Solana現物ETFが4日連続流入、BTC/ETHは資金流出──ビットコイン11万ドル前後・Coinbase決算・ECBデジタルユーロ最終準備へ【11月2日】

SOL現物ETFへの資金流入とBTC・ETHからの資金流出を、擬人化したコインと矢印で対比した1200×630のアイキャッチ。右側に「Digital Euro」庁舎と「CBDC 2029」看板、下部にマイニング難易度上昇を示すシルエット、上部にDaily_crypto_newsの文字。 デイリークリプトニュース
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  1. 本日のポイント
    1. 今日のハイライト
    2. 今週のイベント(日本時間)
    3. 数値スナップショット(日本時間 11/2 9:52)
  2. 市場概況:BTCは11万ドル前後で小動き、ドミナンス59%台 米株は10/31まちまち・金は4,000ドル台維持
    1. きょうの暗号資産サマリー
    2. 米株・世界株(10/31・現地終値)
    3. 為替(10/31・板情報)
    4. コモディティ(10/31・表示値)
    5. 今後のイベント(日本時間)
    6. 用語解説
  3. Solana現物ETFに資金回帰、BTC/ETHは流出超:回転(ローテーション)継続の可能性
    1. 資金動向の要点
    2. 背景と足元の評価
    3. 市場への含意
    4. 用語解説
  4. “赤いUptober”で10月はマイナス:季節性よりマクロ・フロー要因が優勢
    1. 10月の下落要因(結論先行)
    2. 季節性よりも「分布」と「文脈」
    3. テクニカルの示唆:ボラティリティ回帰のサイン
    4. 用語解説
  5. Coinbase:Q3売上約19億ドルで好決算、プロダクト拡張と地域展開が並走
    1. 収益の概況とドライバー
    2. プロダクトの拡張(米国内)
    3. エコシステム強化と地域展開
    4. 用語解説
  6. ECB:デジタルユーロは「共通の信頼の象徴」 2029年ローンチを視野に最終準備へ
    1. 狙いとスケジュール
    2. 論点:プライバシーと監視懸念
    3. 市場への含意
    4. 用語解説
  7. 規制・制度:SECの期限延長が“フェアノーティス”論法を後押し/米控訴審がCustodia敗訴を維持
    1. SECのReg NMS改定:実装期限を2026年に延期
    2. Custodia銀行の上告棄却:マスター口座の不許可を維持
    3. 示唆:秩序ある移行と厳格な接続審査の“同時進行”
    4. 用語解説
  8. 法執行・コンプライアンス:EUでの犯罪利用は“高度化” T3は累計億没収、シンガポールは.06億凍結
    1. Europol:悪用手口は高度化、越境捜査の負荷が増大
    2. T3(Tether・Tron・TRM Labsの共同FCU):累計0Mの不正資産を凍結
    3. シンガポール:巨額ビットコイン詐欺網で約.06億(S0M)を凍結
    4. 示唆:標準化・連携・人材育成の“三点セット”が不可欠
    5. 用語解説
  9. 取引・市場インフラ:MEVが機関参加の壁に、トランザクション秘匿が論点
    1. 結論:実行前の情報露出が“隠れコスト”を生む
    2. 機関投資家が避ける理由:情報漏えいと執行品質の低下
    3. 解決策:実行前の秘匿と順序の公正化
    4. 期待効果:厚みのある板、健全な裁定、コスト低下
    5. 今後の焦点:実装競争と“分散性との両立”
    6. 用語解説
  10. 決済・RWA・地域通貨:MastercardのZero Hash買収交渉/Ripioがアルゼンチンペソ連動wARS
    1. 結論:決済は“24時間・即時(T+0)”へ、地域通貨建ての越境送金も具体化
    2. Mastercardの狙い:Zero Hashで“クリプト原生”の清算レールを内製化
    3. ラ米の実需:RipioのwARSで“ドル経由なし”の地域通貨決済
    4. 共通テーマ:決済レールの再設計とRWAの実装が同時進行
    5. 留意点:規制・ペグ維持・運用ガバナンス
    6. 用語解説
  11. 企業のBTC積立:アジア中堅が“ルールベース”に移行、フリーフロート圧縮の一因に
    1. 結論:企業の機械的な買いが供給を吸収しつつある
    2. 主要ポイント:数字と動きの要約
    3. 需給への含意:フリーフロートの圧縮と流動性の変化
    4. 想定されるリスク:戦略・会計・ガバナンスの不確実性
    5. 用語解説
  12. マイニングとセクター動向:難易度+6.31%で採算圧迫/プライバシー銘柄がセクター上昇主導
    1. 結論:難易度上昇で採算悪化、テーマ物色はプライバシーへ
    2. マイニング環境:難易度+6.31%、手数料比率も低下
    3. セクター動向:プライバシー銘柄が一斉高、ZECが一時400ドル超
    4. 用語解説
  13. 規制・プラットフォーム:ルーマニア当局がPolymarketを賭博認定で遮断
    1. 結論:予測市場を「相対賭博」と判断し、国内アクセスを遮断
    2. 規制の論点:取引か賭博か、定義とライセンスの整合性
    3. 欧州での波及:フランスの禁止方針や越境運営が焦点
    4. 米国の文脈:制裁から限定的再開へ
    5. 実務上の含意:欧州での提供は「ギャンブル」制度下が前提に
    6. 用語解説
  14. 今後の注目とリスク:指標ウィーク、ETFフローの継続観測、政策不確実性
    1. 今週の主要イベント(日本時間)
    2. 短期の注目:ETFフローとローテーション
    3. 中期の論点:政策設計と市場インフラの進捗
    4. リスク:急変時のシナリオと監視ポイント
    5. 用語解説
  15. 結論・要点整理

