- 市場概況:ビットコインは11.1万ドル台で続伸、ドミナンス57.7%—米株は反落・VIX上昇でリスク選好はまちまち
- 米規制の明確化:SEC・CFTCが共同声明—登録済み取引所での一部スポット商品取扱いに前向き
- 取引所・資本市場:GeminiがNasdaq上場を申請—最大.17億ドル調達で公開市場へ
- L1インフラ:Solana「Alpenglow」実装承認—最終確定150msでWeb2級の応答性を志向
- DEX市場:月次出来高が初の1.1兆ドル—パーペチュアルが牽引、ETHがスポット首位を奪還
- イーサリアム動向:財団が1万ETHの段階売却方針—新トレジャリーポリシー下でR&D資金化
- セキュリティ/運用障害:BunniXYZで約840万ドル流出、Venusでフィッシング被害—Starknetは大規模停止から復旧
- マイニング・基盤強度:BTCハッシュレートが8月に過去最高—HPCシフトで米採掘企業の時価総額も過去最大
- 実需採用:UAE大手RAK PropertiesがBTC/ETH/USDT決済—規制下のルーティングで価格変動リスクを抑制
- 今後の展望とリスク:米雇用関連とISM非製造業、来週CPI—政策・制度・インフラの“三層材料”が並行
- 結論・要点整理:制度クリアランス×高速化×オンチェーン定着の三位一体
市場概況:ビットコインは11.1万ドル台で続伸、ドミナンス57.7%—米株は反落・VIX上昇でリスク選好はまちまち
暗号資産市場はビットコイン主導で小幅続伸です。全体のセンチメントは強弱まちまちです。米株が反落し、VIX(ボラティリティ指数)が上昇しました。一方で為替はドル高が進行しています。きょうは規制と基盤技術のニュースが相場の支えになっています。
主要指標(きょうのスナップショット)
- 総時価総額:$3.81兆
- 24時間出来高:$1,589.5億
- BTC:$111,394(+2.18%)
- ETH:$4,316(+0.33%)
- ドミナンス:BTC 57.7%/ETH 13.9%
株式・ボラティリティの動き
米株は下落です。VIXは上昇し、警戒感がやや強まりました。リスク資産全体の選好は鈍っています。
- S&P 500:-0.69%
- ナスダック:-0.82%
- VIX:+6.51%(17.17)
為替:ドル高が優勢
ドル高が続いています。米金利観測の揺れが背景です。ドル円は148.67で推移しました。ドル高は暗号資産には短期の逆風になりやすい一方、個別材料が相殺する場面もあります。
本日の材料:規制とインフラの前進
米SECとCFTCが現物市場の取り扱いに関する共同の指針を示しました。規制の不確実性を和らげる要素です。ソラナは「Alpenglow」導入に向けたガバナンス投票が可決されました。最終性の短縮など、基盤性能の改善が期待されます。
今後のイベントと相場への波及
- 9月4日:米ADP雇用統計、ISM非製造業
- 9月5日:米雇用統計、カナダ雇用
これらの結果は金利見通しを動かします。ドルと債券利回りの変化は、現物ETFへの資金フローやビットコインの優位性に波及しやすい状況です。短期はヘッドラインでの値動きに注意が必要です。
米規制の明確化:SEC・CFTCが共同声明—登録済み取引所での一部スポット商品取扱いに前向き
SECとCFTCは9月2日、共同の職員見解を公表しました。登録済みの規制プラットフォームで、一定のスポット暗号資産商品の取扱いは妨げられないと示しました。両庁は市場選択肢の拡大とオンショア回帰を掲げ、継続的な対話も明言しました。上院では月末に市場構造法案の審議入りが見込まれ、制度の不確実性は段階的に後退する局面です。
共同声明の要点
- 対象は登録済み取引所などの規制プラットフォームです。
- スポット商品(コモディティとしての暗号資産)を扱う余地を確認しました。
- 法的拘束力のある新規制ではなく、職員レベルの見解です。
- 各社は事前相談で順守事項の確認を求められます。
- CFTCは先月のガイダンスを踏まえ、オフショア取引所の米国回帰に向けた整備を進めています。
