SECがリキッドステーキングの証券性否定──ETH ETFは過去最大の流出、BTCは114K維持もマクロ環境に警戒感【8月6日】

ビットコイン・イーサリアム・LSTのコインが擬人化された風刺イラスト デイリークリプトニュース
ETHが資金流出、BTCは中立圏──リキッドステーキング規制の緩和はチャンスか脅威か?今後の鍵を握る注目材料を一挙整理。詳細は記事で。
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市場概況とリスクセンチメント

ビットコインは114K台で落ち着いた動き

8月6日朝の暗号資産市場では、ビットコイン(BTC)が114,000ドル前後で取引されています。 前日終値の113,226ドルからはわずかに上昇し、短期的には落ち着いた推移です。

ただし、日中は高値115,111ドル、安値112,678ドルと比較的広いレンジで推移しました。 心理的な節目である114K台を挟み、売りと買いの力が拮抗しています。

ETHやアルトは軟調、資金はBTCへ

イーサリアム(ETH)は3,600ドル台まで下落しました。 24時間で2.4%のマイナスとなっています。

その他の主要アルトコイン──Solana(SOL)、XRP、Cardano(ADA)なども3〜5%下落し、市場全体に弱気な流れが広がっています。

この動きにより、ビットコインのドミナンス(市場占有率)は60.7%に上昇。 相対的に安全資産としての位置づけが強まり、資金の一部がBTCへ集まっています。

米株安とインフレ警戒がリスクオフを促進

米国株式市場も下落基調にあります。 5日には、S&P500が0.49%、ナスダックが0.65%それぞれ下落しました。

その背景には、同日に発表された米ISM非製造業景況指数(7月)の低調な内容があります。 市場予想を下回り、景気減速への懸念が再燃しました。

また、恐怖指数(VIX)も1.88%上昇しており、投資家のリスク回避姿勢が強まっています。 今週後半には、米CPI(消費者物価指数)の発表が控えており、市場の警戒感はさらに高まりそうです。

市場は慎重ムードが支配的

現在の相場環境は、以下のような要因が複合的に影響しています。

  • BTCは114K台を維持しつつも上値は重い
  • アルトコインは軟調で資金流出傾向
  • ビットコインへの資金シフトでドミナンス上昇
  • 米株安・VIX上昇・指標悪化によるリスクオフ
  • 今週の米CPIを控えた警戒ムードの広がり

投資家の間では、積極的なエントリーを控える動きが目立っており、方向感の乏しい地合いが続いています。

注目銘柄・資金フローの動向

ETHスポットETFは一時的な大幅流出

8月5日時点のデータによれば、米国のイーサリアム(ETH)現物ETFにおいて、1日あたりで過去最大となる約4億6,500万ドルの資金流出が記録されました。特にBlackRockのETHAなど一部のファンドが大きな流出額を示し、市場の一部では需給バランスの悪化が意識されています。

ただし、7月の通期では合計5億4,300万ドルの資金流入が確認されており、この急激な資金移動は短期的な利益確定売りによる一時的な動きと見る向きもあります。したがって、今回の流出が必ずしも市場構造の転換やETHへの根本的なリスク認識を示すものではなく、ETF解禁以降の調整局面の一環と捉える見方が妥当です。

BTC現物ETFは堅調な資金流入を維持

同期間中、ビットコイン(BTC)現物ETFには堅調な資金流入が続いています。 特に注目されているのは、ARK Investが運用するARKB(ARK 21Shares Bitcoin ETF)です。

米ミシガン州の年金基金が新たに約1,370万ドル分のARKBを購入したことが報じられており、機関投資家によるビットコインへの関心は継続しています。 これは短期トレーダー主導のETH市場と対照的であり、中長期志向の資金がBTCに集まりやすい構図がうかがえます。

ドミナンス上昇と価格動向のギャップ

ビットコインの市場占有率(ドミナンス)は60.7%まで上昇していますが、価格自体は114,000ドル前後で横ばいが続いています。 このギャップは、流入している資金の性質が「価格を押し上げる買い」ではなく、「防衛的な退避資金」であることを示唆しています。