本日のポイント

一言要約:SOL現物ETFへの資金回帰が続き、BTC/ETHは流出超。11月入りの指標ウィークETFフローが短期の主役です。制度面ではECBのデジタルユーロ最終準備米規制の実装遅延が並走します。

今日のハイライト

  • 市場概況: 時価総額 $3.70T/出来高 $127.8B。BTC $109,969(+0.22%)、ETH $3,866(+0.47%)、BTCドミナンス 59.2%
  • ETFフロー: SOLは+$44.48M(4日連続流入)、累計$199.2M・AUM$502M。BTC−$191.6M、ETH−$98.2Mローテーション継続が焦点。
  • 企業・決算: CoinbaseのQ3総収益は約$1.9B。CFTC監督の無期限先物やDEX連携で米国内の取扱資産が拡大。
  • 政策・規制: ECBは小売型CBDCを2029年展開へ最終準備。SECはReg NMS改定の実装を2026年へ延期、Custodia銀は控訴審で敗訴。
  • 法執行: 民間FCUT3$300M超を凍結。シンガポール当局は約$1.06億を凍結し、越境対応が前進。
  • 市場インフラ: MEV対策が機関参入の前提に。注文の秘匿と公正な順序設計が論点。
  • セクター・マイニング: 難易度+6.31%でハッシュプライス低下。プライバシー銘柄が上昇し、ZECは一時$400超。
  • プラットフォーム: ルーマニアONJNPolymarketを無認可賭博として遮断。

今週のイベント(日本時間)

  • 11/3 深夜: 米ISM製造業
  • 11/4: RBA政策金利
  • 11/5: 米ADP雇用、米ISM非製造業
  • 11/6: BOE金融政策
  • 11/7: 米雇用統計

数値スナップショット(日本時間 11/2 9:52)

  • SOL: $185.17(24H −1.04%)/XRP: $2.5002(±0.00%)
  • 米株(10/31・NY終値): ダウ +0.09%/S&P500 +0.26%/ナスダック +0.61%/VIX 17.44
  • 為替(10/31): USD/JPY 154.00/EUR/USD 1.1535/GBP/USD 1.3147
  • コモディティ(10/31): XAU/USD $4,002/金先物 $4,013/WTI $60.98/ブレント $64.77

※暗号資産は24時間取引のため上記は11/2 9:52時点。株・為替・コモディティは週末のため10/31の取引・板情報を基準としています。

詳細は本文各セクションへ。

市場概況:BTCは11万ドル前後で小動き、ドミナンス59%台 米株は10/31まちまち・金は4,000ドル台維持

日本時間2025年11月2日10時03分のスナップショットです。暗号資産は24時間取引のため、本稿では当日9時52分時点の掲載値を採用します。株式・為替・コモディティは週末のため、10月31日(現地時間)の取引終了時点や同日の板情報を基準に整理します。

きょうの暗号資産サマリー

まず、市場全体のサイズと主要通貨の水準を確認します。

  • 時価総額:3.70兆ドル
  • 24時間出来高:1,278億ドル
  • BTC:$109,969(24時間 +0.22%)
  • ETH:$3,866(24時間 +0.47%)
  • BTCドミナンス:59.2%(ETHは12.6%)
  • SOL:$185.17(24時間 −1.04%)/XRP:$2.5002(±0.00%)

週末要因で新規材料は少なく、主要通貨は前日レンジ内での推移が中心です。

米株・世界株(10/31・現地終値)

米国は主要3指数がまちまちでした。直近のボラティリティ指標は落ち着いた水準です。

  • ダウ:47,562.87(+0.09%)
  • S&P500:6,840.20(+0.26%)
  • ナスダック:23,724.96(+0.61%)
  • VIX:17.44(+0.53)

欧州はDAX・FTSE100が小安い展開でした。日本は10月31日の日経平均が52,411.34(+2.12%)で週を終えています。

為替(10/31・板情報)

主要通貨はドル高がやや優勢です。クロス円は高値圏での推移が続きます。

  • USD/JPY:154.00/EUR/USD:1.1535
  • GBP/USD:1.3147/EUR/JPY:177.70
  • AUD/JPY:100.83

週末は流動性が低下しやすいため、31日のレンジを目安とします。

コモディティ(10/31・表示値)

安全資産の金は$4,000台を維持しています。エネルギーは小幅高です。

  • 金現物(XAU/USD):$4,002.28
  • 金先物(12月限):$4,013.30
  • WTI原油(12月限):$60.98/ブレント(1月限):$64.77
  • 銀先物(12月限):$48.371

週明けまで現物市場は休場のため、評価は前営業日ベースです。

今後のイベント(日本時間)

週明けから主要指標が相次ぎます。短期の方向感はこれらの結果で変化しやすくなります。

  • 11/3 24:00:米・10月ISM製造業景況指数
  • 11/4 12:30:豪準備銀行(RBA)政策金利
  • 11/5 08:50:日銀・金融政策決定会合 議事要旨
  • 11/5 22:15:米・10月ADP雇用統計
  • 11/5 24:00:米・10月ISM非製造業指数(総合)
  • 11/6 21:00:英中銀(BOE)政策金利・MPC議事要旨
  • 11/7 22:30:米・10月雇用統計(非農業者数、失業率、平均時給)