実務への波及(短期)
- 登録済みの事業者は、適格な商品設計で上場検討がしやすくなります。
- カストディ、相場監視、顧客資産分別などの統制要件が前提です。
- ETF市場で整備された売買・開示のベストプラクティスが参照されます。
- 一方で、個別商品の審査とリスク開示は従来どおり厳格です。
制度設計への影響(中期)
今回の見解は、証券か商品かの区分整理と、所管の明確化を後押しします。証券性の高いトークンはSECの枠組みで、商品性の高いトークンはCFTCの枠組みで扱われる設計に近づきます。結果として、取引所の上場基準は商品性評価、情報開示、マーケットインテグリティの三点で標準化が進みます。
上院の動きとタイムライン
- 上院銀行委員会は9月30日に「Responsible Financial Innovation Act 2025」のマークアップを予定しています。
- 下院可決済みのCLARITY法案と統合し、一本化を図る見通しです。
- 農業委員会(CFTC所管)は9月上旬にドラフト公表の計画です。
- 予算審議の状況次第で、日程が後ろ倒しとなる可能性があります。
市場への示唆
- ヘッドライン・リスクの低下で、米規制市場の役割が高まります。
- オンショア移行で、USD建て流動性とKYC準拠のフローが増えやすくなります。
- ただし、今回の公表は職員見解であり、全面的なルール確定ではありません。
- 法案審議と最終ルールまで、分類や適用範囲の不確実性は残ります。
取引所・資本市場:GeminiがNasdaq上場を申請—最大.17億ドル調達で公開市場へ
暗号資産取引所のGeminiが、9月2日に上場申請を進めました。提出先は米国のSECです。株式はクラスA株を売り出します。価格帯は1株あたり17〜19ドルです。上場先はNasdaq Global Selectで、予定ティッカーは「GEMI」です。
今回のIPOのポイント
- 売出株数は1,667万株です。
- 追加で売れる「オーバーアロットメント」は250万株です。
- 最大の調達見込みは約3.17億ドルです。
- 想定時価総額は最大で約22.2億ドルです。
基礎用語の補足
IPOは新規株式公開のことです。企業が初めて株を市場で売ります。投資家は取引所で売買できます。「オーバーアロットメント」は、需要が強いときに追加で売れる枠です。価格の安定にも使われます。時価総額は、株価に発行株数を掛けた概算の企業価値です。
業績の現状
2024年の売上は1.422億ドルです。純損失は1.585億ドルでした。2025年上期の売上は6,790万ドルです。純損失は2.825億ドルでした。2021年の私募時の評価は約71億ドルでした。今回はその水準より低い想定です。
市場への影響
Geminiが上場すると、CoinbaseやBullishに続く事例になります。暗号資産企業の資金調達の道が広がります。一方で、赤字は評価の重しになります。投資家は事業の成長性と収益化の時期を重視します。結果は同業他社の評価にも影響します。バリュエーションの比較が進むためです。
L1インフラ:Solana「Alpenglow」実装承認—最終確定150msでWeb2級の応答性を志向
決まったこと(投票の結果)
ソラナの新しい合意方式「Alpenglow」の実装が承認されました。9月2日の集計で賛成は98%超でした。投票に参加したステークは全体の52%で、必要な定足数(33%)を満たしています。これにより、ネットワークは段階的に新方式へ移行します。
なにが速くなる?(最終確定=ファイナリティ)
「最終確定(ファイナリティ)」は、取引がもう取り消せない状態になるまでの時間です。Alpenglowでは、この時間を約150ミリ秒まで短縮する計画です。従来は数秒から十数秒でした。確定が速いほど、ユーザー体験は滑らかになります。
基礎用語の整理(L1/コンセンサス)
L1は「レイヤー1」の略で、ソラナ本体のブロックチェーンを指します。コンセンサスは、バリデータが取引の正しさに合意する仕組みです。L1での合意が速いと、上に載るアプリも素早く動きます。
技術のポイント(Votor と Rotor)