一方、イーサリアムは価格下落にもかかわらず、7月時点で大きな資金流入があったことを踏まえると、特定のタイミングでの利益確定売りに伴う変動と見ることもできます。

資金の動きから見る市場心理

資金の流れを整理すると、以下のようなポイントが浮かび上がります。

  • ETHは8月に入り一時的な大規模流出が発生
  • しかし7月には大規模な流入もあり、利確循環の可能性
  • BTCはETFを通じて堅調な買い継続、機関投資家の関与も拡大
  • ドミナンスの上昇はリスク回避的な資金の移動を反映

このように、ETHとBTCでは資金の動きとその意図に明確な違いが見られます。 価格変動だけでなく、資金の「質」にも注目が必要な局面です。

規制と制度設計:SECの戦略的変化

リキッドステーキングに対する規制方針が転換

米証券取引委員会(SEC)は、一部のリキッドステーキング(LST)について「証券には該当しない」との見解を明らかにしました。 LidoやRocket Poolといった主要プロトコルが提供するリキッドステーキングは、これまで法的なグレーゾーンとされていましたが、今回の見解によって明確な前進が見られました。

この見解は、EthereumベースのDeFiプロジェクトにとって重要な意味を持ちます。 LST市場が抱える規制上のリスクが後退したことで、投資家や開発者の心理的な障壁が軽減される可能性があります。

SEC内部での対立構造も明らかに

一方で、SEC内部では依然として意見の相違が見られます。 Hester Peirce委員は一貫してWeb3分野の柔軟な規制を主張していますが、Caroline Crenshaw委員は今回のLST非証券化に対して批判的な立場を取っています。

Crenshaw委員は、リキッドステーキングが本質的にリスクを伴う投資商品であるとし、さらなる精査が必要だと述べています。 この対立構造は、SEC全体としての規制方針が未だ一枚岩でないことを示唆しています。

米国がWeb3イノベーションを主導する姿勢も表明

SECは、ステートメントの中で「米国がWeb3領域でのイノベーションをリードすべき」との見解を示しました。 これは、規制の明確化によって技術革新を後押しする姿勢に転じつつあることを示しています。

特にリキッドステーキングやDeFiにおける制度設計は、今後のETF商品開発や投資スキーム構築の基盤にもなる重要な分野です。 今回の見解は、そうした長期的な市場発展に向けた土台づくりの一環とも位置づけられます。

制度整備と投資家心理への影響

法的な安定性が高まることで、以下のような影響が見込まれます。

  • DeFiやLST関連プロジェクトへの参入ハードルが低下
  • 中長期での資金流入の後押しにつながる可能性
  • SECの姿勢に対する信頼性が相場全体の安定感を高める

制度面の進展は、単なる法的判断にとどまらず、今後のWeb3戦略に大きく影響する要素です。

分析:オンチェーン指標とポジション構造

BTCのオンチェーン指標に見る投資家心理

ビットコインのオンチェーンデータから、投資家心理と価格水準の関係が浮かび上がっています。 MVRV Zスコアは2.52で、過去の強気相場に見られる「利確が進行する水準」に位置しています。 また、NUPL(未実現損益)は55.29%と高水準を維持しており、多くの投資家が含み益を抱えている状況です。

こうした指標から、現相場が「過熱」とまではいかないものの、一定の利確タイミングに差し掛かっていると見ることができます。

短期ホルダーの売却圧力と下値目安

短期SOPR(Spent Output Profit Ratio)は1.004で推移しており、直近取得者の大半がわずかな利益で売却している状態です。 これは、短期的な利益確定売りが市場に波及しやすいことを示唆しています。

また、短期ホルダー(STH)の実現価格は106,000ドル台に位置しており、ここが下値支持線として意識されやすい局面です。 この水準を割り込むと、売りが加速する可能性もあります。