用語解説

  • ドミナンス:市場全体に占める特定銘柄(例:BTC)の時価総額比率。
  • VIX:S&P500のオプション価格から求める予想ボラティリティ指数。
  • XAU/USD:金(ゴールド)現物価格を米ドル建てで示す表記。
  • WTI:米国産原油の代表指標。期先ごとに「限月(げんげつ)」がある先物です。
  • ISM指数:米サプライマネジメント協会が公表する景況感。製造業・非製造業がある。
  • 板情報:その時点の売買気配や最良気配から把握する参考価格。

Solana現物ETFに資金回帰、BTC/ETHは流出超:回転(ローテーション)継続の可能性

Solana(SOL)の現物ETFに資金が戻っています。金曜日は4日連続の流入となり、+44.48百万ドルでした。一方で、同日はビットコイン(BTC)現物ETFが-191.6百万ドルイーサリアム(ETH)現物ETFが-98.2百万ドルの流出です。月末の利益確定や「新テーマ」への回転が背景とみられ、来週もこの動きが続くとの見方があります。

資金動向の要点

  • SOL現物ETF:4日連続で流入、当日+44.48百万ドル
  • 累計流入額:199.2百万ドル(総資産は約5.02億ドル
  • 主導ファンド:BitwiseのBSOLが資金を牽引
  • BTC現物ETF:同日-191.6百万ドルの流出
  • ETH現物ETF:同日-98.2百万ドルの流出

背景と足元の評価

10月末には利益確定の売りが出やすく、BTCとETHのETFから資金が抜けました。対照的に、SOLには新規の資金が向かいました。市場では「テーマ回転」が意識され、Solana関連の話題性に加え、ステーキング収益をうたう商品性も関心を集めています。トレーディング企業の見立てでは、来週も回転が続く可能性が示されています。

市場への含意

短期では、資金フローの偏りが価格の相対強弱に影響します。BTC・ETHがもみ合いを続ける一方で、SOL関連はフロー次第で相対的に底堅くなりやすい局面です。ただし、ETFの資金は日々変動します。週明けのフローとニュースの組み合わせで、方向感が再び変わるリスクには留意が必要です。

用語解説

  • 現物ETF:対象資産そのものを保有して値動きに連動させる上場投資信託。
  • ローテーション:資金がある資産から別の資産へと移る現象。
  • Bitwise(ビットワイズ):米国の資産運用会社。暗号資産関連ETFを運用。
  • BSOL:BitwiseのSolana現物ETFのティッカー。資金流入を主導。
  • 利益確定:上昇後に保有資産を売却して利益を確定する取引行動。

“赤いUptober”で10月はマイナス:季節性よりマクロ・フロー要因が優勢

10月のビットコイン(BTC)は月間で約-3.7%でした。2018年以降で最も弱い10月です。要因は金利観測の変化、ETFからの資金流出、デリバティブ市場でのヘッジです。月初の高値更新後に利益確定も進みました。季節性の「Uptober」「Moonvember」は話題ですが、平均値だけでは判断できません。

10月の下落要因(結論先行)

  • 金利要因:FRB要人発言で利下げ観測が後退。金利高止まり観測がリスク資産の重し。
  • 資金フロー:現物ETFからの資金流出が続き、需給の逆風に。
  • ヘッジ強化:デリバティブ(先物・オプション)での下押しリスクへの備えが増加。
  • 利益確定:月初の高値更新後にポジション縮小が目立つ。

季節性よりも「分布」と「文脈」

11月の平均リターンは+42%前後という指摘があります。ただし中央値は約+9%で、ばらつきが大きい点が重要です。過去の一部の大幅上昇が平均を押し上げています。季節性は参考情報であり、単独の売買根拠にはなりにくいという位置づけです。

  • 平均:大勝ちの年に引っ張られやすい。
  • 中央値:より「ふつうの結果」を映す。
  • レンジの広さ:上振れ・下振れのどちらも起こりうる。

テクニカルの示唆:ボラティリティ回帰のサイン

ボリンジャーバンド(BB)の収縮は、大きな値動きが近いことを示すとされます。方向は確定していません。今はマクロと資金フローのニュースで上下どちらにも振れやすい局面です。値幅拡大の局面では、ニュースとフローの組み合わせが短期の方向を決めやすくなります。

用語解説

  • FRB:米連邦準備制度理事会。金融政策(利上げ・利下げ)を担う。
  • ETF資金フロー:上場投資信託への資金の出入り。流入は買い需要、流出は売り圧力になりやすい。
  • デリバティブのヘッジ:先物・オプションを使い、価格下落の影響を抑える取引。
  • Uptober/Moonvember:10月・11月の上昇を期待する相場の慣用句。
  • ボリンジャーバンド(BB):価格の上下に帯を描く指標。帯が狭まると、その後に大きく動きやすいとされる。

Coinbase:Q3売上約19億ドルで好決算、プロダクト拡張と地域展開が並走

Coinbaseの2025年7〜9月期(Q3)の総収益は約19億ドルでした。内訳では、取引収益が約10億ドルです。10月の月中の取引収益は3億8,500万ドルとされ、10〜12月期の立ち上がりは堅調です。収益源は取引に加えて、カストディやステーキング、利息収入などのサービスが支えています。

収益の概況とドライバー

Q3はスポット(現物)出来高の回復が寄与しました。Base(イーサリアムL2)は黒字化に転じ、手数料やネットワーク関連の収益が実績に貢献しました。サブスクリプションとサービス収益の安定性が、相場変動時の収益の振れを和らげています。

プロダクトの拡張(米国内)