Alpenglowは、これまでのTowerBFTとProof of Historyを置き換えます。新たに導入されるのがVotorとRotorです。Votorは合意形成を高速化します。Rotorは時刻の扱いとデータ伝達を効率化します。両者の組み合わせで「速さ」と「確実さ」を同時に高めます。
どこに効くか(ユースケース)
- ゲーム:入力から反映までの待ち時間が短くなります。
- 決済:承認待ちが縮み、二重支払いの不安が下がります。
- トレード:注文の板反映が速く、スリッページ管理がしやすくなります。
- リアルタイムアプリ:チャットや配信連動などの体感が向上します。
今後の流れと注意点
承認は出ましたが、実装は段階的に進みます。クライアントの対応やノードの更新が必要です。移行期は一時的な不具合や性能の揺らぎが生じる場合があります。公式のアップグレード手順に沿った運用が求められます。
DEX市場:月次出来高が初の1.1兆ドル—パーペチュアルが牽引、ETHがスポット首位を奪還
取引形態の違い(スポット/パーペチュアル)
スポット取引は、その場で暗号資産を受け渡しする売買です。金利や強制決済はありません。保有すると、価格変動の影響だけを受けます。
パーペチュアルは、満期がない先物です。価格は資金調達率で現物に近づきます。証拠金でレバレッジを使えますが、清算リスクがあります。
資金調達率は、ロングとショートの受け渡し金です。需給の偏りをならす役割があります。相場が動くと、支払い方向と負担が変わります。
8月の全体像と内訳
8月のDEX合計出来高は1.15兆ドルでした。初めて1兆ドルを超えました。内訳は、スポット5,063億ドル、パーペチュアル6,486億ドルです。
構成比は、パーペチュアルが56.4%でした。CEX対比の比率は17.2%です。オンチェーン取引の定着が進んでいます。
プロトコル別のシェア動向
- スポット首位:Uniswap(シェア28.2%、出来高1,430億ドル超)
- スポット2位:PancakeSwap(566億ドル)
- スポット3位:Hyperliquid(217億ドル)
- パーペチュアル首位:Hyperliquid(シェア62.5%、4,058億ドル)
- その他のパーペチュアル:Ethereum系725億ドル、BNB系551億ドル
パーペチュアルは一極集中が進みました。約定速度と資本効率の差が影響しています。少ない証拠金で多くの建玉を持てる設計が、流動性を集めました。
チェーン別の首位交代(スポット)
- 1位:Ethereum(1,404億ドル)
- 2位:Solana(約1,200億ドル)
- 3位:BNB Chain(約600億ドル)
Ethereumはプールの厚みで優位を取り戻しました。SolanaとBNBは手数料の安さと回転率で競います。手数料と確定時間の設計が、今後の分布を左右します。
イーサリアム動向:財団が1万ETHの段階売却方針—新トレジャリーポリシー下でR&D資金化
財団の売却計画と使途
イーサリアム財団は、数週間かけて1万ETHを売却します。売却先は中央集権型取引所(CEX)です。CEXは企業が運営する取引所のことです。注文は小口に分けて執行します。急な価格変動を避ける狙いです。調達資金は研究開発、エコシステムへの助成、関連する寄付に充当します。
新トレジャリーポリシーの枠組み
財団は6月に資金管理方針(トレジャリーポリシー)を見直しました。運営費(OPEX)の上限を年15%としました。複数年分の準備資金を確保します。支出は段階的に引き締めます。今回の分割売却は、この方針に沿った運用です。
直近の実績と市場への配慮
財団は7月に1万ETHを現金化しました。相手先は民間企業です。今回は一括売りを避けます。分割で売却し、市場への影響を抑えます。短期の価格は、執行ペースと板の厚みで変わります。板が薄い時間は滑りやすくなります。
オフセット要因:香港企業の取得
同時期に、香港の金融グループが1万ETHの取得を公表しました。目的はWeb3や実物資産のトークン化の推進です。ETHを準備資産として活用します。保険やRWAのモデルも検討対象としています。自己資金での取得です。