デリバティブ市場におけるロング偏重

先物市場では、ロングポジションが依然として優勢です。 BinanceやOKXといった主要取引所では、ロング・ショート比率が1.47〜1.88と高水準を示しています。 これは、投資家が強気な見方を維持していることを意味します。

しかしその一方で、こうしたロング偏重の状態は、価格急落時にロスカット(強制決済)が連鎖しやすいリスクも孕んでいます。 とくに価格が短期的なサポートを割り込んだ場合、先物市場での清算が現物市場の下押し圧力を強める懸念があります。

オンチェーンとデリバティブが示す局面の特徴

オンチェーンでは「含み益の増加による利確圧力」、デリバティブでは「過度なロングポジションの蓄積」が共通して確認されています。

  • 投資家心理はやや楽観に傾いている
  • 短期的には利確主導の売りが入りやすい
  • 下値の目安はSTHの実現価格(106Kドル前後)
  • ロングの偏りが急変動の火種となる可能性も

市場全体としては強気基調を維持しつつも、ポジション構造の偏りに対する注意が求められる局面となっています。

今後の展望と分岐点

注目イベント:CPI直前までのマクロ展開と市場の分岐点

8月12日(火)に予定されている米国の7月CPI発表は、仮想通貨市場にとっても今週最大の注目材料です。 第1節で示したとおり、CPIの結果は米金利の見通しを左右し、仮想通貨価格にも連動します。 ただし、それ以前の期間にもいくつかの注目すべきマクロ経済イベントが控えており、市場のムード形成やポジション調整に影響を与える可能性があります。

■ CPI以前に控える主なイベント

  • 8月6日(水):インド中銀政策金利発表(5.50%予想)
    新興国通貨の動向やドル指数(DXY)への影響が間接的に仮想通貨需給に波及する可能性があります。
  • 8月7日(木):英イングランド銀行(BOE)政策金利(4.25%予想)
    追加利下げの示唆が出れば、リスク資産全般への支援材料となりうる一方で、ハト派的スタンスがインフレ懸念を高めるリスクもあります。
  • 8月8日(金):カナダ雇用統計(新規雇用者数・失業率)
    北米経済の体温を測るデータとして注目されます。予想との乖離があれば、米経済指標への期待修正にもつながる可能性があります。
  • 8月12日(火):オーストラリア中銀 政策金利発表(3.85%→3.60%予想)
    利下げが実施されれば、グローバルな金融緩和シフトへの期待が強まる可能性があります。

これらのイベントはいずれも、米FRBの金融政策スタンスに対する市場のセンチメントに影響し、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など仮想通貨の価格形成にも間接的な変動要因となりえます。 特に、オーストラリア・カナダ・イギリスといった主要先進国の中銀が「利下げ圧力に傾いているかどうか」は、グローバルな流動性見通しを測る上で重要な指標となります。

■ 8月12日 CPI発表:予想と分岐シナリオ

21:30に発表される米国7月CPIは、以下のような予想値が示されています(括弧内は前回値):

  • CPI(前月比):0.2%(前回0.3%)
  • CPI(前年比):2.8%(前回2.7%)
  • コアCPI(前月比):0.3%(前回0.2%)
  • コアCPI(前年比):3.0%(前回2.9%)

予想を下回る結果が出た場合、FRBの利上げ打ち止め観測が高まり、仮想通貨を含むリスク資産にとってはポジティブなトリガーとなる可能性があります。 逆に、予想を上回る数値となった場合は、再利上げの警戒感が強まり、短期的な売り圧力が高まるリスクも想定されます。

いずれのシナリオにおいても、BTCはSTH Realized Price(約106,000ドル)付近が下値の目安とされる一方で、デリバティブ市場のロングポジション偏重やSOPR(Spent Output Profit Ratio)に表れた利確傾向が意識される局面が続いています。

ETH:制度整備と需給変動が同時進行

ETHに関しては、第2節で述べたETFを巡る需給変化と、第3節で取り上げたリキッドステーキング制度の整備という二軸の動向が交錯しています。 ここでは、それらを投資判断の材料として再整理します。