米国でCFTC規制の24/7パーペチュアル(無期限先物)の提供を開始しました。取引時間の制約が小さいデリバティブの整備は、流動性の確保に資します。加えて、DEX(分散型取引所)連携を通じ、米国内で投資可能なアセット数は約300銘柄から4万超へ拡大しました。上場審査を経た中心銘柄に加え、長い裾野へのアクセスが広がっています。

エコシステム強化と地域展開

決済やステーブルコインの連携を強化しています。大手金融との決済ソリューション開発、USDCを用いたDeFiレンディングの導入、Coinbase Payによる100か国超への送金対応など、利用場面の拡大が進みました。開発者向けには、CDP埋め込みウォレットMCPプロトコルを提供し、アプリ内でのウォレット利用やオンチェーン決済を容易にしました。

地域面では、インドや中東でのプレゼンス拡大を目的に一部現地企業へ出資を行い、Base上での法定通貨連動ステーブルのラインアップも拡充しました。米国内では、分散型取引機能の展開範囲を広げつつ(ニューヨーク州を除く)、政策対話も並行しています。

用語解説

  • Coinbase:米ナスダック上場の大手暗号資産取引所・カストディ。
  • Base:Coinbaseが関与するイーサリアムL2。ガス代低減と処理性能の向上を狙う。
  • CFTC:米商品先物取引委員会。先物やデリバティブを監督する規制当局。
  • パーペチュアル(無期限先物):満期がない先物。資金調達率で価格乖離を調整する。
  • DEX(分散型取引所):仲介業者を介さず、ブロックチェーン上で取引を行う仕組み。
  • USDC:米ドル連動型のステーブルコイン。送金や決済での利用が広い。
  • CDP埋め込みウォレット/MCP:アプリ内に組み込み可能なウォレットと決済プロトコルの総称。

ECB:デジタルユーロは「共通の信頼の象徴」 2029年ローンチを視野に最終準備へ

前日伝えたECBの最終準備フェーズ移行の続報です。ラガルド総裁がデジタルユーロを「共通の信頼の象徴」と位置づけ、技術実装とテストを加速し、EUの法整備後に2029年展開を視野に入れる方針を示しました。最大の論点はプライバシー設計です。

狙いとスケジュール

ECBはテスト環境の整備とシステム開発を進めています。最終的なローンチは、EU議会などでの関連法の可決が前提です。想定時期は2029年で、導入後はEU域内のデジタル決済を横断的に支える基盤となる見込みです。紙幣と並行し、日常の少額決済や公共料金などでの利用を想定しています。

論点:プライバシーと監視懸念

暗号資産コミュニティからは反発の声が上がっています。理由は監視強化への懸念です。CBDCは不正対策に有効とされますが、利用履歴の集約は個人の取引の可視化につながる可能性があります。そのため、プライバシー設計(どの情報を、誰が、どの条件で見られるのか)が最大の焦点です。透明性と匿名性のバランスが問われます。

市場への含意

デジタルユーロは、銀行送金やカード決済に代わる公共インフラ型の決済レールとなり得ます。一方で、ステーブルコインや分散型決済との役割分担が改めて議論されます。中央集権的な発行体を持つCBDCは、分散型の暗号資産とは設計思想が異なります。今後は、相互運用性や規制の整合性が市場構造を左右します。

用語解説

  • 欧州中央銀行(ECB):ユーロ圏の金融政策を所管する中央銀行。
  • CBDC:中央銀行デジタル通貨。中央銀行が発行するデジタル形式の法定通貨。
  • 小売型CBDC:一般消費者や企業が日常決済に使うタイプのCBDC。
  • ラガルド総裁:ECBのトップ。政策方針の最終判断を主導する立場。
  • プライバシー設計:利用者の取引情報の取得範囲や閲覧権限をあらかじめ定める考え方。

規制・制度:SECの期限延長が“フェアノーティス”論法を後押し/米控訴審がCustodia敗訴を維持

SECのReg NMS改定:実装期限を2026年に延期

米証券取引委員会(SEC)は、株式市場の情報開示規則であるReg NMSの一部改定について、コンプライアンス開始を2026年8月1日へ延期しました。対象は執行品質の開示を定めるRule 605の改正項目です。結論として、当局は市場参加者の準備期間を重視し、段階的な実装を選びました。

理由は、システム改修・人員確保・ベンダー対応に時間を要する点です。ブローカーや取引所、レポート提供事業者が一斉に切り替えると、現場の負荷が過大になるためです。延期は、データ品質の確保と混乱回避を優先する判断といえます。

他方で、この判断は暗号資産分野の訴訟における「フェアノーティス(事前の明確な告知)」の主張を後押しする材料と受け止められています。すなわち、株式市場の規則であっても、大規模な制度変更には明確な告知と十分な準備期間が必要だと当局自らが示した格好です。暗号関連の執行で「ルール不明確のままの摘発」という構図が争点となる場面では、秩序立った移行の必要性を論じやすくなります。

Custodia銀行の上告棄却:マスター口座の不許可を維持

一方、ワイオミング州の暗号関連銀行Custodia Bankは、連邦準備制度(FRB)のマスター口座(決済ネットワークへの直接接続)不許可を巡って争っていました。第10巡回区控訴裁10月31日付の判断で、地裁の結論を維持し、不許可は有効としました。結論として、FRBの裁量とリスク管理方針が広く認められた形です。