需給バランスと実務ポイント
売りと買いは名目では同規模です。ただし、実行のタイミングは一致しません。短期の価格は、売却のタイミングと市場の吸収力に依存します。先物などの派生市場が動くと、現物のフローに影響する場合があります。
情報源の確認:財団の公式更新と執行進捗を定期的に確認します。企業による取得の開示、派生市場の清算動向を併せて確認する必要があります。
執行リスク:分割売却は板の厚みに左右されます。薄商いの時間帯は避けます。
価格チェック:出来高が多い時間を選ぶと滑りが抑えられます。
派生市場の監視:清算や資金調達率の変化はボラティリティ要因です。
基盤強化の視点:売却資金はR&Dに回ります。中長期のネットワーク改善要因です。
セキュリティ/運用障害:BunniXYZで約840万ドル流出、Venusでフィッシング被害—Starknetは大規模停止から復旧
BunniXYZ:流動性曲線の悪用で資産が流出
BunniXYZでは9月2日、約840万ドル相当の資産が流出しました。攻撃者は「流動性曲線(LDF)」の計算を狙いました。LDFは、プール内の余剰流動性を算出するための関数です。攻撃者は特定のサイズの取引を繰り返し、プールの保有比率の計算を誤らせました。その結果、実際より多い持分が算出され、資産が引き出されました。
プロジェクトはスマートコントラクトを一時停止し、原因の調査を進めています。被害の一部はUnichain経由で発生し、Acrossを通じてEthereumへブリッジされたと報告されています。ユーザーは、資産の待避と承認権限の確認など、個別対策が必要です。
Venus Protocol:フィッシングでユーザー資産が流出
Venusでは、単一ウォレットが標的となるフィッシング被害が発生しました。流出額は約2,700万ドル相当です。今回はプロトコル自体の脆弱性ではありません。被害者が無制限承認(infinite approval)を悪意あるコントラクトに付与したことが原因です。承認とは、ウォレットがトークンの移転を第三者コントラクトに許可する仕組みです。上限なしの承認は、攻撃者に資産移転の自由を与えるため、リスクが高くなります。
運営は一時停止措置を行い、被害資産は攻撃者のコントラクトに留まっていると説明しています。ユーザー側の再発防止が重要であり、署名内容の確認と不要承認の取り消しが実務対応の中心となります。
Starknet:大型アップグレード直後の停止から復旧
Starknetは9月2日、アップグレード「Grinta」直後に4時間超の停止が発生しました。チームはロールバック(直近ブロックの巻き戻し)で復旧しました。この過程で、特定時間帯に送信されたトランザクションはチェーンから除外され、再送が必要になりました。運営は詳細な原因分析と再発防止策の公開を予告しています。L2の可用性はアプリや取引フローに直結するため、アップグレード期のオペレーション管理が重要です。
ユーザーの実務対応チェックリスト
- 承認の棚卸し:ウォレットの承認(approval)を確認し、不要な無制限承認は取り消す。
- 署名前の検証:署名要求のコントラクトアドレスと内容を必ず確認する。ブラインド署名は避ける。
- ハードウェアウォレット:高額資産はハードウェアウォレットで保管し、ブラウザ拡張は最小限にする。
- 公式導線のみ利用:ブックマークした公式サイトから接続し、SNSやDMのリンクは開かない。
- 異常時の初動:異常を検知したら機内モードに切替え、未侵害の端末で資産を新ウォレットへ退避する。
マイニング・基盤強度:BTCハッシュレートが8月に過去最高—HPCシフトで米採掘企業の時価総額も過去最大
ネットワーク指標:949EH/sで過去最高
8月のビットコインネットワークは、平均949EH/sまで計算力が上昇しました。ハッシュレートは「1秒に何回の計算を試すか」を示す指標です。単位のEH/sはエクサハッシュ毎秒で、10の18乗回を意味します。計算力が増えると、攻撃耐性が高まりやすくなります。一方でマイニング難易度も上がり、同じ報酬を得るためのコストは増えます。
