランザクション数が低下傾向にあります。
この乖離は、価格に対するネットワーク基盤の相関性に注目が集まる要因となっています。
参照元：
CryptoSlate「XRP trading volume steady」
★Chainlink、他トークンによる報酬制度を導入
分散型オラクルネットワークのChainlinkは、LINKトークンのステーキング参加者に対して他プロジェクトのトークンを報酬として分配する新制度を開始しました。
これにより、Chainlinkのステーキングモデルはより柔軟かつ他プロジェクトとの連携を重視する設計へと進化。DeFi間の連携強化やユーザー参加の動機付けに寄与する可能性が高まっています。
参照元：
Decrypt「Chainlink Is Now Rewarding LINK Stakers」
CoinDesk「Chainlink to Start New Community Rewards Program for LINK Stakers」
★SUI、月間成長率で他チェーンを凌駕
SUIブロックチェーンが、2025年4月の月間成長率で全チェーン中トップを記録したと報じられています。プロトコル数ではEthereumに次ぐ規模を誇り、分散型金融（DeFi）やWeb3系アプリケーションの導入が急増しています。
新興チェーンの中では、最も実装スピードとコミュニティ活動が活発なプロジェクトの一つとして、今後の展開にも注目が集まります。
参照元：
Blockchain Reporter「Ethereum Dominates, SUI Leads in Growth」
業界全体・規制・著名人ニュース
米国、仮想通貨市場構造法案で議論加熱
2025年5月5日に報じられた米国の仮想通貨市場構造法案をめぐる動きでは、共和党が提出した「GENIUS法案」に対し、民主党側が反対の姿勢を強めています。これにより、今後の規制環境の行方は一層不透明になっています。
この法案は、SEC（証券取引委員会）の影響力を縮小させる意図が含まれており、仮想通貨を「証券」ではなく「商品」として扱う方向性が議論の焦点となっています。こうした政策の変化は、今後のトークン上場審査やDeFiの規制方針にも波及する可能性があります。
参照元：
Coindesk「U.S. Crypto Market Structure Bill Unveiled」
Cryptoslate「Democratic opposition threatens GENIUS Act」
Ripple、米国教育支援に2,500万ドルを投資
ブロックチェーン企業Rippleは、同社のステーブルコイン「RLUSD」を通じ、米国の教育支援活動に2,500万ドル（約38億円）を投じると発表しました。
この取り組みは、教室のインフラ改善や教育リソースの拡充を目的とし、社会的インパクト投資としても注目されています。RLUSDの実用性を高めるとともに、同社のブランド価値を社会的信頼と結びつける動きと見られます。
参照元：
CryptoSlate「Ripple commits $25 million in RLUSD stablecoin」
Cryptobriefing「Ripple commits $25 million」
Binance創業者CZ氏、キルギスに仮想通貨国家戦略を提言
Binanceの共同創業者であるChangpeng Zhao（通称CZ）氏は、キルギス政府に対し、国家準備資産としてのビットコイン（BTC）およびBNBの導入を提案したことが報じられました。
CZ氏の発言は、キルギスにおける仮想通貨教育や決済インフラの整備を含んだ広範な協力の一環であり、同国のブロックチェーン国家戦略において重要な示唆とされています。
参照元：
Cointelegraph「Binance Founder Advises Kyrgyzstan」
Tether、AIプロジェクト「Tether AI」を正式発表
ステーブルコイン「USDT」の発行元であるTether社は、新たなAIプロジェクト「Tether AI」の立ち上げを明らかにしました。同プロジェクトは、分散型オープンソースのインテリジェンスネットワークを志向し、将来的には「数十億のエージェントが連携する知的ネットワーク」構築を目指すとしています。
この動きは、AIとブロックチェーン技術の融合を目指す先駆的な試みであり、Tetherの新たな事業軸として注目されています。
参照元：
Decrypt「Tether Jumps Into AI Race」
News.Bitcoin「Tether、分散型オープンソースインテリジェンス用『Tether AI』を発表」
追加トピックまとめ
ここまでのセクションでは取り上げることはできなかったものの、知っておきたいニュースをまとめました。記事タイトルは日本語に意訳しています。
- 米港湾幹部「5〜7週間で物流停滞の恐れ」──ビットコイン価格に影響も
- NEAR、週末に7.4%下落──CoinDesk指数も下落基調に
- 米財務省、ミャンマー民兵に制裁──仮想通貨詐欺との関連で
- Maple Finance、TVL10億ドル突破記念で50万ドルのインセンティブ開始
- イスラエル当局、Nomad Bridgeのハッカーを逮捕し米国に引き渡し
- SHIB、7日間で7.49%下落──市場センチメントは慎重ながらも前向き
- バイナンスとキルギス、国家規模の仮想通貨教育連携を正式発表
- イーロン・マスクの投稿でミームコイン「Gork」急騰
- USDT発行元のTether、AIプロジェクトに本格進出し専用サイト開設
- World Mobile、ARPUモデル廃止で分散型ネットワークへ
- Wrapped Bitcoin、Solana上で稼働開始──Cardanoへの橋渡しも実現
- Cardano、Linux財団の機密計算コンソーシアムに参加
- Vitalik Buterin氏、Ethereumの「美しいシンプルさ」志向を強調
特集記事紹介
ここまでの記事では速報性やタイムリーな話題を中心に取り上げてきましたが、このセクションでは各ニュースサイトが特集として掲載していた有益な記事をご紹介します。話題の新技術や重要なインタビュー、業界の深層分析など、読んでおきたい考察記事を厳選しています。記事タイトルは日本語に意訳しています。
- チャーリー・シュレム氏、2010年のビットコイン無料配布プロジェクトを復活へ
- 米議会での仮想通貨ロビー活動の実態──GENIUS法案をめぐる攻防の舞台裏
- 仮想通貨市場の波を読む──BTC価格30万ドルに賭けるトレーダーの心理とは
- Mattel、NFT事業「Hot Wheels Virtual Garage」を一時停止
- UNICEF×ITUの「Giga」、Lidoと連携し学校インターネット接続を支援
- Ethereumの舞台裏──Merge以降最大のアップグレード「Pectra」を解説
- 仮想通貨市場操作の実態──手口はより巧妙かつ組織的に
終わりに
本記事では、主要な仮想通貨関連ニュースサイトでトップまたは特集として取り上げられていた最新ニュースをもとに、規制動向、注目のETF関連情報、新興トークンの動き、業界全体のトレンドまで幅広くご紹介しました。
記事内の価格情報や市場分析には、一部AIによる自動収集・整理・分析されたデータが含まれています。こうした情報は常に最新かつ正確であるよう努めておりますが、実際の数値や状況とは若干の差異が生じる可能性もございます。正確な価格やデータをご確認いただく場合は、以下の主要データ提供サイトをご利用いただくことをおすすめします。
また、本記事で取り上げた内容は、信頼性の高い複数の主要メディア記事に基づいて構成されており、筆者個人の見解や独自の調査結果に基づくものではありません。各記事や価格情報は、それぞれの報道時点における内容であり、掲載されている価格にばらつきが見られるのは、各メディアが情報を記録したタイミングの違いによるものです。
なお、記事中で紹介している価格推移や相場に関する記述は、報道各社が過去データや市場動向をもとに仮説的に述べているものであり、将来の価格を保証するものではありません。あくまで情報提供を目的としたものであり、投資判断を促すものではない点にご留意ください。
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