この判決は、暗号資産に関連する銀行が中央銀行決済に直結するハブへのアクセスを得る難しさを再確認させました。すなわち、規制上の不確実性やAML/CFT上の懸念が残る領域では、伝統金融の基盤に接続するためのハードルは引き続き高いという現実です。結果として、暗号分野の銀行は、コルレス経由や代替ネットワークでのオペレーションを余儀なくされる局面が続きます。

示唆:秩序ある移行と厳格な接続審査の“同時進行”

以上の二つは、一見すると無関係に見えます。しかし、制度は時間をかけて整えつつ、基幹インフラへの接続は厳格に審査するという、米当局の現在地を示す組み合わせです。暗号領域のルール作りが進まない間は、既存規制の延長で秩序を保ち、リスクの高い直結には慎重という姿勢が当面続く見込みです。

用語解説

  • Reg NMS:米株式市場の全国市場システム規則。売買制度や情報開示の枠組み。
  • Rule 605:注文の執行品質を統計で開示する規則。ブローカーや市場に報告を求める。
  • フェアノーティス:行政処分の前に、対象者が遵守すべきルールを明確に知らされているべきという考え方。
  • Custodia Bank:ワイオミング州のSPDI(特別目的預金機関)。暗号関連のサービスを想定。
  • FRBマスター口座:連邦準備銀行の決済口座。米ドル決済網への直接アクセス権。
  • 第10巡回区控訴裁:米連邦控訴裁の一つ。コロラドなどを管轄。

法執行・コンプライアンス:EUでの犯罪利用は“高度化” T3は累計億没収、シンガポールは.06億凍結

Europol:悪用手口は高度化、越境捜査の負荷が増大

結論は、欧州での暗号資産の犯罪利用がより巧妙になっていることです。Europolは、各国警察の負担が拡大していると警鐘を鳴らしました。

10月28〜29日に開催された国際会議では、追跡や押収の難度が上がる事例が共有されました。国境をまたぐ詐欺やマネロンは、連携の遅れが致命傷になります。

課題は三つです。第一に、ウォレットの帰属やトレーシングの標準化の不足です。第二に、民間ツール偏重による訓練の偏りです。第三に、公的機関と民間の情報共有の遅さです。

また、物理的な脅迫による「レンチ攻撃」も報告が増えています。フランスでは複数の発生が確認され、被害の深刻化が指摘されています。

T3(Tether・Tron・TRM Labsの共同FCU):累計0Mの不正資産を凍結

結論は、民間主導の対策も成果を上げていることです。Tether、Tron、TRM Labsが設立した金融犯罪対策ユニットT3は、累計で3億ドル超の不正資産を凍結しました。

2024年9月の発足以降、各国当局と共同で凍結・押収を進めています。直近ではブラジル連邦警察と連携し、USDT 430万の資産を押さえました。

一方で、巨額流出事案の資金すべてを止めるのは容易ではありません。国際的な分業と、発行体の迅速な対応力が引き続き鍵となります。

シンガポール:巨額ビットコイン詐欺網で約.06億(S0M)を凍結

結論は、アジアでも大規模な資産凍結が広がっていることです。シンガポール当局は、詐欺ネットワークに関連するとされる資産S$150M超を凍結しました。

対象は銀行口座や有価証券、車両、船舶など幅広い資産です。米英当局の訴追や制裁と歩調を合わせ、国際的な押収に踏み込みました。

事件は、長期の信用形成で投資を誘う「ピッグ・ブッチャリング」型の詐欺を含むとされます。資金は多層の法人や取引所を経由し、追跡を困難にします。

示唆:標準化・連携・人材育成の“三点セット”が不可欠

今回の三つの動きは、対策の方向性を示します。第一に、トレーシング手法とウォレット帰属の国際標準です。第二に、官民で偏りのない訓練と評価軸の整備です。第三に、発行体・分析事業者・当局の即応連携です。

民間FCUの即応性と、公的機関の強制力を補完関係で結ぶことが重要です。越境資金の遮断には、迅速な要請ルートと、証拠の相互承認が欠かせません。

用語解説

  • Europol:EU域内の警察機関連携を担う機関。
  • T3:Tether・Tron・TRM Labsによる金融犯罪対策ユニット。
  • 資産凍結:疑わしい資産の移転や処分を一時的に禁止する措置。
  • レンチ攻撃:被害者に暴力で秘密鍵の開示を迫る手口。
  • ピッグ・ブッチャリング:長期間の信用形成で投資を誘う詐欺手法。

取引・市場インフラ:MEVが機関参加の壁に、トランザクション秘匿が論点

結論:実行前の情報露出が“隠れコスト”を生む

最大抽出可能価値(MEV)は、ブロックに入る取引の順序で利益が変わる現象です。DEX Labs(分散型デリバティブ取引所DerivaDEXの開発元)のPalepu氏は、これが実質的な“隠れ税”になっていると指摘しました。注文内容が公開されると、先回りの売買が発生しやすくなります。その結果、滑り(想定より不利な約定)と手数料がかさみます。

機関投資家が避ける理由:情報漏えいと執行品質の低下

機関は大口の注文を扱います。発注情報が事前に見えると、価格インパクトが拡大します。サンドイッチ攻撃などで不利な価格がつき、執行品質が落ちます。約定の再現性も下がり、コンプライアンス説明が難しくなります。結果として、DeFiへの参加が後回しになります。

解決策:実行前の秘匿と順序の公正化

鍵は「実行前に注文を見せない」ことです。注文が見えなければ、先回りの動機は弱まります。具体策は次の三点です。

  • TEE(Trusted Execution Environment):安全な領域で注文を復号し、私的にマッチングします。
  • 暗号化オーダー:クライアント側で暗号化し、復号は安全領域のみで行います。
  • 順序設計の改善:入札時間を区切る、ガスではなく抽選で並べるなど、公正なシーケンスを採用します。