上場マイナーの評価:時価総額が過去最大
米国上場マイナー13社の合計時価総額は、8月に前月比+23%で過去最大となりました。ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)への事業拡張が評価を押し上げました。コロケーション契約の獲得や、GPU設備の増強も追い風です。個社の動向が指数化され、投資家の関心が広がっています。
採算環境:単位採算はやや悪化
価格の調整と難易度上昇で、日次の採算は軟化しました。マイナーの日次ブロック報酬収入はEH/s当たり55,100ドルで、7月比-4%です。日次の粗利益は31,900ドルへ低下し、同-7%となりました。電力費や手数料収入の見通しを前提に、設備稼働と電源構成の最適化が必要です。
構造的な追い風:HPCとコロケーション
AIやHPC需要の取り込みが進んでいます。データセンターとしての外部受託や、GPUコンピュートの提供が収益源を多角化します。電力調達と冷却設備の強みを活かせるためです。TCOの低い拠点を持つ事業者は、ハッシュレートとHPCの両輪で稼働率を高めやすくなります。
実需採用:UAE大手RAK PropertiesがBTC/ETH/USDT決済—規制下のルーティングで価格変動リスクを抑制
決済のしくみ:Hubpay経由で即時AED清算
RAK Propertiesは、不動産代金の暗号資産支払いに対応しました。仲介は決済事業者のHubpayです。購入者がBTC・ETH・USDTで支払います。受け取った資金は、すぐにUAEディルハム(AED)へ交換されます。代金は事業者の銀行口座に入金されます。開発会社は暗号資産を保有しません。価格変動の影響を小さくする設計です。国際販売での支払手段も広がります。
規制面:ADGMとVARAの枠組みで運用
HubpayはADGM(アブダビ・グローバル・マーケット)の監督下です。ドバイの規制当局VARAのライセンス保有者とも連携します。KYC(本人確認)とAML(資金洗浄対策)を前提に運用します。オンランプ/オフランプも管理します。これは法定通貨と暗号資産の交換経路のことです。開発会社は資産を預からず、決済のルーティングのみを使います。受け取り側のコンプライアンス負担を抑えます。
用語補足:安定通貨と変動通貨の違い
USDTはステーブルコインです。法定通貨に連動し、価格が安定しやすい設計です。BTCとETHは価格変動が大きい通貨です。今回の仕組みでは、どの通貨でも即時にAEDへ交換します。事業者は価格リスクを持ちにくくなります。
購入者の実務ポイント
- 見積とレート固定:見積の有効時間と為替レートの固定条件を確認する。
- 送付チェーン:対応ネットワークとアドレス形式を事前にそろえる。
- 手数料:ネットワーク手数料と為替スプレッドの扱いを確認する。
- KYCと上限:本人確認の範囲、送金上限、必要書類を把握する。
- 返金方法:キャンセル時の返金通貨と手順を確認する。
- 記録保全:インボイス番号、トランザクションハッシュ、受領書を保管する。
本件は、国際投資家の利便性を高める取り組みです。即時清算と規制順守で価格リスクを抑えます。高額取引の決済インフラとして、オンチェーン活用の範囲が広がります。
今後の展望とリスク:米雇用関連とISM非製造業、来週CPI—政策・制度・インフラの“三層材料”が並行
マクロイベント:雇用と物価が金利観測を左右
直近の焦点は雇用と物価です。9月4日にADP民間雇用とISM非製造業が出ます。9月5日は米雇用統計とカナダ雇用です。来週は日本のGDP改定が9月8日、ECB理事会と米CPIが9月11日です。
ADPは民間の雇用増減を示します。ISM非製造業はサービス業の景況感です。CPIは消費者物価指数です。これらは金利見通しに直結します。金利観測の振れはドルと債券利回りを動かします。その結果、現物ETFの資金フローやBTCとETHの主導権に波及します。