短期的には、8月5日時点で約4.65億ドルのETF資金流出が観測され、調整圧力が続いています。 ただし、7月には5.43億ドルの純流入があり、利確循環の一端との見方もあります。 同時に、SECが一部LST(リキッドステーキングトークン)を非証券と見なす姿勢を示したことで、中長期的な制度面の支援材料も加わりつつあります。

BTC:実現価格が意識される中立圏

BTCについても、第4節でオンチェーン指標に基づく分析を行いましたが、ここでは今後の想定シナリオに焦点を移します。

短期ホルダーの実現価格(STH Realized Price:約106,000ドル)が重要なサポート水準として意識されており、そこを下回るか否かが直近の焦点です。 一方、ETF経由での継続的な買いが需給を下支えしており、急落リスクと回復期待の両面が共存する状況です。

アルト市場:ETF期待とセクター間シフト

ソラナ(SOL)やXRPといった主要アルトにも、ETF承認への期待が波及しています。 この流れは、BTC・ETHに集中していた投資マネーが分散する兆しとして注目されます。

とくに、L1(レイヤー1)銘柄のなかで制度整備や機関投資家の参入余地がある通貨は、ETFテーマの拡張により脚光を浴びる可能性があります。 このセクター間ローテーションの動きは、今後の資金フロー全体を読み解くうえで重要な視点となります。

戦略立案の参考軸:3つの注視ポイント

  • インフレ動向(CPI)とFRBの金融政策方針
  • ETHのリキッドステーキング制度およびETF需給の転換点
  • BTCの中立圏推移とアルト市場への資金シフト

これらのテーマは、記事全体で分散的に取り上げられていますが、投資戦略の立案においては、複合的に捉える必要があります。 特に、短期のポジション構築と中長期のテーマ投資をどう使い分けるかが問われる局面に入っています。

結論・要点整理

本稿では、2025年8月6日時点における仮想通貨市場の主要動向を整理し、制度整備の進展と短期的な需給悪化という、対立する二つの要因が市場を揺さぶっている構図を明確にいたしました。

まず、規制面においては、SECが一部のリキッドステーキングサービスを「証券に該当しない」との見解を示したことにより、LidoやRocket Poolなどの主要プロトコルに対する法的リスクが後退いたしました。これにより、分散型ステーキングの基盤整備が進展し、DeFi市場にとって中長期的な支援材料となる可能性があります。

一方で、ETHに関しては、スポットETFを通じて流入していた資金の一部が7月中に利確へと転じており、直近では資金流出の動きが顕著になっております。これらは、ETFという制度整備が一定の資金流入を促進しつつも、短期的には売却圧力の要因ともなり得ることを示唆しています。

ビットコイン(BTC)に関しては、ETHからの資金移動や市場全体の不透明感を背景に、ドミナンス(相対的な市場占有率)が上昇している状況です。しかし、オンチェーン指標ではMVRV Zスコアや短期SOPRなどが利確水準に達しており、デリバティブ市場でもロングポジションの偏重が見られることから、相場の過熱感やロスカット連鎖への警戒が必要です。

また、第5節で詳述したとおり、8月12日に予定されている米国消費者物価指数(CPI)の発表は、今後の金融政策を左右する重要な経済イベントであり、仮想通貨市場への影響も避けられません。これに加え、英中銀(BOE)や豪準備銀行(RBA)などの金融政策決定も控えており、マクロ経済の変化に対する備えが求められる局面となっております。

以上の観点から、現時点では中長期的な成長可能性と短期的な需給リスクが交錯する環境にあります。市場参加者におかれましては、過度なリスクテイクを避けつつ、ポジションの柔軟な管理と重要経済指標への対応を念頭に置いた運用判断が望まれます。

※ご注意:
本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれております。情報の正確性には十分留意しておりますが、最終的なご判断は読者ご自身の責任にてお願いいたします。 また、本記事は投資判断を促すことを目的としたものではなく、市場理解を深めるための情報提供にとどまるものでございます。

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