期待効果:厚みのある板、健全な裁定、コスト低下

秘匿執行が進むと、表示価格と約定価格の差が縮みます。裁定取引が健全に働き、取引所間の価格が揃いやすくなります。結果として、板が厚くなり、広いサイズでも価格を動かしにくくなります。手数料とスリッページの合計コストも下がる見込みです。

今後の焦点:実装競争と“分散性との両立”

秘匿化は有効ですが、検証可能性や検閲耐性との両立が課題です。TEEの信頼モデル、障害時の復旧、監査可能性の設計が問われます。各プロジェクトは、速度、コスト、透明性のバランスで競争が続く見通しです。

用語解説

  • MEV(最大抽出可能価値):取引順序の操作で得られる超過利益。
  • フロントラン(先回り):他者の注文を見て先に取引する行為。
  • サンドイッチ攻撃:対象注文の前後に自分の注文を置き、価格差を抜く手口。
  • TEE:チップ内の隔離領域。データを安全に処理できる実行環境。
  • シーケンサ:取引の並べ替えやブロックへの取り込み順序を決める役割。

決済・RWA・地域通貨:MastercardのZero Hash買収交渉/Ripioがアルゼンチンペソ連動wARS

結論:決済は“24時間・即時(T+0)”へ、地域通貨建ての越境送金も具体化

Mastercard(国際決済大手)がZero Hash(暗号資産決済インフラ)の買収を協議しています。想定価格は約15〜20億ドルです。狙いは、カード・口座間の清算を24時間365日・即時(T+0)に近づけることです。既存の銀行営業日に縛られた清算を補完し、ステーブルコイン連携の本格実装を進める構図です。

中南米では、取引所Ripio(ラテンアメリカ拠点)がアルゼンチンペソ連動のwARSを発行しました。対応チェーンはEthereum、Base、World Chainです。地域通貨のまま国境をまたぐ送金・決済を目指します。高インフレと資本規制の環境で実需が生まれています。

Mastercardの狙い:Zero Hashで“クリプト原生”の清算レールを内製化

Mastercardは2025年4月にステーブルコイン決済のパイロットを開始しています。Zero Hashは米国で送金業登録を持ち、ニューヨーク州のBitLicenseも保有します。買収により、暗号資産での即時清算を自社ネットワークに取り込みやすくなります。

  • 効果:週末・祝日をまたぐ清算遅延の縮小、着金確度の向上
  • 論点:各州規制・NYDFS承認、欧州MiCA整合、運用のコンプライアンス強化
  • 文脈:カード決済の“遅い後工程”を、ステーブルやトークン基盤で短縮

ラ米の実需:RipioのwARSで“ドル経由なし”の地域通貨決済

Ripioは利用者数が多い地域大手の一角です。新トークンwARSはアルゼンチンペソに連動します。ユーザーは銀行を介さず、いつでも送受金できます。ドルに替えないクロスボーダー決済が可能になります。

  • 背景:政府が物価を抑制し、年率インフレは31.8%まで低下。それでも通貨ニーズは強い。
  • 狙い:地域通貨建ての越境支払い、給料・仕入れ・送金の効率化
  • 前段:Ripioは主権債のトークン化も展開し、RWA領域を拡大

共通テーマ:決済レールの再設計とRWAの実装が同時進行

両者の動きは、「即時清算」「地域通貨」「トークン化」という潮流でつながります。大手ネットワークは、クリプト原生の清算技術を取り込みます。地域事業者は、通貨ペグのデジタル版で現地課題を解きます。結果として、RWA(実世界資産)の表現と、法定通貨に近い使い勝手が進みます。

留意点:規制・ペグ維持・運用ガバナンス

  • 規制承認:買収の当局承認や、各国のステーブル規制への適合が必須です。
  • ペグ維持:wARSの裏付け、換金性、償還の透明性が鍵になります。
  • 運用ガバナンス:KYC/AML、準備資産の管理、スマートコントラクトの監査が重要です。

用語解説

  • Mastercard:国際カード決済ネットワーク大手。
  • Zero Hash:暗号資産の清算・カストディ等を提供する決済インフラ事業者(米登録・BitLicense保有)。
  • Ripio:ラテンアメリカ拠点の暗号資産取引所。
  • wARS:アルゼンチンペソ(ARS)に連動する新ステーブル型トークン。
  • T+0:取引日当日に受渡しを完了する清算サイクル。
  • RWA(実世界資産):債券や法定通貨など現実の資産をブロックチェーン上で表現したもの。
  • MiCA:EUの暗号資産包括規制。発行・運用・開示などの枠組みを定める。

企業のBTC積立:アジア中堅が“ルールベース”に移行、フリーフロート圧縮の一因に

結論:企業の機械的な買いが供給を吸収しつつある

日本のメタプラネットは保有が3万BTCを超え、企業保有で世界4位となりました。韓国でも、制度に沿った日次の積立購入が始まっています。新規発行はおよそ450BTC/日です。これに対し、企業のルールベースの買いは、ETFの資金フローと並ぶ需給要因になっています。

主要ポイント:数字と動きの要約

  • メタプラネット:9月末時点で3万BTC超を保有。継続購入の姿勢が明確です。
  • 韓国の動き:監督当局の枠組み内で、企業の日次積立が進展しています。
  • 供給面:ビットコインの新規発行は約450BTC/日。機械的な買いは供給の受け皿になります。
  • 需給接点:企業の積立とETFのフローが重なると、流通在庫(フリーフロート)が細ります。