雇用が強ければ利下げ観測は後退しやすいです。ドル高と金利上昇はリスク資産の重荷になります。弱ければ逆に資金はリスク資産へ向かいやすくなります。短期のフローは指標のサプライズに反応しやすい地合いです。
制度の進展:SEC・CFTCの方針と上院審議
前述のように、SECとCFTCは共同で職員見解を示しました。登録済みの取引プラットフォームで一部のスポット商品を扱える余地を示しています。両庁は継続的な対話も明言しました。月末には上院で市場構造法案の審議入り観測があります。
規制の方向性が固まれば、流動性のオンショア回帰が進みやすくなります。上場、カストディ、開示の要件も整理が進みます。ETFや上場企業の資本調達に波及し、取引の透明性と執行品質の改善が期待されます。ただし、正式な規則化には時間がかかります。段階的な進展として扱う必要があります。
インフラとネットワーク:高速化と売却フローの交錯
これも前述のように、Solanaの「Alpenglow」実装が承認されました。新コンセンサスで最終確定は150ミリ秒を目指します。高速決済やリアルタイムな体験が必要な領域に追い風です。実装工程の安定性と、バリデータの更新状況が短期の稼働に影響します。
イーサリアム財団は1万ETHの段階売却を表明しました。数週間で中央集権型取引所(CEX)に分割で出します。資金使途は研究開発や助成です。7月にはSharpLink向けに同量を売却しています。一方で、香港のYunfengは1万ETHの取得を公表しました。買いと売りが相殺する可能性もありますが、約定のタイミングは不確実です。
運用リスク:DEX/DeFiの不正と障害に継続注意
前述のように、8月末から9月頭にかけて、複数の事案が発生しました。BunniXYZでは流動性曲線の弱点が突かれました。Venusではフィッシングで無制限承認が悪用されました。Starknetは大型アップグレード直後に停止し、ロールバックで復旧しました。
ユーザーは承認権限の棚卸しが実務的な防御になります。署名内容を確認し、ブラインド署名は避けます。不要なトークン許可は取り消します。フロントエンドの偽サイトに注意します。ハードウェアウォレットを主に使います。停止やロールバック時は取引の再送付可否を確認します。
1週間のチェックリスト
- 9/4 ADPとISM非製造業:雇用の強弱と物価指標の「価格指数」。
- 9/5 米雇用統計:非農業者数、失業率、平均時給の伸び。
- 9/8 日本GDP改定:外需と設備投資の修正幅。
- 9/11 ECB理事会:政策金利とガイダンスの文言。
- 9/11 米CPI:総合とコア、住居とサービス価格の内訳。
- SEC・CFTCフォローアップ:追加指針やパブコメの有無。
- Solana実装進捗:ノード更新状況とエラー報告。
- ETH財団の売却進捗:オンチェーンの約定状況と市場の板厚。
- DEX/DeFiのアラート:承認権限、フィッシング、ステータス更新。
結論・要点整理:制度クリアランス×高速化×オンチェーン定着の三位一体
本日の最大ポイントは、規制・インフラ・資本市場が同時に前進していることです。SEC・CFTCの共同方針が示されました。Solanaの高速化計画が承認されました。DEX出来高は記録を更新し、GeminiはIPOを申請しました。三つの流れが重なり、資金配分とリスク許容の改善につながりやすい地合いです。
実務面では、米雇用指標からCPIまでの連続イベントで金利観測が変化しやすい状況です。過度なレバレッジは抑制します。イベントドリブンで押し目を拾う構えが妥当です。現物ETFの資金フローとドル金利の連動も併せて確認します。
短期の注目ポイント
- イーサリアム財団の段階的な1万ETH売却と、約定の進み方。
- Solana「Alpenglow」の実装工程と、ノード更新の安定性。
- DEX/DeFiのセキュリティ事案の続報と、承認権限の棚卸し。
- 雇用指標とCPIの結果がETFフローに与える影響。
本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。
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