需給への含意:フリーフロートの圧縮と流動性の変化

定期的な企業購入は、市場価格に左右されにくい点が特徴です。結果として、短期の売り圧力が相対的に弱まりやすくなります。一方で、売り手が薄い局面では、値動きが跳ねやすくなる可能性があります。中長期では、現物の手当てが必要な投資家が増えるため、板の厚みと価格発見の仕組みに影響します。

想定されるリスク:戦略・会計・ガバナンスの不確実性

  • 戦略転換:経営方針の変更で売却に転じる事例があります。フローは一定ではありません。
  • ガバナンス:創業者主導の意思決定では、株主との整合が課題になります。
  • 会計処理:評価方法の変更や開示基準の更新が、損益の見え方を変えます。
  • カストディと規制:保管体制、ライセンス、税制の変更が運用コストに影響します。
  • 通貨と資金繰り:自国通貨の変動や金利の上振れは、積立余力を圧迫します。

用語解説

  • メタプラネット:日本の上場企業。財務資産としてBTCを継続取得。
  • フリーフロート:市場で自由に売買できる実質流通量。
  • ルールベース積立(DCA):価格に関係なく定期的に一定額を購入する手法。
  • 新規発行量:マイニングで1日に増えるBTCの概数(約450BTC)。
  • カストディ:暗号資産の保管・管理サービス。セキュリティと規制準拠が要点。
  • ETFフロー:現物ETFへの資金流入出。現物需給へ直接影響します。

マイニングとセクター動向:難易度+6.31%で採算圧迫/プライバシー銘柄がセクター上昇主導

結論:難易度上昇で採算悪化、テーマ物色はプライバシーへ

結論は明確です。ビットコインの採掘難易度が上がり、マイナーの採算が悪化しました。一方で、相場全体が伸び悩む中、資金はプライバシー関連の銘柄に向かいました。11月1日は同セクターが大幅高となり、選好の偏りがはっきりしました。

マイニング環境:難易度+6.31%、手数料比率も低下

採掘難易度は前回調整で+6.31%となり、155.97Tに到達しました。これは2025年で3番目に大きい上げ幅です。価格の軟調も重なり、ハッシュプライスは1PH/sあたり約44.7ドルまで低下しました。マイナーの収益は圧迫されやすい状況です。

オンチェーン手数料の寄与も小さいままです。直近ではブロック報酬に占める手数料比率が平均で1%未満となりました。11月1日時点では約0.75%で、逆風を和らげる材料にはなっていません。

セクター動向:プライバシー銘柄が一斉高、ZECが一時400ドル超

市場全体が横ばいの中、プライバシー関連が強さを見せました。11月1日は同セクターの時価総額が前日比で約+15%です。Zcash(ZEC)は一時400ドルを上回り、短期の資金流入が目立ちました。

個別ではRailgun(RAIL)やDash(DASH)が24時間で大幅上昇しました。月間でも高い伸びを示した銘柄が多く、テーマ物色が継続しています。もっとも、値動きは速く、反落のリスクも高い局面です。

用語解説

  • 採掘難易度:ブロック生成の難しさを示す指標。上昇すると報酬獲得が相対的に難しくなります。
  • ハッシュプライス:マイニング能力1PH/sあたりの推定収益。価格や難易度で変動します。
  • 手数料比率:ブロック報酬に占めるトランザクション手数料の割合。高いほどマイナーの収益改善につながります。
  • プライバシー銘柄:送金の追跡困難化など、プライバシー保護機能に重点を置く暗号資産の総称。
  • Zcash(ZEC):選択的開示機能を持つプライバシー通貨。
  • Railgun(RAIL):トランザクションのプライバシー強化を目的としたプロトコル。
  • Dash(DASH):高速決済やプライバシー機能を重視して発展した暗号資産。

規制・プラットフォーム:ルーマニア当局がPolymarketを賭博認定で遮断

結論:予測市場を「相対賭博」と判断し、国内アクセスを遮断

ルーマニアの国家ギャンブル庁(ONJN)は、Polymarketを無認可の賭博サイトとしてブラックリスト化しました。賭け金を拠出し、将来の結果で勝敗が決まる点をもって「相対賭博」に該当すると結論づけました。ONJNは「ブロックチェーンを違法賭博の隠れみのにはしない」と明確に述べ、技術ではなく法に基づく判断と強調しました。

規制の論点:取引か賭博か、定義とライセンスの整合性

ONJNは、利用者同士が相対で賭ける仕組みを「トレーディング」と再定義する動きを問題視しました。これを許せば、賭博や資本市場の厳格な規制を回避する前例になりうる、との見解です。選挙関連市場の出来高拡大が判断の引き金となりました。ブカレスト市長選の市場では累計1,600万ドル超の出来高が示され、監督上の注意が高まりました。

欧州での波及:フランスの禁止方針や越境運営が焦点

欧州では先行例もあります。フランスの賭博規制当局は、法令適合性の観点からPolymarketの禁止方針を示した経緯があります。今後は、予測市場の定義付け、イベントの範囲、KYC・年齢確認、ジオブロッキング(国別遮断)など、越境運営に必要なライセンス設計が主要テーマになります。

米国の文脈:制裁から限定的再開へ

米国では2022年にCFTC(米商品先物取引委員会)の罰金で実質的に停止に追い込まれました。その後、2025年7月にCFTCのノーアクションレターを受けた取引所QCXを取得し、限定的に再開しました。もっとも、選挙などのイベントを含む商品設計は依然として監督当局の強い関心領域にあります。

実務上の含意:欧州での提供は「ギャンブル」制度下が前提に

今回のルーマニアの判断は、欧州で予測市場を提供する際の前提を示します。すなわち、賭博としてのライセンス取得、コンプライアンス体制の整備、政治イベントの扱いに関する明確な方針、そして国境をまたぐユーザー制御の仕組みが求められます。プラットフォーム側の表示や用語が「取引」を強調しても、実態で判断される点が重要です。

用語解説

  • Polymarket:予測市場プラットフォーム。ユーザーが将来の事象に賭ける市場を提供。
  • ONJN:ルーマニア国家ギャンブル庁。国内の賭博規制を所管。
  • 相対賭博(カウンターパーティ・ベッティング):利用者同士が賭け金を拠出し、結果に応じて配分される方式。
  • ブラックリスト化:国内からのアクセス遮断や提供禁止の対象サイトに指定する措置。
  • ジオブロッキング:国や地域に基づいてオンラインサービスの利用を制限する措置。
  • CFTC:米商品先物取引委員会。デリバティブ市場などの監督機関。

今後の注目とリスク:指標ウィーク、ETFフローの継続観測、政策不確実性

今週の主要イベント(日本時間)

今週は重要指標が連日発表されます。米景気の温度感と金利観測に直結し、暗号資産の短期ボラティリティを左右します。以下はいずれも日本時間基準です。米国指標は東京市場の時間外に出る点に注意が必要です。

  • 11/3 深夜:米ISM製造業景況指数
  • 11/4:オーストラリア準備銀行(RBA)政策金利
  • 11/5:米ADP雇用統計、米ISM非製造業景況指数
  • 11/6:イングランド銀行(BOE)金融政策
  • 11/7:米雇用統計(非農業部門雇用者数など)

金利高止まり観測が強まると、リスクセンチメントが弱まりやすい一方、減速の兆しが出れば金利低下観測が意識されやすくなります。

短期の注目:ETFフローとローテーション

直近はSolana(SOL)現物ETFに資金が入り、Bitcoin(BTC)とEthereum(ETH)は流出超が続きました。今週は、SOLへの資金回転が続くか、あるいはBTC/ETHの流出が鈍化するかが短期需給のカギです。月初入りでフローの転換が起きやすい時期でもあり、日次の資金動向が価格の振れを拡大させる可能性があります。

中期の論点:政策設計と市場インフラの進捗

欧州中央銀行(ECB)のデジタルユーロ(小売型CBDC)の設計は、中期の制度環境を形づくる論点です。プライバシー保護の水準や利用範囲の定義は、民間ステーブルコインや決済インフラとの共存に影響します。また、米国の規制実装タイムラインが明確になるかは、取引所や発行体のビジネス見通しに直結します。加えて、DeFiで問題視されるMEV(取引順序を利用した利得)への対策が進むかは、機関投資家の参加と流動性の厚みに関わります。

リスク:急変時のシナリオと監視ポイント

ボリンジャーバンドの収縮など、ボラティリティ拡大を示すシグナルが点灯しています。指標結果や政策発言をトリガーに、値動きが一気に拡大する局面に注意が必要です。ETFの大口資金フロー、先物・オプションの建玉偏り、マクロ指標のサプライズは、短期の価格変動を増幅させます。制度面では、規制強化やコンプライアンス措置がプラットフォームに与える影響にも目配りが要ります。

用語解説

  • ISM製造業/非製造業:米サプライマネジメント協会の景況指数。景気の先行指標とされる。
  • RBA/BOE:オーストラリア準備銀行/イングランド銀行。各国の金融政策を担う中銀。
  • ADP雇用統計:米民間雇用の毎月速報。米雇用統計の先行指標として注目される。
  • ETFフロー:上場投資信託への資金流入出。需給を通じて価格に影響する。
  • ローテーション:資金が銘柄やテーマ間で移動する現象。
  • CBDC:中央銀行デジタル通貨。公的なデジタルマネー。
  • MEV:ブロック生成者などが取引の並べ替えで得られる余剰価値。フロントランの温床となる。
  • ボリンジャーバンド(BB):価格の標準偏差帯。収縮はボラティリティ拡大の前触れとされる。

結論・要点整理

本日の結論:資金の「回転(ローテーション)」が続くかが最大の焦点です。Solana(SOL)現物ETFへの流入が続く一方、Bitcoin(BTC)とEthereum(ETH)の流出がどこで鈍るかが短期の値動きを左右します。

  • 短期のカギ:SOLへの資金回帰の継続有無と、BTC/ETHの流出鈍化のタイミング。
  • 季節性は参考情報:11月は強い傾向が語られますが、実際の価格はマクロ指標とETFフローが決めます。
  • 制度の影響:欧州中央銀行(ECB)のデジタルユーロ最終準備、米規制の実装遅延は、中期の資金配分や評価軸を動かす可能性があります。
  • インフラ面:DeFiのMEV対策の進捗は、機関投資家の参加と流動性の厚みに直結します。
  • リスク:指標ウィークでボラティリティ拡大のシグナルが点灯。イベント起点の急変に注意が必要です。

注記:本記事にはAIによる収集・分析データが一部含まれます。情報の正確性には十分留意していますが、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。

また、本記事は投資判断を促すものではなく、市場理解を目的とした情報提供にとどまります。

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